アットウィキロゴ
ジョジョの奇妙な東方Project@Wiki
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

ジョジョの奇妙な東方Project@Wiki

幻想郷の奇妙な物語 第五話

最終更新:

shinatuki

- view
だれでも歓迎! 編集
「藍」
「紫様」

 マヨヒガでは紫と藍が互いの絆を確認しあい、抱きしめその温もりを感じていた。もともと二人は互いに憎みあっていた訳でもなく、ただ言葉の綾ですれ違っていただけだ。
 当然両者とも仲直りがしたいと思い、それが実を結んだだけの話である。
 しかし紫は己に少し自身が持てていなかった。いや正確には己の式を信じ切れなかった。
 別の言い方をすればそれは己の式を一つの個性を持った、ただ主の命を機械的にこなすだけの式ではないと自立した存在だからその誤解は起きたのだ。
 紫とて暴君ではない。己に不備があるのならばそれを直そうとする。ましてや己の容貌や魅力に関することだ。紫は大妖である前に一人の女性、否少女なのだ。
 世の女性で老けて見える等と言われて喜ぶ女性などいるものか、だからこそ老けている自分に非があるならばそれを正そうとするのは当然である。
 問題は紫が一方的に勘違いしているだけのことである。つまりそんなことしなくても藍は紫をしっかり敬い、愛しているのである。

「はい、藍、あ~んして」
「あ~ん……むきゅむきゅ、おいしいです紫様」

 まるで新婚夫婦のように仲睦まじい二人。所詮誤解から始まったのだ。誤解が解けずとも仲を取り戻すのはそんなに難しいことではなかった。
 しかし、そんな二人の姿に納得が行かないのが橙だ。

「藍さま~お魚の身をほぐして~」
「そのぐらい自分でやりなさい。紫様、魚の身をほぐしました。小骨が少しありますのでご注意を」
「むぅ~」

 橙は藍に構って貰えずに不平をもらす。ただでさえ紫がどこかへ消えてしまった時に、放心状態の藍に代わって拙いながらも家事を行ったのは他でもない橙だ。
 それなのに褒められるどころかこの所業はどういうことだろうか。かといって今の橙に口答えする度胸などはない。

「橙、アレに餌をやってきなさいな」
「うぅ~分かりましたぁ~」

 紫に命令されてとぼとぼと歩いていく。
 さて、お分かりだろうがアレとはアレッシーのことだ。彼の餌こと食事の献立は、紫の食べ残しのご飯、藍の飲み残しの味噌汁、橙の食い残しの魚(ほとんど骨)である。
 それらを御椀にまとめて入れたのだ。橙は藍や紫に口答えすることが出来ずストレスが溜まっていた。その捌け口はどこだろうか。そう、自分より弱い物に捌け口を求めたのだ。
 と言っても橙は弱い者に直接的な暴力を奮うほど落ちぶれてはいない。せいぜいからかったり悪戯したりする程度だ。つまりアレッシーの食事に自分の嫌いなものを混ぜたりする程度の悪戯だ。
 蜜柑やどこぞの河童の所から獲ってきた萎びた胡瓜、葱その他色々、それらをぐちゃぐちゃとかき混ぜてアレッシーのもとへやって来た。

「ん、ごはん」

 たった一言告げると橙はさっとその場から立ち去った。今のアレッシーの住処はマヨヒガの一角の朽ち掛けた物置だ。辛うじて雨風が凌げる程度である。
 彼は橙の持ってきた椀をじっと見つめた。その怪しげな色は人間が食べるものとは思いにくい。だがアレッシーはそれを口にした。

「寝れねぇよぉ~。眠てぇけど寝れねぇよぉ~。まじぃよぉ~、この飯不味いよぉ~。それでも食べるおれってえらいねぇ~」

 永い時を生きている者を若返らせたのだ。彼の精神力も使い果たすほどにだ。それでも永琳のお手製お薬によって眠ることはおろか気絶されることも許されない。
 永琳の説明によれば死ぬほど強い衝撃を受けると気絶するらしいが、それはもはや気絶ではなく昏倒だ。ただ効果が一月ほどで、またあの薬を打たれなければならないらしい。
 何か不測の事態に陥った時の為に彼女は効果を打ち消す薬を作っているらしいが完成しているかどうか、アレッシーは知らない。
 怪しい色をした薬を太い注射で打たれてからすぐに永遠亭の住人を『セト神』で子供の姿にした後、すぐにこのマヨヒガへ連れてこられたからだ。
 思えば紫や永琳はその過程を楽しんでいた。アレッシーはただ彼女達の言いなりになるしかなかった。



