『よりにもよって辺見和雄だと!』
魘夢の放送を終え、名簿を確認する後藤ひとり。彼女と肉体を共有している杉元は、数少ない知った名前に頭を抱えた。
辺見和雄 100人以上を殺してきた殺人鬼 彼が知る中で最も危険な人間の一人。
殺し合いの場において、もっとも見たくなかった名前ともいえる。
辺見和雄 100人以上を殺してきた殺人鬼 彼が知る中で最も危険な人間の一人。
殺し合いの場において、もっとも見たくなかった名前ともいえる。
『だが...こいつはとっくに死んでいる筈。』
そして、杉元佐一が殺したはずの人間の名前である。
その眼で死体を確認し、皮まで剥いだのだ。万が一生きているということもないだろう。
そして、杉元佐一が殺したはずの人間の名前である。
その眼で死体を確認し、皮まで剥いだのだ。万が一生きているということもないだろう。
『ひとりちゃんは俺よりずっと未来から来ていると言っていた、もしかしてここにいる人間は時間や時代を関係なく集められているのか?』
そんな疑問が頭に浮かび、仮説について相談しようと後藤ひとりに意識を向ける。
言葉を掛けようとするその前に、杉元の頭に後藤ひとりの感情が流れ込んだ。
そんな疑問が頭に浮かび、仮説について相談しようと後藤ひとりに意識を向ける。
言葉を掛けようとするその前に、杉元の頭に後藤ひとりの感情が流れ込んだ。
『死ぬのが怖い。』
不死身の杉元の頭に流れ込んだのは、久しく彼が言葉にしていなかった思いであった。
不死身の杉元の頭に流れ込んだのは、久しく彼が言葉にしていなかった思いであった。
「なんで....なんで.......」
三鷹アサの体で、後藤ひとりは今にも崩れそうなほどにガタガタと音を立てて震えていた。滝のように汗が吹き出し、全身に寒気が走る。
後藤ひとりの視線の先には、後藤ひとりの所属する『結束バンド』の仲間や、ライブハウス『STARRY』の店長の名前がある。
杉元の話、そして魘夢の放送。頭はいい方ではない後藤ひとりだが、名簿に名前が載っている意味が分からないほど、耄碌しておらず。
友人が巻き込まれた状況を楽観視できるほど、軽薄な人間にはなれなかった。
三鷹アサの体で、後藤ひとりは今にも崩れそうなほどにガタガタと音を立てて震えていた。滝のように汗が吹き出し、全身に寒気が走る。
後藤ひとりの視線の先には、後藤ひとりの所属する『結束バンド』の仲間や、ライブハウス『STARRY』の店長の名前がある。
杉元の話、そして魘夢の放送。頭はいい方ではない後藤ひとりだが、名簿に名前が載っている意味が分からないほど、耄碌しておらず。
友人が巻き込まれた状況を楽観視できるほど、軽薄な人間にはなれなかった。
「リョウ先輩....喜多ちゃん.....店長さん......」
『...そうか、友達が参加させられていたのか。虹夏ちゃんって子の体もか。』
『...そうか、友達が参加させられていたのか。虹夏ちゃんって子の体もか。』
杉元の頭に響く想いは、初めて会った時のような他人に過剰におびえるものではない。
自分の命が危機にあるという実感。数少ない友人も殺し合いの場に呼び寄せられたという恐怖。自分や友達が死ぬのが怖いという、ありふれた感情。
自分の命が危機にあるという実感。数少ない友人も殺し合いの場に呼び寄せられたという恐怖。自分や友達が死ぬのが怖いという、ありふれた感情。
後藤ひとりの人生に、心を震わせることはあっても命を奪う瞬間はない。
杉元佐一は、戦場を生きてきた。人を殺したことも、殺されそうになったこともある。
だからこそ、後藤ひとりの恐怖はよく理解できた。
杉元佐一は、戦場を生きてきた。人を殺したことも、殺されそうになったこともある。
だからこそ、後藤ひとりの恐怖はよく理解できた。
『やっぱり。この子の手を穢すわけには、いかない。』
杉元佐一は決意する。それが彼の基本方針だ。
