aika's Story(1)

ここは、今からそう遠くない未来。科学的に超能力と呼ばれる現象が裏付けされ、
人々は超能力を使い始めた。
といっても、まだ人類は簡単な超能力しか手に入れていない。
軽いものを浮かせたり、紙を透視するぐらいの能力が一般的である。
ある科学者によれば、人は20歳を越えると超能力の覚えることができなくなるらしい。
なので、人が一生のうちに使える超能力は1~3つくらいだ。
しかし、ごく稀に突然変異として、強力な超能力を持った人間が生まれることもある。
これらの力は、正しく使えば人の命を救うこともできるが、
必ず悪用するものもあらわれる。人間とはそういうものだ。


「あー、昨日の事件は大変だった~」

寝不足からかため息をつきながら、登校している茶髪の一人の少女。
彼女の名前は、愛香。セリーヌ高等学校2年生である。
ぐったりしながら、冷え込んだ国道沿いを歩いていると、

「おっはよー!元気なさそうだねぇ。なにかあった?」

と、後ろから親友であるカナに声をかけられる。

「それがさ、昨日少し強い超能力を使う集団が、銀行強盗やったらしくて、
 私が寝てるのお構いなしに出動要請だよ!夜中の2時に。しんじらんな~い。」

愛香が昨日の出来事を愚痴のようにカナに話した。

「でもさ、世界中で愛香だけだよ。変身の能力持ってるの。あの能力は反則だと思うなぁ~。
 だって何でもできちゃうじゃん。カナなんて、教科書浮かせるのがやっとだよ。」

そういって、カナはカバンの中から取り出した教科書を浮かせている。

愛香は、一般的に突然変異と言われるもので、一般人の何倍もの超能力を生まれながらにして持っている。
彼女には変身する能力があり、それを使うことで、パワーが何倍にも跳ね上がる。
このようなタイプは、突然変異の中でも少し稀である。。
しかし、変身していないときの状態では一般人と何ら変わりない能力。
そのため、学校での成績はいつも「Bー」だ。


「しーっ!あんまりそういうこと大声で言わないでっ!
 このことみんなには内緒なんだから。カナには信用してるから話してるんだよ。」

彼女の口調が厳しくなるのも無理はない。愛香は現在、GMI(旧称:警視庁)の
中で、特殊犯罪(主に超能力を使った犯罪)を担当する国家エージョントなのだ。
もちろんこのことは、家族と関係者以外は知ってはならないことで、
カナには愛香が独断で話している。

「もうっ!このことばれたら、署長さんに大目玉なんだから。」
「ごめんごめん。」

カナはテヘッと舌を出して、かわいげなポーズをとる。
そうこうしているうちに、2人は学校へ。
クラスではとなりの席なので、席についても2人のおしゃべりは続いた。

キーンコーンカーンコーン

朝のチャイムが鳴り、先生が教室に入ってくると、いつもとは表情が少し違った。
「理科担当の、薫先生が先日行方不明になられた。」
ざわっ・・・と教室内にどよめきがおこる。
一人が隣と話始めると、伝染するかのようにまわりにも広がっていく

「(えっ・・・!薫先生が・・・?)」

薫先生は特別どうという先生ではないが、愛香は理科が好きなので、
愛香はその先生の授業をしっかり受けていたし、テストの点もよかったので、
先生のお気に入りだった。
また、薫先生は、「怪しい趣味がある」とか「なんか気味の悪い生き物を飼っている」
などと、根も葉もない変な噂が生徒の間で多く立っていることでも有名だった。

「(何で、先生が・・・?)」
そんな思いを愛香が巡らせている中、

「はい、しずーかーにー!」

先生が生徒に周囲を促し、教室はシーンとした空気に包まれた。

「とにかく、今日の3時限目の理科は自習だからみんなそのつもりで。」
先生は、そう一言いうと、緊急の職員会議に行ってしまった。

「なにかあったのかな?」

先に、話しかけてきたのはカナの方だった。
カナも心配そうな表情を浮かべている。

「何があったんだろ・・・。でも、先生からなにか報告とかあるかもしれないし。」

しかし、愛香の期待は裏切られ、放課後まで先生の口からはなにも語られなかった。

「(先生、どうしちゃったのかな・・・。)」

愛香が帰り支度をすませてカバンを提げると、
ピーッピーッ
と携帯が鳴り出す。発信元はGMIだ。

「出動要請だ!速く行かなきゃ!」


「ハァ・・・ハァ・・・」

愛香は薄暗くなった街中を走りぬけ、現場の港の倉庫へと急いでいた。
現場に到着するころには、辺りが暗くなり、海のほうにGMIの車両ランプが光っているのが見えた。

「ハァ・・・ハァ・・・。やっと・・・着いた・・・。」
「遅いじゃないか!まったく!変身してくれば1分もかからんだろうに!」

遅れたやってきた愛香を怒鳴りつけるのはGMIの特殊犯罪課の杉本課長だ。

「ごめんなさぁーい。だって、変身した姿なんてみんなに見られたくないからしょうがないんですよ。
 それよりも、今回の事件も強力な超能力者ですか?」
「うむ、そのとおりだ。今日この港で密輸があると言う極秘の情報がはいってな。
 我々がずっとここに張っていたのだが。確保までは至らなかった・・・。」

