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ユピトル学園主権連合体

ユピトル学園主権連合体
国の標語:羽ばたく未来へ!
基本情報
主な言語 ロフィルナ語
共立英語
共立エスペラント語
首都 サー・フォス
最大の都市 同上
政府 学生理事会
国家元首の称号 代表理事(会長)
国家元首の名前 エレイナ・フィルトヴァール(ロフィルナ人)
行政長官の称号 連合体首相
行政長官の名前 セレス・ヴィ・レベラソール(ツォルマリア人)
建国 共立公暦100年4月8日
主な宗教 エルドラーム星教
同ブルシェク派
仏教
キリスト教
イスラム教
ヒンドゥ教
通貨 ユピトリー・ルム
総人口 252億4425万人
 ユピトル学園主権連合体(ロフィルナ語:Jobsterm derir lufia vi Jupitor/ヨブステルム・デリル・ルフィア・ヴィ・ユピトル、共立英語:Academies' Autonomous society of Yupitor/アカデミーズ・オートノモス・ソサエティ・オブ・ユピトル、共立エスペラント語:Lerneja aŭtonoma kolektivo de Jupitor/レルネーヤ・アウトノーマ・コレクティーヴォ・デ・ユピトール)は、学生理事会を代表とする学園都市の連合体である。文明共立機構に加盟している。


歴史

 かつてこの宙域は、セトルラーム連邦に属する植民地として編入されていた。しかし、セクター・イドゥニア大戦の勃発から、帝国遠征軍が襲来すると、無差別な爆撃を受け、以降は人の住む余地を失った不毛の領域として捨て置かれた経緯がある。大戦後期に連邦主力がイドゥニア方面に進出すると、その空白に漂流難民が集結し、巨大なブラッドコミュニティとしての復興を遂げていった。学園構想が芽生えるのはまだ先の話で、宇宙新暦4525年、セトルラーム艦隊が再編入の動きを見せ始めると、多くの市民が武器を取って立ち上がり、30年もの長きに渡る闘争を続けたのである。その時、抵抗軍を率いたのがルドラトリス大学出身のセレス・ヴィ・レベラソールで、この女性は様々な理由によって国を追われた暴徒を糾合し、軍事化した。一人の英雄によって導かれた漂流難民は、やがて忠誠を誓うようになり、エールミトナにおいて一つの星系国家〈ユピトリー王国〉が成立した。時の女王となったレベラソールは、当時独裁者であった本国の長ヴァンス・フリートンを説得。独自の教育構想を訴え、新時代における学園国家の建設を認めさせたという。やがてセトルラームも民主化し、国際社会の支援が本格化すると、ユピトリー王国は更に領域を拡張。共立公暦100年に至っては、現在の3星系に跨る学園主権連合体としての変貌を遂げた。教育こそが世界平和の要となることを確信するレベラソールは、初代学生理事会代表として活躍。世界中に散らばる数多の人材を発掘し、以後の発展へと繋げたのである。

国民

 教育を国是とするユピトルの性質上、構成国民の9割が学園関係者で占められる。また、極端に多国籍であり、多文化であることから必然的に自由な気風が形成された。晴れて学園を卒業した大人達には引き続きユピトルのために働く選択肢が与えられ、母国に帰還することも可能である。序列の資格を得た一定の卒業生は、母国もしくは新規移住国での就職を希望し、誇りある精鋭としての道を歩んだ。何らかの事情により、残留を希望した場合は教職者に転じるか、指定産業の労働者として採用される必要がある*1。就職先を欠く場合は、共立学園治安維持アライアンス(見守り隊)への入隊が勧められる。過酷な競争社会でありながら国民の生活水準は高く、福利厚生も充実しており、ユピトルでの生活を夢見る者は多い。戦後、長きにわたる復興の過程から、転移者を含む多くの移民を受け入れ、発展の原動力としてきた歴史を持つ。転移者星間戦争を起点に世界中の特異難民(転移者)を迎え入れてきた経緯があり、今日までに総人口の4割を占めた。共立公暦700年から、共立英語を必修科目として普及させ、ロフィルナ語に次ぐ事実上の公用語として広く話されている。

民族構成

 近年、セトルラームからの移民が増加傾向*2にあり、イドゥニア系が最多となった。次に多数を占めているのがツォルマリア人で、本国系とギールラング系の双方にわたって多くの人種が定着している。その他、関係各国の移民と、相当数の転移者を受け入れ、ユピトル独自のグローバルな社会システムを形成した。国民の源流をたどれば、建国の担い手となった漂流難民の末裔が最も古い層にあたり、以後の移民の波は層を重ねる形で社会に加わってきた。旧世界の都市ごと運ばれてきた転移者は、出身の世界を同じくする住民が一つの学区にまとまって暮らす例が多く、学区ごとに住民の構成が大きく偏る。一方、各国から渡ってくる留学生は学業の期間を区切りに入れ替わるため、学園の周辺では出身もまちまちの若者が途切れる間もなく流入と流出を繰り返し、人口の顔ぶれは年ごとに塗り替えられる。卒業後に残留を選んだ者が家庭を築けば、その子はユピトル生まれとして新たな層に加わり、ユピトルを故郷とする世代が少しずつ厚みを増している。

文化

 移民を積極的に受け入れ、鼓舞する風潮から、ユピトルの文化は旧ユピトリー王国にまつわる従来のイメージから相当かけ離れて久しい。新旧を通じて多くの異世界系ギルドが成立し、若年サブカル層を刺激する新たなSNSの発展にも繋がった。地球由来の商品も豊富に出揃うことから、故郷を懐かしむ転移者にとって馴染み深い生活を送ることができる。学生の国らしく、大規模な若年文化振興政策を推進するため、世界の中でもトップクラスに変化の激しい社会を形成している。転移者由来の文化として、地域毎に公共のオタロードを張り巡らせているが、かつての印象を覆す陽キャ天国へと変貌を遂げた。学園生活の隅々に序列が浸透した国柄から、序列の上下は校内の人間関係にまで影を落とし、学生の間では序列に基づく独特のスクールカーストが形づくられている。ブラッドコミュニティの時代から受け継がれた決闘の作法も日常に根を下ろしており、「構えよ」の掛け声は、学生同士の口論の締め括りに冗談めかして持ち出されるほど耳に馴染んだ言葉となった。街角ではサークル活動の延長にある路上公演や手製の遊戯が人を集め、学生の発案した催しが連日のように通りを賑わせている。

