おはようセックス@小説まとめ
ナンタラカンタラ。
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ohayousex
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「ついてこないでって言ってるだろ!」
「こら!またそんな男の子みたいな言葉使って」
ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ、喧々囂々。
いつもの事で毎度の事。日常坐臥で日常茶飯。
つまりは、まあ、日常というやつ。
昔はもう少し、仲良くやっていた気がするけれど。
「こら!またそんな男の子みたいな言葉使って」
ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ、喧々囂々。
いつもの事で毎度の事。日常坐臥で日常茶飯。
つまりは、まあ、日常というやつ。
昔はもう少し、仲良くやっていた気がするけれど。
ナンタラカンタラ。
髪を自分で整えるようになったのはいつ頃だったろう。
思い返しても曖昧な記憶を掘り返せば、おおよそ一年程前、中学に上がって半年程経った頃。
ちょうど今、二年生の冬を迎えているから、一年生の冬ごろ、となる。
朝。私より早くに出て行く父さんの次に、私は目覚めて布団から出る事にしている。その後、夜勤明けの母親を起こさないようにして(余程の事でないと起きないが)、ひたひたと階段を降りる。冬場の床は冷えて、特に階段は、じわりじわりと足の裏から熱を奪っていく。先に靴下を履けば良かったと、ここ最近はよく思う。階段を降りる前に気付けないのがいけない。
階段を降りて息を吐くと、白いもやが上がった。こうなってくると改めて冬を実感する。足早に洗面所へ向かって、ばしゃん、と冷たい水を顔にぶっかける。朝が弱い私は、こうでもしないとまた布団に潜り込みかねない。タオルで顔を拭ったら、歯を磨く。一本一本丁寧に磨いていくと、徐々に頭が冴えてくる。眠気よ去れ、とばかりに泡になった唾を吐き出すと、顔に残った水滴が寒さを呼び込んで、ぶる、と身体が震えた。
朝ご飯は食べなくていいだろう。どうせ用意などされてはいないし、用意してまで食べる必要も感じない。昼までは持つし、逆に給食が美味しく感じられようというものだ。
私は出来るだけポジティブに考えながら、歯ブラシとタオルを片付けた。何かをしていないと、余計な考えが頭に浮かびそうになる。
ひたひたと階段を登る。自分の部屋に戻って、制服に着替える。手早くやろう、と思うのは、この寒さを考えれば至極当然だった。
ネクタイを締めてブレザーを羽織ると、幾分か寒さは和らいだ。しかし、いつも思うのだが、冬場にスカートを履くというのは酷ではないのか。露出した脚に冷たい風が容赦なく吹いて、如何にも寒い。まあ、だからこその長い靴下なのだが。ニーハイソックスとでも言うのだろうか、興味がないから分からない。
服装を整えて鞄を持つ。再び、とんとん、と階段を降りて、洗面所へ向かう。髪を整える為だ。自分で言うのも躊躇われる事だが、私はかなり寝癖が酷い体質で、毎朝頭の上に密林が構成されていると言っても過言ではない。これに時間をかける為に早起きしたと言っていい。
だが、今日もやはりやってくるのだ。私がようやく髪を梳かして納得のいく髪型にした所で、ドタドタと喧しい足音を立てて、そいつは現れる。
思い返しても曖昧な記憶を掘り返せば、おおよそ一年程前、中学に上がって半年程経った頃。
ちょうど今、二年生の冬を迎えているから、一年生の冬ごろ、となる。
朝。私より早くに出て行く父さんの次に、私は目覚めて布団から出る事にしている。その後、夜勤明けの母親を起こさないようにして(余程の事でないと起きないが)、ひたひたと階段を降りる。冬場の床は冷えて、特に階段は、じわりじわりと足の裏から熱を奪っていく。先に靴下を履けば良かったと、ここ最近はよく思う。階段を降りる前に気付けないのがいけない。