杉本課長は悔しそうに倉庫の方を見ている。
その表情は複雑だ。

「じゃあ、私が行ってきます!」

愛香は自信満々に一言放ち、

「へーんしん!」

彼女の掛け声とともに彼女の体は眩い閃光に包まれる。
数秒後、そこには変身した姿の愛香が立っていた。
純白のスク水に水色のかなり短い上着、ひじまである手袋、ももまであるブーツを装着している。
それに加えて、彼女の茶髪は薄い水色の髪に変化した。
変身時に掛け声は特に必要ないが雰囲気をかもし出すために愛香が言っている。

「うぅ・・・。何回変身してもこの格好は慣れないなぁ。」

愛香がこの露出がおおいコスチュームに少し顔を赤らめていると、

「よ・・・よし!犯人はこの倉庫の中だ、早く行け!」

杉本が合図する
杉本も顔を赤らめているらしいが、赤いパトランプで実際のところは分からない。

「よーし!いっちょ片付けてきますか!」
「気をつけるんだぞ。油断して負けんようにな。」
「大丈夫ですって!それじゃあ、いってきます!」

そういうと、愛香は倉庫の入り口から中に入る。
ガチャ・・・ギィィ・・・
扉を開けると、薄暗い倉庫の中には湿った空気が立ち込めていた
若干ほこりっぽいような気もする。
しかし、犯人らしき人物がどこにも見当たらない。

「早く出てきたほうが身のためだよ犯人さんっ」

愛香は犯人の奇襲を受けないように警戒しつつ、犯人を探している。
と、その時
バターン!!

「!!?」

倉庫の扉が閉まってしまった。
もちろん倉庫の扉周辺に誰もいないわけであって、そこに犯人がいるということは、
明白である。

「そこにいるのは分かってるよ!」

愛香がの近くのボックスに駆け出そうとしたとき

「僕だよ。」

ボックスのかげから一人の少年が出てきた。

「僕が犯人だ。」



「え、君が?」

愛香は予想外の出来事にきょとんとする。
こんな少年が犯人だとは容姿からして到底思えない。

「そうだよ。僕が犯人のネルだ。」

少年は小さく、身長は130cmぐらいで小学生みたいだ。

「小学・・・生?」

愛香が思ったとおりのことを口にすると、

「しょ、小学生?この僕が!?これでもお前なんかより長く生きてるぞっ!!
 もう怒った!お前を倒してやるっ!」

そういうと、ネルは手を触手に変化させた。
身長も愛香よりも同じぐらい、いや、むしろ愛香より大きくなった。

「この僕は強いよ。」
「え!?(私のほかにも変身能力を持った人がいるなんて!)」

愛香が突然の出来事に動揺していると、ネルは攻撃を仕掛けてくる。
その動きは俊敏で、愛香の変身で上がった能力に匹敵するぐらいである。

「くっ!」

最初の攻撃はよけることができたが、よけたところを触手が伸びてきて、彼女の足をつかむ。
普通なら、そのまま地面にたたきつけるのだが、あえてその触手を縮め、
ネルは愛香の胸を体につけてを抱くような格好になる。

「やっ・・・!く、くさいぃ(なにこれぇ・・・)」

変身したネルの体からはベトベトした液体が染み出していて、
それが愛香の体にまとわりつく。
先ほどまでは距離があって気づかなかったが、ネルは強烈な悪臭を放っていた。

「どうだい?僕の臭いは?」
「い、いいにおいとかでも言ってほしいわけ?(何で、こんなにくさいのぉ・・・)」
「ふーん、じゃあもっといい臭いにしてやるよ!」

そういうと、ネルの体からは、先ほどは比べ物にならないほどのベトベトした液が流れ落ちる

「んんんっ・・・!!!?やっ・・・いやっ!くさいっ!!(ベトベトしてて気持ち悪いよぉ・・・。)」
「もっと、この臭いを楽しむといいさ。」

愛香の体はすでにドロドロした液体まみれになってしまい、
彼女のスク水のコスチュームに液が染みこんでくる。

「うぅ・・・(肌に変な感触が・・・)」
「ほらほらっ!」

ネルはどんどんネバネバした液こすり付けるように、体を揺らす。
そのため、彼女体は胸からももの辺りにかけてすっかり濡れてしまい、
その部分からはとんでもない悪臭が放たれている。

「そろそろ仕上げかな?」

愛香が弱っているのを確認して、ネルは彼女の両手両足を触手で束縛し、自分の顔の前に持ってくる。
そして
ベロン・・・
ネルは彼女の股間から顔にかけて一気に舐め上げたのだ。

「いやあぁ!!???」

愛香は突然の出来事で何が起こったのかわからなかったが、すぐに状況を理解する。
理解した瞬間、彼女は大事な顔を舐められたことに大きなショックを受ける。
ネルのとんでもない唾液の量で、彼女の薄い水色の髪からはポタポタと唾液が滴り落ち、
体をつたって、ブーツの中に唾液が溜まっている。


