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9 :「すたんど!」の巻

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pusan

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だれでも歓迎! 編集
Q「あなたにとって漫画とは何ですか?」
A「その質問、ほんと、読者が知りたい質問?」
Q「そうです」
A「うそ言わないでよね。あんたのオマンマのタネだからしてるんでしょ?
  くだらない質問するんならインタビューなんかしないでよね」
Q「尊敬している人は誰ですか?」
A「岸辺露伴」(この答えはマジ。彼女は露伴以上にスゴイ人間などいないと思っている。心の底から尊敬している)
Q「この世でもっとも大切なものは何ですか?」
A「家族と友人」
(これはウソ。彼女にとって岸辺露伴以上に大切な存在など何もない。
 彼のためなら親を見殺しにしても心など痛まないし、神を愛するように彼を愛しているのだ)

●ファンレター

  • 先生の作品は最高です。 ますますガンバッテください。(23歳女子大生)
  • 絵柄が気に入らないがデッサン力はかなりあるな。「リアリティ」を感じるよ。(43歳漫画家)
    (まあぼくほどではないがね、という絶対の自信を持ちつつ)
  • ナヨォナヨォ(笑)(21歳学生)
  • 毎週10回は読み返すッス。(高1女子)
  • 萌え豚量産オツカレーッスwwww(25歳会社員)
  • これは不幸の手紙だ、明日までに99通出せ。(不明)
  • ……アギ。(不明)
  • 愛してます。結婚してください。(28歳OL)



パタン、という音とともに、彼女の机の上に置かれていた本が閉じられる。
気晴らしにと自分が答えたインタビューを読んでみたが、あまり気分転換にはならなかった。
……上から二番目のファンレターには運命を感じたが。

「……さて、原稿ファックスで送らないと…………」

岸辺露伴が住んでいると聞いて、この街に越してからはや2年。
変わっているところといえば、妙に学生が多いところと、たまに見かける大人がみんな「いわしの頭も信心だよな」というところだ。
この街の学生は変わったファッションセンスをしているようで、マトモな装飾の制服はここ3日ほど見ていない。
このファッションセンスは抜け目なく自らの作品に取り込ませてもらっているが…………。
肝心の岸辺露伴の住所は分からずじまい。これではなんのためにこの街に来たのだか…………。

岸辺露伴の真似をしてアシスタントを一切とらずに連載。
自分の絵柄も手伝って、アシスタントがなくても週刊連載は成立するが、
やはり彼のように「昔は調子のいいときに一晩。最近は半日あれば巻頭カラーだろうと余裕さ」というわけにはいかない。

唯一、「奇妙」な得をしたのは、これだけだ。
自らの描いた原稿の上で機嫌悪そうに座っている自らの分身に、彼女は静かに嘆息する。
この街に来てからいつの間にか現れるようになったこの『能力』。こんなものはいいから、岸辺露伴に会いたい。

そこまで思考して、彼女は今日何度目になるかも分からないため息をついた。


9 :「すたんど!」の巻



カニ子「鏡花知ってるッスか!?」

――7月28日――杜王公園――


鏡花「……フゥ~……。「何を知ってるか」が抜けてるわよ。ヌケサク。
    あともう一つ言わせてもらうと、わたしは今忙しいの。あんたの妄言にかまってる暇はない」
キャッツ『ダイエットなんて大して意味ないからいいじゃないでしか、少しくらい休んでも』
鏡花「黙れブタ
キャッツ『ひどいでし!』ガーン

カニ子「ていうか、キャッツもダイエットしたほうがいいんじゃないッスか?」
鏡花「まったくだわ、メタボスタンド」
キャッツ『ひどいでし!』ガーン

カニ子「っていうかキャッツ、名前表示「キャッツ」にしてもらったんスね」
キャッツ『電池三日間封印の代償は大きかったでし……』
カニ子「ハハッワロッス」

カニ子「で! 話を元に戻すッスけど、鏡花知ってるッスか!?」
鏡花「二度同じことを言うってことはそいつがどうしようもないアホってことよ」

カニ子「この街に! 『すたんど!』の作者の村上晴喜がいるって噂ッスよ!!」
鏡花「……漫画家なら岸辺露伴だっているじゃない。そんな不思議なことじゃないわよ」
キャッツ『(いまさらでしけど、カニ子ちゃんのスルースキルマジぱねぇでし)』

