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ジョジョの奇妙な東方~FF・of・fate~ 第十三話

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shinatuki

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ジョジョの奇妙な東方
~FF・of・fate~
第13話:人間が好きな妖怪 その①


「教師ィ?」

妖怪の山に戻って数日。少しずつながらも接客を覚えてきたにとりに営業スマイルを教えていたFFは、その珍妙な客の依頼に眉を顰めた。
客の名前は上白沢慧音。人間の里で寺子屋をやっている半妖だという。
そして、肝心の依頼内容は自分の寺子屋で教師をやってほしい、というわけのわからないもの。

「えぇ。コレを読んで貴方には人に何かを教える【才能】があると思いまして。」

灰色の紙の束をヒラヒラと振る。その紙には【文々。新聞 号外】とでかでかと書かれていた。
あの天狗、あとで絶対焼き鳥にしてやる、と心に硬く誓うFF。

「フランの事を言ってるなら、ソイツはお門違いだ。あの子には元々知っていた事を【自覚】させただけだ。教えたわけじゃあない。」

「しかし、フランドールに自覚を促したのは貴方だ。」

一向に引かない慧音にうんざりとする。自分はモノを教えるような立場ではないと言うのに。溜息をついて「とにかく却下だ」と言おうとした矢先。

「いいんじゃあないの?FF。」

河の方からいらない言葉が飛び出してきた。にとりだ。日課の修理の仕事を終え、体中に引っ付いた砂鉄やら埃やらを水で洗い流していた。
最初は河を護るべき河童が河を汚してどうするんだと思ったが、何でも定期的に河の掃除をするからいいんだー、だそうだ。幻想卿にきて2週間と少し経ったが、全くそんな光景を見たことが無いということを付け足しておく。

「前から私に出張修理やってみろって言ってたじゃない。一緒に行くわよ~?」

にやにやしながら河から上がってくる。とんでもなくウザイがとりあえず放置。今は慧音との会話が第一である。

「何で私なんだ?言っちゃ悪いが、私よりもアンタの方がモノを教えるのは上手いだろう。」

「・・・妖怪たちに人間と仲良くして欲しいからです。」

慧音のその一言は、FFの態度を変えさせるのには充分だった。黙って先を促す。

「今の幻想卿に住む人々は、この世界がもうすぐ妖怪に乗っ取られるんじゃあないかと思っているのですよ。」

「どういう意味だ?確かに幻想卿には強力な妖怪はいる。だが、幻想卿を乗っ取ろうと考えるヤツなんかいないはずだろう?」

この幻想卿での大妖怪、と呼ばれる存在――西行寺幽々子やレミリア・スカーレット等――はそんな事を望んでなどいない。当たり前だ。幻想卿という【小さな世界】を乗っ取ったところで何にもならない事を彼女達自身が良く知っている。
いくらこの世界を乗っ取ったところで幻想卿の外では彼女達は生きられないのだから。

「それは妖怪側の都合。人間達はそうは思っていない、と言う事です。現に博霊神社は妖怪に乗っ取られている、いずれ自分達を襲うつもりだと考えている者も現れている。」

博霊神社。確か、妖怪の山の向かいにある山の神社だったはずだ。何でもこの世界を覆っている結界(それがどういうものかはFFはわかっていないが)の基点となっているんだとか。
確か、そこの主はまだ人間のはずだが。

「その博霊の巫女が全く人里に姿を見せてくれないんだ。しかも最近来た神様は妖怪が信仰していると聞きます。今の幻想卿には人間が信仰する神様が【存在しない】。それはとても危険な事なんです。」

慧音の言葉に素直に頷けないFF。幾らなんでも信仰如きでそこまで深刻になるとはとても思えないからだ。
確かにこの妖怪の山には神様が二人住んでいる。妖怪たちが信仰しているという事実もある。だが、それは【人間が信仰してはいけない】と言う事と同義ではない。

「人間ではない貴方達ではわからないでしょうが、【信仰】と言うものは人間達にとって【心の拠り所】なのです。それに、【妖怪が信仰している】という事実のみで勝手に邪神だと思っている者もいます。」

