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恋文日和 その⑦

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orisuta

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エミリ
「前回までのあらすじ!

 ハチクロ系美大生であり活発軽快なスペイン人ハーフの女の子エミリアナ・セブロ・メサは、
 同じ大学に通うあるひとりの男性に恋心を抱いていた!」


エミリ
「しっかぁーし!

 エミリは面と向かっては気軽に話をすることはできるものの友達として親しくなりすぎたために、
 かえって本当の想いを伝えられないのであった」


エミリ
「そこでエミリがとった手段は、
 『手紙』によって想いを伝えることだったのだ!」


エミリ
「さらに、
 エミリは自身の真剣さを伝えるために趣向を凝らした手紙に挑戦していた!」


エミリ
「これまで、
 藤島六郎、満木葉華、加賀御守道、ハシム・バラミール、クリームヒルド・ブライトクロイツ、五百旗頭実
 といったスタンド使いたちがエミリに力を貸したが、

 いずれもうまくいかなかった!!」


エミリ
「それでもエミリはくじけず、
 次なるチャンスに備えて新たなる手紙を書くのだった……」


NFG
「サッサト普通ニ告白シロヨ」






 カランコロンカラーン


エミリ
「こんちわ、藤島さん!」


六郎
「お、エミリちゃんいらっしゃーい」


エミリ
「時間が経つのもはやいもので、もう2月ですね」


六郎
「そうだねぇ、
 ひと月すぎるのもあっという間だなあ」


エミリ
「そう……

 そして2月といえば世の乙女にとっての1大イベントが控えているんですよ!!」


六郎
「建国記念日?」


エミリ
「そうそう、日本人たる我らにとって記念すべき日……ってもう、藤島さんバカ! 私はハーフですよ!!」


NFG
「ハーフデモ日本語シカシャベレナイ生粋ノ日本人ダロオマエ」


六郎
「うーん……あっ、猫の日か!」


エミリ
「にゃっ……にゃんですと!
 そんな日があったのですか……それも気になりますけど、違いますよー!」


六郎
「わかった、北方領土の日だ」


エミリ
「せっ、政治の話はダメです!!
 もう、バレンタインデーですよ!

 わかってるでしょ藤島さん!」


六郎
「だってエミリちゃん1ヶ月以上前からそれ言ってるじゃん」


NFG
「『あけましておめでとうございます』ノアト、スグバレンタインデーノ話始メタッケナ」


エミリ
「とにかく……私はここで宣言しますから!
 今度こそはカレにステキなチョコをつくってアプローチするんです!」


六郎
「もうさっさとコクっちゃえばいいのに」


NFG
「ダヨナ、ソー思ウヨナ」


エミリ
「ダメです、結果もだけど過程のほうがもっと大事なんです!」


六郎
「あんまり気負い過ぎると、いざ付き合いだしたあと大変だぞお」


エミリ
「いいんですっ!
 そんじゃあ私行きますね!

 チョコ余ったら藤島さんも食べてくださいねーっ!!」




  バタン!!