「うっ・・・(足がヌルヌルする・・・)」
「僕の唾液はいいだろ?」

やさしくたずねるように、ネルが話しかける。

「い、いいわけないでしょ!舐めるなんてしんじらんない!」

ぐっしょりと濡れてしまった彼女はネルに非難の言葉を浴びせる。
愛香はぐったりしてしまい、ネルは油断して彼女から目を離す。
と、その時

「やっ!!」

愛香はただつかまっているわけではない。
ぐったりしたようにみせ、ネルの隙をついたのだ。
変身時の彼女の力は強く、強引に触手を振りほどくことに成功する。

「ていっ!」

触手を振りほどかれ、よろめいていたネルが体勢を立て直そうとしたとき、
彼女のパンチがネルにクリーンヒット。
ネルは吹っ飛ばされ、倉庫の壁に激突、貫通し。気絶してしまった。

「確保ー!!」

外で、杉本の声が聞こえる。どうやら無事確保されたようだ。
愛香は安堵の表情をみせるが、コスチュームに染みついた悪臭はとれておらず、
胸の辺りを触って、嗅いでみると

「ゔっ!(く、くさいぃ・・・)」
「それにしても、何だったのあいつ・・・?」

愛香が考えていると、杉本が倉庫の中に入ってくる

「今回もお手柄だ。よくやった!
      • にしても、お前酷い臭いだな。」
「余計なお世話です!早く帰ってお風呂に入りたい!」
「よし、とりあえずGMIに戻って、その臭いをとってくれ。」

愛香は早く変身をときたいのだが、露出していた部分にも液がついてしまっているので、
このまま戻ると、コスチュームは消えるが、肌についた臭いはついたままになってしまう。
制服を汚したくないので、仕方なく変身したままGMIへと向かうのであった。


「ふぅ・・・」

GMIに着き、シャワーを浴び終わった愛香が個室で一人座っている。
体を念入りに洗い流したのだが、若干臭いが残っていて、彼女も気に入らないようだ。
しばらく待っていると、個室に杉本が入ってきた。

「待たせてすまなかったな。」
「おっっっそいですっ!早く帰らないとまた寝不足になるんですよぉ・・・。
 それに話って?」

愛香はしばらく待たされてイライラしていたが、杉本の真剣な表情を見て冷静になる。

「今日、君が戦ったネルという少年・・・、正しくは青年だが、
 奴が全てはいてくれた。」
「あの倉庫の彼ですか・・・」
「ああ、奴らは君と同じような変身能力をもっている。ただ、
 君のような突然変異ではなく、外部からの力によって変身能力を強引につけられたようだ」

愛香の中にふと疑問が浮かぶ

「待ってください!奴らってなんですか?まだほかにも・・・!」
「まぁ、落ち着いて聞け。
 奴らの拠点はここから南西にある、バイオテク研究所の地下だ。
表向きはただの研究所なのだが、裏ではなにやら悪臭をつかった実験を行っているらしい。
そして、そこに行方不明になった薫教諭がとらわれている可能性が高い。」
「えっ!そんな。」

愛香は突然の宣告にショックを受ける。

「我々はその研究所に潜入したいのだが、ネルという青年のような奴らがたくさんいるのでは
 歯が立たない。そこで・・・」
「私が行きます!!」

杉本が愛香に頼もうとしたとき、愛香は立ち上がり、自らその研究所に乗り込むことを志願した。
彼女の先生を取り返すという、熱意が暗黙の中伝わってくる。

「そう言うだろうと思っていたよ。
 作戦実行の日時は明後日、1月10日。GMIにまたきてくれ。」
「はいっ!」

GMIを出ると、愛香の心の中には妙な高揚感があり、スキップしながら家まで帰るのであった。

「よぉ~し!薫先生を絶対取り返すんだから・・・、
 名づけて、先生奪還作戦だねっ♪」


1月10日。作戦決行日がついに来た。

バイオテク研究所の前には私服姿の愛香と杉本。
研究所周辺にはなぜか人気がなく、シンと静まり返っている。

「どうやら、向こう側も、こちらに気づいているようだな。」

杉本も何かを察したようで、愛香に話しかけてくる。

「先生はLEVEL4のブロックにいるんですよね?」
「そうだ。この様子なら正面突破でもかまわんだろう。
 進入したらすぐに中央エレベーターでB34まで向かえ。」

杉本の指示を的確に覚え、愛香は突入体制に入る

「じゃあ、今回もちゃちゃっと片付けてきますよ~」
「へーんしんっ♪」

愛香は変身を済ませ、研究所内に突入。中央のエレベーターを見つけ、乗り込む。

「え・・・と、B34だよね。」

階を指定し、地下へと降りていくエレベーター。研究所内は不気味なほど静かで、
エレベーターで降りていく時間が愛香には長く感じられた。

ピンポーン

B34につき扉が開くと、そこには長い廊下が続いていた。蛍光灯は何本か切れかかっていて、
点滅を繰り返している。
しかも、エレベーターを出た彼女を包み込むような生暖かく、ネバネバした空気が充満している。

