「嘴平伊之助…こんな被り物をしているが、人間なのだな」
自分とは異なる魔王との戦いから敗走した魔王タソガレは、充分距離を取ったことを確認しつつ、茂みでタブレットを見ていた。
そして、そこに書かれた肉体の人物…何故か猪の被り物をしている人間、嘴平伊之助の情報を読んでいた。
どうやら彼は、幼い頃に色々あって本来の親とは引き離され、猪に育てられたという特異な経歴を持った人間らしい。
そして、鬼と呼ばれる怪物を倒す剣士であるとも書かれている。
そして、そこに書かれた肉体の人物…何故か猪の被り物をしている人間、嘴平伊之助の情報を読んでいた。
どうやら彼は、幼い頃に色々あって本来の親とは引き離され、猪に育てられたという特異な経歴を持った人間らしい。
そして、鬼と呼ばれる怪物を倒す剣士であるとも書かれている。
「猪に扮しているのに剣士なのか…先ほどの戦いで肉弾戦を仕掛けたのは失敗だったな」
あの時はまだ確認していなかった支給品を確認すると、確かに2本の剣があった。
…かなり刃こぼれの酷い剣だが。
…かなり刃こぼれの酷い剣だが。
「おのれ…吾輩にこんな酷い剣をよこすとは」
それが肉体である伊之助本人の武器とは知らず、タソガレは憤った。
とはいえ、いくら状態の酷い剣であっても、身を守るために必要な武器だ。
先ほど敗れた奴との再戦の為にも、今はこの剣を使いこなすしかないだろう。
タソガレは2本の剣で素振りをはじめ…放送が流れたのはそれからしばらく経っての事であった。
とはいえ、いくら状態の酷い剣であっても、身を守るために必要な武器だ。
先ほど敗れた奴との再戦の為にも、今はこの剣を使いこなすしかないだろう。
タソガレは2本の剣で素振りをはじめ…放送が流れたのはそれからしばらく経っての事であった。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
「なっ…あれは…我が城の淫魔ではないか!?」
放送にて呼ばれた死者の中にあった知り合いの姿に、タソガレは驚く。
淫魔…同僚からはさっきゅんと呼ばれる彼女は、淫魔としては半人前であり、魔王軍の中ではかなりの下っ端である。
そんな彼女がまさか自分と共に呼ばれ、しかも死んでいるとは…
淫魔…同僚からはさっきゅんと呼ばれる彼女は、淫魔としては半人前であり、魔王軍の中ではかなりの下っ端である。
そんな彼女がまさか自分と共に呼ばれ、しかも死んでいるとは…
「まさか他の者も…!?」
タソガレは慌ててタブレットを開き、新たに追加された名簿を確認する。
隅から隅までじっくりと確認したが…他に知った名はなかった。
十傑衆も、他の配下も、人間の姫も、名簿にその名が記されていなかった。
隅から隅までじっくりと確認したが…他に知った名はなかった。
十傑衆も、他の配下も、人間の姫も、名簿にその名が記されていなかった。
「まあ玉壺やクラウンイマジンは、吾輩が知らないだけで我が魔王領の者かもしれないが…きりさきピエロという奴は、シザーマジシャン辺りの親戚かもしれない」
一応伊之助のプロフィールを見た後の為、異世界の住人という概念があることは理解しているので、「異形=自分の世界の魔物」とは限らないとは分かっているが。
ともかく名簿を見て分かったことは、少なくともタソガレが知る名は死んださっきゅん以外におらず、参加者の中にタソガレやさっきゅんの肉体を持つ者はいないということだ。
ともかく名簿を見て分かったことは、少なくともタソガレが知る名は死んださっきゅん以外におらず、参加者の中にタソガレやさっきゅんの肉体を持つ者はいないということだ。
「ともかく、まずは淫魔の子の肉体…小悪魔という者の死体を見つけなければな」
魔王城には、あくましゅうどうしという蘇生の術に長けた幹部がいる。
週1で人質の人間の姫を生き返らせている彼ならば、きっと彼女を蘇らせることができるだろう。
週1で人質の人間の姫を生き返らせている彼ならば、きっと彼女を蘇らせることができるだろう。
「魘夢…吾輩の仲間に手を出したこと、後悔させてやろう。貴様に安眠などさせてなるものか。吾輩が貴様に見せる夢は…悪夢だ」
タブレットを閉じたタソガレは、早速出発しようとして、ふと気が付いたことがあって手鏡を取り出した。
「なんとなくそのまま被っていたが、こんなものをかぶっていては警戒されてしまうな」
