オリスタ @ wiki

【スター】オリジナルスタンドSSスレ【ゲイザー】第二十話

最終更新:

orisuta

- view
メンバー限定 登録/ログイン


 
遥達が、氷室の家に到着する数時間前・・・・




―ドカッ。



眼鏡をかけた恰幅の良い男が、地面へと投げ出される。


御園「ここで間違いないんだな?

加藤「あ、あぁ!間違いないッ!
上城の死体はここに埋めた!


御園「・・・・

山を無言で見上げる御園。

鉄クズで出来た山を。


御園「スクラップ置き場か・・・
手間がかかると言いたい所だが、俺にとっては造作もない。
メタル・ジャスティス・・・!


御園から発現したM・Jが手をかざすと、まるで夏場のトタンの上にアイスクリームを落としたかの様に金属が溶け出す。

―ズズズズズ・・・



加藤「な・・・!?
これがお前のスタンド能力か・・ッ!


御園「・・フン。知ったところでスタンドを持たないお前に何が出来る。


加藤「・・くッ。

御園「死にたくなければ、黙って見ていろ。



―・・ザクッ

加藤「・・・?

御園は溶かした金属を長い棒状に成形し、地面へ突き刺すと
その金属棒を耳へ当てる。

加藤「な、何をしている?

御園「黙っていろと言った筈だが?


御園にひと睨みされた加藤は黙り込む。


―シュルシュルシュル・・・


御園「100mが限界か・・・

周囲に浮かぶ液体金属は複数の独楽の様な金属となる。
そして回転しながら御園の周囲100mへ散らばり、地面へと消えた。
 
 
 




鉄の棒に耳を当てていた御園だったが、しばらくすると別の場所へ移動し、また同じ動作を起こす。


加藤「・・?(地中探査機のつもりか?


しばらくの間、御園は同じ行動を繰り返していたが、ある地点で動きが止まる。

御園「・・・・有った。


加藤「え?

御園「博士の遺体を見つけた。・・・掘れ。

加藤「いや、掘るって道具も無いのに・・・


―グニャァ・・・

液体金属は形を変え、シャベルとなる。


御園「これで掘れ。

加藤「分かった、分かったよ・・・掘ればいいんだろ!


―ザクッ・・・

―ガキンッ!


加藤「うおッ!地面もそこら中鉄クズだらけだ!
やっぱりこんな所を掘るなんて・・・


御園「それがどうした?
かまわん、掘れ。


加藤「は、はい。(くぅ~!何で俺がこんな目に・・・



―ザクッ・・


それから、互いに無言のまま一時間が過ぎた。

そして



加藤「あ?・・・あった。

御園「退け。後は俺がやる。


加藤「じゃ、じゃあ帰って良いんだな?

御園「・・・好きにしろ。もうお前に用はない


加藤「(・・・ククッ!ハハハ!!
俺の時計に仕込んだ発信装置は、既にこの場所を知らせているッ!
間もなく執行部が到着するはずだ・・・
コイツのクソみてえな死に様を見られねえのは残念だが、逃がしてくれるってんだから、有り難く逃げさせてもらいましょうかねぇ~ッ!!


―ダッ!


走り出した加藤の姿はあっと言う間に見えなくなる。


御園「さてと・・・
急がなくては。



―ザクッ・・・



一人、遺体を掘り返し始める御園に音もなく近づく影が一つ・・・


ゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




―ザクッ・・


―ザク・・・


掘り返す御園の手が止まる。


御園「・・・・鬼嶋か。
そんなオモチャで俺はやれんぞ?


ドドドドドドドド・・・

「チッ・・バレてやがんの。


暗がりから一人の男が現れた。
手に持つ拳銃をくるくると回しながら、呆れたような表情を見せている。

鬼嶋「ふぃ~・・・
さすが部隊長。
だが・・参ったねしかし。
本当に謀反をおこしたのがアンタだなんて・・・

御園「不思議か?

鬼嶋「あぁ。
超が付くほど仕事人間のアンタが、まさか裏切るなんてさ。


御園「フン・・・
昔、世話になった人間への恩返しというだけだ。

鬼嶋「その恩返しで
全てを敵に回しても構わないって事かい?
・・・変わったな、アンタ。
あの街で何があった?