「このくらいなら私でも我慢できるもん。早く先生を探さないと・・・!」

      • とは言ったものの、やはり、女の子である愛香はこの臭いが体につくのが少しいやなようだ。

「杉本さんによれば、この一番奥の部屋に先生がいるはずなんだよね。」

愛香は枝分かれした長い廊下の道順をたどり、奥へと走っていく。
そのとき彼女の足元の床に穴が開いた。

「キャアアアア!」

愛香はそのまま落とし穴の下へと落ちる結果となる。

ドサッ

「いった~い(なんなのよもうっ!)」

落とし穴に落ちて愛香は尻もちをついてしまった。
痛さの次に何か変な感触が彼女のお尻に伝わってくる。
ヌチャッ・・・・

「えっ!?なんなのこれ!?(なんかヌルヌルする・・・。)」

彼女が驚いていると、奥のほうから怪しげな声が聞こえる。

あ、誰か引っかかったみたいよ?」
「ホントですわね」

暗闇の中から聞こえてきた怪しげな声。
愛香は厳戒態勢に入り、謎の気配に集中する。

「誰なの!?」

彼女は暗闇に向かい問いかけてみる。
と、そのとき、落とし穴の中が急に明るくなった。
一瞬目がくらむが、すぐに目が慣れ、周りを見渡してみると、
様々なものが散乱している。どうやらここは倉庫になっているらしい。

「ようこそ、私たちのフロアへ。」
「可愛がってさしあげますわ。」

そういって、倉庫の奥から容姿のよく似た2人が現れた。

「私は、アリル。」
「わたくしは、デニルと申しますわ。
 わたくしたちは、双子の姉妹ですのよ。」
「そういえば、あなた、気づいてないみたいだけど、
 床の液体は、私特製の腐臭スライムだから気をつけることね。」

「えっ!(そういえばさっき・・・)」

アリルの指摘で、愛香は先ほど、尻もちをついてしまったことを思い出し、
お尻を触ってから嗅いでみる。

「んっ、くさぁいっ!(卵が腐ったみたい・・・)」

すでにトラップはまってしまった彼女のお尻は早速激臭を放つことになる。

「ふふふっ、お尻が臭いだなんて、下品ですわね。」

「あなたに下品だなんていわれる筋合いなんてないんだからっ!」

そういいつつも、愛香がお尻の感触を気にしていると、

「じゃあ、早速仕掛けさせてもらうわ。」

そういうと、アリルが攻撃を仕掛けてくる・・・!
と、思いきや意外にも動かない。

「(なにをしてるの・・・?)」

「なにをしてるのかと言いたそうですわね。すぐに分かることですわよ。」

デニルがそういって愛香の気を引かせてるうちに、彼女の後ろから何かが接近してきた。

「!!!!!?」

背後からの奇襲を受けそうになり、戸惑う愛香ではあるが、
何とかかわすことに成功する。

「ばれたかぁ~」
「まったく!気配出しすぎですのよ。」

アリルが操っていたものは、巨大化させた雑巾であり、
その雑巾からは悪臭が放たれている。愛香が何か嗅いだことのあるような臭い。

「ま、まさかだけど、牛乳じゃ・・・!」

「大当たり~」

アリルはそう言うと、その雑巾を操り、愛香に攻撃を仕掛けてくる。
何回かはうまくよけれたが、ついには床のスライムで滑って転んでしまう。

「キャッ!(うぇぇ・・・またスライムが・・・)」

背中香から思いっきり床に倒れこんだため、彼女の背中にはべっとりと
スライムが染み付いてしまう。

「隙ありっ!」
「隙ありですわね!」
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すると、悪臭を放つ雑巾が彼女の体を包み込む。

「んんんんんんっっっ!(やぁっ・・・!くさいぃっ!)」

彼女を包み込んだ雑巾の中は密室状態になってしまい、臭いが外に逃げることはない。
しかも、牛乳が多少残っているのだろうか。雑巾の感触は、濡れているように感じる。

「これで終わりと思ったら大間違いよ?」
「これからですわね。」

2人は意味深な言葉を残すと、デニルはドライヤー取り出し、巨大化させる。

「きっちり乾燥までさせますわよ。その前にちゃんと絞りなさい、アリル。」
「わかったわ。」

「えっ!?(そんなことしたら・・・!)」

愛香がそう思っている暇もなく、アリルが雑巾を絞り始める。

「あっ・・・んんっ・・・(い、息が・・・で・・・きない)」

雑巾が絞られ始めると愛香を締め付け、呼吸を困難にさせる。
さらに、絞ると雑巾からしみこんでいた牛乳が染み出てきて、
彼女のコスチュームに染み込んでいく。

「もういいですわよ。そろそろ乾燥させますわ。
 あと、絞るのやめていいですわよ。」

そういうと、アリルは雑巾絞りをやめ、
デニルはドライヤーのスイッチを入れる。
熱風を彼女が包まれた雑巾にあたり、乾燥させ始める。

「(んんっ・・・や、やっと息ができる・・・)
 ん゙ぅっ!!?いやぁぁっ!く・・・くさいぃっ!(いやぁ・・・鼻が曲がるぅ・・・。)」

雑巾絞りで息ができなかった彼女は絞りから開放された後、蒸し釜状態となった雑巾の中の
空気を一度に大量に吸ってしまう。
牛乳が乾燥した臭いは想像を絶するものであり、密室の雑巾内をとんでもない
悪臭で満たす。牛乳はむしろ発酵しているようで、チーズのようになってしまっている部分もある。

