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第二章『倍返しの世界』その②

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orisuta

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鎌倉銀次郎がスタンド使いとなり、模と紅葉を襲った日と同じ日の夜。

謎の男によってスタンド使いにさせられていたもうひとりの刺客『三田村盾子(ミタムラ ジュンコ)』は、

杜王港で二人の男を相手に戦っていた。

三田村「『ツイステッド・シスター』!私の手を『ねじれ』させろッ!!」

ツイステッド・シスター「ウシャァァァッ!!」

ギュルギュル……

三田村「腕なんかを最大限まで『ねじれ』させるとど~なると思う!?」

シュルル……

三田村「こおお~して伸ばして『突く』ことができんのヨ!!」

ジャキーン!!

しかし、パーカの男を狙った自信満々の三田村の攻撃は、軽くかわされてしまった。

三田村「いいっ!?」

パーカの男「…………つまらない。」

パーカを着た男の隣には、190cmはある長身の男が立っていた。焦りの表情はどこにも見られない。

長身の男「『奇妙』な能力だが……単調だな。動きも読みやすい。」

三田村「ムッ…ムキィ~~~~~~!いいわっ、次の攻撃よ。『ツイステッド・シスター』、解除して!」

ねじれさせた三田村の腕は戻すときの遠心力で、渦を描くように元の腕に戻る……はずだった。

三田村「な……なにこれ!ネバネバした糸がくっついて……中途半端に腕が戻らないじゃないのおおおおおお!!!」

三田村の腕には、『蜘蛛の糸』のように細く、ネバネバした糸が無数に貼り付いていた。







パーカの男「…………『スロウダイヴ』。」

長身の男「『スロウダイヴ』の糸は俺のスタンドのパワーをもってしてもなかなかはずせねー。

     てめーのスタンドの能力やパワーじゃはずすのは不可能だ。」

三田村「ま……待って、わたしの負けだから!わたし、あんたらを攻撃しろって命令されただけなのよ!脅されたのよ!」

長身の男「そんなの知ったことか。俺とこいつのバイクをパンクさせたこと……キッチリと『倍返し』させてもらうぜ。」

三田村「しょ……しょんなぁぁぁぁ!!!」

長身の男「……ただし、そのてめーに命令したヤツのことを話せば、まあ見逃してやらないこともないが。」

三田村(アイツのことを、『弓と矢の男』のことを話せ!?じょおだんじゃないわよ!そんなことしたらアタシが殺される!!)

長身の男「話さねーようなら……俺のスタンドでてめーのスタンドを再起不能にするまでボコボコにする。

     女を殴るのはシュミじゃねーが……スタンドならかまやしねえ。」

三田村「わ、わかったわよ!はなすはなす!!………なーんて、嫌だよおおおおおお!!『ツイステッド・シスター』!!」

三田村は足をバネのようにねじれさせ、バネ足を使って高くジャンプした。

三田村「殴られたくもない!『あの男』に逆らいたくもない!そしたら『逃げる』しかないでしょおおおお!

    キャハハハハハハハハハハハハ!!!!」







しかし三田村は『見えない力』によって下に引っ張られた。

パーカの男「…………『スロウダイヴ』の射程は100メートル。」

三田村「また、『蜘蛛の糸』ォォォォ!!!!?」

急速に落ちる三田村の下には長身の男が待ち構えていた。

長身の男「どっちの選択もとらず『逃げる』。そーいう奴を殴っても、たとえ女だとしても全然カワイソーとは思わん。」

長身の男はスタンドを発現させ、振りかぶった。

三田村「ヒッ、ヒィヤァァァァアアアアアアア!!!!」

長身の男のスタンド「オラァ!!」

ドグァ――――――――ン!!!!!

長身の男「『落ちるスピード』と『スタンドのパワー』、キッチリ『倍返し』したぜ。」

三田村「し……『四宮藤吉郎(シノミヤ トウキチロウ)』と『五代衛(ゴダイ マモル)』……強すぎる。」ガクッ



パーカの男・四宮「…………最近、戦い多い。」

長身の男・五代「ああ、だが俺達二人なら負けやしねー。絶対にな。」

杜王町は夜明けを迎え、海面を朝日が照らしてキラキラ輝いていた。






【スタンド名】
ツイステッド・シスター
【本体】
三田村盾子

【タイプ】
近距離型

【特徴】
華奢な体格の人型。即頭部からロップウサギのように長い耳のようなものがたれている。

【能力】
殴ったものをねじれさせる。
ねじれ具合は自由に決められ、最大で先端が棘の様に尖る程度。
解除することで元に戻るが、解除されたときの対象は元の材質に関係なく
多少遠心力に引っ張られるようにして横に広がりながら解除される。

破壊力-C
スピード-A
()
射程距離-E
(能力射程-D)

持続力-D
精密動作性-A
成長性-A





【スタンド名】
スロウダイヴ
【本体】
四宮藤吉郎

【タイプ】
遠距離型 人型

【特徴】
蜘蛛の巣のような模様がある人型

【能力】
注視しなければ見えない程細い蜘蛛の糸を指から噴射する事ができる。
糸の強度はエレベーターとかに使われるワイヤーと同じくらいある。
糸は強い粘性で、並大抵の近距離(パワー)型のスタンドではなかなか糸を振りほどく事はできない。

破壊力-C
スピード-D
射程距離-A

持続力-A
精密動作性-B
成長性-B






模と紅葉が銀次郎と戦った次の日、昼休みに模と紅葉は銀次郎を連れ出して校舎の屋上へ来た。

銀次郎が『スタンド使い』となったこと、そして紅葉を襲ったことについて聞くためだ。

完全に打ち負かされた銀次郎は態度もすっかり縮こまってしまっていた。

紅葉「やっぱり、アンタは『矢』の力でスタンド能力を引き出されたのね。」

銀次郎「……ああ、もう思い出したくもねえ。恐ろしい体験だった。」

銀次郎「俺に『矢』を放った男は、紅葉を始末するようにと言った。

    確かに俺はおまえに因縁はあった。そして倒すための力も得た。

    だが……人に命令されて『ハイわかりました』と素直に聞き入れるのはスゲー腹が立ったんだ。」

模「……それで?」

銀次郎「とりあえず一発殴ってやろうと思ったんだ。……だが、攻撃は当たらなかった。

    不思議なんだ。『あの男』は『避ける素振りすら見せなかった』。

    何が起こったかわからねーが……コイツはヤバいって恐怖だけはあった。」

銀次郎「紅葉、おまえには悪かったと思ってる。……元々おまえには俺がちょっかい出したんだ。

    しかし、これ以上は話せねえ。あの男…『弓と矢の男』に見られているんじゃないかって思うと恐ろしくてたまらないんだ。

    もうお前らに手を出すようなことはしない。……だが、協力することもしたくない。」

銀次郎は立ち上がり、ドアのほうに向かった。

銀次郎「……紅葉、それと模っていったか。何故かはわからねーが、この街のスタンド使い……『狙われ』てるぜ。」

錆びついたドアの閉まる音が静まった屋上に響く……銀次郎が校舎に戻っても、模と紅葉は長く沈黙しつづけた。

『自分たちの命が狙われている』……それが確かなこととなり、二人には重圧がのしかかる。

危機にさらされた人間が、普通に平常心でいられるはずがない。

スタンド使いとはいえ、ただの高校生なのだから。







鎌倉銀次郎は苛立っていた。

利用されたとはいえ、スタンドをもってしても紅葉にいまだに勝てていないからだ。

銀次郎「…………ッチ。」チラッ

銀次郎からは周りの人間がみな自分を嘲笑っているかのように見えていた。

銀次郎「ちくしょう………ちくしょう……!!」

ドンッ!

男「おっと、すまないな。」スタスタ

銀次郎「…………」

銀次郎(やっぱり……だれか殴ってやんねェと気が済まねえ!!)

男「………」スタスタ

銀次郎(キッカケなんかこの程度で十分!こいつよく見りゃあタッパあるし強さを証明するには文句ねえ!

    この男をブン殴ってやる!『レッド・サイクロン』!)

銀次郎はスタンドを発動させ、背を向けている男を『掴み』、引き寄せた。

グィッ

銀次郎「おい!テメーどこ見て歩いてんだよッボケ!!」







男「…………」

銀次郎「あ゛あ゛?ビビってんのかよ!?歯ァ食いしばれェ!!」

男「てめェ……喧嘩売る相手間違ってんじゃあねえのか?」

銀次郎「んだゴラァ!!」

男「ケンカは素手と素手でやるもんだろ。卑怯なんじゃあねーのか?……『スタンド』を使うのはよ。」

銀次郎「んなのカンケーねえだろッ!……………!!」

銀次郎の表情が変わった。にらみを利かせていた表情に、焦りが浮かび始める。

レッド・サイクロンが掴んだその男は、人型のビジョン……『スタンド』を繰り出した!

男のスタンド「オラァッ!!」バキャアッ!!

銀次郎「んぐほォッ!!」スターン

男「てめェは何モンだ?新手のスタンド使いか?」

銀次郎「な……なッ!!『スタンド』!!」



男・五代衛「学校までもぐりこんでくるとはいい度胸してんじゃあねえか。てめェ『覚悟』しろよ?」

ドドドドドドドドドド……







風が吹き抜ける屋上に、模と紅葉はまだ居座っていた。

紅葉「……模、昼休み終わるし、そろそろもどろっか。」

模「…………」

模はフェンスから校舎の下を眺めていた。

紅葉「模?」

模「ねぇ紅葉、校庭で追いかけられてる人……銀次郎くんじゃない?」

紅葉「ハア?」







銀次郎「ハァッ、ハァッ、ハァッ」ドスドスドス

五代「てめェ待ちやがれ!」ドドドドド

校庭から体育館裏に入ったところで銀次郎は走るのをやめた。

五代「……鬼ゴッコはおわりか?まあ、ここなら他人のことを気にせず戦える。」

五代は体育館の外壁そばに積まれた、自分の身長ほどの鉄パイプを手に取った。

銀次郎(校舎内だと障害物が多すぎて俺の能力は使いにくい。

    周りを囲まれていて、かつ身を隠す場所の少ないここは俺にとって有利!)

銀次郎「……へっ、俺のスタンドじゃあパワーが強すぎて他のやつらもフッとんじまう。俺は常に冷静なんだ。

    お前のようにまわりを見ずにすぐスタンド攻撃をくりだしちまったりなんかはしねえ。」

五代「フッ、そのセリフそのままそっくり返すぜ。」

銀次郎(しかし……なぜ鉄パイプを持った?スタンド攻撃じゃないのか?

    ……まァいい。射程3メートル以内の範囲ならレッド・サイクロンの独壇場!)

五代「さて……そろそろいくぜ、ウスラデブ。」

銀次郎(3メートル内に入ってきたら左手で『掴ん』で右手でブン殴る。
   
    鉄パイプかもしくは他の何かを投げてくるようなら『掴ん』で投げ返してやる!!)

五代「オラァ!!」

五代は銀次郎のほうに向かわず、一歩踏み込んで鉄パイプを振りかぶった。

銀次郎(『向かってこない』!決まりだ、投げてくる!!)

銀次郎「向かってこねえとは怖気づいたかァ!!『レッド・サイクロン』、正面に投げてくる鉄パイプを『掴め』ェェ!!」

しかし、五代は振りかぶった鉄パイプを投げるつもりなどなかった。五代は鉄パイプを横に振ろうとしていたのだ。そして……

五代「今だ、『ワン・トゥ・ワン』!」

ワン・トゥ・ワン「ウオオオオオオ!!!!」

なんと五代の振った鉄パイプは倍の4メートル弱ほどの長さになり、

鉄パイプはスピードを緩めることなく横から銀次郎の側頭部に向かっていった。

銀次郎「な……鉄パイプが『伸びた』!?ま、まずい!レッド・サイクロンは正面の攻撃に備えている!!」

ガァァァァン!!!

鉄パイプは銀次郎のこめかみにクリーンヒットした。







銀次郎「ぐ……お…お………」

しかし銀次郎は頭が揺れるような感覚に襲われたものの倒れなかった。

五代「ほう、ずいぶんとタフじゃねえか。」

銀次郎「ククク……(紅葉のおかげで)打たれ強いもんでな。てめえのようにスタンド能力に頼るだけの男じゃないんだよ。」

五代「……てめーに言われたくはねえが……そんならスタンドなしの肉弾戦といくか?」

銀次郎「ほー、いいのかよ。締めあげたら最後、降参しても離してやんないぜ。ただし……『レッド・サイクロン』!!」

レッド・サイクロンは五代の持っていた鉄パイプを掴み取った。

五代「………」

銀次郎「こいつはナシだ。安心しな、俺も武器はつかわねえ。」

五代「いいだろう、『ワン・トゥ・ワン』解除しろ。」

ギュン!

4メートル弱の鉄パイプはもとの長さに戻った。銀次郎は鉄パイプを捨て、

銀次郎「よし、勝負だ。……かかってこいッ!!」

五代「先手必勝、行くぜ!」

五代は銀次郎に向かっていった。

銀次郎「バカめ!!3メートル内に入ったな?『レッド・サイクロン』、コイツを『掴め』!!」

銀次郎はレッド・サイクロンを発動し、左手に五代を引き寄せようとしていた。しかし……

五代「『ワン・トゥ・ワン』、ズームパンチ!!」

バキャオォッ!!




銀次郎「うぐ……ぐ……」

レッド・サイクロンが五代を吸い寄せると同時に五代は自らの腕を『2倍に伸ばし』、銀次郎の右頬を殴った。

五代「てめーのスタンドの能力が『吸い寄せる』ように『掴む』能力だってのはさっきのでわかった。

   『吸い寄せる』力と俺のパンチ力、そしてスタンド能力『伸ばす』力で『3倍返し』したぜ。」

銀次郎「う……腕が……『伸びた』………だ…と……?」ドズーーン

五代「俺のスタンド『ワン・トゥ・ワン』はあらゆるものを『2倍』にする能力。

   ……守りに入って俺の能力を見極めようなんざ、怖気づいてたのはてめーのほうなんじゃねえのか?」


ドォ――――――――ン






【スタンド名】
ワン・トゥ・ワン
【本体】
五代衛(ゴダイ マモル)

【タイプ】
近距離型

【特徴】
真ん中から左右対称でカラーリングが違う人型

【能力】
物を『2倍』にする
長さや重さ等本体が認識出来る物事を2倍にする。
倍に出来るのは1つだけで1つの物への連続使用や
複数の物を同時に倍にする事は出来ない

破壊力-A
スピード-B
射程距離-C

持続力-D
精密動作性-C
成長性-A






銀次郎「ウグッ…………クッ、クソッ!『カウンター』で入っちまったッ!」ムクッ

五代「つくづくタフな野郎だぜ……『トドメ』、刺してやるよ。」

銀次郎「ままま待てッ!も、もう勘弁………ン?」

銀次郎がふと見た方向からは、模と紅葉が向かってきていた。

模「やっぱり!銀次郎くんが、スタンド使いと戦っているッ!」

紅葉「『新手のスタンド使い』?……それにしても、銀次郎を攻撃するとは……。」



五代「ム……誰だ?」

銀次郎「紅葉……助けてくれッ!!ヤツらが……俺を『始末』しに来たんだ!!」

五代「何ィ……?」

五代は銀次郎を睨みつけた。

銀次郎(手ェ出したのは俺だし、こんなのはウソっぱちだが……状況を変えねェとやられちまう!)

五代は模と紅葉に問いかけた。

五代「おい、てめーらはコイツの『仲間』か!?」

紅葉は少し考えて、返事をした。

紅葉「…………違うわ。」

模(く、紅葉……。)

紅葉「銀次郎、つまらないウソつくのやめてよね。」

銀次郎「うッ……ウソなもんかよ!!」

紅葉「アンタが言ってたんじゃない。私たちが『狙われてる』って。

   もしこいつが『弓と矢の男』の刺客なら、私たちを知らないわけがない。」

模「じゃあ、この人は……」

紅葉「……たぶん、私たちと『同じ』。杜王町に潜む『陰謀』に狙われている人間よ。」



五代「……おい、何がどういうことなんだ。」

キーン、コーン、カーン、コーン……

昼休みの終わりを知らせるベルが鳴った。







放課後、屋上に4人の男女が集まった。

模、紅葉、五代、そして銀髪でパーカを着た男……四宮藤吉郎。

紅葉は五代と四宮に、杜王町に来たスタンド使いのこと、

銀次郎が紅葉を倒すためにスタンド使いにさせられたこと、またその『弓と矢の男』について話した。

四宮「…………」

五代「……なるほど、その『弓と矢の男』がこの杜王町で何かしようとしているってことなんだな?」

紅葉「詳しいことは分からないけど、その男がこの杜王町にスタンド使いを増やし、私たちを狙っていることは間違いないわ。」

五代「……俺たちにも心当たりがある。俺と四宮はこれまでに2人のスタンド使いに襲われた。」

紅葉「やっぱり、杜王町に住むスタンド使いが狙われてるのね。

   ……でも、なぜ杜王町にスタンド使いをわざわざ増やして、私たちを狙うのかしら?」

模「『味方』を増やして、『敵』……を減らすためじゃないかな。」

紅葉「『敵』って誰にとっての?」

模「その……『弓と矢の男』にとってのさ。

  『弓と矢の男』が、杜王町を支配しようとしている……っていうと飛躍しすぎかもしれないけど。」

普通に考えれば、マンガのような飛躍した考えだ。……だが、紅葉も五代もそれを簡単に否定することはできなかった。







紅葉「ところで、あんたたちは生まれついてのスタンド使いなのかしら?」

四宮「…………」フルフル

五代「四宮も俺も生まれついてのスタンド使い……というわけじゃねーが、
 
   スタンドが初めて発現したのはガキのころだ。『弓と矢の男』とは関係ねえ。」

紅葉「そう……じゃあ、やっぱりあなたたち二人は私たちの『敵』ではないわけね。」

模「ねえ、『味方』……にはなれないかな。」

五代「……」

模「僕たちはみんな、『弓と矢の男』に狙われてるんだ。

  もし、これから誰かが襲われた時、みんなで助け合えないかな?そうすれば『弓と矢の男』だって……」

紅葉「模………残念だけど、それは難しいわ。」







模「え?」

五代「……ひとつに固まったほうが危険という場合もある。それに……俺たちはお前たちのことを『信頼』したわけじゃねー。

   スタンド使いだが……『敵』ではないとわかっただけだ。」

紅葉「助け合うことが、自分の身を危険にさらすこともある。模……自分を守れるのは、自分だけなのよ。」

模「そんな……」

五代「心配されんでも俺たち二人は絶対に負けない。まあ、これからは情報交換くらいはしてやるよ。」

五代はそう言って校舎へのドアに向かった。そして思い出したように足を止めて振り向いて、

五代「そうだ、俺たちの名前とスタンド能力は教えておく。俺は、『五代衛(ゴダイ マモル)』。

   スタンドは、物の長さや重さなんかを『2倍』にする『ワン・トゥ・ワン』だ。

   そしてこいつは『四宮藤吉郎(シノミヤ トウキチロウ)』。強い強度と粘性を持った『糸』のスタンド、『スロウダイヴ』だ。

   ……それじゃあな。」

五代はドアを開けて校舎内に入り、四宮もそれについていった。



ドアは強く閉められたわけではないが、その音は模の耳に重く、大きく響いた。







紅葉「ねえ模……。」

模「…………」

紅葉「……もしかしたら『弓と矢の男』には、まだあんたの存在は知られてないかもしれない。

   銀次郎はきのうから『弓と矢の男』と接触してないみたいだし。

   だから……これから私が襲われたとしても、自分の身が危なくなると思ったら、助けなくてもいいからね……。」

模「!」

紅葉は、自分が模にスタンドのことを教えたことで、『弓と矢の男』との戦いに巻き込んでしまうことを恐れた。

その紅葉の想いを知らない模は、下を向いて唇をかんで泣くのをこらえていた。

紅葉「………それじゃあね、模。」

紅葉は校舎にもどったが、模はその場で立ちつくしたままだった。



模(僕は、たよりないのかなあ、必要とされてないのかなあ、僕は…ずっと、『だれかといっしょにはいられないのかなあ?』)

模は、心が離れ離れになっていた自分の家族を思い出していた。



第二章 -倍返しの世界- END




to be continued...



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