宗教

 ユピトルで最も多くの信徒を抱える宗派は、旧宗主国に起源を持つエルドラーム星教ルドラス派である。セトルラームからの移民が増え続けるにつれて信徒の数も膨らみ、イドゥニア系の住民を中心に学区の隅々まで祈りの場が広がった。教義を時代の社会通念に照らして改めてきた宗派の気風は、変化の激しい学園社会とも噛み合い、学びを重ねた知識がやがて叡智となり創造の糧になると説く生活観は、教育を国是とするユピトルの学生に受け入れられやすい。偉人を列聖して神に数える多神教の形式を採り、神々も元は人間であったと定める教えは、努力によって序列を昇る学園の気風とも重なり合う。宗派の運営は地域ごとの自治に委ねられており、学区ごとに独立した共同体が営まれる形も、各学園に強い自治権を与えるユピトルの統治と相性が良い。全国共通の教育方針に据えられた新生論のもとで、信仰の語る世界の成り立ちを学術の手で検証する営みが、教室と祈りの場の双方で続けられている。エルドラーム系列の他の宗派を奉じる移民も暮らしており、ルドラス派と教義の解釈を巡って対立してきたブルシェク派の信徒が同じ学区に住む場面では、学区の自治が摩擦の調停を担う。転移者が旧世界から持ち込んだ宗教も一定の信徒を抱え、曜日ごとに列聖の神を祝う星教の行事と、地球由来の祝祭が一つの暦の上に並ぶ。

政治

 最高機関たる学生理事会を筆頭に、中央省庁にあたる複数の委員会が国の行政を担う。連合議会は主に各学区の代表(学園総務)からなる学生会議(上院)と、大人達によって開かれる教職会議(下院)の代議士から構成された。学生会議への抑止力として、教職選挙における大人の参政権を明記し、均衡を取っているが、立候補には序列の有資格者(ミッテル相当)であることが条件となる。教職議員への投票自体は資格を問わず広く認められた。一方、憲法上の規定により、学生の身分にあたる者は教職選挙から除かれる。司法権は聖職裁判所の管轄に属し、法曹資格を持つ教職員の中から任命する制度を構築した。三権は名目上分立しているものの、学生理事会の権限が強く、一定層の不満を抱えているのが現状とされる。学生理事会の長たる代表理事は任期4年の二期制で、立候補の最低要件はラボラトリー在籍相当の資格を持つこと。慣例上では、G.M.(グランド・マスター)相当の実力を示すことが求められる。これらの条件を満たす学生の中から、学区ごとに選出された選挙人団の投票をもって任命される。首相は、学生を除く全国民の投票を経て成立した最大与党(下院最大政党)の総裁が務める。主な役割は、代表理事の職務を支え、必要に応じて牽制することであり、こちらは主にラボラトリー所属の大人が担う。各学園には強い自治権が与えられており、地域主権が機能することから最低限必要とされる役割分担を進めた。このような仕組みを取るのは建国者レベラソールの意向によるところが大きく、幼少の頃からJumir Alia(ユミル・アリア:最上の高貴さ=責任)の概念を学ばせ、未来への投資に繋げるためである。

学園政府

学生理事会

 連合の長たる代表理事を筆頭に、閣僚相当の理事が列席する国政の最高機関であり、下から上がってきた議題の最終決定権を持ち、独自の企画案を布告する権限も有した。議題の多くは上級委員会の審議を経た政策案が占め、学区の学園総務から回ってくる開発計画も、決裁を仰ぐ案件として同じ卓に載る。定例の会議では代表理事が議長席に就いて開会を宣言し、理事の合議で結論を導いたうえで、意見の割れた案件は代表理事の判断に委ねられる。議事録には議題ごとに決定の理由を書き添える欄が設けられ、決裁の根拠は後の審議に引き継がれていく。理事の席に就けるのは序列のマスター層に属する者であり、学生の中でも一握りの上位者が国政の中枢を占める構図となった。組織の隷下には序列審査機関が置かれ、申請のあった学生の学力と異能の力を資料に基づいて審査し、独自のランクを付与する実務を担っている。序列を定める権限と国政を決める権限が同じ機関の内側に収まる仕組みは、理事会の権限の強さを支える土台であり、一定層の不満が向かう先ともなってきた。

  • 学生理事会ロゴ
 画像右の丸いシンボルマークは、独立の象徴とされる航空要塞をモチーフにデザインされた。
現フィルトヴァール政権の方針として、第二言語となって久しい共立英語によるラテン文字転写を採用する。ユピトルを旧来のロフィルナ文化圏として分類した旧支配国(セトルラーム)に対抗する意図があるものと見られる。

上級委員会

 中央行政機関にあたる委員会群は、学生理事会の統制下に置かれた組織であり、各学区の校内通常委員会とは、所管の及ぶ範囲を国全体に広げる点で区別される。

軍事委員会(アルメ)
 国家の安全保障に関わる事項を主に所管する国防部門であり、必要に応じて各学区の紛争に介入する権限も与えられた。学生理事会の実力組織である正規軍の運用方針は同部門を通じて示され、直下に置かれた学徒防衛隊は、部門が自前で動かせる抑止力として控えている。正規軍と防衛隊の双方に手綱を持つ構図から、学生の身で国防の指揮系統を束ねる部門の長は、学生理事会の中でも重い職責を負う。現代表理事も、風紀委員長を経て同職を務め上げたのちに国家元首の座に就いた。学区への介入権は各学園の自治権と重なる場面が多く、大学自治を盾にした学区側の抵抗に遭えば、業務上の権限が学区に移る事態も想定されている。介入の可否は、紛争の規模と学区の自治の重みを量ったうえで判断され、学区の同意を取り付けた段階的な派遣が手順の基本に据えられた。介入が決まった後は、学徒防衛隊と正規軍のいずれを差し向けるかも部門の判断に委ねられる。