「ねぇ、デニル?そろそろいいんじゃないの?」
「そうですわね。」

デニルはドライヤーの電源を切り、アリルは雑巾を床に広げる。

「うぅ・・・(や、やっと出られた・・・)」

愛香は、雑巾の中で蒸されてしまい、コスチュームはもちろん、全身に
悪臭が染み付いてしまっているのではないかと錯覚するほどの強い臭いを放っている。

「あらあら、あんなに臭くなっちゃって。かわいい子ねぇ。」
「だ、誰のせいで・・・こんなに・・・なったと思ってるのよぉ。」

愛香は、何とか立ち上がったが、散々嗅がされた悪臭のせいで
膝がガクガク震えている。


「あらあら?もう限界ですの?まさか、こんなに弱いだなんて思ってもみませんでしたわ。」

牛乳での悪臭攻めから開放された愛香に向かって、デニルは若干失望したようなまなざしで
話しかける。

「ま・・・まだ戦えるもんっ!」

ヨロヨロと立ち上がった愛香は強がりをみせるが、牛乳で責められた上、体からは悪臭。
もう立つのもやっとだということは誰が見ても分かる。

「へぇ~。いいの?強がっちゃって?」
「まぁ、これぐらいで参ってしまってはこちらが困ってしまいますわ。
 早く続きを楽しみたいですわね。」

2人はそう言うと愛香に近づいてきた。

「い、いったい何を・・・(早く距離をとらないと・・・。でも、足が・・・。)」

愛香は2人から距離をとろうと図ったが、足を言うことが聞かず、
2人がただ迫ってくるのを見ているだけになっている。

「動けないなら、早速やらせてもらうよ。」

ドンッ!ベチャッ!

「キャッ!」

アリルは愛香を床へと突き倒し、抵抗できないように押さえつける。

「では、わたくしがこのスライムを貴方の髪に擦り込んであげますわ。」

そう言うとデニルは悪臭を放つ床のスライムをかき集め、愛香のきれいな水色の髪にヌチャヌチャと不快な音を立て
塗りこんでいく。

「いやあぁぁ!やめてっ!(髪が臭くなっちゃう・・・。)」
「うるさいなぁ・・・。あんまりうるさい子にはお仕置きだからね。」

アリルは、先ほど使った発酵牛乳の雑巾を掴み、彼女の顔に被せ、押さえつける。

「んむっ!!?くっさぁあああああい!!(ま・・・また牛乳だなんて・・・。)」

先ほど嗅がされたにおいだが、こんな強烈なにおいに鼻が慣れるわけもなく、再び
雑巾の悪臭によって彼女の顔が蹂躙されていく。

「余計うるさくなりましたわ!作業に集中できないですわよ!」
「ごめんごめん。」

ヌチャッ・・・ヌチャッ・・・
愛香の髪はデニルの手によって、髪の1本1本までスライムが取り付き、完全に悪臭が染み付いてしまった。
デニルの作業が終わったことにより、愛香の顔の上の雑巾も取り除かれる。

「あ・・・うう・・・(く、臭いよぉ・・・。)」

度重なる責めで、愛香にも限界が近づいてきた。

「さてと、そろそろとどめかなぁ~。」
「そうですわねぇ。」

まだ責め足りないとばかりに、アリルとデニルは無抵抗な愛香に攻撃を仕掛けようとしてくる。

「(こ・・・こうなったら、あれを・・・使うしか・・・)」

愛香は胸元から何かを取り出す。

そして・・・

プシュゥゥゥゥゥ・・・
「な、なんですの!!?いやぁああああああああぁぁ!」
「デニル!? んっ!?きゃぁああ!」

愛香が放ったのは対悪臭用の煙幕。
ここに潜入する前に、杉本が愛香に持たせてくれていたものだった。

「(ほ・・・ほんとは、先生に使う予定だったけど・・・)」

この1発で形勢逆転。アリルとデニルはその場に倒れこんでしまった。

「ハァ・・・ハァ・・・(な・・・何とか勝てたぁ・・・。)」

勝利の余韻に浸っていると、気が抜けたせいか、膝が崩れ座り込んでしまう。
相当責められ、彼女の体力も限界が近づいていたようで、愛香はその場でしばらく座り込んだままだった。



アリルとデニルの戦闘から1時間後、愛香は再び薫(先生)のとらわれている部屋へと急いでいた。
ダメージもすっかり回復し、臭いは残っているものの、走れるまでに体力を取り戻した。

あの戦闘で、愛香が使った煙幕は、悪臭を放つ人間へと洗脳されてしまった人物を正気に戻す力がある。
愛香は、洗脳から開放されて、気絶してしまった2人を残してきたのだった。

「あぁ~もう・・・。地図忘れてきちゃったよぉ~。あの部屋にはもう戻りたくないし・・・。」
「でも確か、一番奥の角を左に・・・・・・あった!!」

愛香が、最後の角を曲がると、そこには厳重に閉ざされた重い扉があった。
禍々しい雰囲気をかもし出すその扉は、確実にこの奥に何かがあることを思わせる。

「先生も洗脳されてるって杉本さんが言ってたから、あと1個・・・。大事に使わないとね。」

愛香は覚悟を決めて、その扉をこじ開ける
ギィィィ・・・ムワアアアアアアアアアン・・・

「んんっ!!?あ、暑いぃ(ジメジメしてる・・・)」

扉を開けたとたん、中から異様な熱気が漏れ出してきた。
部屋の中は30℃は軽く越えていて、湿度も高い。まるで、サウナのような部屋になっていた。
その暑さに、彼女の額や体からは汗が染み出る。

