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私立玉響学園高等学校


概要

 私立玉響学園高等学校は、ユピトル学園主権連合体のサガミハラ銀河連邦学区に属し、相模大野地域に校地を置く私立の高等学校である。
学区の裁量のもとで学年制を敷き、三言語の併修と宇宙科学の課程を学風の柱に据えている。

成立経緯

 学園は場所ではない場所にある場所として存在していたが、場を維持していた言語殺部の部長、雨宮瑠詩が気絶したために、世界線が収束する形で歴史が修正されている。雨宮と対峙して気絶に至らせた三名の中には、遊理部のセラニーヤ・フォルクネールが加わっていた。特異収集局はモニタリング調査で現象的な歪みを検出し、歴史が強制的に修正されたために生じたものと分析しており、共立世界内の解釈としては、歪みは現実改変によるものと結論付けられている。修正後の歴史において、学園は当初から共立世界に存在していたものと認識されており、事の真実を知るのは、特異収集局を含む文明共立機構の一部と、事件に居合わせた当事者のみである。

補足事項
 本作はTRPG由来の設定であり、TRPG:YRCsの本編(場所ではない場所にある場所(イズ・ノット・プレイス)編)の第一部『アンティバベル――私立玉響学園言語殺部』に初出する。
このシナリオは史実であるため、現実改変外の成立経緯については、シナリオページ及びセッションログを参照のこと。

校訓

 三つの校訓は、掲げられた時期が記録の上で曖昧なまま伝わっており、学術の成果と人格の形成を一続きの目標に置く学園の方針を言葉に定めている。

知識の探求

 「知識の探求」は、学問への好奇心から深い理解と創造力を育てる校訓であり、玉響学園では言語の習得を探求の入口に据えている。旧世界の母語である日本語の課程に、ユピトルの公用語にあたるロフィルナ語を重ね、必修の共立英語を加えた三言語の併修が、全学年の課程に組まれている。原典を三つの言語で読み比べる演習では、訳語の揺れを手掛かりに概念の輪郭を確かめる手順が繰り返され、批判的な思考の訓練に充てられる。ユピトル全土に共通する教育方針の新生論も同じ演習の形式で扱われており、世界の成り立ちを論じた文献を、複数の言語で検める授業が三年間を通して続く。研究発表会と科学コンテストは定期的に開かれ、生徒は自らの成果を壇上で示して、聴き手からの意見を持ち帰る。提携先の大学や研究機関では、特別講義の受講と実験施設の利用が生徒に許され、現場の研究者による講演会も重ねられてきた。大学に進んだ後、在学中に手掛けた研究を引き継いで深める卒業生も出ている。

友情の構築

 「友情の構築」が目指すのは、多様な仲間との関わりを通じて、互いを支え合う精神を養うことである。学級は相模大野で育った転移者の子弟と、各国から渡ってきた留学生を混ぜて編成されており、ホームルームの議事は共立英語で進められる。母語の違う生徒同士が当番や係を分け合ううち、伝わりきらなかった指示を言い直して確かめる習慣が、教室に根付いていく。学業の期間を区切りに留学生が入れ替わると、新たに加わった級友を迎える役目は、前年度から残る生徒に回る。学園が企画するボランティア活動は、地域の福祉施設への訪問と、環境保護を目的とする清掃活動を二本の柱に置く。教室を出た生徒は地域の住民と言葉を交わし、学園と地域の結び付きを、顔の見える付き合いの中で確かめていく。参加した生徒からは新たな視点を得たとの声が寄せられ、活動の記録は翌年度の企画を練る材料に回される。