カニ子「いィーやッ! 岸辺露伴なんてチャチな漫画家よりも断然スゴイッスよ!!」
鏡花 ピキ

鏡花「誰が…………チャチな漫画家だって?」

ド ド ド ド

カニ子「こ、言葉のあやッスよォ~」
鏡花「フン、まあいいわ。岸辺露伴のスバらしさはあとでじっくり教えてあげる。フゥ~~……で、それがどうしたの?」

カニ子「村上晴喜の家を探しに行くッスよ!」
鏡花「だが断る」

カニ子「返事は聞いてないッス!」ゴオッ

鏡花 スオオオオ サッ!

カニ子「なッにィ!? この攻撃をかわしただとォ!?」

鏡花「フゥ~~……今回はマジでご勘弁願うわ……。わたし、この後明日香んちに遊びに行く約束してるからね」
カニ子「あ、なんだぁ、それなら言ってくれればよかったのにッス。あたしも行くッスよ」


――千秋寺邸――


明日香「なにこれおもしろい! 明日香このマンガの作者に会いたいなー!!」

カニ子「(こんなこともあろうかと持ってきた『すたんど!①巻』が功を奏したッス)」

明日香「このマンガの作者をここに呼びつけよう! 執j……」
鏡花「待てィ!」ガバッ

明日香「うぐっ

鏡花「フゥゥゥ~~~~~…………今日は木曜よ。 (2022年7月28日は木曜日)
    前にどっかで週刊連載は水・木に納品って聞いた事があるわ……。フゥ~~~~……。
    きっと、今頃納品作業に追われているはず。そんな忙しいときに呼び出すなんて非常識ね。
    ていうかそうでなくても呼び出すときは相手の都合を考えないとダメよ。面識なしで呼ぶのは論外ね」

明日香「うん、分かった」コク

明日香「つまり今村上さんの家に行けば出来たての生原稿が見られるんだね!!」パアッ
カニ子「その発想はなかったッス!」イェー

鏡花「(ダメだこいつら……早くなんとかしないと……)」


――そういうわけで市街地――


鏡花「で、どーやってその村上晴喜とやらの家を見つけるわけ? わたしはもちろんカニ子も明日香も知らないんでしょ?」
カニ子「そーいえばそーだったッス」
鏡花「こいつは……」フゥ~

明日香「あ、それなら問題ないよ!」

鏡花「……なによ、お得意の人海戦法なら迷惑かかるしやめなさいよね」

明日香「わたしの『マーシフル・フェイト』を使えば、人間じゃなくても情報を聞きこめるよ!」
鏡花「フゥ~……『奴隷』ね~……」

明日香「む! なにさ、その言い方。心外だなぁ。今でこそ奴隷って言ったら黒人奴隷のよーなヒドイ扱いってイメージがあるけど、
     たとえばギリシャの奴隷なんかは家庭教師や秘書みたいな仕事をしてる奴隷もいて、待遇は結構よかったんだよ!
     農家の家の奴隷なんかは家族の一員みたいな扱いを受けてたくらいなんだもん! 奴隷にだって色々あるんだよ!」
鏡花「その情報どこからだよ」
明日香「うぃきぺさん☆」テヘッ

カニ子「やれやれッス……」

明日香「とにかく! 馬車馬みたいにコキ使うんじゃなくて、
     ちゃんと尊厳を持って関わりあうなら、奴隷なんて名ばかりだよ!」

明日香「そういうわけで…………『マーシフル・フェイト』ッ!! あそこの木を『奴隷』にしなさい!」ズギュゥン!