御園「忘れ形見を見つけたのさ。
まぁ、お前には関係ない話だ・・やるならさっさとかかってこい。

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・



鬼嶋「・・・アンタが相手じゃあ、無謀だってのは分かっちゃいるんだけどね。
仕事なもんで。


御園「良い心がけだ。
・・・来い。


鬼嶋「【ハリスン・ファブ】・・!


鬼嶋の身体から、ナマズのような顔をしたスタンドが現れる。

御園「・・【メタル・ジャスティス】



互いにスタンドを発現させた状態で対峙する二人。


先に動いたのは御園。


―ボッ!

唐突に金属の球が撃ち出される。


鬼嶋「うぉッ!?




―ドグオォッ・・!

発射の瞬間から最高速に達する金属球は、正確に鬼嶋の身体に命中したかのように見えた。


しかし

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


鬼嶋「あぶねぇ・・・!

御園「・・・やるじゃあないか。


金属球は、鬼嶋の身体にぶつかる前に【泥】の壁にめり込み埋まっている。

鬼嶋「ハハ・・何年アンタの下で働いたと思ってんだい?
お互い手の内は知り尽くしてる筈だぜ?
 
 
 




御園「ま、それもそうだな。


鬼嶋「んじゃあ、今度は俺の番だッ!
ハリスン・ファブ!


鬼嶋のスタンドが、掌を互い違いに接触させるッ!


掌の間からは無数の泥の塊が射出され、御園へと襲いかかる。


―ドバババババッ・・!


御園「甘いッ!


―ガシガシガシガシィ・・ッ!


瞬時に盾を作り出し、泥を防ぐ。


鬼嶋「クソッ!やっぱ駄目かぁ~!


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


鬼嶋「互いの攻撃が当たらないなら埒があかないぜ・・・
だが、俺の泥は無限!
アンタの金属は有限だぜッ!


御園「フン・・互いの攻撃が当たらないだと?
お前は、どうやってそんな判断を下したんだ?


鬼嶋「・・・え?


―キュルキュルキュル・・・

鬼嶋「(な、何の音だ?


御園「球を撃ち出したり、盾を作るのが俺の能力だと?


鬼嶋「しまッ・・!


―グバァッ!!


泥の盾を、ドリルの形をした金属が突き破る!


鬼嶋「ハリスン・ファブ!泥を被せろッ!!

御園「遅いッ!

―ドバァアアアッ!!

金属(ドリル)は破裂し、無数の金属球となり鬼嶋へと直撃する。

―ドゴドゴドゴッ・・!!

鬼嶋「うぐ・・はッ!


―ズシャア・・・

吹き飛ばされる鬼嶋。


ドドドドドドド・・・

鬼嶋「(ぐぅう・・強烈だぜ。
鼻血もすげえ勢いで出たし、鼻・・折れたか?


御園「・・・まだやるか?


鬼嶋「・・あ、当たり前だぜ。
こんなん、やられたうちに入らねえッ!


御園「・・だろうな。
 
 
 




ゴゴゴゴゴゴ・・


鬼嶋「(とは言え、近づけば槍衾、離れれば弾丸が飛んでくる・・・さぁて、どうしたもんかね。


穴から上ってきた御園が、服の泥をはたく。


御園「来ないのか?


鬼嶋「言われなくてもやってやる・・ッ!
ウオォオオッ!!


鬼嶋は叫ぶと同時に拳銃を御園へと発砲するッ!


―ドドドウッ!


御園「拳銃など俺には効かんッ!
メタル・ジャスティス!弾丸を溶かせッ!


鬼嶋「かかったッ!


御園「何ッ・・!?


鬼嶋の放った弾丸はM・Jの能力により溶かされる筈であった。
しかし、弾丸は能力射程に入っても溶ける事なく、パワフルに御園へと突き進むッ!

御園「・・くっ(メタルジャスティスは・・・間に合わないッ!


鬼嶋「俺の勝ちだぜッ!隊長!






―ズガァアアンッ!




弾丸が命中し、弾き飛ばされる御園。


鬼嶋「ヒャッホー!やったぜぇッ!!