自分勝手な人間もいたものだ、とは思う。妖怪が普通の神を信仰して何が悪いのだろうか?普通の神である証拠に人間である魔理沙も面白がって天狗に混じって参拝(という名の泥棒行為)に来ている。
別に間違った教えをしていなければ一緒に信仰すればいいのだ。

「それはハッキリ言って里の人間が悪いんじゃあないか?妖怪たちもちゃんと節度を持って生活しているんだ。勝手に怯えて勝手に敵愾心を持たれちゃたまったもんじゃあないだろう。」

「えぇ。だからこそ!」

FFの言葉に声色を強くして詰め寄る慧音。この目はヤバイ。看守に対する悪巧みを思いついた除倫やエルメェスの目とそっくりだ。

「だからこそ妖怪たちに教師をして貰いたいんですよ。決まりさえ守れば妖怪は怖い存在ではない、隣人になれる存在なのだと教えていきたいのです!」

だんだんとヒートアップしていく。これはヤバイ。色々な意味でヤバイ。

「とりあえず言い分はわかった。わかったから少し落ち着いてくれ。じゃないと――」

「何々!?FF教師やるの!?取材していい!?ねぇいい!?」

FFの言葉を遮って慧音に負けないほどの大声が響く。遅かったか・・・

「毎度お馴染み、射名丸文!ただいま参上!」

「参上せんでいいパパラッチ天狗!ったく・・・まだ教師になると決まったわけじゃねぇ。話を聞いてただけだ。」

F1レーサーもびっくりな速度で降下してきた文に呆れ帰るFF。コイツは絶対に新聞記者じゃなくゴシップ記者と名前を変えたほうがいい。
そんなFFの胸中も知らずに、暢気に文化帖を広げる文。

「あー・・・もぅいいや。一応やるだけやってはみよう。だが、うまくやれるかは保障しないぞ・・・?」

頭を掻きながら慧音に言う。この天狗が出てきた時点で自分の負けは決定したようなものだ。
付き合ってみてわかったが、文は【ペンは剣より強し】を全身で示しているような女だ。いつもはゴシップ記事しか書かないクセに何故か他人の秘密にやたらと詳しかったりするのだ、この天狗は。

「え、いいんですか?そんなアッサリ決めちゃって?」

「あぁ。この天狗に知られたらもうOKしちまったようなモンだしな。明日向かうよ。」

「ありがとう!待っているよ!」

ニコニコと山を降りていく慧音を見送ったあと、FFは手帳とカメラをそれぞれの手に持った文と向きなおる。

「で、いい?取材して?」

「まぁ、それも含めてあっちで話そうか?」

最高の笑顔で文に言うFF。危険を感じ、とっさに逃げ出そうとしたがもう遅い。哀れ、文は首根っこを掴まれ、森の方へ引きずられていったのだった。無論、にとりは河へと逆戻りである。

「さて、紅魔館のアレはどうやって知ったんだ~文?」

「えっとぉ・・・コチラにも守秘義務が・・・」

「そーかそーか。じゃあちぃっとばかし痛い目にあってもらおうかな?」

「ひぅっ!?そ、そこはダメ!洒落になってないぃ!」

「この記事も充分洒落になってないぞ。ホラホラ、早く言わないとフーファイターズが入り込むぞ?」

「ひぁああっ!?」

「さぁ、誰に聞いたんだ?今度はこんなもんじゃあ済まされねぇぞぉおお?」

「ひゃめっ、やめてぇえ!」

などというやり取りを河の中で聞いていたにとり。河の中で何をやっていたかを聞くのは野暮ってモンである。

次の日。FFとにとりは文の案内で、人間の里から少し離れた寺子屋に向かう事になった。
結局あの後、FFは文に(オラァ!)にフーファイターズを(無駄ァ!)したり(ドララァ!)したりして口を割らせようとしたのだが結局口を割る事はなく、代わりに寺子屋の案内をさせることにしたのだった。