殺し合いには不参加。後藤ひとりも杉元佐一もその点に関しては同意していたが、2人の肉体は無策で勝ち残れるほど強力なものではない。
それに、辺見和雄やひとりの友人たちがどんな姿なのかも分からない状態で、当てもなく策も無く動くのは危険だ。
後藤ひとりが他者とのコミュニケーションを苦手としていても、一時的に協力できる仲間の存在は必要であった。
殺し合いには不参加。後藤ひとりも杉元佐一もその点に関しては同意していたが、2人の肉体は無策で勝ち残れるほど強力なものではない。
それに、辺見和雄やひとりの友人たちがどんな姿なのかも分からない状態で、当てもなく策も無く動くのは危険だ。
後藤ひとりが他者とのコミュニケーションを苦手としていても、一時的に協力できる仲間の存在は必要であった。
『なあひとりちゃん。これからのことなんだが』
「え?」
「え?」
ひとりが少し落ち着いたところを見計らって、杉元が提案のために声をかける。
二人が今後のために話を詰めようとした、その時だ。
二人が今後のために話を詰めようとした、その時だ。
「あああああああああああああ!!!!殺してやる!殺してやる!」
狂ったように叫ぶ男と、覆面越しに目が合った。
◆◇◆◇◆
「お....俺....俺がし....死んでる!!」
小さな池の傍でタブレットを確認していたリョースケの顔が、恐怖に歪む。
魘夢の放送の後、送られた死亡者リストに自分の名前があったからだ。
涙目のルカ。この一時間で死んだ参加者。
その体に割り当てられたのは、他でもないリョースケ自身だった。
魘夢の放送の後、送られた死亡者リストに自分の名前があったからだ。
涙目のルカ。この一時間で死んだ参加者。
その体に割り当てられたのは、他でもないリョースケ自身だった。
生気を失ったように、リョースケは力なくへたりこむ。
自分の体が死んだ。 誰かがその体を持っていた涙目のルカを殺害した。
タブレット上に無慈悲に浮かぶ事実を、彼は受け入れられずにいた。
自分の体が死んだ。 誰かがその体を持っていた涙目のルカを殺害した。
タブレット上に無慈悲に浮かぶ事実を、彼は受け入れられずにいた。
知らない男に、推していたアイドル『アイ』には二人の子供がいるという話を聞かされた。
信じていたアイドルに裏切られ、見下されて、騙されて。花束とナイフを手に教えられた住所に向かう。明確な殺意を持ち、人を殺すという覚悟を持って街を行く。
彼が魘夢によって殺し合いに参加させられたのはその矢先の出来事だった。
信じていたアイドルに裏切られ、見下されて、騙されて。花束とナイフを手に教えられた住所に向かう。明確な殺意を持ち、人を殺すという覚悟を持って街を行く。
彼が魘夢によって殺し合いに参加させられたのはその矢先の出来事だった。
初めは訳も分からず困惑。暫く惨めに泣き叫んだ後は、自身に与えられた体である「バトル・キング」の肉体が持つ、元の自分とは桁外れのフィジカルに興奮。
国際格闘大会『ハイパーバトル』の頂点に立つその体は、リョースケに伝説の武器を手にしたような安心感と優越感を与えた。
木に正拳突きで抉れるような跡を残し、「いける!いけるぞ!!」声高に叫ぶようになるころには。この殺し合いにも乗り気であったし、その中でも余裕で勝てるとリョースケは確信していた。
国際格闘大会『ハイパーバトル』の頂点に立つその体は、リョースケに伝説の武器を手にしたような安心感と優越感を与えた。
木に正拳突きで抉れるような跡を残し、「いける!いけるぞ!!」声高に叫ぶようになるころには。この殺し合いにも乗り気であったし、その中でも余裕で勝てるとリョースケは確信していた。
魘夢の放送を見るまでは。
「あああああああああああああああああ!!!!!!!」
リョースケの精神を保っていたものが音を立てて崩れ去った。
リョースケはアイドルが好きなだけの一般人だ。
好きなアイドルに子供がいるという情報を聞いただけで殺意を覚えるほど、矮小な精神しか持っていない人間だ。