木 ビククッ

鏡花「……どうやら奴隷にできたみたいね」

明日香 タッタッタッ

明日香「もしもし、街路樹さん、ちょっと時間いい? 良いなら葉っぱを一枚落として」

木「(いいでっせ~)」ヒラリ

明日香「このコミックの著者近影の写真の人、見たことある? 見たことあるなら葉っぱを一枚落として」スッ

木 ジー (木に目はないのでこの擬音はイメージだ)

木「(あ~、この人なら知ってまっせ~)」ヒラリ

明日香「じゃあ、この人の家ってここから見てどの方向にある? 家がある方向の葉っぱを落として」

木 ・ ・ ・

ド ド ド ド

シィ―――――ン

明日香「……? どうしたの? 葉っぱ、落として?」

木「(葉っぱなら………………)」 ド ド ド

カニ子「既に落としてるッスよ、明日香……」ド ド ド

ド ド ド ド

カニ子「この木の裏に! …………」ドド

家 ド ド ド ド

表札(村上) バァ―ン!

鏡花「すでに! フゥ~ なんという偶然……ご都合主義としか思えないスムーズな展開……。目と鼻の先だったとは……」ド ド

明日香「街路樹さん、ありがとね! じゃ、行こう!」

木「(ごひいきに~)」ヒラヒラ

明日香 ピィーンポォーン


――side晴喜――


ピィーンポォーン

晴喜「…………? 何かしら……」

ガチャッ

カニ子「すみません! ファンッス!」

晴喜「…………………………………………え?」ポカーン


・・・


明日香 クッ
カニ子 ズズゥ

明日香「こら、カニ子ちゃん。紅茶はそーやって音を立てて飲むのはマナー違反なんだよ。
     紅茶はこうやって…………」クッ

カニ子「こうッスか?」クッ

明日香「そうそう!」
鏡花「おいテメーら」ドゴッ

鏡花「悪いわね、お茶まで用意してもらっちゃって」
キャッツ『キャッツに電池まで用意してくれるなんてあなたは天女でしか!?」
鏡花「テメーは少し遠慮を覚えろ」
カニ子「(鏡花は敬語を覚えるべきッスね)」

晴喜「ふふ、いいのよいいのよ。ちょうど原稿も上がったところだしね。あなたたちみたいな読者がいてくれると思うと、
    わたしもこの街に来た甲斐があるわ…………。うん、本当に」

鏡花「フゥ~~……それにしても、晴喜さん。あなたも『スタンド使い』とは思わなかったわ」

晴喜 ド ド ド ド

晴喜「この街に越してきてから、この「才能」に目覚めたのよ」

晴喜「じゃあ、紅茶のお替り入れてくるわね。あなたたちはそこで座って待っててね。
    ……一応、そこに原稿があるけど、覗き見とかしちゃダメだからね?」ニヤ

スタスタ

カニ子「…………」

鏡花 スッ

カニ子「ちょっ! 待てぇい鏡花ッ! 何をなんのためらいもなく覗き見しようとしてるんスか!?」

鏡花「バカね、あんな意味ありげな笑み浮かべながら「覗き見しちゃダメよ」とか、誘ってるに決まってるじゃない。
    それに、フゥ~~……あそこまで言われて見なかったら、『据え膳食わぬは男の恥じ』ってヤツよ」
カニ子「まず男じゃないッス! そしてその言い回しはお風呂的な意味で色々と誤解を生むッス!」

明日香「見ちゃえ見ちゃえー」イエー
カニ子「明日香も煽るんじゃあないッス!」

鏡花「まあまあ。いいじゃないの」スッ

明日香「わあ~っ! 生の原稿だぁ! すっごぉぉ~~いッ!」オオオッ

カニ子「…………あたしも見たいッス!」

ド ド ド ド

カニ子「くぅぅ~~~ッ! やっぱいいッスね!
    カワイイ絵柄なのにポーズは躍動感があって、それなのに違和感を感じさせない!
    むしろその適度な落差がこの上ない調和を生み出しているッス!」ペラッ

明日香「このノンビリした作品の雰囲気もいいよね! 日常モノはストーリーが平坦なものに感じられがちだけど、
     あくまで日常の範囲内でいろんなほほえましい事件が起こってるところがまた」