夢の実現

 「夢の実現」は、自らの可能性を信じて未来に挑む姿勢を奨励する校訓であり、目標に向かって壁を越えていく過程を、成長の証として重んじる。学年制を敷く学園でも序列の申請は生徒個人に委ねられており、在籍する学年とは切り離された評価として、本人に付いて回る。ミッテル・ファウンダー以上の序列を得た生徒には校内通常委員会への参加の道が開け、学園の運営に意見を届ける立場に就ける。上位の序列を持つ生徒に限って履修を認める選択科目の枠も設けられ、学年の歩みを保ったまま、実力に応じて学びを先に伸ばせる。キャリアカウンセリングと進路指導では、教師が生徒一人ひとりの計画に助言を与え、序列を申請する時期の見極めも相談の主題に加わる。各分野の専門家を招く講演会が職業と進路の幅を示し、企業や研究機関でのインターンシップでは、教室で得た知識を実務に当てはめる経験が積まれていく。

主な学校施設

 校舎群は現代の建築技術を取り入れて構内に配され、春は校門から校舎まで桜並木が続き、夏には木陰が屋外の学習の場に充てられる。

図書館

 図書館が収める数万冊の蔵書には、同じ著作を三つの言語の版で揃えた翻訳資料の区画があり、言語の課程で原典を読み比べる生徒が棚の前に集う。蔵書の分野は人文科学と社会科学に自然科学を合わせた範囲に及び、専門書から一般教養書までを揃える。学術データベースと電子書籍を含むデジタルリソースは館内の端末から引け、最新の研究動向を追う生徒は、放課後や休日にも足を運ぶ。静かな自習の席とは壁で隔てた位置に、議論を交わせるグループ用の部屋が設けられており、学習の形態に合わせて空間を選べる。閲覧席は、長時間の学習を想定した配置を採る。職員は資料検索の相談に応じつつ、文献調査の手順を生徒に指導して、研究の下地を一緒に整える。訳書の比較を主題とする特別展示が組まれる年もあれば、作家を招いた講演会が館内で開かれる年もある。

理科実験室

 理科実験室は分野ごとに部屋を分けて構成され、宇宙科学の課程に属する実践授業の多くもここで行われる。化学実験室では化学反応の観察と物質の分析が進められ、生物実験室には、細胞の観察に用いる顕微鏡と遺伝子を扱う機材が揃う。力学と電磁気学の実験を受け持つ物理実験室は、宇宙機の姿勢制御を模した実験にも開かれており、ロボット工学の授業で組んだ機体を載せる試験台が常設されている。生徒は仮説の設定から検証を経て、結果の考察に至る過程を実験ごとにたどり、記録の書式も研究機関の様式に合わせて書き、観察の日時と条件を毎回書き添える。保護具の着用と薬品の取り扱いについては入室のたびに指導が入り、教師は研究倫理と安全管理を、授業の初回から説いていく。機材は定期的に更新されて新しい研究手法に追随し、実験の成果を学会の場で発表した生徒も出ている。

音楽ホール

 約500席の客席を備える音楽ホールは、芸術系の課程で学ぶ音楽と演劇の授業に実演の場を提供し、放課後は音楽部と演劇部の稽古に明け渡される。客席は後方の列からも舞台の床面を見通せる傾斜で組まれており、演者の足運びまでが客席に届く。舞台は可動式の設計を採っており、演劇やダンスの公演に合わせて、袖と奥行きの使い方を組み替えられる。音響設備に加えて舞台の照明設備も整い、演出の意図に沿った場面の転換を、客席の目の前で行える。ホールの裏手には音楽室と個人練習室が連なり、防音を施した練習室では、楽器の演奏と声楽の発声練習が並行して進む。定期公演は生徒が企画から運営までを受け持ち、一部の公演は地域の住民にも開放される。著名な音楽家や指揮者を招いた特別演奏会の日には、生徒は客席の前列に陣取り、職業演奏家の指使いを目で追う。

