アリシア・レムナント

アリシア・レムナント中将

作:@Freeton2
生年月日 共立公暦575年
年齢 4アストラ歳(星年齢
共立公暦1000年時点)
出生地 ラヴァンジェ諸侯連合体/転移者自治領
民族 ツォルマリア人
所属 共立機構国際平和維持軍
肩書 中将
渾名 星詠みの将


概要

 アリシア・レムナント中将は、共立機構国際平和維持軍のTB機動警備隊(星間連合宇宙軍)に所属する中将であり、卓越した戦術的洞察力とリーダーシップで知られている。元々アリス・インテンションに所属していた時期には、ラヴァンジェ当局との戦闘に直面し、その中で培った知識と経験が現在の彼女の指揮スタイルに深く反映されている。転移者星間戦争では、複雑な戦況下で冷静な判断を下す能力を発揮し、敵対勢力との対峙において戦略的な優位性を確保する役割を果たしてきた。平和維持軍への移籍後、彼女は旗艦「ソルヴィエント」の司令官として、エレス・ニア星系での未知の転移者との初接触を担当し、その任務において非敵対的なアプローチを重視する姿勢を一貫して示している。彼女は異常な空間干渉波や不明艦の異質なシグネチャに対峙する際、既存のデータベースに依存せず、状況を慎重に分析し、武力衝突を避けるための代替案を模索する傾向がある。この姿勢は、過去の戦闘経験から得た教訓、特にシアップの戦争でのコミュニケーションの失敗を重く受け止めた結果とされており、彼女の指揮下では対話と保護が最優先事項とされている。アリシアは、シュテファーン級艦艇の運用や多国籍部隊のプロトコルに精通し、部下との連携を通じて任務を円滑に進める能力に長けている。彼女の決断力と柔軟な思考は、未知との遭遇という異質な状況下でも、共立世界の平和維持という大局的な目標に貢献している。

自己紹介

 私はアリシア・レムナント、共立機構国際平和維持軍の中将だ。ツォルマリア人の血に、異なる次元から漂着した転移者の記憶が流れている。それが私の強さであり、時に心を締め付ける影だ。育ての親、エリオル・ヴァンは詩人で戦略家だった。彼は星々の物語を語り、異なる世界の価値観を繋ぐ術を教えてくれた。幼い頃、彼の膝の上で聞いた異世界の物語は、私の心に深く根付いた。……戦場は知っている。血と炎の冷酷さ、そしてそこで生まれる絆の温かさを。私の旗艦『ソルヴィエント』は、武力の象徴ではない。未知の存在と共立世界を結ぶ、対話の架け橋だ。星々の間には無数の声が響く。敵も味方も、すべてが星の物語の一部だ。私はその声を聞き、共存の道を模索する。転移者の記憶は、時に私の夢を乱すだろう。異なる次元の風景や、知らない言語の囁きが心に浮かぶんだ。それでも、私はそれを受け入れる。それが私の使命を形作るからだ。戦う者ではなく、異なる文化を繋ぐ者でありたい。かつてエリオルが言った。「星は争わない。ただ輝き、互いを照らす」と。私もそうありたい。星詠みの将として、異なる世界の記憶を背負い、共立世界の平和を築く。それが私の誓いだ。どんな試練も、対話と理解で乗り越える。星々の物語を紡ぎ、希望の道を切り開くために、私はここに立つ。私の心は、転移者の子として、複数の世界にまたがる。だが、その複雑さが、私にすべての声を聞く力を与えてくれる。共立世界の未来は、対立ではなく、共鳴から生まれると信じているんだ。