人を殺す意志を持っていながら、自分が死ぬかも知れない環境に耐えられるほど。彼は強くはなかった。
リョースケはアイドルが好きなだけの一般人だ。
好きなアイドルに子供がいるという情報を聞いただけで殺意を覚えるほど、矮小な精神しか持っていない人間だ。
人を殺す意志を持っていながら、自分が死ぬかも知れない環境に耐えられるほど。彼は強くはなかった。
「殺される.....殺される......殺さなきゃ俺が殺される!!!!!」
恐怖と殺意だけが本能を突き動かし、青年は走る。
そんな彼に運悪く出会ってしまった参加者が、後藤ひとりだった。
恐怖と殺意だけが本能を突き動かし、青年は走る。
そんな彼に運悪く出会ってしまった参加者が、後藤ひとりだった。
◆◇◆◇◆
「お...お前も俺を殺す気なんだろ!!!そうなんだろ!!!!!!」
「ひっ...」
『ひとりちゃん!俺と変われ!』
「ひっ...」
『ひとりちゃん!俺と変われ!』
杉元の叫びと呼応して、学生服を着た少女の顔に傷ができ、目が夜鷹のように渦巻いた。
肉体の人格が三鷹アサからヨルへ。後藤ひとりから杉元佐一へ。
陽が落ちるように切り替わる。
肉体の人格が三鷹アサからヨルへ。後藤ひとりから杉元佐一へ。
陽が落ちるように切り替わる。
戦争の悪魔が三鷹アサの体を任意で乗っ取れるように、杉元佐一も後藤ひとりと任意で入れ替わることができる。
もっとも、杉元佐一はごく普通の女の子をないがしろにして表に出ようと考える人間ではない。
そのため彼が表に出るときは強制的に入れ替わった場合を除いて“後藤ひとりが了承した時”か“のっぴきならない非常事態の時”に限られる。
無論、今回は後者である。
もっとも、杉元佐一はごく普通の女の子をないがしろにして表に出ようと考える人間ではない。
そのため彼が表に出るときは強制的に入れ替わった場合を除いて“後藤ひとりが了承した時”か“のっぴきならない非常事態の時”に限られる。
無論、今回は後者である。
「うああああああ!!!」
「ちょっとおい!落ち着けって!」
『ひぃ.......』
「ちょっとおい!落ち着けって!」
『ひぃ.......』
目元を覆面で隠した筋骨隆々の男が泣き叫びながら、その鍛え上げられた腕をぶんぶんと振るう。
風を切る音を響かせるその剛腕は、三鷹アサの腕より倍は大きい。
その腕が目の前にいる女子高生に向けて振るわれていた。
風を切る音を響かせるその剛腕は、三鷹アサの腕より倍は大きい。
その腕が目の前にいる女子高生に向けて振るわれていた。
恐怖に歪み涙を流すその様子から、相手が錯乱しているということは杉元どころか後藤ひとりにさえも理解できた。
杉元佐一は何とか宥めようと声を掛けるが、残念ながら効果はない。
杉元佐一は何とか宥めようと声を掛けるが、残念ながら効果はない。
「おらぁ!」
「あっぶねぇ!」
「あっぶねぇ!」
男が勢いづけて撃ちだした拳を、杉元は上体をずらして素早く躱す。
背後にあった木が少女の代わりに正拳突きを受け、表面の皮が雷の落ちたような轟音とともに抉れた。
背後にあった木が少女の代わりに正拳突きを受け、表面の皮が雷の落ちたような轟音とともに抉れた。
「何で避けるんだよ!」
「避けるに決まってるだろ!」
「避けるに決まってるだろ!」
至極当然の反応を返しつつ、杉元は少しずつ距離を取っていく。
錯乱し正常な判断が出来ないリョースケは、本能的に距離を詰め、なおも杉元を殴り殺さんと迫る。
錯乱し正常な判断が出来ないリョースケは、本能的に距離を詰め、なおも杉元を殴り殺さんと迫る。
体の主導権を自分に切り替えることが出来て良かったと、杉元は思う。
眼前に居る男の筋力は、『牛山辰馬』や『岩息舞治』といった自身が知る最高峰の筋肉(マッスル)に勝るとも劣らない。
体を同じにする後藤ひとりが戦いに慣れていないことは、初めの一時間でよく知っていた。