階段を降りて息を吐くと、白いもやが上がった。こうなってくると改めて冬を実感する。足早に洗面所へ向かって、ばしゃん、と冷たい水を顔にぶっかける。朝が弱い私は、こうでもしないとまた布団に潜り込みかねない。タオルで顔を拭ったら、歯を磨く。一本一本丁寧に磨いていくと、徐々に頭が冴えてくる。眠気よ去れ、とばかりに泡になった唾を吐き出すと、顔に残った水滴が寒さを呼び込んで、ぶる、と身体が震えた。
朝ご飯は食べなくていいだろう。どうせ用意などされてはいないし、用意してまで食べる必要も感じない。昼までは持つし、逆に給食が美味しく感じられようというものだ。
私は出来るだけポジティブに考えながら、歯ブラシとタオルを片付けた。何かをしていないと、余計な考えが頭に浮かびそうになる。
ひたひたと階段を登る。自分の部屋に戻って、制服に着替える。手早くやろう、と思うのは、この寒さを考えれば至極当然だった。
ネクタイを締めてブレザーを羽織ると、幾分か寒さは和らいだ。しかし、いつも思うのだが、冬場にスカートを履くというのは酷ではないのか。露出した脚に冷たい風が容赦なく吹いて、如何にも寒い。まあ、だからこその長い靴下なのだが。ニーハイソックスとでも言うのだろうか、興味がないから分からない。
服装を整えて鞄を持つ。再び、とんとん、と階段を降りて、洗面所へ向かう。髪を整える為だ。自分で言うのも躊躇われる事だが、私はかなり寝癖が酷い体質で、毎朝頭の上に密林が構成されていると言っても過言ではない。これに時間をかける為に早起きしたと言っていい。
だが、今日もやはりやってくるのだ。私がようやく髪を梳かして納得のいく髪型にした所で、ドタドタと喧しい足音を立てて、そいつは現れる。
「智慧(ちえ)!もしかしてそのまま学校行くつもり!?」
朝から耳に響くような甲高いボイスで、私に母親の如き文句をぶつけるこの人物は、私と同じ挙母(ころも)の姓を持ち、私の一つ上の年齢の、紛れもない私の正真正銘の姉である。私と違って寝癖が無く、いつもそれは妬ましく思う。
「朝から五月蝿いな姉さん。何か問題でもある?」
「あるに決まってるでしょ!智慧朝ご飯食べてないでしょ?」
ああ、始まってしまった。
こうなってしまうともうどうしようもない。一応抵抗はしてみるが、結果は見えている。
「食べてないけど……」
「食べなきゃ駄目ー!」
ほらきた。
私は洗面所から出ようとした所を捕まって、あっという間に台所に連れていかれた。それから姉は私を無理矢理椅子に座らせると、「お姉ちゃんが朝ご飯作ったげるから大人しく待ってなさい!」と言って鼻息を荒げつつフライパンを振り翳した。
ちなみにこうなったらもう反撃は逆効果と言って良く、逃げようとすれば捕らえられた上に朝ご飯の重要性を事細かに訴えられるし、早く終わらせる為に手伝おうとすれば「いいからお姉ちゃんに任せなさい!」などと言い包められてしまう。結果的に家から一番早く出るには、抵抗せずに父さんが置いて行った新聞でも開いて、ニュース欄でも読んでいるのが良い。
大きな政治関連の見出しに隠れて、『少子化の影響による廃校の問題深刻化』などと書かれたのを流し読みしながら、ちらりと姉の方を見ると、何やら鼻歌交じりにフライパンで卵を焼いているようだ。
「目玉焼き?」と私が訊くと、「そうだよ!」と元気の良い声が返ってきた。寝起きでどうしてそんなにも溌剌としているのかは気になる所ではあったが、「ごめんねー、卵焼きはまだ上手く巻けないから」と続ける姉を見ていると、どうでもよくなった。
「朝から五月蝿いな姉さん。何か問題でもある?」
「あるに決まってるでしょ!智慧朝ご飯食べてないでしょ?」
ああ、始まってしまった。
こうなってしまうともうどうしようもない。一応抵抗はしてみるが、結果は見えている。
「食べてないけど……」
「食べなきゃ駄目ー!」
ほらきた。
私は洗面所から出ようとした所を捕まって、あっという間に台所に連れていかれた。それから姉は私を無理矢理椅子に座らせると、「お姉ちゃんが朝ご飯作ったげるから大人しく待ってなさい!」と言って鼻息を荒げつつフライパンを振り翳した。
ちなみにこうなったらもう反撃は逆効果と言って良く、逃げようとすれば捕らえられた上に朝ご飯の重要性を事細かに訴えられるし、早く終わらせる為に手伝おうとすれば「いいからお姉ちゃんに任せなさい!」などと言い包められてしまう。結果的に家から一番早く出るには、抵抗せずに父さんが置いて行った新聞でも開いて、ニュース欄でも読んでいるのが良い。