六郎
「…………カットしに来たんじゃないのか」





エミリ
「……と意気込んで街に出てみたけれどもどうしようか」


NFG
「ナンダ、チョコノ材料買ウンジャナイノカ」


エミリ
「ううん、
 作ったチョコをどうやって渡そうか、その作戦を考えてて……

 もしかしたら大道具も必要になるかもしれないし」


NFG
「普通ニ渡ストイウ選択肢ハ無イノカ」


エミリ
「うーむむむ…………

 あっ、そうだ!」


NFG
「ドウシタ?」


エミリ
「ふっふっふ……

 私はついに答えに辿り着いたのかもしれない」


NFG
「……エ?」


エミリ
「今まで私は、
 誰かに協力してもらって手紙を渡そうと試みていた」


NFG
「ソシテソノ度ニ失敗シテタナ」


エミリ
「でも、それじゃあダメだと気づいたんだ」


NFG
「……エミリ」


エミリ
「誰かに頼ってばかりじゃいけないんだ!」


NFG
「オオ、モシカシテ、コレハ……!」


エミリ
「そう……

 『情けは他人のためならず』!!」


NFG
「……エッ」


エミリ
「助けてもらおうというのなら、まず自分から誰かを助けなくちゃ!」


NFG
「チョットマッテ、ナンカオカシイ」


エミリ
「ちょうど今なら恋に悩む女の子も多いはず……
 世はまさにバレンタインデー一色なんだからね……」


NFG
「ソコマデジャナイト思ウケド」


エミリ
「ということで、
 誰かを助けてそのあとで私の作戦も手伝ってもらうため……

 さっそく行動だよ!」


NFG
「アノコトワザッテ見返リヲ求メテ情ケヲカケルワケジャナイト思ウケド……」


エミリ
「つべこべ言うな!
 というわけでベンチに座り込み物憂げにため息ついてる純粋無垢な女の子を探すよ!」


NFG
「ウワ~具体的ナターゲッティング……」









 ~ 1時間後 ~ 




エミリ
「むっ!
 あそこの噴水のベンチに座っているセーラー服の女の子は……」


???
「……はぁ、どうすればよいのでしょう」


エミリ
「うっほあーっ!!
 物憂げにため息をつく第一困りびと発見ーーー!!」


NFG
「テンションガウザイ」


???
「……あなたは?」


エミリ
「ふっふっふ……

 私は愛と情熱とフラメンコの使者……
 エミリアナ・セブロ・メサと申すもの。

 どうやらお困りのようだとお見受けしましたが……?」


???
「え、ええ……そのとおりですわ」


エミリ
「なんならそのお悩み……私が解決してしんぜよう」


???
「よろしいのですか?
 ……ああ、そのご親切な御心、痛み入りますわ」


エミリ
「ところで、あなたはなんていうおなまえ?」


かふら
「白鷺かふらと申します。
 以後、お見知りおきを……」


エミリ
「うわあ、なんだかすごくお上品なたたずまい!

 かわいーっ!!」


NFG
「チョットソノ上品サ、コイツニワケテモライタイワ」


かふら
「あら、あなたは……スタンドかしら?」


エミリ
「何ぃ!
 今回もスタンド使いだったか……これは渡りに舟!」


NFG
「モウ後デ手伝ッテモライタイ想イガ前面ニ出チャッテルナ」


エミリ
「そ、そんなことないよ!
 さあっ、かふらちゃんの悩みを聞こうじゃない!!」


かふら
「ええ……それではお話しいたしますわ。

 実は、『ばれんたいんでー』なる習慣をはじめて聞きまして……
 わたくしもチョコレートを作ろうと思ったのです」


エミリ
「ば、バレンタインデーを知らないとは……

 想像以上の箱入り娘さんなのかなぁ」


かふら
「愛する方に、そのしるしとしてチョコレートをお贈りする……

 すばらしきことだと思います」


エミリ
「うんうん、そうだよねー」


かふら
「ですが……

 わたくしの愛する方は世界各地に何十人とおりまして……」


NFG
「ナ……ナンジュウニン!?」


かふら
「あー私も親戚がスペインにいっぱいいるし、
 家族や友達にも贈ろうと思ったらけっこうな数になっちゃうよね」


NFG
「エ、ソウイウ意味デ言ッタノカナ……」


かふら
「ただ、数が多いからといって既製品を買ってお贈りするのはわたくしの本意ではないのです」


エミリ
「うんうん、やっぱりチョコは手作りに限るよねー」


かふら
「できることならばこの身を削り、
 わたくしの愛する方すべてに愛のかけらとして贈り、
 召し上がっていただいて血肉としてほしいのです」


NFG
「ナンカ、表現ガコワイ」


エミリ
「苦労した分だけ気持ちが伝わるってもんだよねー」


かふら
「しかしそれをしていては検疫をかいくぐること等で時間もかかり、
 バレンタインデーは終わってしまいます」


NFG
「ケ、ケンエキ?」


エミリ
「ううむ、いかに効率的にかつ愛をこめられるチョコレートづくりか……」


かふら
「あの……エミリ様、
 よろしければわたくしと一緒に来ていただけないでしょうか」


エミリ
「ん?
 いいけど」


かふら
「うふふ…………

 ありがとうございます」


NFG
(ナンカ怖イゾコイツ)









エミリ
「おお……ここは?」


かふら
「はい、
 ここは白鷺家の所有するビルに設けた、わたくしのチョコレート作りのための部屋でございます。

 普段はイベントなどの催し事にお貸ししているのですが……
 お父様にお願いして今日はわたくしに使わせていただいております」


エミリ
「なんかカイジに出てきそうな黒服の人がいっぱいいる」


NFG
「スゴイ威圧感」


かふら
「彼らは白鷺家に仕える召使いですわ。
 わたくしのチョコレート作りを手伝ってもらいます」


エミリ
「なんかよくわかんない薬品や機械もいっぱいある……

 オラなんだかワクワクしてきたぞ」


かふら
「究極の愛を込めたチョコレートを作るため……手段は選びませんわ」


エミリ
「五右衛門風呂みたいな鍋に、液体窒素、
 病院にありそうなベッドにモニターのついたよくわかんない機械、
 バイオハザードの映画で見たような機械……

 すっごいなあ」


NFG
「ホントニチョコ作ルタメノ機械ナノカコレラハ」


かふら
「実は……
 ひとつすばらしいアイデアを思いつきまして、
 一度実践していたのでございますが、失敗してしまったのです」


エミリ
「えっ?
 なになに?」


かふら
「『わたくし自身をお贈りすること』ですわ」


エミリ
「…………あっ、わかった!