風紀委員会(モラーレ)
 警察業務全般に関わる事項を所管する取り締まりの機関であり、隷下の審判機関として「高天原」を擁することでも有名となった。高天原は、学生同士の決闘に公衆防犯CCTVシステム「誓約」を通じて裁定を下す機関にあたり、競技の公正を担保する役目は、治安の維持と同じ組織の内側で引き受けられている。日常の業務では学内の巡回を重ね、規律を乱した学生を懲罰独居房に収容する権限を持つ。収容の記録は審判機関の下した裁定とともに残され、繰り返し違反を重ねた学生の処遇を決める材料となる。部活動やサークルの設立申請も審査の対象に入り、大半の案件は委員会の段階で可否が決まる一方、判断の割れる申請は学生理事会の許可を得る形で決着が図られる。巡回の網は学区の街路にも及び、校内と市中の双方で学生の素行に目を光らせる体制が敷かれた。

文化委員会(クルトゥーラ)
 環境と文化に関わる事項を所管し、全国行事もここに含まれる文化行政の担い手であり、最も神聖な任務として、教育の独立自治を祝う中央大学祭の運営も委ねられた。このイベントは学園国家の成り立ちを祝う催しにあたり、学区ごとの大学が参加する全国規模の祭典の準備は、年間の業務の頂点に置かれる。祭典の開催期間には、各学区の文化行事の日程も中央の催しに合わせて組み直される。学生の国として推進される大規模な若年文化振興政策も所管の範囲に入り、異世界系ギルドの活動を支える施策は、転移者由来のオタロードを各地に張り巡らせる整備と一体で進められてきた。変化の激しい社会に合わせて振興の重点は年ごとに組み替えられ、流行の移ろいを追う調査が施策の立案に先立つ。環境行政の面では、三つの星系に広がる学園都市の生活環境の保全を扱い、若年層の集まる都市の急な膨張に合わせて基準の見直しを重ねている。

保健委員会(イジエーネ)
 労働監督の他、社会保障全般に関わる事項を所管する福祉部門であり、経済政策との兼ね合いから、序列制度の弊害と向き合う厳しい任務を課せられた。競争を学習意欲の源に据える序列の仕組みを保ちながら、下位に置かれた者の生活を支える均衡点を探る作業が、部門の政策立案の中心を占める。序列に基づく差別は学業の不振を抱えた学生の孤立を深め、治安の悪化にまで尾を引いてきたため、差別の是正は福祉の問題であると同時に治安の問題とも地続きにある。労働監督の面では、卒業後に残留を選んだ大人が就く指定産業の労働条件を監視しており、就職先を欠く者が見守り隊に入って国の給付を受ける制度の運用も所管の内に入る。給付の水準と財源の配分は、経済政策を担う商工委員会との協議を経て定まる。働く場の監督と暮らしの保障を一つの部門に束ねた構成は、残留した大人の職と生活を同じ窓口で扱う利点を生んだ。

放送委員会(テレグランマ)
 主要政策の広報を中心に、宣伝事項全般を所管する広報機関であり、イメージ戦略の花形となって久しく、様々な流行の火付け役となった。学生理事会の決定を伝える全学放送の枠を握り、政策の発表から緊急の呼び掛けまで、国家元首の声を学区の隅々に届ける経路を担う。若年層に向けた発信は新たなSNSの発展と歩調を合わせており、流行を追う側から流行を作る側に回る戦略が、イメージ戦略の軸に据えられた。国外に向けた発信も所管に含まれ、学生理事会ロゴに共立英語のラテン文字転写を採用した現政権の方針は、学園国家の顔を国際社会に示す広報の一環として打ち出されている。多国籍の国民を抱える国柄から、発信は複数の言語で組み立てられ、転移者に向けた案内も放送の編成に組み込まれる。非常時には他の委員会の告知も同部門の枠を通じて流され、国家の発信は一つの窓口に束ねられる。

商工委員会(エコノーミア)
 建設と生産を軸に、貿易まで含む国家経済の広範な事業を所管する経済部門であり、新規ビジネスモデルの企画立案も兼ねて、発展の原動力となった。提携各国の投資を受ける学園が多い国柄から、外資系ブランドの展開と投資の受け入れに関わる実務は、同部門の手を経て学園社会に流れ込む。学区の学園総務から上がる開発計画も審議の対象となり、市街の建設に関わる案件は、学生理事会の決裁に先立って部門の内部で採算と実現性を精査される。卒業後に残留する大人の受け皿となる指定産業の選定にも関わり、産業の育成と雇用の確保を一つの政策の中で結び付けてきた。投資を呼び込む企画の多くは学生の発案から生まれ、事業として成り立つ見込みの立った案が、部門の後押しを受けて市場に送り出される。貿易の面では出資国との取引条件の調整も所管に入り、投資の受益に応じた共有外交を経済の側から支えている。

公的役職

 学生が政治の中心となっている性質上、ユピトル独自の指揮系統として以下の区分が設けられる。
これらの要職に就く者は、概ね以下の指揮系統に従うが、序列制度や地域主権(大学自治権を含む)との兼ね合いで業務上の権限移行が生じるケースも想定された。
転移学区を含む特殊な地域については、その特異性を考慮し、別段の合意による分類法が制定されている。

学園業務中央区分(上級委員会・意思決定会議所属要件)
 下記の区分は、法律上、意思決定に関わることを認められた身分であり、実務担当の者は区分の外に置かれる場合もある。
【役職名】 【備考】
代表理事 最高指導者:学生理事会の長。広範な決定事項を覆す力を持ち、責任も大きい。
理事 閣僚相当:学生理事会の構成員。学園序列におけるA.G.持ちを基本として、最低でもS.M.相当の資格が求められる。
委員長 長官相当:委員会の長。概ねS.M.相当の人材で占めており、企画立案の花形とされる。委員の意見が割れた際の決定権を持つ。
委員 次官相当:各自の専門分野における指揮権を持ち、履行のための人員を監督する。最低でもM.I.相当の資格が求められる。

学園業務地方区分
 同上。基本的には中央区分と同じ認識となり、地方自治の観点から、上級委員会と並び立つ関係に置かれる場合もある。
【役職名】 【備考】
学園総務 本部長相当:学園学区の代表または長(アケノミヤでは市長がこれにあたる)
生徒会長 部長相当:殆どが大学付属のカレッジに所属。企画運用の他に、教職議員との交渉など高レベルの政治力が問われる。
生徒会役員 課長相当:各自の専門分野に従事。生徒会長による指揮のもと様々な企画案の作成に従事する。
教区代表 係長相当:エデュクレート代表とも。各自の教育区分に適した現場レベルの総指揮を担う。
学級代表 主任相当:クラス単位の責任者。下々とのヒアリングに加えて、上からの仕様書に則った最小企画の調整も担う。
班長 社員相当:学校にもよるが、概ね5~10名程度の管理を担う。学生同士の小さなトラブルを収めるのも班長の役割とされる。