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


―ジャリ・・・



倒れる御園の傍らに、鬼嶋が佇む・・・



鬼嶋「・・・もう聞こえちゃいないだろうがアンタは俺にとって、
越えなくてはならない師匠であり、上司であり・・・親代わりだった。

こんな形で、しかも不意打ちでアンタと別れる事になるなんてな・・・残念だよ。


御園「・・・・・


―・・・ザッ



御園の掘った穴を覗き、白骨死体を見つける鬼嶋。

鬼嶋「ハハッ・・・墓穴か。
いったい誰の・・・

・・・・

・・・・・ん?
何だ、アレ?


ドドドドドドド・・・
 
 
 




それは肋骨と骨盤の中間辺り。

生きていれば胃腸が収まっているはずの場所に、金属の球体が鈍色の光を放っていた・・・


鬼嶋「何だコレ・・・?


手にとって確かめる鬼嶋。

―コンコン・・・


鬼嶋「・・・中が空洞になっているのか?何だこりゃ?
隊長の目的はこれなのか?


―・・グンッ!

鬼嶋「うおッ!

持っていた球が、突然引っ張られるように鬼嶋の手から抜け出す。



―パシッ・・・


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

鬼嶋「へへ・・・生きてたのか。


御園「泥の弾丸とは・・・・考えたな。


鬼嶋「全部、あんたから教わった事だぜ。
能力が知れてれば、対策も立てられる。


鬼嶋が放った泥の弾丸は御園の腕で止まっていた。


鬼嶋「ただ、アンタの腕が義手だとは知らなかったけどねぇ。


御園「フフ・・・切り札は最後まで見せるなと教えただろ?

鬼嶋「ハハッ・・!そうだったな。
んじゃ、仕切り直しと行きますか、隊長ッ!!
ハリスン・ファブ!


―バァアァンッ!


スタンドを発現させ、戦闘態勢に入る鬼嶋。

だが、御園は戦う素振りも見せず、手にした球を指先で回して遊んでいる・・


鬼嶋「・・・・?




ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


御園「仕切り直す必要などない。
決着は既に着いている。


鬼嶋「え?


―・・・ポタ


鬼嶋「な・・・こ、これは・・!?


鬼嶋の頬を真っ赤な液体が伝う。


ドドドドドドド・・・
 
 
 




御園「活性酸素だ。
活性酸素は細胞を破壊していく。


鬼嶋「活性・・・酸素?


ゴゴゴゴゴ・・・


御園「俺は、お前がここに来たときから
金属を・・・
それこそ分子程に細かくして、お前の体内に送り込み続けていたんだよ。


鬼嶋「・・・何だと?

御園「鉄分はタンパク質と結びついてヘモグロビンになる。
分かるな?小学生で習う理科だぞ。

鉄は肝臓に貯蔵され、これが不足すると貧血になるわけだ。

逆に多すぎると・・・肝臓から溢れ出し
血液中の酸素を活性酸素に変える。


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


―ボタボタ・・ッ

鬼嶋「うぉ・・目からだけでなく・・・は、鼻血がッ!・・・口からもッ!?
血は止まっていた筈なのにッ!

御園「血が止まらないか?
・・・限界だな。


顔面血塗れの鬼嶋を見下ろす御園。


御園「鉄分の過剰接種だから、血抜きをすれば助かる。
ま、どれくらい抜けばいいかは知らんが・・・手伝ってやろうか?


ゴゴゴゴゴゴ・・・

鬼嶋「(マズい・・マジでマズいぜ、こりゃあ。
血抜きだと?やらなきゃ死ぬんじゃあ、やるしかねえじゃねえかッ!!)
ウ・・・ウォオオオッ!



―ドバァッ!!


自身のスタンドで、自身の足を撃ち抜く。
おびただしい出血に、地面が赤く染まる。

鬼嶋「うぎッ!・・・ちきしょう!痛ぇじゃねえかッ!


ドドドドドドド・・・・


御園「だいぶ抜けたか・・・立っているのがやっとの状態だな、鬼嶋。


鬼嶋「はぁ・・・はぁ・・ッ!

御園「顔色が悪いぞ、フフ・・大丈夫か?

鬼嶋「(ぐッ・・・、てめぇのせいだろが!!
 
 
 




鬼嶋「・・・全然!ピンピンしてるぜッ!
お陰で頭に昇った血が抜けて、冷静になれたってもんよ!
・・いくぜッ!