彼女が主導権を握ったままだったのなら、今の一撃で顎を殴り飛ばされそのまま死んでいただろう。
眼前に居る男の筋力は、『牛山辰馬』や『岩息舞治』といった自身が知る最高峰の筋肉(マッスル)に勝るとも劣らない。
体を同じにする後藤ひとりが戦いに慣れていないことは、初めの一時間でよく知っていた。
彼女が主導権を握ったままだったのなら、今の一撃で顎を殴り飛ばされそのまま死んでいただろう。
そんな筋力には似つかないほど、相手の動きは素人そのものだ。喧嘩もしたことがないように思える。
おそらく、精神にいるのは後藤ひとりのように戦闘や殺し合いとは縁遠い参加者だ。
杉元はそう予想し、それは事実当たっていた。
ただの青年であるリョースケの技術では、歴戦の兵士である杉元佐一に当てるには技術が数段不足している。
おそらく、精神にいるのは後藤ひとりのように戦闘や殺し合いとは縁遠い参加者だ。
杉元はそう予想し、それは事実当たっていた。
ただの青年であるリョースケの技術では、歴戦の兵士である杉元佐一に当てるには技術が数段不足している。
ぶんぶんと振り回されるリョースケの腕。そのほとんどが杉元の影さえ捕えず、当たりそうな攻撃も杉元にいなされ続けている。
彼らのいる場所は草原だ。周囲には数本の木や岩があるくらいで、障害になりそうなものはない。
男と向き合いながらも杉元は一定の距離を取り続けていた。
彼らのいる場所は草原だ。周囲には数本の木や岩があるくらいで、障害になりそうなものはない。
男と向き合いながらも杉元は一定の距離を取り続けていた。
(..だが、いつまでだ。避け続けるだけだとジリ貧だぞ!)
大振りで遅く錯乱した状態の攻撃。避け続けるのなら容易だ。
だがそれだけでは決着がつかないのが、殺し合いというものだ。
だがそれだけでは決着がつかないのが、殺し合いというものだ。
ちらりと、杉元は腰に下げた武器を見る。
支給されたアイテムの中で、最も実用に長けた武器。ひとりに護身用として持たせていたものだ。
屠坐魔と呼ばれる呪いを込めた短剣が、腰のケースに収められていた。
支給されたアイテムの中で、最も実用に長けた武器。ひとりに護身用として持たせていたものだ。
屠坐魔と呼ばれる呪いを込めた短剣が、腰のケースに収められていた。
リョースケの隙だらけの攻撃をかいくぐり、短剣を刺す。
杉元の技術をもってすれば容易いことだ。それでこの場は勝利を収められる。
杉元の技術をもってすれば容易いことだ。それでこの場は勝利を収められる。
だがそうすれば、彼は間違いなく死ぬだろう。
殺して勝つことは容易だが。殺さないように加減するには、目の前の肉体は屈強すぎた。
殺して勝つことは容易だが。殺さないように加減するには、目の前の肉体は屈強すぎた。
(どうすればいい...避け続けてもどうしようもない。かといって殺さず制圧するには...あの筋力は強すぎる!)
確実に逃げるには、三鷹アサの体では四肢の長さもスタミナも不利。
殺さずに制圧できるほど、今の両者に実力の差はない。
隠れ逃げるには、今いる草原は広く障害物にも乏しい。
杉茂の手元にある武器は、短剣だ。刺し殺すには十分だが、殺さず止めるには適さない。
殺さずに制圧できるほど、今の両者に実力の差はない。
隠れ逃げるには、今いる草原は広く障害物にも乏しい。
杉茂の手元にある武器は、短剣だ。刺し殺すには十分だが、殺さず止めるには適さない。
仮にここに居る体が杉元佐一のものだったのなら。さしものバトル・キングの体だとしても隙だらけのリョースケを抑え込むのは容易かっただろう。
だが、ここにあるのは三鷹アサの肉体。
運動に特別優れたわけではない、女子高生の体。
“女子高生の体の達人”では、“世界チャンピオンの体の素人”相手に、勝つことは出来ても止めるには一手不足していた。
だが、ここにあるのは三鷹アサの肉体。
運動に特別優れたわけではない、女子高生の体。