大きな政治関連の見出しに隠れて、『少子化の影響による廃校の問題深刻化』などと書かれたのを流し読みしながら、ちらりと姉の方を見ると、何やら鼻歌交じりにフライパンで卵を焼いているようだ。
「目玉焼き?」と私が訊くと、「そうだよ!」と元気の良い声が返ってきた。寝起きでどうしてそんなにも溌剌としているのかは気になる所ではあったが、「ごめんねー、卵焼きはまだ上手く巻けないから」と続ける姉を見ていると、どうでもよくなった。
「いただきます!」
「いただきます」
「いただきます」
快活に手を合わせる姉に続く形で、私はお決まりの挨拶をする。
目の前には温めた冷凍のご飯と姉の焼いた目玉焼きが二人前、それと缶詰のシーチキンが一つの皿に盛られていた。朝食としては十分に過ぎる。
「姉さ…」
「はい、智慧はコショウだったよね!」
私が言わんとする事を先回りして、姉は塩胡椒の容器を私に突き出した。
目玉焼きに受け取ったそれを振り掛けつつ、姉が嬉しそうにソースを掛けるのをぼうっと見ていると、「どしたの?あ、お姉ちゃんの分も食べたい?」などと言ってソースの掛かった目玉焼きを差し出してきたので、手と首をふるふる振って否定する。
少し残念そうな顔をした姉には悪いが、そもそも幾らお腹が空いていたとしてもソースの掛かった目玉焼きは食べたくない。一体何が美味いのだろうか。目の前の姉はそんな私の考えを尻目に、美味しそうにご飯と目玉焼きを交互に口に入れているが。
目の前には温めた冷凍のご飯と姉の焼いた目玉焼きが二人前、それと缶詰のシーチキンが一つの皿に盛られていた。朝食としては十分に過ぎる。
「姉さ…」
「はい、智慧はコショウだったよね!」
私が言わんとする事を先回りして、姉は塩胡椒の容器を私に突き出した。
目玉焼きに受け取ったそれを振り掛けつつ、姉が嬉しそうにソースを掛けるのをぼうっと見ていると、「どしたの?あ、お姉ちゃんの分も食べたい?」などと言ってソースの掛かった目玉焼きを差し出してきたので、手と首をふるふる振って否定する。
少し残念そうな顔をした姉には悪いが、そもそも幾らお腹が空いていたとしてもソースの掛かった目玉焼きは食べたくない。一体何が美味いのだろうか。目の前の姉はそんな私の考えを尻目に、美味しそうにご飯と目玉焼きを交互に口に入れているが。
「ごちそうさま!」
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
通例、挨拶、以下省略。
姉が皿を纏めて流し台へ持っていく。別に今なら、私が一人で学校へ向かっても姉は何も言わない。一度試した事があるから分かる。しかし、それを続けようと思わないのは、私の中に息衝く何かがそうさせるのだろうか。
「手伝う」と声を掛ける。これも、はじめのうちは「お姉ちゃん一人でやるから、智慧は学校行きなー」とかわしていたけれど、今では「そう?それじゃ、これお願い」と、洗い終わった皿を拭く役目を与えるようになった。
「智慧が手伝ってくれると早く終わるなあ」とこぼす姉の姿はどこか年寄りめいていて、なんともむずかゆい気になった。もともと、姉は自分自身がお姉さんであるという自覚に溢れ過ぎて、少々逸脱しているのは昔から分かっていた。たかだか一歳の差であるのに、碌にこれまで喧嘩もしなかった。私が悪い時でも姉はすぐに「ごめんなー」と謝ったからだ。私が何か困るといつも姉が助けてくれた。けれども私は、それがずっと、もやもやとしたものになって私の中に堆積していくのを感じていた。申し訳ないような、悔しいような、対等に扱って欲しい、という思いなのか。それは分からないけれど、どこかで私の歯車はがりがりと削れて、少しずつ少しずつ変容していく。
「それじゃあ、後頼むなー」
「うん」
私に洗った皿の片付けを命じて、姉は小走りに二階へ上がっていった。姉が制服に着替えて下へ戻ってきて顔を洗って歯を磨くまで、およそ五分。それまでに私は皿を片付けて、鞄を持って家を出なければならない。
ならないのだが、やはり髪の毛は気になった。再び洗面所へ戻って髪をいじっている間に、姉は着替えを済ませて鞄を持って洗面所の扉を開けてきた。