主な政党

学園社会党
 学園ファーストを掲げる。現在の政権与党。独立以来、至高とされた武装中立路線を転換し、共立同盟への加盟を推し進めた。加盟の決定には党内の重鎮から強い反発が上がったものの、現代表理事が反対派を悉く説き伏せ、党の方針として押し通している。主張としては小諸国による多元外交戦略を基軸に軍事力の増強を掲げて久しく、学生と大人の両方から一定の支持を得てきた背景がある。首相の座は下院最大政党の総裁に与えられるため、学生の頂点に立つ代表理事と、大人の票を背負う首相を同じ党から送り出す布陣が現政権の骨格を成す。党内には、レベラソール率いる左派共立グループと、理系の階級テクノクラシーが並び立つ。文系の学閥資本主義を合わせた3大派閥が、政策を調整する構造となった。メディア戦略に長ける一方、事あるごとに過激派組織、とりわけ学生自治抵抗運動の非合法化を訴えたり、治安維持を名目として学園自治権の縮小を狙ったりと、雲行きが怪しい現状も指摘される。自治権の縮小を巡っては、学園自治権の向上を党是に掲げる自由運動党と、議会で正面から衝突している。

共立連合党
 学園の福祉政策に重きを置く、左派政党。消費者給付制度に加え、世代間格差を補うために必要な投票調整法を提唱し、導入させた。投票調整法は、学生が学生会議に、大人が教職会議に票を投じる形で投票の場が分かれる選挙制度のもと、世代ごとの声の偏りを均す目的で設計されている。福祉政策を重んじる傾向にあり、隣国セトルラーム共立連邦との関係も指摘されることから友党として一定の距離を置いて久しい。消費者給付制度は隣国でも全国民を対象に運用されており、同名の制度を国内に持ち込んだ経緯が、隣国との関係を取り沙汰される一因となった。党内では穏健ルドラス教派を筆頭に大小数多くの派閥が存在する。そのため、学園社会党と同じく一種の包括政党として見なされた。社会保障を所管する保健委員会が序列制度の弊害に向き合う領域は、党の政策が最も深く関わる分野でもあり、序列の下位に置かれた者の生活を支える給付の拡充が、党の訴えの柱に据えられている。学生自治抵抗運動とは社会問題の是正という観点で一致するものの、自立の在り方を巡る細かな相違が残り、対立が続いている。

自由運動党
 旧暦時代におけるセトルラームの抑圧から、自主独立の精神を重んじる。保守政党。国を挙げての競争を推奨しており、学園自治権の向上を図った。現在は外資系団体に対する抑止力としての側面を強めているが、実際に国外勢力の不当な干渉が見られた場合は適宜追及し、改善させた実績を持つ。旧宗主国の抑圧に源流を持つ党の警戒心は、投資を通じて国内に根を張る外国資本にも向けられ、学園の自治を外から切り崩す動きへの監視が活動の中心を占める。結党以来、学習意欲の向上を目的とする序列規定を導入。教職議員の立候補に序列の資格を求める現行の議会の仕組みも、党が敷いた規定の上に成り立っている。数世紀にわたる安定した政権運営のもとで一強を保ち続けたが、共立公暦978年、ベルリン戦争に端を発する対応の悪さが露呈し、政権交代を迎えた。戦争への本格的な介入は、交代後の新政権の手に委ねられている。野党に転じた後も、競争を通じた学力の底上げを説く主張を貫き、序列の廃止を訴える勢力とは真っ向から対立する。

学生自治抵抗運動
 ユピトルの学生運動グループが連合して設立した政治部門。学生による自決を最重要視しており、自由運動党とは政策上では似るが、政治的には左派を自認しているため、対立が繰り返されている。学生の身分にある者は教職選挙から除かれるため、党の活動の場は学生会議と各学区の自治に置かれる。大人の参政権を学生会議への抑止力に据えた議会構成は、学生の自決を掲げる党にとって、自決を阻む枠組みにあたり、教職会議の権限を縮める制度改革を繰り返し訴えてきた。所属している学生運動グループが襲撃事件を起こすたびに非難されるが、支持基盤の強さで生き残り続けている。襲撃事件が報じられるたびに、政権与党の掲げる非合法化の主張は勢いを増し、党は所属グループとの距離の取り方を巡って内部の議論を重ねてきた。学区ごとに根を張る学生運動の網が党の足場であり、非難の声が高まる局面でも、学区の支持が党を支え続けている。

市民学術自由連盟
 序列(アビリティオーダー)と教育区分(エデュクレート)を柱とする競争的教育システムを否定し、決闘(チャータ)の制度にも反対して、市民が自由に教育・研究に触れられる学際的なユピトルを目指すワンイシュー政党である。党の構想は、講義と研究設備を全ての市民に開く点を核とし、序列が委員会への参加やアルバイトの審査にまで影響を及ぼす現状を問題視する。党の批判は、校内の委員会から学生理事会に至る決定の場への参加資格が序列の段階で区切られる仕組みにも向けられ、序列の上位者が決定を担う学園自治の在り方そのものを問い直している。教職会議に議席を得るには、候補者が序列の有資格者である必要があり、序列の否定を掲げる党が序列の資格を持つ人物を擁立して選挙に臨む構図は、党の主張と選挙戦の実情の間に食い違いを生んでいる。支持基盤が脆弱であるため、常に解散の瀬戸際にあるとされている。それゆえワンイシュー政党でありながら過激なポピュリズム的主張を度々発しており、日々ニュースの肥やしになっている。

教育

 ユピトルの学園の理念は、時代に即した自己実現の場を広く設けることにあり、公正かつ持続可能な共立社会の実現を促す目的で、移民への教育サービスの提供が推進された。教育制度は、序列システムに従って立てられた教育区分(エデュクレート)ごとに学校が存在しており、進級の基準は年齢から能力へ移されている。能力がある者は上級のクレートの学校に昇り続ける一方で、道を誤った者は同じクレートで淀み続ける。このようなシステムには、教育の民主化の障害になっているとの批判が諸外国から寄せられており、とりわけオクシレイン率いる黒丘同盟諸国の声が強いが、ユピトル市民の間では、歴史的背景から寧ろ実力主義を歓迎する風潮がある。国内に点在する大学の6割がUniversity(総合大学)となっており、独自の体制を取るカレッジ(単科大学)との差別化が進んだ。全国共通とされる主な教育方針として、従来の創造神話に一定の説得力を持たせた当時代独自の新生論を採用し、この世界の成り立ちに関する豊富な知見を積み重ねている。