体育館

 体育館は多目的に使える広い空間を持ち、バスケットボールとバレーボールのコートを引いた面の脇に、柔道の畳を敷く一角を設けている。床面には衝撃を吸収するスポーツ用の素材が張られ、着地や受け身の際に体に掛かる負担を和らげる。観客席は可動式であり、催しの規模に合わせて配置を組み替えれば、多数の観客を迎える大規模な競技会にも応じられる。館内の空調は暑い時期と寒い時期の双方で一定の環境を保っており、体育の授業と放課後の部活動は、年間を通じて同じ条件のもとで続けられる。運動部にとっての主要な活動拠点であるため、平日の夕方は、複数の部が区画を分け合って練習の時間を融通し合う。併設のトレーニングルームには、筋力トレーニング用の器具とランニングマシンが並ぶ。体育教師とコーチは科学的なトレーニング理論に基づいて計画を組み、生徒は指導のもとで体力の向上を段階的に図る。

プール

 屋内に設けられたプールは温水の設備を持ち、水泳部の練習と体育の授業に、冬場も含めて一年を通じて使われる。全長25メートルの水槽には複数のレーンが引かれており、泳法の基礎から応用までを習熟度に沿って教える授業では、レーンごとに課題を分けて生徒を振り分ける。水難に備えた安全対策と救命技術の指導も、泳法の授業と並んで課程に組み込まれた。水質は定期的な検査と浄化処理によって保たれ、プールサイドには練習の合間に体を休める区画が置かれる。ユピトル全土の大会に出場した実績を持つ水泳部では、コーチが記録の伸びを見極めながら、専門的な指導を重ねる。授業と部活動の時間帯を外れた枠には、水中エクササイズとリラクゼーションのプログラムが組まれ、健康の維持を目的とする利用者がレーンを分け合い、指導員の号令に合わせて水中で体を動かす。

美術棟

 美術棟は展示のための美術館と、制作のためのアートスタジオを一つの棟にまとめた施設であり、芸術系の課程で学ぶ美術の授業もここで行われる。スタジオの大窓は構内の並木に面しており、秋の紅葉と冬の雪景色が、写生の題材として授業に織り込まれる。油彩と水彩の画材に加えて版画の機材が揃い、絵画から彫刻までの制作を一つの棟で完結できる。デジタルアートの制作に用いるコンピュータも設置され、手描きの下絵を読み込んで画面上で仕上げる生徒の姿がある。美術館の展示室は企画展と常設展の双方に対応しており、外部からの来訪者にも公開される展覧会が、年間を通じて入れ替わる。地域のアーティストを招いた特別展の会期中、生徒は招待作家の作品を前に、現代美術の動向に触れる。指導にあたる美術教師は生徒の個性を尊重し、技法の助言を本人の構想に沿わせて与える。

主な行事

 年間の行事は生徒の手による運営を原則とし、入学から卒業までの節目と学外への公開の機会が、学年制の暦に沿って配されている。

文化祭

 文化祭の準備期間は約2ヶ月に及び、生徒は授業の合間と放課後の時間を割いて、クラスやクラブごとの展示とパフォーマンスを仕上げる。各クラスはテーマパーク風のブースを設けてゲームや模擬店を営み、演劇部は部員の書き下ろした脚本で劇を上演する。演劇部の舞台では、同じ脚本を日本語と共立英語で交互に演じる翻訳劇が恒例の演目となっており、字幕の作成には文学部の部員が加わる。音楽部はバンド演奏と合唱を披露し、科学部が実験のデモンストレーションで来場者の足を止める。会期中は美術部の作品展示と並行して茶道部の茶会が開かれ、来場者は一服の茶を通じて日本の伝統文化に触れる。学術研究の発表から娯楽性の高い企画までが一つの構内に揃い、各団体の特色が展示の一つひとつに反映される。会場の配置と時間の管理は文化祭実行委員会が全体を見渡して調整し、地域の住民に開かれた会場は、多くの来場者で賑わう。

