【十二次(じゅうにじ)】

「十有二歳」とも称され、歳星(木星)の動きに沿った天の動きを示すもの。十二支よりも古い時代に生まれている。約十二年*1で一周するため、天のどの次(やどり)に歳星がいるかによって十二年ごとの年を示すのに用いられていた。しかし年代が進むごとにずれが生じて実際に歳星のいる位置とのずれが生じてゆくため、不変固定のものではない。これを十二ヶ月に充てる際は、「星紀」は冬至のときの空を基準としているため、対極となる「鶉首」が夏至の空にあたることになる。

  • 星紀(せいき) 丑。北宮。冬至。
  • 玄枵(げんきょう) 子。北宮。
  • 娵訾(しゅし) 亥。北宮。
  • 降婁(こうろう) 戌。西宮。
  • 大梁(たいりょう) 酉。西宮。
  • 実沈(じっちん) 申。西宮。
  • 鶉首(じゅんしゅ) 未。南宮。夏至。
  • 鶉火(じゅんか) 午。南宮。
  • 鶉尾(じゅんび) 巳。南宮。
  • 寿星(じゅせい) 辰。東宮。
  • 大火(たいか) 卯。東宮。
  • 析木(せきぼく) 寅。東宮。

「星紀」が基準となっていた理由は、冬至を観測するために太陽と重なる星が「牛宿」であったことに拠る。これはすべての星の動きを見る上での基本となっていたため、「星紀」と呼ばれる。十二支と対応させると、その順番が逆になる点が特徴である*2。これは、歳星とちょうど逆まわりの動きをして十二次を析木(寅)から移動する歳陰(太陰・太歳)*3の動きを十二支がなぞっているからでもある*4


東宮・南宮・西宮・北宮はそれぞれ、天空の方位領域を示している。大火(東宮・卯)鶉火(南宮・午)大梁(西宮・酉)玄枵(北宮・子)がそれぞれの方角の天空の中心であることはそれぞれの十二支とも対応している。

最終更新:2023年11月22日 21:33

*1 正確には11.86年なため、数十年たつとずれる。約85年に1次ごと実際の位置がずれることとなる。

*2 飯島忠夫『天文暦法と陰陽五行説』、恒星社、1939年

*3 実際に天に存在する星ではない。陰陽でいう歳星の「陰」の存在として測定された。

*4 飯島忠夫『支那古代史論』、東洋文庫、1925年