「こ、この中にいるの・・・!?で、でも行かなきゃ!!」

熱気が充満している部屋に愛香は勇み足で入っていく。しかし、肝心の薫が見当たらないのだ。
愛香は辺りを探ってみるが、やはり人らしきものはどこにも見当たらない。

「あれ、おかしいな?この部屋のはずなんだけど・・・。」
「こんばんわ、愛香さん・・・。」
「!!!?」

愛香の背後から声。愛香が急に振り向くと、そこには薫が立っていた。

「先生っ!・・・・・・んんぅうっ!!?(く、くさいぃ~。)」

薫はやはり洗脳されてしまっているようで、すさまじい体臭を放っていた。
しかも、この部屋の気温・湿度とあって、薫のかいた汗が蒸発し、彼女の体からは湯気がたっている。
その臭いに気圧されて、愛香は3メートル以上の間合いを取る。

「あらあら、そんなに嫌がらなくてもいいじゃない?
 今からあなたにこの私の至高ともいえる臭いを嗅がせてあげてるのだから。」
「そ・・・そんな臭い嗅ぎたくもないもん!(あの臭いはやばいよぉ~・・・)」

薫が放っている悪臭は、今まで戦ってきた、ネルやアリル・デニルの比ではない。
愛香の鼻も様々な悪臭の戦いで少しは慣れてきたのだが、この臭いはそれすら凌駕する。
しかも体臭だけで、これだけの臭い。汗ばんだ部分のにおいなど想像もしたくない。

「先生・・・。やっぱり戦わないといけないんだよ・・・ね?」
「戦う?私はあなたと遊びたいだけなのよ。た~っぷり遊んであげるわ。」


愛香は戦うことに少し気が引けたがやはり、戦闘は避けられない。戦闘態勢に入る。
彼女の勝機は一つ。隙を突いてあの煙幕を直撃させること。
直撃させなければあの強烈な悪臭を放つ薫に、煙幕の効果は望めない。

「いくよっ!」
「楽しみましょうねぇ~。」

愛香はすぐさま薫へ向かって駆け出す。
と、同時に薫も愛香に向かって駆け出し、激しい攻防が始まる。力は互いに五分であろう。
しかし、その均衡もすぐに崩される。

「うっ・・・ハァ・・・ハァ・・・(こんなに動き回ってるのに、臭いが・・・)」

力は同じでも、体臭と言う武器を持つ薫が徐々に押し始めたのだ。
愛香は先ほどの戦いでのダメージも完全に回復したわけではなかった。

「少しずつ効いてきたみたいねぇ。」
「もう、耐えられないよぉ・・・。」

愛香は早々と床に跪く。

「もう弱っちゃったの?つまらないわねぇ。」

薫はそう言うと愛香に背を向け、部屋の奥へと何かを取りにいく。そのときを愛香は待っていた。

「えいっ!」

プシュウウウウウウウウウウゥゥ・・・
見事に煙幕の玉は薫の背中を直撃。辺りはうっすら白い煙に包まれる。

「よしっ!先生奪還成功~!!」

愛香は小さくガッツポーズをとると、視界がさえないが先生を確認するために立ち上がる。
と、その時

「少しは楽しませてくれるみたいじゃない?」
「えっ!!?(直撃したはずなのに・・・)」

なんと煙の中から現れたのは、先ほどと変わらず悪臭を撒き散らす薫。
愛香の攻撃など何も気にしない様子で平然とそこに立っていた。

「何で効かないの?!洗脳は解けるはずじゃ・・・」
「洗脳?私は洗脳なんかされてないわよ。これが本来の私。私から、この研究所に入りたいって志願したの。
 教師をやっているんじゃ、到底なれないわ。おかげで、とっても幸せ・・・。」
「そ・・・、そんな・・・!」

愛香の隙を見逃さず、すぐに薫が飛びついてくる。
不意をつかれた攻撃で、愛香はよけきれずに簡単につかまってしまい、薫に抱かれる形となる。
とても強い力でもがいても脱出できそうにない。

「んん~っ!くっ臭い~~!(しかも汗が体に・・・)」

薫の体から出る大量の汗が、愛香の体に染み付き、
彼女と密着することによってその部分が蒸れてさらに臭くなっていく。

「私の体臭だけで嫌がってたんじゃ話にならないわ。私のブレスも受けてもらわないとね。」
すぅぅぅぅぅ・・・ぶっはあああぁぁぁあああ・・・
「(ぶ・・・ブレス・・・?)んむぅぅ!!いやっ!」

薫は愛香に向かって口いっぱいに溜め込んだ息を吐きかける。薫の口の中や歯の間には、なにやらいろいろと食べかすが挟まっていて、
それのすべてが腐り、腐臭を放っている。しかも、息を吐いたときに腐った食べかすを含んだ涎が愛香の顔や胸にポタポタと
落ち、さらに体へ滴り落ちている。


「いやぁ!??っ、汚いっ!(しかも、先生の息・・・くさすぎぃ・・・)」

顔に腐りきったものが落ちてくることにとてつもない不快感を味わう愛香。
彼女も息をしないようにしているのだが、呼吸のタイミングに合わせて、薫が口臭で攻撃を仕掛けてくるので、
汚染された息をたっぷりと吸い込んでしまう。薫の口臭は確実に愛香の肺を侵食していく。