体育祭

 体育祭の種目は、各クラスの代表が新企画の案を持ち寄って説明した後に生徒の投票で決まり、例年の競技と新たな企画を組み合わせた番組が、クラス対抗の形式で一日を埋める。走る種目の花形はリレー競技であり、球技ではトーナメント方式の試合に加えて、サッカーの試合が組まれる。障害物競走と綱引きはチーム全体の協力を問う種目にあたり、足並みの乱れが、直に勝敗に響く。各クラスには色が割り当てられ、クラスカラーで染めた応援グッズと横断幕が、客席をクラスごとに区切る。競技の合間には応援合戦とチアリーディングが披露され、観客席の熱気を次の競技に引き継ぐ。運動部の生徒は各種目で中心に立ち、競技に不慣れな級友に走順や立ち位置を指示して回る。得点は競技ごとの結果から集計されており、最終種目を終えた後、総合優勝のクラスが発表される。

修学旅行

 修学旅行は3泊4日の日程で行われ、目的地は教育的な価値と安全性を基準に、年度ごとに選び直される。行き先の候補にはアケノミヤ学区も含まれ、サガミハラと同盟を結ぶに至った経緯と、旧世界から街ごと渡ってきた都市の歩みを、現地のガイドの説明で学ぶ。歴史的な名所と博物館を巡る行程では、ガイドが展示の背景を解説し、郷土の料理と伝統工芸を体験するプログラムも組み込まれる。出発前の事前学習で訪問先の知識を蓄えた生徒は、宿泊先の周辺に設けられた班別行動の時間に、自分たちで立てた計画に沿って動く。集団で行動する日程の中に自主的に動く時間を挟む組み方が、協調性と自主性の双方を養う。夜には一日の学習をまとめる振り返りの時間が設けられ、班ごとに得た知見が、宿泊先の広間で共有される。

入学式

 入学式は体育館を会場とし、保護者の見守る中で、新入生が学園の一員として迎え入れられる。校長は壇上で教育理念を説き、学業への取り組みと学園生活の心構えを新入生に伝える。在校生代表による歓迎の挨拶に続き、上級生がクラブ活動の紹介と歓迎のパフォーマンスを披露すると、式の後半は先輩たちの舞台に移る。三つの校訓と学園の歩みについて説明を受けた後、新入生は各教室に分かれてホームルームに臨み、担任教師との顔合わせを済ませる。席の配置と係の分担はこの日のうちに決まり、翌日からの授業に備える。続くオリエンテーションでは学園生活の手引きが配られ、序列の申請を個人で行う手順も、この場で初めて説明される。学年制の課程と序列の評価が並び立つ仕組みを、新入生が最初に知る機会であり、質問の時間は例年長く取られる。

卒業式

 三年間の課程を修めた生徒を送り出す卒業式では、卒業証書が一人ずつ名前を呼ばれて、壇上で手渡される。証書に記されるのは学年の課程を修了した事実であり、在学中に得た序列は、証書と切り離された記録として本人の手元に残る。校長と教師たちの祝辞に卒業生代表の挨拶が応え、在校生は送別のパフォーマンスで先輩を見送る。式の途中で上映されるスライドショーと映像は、入学式の日から学年を追って行事の記録をたどる構成で編まれ、三年間の努力と成果を振り返る時間となる。式典を終えた卒業生は各教室で最後のホームルームに臨み、担任教師の言葉を受けた後、同級生と別れを惜しむ時間を過ごす。黒板には在校生が前夜に書き残した寄せ書きが残され、卒業生は一文ずつ読み上げて笑い合う。教室を後にした卒業生は、学園で積んだ経験を糧として、それぞれの進路に踏み出していく。