 まずに『セト神』の餌食になったのは輝夜だ。永琳が彼に注射をしている最中にスキマから携帯電話を取り出し、何処かへとメールを打っていた。
 その速度は永琳が無駄に早いと言うだけあり、現代の女子高生に劣らぬ速度で文章を打ち込んだのだ。

「ハイ送信♪」
「どこに送ったの?」

 目を細めながら紫の携帯電話を覗き込む永琳。

「あなたも送る」
「そうねぇ、そっちがそういう文面なら私は……」

 紫から携帯電話を受け取った永琳は目を細くして画面を睨みながらゆっくりとぎこちなく打ち込んでいった。その速度は……いや喩えるのは不憫なのでやめておこう。きっと永琳は携帯電話を持たない主義なのだ。そうすれば紫の何倍も時間をかけてメールを送るのにも納得出来る。

「うふふ、それでは行きましょうか」
「そうね」

 メールを送り終えた紫は空間にスキマを作り出すとアレッシーをその中に蹴りこみ、彼女達もその後に続いた。

 その頃の輝夜は自室で鳥料理のレシピを探していた。無論彼女の自慢の自作マシーン『蓬莱8556号』で(出資:永琳)。もはや輝夜のマシーンはオンゲやvipで荒らしをする為にだけにあらず。このように有益に使われているのだ。

「うーん、夜雀の料理かぁ……ググっても出てこないなぁ。雀なら少しだけ出てくるけど……やっぱり鶏を狩っておいて良かったわ」

 部屋の隅で『だったら食べないで』と騒ぐ某夜雀さん(簀巻きにしました)を放って置いて今度は鶏を使った料理をググる輝夜。

「鶏肉だと今度は多すぎるわね。ん? あ、メールが届いた音だ。メール……誰からかしら」

 一人呟き、ブラウザを最小化するとメーラーを立ち上げる。

「無題:わたし、メリー。今あなたの後ろにいるの……はっ、そんなわけないじゃん」

 と言いつつもしっかり背後を振り返り鼻で笑う輝夜。彼女が視線をモニターに戻したその時、再びメールの受信を知らせる音が聞こえた。

「何よ、無題ってまた悪戯? えーと……わたし、えーりん。いまおしめを持って、かぐやの後ろにいるの。って、はぁ!? えーりん!?」

 ぐるんと輝夜が勢いよく後ろに振り返るとそこには素晴らしい笑顔でおしめと注射器を手に持つ永琳の姿。

「た、助けてえーりんって言ったら助けてくれる?」
「そうね、いつも助けているからね……だが断る♪」

 怪しげなお薬の入ったお注射をプスッと刺し輝夜を眠らせる。後はもうお分かりだろう。スキマからアレッシーを紫が蹴り落とし、彼に『セト神』を使うように命じる。
 永琳の望む年齢にまで若返った輝夜を、彼女が『こんなこともあろうかと』と言って捨てずに大切に保管していた輝夜の子供の頃の服を着せる。無論おしめをはかせてから。
 そして永琳がお楽しみの最中に紫がアレッシーに命じ、自分自身が若返る。一通り望みが適った紫と永琳はお互いに視線を交わす。

「「イェ~イ」」

 パァンと小気味良い音を鳴らせてハイタッチを交わすのだった。

「次は?」
「次は……そうね、うどんげかしら」

 永琳は腕の中で眠る輝夜を抱きかかえながら答える。

「膳は急げってね。れいせ~ん、うどんげいーん、新参ほいほ~い、座薬ぅ~。お師匠様がお呼びよ~」

 あらゆる呼称を用いて鈴仙を呼びつける紫。永琳も紫のそれを咎める様子はない。

「来ないわね」
「来るわよ。ほら、足音がするもの」

 その音を表現するならトボトボとするのが正しいであろう。その足音は彼女の心情を正確に表している。いい加減にしてくれ、と。

「あーもうなんですか一体……って師匠その腕の子何?」
「何って失礼ね。輝夜よ」
「はっ!? まさか……」

 輝夜が小さな子供になった。その事実からこれからその身に起こるであろう災厄を予知して脱兎と逃げ出そうとする鈴仙。だがそうは紫が卸さない。

「逃がさないわよ。アレッシー、やっておしまい!」

 がっちりと紫に腕を掴まれてしまいその場からの逃走に失敗してしまった。アレッシーは紫の命に従い、『セト神』を繰り出す。
 この時彼は愉悦感に浸っていた。今までの紫に虐げられてきた彼が加虐側に回る。彼の嗜虐心を満足させるもとは言いにくいがそれでも幾分かはそれが充足されるのだ。
 彼には知らず知らずの内に笑みが浮かぶ。おぞましく醜い笑みだ。