 『私を食・べ・て』ってヤツでしょ!?
 To LOVEるで読んだことある!!」


けふら
「厳密にいえばわたくし自身ではなく、
 チョコレートで作った複製でございます」


エミリ
「ああそっか、たくさんの人に贈るんだもんね。
 かふらちゃんは一人しかいないもんね……」


NFG
「マッタク引カナイオマエノ性格、相変ワラズスゴイヨナ」


かふら
「シリコンでわたくし自身の型をとり、
 チョコを流し込んで固めようとしたのです」


エミリ
「あ、あの人ひとり入りそうなでっかい容器だね」


かふら
「ええ、あの容器の中に入り、
 シリコンを流し込んで固まるまで7~8時間待つのですが……」


エミリ
「し、7~8時間!?
 息、大丈夫なの?」


かふら
「仮に仮死状態に陥ったとしても、
 すぐ蘇生できるように医療機器、スタッフも用意しておりますのでその点の心配はありませんでした」


エミリ
「ほっ、よかったあ」


NFG
「ワザトカ?
 ワザトソンナ反応シテルンダヨナ?」


かふら
「ただ……
 肝心のシリコンが固まるためには、
 わたくしが微動だにしないことが条件となります……ですが、
 わずかな手や足の動きでさえもシリコンが固まらなくなってしまうのです。

 さすがにそれはわたくしにとっても至難の業でして……それで失敗したのです」


エミリ
「ふーん……

 でもそこまでしてチョコを作りたいっていうのを聞くと、
 かふらちゃんって愛が深いんだなあって思うな!」


NFG
「『重い』ノ間違イジャナイカ?」


エミリ
「ふっふっふ……
 でもそんなかふらちゃんが私と出会ったのは運命だったみたいだね!」


かふら
「運命……?
 まあ、どういうことでございますか」


エミリ
「私の『ニュー・ファウンド・グローリー』の能力は!
 『スタンドが描いたものを具現化させる』能力!

 つまりは私のスタンドがかふらちゃんの体をなぞれば、
 かふらちゃんの等身大のコピーを作られるってことだよ!!」


かふら
「そしてそのコピーをシリコンで型をとればいいわけですね……

 すばらしいですわ!」


NFG
「チョット待テ、
 カフラノ形ヲシタチョコヲ作ルッテイウノハ既定路線ナノカ」


エミリ
「っつーことでかふらちゃん、水着に着替えてきてちょーだい!!」


NFG
「キイテイナイ」


かふら
「ですが、なぞると言ってもそれなりに時間はかかるはず。
 その間わたくしが全く動かないでいることに自信がありませんわ」


エミリ
「でえじょうぶだ!
 ちょっとしたズレは『凄み』でどうにかなる」


かふら
「まあ……少し心配なのですが」


NFG
「『凄み』ノ正当性ニツイテハ裏付ケガアルカラナ……6部デ」


かふら
「……かしこまりました、それでは着替えてまいりますわ。

 ……あなたたちはコピーをつくり、シリコンの型をとるまで外で待機していなさい。
 もしわたくしの体を見たら……わかっておりますね?」


黒服たち
「「「ハッ!!!」」」

 ビシッ


エミリ
「声でかっ」




~ CM ~


厚狭田
「決着つけてやるぜ、

 『フロム・ヘル・ガーデン』!!」


アゲハ
「『ミストレス・メーベル』……

 ムチを打った場所を折り曲げる!!」

 バシィィ


厚狭田
「ウッ!

 脚が折れて倒れ……倒れる倒れるうううおおおおおおおおお」




 『倒れるだけで腹筋ワンダーコア~♪』




惑火
「――ん~、メタメタメタメタメタメタメタ……

 ブッ倒れろ、『メテオ・クラッチ』!!」


信夫
「あがっ、あじゃはぁぁぁぁぁぁっ!?」

 ゴシャアア




 『倒れるだけで腹筋ワンダーコア~♪』





「我が『バロック・ホウダウン』の光は圧力そのものォォ!!」


硝子
「く……もう立ってられ……ッ」



「ふははは、さあ平伏すがいいッ!!」


硝子
「倒れ……てたまるかぁッ、『クリスタル・ピース』!!」



「ぬぅッ、ガラスで鏡面を作り、光をはねかえしただと!?