オープンキャンパス

 オープンキャンパスは入学を検討する生徒と家族に学園を紹介する催しであり、新入生の募集に向けて毎年開かれる。参加には事前の申し込みが求められ、当日は在校生が案内役を務めて、校舎のツアーを先導する。見学の順路は図書館と理科実験室を巡ったのち音楽ホールに抜ける形を取り、各施設の設備の説明に加えて、実際の授業の様子も教室の後方から観察できる。三言語の併修を体験する短い模擬授業では、同じ一文を三つの言語で言い表す演習に、参加者が在校生と組んで挑み、言い回しの違いが生む意味の幅を、その場で確かめ合う。クラブ活動の体験では運動部と文化部の練習に加わり、在校生と言葉を交わしながら学園の雰囲気を肌で感じ取れる。教師による個別相談の席も設けられており、入学の手続きから進路の見通しまで、参加者の質問に一つずつ答えていく。

主な部活動

 部の設立と存続は玉響学園高等学校自治校則に定める構成要件に従っており、各部は文化系と運動系に科学系を加えた三つの系統に属する。

文化部

 文化系の部は音楽ホールと美術棟を主な活動拠点とし、文化祭の会期には、各部が日頃の成果を校内外の来場者に示す。

文学部
 詩と小説の創作に取り組む文学部では、部員が放課後に集まって互いの作品を読み合い、批評会で建設的な意見を交わす。三言語を併修する部員の中には、自作を共立英語やロフィルナ語に訳し直し、原稿と訳稿を並べて推敲する者が多い。訳す過程で原文の曖昧な箇所が浮かび上がり、書き手は表現の詰めの甘さに自ら気付く。訳稿は別の部員が読み、意味の取り違えを指摘する分担が組まれており、訳者は指摘の根拠を原文に当たって確かめる。年に数回発行する部誌には、原稿と訳稿を見開きで組んだ頁が設けられている。創作技法の勉強会と作家を招いた講演会は部の企画として開かれ、小説と詩に加えてエッセイにも筆を伸ばす部員が、表現の幅を広げていく。学内のコンテストに作品を出すほか、外部の文学コンテストにも応募を続けており、受賞の実績を持つ部員が部誌の巻頭を飾る。

美術部
 美術部の部員は放課後のアートスタジオで制作に励み、仕上がりかけた作品を囲んで、構図や色の選び方を論じ合う。表現の手段は絵画と彫刻を軸に据えており、デジタルアートに取り組む部員はスタジオの端末で制作を進める。古典から現代美術に至る美術史の学習は技法研究と組み合わせて進められ、模写で確かめた古い技法を、自作の画面に応用する試みが繰り返される。完成した作品には制作の意図を記した短い解説を添える決まりがあり、部員は言葉で作品を語る訓練も積む。外部のアーティストを招くワークショップは、授業の外にある専門の技術を部員が直に教わる場となる。学内外での展覧会は年に数回開かれ、外部のアートコンテストにも作品を送り出す。才能を磨き合う部員の中から、美術系の大学に進んでプロのアーティストを目指す道を選ぶ部員も出ている。

茶道部
 茶道部は日本の伝統文化である茶道を稽古の対象とし、部員は礼儀作法と茶の点て方を段階を追って身に付ける。稽古の場では茶会と茶事の作法を繰り返し、亭主と客の役を交代で務めることで、迎える側と招かれる側の心配りを体で覚える。学内で定期的に開く茶会には来賓を招き、部員が点てた茶を振る舞う。来賓の多くは茶道を初めて体験する留学生であり、部員は作法の意味を共立英語で添えながら一服を勧める。年に一度の野外茶会は季節の風情に合わせて道具の取り合わせを考える機会であり、茶道の歴史と茶器の由来を学ぶ座学が、準備の過程と結び付けられている。外部の茶道教室との交流会では他校の茶道部とも顔を合わせ、互いの点前を見せ合って親睦を深める。茶道の資格の取得を目標に据えた部員は、稽古の回数を自ら増やし、師範の点前を間近で見て技能を磨く。