鏡花「(いつからあんたらはマンガ評論家になったのよ……)」

キャッツ『でも、本当に今にも動き出しそうな躍動感が迫る絵でしね~……。随所にスタンドみたいなデザインも見て取れるでし」

鏡花「そのへんはスタンド使いならでは、ってところかしらね……」

明日香「ねえ、次のページをめくってよ!」

ペラッ


・ ・ ・


鏡花「フゥ~~……そろそろ来るころかしらね……。ちょっとわたし向こうの様子窺ってくるわ。
    いくら誘ってるとはいえ、堂々と見るのもちょっと気が引けるしね」
カニ子「キャッツにやらせりゃいいんじゃないッスか?」ジィーッ
キャッツ『キャッツも読みたいでしよ!』ムキー

鏡花「はいはい……」スッ

鏡花 ソ~

ド ド ド ド ド     ド ド ド ド

鏡花 !?

鏡花 バッ バッ

ド ド ド  ド ド

シィーン

紅茶 ホカホカ

鏡花「(い、いない――!? にもかかわらず紅茶は出来たての状態で放置してあるッ!)」

鏡花 ド ド ド ド

鏡花「村上晴喜がスタンド攻撃を受けたッ! そして次に襲われるのは――!!」


――sideカニ子――


カニ子「ページが止めてなくて読みづらいのが難点ッスけど、雑誌に載ってるのよりもキレイだし、
    コミックスよりもページが大きくて細かい部分まで見られるのが生原稿のいいところッスね~」

明日香「あれ? こんなところにこのキャラいたっけ?」
カニ子「え? どこっすか?」

ド ド ド ド

明日香「ほら、ここ、ここ」
キャッツ『おかしいでしね~』

キャラ ググッ

明日香「え!? 今このキャラ動いたような……」
カニ子「まっさかぁ~、そんなはずないッスよォ」
明日香「む~」

キャッツ ピクッ

キャッツ『何かいやな予感がするでし! その原稿は何か『マズイ』でしよ!』

キャラ グバアッ

カニ子「えっ?」
明日香「あっ――! カニ子ちゃん危な――」

カニ子
明日香  ガオオンッ!

キャッツ『と……咄嗟に! 身を引いていたからなんとか助かったでしが……このスタンドはッ……!』

キャラ ド ド ド ド

鏡花「カニ子ッ! 明日香ッ!」ダダッ

鏡花「…………!」

鏡花「きゃ、キャッツ……? カニ子は……? 明日香は……?」

キャッツ『…………』クッ

鏡花 ワナワナワナ

晴喜「あらぁ、心配しなくてもお友達は無事よ?」ペラッ

鏡花「!!? 村上晴喜!? なぜそこにッ!」

ド ド ド ド

紙 ド ド ド ド ド

カニ子「鏡花~!」

鏡花「いったい……どうなって……」

晴喜「『シアター・オブ・ペイン』よ」ド ド ド ド

鏡花「……何言ってんの?」
                             痛みの劇場
晴喜「わたしの『スタンド』の名前よ。「シアター・オブ・ペイン」。ああ、安心して?
    今はこの有様だけど、この子たちなら無事だから」

鏡花「大丈夫とかそういう問題じゃないのよ……! なんの目的でこんなことを……してるわけ?」

晴喜「『作品の為』よ」

晴喜「わたしはね……『岸辺露伴』の大ファンなのよ。この街に来たのも
    露伴先生が住んでると聞いたからだし、漫画家になったのも露伴先生の影響よ」

晴喜「そして、わたしの『作品への姿勢』も露伴先生を参考にしているわ」

鏡花「『リアリティ』……」ド ド ド
晴喜「そう! 『リアリティ』! 露伴先生の言う事を鵜呑みにしてるわけじゃあないわよ。
    漫画家として、露伴先生に追いつくことは不可能よ。でも、少しでも彼に近づきたい!
    そう思って、色んなことを試していくうちに……『リアリティ』を追及することこそ、全てだって気づいたの」

