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東方遅体験 第七話

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前回のあらすじ

パッショーネの入団試験を受けることになった霊夢
その試験とは、ライターの炎を24時間消さずに持ち続けるというものだった
しかし、炎は1時間も持たずに消えてしまった
なぜかライターを再点火することはできたが、その時謎の人影が現れたのだった



「チャンスをやろう…向かうべき『2つの道』を…!」
謎の人影は、ライターを再点火した老人の体から何かを掴み出した
「お…おかしい…
 ど…どうしたんだろ、わし!?
 か…体が動かないんじゃ…」
人影を見た霊夢は確信した
「スタンド!こいつ…『ポルポのスタンド』ね!
 まさか、ライターを再点火したから出て来たの!?」
そう、出現したのはポルポのスタンド『ブラック・サバス』だ
よく見ると、ブラック・サバスが掴み出しているのは老人の魂のようだ
「チャンスには…『おまえが向かうべき2つの道』がある
 ひとつは生きて『選ばれる者』への道、もうひとつは!さまなくば『死への道』…!
 『再点火』したのだ!受けてもらうぞッ」
ブラック・サバスは口から矢を突き出し、老人の魂を貫いた!
「この『魂』、『選ばれるべき者』では…なかった!」
そう言ってブラック・サバスが老人の魂を手放すと、老人の体は階段から落下していった
霊夢はゆっくりをクッションにして老人を受け止めたが…老人は既に死んでいた
(キズはないけど死んでいる…こいつが攻撃したのが魂だからかしら…『魂』…!
 そういえば…ブチャラティに…他にもスタンド能力を持つ者がいるのかと聞いた時、『ポルポに会えばわかる』と答えた…
 こうやってポルポが『スタンド能力』の眠っている者を選んでいるのね!)
ブラック・サバスはゆっくりと霊夢の方を向いた
「おまえも『再点火』したな?
 チャンスをやろう!『向かうべき2つの道』を!」
そう言っていきなり霊夢に掴みかかってきた
「こ…今度は私を襲ってくる!
 『再点火』するところを見た者は無差別に襲われるのね!」
霊夢はなんとかそれを回避した
だが、ブラック・サバスは霊夢の影に触れると、影を掴んで引っ張った
掴まれた影はゆっくりへと姿を変える
「ゆ?ゆ?」
「チャンスをやろう!『向かうべき2つの道』を」
(私のスタンド『ゆっくり』が、私の『影』からひきずり出されたッ!
 こ…こうやって『魂』をひきずり出しているのねッ!)
ブラック・サバスはゆっくりに向かって口を開いた
口からは矢が覗いている
「ひとつは『選ばれるべき者』への道!」
「ゆゆゆゆゆ!」
ゆっくりは必死にもがくが、手を振りほどくことはできない
「だめだ、パワーのない『ゆっくり』じゃ振りほどけないッ!
 本体のポルポはここから5キロも離れた刑務所の中…『遠隔操作』なのにパワーが強い…!
 おじいさんは『魂』をこの矢のようなものに刺されて死んだ…
でも、スタンドである『ゆっくり』がこいつに攻撃されたならどうなるの!?」