来歴

 アリシア・レムナントは共立公暦575年、出生と同時に現世界へと転移した。異なる次元から流れ着いた両親の下、転移者コミュニティの片隅で育った。彼女を育てたのは、詩人で戦略家のエリオル・ヴァン。彼は星間交易の暗号解読や異世界の民話を教え、戦略的思考と共感力を彼女に植え付けた。同586年、11歳の時、コミュニティが食糧危機に直面。彼女は密輸船の航路を計算し、護衛任務に志願した。夜空の下、星図を頼りに船団を導き、敵の哨戒網を回避したこの経験は、命を守る責任感を彼女に刻んだ。同590年、転移者星間戦争が勃発。15歳でアリス・インテンションの民兵部隊に参加し、ラヴァンジェ当局の通信網をハッキングして補給基地の奇襲を成功させた。彼女の作戦は、敵の予測を裏切り、味方の損失を最小限に抑えた。この功績で「星詠みの将」の名を得たが、戦場で友を失い、武力の限界を痛感した。同591年、戦争終結後、彼女は和平交渉の補佐として奔走。異なる種族の代表と向き合い、対話の力を初めて実感した。同596年、共立機構国際平和維持軍にスカウトされ、星系艦の航法訓練で才能を開花。彼女は、異なる文化の兵士を束ねる多国籍部隊の指揮を学び、同599年、旗艦「ソルヴィエント」の司令官に抜擢された。ツォルマリアをはじめとする複数星域での任務では、幾度となく未知の転移者との遭遇を経験。彼女は艦のシグネチャ分析を自ら行い、文化的手がかりから平和交渉の糸口を見出した。これにより、武力衝突を回避し、共立世界と新たな来訪者の間に信頼の第一歩を築いた。彼女の軌跡は、転移者の視点で共立世界の調和を模索する物語とされる。エリオルの教えを胸に、彼女は異なる背景を持つ者たちが共存する希望を体現する。彼女の経歴は、若さゆえの無謀さと、経験から得た叡智の融合であり、共立機構の未来を切り開く原動力となっている。

人物

 アリシア・レムナントは、鋭い洞察力と温かな共感力を併せ持つリーダーだ。特有の紫髪と青みを帯びた瞳は、転移者の複雑な記憶を映す。異なる次元の記憶が、夢の中で断片的に蘇ることもあるが、彼女はそれを多様性の力として受け入れる。私生活では、星間交易の古文書を収集し、失われた文明の断片を追い求める。彼女の書斎には、異なる次元の文字で書かれた航海日誌や詩集が並ぶ。夜には地球由来の弦楽器「アコースティックギター」を奏で、異世界の旋律で心を癒す。この習慣は、戦場の緊張から彼女を守る儀式だ。彼女は戦場では厳格だが、若い兵士には自ら星図の読み方を教え、未来の指導者を育てる。過去の戦争で友を失った傷は、彼女を命の重さに敏感にさせた。趣味の星間植物の栽培は、異なる星系の種を育て、命の多様性を愛でる時間だ。彼女は、部下と星の伝説を語り合うとき、穏やかな笑顔を見せるが、内心では転移者の歴史に悩まされる夜もある。彼女の信念は「平和は心の交差から生まれる」。異なる価値観を尊重し、どんな相手とも対等に接する姿勢は、転移者コミュニティでの育ちに根ざす。彼女は、部下の小さな成功を祝い、彼らの背景を理解しようと努める。ある時、部下が故郷の祭りを語った際、彼女は自らその儀式を再現し、部隊の絆を深めた。転移者の宿命を背負いながら、共立世界の多様性を守る決意は、彼女の静かな情熱を物語る。彼女の内省的な一面と、仲間への深い信頼は、戦場を超えた人間性を示す。アリシアは、星々の多様性を愛し、その調和を自らの手で紡ぐことを夢見る。