「い、嫌ぁ!」

 鈴仙が叫ぶ。それがまたアレッシーの心を奮わせる。先ほど鈴仙に何度も蹴られた報復の意味合いを込めてか、アレッシーはゆっくりと『セト神』の影を鈴仙に交わらせる。

「やだやだ! 師匠、助けて! お願いします。やめて、嫌、いやなの! ダメ、やめてぇ~!!」

 鈴仙の必死の懇願虚しく『セト神』は鈴仙と交わった。永琳はただ黙ってそれを見ているだけだった。おしめを手に持って。

 一仕事終わったと、紫はスキマを作り出すと、幼女となった鈴仙をまじまじと見つめるアレッシーをスキマに蹴り込むと、彼女自身、藍と触れ合うためスキマに飛び込んでいった。
 そして後には永琳の腕の中で目を覚ました輝夜と怯える鈴仙、おしめを持ってにやける永琳が取り残されたのだ。
 一方、幸運にもこの騒動に巻き込まれなかったもう一人の永遠亭の住人がようやく帰ってきた。


「ただいまー。お腹空いたー。ごは……ん?」

 帰宅するなり食事を寄越せと言う彼女の名は因幡てゐ。だが彼女は眼前の光景に目を疑った。

「ん? 気のせいかな、幼女な姫様が目の前をドタドタ走って行ったんだけど……」

 てゐはごしごしと目を擦る。

「気のせいかな、全裸で幼女な鈴仙を、お師匠様がおしめ持って追いかけていたんだけど……きっと気のせいだ。日頃のいたずらのし過ぎで疲れているんだ、ご飯早く食べて寝よう」

 現実から逃避するようなことを言っているてゐの背後には赤青の影……。

「て~ゐちゃぁ~ん?」

 地獄の底から響いて来るような永琳の声にてゐは脱兎となり逃げ出した。しかし廻り込まれた。

「待てゐ! うふふ、てゐのちっちゃな頃ってどんなのかしらねぇ~」
「あわわ、わたしの子供の頃? た、ただの子うさぎだよ」
「チッ、面白みがない」

 何だかよく分からない永琳の恐怖心からか素直に己の子供の頃の姿を述べるてゐ。偽りを述べぬ彼女には幸運が舞い降りた。そう、永琳の興味がなくなったのだ。詰まらなそうにてゐを解放した永琳はギュンという効果音が付きそうな勢いで後ろへ振り返った。
 振り返った先には壁から状況を窺っていた四つの瞳、幼女な輝夜(服着てるよ)と幼女な鈴仙(全裸)の瞳。それがバッチリと永琳と目が合った。

「さぁ輝夜ちゃんに鈴仙ちゃん、おしめをはきましょうね~」

 脱兎の如く逃げ出す二人、追いかける永琳、取り残されたてゐ。

「な、何なのよ。これ?」

 現状が理解できずてゐは混乱したままその場にしばらく座り込むことしか出来なかった。

「てゐー! 晩御飯よー!」
「は!?」

 妙に嬉そうな永琳の声にようやく我に返ったてゐ。先ほど目にしたのは夢だったのだ、そう信じようとしながら恐る恐る食卓へと近寄った。

「てゐ遅いじゃない、この子達が待ちきれないわ」
「ご、ごめんなさい」

 食卓の上にはホカホカのご飯に鶏肉ハンバーグ、永琳にしては珍しい献立だ。

「てゐ、ぼさっとしてないで早く座りなさい、座ったわね。いただきます」
「「いただきま~す」」

 可愛らしく手を合わせると嬉しそうにナイフとフォークでハンバーグを切ろうと試みる幼女な輝夜と鈴仙。だがあまりそれに慣れていないのだろう、上手く切り分けることが出来ない。