晴喜「『絵!』 自分で言うのもうぬぼれてるようで嫌だけど、あえて言わせてもらうならわたしは『売れっ子』よ。
    この街に来て、目覚めたこの能力のおかげでね……。この子たち、絶妙なバランスでデフォルメされてるでしょう?」

カニ子 ムググ

晴喜「それに、アニメのように滑らかに動く。この「動き」を観察することで、デフォルメした人体の
    「最も自然な動き」を理解する事が出来る…………。それが人気の秘密よ」

晴喜「――とは言っても、まだまだわたしは未熟だから、色んな人に能力を使ってる……ってわけ」
                                                       . ..
晴喜「安心して? 別に取って食おうとか考えてるわけじゃあないわ。ほんの1ヶ月くらい貸してくれればいいだけだし」

鏡花「納得できるわけがないでしょ……!」
晴喜「そ、残念ね」

鏡花「キャッツ! 譲華さんを呼びに行きなさ……」ガオンッ

晴喜「そうはいかないわねぇ~~! この村上晴喜の創作の邪魔はさせないわ……。
    大丈夫大丈夫、ひと夏の思い出が水泡に帰すだけよ……フッフッフッ!」

鏡花「『村上……晴喜……』ペタァ
晴喜「おっと、本名を言っちゃったかな? いやまあ最初から言ってたけどね」

携帯 ド ド ド ド

晴喜「? ……なに、そのあんたの手にある携帯」

携帯『もしもし!? 鏡花!? 今の「村上晴喜」って誰!? あんた襲われてるの!?』

ド ド ド ド

晴喜「ば、バカな! 『アニメ』になったら平面になるから携帯も動かせないはず……!」
    . .. .  .. .  . .. .. . . . .. . .. .
鏡花「わたしが『できる』と思ったならそれはできるのよ……フゥ~~」

鏡花「それが……わたしのスタンド能力」
晴喜「こ、の、ガキ…………――ッ!」ピキキ


――side譲華――


譲華「にしても……ムラカミハルキ……? 一体どこにいるの……?」

木「(こっちでっせえええ~~~~ッ!!)」ブルルウウンブルルウウウン

  明日香「『マーシフル・フェイト』……は……触れなくても『奴隷』にできるッ!」

譲華「な、何アレあの木!」ビクゥ!

譲華「……ちょっと、見てみようかしら……」

スッ

表札(村上) ド ド ド ド

譲華「ムラカミハルキ……! 『村上』……ここよね」ド ド ド

譲華「『クリスタル・エンパイア』!」スゥ・・・

ド ド ド

ガチャア!

SOP『うしゃあッ!』ゴオアッ!

晴喜「ふふ……まさか相手も扉をあけてすぐ攻撃されるとは思ってなかったでしょ…… あれ?」

ド ド ド ド

シィーン

SOP『…………?』
晴喜「……いない?」

ドラアッ!
晴喜「ぐばっ!?」

ドザァ!

カツ カツ カツ

晴喜 !! バッ

晴喜「いや違う……! 『いない』んじゃあない……! これは『見えない』のね……!」ドド

晴喜「くっ! (ここは一旦退いて体勢を整えなくては!)」ダッ

「…………」 ド ド ド

ダダダッ!

晴喜「(敵のスタンド能力……! わたしから姿は見えなかったのに『足音』だけは聞こえたわ!
     おそらく敵の能力は『自身を透明にすること』……! 音に集中すれば……)」

「この部屋……。あなた、漫画家なのね」

晴喜 

ド ド ド ド

譲華 ド ド ド ド

晴喜「(なに……!? 姿を…………自分から見せている……ですって……!)」

CE ズゥ

晴喜「それがあなたのスタンド……。『近距離パワータイプ』のようね……」

CE『オオオオッ!!』ゴオオオッ

晴喜「フフ! 近距離タイプのスタンドにしてはスピードがスットロイわね~~~……!
    わたしだってスタンド使いになってから2年間! まったく他の『スタンド使い』と会わなかったわけじゃあないのよ!」

晴喜「あなた程度のスタンドだったら、触れる事だって簡単……。そして触れる事ができたならばッ!」

SOP オオオオッ

晴喜「『アニメーション』にだってできる……」

SOP スカッ

CE ジジッ

晴喜「アレッ!?」

「かかったわねぇ~~っ! あたしの能力は『透明にしたものを投影できる!』 本物は――」

・・・ズゥ

譲華「こっちよッ!!」

CE『ドララララララララララララララ―――――ッ!!