「『さもなくば死への道』ッ!」
ブラック・サバスは口から矢を突き出す!
ゆっくりは軟体化して、かろうじてブラック・サバスの手から逃れる
しかし、完全には避けきれずに矢が頭をかすめ、そこからヒビが入ってしまった
「ゆっくりわれたよ!」
「か…かすっただけで………こ…この「矢」は!?
 このまま『ゆっくり』にまともにブチ込まれたなら…
 ゆっくりのダメージが伝わらない私は無事でも、ゆっくり自身はまちがいなく死ぬ…!」
ブラック・サバスはゆっくりを掴まえなおすと、再び矢を向ける
「やむを得ないわ…!
 たとえ『ポルポ』が私の入団しようとする組織の幹部であろうと
 あのおじいさんのように関係のない者をゴミクズのように殺すヤツであるのならば…!
 倒さなければならない!」
前回の話で外道っぷりを発揮した霊夢だが、それでも一般人の命までは奪っていなかった
怒りに震える霊夢は、ゆっくりに触れているブラック・サバスにゆっくり能力を発動させる
そして、ブラック・サバスに近づきお祓い棒で殴りかかった!
「ミコミコミコミコォォォ!」
ラッシュを受けたブラック・サバスは階段の下に落ちていった
「『ゆっくり・エクスペリエンス』!
 おまえの感覚がゆっくりし、全ての動きがゆっくりと見える」
しかし、ブラック・サバスは突如姿を消した
「いない…でも、どんな素早いヤツだろうと、今…そのスピードを発揮することは絶対にありえない…
 『ゆっくり』の能力を発動させたという事は、感覚までゆっくりさせるから、あいつはほとんど動けないはず!
 動けたとしても!非常にゆっくりなのに!
 消えるなんてありえないッ!」
消えたブラック・サバスに驚き、霊夢は周囲を警戒する
「いったいあいつの能力は…!
 どういう事かわからないけど、どこかにいるはずよ…絶対にいる…!
 ゆっくりと動いてるはず…このゆっくりの時を解除する前に、あいつを見つけないと!」
しかし、ブラック・サバスは霊夢の背後に突如出現し、彼女の足元にいたゆっくりを掴んだ
「ゆっくりした結果がこれだよ!!!」
ゆっくりの悲鳴に反応して即座に振り向く霊夢
そこには、影から頭部と腕を出してゆっくりを掴み、矢を突き刺すブラック・サバスの姿があった
「か…影の……『中』!
 ゆっくり!すぐに逃げなさい!」
「ゆ!」
なんとかブラック・サバスから逃れるゆっくり
霊夢は、狭くて影の多い階段から、ある程度の広さがある道にゆっくりと共に飛び降りた

体勢を立て直した霊夢は、目の前にある建物の影にそっと手を伸ばす
すると、そこからブラック・サバスが出現して掴みかかってきた
霊夢は影と反対の方向に回避したが、ブラック・サバスは追撃してこない
(やっぱりこいつの能力、『影の中を移動する程度の能力』ね!
 こいつは影の中だけを伝わって移動してくる
 瞬間移動ならゆっくりになっても関係ないってわけね…
 その代わりに日光の中は移動できないみたいだから、今はきり抜けられたけれど…)
霊夢は、ブラック・サバスの能力について考えを巡らせる
「こいつが『影の中』しか伝わって動けないとしたら…
 逆に無理矢理こいつを日光の中に引きずりだしたらどうなるのかしら?
 もしかすると光ががこいつの『弱点』かもしれない!」
しかし夕陽は今にも建物の向こう側に沈もうとしている
「ポルポに会ったのは午後3時…あれから一時間以上は経ったはず…
 あんまりゆっくりしていられないわね
 ここはすぐに建物の影に覆われるはずだから、今のうちに建物の向こう側にまわりこまないと!
 ゆっくり、行くわよ!」
「ゆっくりはしってね!」
霊夢はゆっくりを抱えて駆け出した
しかし道端の木から伸びる影に触れた瞬間、突如ブラック・サバスが飛び出してきて、霊夢を捕らえた
「そんな!一体どこから…」
霊夢が周囲を見渡すと、上空をカラスが数羽飛んでいるのが見えた
「まさか、飛行するカラスの影に潜んで建物の影から移動してきたというの!?
 このままじゃまずい…いえ、考えようによってはこれはチャンスね!」
そう、周囲には他の影がないので、木の影を消せばブラック・サバスに日光を浴びせることができるのだ
「できれば外の世界では使いたくなかったけど…」
そう言うと、霊夢は懐からスペルカードを取り出し、叫んだ
「霊符『夢想封印 集』!」
霊夢がスペルカード名を宣言すると、無数の弾が木を吹き飛ばした
「ぐおおおおあああああああああああ」
影が消滅したことで日光の下に去らされたブラック・サバスは大ダメージを受ける
慌てて遠くの影に逃げ込もうとするブラック・サバス
だが、霊夢は行く手に先回りし、ラッシュでブラック・サバスを日なたへ吹き飛ばした
「ミコミコミコミコミコミコミコミコミコミコミコミコミコミコミコミコ!
 あんたの行くべき道は、滅びの道だけよ!」
「おひさまのしたでゆっくりしていってね!!!」
日光を浴びせられたブラック・サバスが粉みじんになって消滅するのを見届けた霊夢は、安堵のため息をついた
「ふう…なんとか助かったわ…
 とはいえ…ライターの炎を消してしまったのに『組織』に入団できるのかしら…?
 あと、ポルポのやつ、無関係の人の命を奪うなんて許せない!」
「おなかすいたー!」
「はいはい、試験が済んだら美味しい物を…そうだ!」
突如、霊夢の脳裏を悪魔のようなアイデアがよぎった