“女子高生の体の達人”では、“世界チャンピオンの体の素人”相手に、勝つことは出来ても止めるには一手不足していた。
「騒音(うっせ)えわ。夜に騒ぐな。」
ふと、杉元の耳にそんな声が聞こえた。
声の主がいる場所、リョースケよりさらに後ろに、変わらず振るわれる腕を避けつつ杉元は意識を向ける。
声の主がいる場所、リョースケよりさらに後ろに、変わらず振るわれる腕を避けつつ杉元は意識を向ける。
暗がりに声の主の姿が見える。
女子高生だ。年は後藤ひとりや三鷹アサとそう変わらないだろう。
岩陰から姿を見せた彼女が、拳を振るうリョースケに向かって駆けていく。
夜の草原を走る少女の胸のあたりから、ぱちりと光が走ったように見えた。
女子高生だ。年は後藤ひとりや三鷹アサとそう変わらないだろう。
岩陰から姿を見せた彼女が、拳を振るうリョースケに向かって駆けていく。
夜の草原を走る少女の胸のあたりから、ぱちりと光が走ったように見えた。
「錯乱(パニク)っとるなら。すこし寝ろ」
いつの間にか女子高生はリョースケのすぐ後ろの間で迫っていた。
ひとりと杉元の目の前で、ヒュンと風を切る音とともに男が膝をつく。
巨体が白目をむいて崩れ落ち、草原の上に倒れ込んだ。
ひとりと杉元の目の前で、ヒュンと風を切る音とともに男が膝をつく。
巨体が白目をむいて崩れ落ち、草原の上に倒れ込んだ。
『な...なな...なにが...』
「手刀だ。あの女子高生、あの筋肉男の首に勢いよく手刀を振り下ろして気絶させたんだ。」
「手刀だ。あの女子高生、あの筋肉男の首に勢いよく手刀を振り下ろして気絶させたんだ。」
ひとりには何が起きたのか全く分からなかったが。杉元は目の前で起きたことをはっきりと認識していた。
女子高生の肉体を胸元の光...悪刀・鐚と呼ばれる武器の力で活性化させた。忍者の手刀。
背後ががら空きだったリョースケを気絶させるには、十分な一撃だった。
女子高生の肉体を胸元の光...悪刀・鐚と呼ばれる武器の力で活性化させた。忍者の手刀。
背後ががら空きだったリョースケを気絶させるには、十分な一撃だった。
一息つく青髪の女子高生と、ひとり・杉元の目が合った。
四つ葉ような目をした彼女には、さっきまでの錯乱していた男とは違い敵意も無いことが見て取れた。
四つ葉ような目をした彼女には、さっきまでの錯乱していた男とは違い敵意も無いことが見て取れた。
「恐ろしく早い手刀だな...俺じゃなきゃ見逃してたぜ。」
「ほう、見切っておったか。さっきまでの立ち回りと言い、見た目に寄らず中々の戦闘(ケンカ)慣れしているか。」
「残らず体が入れ替わっているのに、見た目が何かの参考になるのか?」
「それもそうだ喃。」
「ほう、見切っておったか。さっきまでの立ち回りと言い、見た目に寄らず中々の戦闘(ケンカ)慣れしているか。」
「残らず体が入れ替わっているのに、見た目が何かの参考になるのか?」
「それもそうだ喃。」
ハッハッハと目の前の少女は笑う。女子高生らしくない年季を感じる言葉づかいに、杉元の中で後藤ひとりが『や...ヤンキーだ』と警戒心をあらわにする。
誰に対してもこんな感じなのだろう、この一時間で後藤ひとりに慣れつつあった杉元は、警戒してビクついている姿に、安心感を覚えていた。
誰に対してもこんな感じなのだろう、この一時間で後藤ひとりに慣れつつあった杉元は、警戒してビクついている姿に、安心感を覚えていた。
「ともかく助かった。礼を言うよ。俺は杉元佐一。アンタは?」
「神賽惨蔵。互いに聞きたいこともあるだろうし、そこで情報交換(じょしかい)としゃれこむか?」
「神賽惨蔵。互いに聞きたいこともあるだろうし、そこで情報交換(じょしかい)としゃれこむか?」
神賽は池沿いにある小さな小屋を指さす。4,5人なら入れるだろう木造の小屋、一息つくにはもってこいだ。
「有難い。一息付ける場所が欲しかったんだ。」
「それとこの男。どうする?お主らが殺したくないなら儂が代わりに対処するが」