序列


エデュクレート

 以下は標準的なエデュクレートの一覧である。課程や専門によって例外もあるが、殆どのユピトル学生が通う学校はこれらのエデュクレートで管理されている。
なお、エデュクレートにおける以下のランクは、教育制度における学校種別とは区別される概念である。

  • ラボラトリー(Lab./マスター相当)
    • アブソリュート(A.Lab./G.M.のみ)
    • ベーシック(B.Lab./A.G.及びS.M.)
  • カレッジ(Col./ミッテル相当)
    • アドヴァンスド(A.Col./M.PriM.及びM.I.)
    • リセ(L.Col./M.PriI.及びM.A.、M.F.)
  • スクール(Sch./リーズ相当)
    • ハイ(H.Sch./P.L.及びGo.L.)
    • ミドル(M.Sch./S.L.及びI.L.)
    • エレメンタリー(E.Sch./Gr.L.のみ)

決闘(チャータ)

 決闘は、学生であることを証明する特殊端末を掲げ、「構えよ(オン・ガード)*3」との掛け声と共に開始される「学術的闘争競技」である。ブラッドコミュニティの伝統を継ぐ制度であり、実力主義を掲げるユピトルの教育制度に適合させる形で発展した。内容としては、参加者の真理を賭けて学術的議論を尽くすことを基本とするが、評価ポイントに戦闘を含む場合は別であり、必要に応じて前提条件を定めた契約を取り交わす仕様となった。決闘当事者双方の合意が成立すると、公衆防犯CCTVシステム「誓約」(うけい)を通じて風紀委員会直属審判機関「高天原」(タカマガハラ)に然るべきジャッジを委ね、本競技の対戦に臨む流れとなる。勝敗は学生理事会に報告され、本人の序列評価に強く影響する。特に下の序列の人間との決闘で負けた者は自らの序列を明け渡す決まりがあり、将来の進路を左右することから、通念上、開催には慎重さが求められる(勝った生徒は上位に、負けた生徒は下位に評価変更される)。また、下位序列の者が運良く上位の序列に食い込んだとしても、多くのケースにおいて実力不足が露呈し、元の階級(悪ければそれ以下の階級)に逆戻りするため、上位の学生に挑むだけでも無謀な行いと見なされる。

経済

 ユピトルの経済は社会実験の場としての性格を帯びており、多くの学園が提携各国の投資を受けているのが現状とされる。外資系のブランドも数多く展開し、学術団体の顔に加えて、投資・金融立国としての成功も収めた。学園の運営資金は、国から交付される学園助成金に提携各国の出資を上乗せする形で賄われ、助成金の交付と打ち切りは、学生理事会が学区に向ける政策の手段ともなる。出資の見返りは、研究の成果と育て上げた人材の形で出資国に還る。研究の段階から資金を投じた出資者には、完成した成果物が無償もしくは安価で共有される仕組みが設けられ、教育と研究そのものが投資の対象となる経済の構造が形づくられた。産業の型は学区ごとに分かれ、旧世界の都市ごと運ばれてきた転移者の学区では、持ち込まれた工場と技術を再利用した生産が地域の経済を支えている。学園の研究成果を事業に転じる企業も国内の各地に育ち、学術の蓄積が産業の裾野を広げる循環が生まれた。卒業後に残留を選んだ大人は教職か指定産業のいずれかに就く仕組みのもと、労働力の配置は国の産業政策と足並みを揃えて決まる。


人材還流

 留学生の帰国を巡る問題は、出資国が成果を見込んで送り出した人材の一部が、卒業後にユピトルへの残留を望む事例から生じている。送り出した人材が国外に定着する事態は、出資国にとって投資の回収を損なう痛手にあたり、外交上の摩擦の種ともなってきた。対応の基本に置かれたのは移籍補償の方式であり、残留を選んだ卒業者を雇い入れるユピトル側の学園や企業が、送り出した国に育成費を補償する。本人の選択を尊重したまま出資国の損失を金銭で埋める点で、投資の受益に応じた共有外交の考え方を人材の扱いに移した形となる。補償と並ぶ柱が成果の還元であり、研究の段階から出資者に成果物を共有する仕組みを留学生本人の研究にも広げ、在学中に生まれた成果は、本人が残留した後も送り出した国に還る。個別の契約では、ユピトルに住み続けながら母国の事業に一定期間携わる遠隔帰属の形も選べ、星系を隔てた通信で本国の業務を担う卒業者も現れている。母国で一定期間勤めた後にユピトルへの移住を保証する年季明けの形も用意されているが、送り出す側の体制と本人の適性や心情に左右され、運用の成否は事例ごとに分かれる。送り出しの経緯そのものに本人の意思を欠く事情が含まれる場合、ユピトルは本人の意思を優先して身柄を保護し、出資国とは摩擦を抱えたまま補償の交渉に臨む。

主な出資国(参入順)


テクノロジー

 ユピトルにおいて主に利用される汎用技術は次の通りである。→令咏術・現象魔法
科学力の面では既にセトルラームと同等の水準となって久しく、一部の異能分野においては世界最高峰を争う先進国の一つとして数えられた。然るべき施術を受ければ誰でも扱える令咏術は、教育の場から市民の暮らしまで浸透しており、発動効率に優れる現象魔法の研究も並行して進められている。近年では、聖玄羅連邦との学術交流を通じて聖道巫術も広まりつつあり、気脈を五行の理論で操る独自の体系が、研究者と学生の関心を集めている。術の鍛錬は学生生活の一部に組み込まれ、異能を教える高等教育の課程が国内の大学に数多く設けられてきた。研究の主軸は、術の理論を解き明かす基礎研究と、成果を産業や軍備に転じる応用研究の二つに分かれ、既存の学問の境界を跨いで新たな専門が生まれ続けている。異能の働きを神経の側から探る研究も、境界を跨いで生まれた専門の一つにあたる。研究資金の多くは提携各国の出資に支えられ、研究の段階から投じられた資金が成果物の共有を通じて出資国に還る仕組みは、学術の蓄積を国際的な協力の網に結び付けてきた。平和維持軍に提供される研究資源も、国内の研究機関が積み上げた成果を土台としている。転移者人口の増大に伴って外来技術に対する大規模な投資が進んでおり、旧世界の知見を共立世界の異能技術と掛け合わせる試みが各地の研究室で重ねられ、ユピトル社会の更なる発展に期待する声も聞かれた。