「すぐ終わるから待っててね!」と張り切って顔を洗い出す姉を横目に、私は駆け出した。
「あ!ちょっと智慧!待ちなさい!」
「待たない!」
そう言いつつも、姉がしばらくは追いかけてこないのは知っていた。歯を磨くまでが姉の朝支度であり、つまりそれを終えるまでは私を追ってこない。私は急いで靴に足をねじ込み、鞄を担いで家を出た。
しかし間もなく姉に追い付かれた。早過ぎる。速過ぎる。
「手伝う」と声を掛ける。これも、はじめのうちは「お姉ちゃん一人でやるから、智慧は学校行きなー」とかわしていたけれど、今では「そう?それじゃ、これお願い」と、洗い終わった皿を拭く役目を与えるようになった。
「智慧が手伝ってくれると早く終わるなあ」とこぼす姉の姿はどこか年寄りめいていて、なんともむずかゆい気になった。もともと、姉は自分自身がお姉さんであるという自覚に溢れ過ぎて、少々逸脱しているのは昔から分かっていた。たかだか一歳の差であるのに、碌にこれまで喧嘩もしなかった。私が悪い時でも姉はすぐに「ごめんなー」と謝ったからだ。私が何か困るといつも姉が助けてくれた。けれども私は、それがずっと、もやもやとしたものになって私の中に堆積していくのを感じていた。申し訳ないような、悔しいような、対等に扱って欲しい、という思いなのか。それは分からないけれど、どこかで私の歯車はがりがりと削れて、少しずつ少しずつ変容していく。
「それじゃあ、後頼むなー」
「うん」
私に洗った皿の片付けを命じて、姉は小走りに二階へ上がっていった。姉が制服に着替えて下へ戻ってきて顔を洗って歯を磨くまで、およそ五分。それまでに私は皿を片付けて、鞄を持って家を出なければならない。
ならないのだが、やはり髪の毛は気になった。再び洗面所へ戻って髪をいじっている間に、姉は着替えを済ませて鞄を持って洗面所の扉を開けてきた。
「すぐ終わるから待っててね!」と張り切って顔を洗い出す姉を横目に、私は駆け出した。
「あ!ちょっと智慧!待ちなさい!」
「待たない!」
そう言いつつも、姉がしばらくは追いかけてこないのは知っていた。歯を磨くまでが姉の朝支度であり、つまりそれを終えるまでは私を追ってこない。私は急いで靴に足をねじ込み、鞄を担いで家を出た。
しかし間もなく姉に追い付かれた。早過ぎる。速過ぎる。
「もう、ついてこないでよ!」
「そうはいかんよ!お姉ちゃんもおんなじ学校通ってるんだから」
「だからって走って追い付いてくることない!」
「妹の面倒見んのが姉の仕事だからね!」
「そうはいかんよ!お姉ちゃんもおんなじ学校通ってるんだから」
「だからって走って追い付いてくることない!」
「妹の面倒見んのが姉の仕事だからね!」
だから、それがオカシイんだよ。くそっ、もやもやする!
私はもやもやと姉を振り切るように声を上げて、尚も走る。鞄を揺らして息を切らし、姉妹揃って爆走する。
私はもやもやと姉を振り切るように声を上げて、尚も走る。鞄を揺らして息を切らし、姉妹揃って爆走する。
「ついてこないでって言ってるだろ!」
「こら!またそんな男の子みたいな言葉使って」
ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ、喧々囂々。
いつもの事で毎度の事。日常坐臥で日常茶飯。
つまりは、まあ、日常というやつ。
昔はもう少し、仲良くやっていた気がするけれど。
「こら!またそんな男の子みたいな言葉使って」
ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ、喧々囂々。
いつもの事で毎度の事。日常坐臥で日常茶飯。
つまりは、まあ、日常というやつ。
昔はもう少し、仲良くやっていた気がするけれど。
「だいたいっ、過剰なんだよ、多善(たえ)姉さんはっ!」
「なにがカジョウなの!?」
「私の気も知らないでっ!」
「え!?いつでも聞くよ!言ってみ?」
「だから、そういうところがっ」
「なにがカジョウなの!?」
「私の気も知らないでっ!」
「え!?いつでも聞くよ!言ってみ?」
「だから、そういうところがっ」
なんか、ムカつくんだ。