晴喜 ・ ・ ・

晴喜 ガオンッ!

CE『なッ!?』

晴喜 ズゾゾゾゾ

晴喜「ひやっとしたわ……。わたしの能力がなければやられてた、ってとこね」

譲華「ぐ……!」バッ

晴喜「そして退いたあなたの判断は正解よ……。あと数秒そこにいたなら、わたしのスタンドの餌食だった」

晴喜「今見たでしょう? あなたのスタンドの拳が命中する前に、『シアター・オブ・ペイン』は能力を使った……」

晴喜 ズズゥ ペタァ

晴喜「こうやって自分からぺらぺらになれば、もうあなたから攻撃を受ける心配はない……。
    やっつけさせてもらうわよぉ~~~~!」

譲華「……………………!!」バッ

晴喜「逃がすかあああ~~~~! 『シアター・オブ・ペイン』!」

譲華「……と見せかけて蹴り!」バッ
CE『ドラァ!ドガッ

晴喜「うおおぉっ!?」サッ

譲華「今の内にッ!」ダッ

晴喜「このガキ~~~っ……! 絶対逃がさないわ!」

晴喜「キッチンに逃げ込んだわね……!」

ド ド ド ド

譲華「ぐっ、窓があかない……ブチやぶるしか……!」

晴喜「もう遅い! 脱出不可能よ!!」

譲華「――――ッ!!」

譲華 ニヤ

CE『ドラァ!バシャッ

晴喜「ぎゃっ!?

譲華「……キッチンに置いてあった紅茶がなくなってたことに気づかなかった?」ドドド

晴喜「まっ、前が……」

譲華「さっき、あんた、あたしがフェイントで出した蹴りを避けたわよね?
    あれ、なんで? あんたの言うようにアニメになったヤツは普通の攻撃を受けないなら、避ける必要ないわよね?」

譲華「あんたのさっきの発言は……ハッタリだったッ……!」

晴喜「ハッ――!!」

CE『ドララドラララララララララララララララララ―――――ッ!!バババ――

ドゴオオオオオ――ッ

譲華「……どんなもんよ」

ド ド ド

晴喜「大したパワーね」

譲華「ハッ!?」バッ

晴喜「わたしの能力は触れたものを『アニメーション』にすること。アニメに現実の物理法則はないわ。
    つまりそれは、その気になれば人間を超えた早さで動けるということ…………!」

晴喜「そして既に『シアター・オブ・ペイン』はあなたに触れている……」

ドド ド

譲華 グォオオオオオアアア

譲華 ペタァ!

晴喜「フフ! いい気味ね! あなたも観察してあげるわ……」

譲華「観察……?」

晴喜「ああ、そーいえばあなたには説明してなかったわね。わたしが他者に能力を使う理由」

晴喜「『リアリティ』よ! 岸辺露伴に少しでも近づくために、他者に能力を使って、それを「参考」にするの」

ド ド ド

譲華「露伴先生に近づくために?」
晴喜 コク

譲華「リアリティのため?」
晴喜 コク

譲華「……な~んだ。じゃあ最初っからそう頼めばいいじゃない」
晴喜「え?」

譲華「ったく……。鏡花からの電話で何かヤバそうだからあせってきてみたら……。
    絵のモデルでしょ? そのくらい いくらでもやってやるわよ」
晴喜「……マジで?」