治安

 ユピトルの治安は学区ごとに濃淡があるものの、全体としては自由で開放的な空気のもと、連日の騒がしさに彩られた混沌とした様相を呈している。多国籍の住民と入れ替わりの激しい若者が同じ街路にひしめき、学生の実験や遊戯が騒ぎに発展する場面も日常の一部に数えられる。毎年暴走する不良学生らのブラッドレースでは、風紀委員会が取り締まりに躍起となっており、もはや風物詩となって久しい。学生同士の揉め事には決闘という公認の決着の手段が用意され、公衆防犯CCTVシステムの見守る中で白黒が付けられるため、私闘に訴える前に構えの掛け声が上がる光景もしばしば見られる。各学園に強い自治権が与えられた結果、校則と取り締まりの厳しさは学区ごとに大きく分かれ、隣り合う学区の境を越えただけで街の空気が一変することもある。この国で最も勇猛と見なされる共立学園治安維持アライアンスの活動は、多くの学生に安心感を与え、あらゆる暴徒に恐怖を植え付けた。開放的な社会の陰では、学業の不振から序列規定に基づく差別が横行しており、ウォールムレジスタンスを始めとするテロ組織の拡大を招いてしまった。学生理事会は軍事委員会による封じ込めを試みているものの、学園自治権が足かせとなり、最小限の隔離で推移しているのが現状とされる。現在、最も危険視されているのが治安の悪いウォールム・エリアで、改善の兆しを欠く同大学を対象に、学園助成金を打ち切る制裁措置を講じた。ウォールム・サイドは、そうした学生理事会の決定を批判しているが、代表理事はガルグ紛争の未解決を理由に隔離制裁を継続する。序列の下位に押し込められた学生の不満は、学区の自治と結び付いて過激な運動の温床となりやすい。

地方行政区分


国際関係

 共立公暦1000年現在、ユピトルは独立戦争史観を主軸とする反大国主義を掲げ、セトルラームの庭先で蠢く『改革主義の典型』と評される。

国際機関

 共立同盟の枠内で平和維持活動に加わる一方、国際機関の場では小諸国の間で燻る不満を代弁し、三大列強の躍動に警戒を向けている。

 国際機構への加盟は、連合体の成立と同じ年に果たされた。機構の発足から一世紀を経て加わった後発の加盟国ながら、運営維持費分担金では第5位にあたる一割を負担しており、学術と研究を主導する中堅国の位置を占める。公選会議の議席は、人口1億人ごとに1議席を割り当てる方式で配分される。上限の10議席に達したユピトルは基準の超過分を放棄しており、人口の規模に比して議席は頭打ちの状態にある。発言の比重が移るのは国際会議の側で、加盟国ごとに3議席が配され、3人の代表が事前の公開協議で国の統一見解をまとめたうえ、1国1票の投票に臨む。列強も中小国も同じ一票を持つ議場の仕組みは、議席の上限に阻まれたユピトルにとって、発言の場を確保する足掛かりとなってきた。加盟国の一覧において、ユピトルの状態は政情不安と記されている。

 国際部隊との関わりは、物資の供出を最小限に抑える代わりに、研究資源と資金を提供する形で組み立てられている。中央総隊に向けた提供は、部隊運営への影響力を高める足掛かりとなり、供出の規模は加盟勢力のうち第5位に数えられる。イドゥニア情勢を巡る外交問題への干渉を嫌う思惑から、三大列強の躍動に危機感を抱いた学生理事会は、近年になって供出量を大幅に積み増している。加盟勢力の中でもFT2執行本隊への支持を明言しており、主戦派のキューズ・アライアンスについても、列強、とりわけセトルラームが増長を続けるなら共闘に踏み切る方針を繰り返し表明してきた。主戦派は既存の加盟勢力、とりわけ三大列強の統合を目論む一派と目されており、ユピトルの表明は、列強の増長に対する牽制の意味を帯びる。人道を掲げる加盟国が主戦派を強い言葉で非難する中にあって、主戦派との共闘を選択肢に残す姿勢は、加盟勢力の間でも異彩を放つ。ウォールム・エリアへの隔離制裁を巡っては、学生理事会が内政不干渉の原則を盾に、国際部隊を含む国際社会の圧力をやり過ごしている。

各国

 二国間の外交は、投資の受益に応じたビジネスライクな共有外交を基本とし、出資国であれば、どの陣営に属する国も取引の相手に迎える。

 出資国の筆頭に名を連ねる旧宗主国は、共立同盟の主導国として平和維持の枠組みを率いる立場にある。同国政府はロフィルナ王国を念頭に置いたテロリスト勢力の封じ込めに消極的なユピトル政府の態度を批判し、各国に投資契約の縮小から停止に至る措置を働きかけ、学園社会に一時強硬的な圧力を試みた時期もあった。投資の打ち切りは対立勢力による政治的コミットのリスクを伴っており、不穏な取引が繰り返されれば、ユピトルが国際紛争の火種となる恐れがあった。世界経済への影響も懸念されたことから、制裁は軽度の段階で止められている。ユピトル自体が相応の武力を持つことに加えて、本国を追われた者と転移者を含む多くの移民の受け皿となっているために、全面制裁を課した場合の最悪のシナリオ*4が想定されたのである。ゆえに造反の口実を封じる方向で、逆説的な大規模投資を促して三頭体制*5への反目を抑えようとする試みもあった。しかし、こちらはユピトル国内における一定の法整備をもって阻止されているのが現状とされる。多くの共有戦略を含む柔軟な外交姿勢こそが、旧宗主国の圧力をかわしてユピトルを『独立国』たらしめる最大の抑止力とする見方が根強い。