 むぐおおおおおおおおおおおおお」




 『倒れるだけで腹筋ワンダーコア~♪』





「奇怪なりッッ!!」





『実もびっくりワンダーコア~♪』








 ~ 30分後 ~ 




エミリ
「……よし、完璧だね!」


かふら
「ああ……

 筆がわたくしの体をなぞるたび、
 体がもだえ震えるのを堪えるのに必死でしたわ。

 いつ達してしまうか恐ろしくて……」


エミリ
「いやーエロかったエロかった」


NFG
「キモイナオ前ラ」


かふら
「さて……型をとりおえるまで時間もありますし、
 今度はエミリさんのコピーを作ってはいかがですか?

 費用はすべてわたくしが持ちますわ」


エミリ
「あははー、
 最初はそう思ってたんだけど私にはあまりにくすぐったそうでムリだなー。

 自分のスタンドだし、そうなったら集中できないからね」


かふら
「まあ……それは残念ですわ。

 では、今後何かありましたらご協力させていただけないでしょうか。
 このご恩に報いたいのです」


エミリ
「ほんとに!?
 やったあ、やっぱり『情けは他人のためならず』だね!」


かふら
「それではエミリ様……

 これからこのビルのレストランでお食事などいかがですか?」


エミリ
「え?
 でもチョコレートはいいの?」


かふら
「ええ、あとは召使たちにまかせますわ。
 どのみち、この後の作業には人手が要りますし、か弱いわたくしにできることはありませんわ」


エミリ
「……えへへー、
 じゃあお言葉に甘えて御馳走になっちゃおうかな!」


かふら
「では参りましょう。

 自慢の料理を……うふふ、召し上がっていただきますわ」




  バタン!!




  ……




  ……




  ……




  ……




  ……




  ガチャ




アンテナさん
「ブフォwwwww

 同人誌即売会終わって出てみたらwww
 迷ったでござるwwwwww」


アンテナさん
「なにこの部屋wwww
 甘い香りがwwww

 んんwwwwwwおっと涎が」

 コポォ


アンテナさん
「うはwwww
 部屋の中央にwww
 怪しげな容器がwwwwww
 父さん容器ですwwwwwww」


アンテナさん
「中にはww
 ドロドロとした白いものがwwwwww
 ドゥフwwwww

 これ以上言うとレーティングがかかるでござるwww
 あくまで今日はwwww
 一般向けwwww」




  ツルッ


アンテナさん
「オウフ」

 ドッポォ


アンテナさん
(ドゥッフォwwww
 落ちてしまったでござるwwwww
 息ができないwwwww

 うはwwドロドロ心地よすぎワロロロロwwwwwww)


アンテナさん
(どんどんwwww
 固まってきたでござるwwwwwwww

 捕食エンドwwwっうぇwwwwっうぇwwww)




――――――――――――――――




――――――――




――――




黒服A
「……さて、

 かふらお嬢様によれば、この型で作ったチョコレートを作ればいいんだったな」


黒服B
「かふらお嬢様の体の型……か」


黒服C
「おい、チョコレートとは言ってもお嬢様の御身体だ。
 見たらただじゃすまないぞ」


黒服A
「本当にただじゃすまないからな……

 気をつけよう」


黒服C
「型から出したら、
 絶対に見ないようにしながらラッピングするんだ」




――――――――――――――――




――――――――




――――




 ~ 2月14日、バレンタインデー ~ 




宅配
「葉月さーんお届けものッス」


裕美
「注文してた花が届いたようだ……

 ん?
 いや、どうやら違う……

 これは、あ、あの白鷺かふらからだと……!」




 ガサガサガサガサ




裕美
「これは……!!」



――2月14日、

白鷺かふらから世界各地の婿候補に贈られたチョコレートは、
白鷺かふらとそれに抱きつく得体の知れぬ肥満体形の男をかたどっていた……。

これが一体何を意味するのか。

ただ気味の悪さしか感じられないそのチョコレート……その意図は計り知れない。

ただ婿候補の心に消えてなくなることのない、
白鷺かふらに対するどす黒い恐怖がいっそう膨らんだことは間違いないであろう……。




おわり


出演トーナメントキャラ


No.4971
【スタンド名】 ニュー・ファウンド・グローリー
【本体】 エミリアナ・セブロ・メサ
【能力】 スタンドが描いたものを具現化する

No.6754
【スタンド名】 ティン・エンジェル
【本体】 白鷺 かふら(シラサギ カフラ)
【能力】 接触する二つのモノを徐々に癒着させる




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