戦闘能力

 アリシア・レムナントは、剣を振るう肉体と、現象魔術を操る精神の狭間に立つ者だ。彼女の本質は“剣士”でありながら、周囲の物理法則──重力、熱量、光の反射、振動構造、時間断層──に直接干渉できる魔術師でもある。空間それ自体に干渉し、戦場を「触れる言語」として再定義する彼女の戦闘様式は、もはや“技術”の域を超えている。彼女が剣を構えた瞬間、周囲の現象が再編を始める。空間に残る熱の軌道、過去に交わされた通信信号の残滓、敵の精神波形が乱した場の調和──それらすべてが彼女の知覚に統合され、剣の軌跡となって現れる。剣は振るわれるのではない。場を読み、記憶と重力を繋ぎ、彼女が“今”として選び取った瞬間が、空間の裂け目となって刻まれる。現象魔術師としての彼女は、元素や術式の分類とは異なる体系を歩む。彼女の魔術は「定義」を拒む。それは転移者の記憶に染み込んだ異界の断片──構造化される前の原初的な知──を起動媒体として扱い、既知の魔術体系との親和性を持たない。指で触れれば空気が軋む。足を踏み込めば時間が微かに遅延する。剣を振れば軌道上の粒子が震え、そこにいたはずの敵が数秒の遅れを生じる──そのすべてが彼女にとっては「詠唱」であり、「干渉」であり、「応答」である。

 彼女の剣術は魔術と融合しているわけではない。それぞれが独立した知識体系でありながら、彼女の身体と精神の中で自然融合し、「動作」のかたちで外化されている。戦場において彼女は詠唱を必要としない。空間との共鳴が彼女の呼吸であり、魔術の起動は意思の延長に過ぎない。魔術は選ばれた兵士だけが見る幻であり、彼女にとっては生理反応のひとつに等しい。敵が突き出す刃を見ず、風の軋みと質量の撓みによって彼女は反応する。剣を投げるように振れば、その軌跡に沿って空間が干渉波を放ち、干渉域に触れた物体は一瞬の軌道停止を余儀なくされる。これは魔術と呼ばれるが、アリシアにとっては「技術の限界」を少しだけ逸脱した合理的な措置に過ぎない。だがその合理性の先に、彼女の“剣士としての誇り”がある。魔術で制圧しようとすれば容易な場面でも、彼女は必ず「一太刀」で応えようとする。その太刀には、剣を通して語りかける文化的対話と、魔術によって読み取った相手の記憶の輪郭が宿る。彼女の剣が相手に触れる時、その者の戦う理由までが伝達されてくる。そしてそれが、斬るべきか、交わすべきかの判断材料になる。アリシア・レムナント──現象魔術師であり、剣士であり、“場”の言語を知る者。戦場は彼女の詩集であり、剣はその筆先だ。振るわれる刃が空間に刻むものは、死ではない。それは選択であり、記憶であり、未来への一行に過ぎない。


語録

「刃は語る道具ではない。沈黙の中でしか届かぬ言葉がある。争いが始まる瞬間、その声が聞こえなければ、剣はただの騒音となる。私は、それを許したくない」

「星々は互いの重力に干渉しながらも、軌道を奪わず共存している。なのに人は、触れた瞬間に奪い合おうとする。私はその矛盾の狭間に立ち、交差する意志の意味を問い続けてるんだ」

「記憶は私を乱す。夢の中に入り込み、言語の違う風景を見せてくる。でもそれは呪いじゃない。私がこの世界と接続している証だ。だから、逃げずに見続ける。自分の歪ささえ、ひとつの答えになる」

「命令ではなく、信頼が部隊を動かす。だから私は、すべての兵士の顔と故郷の話を知っておきたい。星図を描くように、彼らの心の座標を記憶する。それが、真に守るべき重力だ」

「剣を振るう度、私は問いかけている──今、ここで対話の可能性は本当に潰えたのか?もし、ほんの数秒前に交わした視線がそれを否定していたなら、私はその可能性に賭ける。殺さないことは、弱さではない。想像する強さだ」

「私たちは転移者。この世界では異物で、過去には戻れない。それでも私はここに立つ。この地を選ぶのではなく、“この地に選ばれる者”になるために。私はそう在りたいんだ」

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最終更新:2025年07月05日 20:18