音楽部
 音楽部は合唱と楽器演奏を活動の両輪とし、器楽の部員はオーケストラと吹奏楽の編成を中心に、ジャズバンドの小編成を交えた複数の形態で演奏する。個人練習で各自が譜面を仕上げた後、編成ごとの合同練習で音を重ねる手順を取っており、練習の日程は音楽ホールの使用の枠に合わせて組まれる。合唱の部員は日本語の曲に加えてロフィルナ語の歌詞を持つ曲にも取り組み、発音の指導には言語の課程の教師が加わる。年に数回の定期演奏会では、クラシックからポピュラー音楽までの曲目が並ぶ。地域の音楽祭への出演とコンクールへの出場も年間の予定に組み込まれ、コンクールでは優秀な成績を重ねて、ユピトル全土の大会に駒を進めた実績を持つ。音楽大学への進学を志す部員には専門の指導が用意され、受験の課題曲を見据えた個人指導が、放課後の練習室で続く。

言語殺部(廃止済み)
 言語殺部は、学園が場所ではない場所にある場所として外界から隔たっていた期間に置かれた、過去の部である。部長の雨宮瑠詩は生徒会長を兼ねて権力を一手に握り、自ら作り上げた人工言語「アクラ」によって、学園の思考を統制する体制の構築を部の目的に掲げた。修正後の記録では、学園の過去が共立世界の暦に組み込まれた結果、部の創設は共立公暦988年10月21日とされる。異変を把握したユピトルの警察にとって、校内に立ち入る経路が開いたのは、成立からおよそ八日後に部長が気絶し、学園を閉ざしていた術式が解けた時点であった。警察と救急部隊は共立機構国際平和維持軍とともに直ちに校内に入り、部長の身柄は平和維持軍が拘束している。現実改変に関わる事件であったため、身柄はまず特異収集局が捜査権限のもとで預かり、調べを終えた同年12月10日に、ユピトル側に引き渡されて逮捕が成立した。自治校則に定める「部員の消滅」の廃部要件が逮捕によって満たされ、部は即時に廃されたうえ、学生理事会の禁止解散命令により、同名の部を再び結成する道も閉ざされている。

運動部

 運動系の部では、序列の審査が健康を評価の項目に含めることを踏まえ、日々の練習記録を部ごとの様式で保管している。

サッカー部
 サッカー部の練習は、ボールを扱う基礎技術の反復から始まり、戦術の理解にまで段階を上げていく体系で組まれている。部員は自分のポジションが担う役割を図上で確かめた後、紅白戦の中で、味方との距離の取り方を体に覚え込ませる。専門の知識を持つコーチは個々の技能を見極めて課題を割り振り、日々の練習と試合を通じて、技術の向上と体力の増強が並行して図られる。試合の後には映像を見返し、失点の場面で崩れた位置取りを部員同士で指摘し合い、翌週の練習の課題に据える。学区大会での上位進出を目標に、部員は放課後と休日にも練習を重ね、学内外の大会で実戦の経験を積む。運動部の中でも所属する生徒が多く、学年をまたいだ編成の中で、チームとして動く感覚を学ぶ場となっている。ユース世代のユピトル代表には、在籍中の部員が選出された実績もある。

陸上部
 陸上部では、短距離走と長距離走の走種目に跳躍競技を加えた種目ごとに練習の班を分け、科学的な理論に基づく専門のトレーニングを班ごとに組んでいる。タイムと跳躍距離は練習のたびに計測され、前回の数値と比べた伸びが、翌日の練習内容を決める。部員は個人種目での記録の更新を目指す傍ら、リレーのバトンパスを繰り返して、受け渡しの区間を詰めていく。冬の時期は持久力を養う走り込みに比重を移し、春先の記録会に向けて体を作り直す。跳躍の班は踏み切りの位置を映像で確かめ、助走の歩数を一歩単位で調整する。走力を高める練習の前後には筋力トレーニングと柔軟性を養う運動が置かれ、故障を防ぐ体づくりが走る練習と一続きになる。学区大会への出場で競技の経験を重ねた部員の中から、ユピトル全土の大会を目標に掲げる者が現れ、部はこれまでに優秀な選手を送り出してきた。