「もっとたくさん吸ってねぇ。ぶっはぁあああぁぁああああ~。」
ポタポタ・・・ベチャッ・・・
「ん・・・んぅうう!??(くっさあ~いぃ・・・)」
「そんなに、喜ばなくてもいいじゃない?次は・・・そうねぇ・・・。」
「よ・・・喜んでなんか・・・ないもん!」

薫はある程度愛香に息を吐きかけると、口臭での責めに飽きてしまったのだろう。
愛香を抱き寄せたまま、次の手を考えている。
少し経って、何かをひらめいた薫は蒸れた腋を開いていく。
その腋を30cmほどの距離で目前にした愛香は、あまりの腋の汚さに顔を背けようとする。
しかし、そんなこともお構いなしに、薫は開いた腋を愛香の顔に近づけ、腋の中に彼女の顔をしまいこむ。

「っっ!!!!?むううぅぅ~~~~!!ん~~~~~!!(鼻が・・・曲がるうぅ・・・)」
「ほらほらぁ。たくさん嗅ぎなさい。」

今まで閉じていた部分にかいていた汗は発酵し、もはや汗と呼んでいいのかも分からない粘度を持った液体になってしまっている。
当然、腋毛の処理などしているはずもなく、無数の腋毛に愛香の顔が蹂躙されていく。
さらに、腋を擦り付けるようにゆするので、愛香の顔に必要以上の汗が塗られていく。

「んあっ・・・んんっ・・・!(顔が・・・顔がぁ・・・)」
「うんうん。そろそろ放してあげるわ。」

薫が腋を開き彼女を解放する。

「ゲホ・・・はぁ・・・はぁ・・・(やっ・・・と・・・抜けられた・・・)」

腋の悪臭からは抜け出せたものの、愛香の顔にはすでに薫の腋のにおいが染み付いてしまっている。
もう、度重なる戦いのダメージが限界に来てしまった彼女は薫が開放すると同時に膝から床に倒れこんでしまう。

「う・・・うぅ・・・(も、もう無理・・・かも・・・)」

薫が攻撃したのは2回だけだが、その威力はあまりにも大きすぎた。
愛香は弱弱しく床にみだらに横たわっている。


「元気がないわね。そんなんだと、もっといいものを嗅がせてあげるわ。」

そう言うと薫は、ブーツを脱ぎ始める。すると、ブーツの中で蒸れに蒸れた足が黄色い湯気を立てて現れた。
その臭いは先ほどの腋のにおいなど無臭と勘違いするほどの猛烈な悪臭である。

「むぅんん!??!く、くさぁ・・・(こ・・・ここまで臭いが・・・)」
「私の足は私の体で2番目に至高の香りを放っているわ。光栄に思いなさい。」
「せ、先・・・生、そんな・・・」

そういうと、薫は愛香の胸の位置に足を下ろし踏みつける。

「ゔっ!」

シュウウウウウウウゥゥゥウウ・・・
蒸れた足はスチームの役割を果たし、彼女の胸に臭いを押し付けていく。

「いやあああぁぁああ!やめて・・・っ・・・!退けてっ!!(に、においが・・・染み付いちゃうよぉ・・・)」
「私の2番目に大切な足ですから、彼方の顔の次に大切なところに染み付けてあげるわね。」

ほらほらと言わんばかりに、薫が足を彼女の胸に押し付け、擦り込むので、
すっかり彼女の胸には薫の足に負けず劣らずの猛烈な悪臭が染み付いてしまった。
胸の位置から愛香の鼻には常に不快な臭いが漂ってくる。もう自分のものだとは思いたくもない。

「私の香りは最高でしょう?これだけ味わえば彼方も気に入ってくれると思うわ。」
「だ・・・だれが・・・そんな臭いを・・・好きになるって・・・い、言うのよぉ・・・(んんっ・・・胸が臭いぃ・・・)」
「呆れたわ。だったら徹底的に傷めるけるだけよ。覚悟なさい。」
「えっ・・・そ・・そん・・・n!! な・・・何してるの?!!」

薫は急にパンツを脱ぎ始めた。薫のパンツはもう大量の汗や排泄物が染み込んで、激臭を放っている。
こんなものを嗅がされたらひとたまりもないだろう。

「彼方に最後の洗礼を受けてもらうの。その前に、さっきつけてしまった食べかすを拭いてあげないとって思って。」
「いやっ・・・先生・・・や、やめっ・・・っ?!!」

薫は愛香を無視して早速その作業に入り、彼女の体や胸をパンツで拭き始めた。
食べかすは取れたが、ひと拭きで彼女の純白のコスチュームに汚れやしみがついていく。

「やっ・・・!や・・・めてっ!(ひ、ひどいよぉ・・・)」

拭き終わったころには彼女の体は黄ばみ・・・いや、茶ばんでいるともいえるような色に変色してしまい、所々には
しみがめだち、それぞれがおぞましい臭いを放っている。

「うぅ・・・くさいよぉ・・・(もう・・・意識が・・・)」
「うふ♪こんなに芳しくなって可愛いわねぇ。」

立て続けの攻めで、愛香の体は汚され、彼女の目にはうっすらと涙が溜まってきている。
そのとき、彼女の耳にどこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。部屋の角にスピーカーがあるらしい。