その翌日、霊夢はライターを持って再びポルポの元を訪れていた
炎の点ったライターを見たポルポは、霊夢に語りかけた
「いいかい、霊夢君
 わたしは、この世で最も大切な事は『信頼』であるのなら、最も忌むべき事は『侮辱』する事と考えている
 信頼を侮辱する…とは、その人物の名誉を傷つけるだけでなく、人生や生活を抜きさしならない状況に追いこんでしまう事だ
争いはバカのする事だが、我々は『侮辱する』という行為に対しては命をかける
 殺人も、神はゆるしてくれると思っている!それを忘れるな
 おめでとう、君の入団を認めるよ
 ライターの炎を、信頼どおり消さずに持って来たからね…合格だ」
ポルポは、小窓からライターを受け取ると、代わりにバッジを置いた
「わが組織『パッショーネ』のバッヂだよ。それが証明だ
 そして、しばらくはブチャラティの指示で行動したまえ」
霊夢は手を伸ばしてバッヂを取り、すぐにその場を去ったが、ポルポはワインを飲むのに夢中で気がつかなかった
ようやくワインを飲み終わったポルポは霊夢に声をかけようとしたが、既に霊夢の姿は見えなくなっていた
(あの小娘、まじめに24時間この炎を守ったのか?それとも、再点火して『スタンド使い』になったのか…
 そんな事はどっちでもいい…とにかく生きて『炎』を持って来た
 あーゆー若くて何も知らんヤツは利用できる…どっちだろうと、われわれの都合のいいようにな…)
心の中で霊夢を侮辱するポルポ
ふと壁についた冷蔵庫を見ると、扉が開いていた
「はて…たしか閉めたと思ったが…
 それに空っぽじゃないか」
ポルポは、不思議に思いながらも冷蔵庫の扉を閉め直した

その翌日の昼
ポルポが昼食を食べようとした時、どこからともなくグゥ~という音が聞こえてきた
「何だ、今の音は?」
ポルポは周囲を見渡したが、音の正体は見つけられなかった
音の正体を探すのを諦めて食事を口に運ぶポルポだが、その時、彼の背後から声が聞こえてきた
「おなかすいたー!」
慌てて後ろを向こうとするポルポだが、その巨体が邪魔をして振り向くことができない
ポルポがもがいていると、背後の何かがまた言葉を発した
「いただきまーす!」
それと同時に、ポルポの体に激痛が走った!

時は戻って前日のこと
試験に合格した霊夢は、ホテルに向かって歩いていた
霊夢は、誰に聞かせるでもなく独り言を言った
「ポルポのやつ、『侮辱する』という行為に対しては殺人も許されるですって?
 なるほど…確かに大切な事ね
 でも、ポルポも無関係のおじいさんの『命を侮辱した』
 だから、腹ペコのゆっくりを置いてきた
 戦闘後のごほうび代わりの食事、良く味わって食べるといいわ」


ポルポ―失踪―
調書によると、ポルポは監房から突如姿を消した。(時間的には霊夢と会った翌日の昼食の時だった)
密室で、血の一滴すら痕跡が残っていなかったため、捜査は全く進展しなかった

TO BE CONITNUED


東方遅体験
第7話 向かうべき『ゆっくりの道』

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