 三頭体制に名を連ねる列強の一角であり、ユピトルにとっては出資国の一つでもある帝国は、安保同盟の盟主として内政不干渉を掲げる防衛同盟を率いてきた。帝国の陣営は共立同盟の外側に位置するものの、投資を介した往来は今も続いている。旧宗主国の最大の貿易相手国でもある帝国は、防衛から生産にかけて旧宗主国と互恵体制を築いており、両国の結び付きは、ユピトルが列強の結束に神経を尖らせる理由の一端を成す。教育の面では、異能の高等教育を必須科目に据える帝国が、留学で得た知見を国内に持ち帰らせる前提で人材を送り出してきた。帝国では異能を扱える卒業者が内務省神秘学庁の人員管理局に登録され、必要な場所に派遣される仕組みが敷かれた。帰国した留学生も、同じ管理の枠に組み込まれる。帝国に身を置いた転移者の東雲楓も、同じ前提のもとでユピトルに渡った一人であり、帰還の予定は、留学先で代表理事に就いたことで立ち消えとなった。現代表理事は対外穏健派に属し、皇帝トローネ・ヴィ・ユミル・イドラムとも私的な対話の席を重ねている。

 黒丘同盟の盟主国との関係は、出資を受ける間柄にありながら、硬直した状態が続いている。発端は、ユピトルが同盟の加盟国であるメイディルラング界域星間民主統合体の内部で盟主国への不満を煽り立て、同盟関係を切り崩したうえで新たな国際秩序を築こうとした動きにあり、盟主国は激しい怒りを示した。提携国への投資を重ねてメイディルラングにも影響力を及ぼしてきた盟主国にとって、足元の加盟国を揺さぶる工作は、同盟の結束と投資の成果を共に脅かす行いであった。三大列強による新秩序を支持する盟主国の方針は、列強主導の秩序に異を唱えるユピトルの外交路線と正面から食い違う。国際部隊においても、盟主国は多国籍部隊に人員と物資を送り込み、ユピトルはFT2執行本隊への支持を掲げて、軸足を置く先が分かれている。自律を国是に内政不干渉の原則の見直しを求めてきた盟主国は、原則を盾に国際社会の圧力をかわすユピトルの振る舞いにも厳しい目を注ぐ。転移者の保護を掲げて転移者戦争への介入を試みた盟主国は、転移者を多く迎えてきたユピトルと、処遇を巡る価値観では近い位置に立つ。盟主国の外交区分でユピトルは帝国と並ぶ緊密関係国に置かれ、歴史の経緯次第では敵対国に転じうる間柄と見なされている。

 出資国のうち二番目に参入した王国は、対セトルラーム政策においてユピトル政府と価値観を同じくする。同君連合のロフィルナ連邦共同体と共立同盟に名を連ねながら、王国は同じ枠組みにいる旧宗主国を主な仮想敵国に据えてきた。列強主導の国際秩序に敵愾心を抱く王国の姿勢は、反大国主義を掲げるユピトルの立場と重なり、工作活動を再開した王国がユピトルとの間に一定の情報網を築いた可能性も指摘されてきた。文明共立機構の圧力を内政事項への侵害と訴える王国の抗弁も、内政不干渉の原則を盾とするユピトルの論法に通じる。利害の一致と引き換えに、王国への接近は外交上の代償を伴う。ロフィルナ国内では、軍閥による人身売買や麻薬の取引が横行しており、死者の続出する贖罪の儀式は世界規模の非難と経済制裁を招いてきた。共立公暦998年、セトルラームの首都ルドラトリスで起きた大規模な軍事テロに王国の関与が疑われると、同機構の怒りを買い、同1000年には準備指定のレベル4が通告された。発動を境に王国との表立った取引の道は閉ざされ、水面下で繋がりを保つ場合も、発覚した際の代償が得られる見返りを大きく上回る。利害の重なるユピトルにとっても、王国は実利に結び付ける手立てを失った相手となった。

 遠方の出資国に数えられる玄羅との往来は、文明共立機構の管理下にあるB.N.S.ゲートを経由して結ばれている。長い鎖国を経て共立公暦650年に外部との通交を再開し、同805年に機構に加盟した玄羅は、運営維持費分担金で第4位を占める中堅の供出国であり、文化立国の看板を掲げる。国政の頂点に立つ将星の候補者に、同国は政務の実績に加えて軍事の素養を求めており、学業の成績に決闘の勝敗まで序列評価に織り込むユピトルの教育制度は、玄羅の人材登用の基準に近い。将星の選出は構成国の統治者や学術機関の推薦を起点とするため、留学先で積んだ研鑽も推薦の場で評価の材料に加わる。教育制度の設計を所管する典礼司も、有事に空軍を統括する空戦大将の率いる司であり、学制の立案と軍の指揮を一人の将星が兼ねる玄羅の統治機構は、学術と戦技を同じ物差しで測るユピトルの学園と流儀を同じくする。技術の共同研究を連携の軸に据える外交方針は、聖道巫術の知見と、令咏術を汎用技術とするユピトルの研究機関を結ぶ回路ともなりうる。留学生の受け入れを通じた学術網の構築も、同国が対外関係の柱に据える取り組みである。玄羅からの留学生はユピトルの学園に籍を置き、指導層を志す者が学区の教室で文武の修練を積んでいる。

軍事

 ユピトルの国防は、独立戦争で市民が武器を取り、30年にわたって本国の艦隊と渡り合った経験を原点に据えており、国を守る務めを学生と市民の双方に求める気風が今も根強い。対外的には概ね平和維持軍に防衛を委ねているものの、国内の戦力は正規軍を柱に、学生で編成される防衛隊と、民間の大人で組織される治安組織を重ねた多層の構えを取る。異能を用いた戦術訓練を正課に組み込む学校もあり、術の鍛錬を積んだ学生の層の厚さが、有事に動員できる戦力の質を支えている。年に一度、エンジニア部の技術力を競うための親善試合が開かれており、軍事委員会や風紀委員会をも巻き込んだ壮大な模擬戦闘が繰り広げられる。また、闘争競技の舞台としても指定されることから必然的に多くの腕利きが集まった。平和維持軍を相手に軍事委員会指揮下の学徒防衛隊が挑戦状を叩きつける伝統も人気を博した。通念上、ユピトルでの軍事成績を認められた卒業生は一般の兵士を上回る実力を持ち、練度不足に悩まされる多くの国から引く手あまたとなっている現状がある。