「なにをしている薫。お前には遊んでいる時間などない。さっさと片付けてしまえ。」
「あら?いいじゃない別に。わたしはあなたとはうまくやっていく気はさらさらないわよ『杉本』さん。」

その薫の一言に愛香の中に衝撃が走る。

「す・・・杉 本・・・さん?」
「悪いが、お前は俺の計画には邪魔だったからな。薫に君を葬ってもらうことにした。今までご苦労。」
「あ・・・あぁ・・・(そ・・・そん・・・な・・・!!)」

動揺で声が出ない。
杉本はこの研究所を作った張本人であった。
普段から自分に優しくしてくれた杉本。しかし今ここにいるのは、悪臭を放つ人やモンスターを作り出す杉本。
愛香は大きなショックを受けてしまうが、それ以上に彼女の体力には限界が迫っていた。

「もう少し遊んでから、そっちにつれていくわ。」
「任せた。」

杉本の声はそれっきり聞こえなくなった。


「さぁて、最後の仕上げってやつね。お尻のにおいは嗅いだこと、ある?」
「う・・ぅうう・・・(そ・・・そんな臭い嗅がされたら・・・、は、早く・・・ここから逃げないと)」

さすがに薫のお尻の危険性を悟った愛香は、その場から逃れようと何とか動いては見るが、
体が言うことを利かず、1mと動くことができない。
そうしている間にも、薫は準備を始めている。

「それじゃあ、いくわね。」

愛香の顔の上から少しずつ薫の汚れた尻が迫ってくる。
愛香は最後の力を振り絞り、両手で薫の尻を支えようとする。

「っ!!?んっ!?!(手に・・・変な感触が・・・)」

薫の尻は汗ばんでいるのかよく分からないが、触った瞬間に不吉な感触がある。

「無駄な抵抗ってやつね。」
「(やっ・・・!このままじゃあ・・・)」

愛香の抵抗もむなしく。薫の尻は愛香の顔に着陸。
その瞬間に彼女の鼻はおそろしい激臭を嗅ぐことになる。

「んゔっっ!!!!!!!!!??くっさあああああああああいぃ~~~~~~~~~!!!(いやあああああああ!!)」
「あら?くさいだなんて失礼ね。」
「やあああああっ!!!んむぅうううううううう~~~~~!!(鼻が・・・鼻がおかしくなるっ!!)」

薫の尻の間に愛香の鼻がすっぽりと入ってしまい。完全に尻との距離は0。
あまりの臭さに、愛香は奇声のような悲鳴をあげ、彼女の目からは大量の涙が溢れ出している。

ビクッ・・・ビクン・・・
「あぁ~。もう痙攣してきちゃったわね。」

愛香の体は痙攣を始め、もう完全な戦闘不能状態になってしまった。
そして・・・。

プスウウウウウウウゥウウウウウウウウウウウ・・・

「!!!?!!??・・・・・」

愛香の顔に薫の特製すかしっぺが炸裂。愛香の意識は一瞬で飛んでしまい、動かなくなってしまった。
薫が尻を退かすと、顔に尻の臭いをたっぷりと染み付かせた苦悶の表情の愛香。
もう悪臭を発するボロ布のようになってしまっていた。

「さて、そろそろ杉本のところへ連れて行こうかしら。」

そういって愛香を担ごうとしたそのとき、
バンッ!

急に扉が開き、急に巨大な布が薫に覆いかぶさる。

「な、なによ!!?」

薫が布から脱出したときにはそこに愛香の姿はなかった。

「(こんなことができるのは、あの子達しかいないわね。裏切った代償は高いわよ・・・。)」

そういって薫は部屋の奥へと消えていくのだった。





「・・・う・・・ん・・・・・・」

目を覚ましたとき、愛香はどこかの家に運ばれていた。
どこかいい香りがする。こんなにおいを嗅ぐのは久しぶりなような気がした。
体を起こし、辺りを見回すと、奥の部屋から見慣れた2人の顔が現れた。

「おっ!起きたっ!」
「まったく!心配したのですよ!」

そう、アリルとデニルだ。
愛香によって洗脳が解け、気絶していた2人は、目を覚ましたあとに薫の部屋に乗り込み、
愛香を救出して、ここまで運び込んだのだった。
しかし愛香には疑問が残る。

「え・・・?でも、何で私の居場所が分かったの??しかも体のにおいもほとんど取れてるし・・・。」
「地図だよ。地図。君が忘れていったから、それを見て、やばいと思ったんだよ。
 私達に、苦戦しているようなやつが、あいつに勝てるわけないじゃん。」
「あと、においのほうですけど、貴方が2個投げつけた煙幕の玉が1個不発だったので貴方に使わせていただきましたわ。
 それでもまだにおいが残っているのですから、そうとう悪臭を体に染み付けられたのですわね。」
「あの部屋入った瞬間鼻がおかしくなると思ったし。」

確かにまだ胸の辺りににおいやしみが残っている気がするが、そんなことよりも
あの場所から逃げ出せたことに、愛香は安堵していた。

「ありがとう。」

愛香はそう一言つぶやくとまた、深い眠りにつくのだった。

最終更新:2009年02月27日 17:46
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