「あ、あうぅ・・・まだ(アリィ!)が痛い・・・」

「女が(ボラッ!)とか言うな。」

涙目で腰を押さえる文に突っ込むFF。というか一晩中(WAANAABEE!)やってたくせに元気な二人である。
にとりは少し寝不足なのか、ふらふらとしながら商売道具の確認をしている。

「あ、あそこですよ。慧音さんの寺子屋。」

文が指差した先には、確かに木造建築の建物があった。大き目の日本建築に運動場のような庭があり、確かに勉強を教えるにはもってこいだろう。
そんな建物の前で、数人の子供と妙な帽子を被った男がなにやら奇妙な動きをしていた。

「そうだ!その呼吸だ!体が軽くなったろう?それが仙道の基礎だ!かけっこもはやくなるぞぅ!」

どう見ても奇妙なポーズをとっているようにしか見えないのだが、帽子の男と周りの子供たちは大真面目だ。

「・・・誰?」

「あの人はウィル・A・ツェペリさん。私達はツェペリ男爵とかツェペリさんって呼んでるわ。」

にとりの若干引いた感じの質問に答える文。どうもあの光景は、別段妙であるというわけでもなさそうだ。

「む?おぉ、山の新聞記者じゃあないか。また波紋の取材かい?」

こちらに気づいたツェペリが呼びかけてくる。どうも取材に訪れた事があるらしく、大分とフランクだ。

「いえ、波紋は記事にするまでに時間がかかるのでまた今度・・・今回は、こっちの二人を連れてきたんですよ。」

「あぁ、君達が慧音さんが言っていた新しい教師と技術者だね?私はウィル・A・ツェペリ。ツェペリ男爵と呼んでくれ。」

文がFFとにとりを紹介する。あらかじめ知っていたらしく、優雅な仕草でお辞儀をする。見た目どおりの英国紳士、といった感じだ。
彼もFFと同じく、幻想卿に呼ばれた外の人間なのだろうか?見た目からして違うし・・・

「ところでツェペリさん。何をしているんだ?運動にしちゃあ、奇妙だな?」

FFの言葉でにとりは現実に引き戻された。確かに、運動をしているにしては動きがスローモーだ。少し前に香霖堂にあった『よが』という本にあったポーズに似ている。

「はっはっは!ヨガではないよ、これは。『仙道』といってね。簡単に言えば人間の力を最大限に引き出すための呼吸法だ。」

にとりの感想に笑いながら答えるツェペリ。彼の説明も全く理解できず?マークが増えていく。
そのリアクションもわかっていたのか、ツェペリは気を悪くしたふうもなく細かく説明を始めた。

「普通に呼吸をした状態で全力疾走しろって言われても無理だろう?しかし、もしそれが可能ならどんな状態であっても全力で走る事ができる。そういう『呼吸法』さ。」

「はー・・・それはすごいですねぇ・・・」

ツェペリの説明に納得したのかそれとも理解するのを放棄したのかわからないが、溜息をついて感心するにとり。
一応コイツ妖怪だったよな・・・と若干の不安を覚えながらもFFは本題に戻る事にした。

「私はフー・ファイターズ。こっちのは河城にとりだ。悪いんだが、慧音を呼んでもらえるか?」

「承知した。少し待っていてくれるか?」

そういうと、ツェペリはきびすを返し、建物の中へ入っていった。
子供達は相変わらず『仙道』を続けているようだ。その様子は除倫がファンだと言っていた『ピンクダークの少年』を何故か髣髴とさせた。

「ふふ、ついてきた甲斐があったと言うもの!今回の一面トップは【謎の秘密歴史結社の奇妙な活動】で決定ですッ!」

さっきまでのぐったりした顔は何だったのか、生き生きとした表情でシャッターを切り続ける文。この図々しさはかえって清々しいくらいだ。
絶対にコイツは何があっても生き残るタイプだろう。
そうこうしている内に、ツェペリが慧音を連れて帰ってきた。