  • ユピトル軍旗

ユピトル連合軍

 学生理事会の実力組織である正規軍は、地上と海上の二軍に航空宇宙軍を加えた三軍から構成される。志願制を取っているが、主に軍大学校の卒業生で構成され、中途採用の軍人は予備役を除けば稀である。航空宇宙軍においては機動空母を主体とする7個の打撃群を有しており、そのうち3個打撃群が星系内の防衛に、中央艦隊を含む4個打撃群が対外遠征に充てられる。現状では最も実戦経験が豊富であり、その実力は他国の正規軍に比肩するという。航空宇宙軍において採用される推進機関はルーゼリック・ドライブで、その他の兵装は純国産を含む複数企業のシリーズが混在した。独立戦争の歴史から、数世紀にわたってユピトル周辺を覆うセトルラーム共立連邦を仮想敵国に定めていた。この方針は、共立公暦998年、ジェルビア星間条約同盟(通称.共立同盟)への加盟をもって緩和されたが、政治的な対立は今も尾を引いており、一定の問題を抱える。正規戦力は約200万相当で、連邦の対外遠征部隊1000万と向き合う。学園序列においては最低でもM.F.(ミッテル・ファウンダー)の資格が必須となり、同M.PriI.(ミッテル・プリインターメディエーター)を含む精鋭部隊の存在も確認された。

学徒防衛隊

 ユピトル連合軍の補強を名目として発足した学生主体の部隊であり、隊員には序列体系(アビリティオーダー)においてM.PriM.以上の資格が求められる。このうち、S.M.相当の下士官と、一握り(A.G.以上)の高級将校が指揮を執る構造で、ユピトル独自の上流意識を高めた。その実態は、学生理事会による現行体制の維持を目的とする、軍事委員会直下の抑止力(カウンターウェイト)であり、場合によっては他の武装組織と牽制し合い、衝突にも至る。入隊の資格を満たす学生の多くは高位の術を扱う者で占められ、部隊の戦力は術者の質に大きく依っている。隊員は学業と任務を並行して務める身であり、講義の合間に訓練と待機の当番を回す日課が組まれてきた。決闘で序列を落とした者は入隊の資格を失うため、隊の顔ぶれは序列の変動に合わせて絶えず入れ替わり、席を守るための鍛錬が隊員同士の競争を煽る。卒業を迎えた隊員は、正規軍に進む道のほか、防衛隊での実績を携えて国外の軍に迎えられる道も開かれている。実際の部隊運用においては、全戦域に対応する電撃戦闘教義を採用し、精鋭部隊としての発展を遂げた。具体的な戦力に関しては非公開となっているものの、おおよその稼働状況から500万人規模で運用されていると推測される。

共立学園治安維持アライアンス

 民間の大人で編成される治安組織であり、見守り隊の通称で広く知られている。隊員の中核を成すのは、卒業後に残留を選びながら教職と指定産業のいずれにも席を得る機会を逃した大人たちで、国の給付を受けながら入隊し、巡回と各種のボランティアに従事する。志願して加わる大人も多く、学園を離れた後も国の暮らしに関わり続ける道として選ばれてきた。平時の指揮は風紀委員会の下に置かれ、委員会の巡回が学生の素行に目を向ける一方、大人の隊員は住民全体の暮らしに目を配り、学区の路地の隅々まで見回りの足を延ばす。隊員の大半はリーズ相当もしくは無印・無資格の身であり、将来の進路と序列の評価を背負って荒事に臨む学生の部隊を横目に、賭けるもののない強みで躊躇なく騒ぎの渦中に踏み込む。序列の審査が測る学力の尺度とは無縁の腕っぷしで鳴らした者も多く、路地を知り尽くした場数が、隊の荒々しい評判を形づくってきた。予備役の武装民兵としての顔も併せ持ち、2000万を超える兵員を擁する数の厚みは、体制の守りに温存される学生の部隊と対照を成し、暴徒の前に真っ先に立つのは常に見守り隊の側となる。有事には指揮の権限が軍事委員会に移る場合も想定されており、正規軍の外側で体制の補強支援に回って、前線に割かれた戦力の穴を埋める形で後方の警備と避難の誘導を引き受ける。隊の維持は福祉の予算に支えられ、治安組織でありながら社会保障の仕組みに組み込まれた独特の成り立ちを持つ。

駐留平和維持軍

 ユピトルに駐留する平和維持軍の部隊は、多国籍部隊に属する星間連合宇宙軍の文明共立機構TB機動第6艦隊であり、建国の地エールミトナ星系に300隻の艦艇を展開している。駐留の目的はユピトル政府に対する独立保障の支援に置かれ、事由には旧宗主国との個別事案も織り込まれた。周辺を旧宗主国の領域に囲まれた地勢のもとで、艦隊は外部からの圧力に対する盾の役目を引き受ける。正規軍の戦力は旧宗主国の対外遠征部隊に数の上で大きく水をあけられており、艦隊の存在が両者の差を埋める抑止の重しとなってきた。防衛の役割分担では、星系内の防衛に充てられた正規軍の打撃群が国土の守りを固め、駐留艦隊は外縁の監視と有事の即応を受け持つ。受け入れる艦隊は多国籍部隊の系統に属しており、ユピトルが支持を寄せる中央総隊のFT2執行本隊とは指揮の系統が分かれる。資金と研究資源を提供する相手と、実際に国土を守る相手が別の系統に立つ構図は、平和維持軍の内部で続く両系統の主導権争いを、ユピトルが足元で抱え込む形でもある。軍事委員会指揮下の学徒防衛隊が挑戦状を叩きつける伝統の相手も、多くは駐留艦隊が務め、演習の場は学生の部隊が実戦経験を積む機会ともなっている。

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最終更新:2025年06月09日 20:20

*1 ユピトルで生まれた子供である場合、この規定は免除される。

*2 セトルラーム国内で施行された人口統制基本法の影響が強いものと見られる。生産性に欠ける国民を可能な限り減らしたい連邦政府の思惑と、教育による親ユピトル勢力の増加に期待を寄せる学生理事会の利害が一致した。

*3 フランス語 "En garde"

*4 セトルラームにとっての最悪のシナリオとは、ロフィルナ連邦共同体の崩壊と共立同盟の縮小を指す。ユピトル主導による新たな陣営の創設も想定に含まれ、これにロフィルナやラヴァンジェが加わる場合は脅威の程度が一段と増す事となり、何としても回避すべき『最悪のシナリオ』として挙げられた。

*5 セトルラームとイドゥアムの主導による世界共立構想。オクシレインも主導国に名を連ねる。