譲華「で、どのくらいで済むの?」
晴喜「ん~、一ヶ月くらい?」

譲華「ええ!? 一ヶ月! そんなの長すぎるわよ! 露伴先生なら30分でやるわよ」
晴喜「……あなた、露伴先生のこと知ってるの?」

譲華「ん? 露伴先生、知ってるわよ。子供のころから」
晴喜「…………紹介してくれない?」

譲華「いいわよ。まあでも――」
晴喜「マジで!? やった――っ!! あんた話の分かるカニね!!」

譲華 プチーン

譲華「てめー……このあたしの頭がどうしたって?」ゴゴゴ

晴喜「……?」

譲華「このあたしの髪型がタカアシガニみてーだとォ!?」ゴオオッ

晴喜「ひいっ」

晴喜「(なんだかよくわかんないけどモノスゴイ怒ってる……!
     でも大丈夫! アニメ化したものは立体に攻撃する事はできないわ!
     檻の中のグリズリーを怖がる子供がおるか? いなぁぁ――いッ!
     やつはブチ切れてるだけのしみったれた原始人にすぎないと思うよ、この村上晴喜はァ! というやつよ!)」

譲華「確かに聞いたぞてめーッ!!」

譲華 ズヌゥ バギャッ!
晴喜「ぐばあっ」ブッ

晴喜「えっ!? なぜ、どうして!?」

ポタ・・・ポタ

譲華「どうしてこのタイミングでカニって言葉が出たのかしらねーけどよォ……。
    え? なんだてめー。それが人に物頼む態度かこらァッ!

晴喜「……血!」

晴喜「(手から血が出るくらい拳を握り締めて……!
     『シアター・オブ・ペイン』は対象が傷つけられれば解除される……! つまり……)」

譲華「あの世で詫びろッ! あたしに!!
晴喜「きゃああああああああああああああ――――っ!!!」


  • 村上晴喜 スタンド名『シアター・オブ・ペイン』
    ――譲華の逆鱗に触れて死亡                           (まではしていない)

  • 「すたんど!」
    ――作者怪我のためしばらく休載

  • 岸部露伴 スタンド名『ヘブンズドアー』
    ――取材旅行中にもかかわらず原稿が上がってるのは
    彼の速筆とSPWのファックス技術の賜物である

⇒TO BE CONTINUED...


登場キャラ


上野譲華 『クリスタル・エンパイア』
( 考案者:ID:r1cdID/p0 絵:ID:9alOiiWg0 )
ぶどうヶ丘高校1年生の少女で、本作の主人公。『クリスタル・エンパイア』のスタンド使い。
この後、何事もなかったかのように鏡花たちを連れて遊びにいった。

泉鏡花 『キャッツ・グローブ』
( 考案者:ID:NgGp9gIn0 絵:ID:gT1wZmr4O )
ぶどうヶ丘中学3年生の少女で、『キャッツ・グローブ』のスタンド使い。
この後、ボコボコの晴喜を見て「譲華の逆鱗にだけは触れないようにしよう……」と心に誓った。

カニ子 『マクシミリアン・シェル』
( 考案者:ID:B8RRg4E0 絵:ID:frkSeYDO )
ぶどうヶ丘高校1年生の少女で、『マクシミリアン・シェル』のスタンド使い。
ちなみに、攻撃を受けた後でも晴喜のファンであることに変わりはないとか。筋金入りである。

千秋寺明日香 『マーシフル・フェイト』
( 考案者:ID:cshF76DO 絵:ID:XNKn0do0 絵:ID:Po8Y1g6o )
ぶどうヶ丘中学1年生の少女で、『マーシフル・フェイト』のスタンド使い。
その後しばらく、「すたんど!」がトラウマになって読めなくなった。

村上晴喜 『シアター・オブ・ペイン』
( 考案者:ID:nTqS/JDxO 絵:ID:AAhzT0K+0 )
ぶどうヶ丘に住む人気女性漫画家で、『シアター・オブ・ペイン』のスタンド使い。
露伴に心酔しており、釈迦だろうとキリストだろうと彼には遠く及ばないと信じている。
譲華の逆鱗に触れてしまい、全治数週間の怪我。(悪者じゃないから手加減されたようだ)
そのうえ目当ての露伴は現在取材旅行に出かけていると知りダブルショック。しばらくは精神的に再起不能。

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