剣道部
 剣道部は日本の伝統武道である剣道を稽古し、礼儀作法と技術の習得を通じて精神力と集中力を養っている。稽古は基本動作の反復から応用技の習得に向けて段階を追って進み、部員は自分の技能に見合った段の稽古に加わる。指導にあたる有段者は、打突の正確さとともに、礼に始まり礼に終わる所作の乱れにも目を配る。稽古中の掛け声と号令は日本語で統一され、日本語を学び始めた留学生の部員も、竹刀を交えるうちに号令の意味を体で覚えていく。防具の着け方と手入れの手順は、入部の初日に上級生が一人ずつ付いて教える。試合には個人戦と団体戦の双方で臨み、学区大会からユピトル全土の大会を目指す道筋が、部の年間計画に描かれる。昇段試験への挑戦は部員ごとの目標に組み込まれており、継続的な稽古の末に、高段位を取得した部員もいる。

科学部

 科学系の部は理科実験室と屋上の観測設備を拠点とし、宇宙科学の課程で学んだ内容を部活動の研究に生かす生徒が集まる。

ロボット研究部
 ロボット研究部はロボットの設計とプログラミングを活動の中心に置き、部員は自分たちで組み上げた機体を、コンテストや大会に送り出している。機体の開発では機械工学と電気工学の知識を土台に、制御を書く情報工学の技能が組み合わされる。部員はチームを組んで役割を分け、設計の段階から製作を経てプログラミングに至る工程を一巡する。宇宙科学の課程と歩調を合わせて、低重力の環境を模した試験台で歩行や把持の動作を確かめる機体も、開発の対象に含まれている。大学の研究室と連携する機会を通じて最新の技術動向に触れつつ、ユピトル全土の規模で開かれるロボットコンテストへの出場を目標に、放課後と休日の作業が重ねられる。大会の直前には、試験台での動作確認を夜間まで繰り返す日々が続く。技術者を志して工学系の大学に進み、研究を継続する卒業生も多い。

自然科学部
 自然科学部の部員は興味に合わせて研究のテーマを定め、生物学と化学に物理学を加えた分野ごとに、研究のグループを組む。グループは学園の実験設備を使って独自の研究課題に取り組んでおり、観察の記録と実験の記録を、共有の研究ノートに書き継ぐ。ノートは代替わりの際に次の学年に引き渡され、先輩の残した失敗の記録が後輩の実験計画を助ける。年度の初めに立てた研究計画は中間報告を経て練り直され、外部の科学コンテストへの出品に向けて仕上げられる。コンテストでは優秀な成績を収め、審査員から受けた講評は、次の年度の研究計画に反映される。大学の研究機関との共同研究では、部員が試料の採取と測定の一部を受け持ち、研究者の指導を受けながら結果をまとめ、論文の体裁に整える作業まで経験する。科学者を志す生徒の多くが、学びの場としてこの部を選ぶ。

天文学研究部
 天文学研究部は学園の屋上に据えた天体望遠鏡を使って定期的に観測を行い、天体写真の撮影と観測データの解析を活動の両輪に置いている。新生論が語る世界の成り立ちを、自分たちの観測データで検証する試みは、代々の部員に引き継がれてきた継続課題となっており、解析の結果は部の勉強会で報告される。上級生の講評を受けた下級生は、観測の計画を立て直して次の夜に臨む。観測の可否は天候に左右されるため、部員は気象の予報を読み解く手順も身に付け、観測に適した夜を見極める。天文学に関する講演会も部の企画として開かれ、宇宙科学の専門的な知識を部員が少しずつ蓄える。年に数回の観望会は地域の住民に一般公開され、部員が望遠鏡の操作を来場者に手ほどきする。天文学や宇宙工学を専攻できる大学に進み、観測の研究を続ける部員も出ている。

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最終更新:2025年11月06日 21:38