「えーりんきれないー」
「はいはい、待ってね、ほら切れた」

 助けてえーりんと言う幼女な輝夜に、仕方がないといいながらも満面の笑みを浮かべてその手を取ってハンバーグを切った。
 だがそれが面白くないのだろうか、幼女な鈴仙が横からその切り取ったハンバーグを箸で突き刺して口へ運んだ。

「こら、うどんげ。駄目でしょう?」
「だってわたしもきれないんだもん」
「ちょっと待ちなさい。ほら手を貸して……そう切れたじゃない」

 鈴仙を叱る永琳の姿はてゐから見てもとても嬉しそうだった。まるで世話を焼くのが楽しくてたまらないとでも言わんばかりの笑みを浮かべる。

「輝夜、ちゃんと人参も食べなさい」
「やだ。うどんげ、にんじんあげるー」
「わぁーありがとー」
「もう、仕方が無いわね」

 余りにも微笑ましい光景。

「お母さんみたい」

 てゐが思わずそう呟くのも無理はない話だ。

「てゐ、どうしたの? 食べないのかしら?」
「あっと、食べる食べる」

 のそのそと食事を口に運びながらもてゐの視線は永琳に釘付けだった。

「そういえば……」
「てゐ何か言った? おしめしたいの?」
「いや、しないから」
「残念……」



―そういえば……永琳がこの地に来てから、こんなにも心の底から楽しそうに笑っているのは初めてだ―

 てゐは口に出すのは無粋とその言葉を告げず、食事を終えると黙ってその場から立ち去るのだった。決して皿洗いが面倒だから逃げたのではない。
 その場には口周りを汚した輝夜と鈴仙を微笑みながら汚れを拭き取る永琳だけが取り残された。



(あーもしもし、文々。新聞さん? 面白いネタがあるけど買う?)
(ネタの内容によりますねぇ~)
(う~ん、永遠亭の内輪ネタだけど……)
(前金で半分ほど渡しましょう、残りはネタ次第でどうですか)
(う~ん、それでいいや。永遠亭の姫と鈴仙が幼女に)
(あやや! 何という面白そうなスクープ!)
(これからたぶんお風呂だよ)
(何と!? 早速現場に急行です!)

 てゐはやはりてゐだった。



後日……

「咲夜さん! 待って下さい! 館の掃除を投げ出してどこに行くつもりですか!?」
「美鈴放して! 後生だから放して頂戴! 幼女が、幼女が私を呼んでるの!」
「レミリアお嬢様がいるじゃないですか」
「駄目なのよ美鈴。今のお嬢様はカリスマたっぷりでうーうー言わないの!」
「じゃあ代わりにわたしがうーうー言いますから……オホンッ……さくやさーん、うーうー」
「ぺっ」
「あ、今唾吐きましたね!」
「美鈴が幼女だ何てどの胸がいうのかしら? この胸、そうこの胸ね!」
「あ、あぁん! さ、咲夜さん、だめぇ、そ…そんなに…強く…はうっ、らめぇ……も、揉まないでぇ~」


 文々。新聞を読んだ、どこぞの瀟洒なメイドさんはたいそう取り乱したそうな。



第五話

永遠亭?いいえ、幼女亭です。

 あれから幾日が過ぎた。
 幸せは甘美な物である。だがそれは永劫には続かない。全ての物に始めがあれば必ず終わりが訪れる。違いはそれがいつ訪れるかだ。
 八雲紫、彼女にもそれが言える。始まりは八雲藍との誤解であった。お互いに素直に語り合えばそれは解けていたはずだ。
 しかし、紫は式を藍を愛していた。家族として。故に彼女との絆が綻ぶことが恐ろしく、安易に『力』に頼り、絆の綻びを正そうとした。
 元々紫と藍の絆に綻びなど生じていないのだ。紫は『力』に頼る必要などなかった。だが現に彼女は『力』を頼った。
 その『力』は綻びを正すことはない。何故なら綻びなど始めから存在しないからだ。『力』は行き場を失い、彷徨い、新たな綻びを生じさせる。
 それは紫と藍ではない。紫と別の誰かの絆に綻びを生んだのだ。
 兆候は確かにあった。しかし幸福な一時を送る彼女はそれに気付くことが出来ない。それに気付いたときにはもう遅すぎた。


「紫~遊びに来たわよ」
「……あなた……だれ?」



TO BE CONTINUED…


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー