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ジョジョの奇妙な東方~FF・of・fate~ 第十九話

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shinatuki

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ジョジョの奇妙な東方
~FF・of・fate~
第19話(外伝):不思議なあの人はエイリアン その③

「大丈夫かしら輝夜様・・・」

輝夜に追い出された鈴仙と未起隆は扉の前の廊下で待つことにした。当然ながら未起隆は普通の状態だとテラ不審者なので鈴仙の服に化けている。

「大丈夫でしょう。輝夜様はあれでかなり聡明な方です。その【魔法の言葉】とやらもあながち間違いではないでしょう。それよりも・・・」

鈴仙の服――性格には化けている未起隆が身じろぎする。パっと見、鈴仙自身がクネクネと身じろぎしたようにしか見えない。

「ちょっとサイズが違うのですかね・・・ちょっと窮屈なのですが・・・」

「バッ!?ちょッ!?そんな訳ないでしょオ!?何を言って・・・」

「貴方が申告したサイズだとちょっと胸周りが緩くて胴回りが窮屈なんですよ。」

「そういう事を宣言すんなッ!ちょ、どこ触ってんの!!」

「正確に測るために地球の言葉で胸部、正確にはち・・・」

「そこまで正確に言わんでいいッ!つか触るなッ!!」

ここの使用人たちが見れば首を傾げざるを得ないような一人漫才(にしか見えない)をしていると、不意に扉がバタンと開いた。
驚いて扉を見ると、輝夜がぐったりした阿求に肩を貸して出てきているところだった。

「か、輝夜様っ!?まさか殴りあい・宇宙したんじゃあないでしょうねッ!?阿求さんはお体が弱いんですよッ!?妹紅さんとは違」

「勝手にどっかのニュー○イプにしないでくれる!?ただ単に貧血を起こしてるだけよ!いいから手伝って頂戴!」

重そうにしている輝夜が怒鳴る。確かに、長い間作業し続けていた影響か顔色が悪いものの、阿求の顔は穏やかだ。

「すみません・・・気が抜けたせいか体に力が入らなくて・・・」

自分達が何日もかけて出来なかった事を数分でやってのけてしまうとは、さすがは月の姫と言ったところか・・・
鈴仙は改めて自分の上司の懐の深さに気付く事となった。まぁ、それ以外は欠点だらけのお姫様なのだが。

「輝夜様、私が代わりますよ。今は未起隆着てないんですから、普段の力はないでしょう?」

早々に疲れてしまったらしく阿求に潰されてもがいている輝夜を見て苦笑する鈴仙だった。

夜。めずらしく輝夜は自室でパソコンと向き合っていなかった。夕食を食べ終えると、ウキウキした様子で身支度を整えると竹林へ出かけていったのだ。
目的はただ一つ。殺し合いという名の喧嘩である。もう何十、何百年やったかわからないほどの恒例行事だが、輝夜はこの瞬間をなにより楽しみにしているのだった。
永琳や鈴仙、てゐ、未起隆はそれを知っているのでついていくなどと言うヤボな事はしない。

「よぉ!蓬莱ニート!人里に出てきたんだって!?自宅警備員はもう辞めたのかよ?」

「もう数年前から止めてるわよ!アンタが知らないだけでね!」

竹林に紛れていてもよく判る流れるような銀髪と赤白の服が輝夜の正面に見える。あちらからもこちらが見えているだろう、嬉しそうな声で皮肉が飛んでくる。
あちらも久々の喧嘩が楽しみなのだろう。それは、こちらも同じだった。

「この言葉もね!いい加減その鳥頭何とかしたら!?」

「ハッ!私は要らないことはすぐに忘れる性質でね!手前ェの言葉も明日にゃ忘れてるだろうよ!」

この皮肉の応酬も久々だ。自然と輝夜の精神も高ぶってくる。この高揚感があるから妹紅との喧嘩は止められないんだなぁ、と今更ながらに実感した。
それはあちらも同じなのだろう。

「ま、そろそろ始めるか!?輝夜ァアアアッ!!」

「望むところよ!妹紅ォッ!」

お互いに叫ぶと妹紅は一気に踏み込み、輝夜は手に持った蓬莱の枝を優雅に左右に振るッ!

「不死ッ【火の鳥 鳳翼天翔】ォオオ!」

妹紅の体が一瞬、弾けたかと思うと幾重にも重なった炎がまるで生きもののように蠢き、輝夜に迫りくる!
だが、輝夜はそれを避けない。避けようともしない。普通なら塵一つ残らないような巨大な炎を相手にして身じろぎ一つしない!
炎が当たるか当たらないかのその瞬間。左右に振っていた蓬莱の枝を炎に向け、叫ぶ!