「それとこの男。どうする?お主らが殺したくないなら儂が代わりに対処するが」
神賽が視線を落とした先には、気絶している巨体の男。
先ほどまで自分たちを襲った相手だ。神賽の言う“対処”という言葉の意味も、杉元にはわかる。
杉元は少し考え。神賽に返答した。
先ほどまで自分たちを襲った相手だ。神賽の言う“対処”という言葉の意味も、杉元にはわかる。
杉元は少し考え。神賽に返答した。
「それなんだが...少しでもこいつから情報を聞き出せないかな?」
「ふむ。まあいいじゃろ。一対一(サシ)なら今の儂でも骨の折れる相手、聞けるうちに聞き出すのは良案(アリ)かもな。」
「ふむ。まあいいじゃろ。一対一(サシ)なら今の儂でも骨の折れる相手、聞けるうちに聞き出すのは良案(アリ)かもな。」
◆◇◆◇◆
「ハッ!」
リョースケが目覚めると、そこは小さな小屋の中だった。
椅子の上で気絶したまま座っていたリョースケが見回すと。テーブルを挟んで両側に、女子高生らしき人が、一人ずつ。
右手側には黒い髪を一つに束ねた女子高生、「ひっ」と悲鳴をあげ、怯えた眼を向ける。
左手側には青い髪をショートに切り揃えた女子高生、鋭い目つきをリョースケに向ける。
右手側には黒い髪を一つに束ねた女子高生、「ひっ」と悲鳴をあげ、怯えた眼を向ける。
左手側には青い髪をショートに切り揃えた女子高生、鋭い目つきをリョースケに向ける。
「起きたか。意外と早い。頑健(マッチョ)な肉体に感謝しろよ喃。」
青髪の女子高生...神賽が言った。女子高生らしくない言葉遣いと見透かすような鋭い視線にリョースケは腰を抜かす。
椅子から転げ落ち足をテーブルにぶつけたが、体が頑丈だからか痛みは無かった。
青髪の女子高生...神賽が言った。女子高生らしくない言葉遣いと見透かすような鋭い視線にリョースケは腰を抜かす。
椅子から転げ落ち足をテーブルにぶつけたが、体が頑丈だからか痛みは無かった。
「なんだお前!俺に何をした!」
「忘却(すっとぼけ)てるのか?さっきまで自分が何してたか思い出せるか?」
「忘却(すっとぼけ)てるのか?さっきまで自分が何してたか思い出せるか?」
神賽の言葉を受け、リョースケは記憶をたどる。
魘夢の放送を聞いて、涙目のルカという人がリョースケの体で死んで。その後....
魘夢の放送を聞いて、涙目のルカという人がリョースケの体で死んで。その後....
「あ。」
錯乱した状態で、黒髪の女子高生に殴りかかったことを思い出す。
雰囲気が随分違うが、リョースケの記憶の姿は、右側に座る女子高生と一致した。
錯乱した状態で、黒髪の女子高生に殴りかかったことを思い出す。
雰囲気が随分違うが、リョースケの記憶の姿は、右側に座る女子高生と一致した。
黒髪の女子高生に視線を向けると、あわあわと定まらない視線をしている。
怯えさせてしまったことは、間違いなかった。
怯えさせてしまったことは、間違いなかった。
「あ、あの時はおれもどうにかしてたんだ!すまなかった!」
「だだだ...だいじょ...大丈夫です」
『いや全然大丈夫じゃないんだけどな。ひとりちゃんだったら死んでたぞ。』
「だだだ...だいじょ...大丈夫です」
『いや全然大丈夫じゃないんだけどな。ひとりちゃんだったら死んでたぞ。』
コミュ障な後藤ひとりは、相手に言葉に反対できない。
内心で杉元が反論したように、ひとりの本心ではリョースケへの警戒や敵愾心は高いままだ。
内心で杉元が反論したように、ひとりの本心ではリョースケへの警戒や敵愾心は高いままだ。
『だが.....』
(謝罪の言葉が出るだけ、まだましかの)
一方の杉元と神賽は、少しだけリョースケを見直した。
彼は自分の行動を“悪いこと”だと認知できる程度には、真っ当な感性をしている。
だからと言って二人の警戒が緩むわけでも、信頼を勝ち得たわけでもなかったが。『目覚めた瞬間即ブッ殺すべき相手』ではなくなっていた。