「お待たせして申し訳ない!仕事がちょっと圧していて・・・」

「いや、構わないさ。この子達が生徒なのか?」

「その通りです。他にも数名いますが、皆いい子ばかりですよ。」

FFの質問に、まるで自分の子供のように誇らしげに答える慧音。子供たちも嬉しそうだ。

「今日から新しい先生になる、フー・ファイターズ先生だ!みんな、挨拶して!」

「「よろしくお願いします!」」

慧音の号令で一斉に頭を下げる子供たち。こういうのを見ると、教師もあながち悪いもんじゃあねぇかもな、とまんざらでもなくなってくるFFだった。

「取り合えず立ち話も何だから中へ行きましょう。他の教師に貴方の事を紹介しなければ。」

「あぁ、わかった。」

慧音に案内され、学校の中へ入っていくFF。にとりはというと。

「おねーちゃん、そのせなかのなにー?」

「すっげー!てつのぼうだー!」

「こら!それは私の商売道具・・・それいじくっちゃダメ!危ないからー!」

「おねーちゃん、ぼうしかしてー!」

「このカードかっこいい!おねーちゃんがつくったの?」

「え、ちょっと待って、服を引っ張らないで!スペルカードをもってかないでー!」

すっかりと子供たちのオモチャと化していた。


FFが中に入ると、すでに中にいた数人がこちらを向いた。どうやらこの数人がココの教師であるらしい。

「あら、慧音さん。その人が?」

「あぁ。フー・ファイターズさんだ。」

緑と白を基調とした巫女服の少女の質問に、慧音が答える。巫女服の女性には見覚えがあった。

「確か、八坂神社の・・・緑の腋」

「東風谷早苗です!二度と間違えないでください・・・緑の腋でも2Pカラーでもない・・・!」

FFのあんまりな言葉に即座に突っ込みを入れる緑の腋もとい早苗。といっても両者共に名前だけ知っていて、面識は無かったのだが。

「彼女は人間に自分の神様を信仰して欲しいらしくてな。布教がてら、教師をやってもらっているんですよ。」

慧音が補足説明する。どっかの紅白よりもよっぽど巫女らしい事をしている。

「あと最初に会っただろうけれど、彼はウィル・A・ツェペリさん。主に運動関係は彼に任せている。」

「自己紹介はしたが、改めてよろしく頼むよ。」

ツェペリが帽子をとって一礼する。見た目はひょろっとした感じだがさっきの動きを見る限り、かなりの【使い手】だろう。スタンド使いではないようだが・・・

「奥のほうにいるのが八意永琳。いつもいるわけではないけれど、保健医をしてもらっている。」

「永琳って呼んで頂戴。よろしく頼むわね?」

奥にいる赤と青のワンピースの女性がウインクする。服装のせいか、FFには医者というより看護師にしか見えない。

「そして、その隣にいるのが藤原妹紅。非常勤、のようなものかな?」

「のようなもの、じゃなくて非常勤だよ慧音。妹紅だ。ガキ共の護衛とか、誰かいない時に変わりに教師をやったりしてる。」

白のカッターシャツに赤のサスペンダーつきのズボンというボーイッシュな出で立ちの女性だ。腰下まで伸びた銀髪が印象的だった。

「後は・・・ん?重ちーはどこ行った?」

「重ちーなら農家の手伝いに行ったぞ?『アルバイトってヤツだどっ!しししっ!』とか言いながら。」

「またか・・・今日は新しい教師が来るから手伝いは行くなとあれほど言ったのに・・・」

もう一人いるのだろう、辺りを見回す慧音に呆れた様子で妹紅が言う。
その【重ちー】とかいうヤツも教師なのだろうか。にしても自由奔放なヤツなのだろう、頭を抱える慧音が結構サマになっていた。

「いないものは仕方ないか・・・まぁ今日は皆の授業を見ててください。もうすぐ妖怪の生徒も来るはずなので。」

「妖怪?」

気をとりなおして言った慧音の台詞にFFは怪訝な声を上げた。妖怪の生徒なんているのだろうか?しかしその言葉を予想していたのか、慧音はにっこりと笑った。

「えぇ、妖怪の生徒です。とってもいい子ばかりですよ?」

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