「神宝!【ブリリアントドラゴンバレッタ】ッ!」

枝の先の宝玉から幾重もの光がほとばしり、迫る炎を貫いたその五色の光はそのまま妹紅の半身を焼く!
しかし、炎をギリギリまでひきつけたせいで輝夜自身も身体の正面が消し炭になっていた。
それでも、二人は戦うのを止めない。妹紅は焼けた半身を気にも留めずに、輝夜も己の目の無事だけを確かめ。片方は荒々しく、もう片方は優雅に夜空を舞う。

「不滅ゥ!【フェニックスの尾】ッ!」

「神宝ッ!【サラマンダーシールド】ッ!」

欠けた月を背後に二種類の真っ赤な弾幕がお互いを押しつぶさんと広がってゆく。同じ赤のはずなのだが、二人の弾幕はそれぞれ滝と壁をイメージさせる。
まるで彼女達自身をあらわしているようだった。壁を貫かんとする妹紅と滝を全て受け止めようとする輝夜。対照的なはずの二人の弾幕は混ざり合い、文字通り幻想的な文様を作り上げていた。

「ハン!相変わらずえげつない弾幕使うなァ輝夜ッ!」

「一点突破だけじゃあ芸がないって事よッ!たまには防御も考えたら!?」

「抜かしてろッ!」

お互いの体が砕け、千切れ、崩壊しているのにも関わらず笑顔で悪口の応酬を行う二人。そんな二人は、この瞬間。間違いなく【生きて】いる実感を全身で味わっていた。

永遠亭。現存する幻想卿の建物の中でも最も古い建築方法で建てられている(ように見える)建物である。しかし、その割りに古臭さは少しもなく文字通り【永遠】を感じさせる屋敷だった。
その入り口で、未起隆は自分の主が帰ってくるのを微動だにせず待っていた。
いつもならそろそろ妹紅が迷子状態になってベソをかいている輝夜を引きずってやってくるはずなのだが・・・

「あら、未起隆。そんな所にいると風邪引くわよ?」

「あ、永琳様。私は大丈夫です。体内に風邪のウイルスを殺す菌が入っていますから。」

どこまで本当なのかわからない(少なくとも本人は割りと本気)未起隆の発現に苦笑する。永琳はそれ以上何も言わずに未起隆の隣に立ち、一緒に輝夜の帰りを待つことにした。
ふと上を見上げたら半月だった。少なくともかつては自分はあの裏側に住んでいたのだと思うと、月も感慨深いものがある。この自称宇宙人もどこかの星を眺めて自分と同じ気持ちになったりするのだろうか?

「姫様を待ってるの?」

「はい。輝夜様を見守るのが今の私の仕事ですから。」

それっきり黙りこむ二人。無言で佇む二人の間を気持ちのいい風が吹きぬけていく。普通は無言でいると気まずいものだが、そんな感じは微塵もない。寧ろ、未起隆自身が安心できるような温かみを感じられるほどだった。
一緒にいて安心できる雰囲気。そんな雰囲気を持つ永琳だからこそ輝夜も心を許し、数百年以上に渡って共に暮らしているのだろう。声にこそ出さないが、未起隆はそんな永琳が羨ましく、また尊敬していた。
【外の世界】にいる時とはまた違った感覚。相変わらず宇宙船との通信は取れないが、地球という星がこんなにまで多種多様な場所である事を知らせたいと思った。

「おぉ~い、未起隆~、永琳~」

竹林の奥から声が聞こえる。どうやら妹紅が来たようだ。となると輝夜もいるはずなのだが・・・

「すまん、遅くなった・・・つか今日はそっちに泊めてもらって良いか・・・?」

「あら、妹紅!?どうしたの貴方!?」

永琳が驚く。本来なら不老不死である妹紅は怪我をしてもすぐに回復するはず。それなのに、全身傷だらけで同じく傷だらけの輝夜を担いで来ていたのだ。
妹紅に担がれている輝夜は、満足したとでも言わん顔で眠っていた。

「いや、スマン・・・つい喧嘩がヒートアップしてな・・・帰る時間を考えずに喧嘩したらこの有様さ。身体を回復させてから連れて帰ったんじゃあ朝になっちまうってんで・・・」

気恥ずかしそうにたはは、と笑う妹紅。そんな妹紅を見て苦笑した永琳は妹紅から輝夜を受け取り、未起隆に渡した。

「仕方ないわね。未起隆。貴方は姫様を布団にお連れして頂戴。妹紅、お風呂はどうする?」

「あー・・・絶ッ対ェ沁みるからヤだ。出来れば寝るだけがありがたいんだが・・・」

「駄目よ。布団が汚れるじゃないの。沸かしてくるから客間で待ってて頂戴。」

「うーい。」

喋りながら奥へ消えていく二人。ふと、未起隆は渡された輝夜の顔を見る。相変わらずいい笑顔だ。きっと夢の中でも妹紅と喧嘩をしているんだろう。
未起隆は輝夜を起こさないように気をつけながら永遠亭の入り口の扉を閉めた。

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