御園「やれやれだな。
・・・メタル・ジャスティス。

鬼嶋「ハリスン・ファブッ!



―ドガァアアッッ!


泥と金属の弾丸を撃ち合い、決着が着く。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


鬼嶋「・・・ぐ。
俺の・・負けか。

御園「その出血にしては頑張った方だ。
手当をするから動くなよ。


鬼嶋「は?手当?
何を・・って、イテテテテッ!

御園「だから動くな!血を止める。


鬼嶋の足に血液を集め、鉄分を固めて蓋をする。

鬼嶋「・・活性酸素はどうすんだよ?
血を止めたら細胞が破壊されていくんじゃあ・・・


御園「あぁ、それなら心配はいらない。
嘘だからな。

ドドドドドド・・・

鬼嶋「え?嘘?嘘ってのは嘘だろ?

御園「嘘だ。
いや、鉄をお前の体内に入れたのは本当だがな。
そんな短時間で死ぬ程の活性酸素は出ない。せいぜい老けるのが早くなる程度だ。

鬼嶋「だ、だってよ!目や歯茎からも血ィドバドバ出てたし・・!

御園「涙腺の近くや、破りやすい毛細血管をちょいと破っただけだ・・・じき血も止まるさ。


鬼嶋「(かぁ~・・やられたぜ。
俺を自滅させて、弱らせてから叩いたって事か・・!


御園「よし。
俺はこれで去るが、お前はしばらくじっとしてろ。
傷口が開いても知らんぞ。


手当を終え、立ち去ろうとする御園に鬼嶋は声をかける。

鬼嶋「隊長!

御園「その呼び方はやめろ。
今日からお前が隊長だろう?実力的にな。


鬼嶋「・・・何故、俺を殺さない?加藤にしたって逃がしてやる必要もないだろ?


その問いに、背を向けたまま御園が答える。


御園「教えただろう?
【金にならない殺しはするな】ってな。


鬼嶋「・・・!
 
 
 




御園「じゃあな。


鬼嶋「・・・


振り向きもせず去っていく御園を、見えなくなるまで見送る鬼嶋。


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・



鬼嶋「・・・プッ!アハハハハッ・・・!!
あぁ~、腹痛ぇ・・・あの隊長が、敵に 情けをかけるなんてよぉ~・・・


―グッ

拳を突きだし心の中で語りかける。

鬼嶋「(・・・あばよ隊長。
次は負けないぜッ!!
・・・・ん?
そういや、毛細血管がどうのって・・・

それは・・・つまり・・・
体内を気付かれずに攻撃出来る?
ハハッ・・どう対策するかなぁ~?


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
 
 
 
鬼嶋 喜美裕(キシマ キミヒロ)
スタンド【ハリスン・ファブ】


―再起可能。








ゴゴゴゴゴゴ・・・



御園「もしもし・・・あぁ、久しぶりだな。ゲッフェンバウアー・・・
友人としての頼みなんだが・・
財団?・・今日、抜けた。
・・・まぁ、色々あってな。
それで、替えの腕を一つ送ってくれないか?
・・・あぁ、無理は言わない。俺は抜けた身だからな。今月中に着けば良いさ。
・・頼んだぞ。


携帯電話をしまい、金属球を手に取る御園。

すると


―ドロ・・ッ

たちまちに溶け失せ、中から一枚のチップが現れる。

御園「・・・・上城博士の研究成果。
【抗スタンド薬】か。
とりあえず、中身を確認しなければならないな、
一度研究施設へ戻るか。
・・・この件が終わってから、博士の遺体を埋葬し直すとしよう。






ドドドドドドドド・・・・




言い終える頃、
御園のポケットから
携帯電話が消えた・・・

しかし、御園は気付かない。
・・・正確には、気付けなかった。
何故なら、携帯電話があったという記憶すらも消え失せたのだから・・・
 
 
 

使用させていただいたスタンド


No.445
【スタンド名】 ハリスン・ファブ
【本体】 鬼嶋 喜美裕
【能力】 大小硬軟様々な泥を生み出す




< 前へ       一覧へ戻る       次へ >





当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用、AI学習の使用を禁止します。




記事メニュー
ウィキ募集バナー