タソガレが猪の被り物を脱ぐと、現れたのは綺麗な顔立ちをした人間の男性の顔であった。
「…意外なほどに美形だな」
とりあえず、見た目で警戒されるということはなさそうな顔立ちだ。
ただ、そこでタソガレはもう一つの問題に気づいた。
ただ、そこでタソガレはもう一つの問題に気づいた。
「名簿には吾輩の名前は『魔王タソガレ』とあったな…魔王などと名乗っては警戒されるかもしれない」
とはいえ、下手に偽名を名乗ってもバレた時が怖い。
タソガレとだけ名乗っても、名簿にある『魔王』に反応する者がいるだろう。
人質の姫やその母親などの例外はあれど、魔王という肩書を持つものが警戒されるのは避けられない。
タソガレとだけ名乗っても、名簿にある『魔王』に反応する者がいるだろう。
人質の姫やその母親などの例外はあれど、魔王という肩書を持つものが警戒されるのは避けられない。
「しかたない…人間に倣って、ファーストネームということでごまかすか」
魔族の世界に、ファーストネームという概念は基本的にはない。
故にタソガレは人間の名前を参考にすることにした。
故にタソガレは人間の名前を参考にすることにした。
「姫のフルネームは確かオーロラ・栖夜・リース・カイミーン。栖夜が名前だったか…『魔・王・タソ・ガレ』…名前は『王』…不自然か?」
よく考えてみれば姫は王族だからファーストネームが特別なのかもしれない。
名簿の中には「○○・△△」という名前の者がいくらかいたし、シンプルに「魔王」が名前で「タソガレ」がファーストネームということでいいかもしれない。
(魔王の方が名前なのはスヤリス姫の名前の影響で名前は和名、ファーストネームはカタカナという認識を無意識に刷り込まれた為である)
名簿の中には「○○・△△」という名前の者がいくらかいたし、シンプルに「魔王」が名前で「タソガレ」がファーストネームということでいいかもしれない。
(魔王の方が名前なのはスヤリス姫の名前の影響で名前は和名、ファーストネームはカタカナという認識を無意識に刷り込まれた為である)
「…結局魔王を名乗ることになってしまうが、なんとか押し切るしかない。淫魔、待っていろ。お前をこのまま永遠に眠らせてなどやるものか。お前が眠るべき場所はこんな場所ではなく…我が魔王城なのだからな」
決意を胸に、魔王は動き出す。
騒がしくも楽しかったあの日々を、取り戻して見せると誓って。
騒がしくも楽しかったあの日々を、取り戻して見せると誓って。
【H-3 森/深夜】
【魔王タソガレ@魔王城でおやすみ】
[身体]:嘴平伊之助@鬼滅の刃
[状態]:ダメージ(大)、全身各所に凍傷
[装備]:伊之助の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、チーターローション(残り2回分)@ドラえもん、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:さっきゅんの魂と肉体を取り戻し、元の世界に持ち帰り蘇生させる
1:さっきゅんの肉体である小悪魔の遺体を探す
2:魔王はそういう名前だということでごまかす
3:ピッコロへの借りは、いずれ返す
[身体]:嘴平伊之助@鬼滅の刃
[状態]:ダメージ(大)、全身各所に凍傷
[装備]:伊之助の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、チーターローション(残り2回分)@ドラえもん、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:さっきゅんの魂と肉体を取り戻し、元の世界に持ち帰り蘇生させる
1:さっきゅんの肉体である小悪魔の遺体を探す
2:魔王はそういう名前だということでごまかす
3:ピッコロへの借りは、いずれ返す
【伊之助の日輪刀@鬼滅の刃】
嘴平伊之助の扱う二本の刀。
本人の手により意図的に刃こぼれさせられており、普段温厚な担当の刀鍛冶もそれを見た時は激怒した。
嘴平伊之助の扱う二本の刀。
本人の手により意図的に刃こぼれさせられており、普段温厚な担当の刀鍛冶もそれを見た時は激怒した。
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