【節分と端境】

節分(せつぶん)は、名称の通り一年・時間の端境(はさか、境界)にあたり幽界と明界との均衡が曖昧になる一日にもあたる。冬と春・十二月と一月の境目が節分・大晦日であった。

 冬   春 
 亥、子、丑   寅、卯、辰 

十二月は丑、一月は寅にあたる。それぞれは陰気と陽気を示す代表であり、節分に禍(陰)を払い、幸(陽)を招くことも、より多くの寅の気を寄せ集めるための行為である。鬼門が丑寅の方角(東北、艮)に定められているのも、陰陽の端境であることに起因している。


【節分の鬼よけ】

を打ち払うための豆は、その年の恵方(えほう)から打ち始めるのを吉例としている。また、鰯の頭を強いにおいが出るように焼きこがして、ヒイラギの葉を添えた棒に挿して家の出入口に置くことも、鬼が臭気を嫌うという理由から行われ続けている。「目つこ鼻つこ」*1とも呼ばれる。

【聞鼻(かぐはな)】

初春に出現して人間を襲い喰らうとされる強大な鬼。鰯をたいへん嫌っているとされる。節分の鬼よけに鰯が用いられる由来として語られていた。*2

ナヨシとイワシ

『土佐日記』には「なよしのかしら」が鬼よけに用いられたと記載されていることから、古くは鰯ではなく鯔が用いられてたとも言われる*3。しかし、ナヨシはイワシの古語でありボラの異名として用いられている事のほうが後からの混同との説もある。

最終更新:2023年02月04日 16:12

*1 『改正月令博物筌』

*2 貝原好古『日本歳時記』

*3 貝原好古『日本歳時記』