以下より引用
お茶の水女子大学 准教授 伊藤貴之
Takayuki's Small Talk (in Japanese) あえて「HTMLベタ打ち」で書く雑談
http://itolab.ito.is.ocha.ac.jp/~itot/log.html
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研究ネタを探すときに、自分の分野の権威者の論文を読んでヒントを探す、という行為を過度にやらない。
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自分の分野の学術的尺度にハマリすぎると、その分野の研究者にしかウケない研究に陥りかねない、というのが個人的に怖い
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むしろ学術から少し頭を離して、自分が何を欲しいか、自分が何に満足したいか、世間は何を欲しいか、といった純粋な気持ちにたって研究ネタを探す。
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あるいは唯我独尊的な発想に立って、自分の研究成果を最低限の苦労で別の問題に役立たせるにはどんな研究ネタが合理的か、といった計算高いことを考える。
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研究室の成果をできるだけ全てウェブに載せる。代表的な成果だけを載せるのではなく、できるだけ全部載せる。果報はウェブに載せて待つ。
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相手は何に興味を持ってもらえるかわからないので、とにかく載せる。
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幅広くいろんな話題を載せていることで、「これだけ手広く研究ができる人なら、わが社の問題も解決してくれるかもしれない」と解釈する可能性もある。
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研究室の成果をセミナー講演する際には、自分の研究のユニークさ(学術的な新規性・独創性)と、どのように社会に役立つか(非学術的な有効性)の時間配分に気をつける。
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私が誰よりも、あなたのお役に立てます、という雰囲気を出す。
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学会や講演の場で面識ができた人とは名刺を交換する。脈がありそうだったら、とにかく一両日中にメールを出す。
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マメ男(死語)であることは研究者にとって重要、という持論。
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企業側の担当者も、予算を用意するからには社内の説得が必要なはず。その説得材料をこちらから率先してよういしてあげることで成功につながる場合もある。
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さっさとNDA(機密保持契約)を結ばせて、相手のデータを見せてもらい、こちらの研究資産(例えば自分で開発したソフトウェア)に適用して結果を出し、この結果を社内の説得材料に使ってください、と示す。
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このフェーズはお金をもらえなくても頑張る。来年度に予算がつけばいい、いまは先行投資だ、と割り切る。
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むしろ、ここで誠意を見せた方が、企業側も自分を信頼してもらえる、と考えることにする。
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逆に、このフェーズで「この研究契約は無理そうだ」と思ったら、危険を冒すに撤退できる、というリスク判断の時期にもなりえる。
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会議などの端々で、「来年も研究契約が継続できるなら…をやりましょう」という夢を語る。
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企業側も、研究契約を継続したいが、社内を説得する話題がない、と悩んでいる場合がある。
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それに対して、こちらから次の研究ネタを示すことで、研究契約を継続する道が拓ける…かもしれない。
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預かった予算の一部を、本研究成果の発表につかいます、と宣言する。
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研究成果を出すだけでなく、学会発表やウェブなどの成果公開をもって貴社をPRします、と説明する。経験的にいって、この説明に喜んでくれる企業はGood Partnerである。
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研究に加わった学生が、その研究内容を学会発表して問題ないか、ということも確認する。学生に不満を抱かせるような研究体制を避ける努力も重要。
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総じて、「企業」「大学」「教員」「学生」の全てが満足するような研究体制を目指すのが重要。そのために教員は、自己の価値を損なわない範囲で、自己調整を図る必要がある、と考えている。
最終更新:2011年03月04日 14:15