(謝罪の言葉が出るだけ、まだましかの)
一方の杉元と神賽は、少しだけリョースケを見直した。
彼は自分の行動を“悪いこと”だと認知できる程度には、真っ当な感性をしている。
だからと言って二人の警戒が緩むわけでも、信頼を勝ち得たわけでもなかったが。『目覚めた瞬間即ブッ殺すべき相手』ではなくなっていた。
「自己紹介がまだだったの儂は神賽惨蔵。」
「あばばばばば「俺は杉元佐一。と言っても俺は副人格って奴で、本来は後藤ひとりって子だ。」
「あばばばばば「俺は杉元佐一。と言っても俺は副人格って奴で、本来は後藤ひとりって子だ。」
限界だったひとりに代わって、杉元が表に出る。
副人格という話を聞いて、記憶の中との雰囲気のズレはこれが原因だと。リョースケは納得する。
副人格という話を聞いて、記憶の中との雰囲気のズレはこれが原因だと。リョースケは納得する。
「名簿にはリョースケって書いてある。なんで本名じゃないのか分かんないけど...」
「ならばリョースケ。単刀直入に聞くが、お前が知っとること。全部吐露(は)け」
「ならばリョースケ。単刀直入に聞くが、お前が知っとること。全部吐露(は)け」
自己紹介もそこそこに、情報交換。
杉元と神賽がリョースケを中に連れてきたのは、ひとえに彼の持つ情報が欲しかったからだ。
杉元と神賽がリョースケを中に連れてきたのは、ひとえに彼の持つ情報が欲しかったからだ。
結論から言えば、リョースケの持つ情報は多くない。
名簿に知っている人はいない。正確には、『星野アクア』は彼と同じ世界の人間だし、神賽が体を使っている『黒川あかね』もそうであるが。時期の関係でリョースケは二人の事を知らない。
彼が知っているのは、都市部にある『苺プロダクション』くらいのものだった。
名簿に知っている人はいない。正確には、『星野アクア』は彼と同じ世界の人間だし、神賽が体を使っている『黒川あかね』もそうであるが。時期の関係でリョースケは二人の事を知らない。
彼が知っているのは、都市部にある『苺プロダクション』くらいのものだった。
(辺見和雄...そんなやべえ奴が来ているのかよ!)
一方のリョースケは、もたらされた情報にひどく怯えていた。
後藤ひとりの知り合いや、肉体だけの伊地知虹夏や土方歳三はまだいい。
もっとも衝撃だったのは、辺見和雄だ。
100人以上殺した殺人鬼。このデスゲームには、そんな奴まで参加している。
さらにここにいる人は、その体であるアーカードなる人物の事を知らない。
殺人鬼が、未知の体で暗躍する場所。
世界チャンピオンの肉体を得たからと一介の青年が圧勝できる環境ではないと、リョースケは心の底から理解した。
一方のリョースケは、もたらされた情報にひどく怯えていた。
後藤ひとりの知り合いや、肉体だけの伊地知虹夏や土方歳三はまだいい。
もっとも衝撃だったのは、辺見和雄だ。
100人以上殺した殺人鬼。このデスゲームには、そんな奴まで参加している。
さらにここにいる人は、その体であるアーカードなる人物の事を知らない。
殺人鬼が、未知の体で暗躍する場所。
世界チャンピオンの肉体を得たからと一介の青年が圧勝できる環境ではないと、リョースケは心の底から理解した。
「これが、お主の元の顔か。元の面の方が美男(いけ)とるぞ。」
「...まあ、もう死んだんだけどな」
「...まあ、もう死んだんだけどな」
神賽の軽口を、軽く流す。
彼はもう、死んだ自身の体について考えるのを止めていた。
彼はもう、死んだ自身の体について考えるのを止めていた。
「それで。これからどうする?」
「...なら。俺は苺プロダクションに行きたい。」
「...なら。俺は苺プロダクションに行きたい。」
居心地が悪そうにリョースケは答える。
「...この場所に建物があるってことは。多分、参加者に関係のある場所ってことだろ。そこの後藤ひとりって子のいるライブハウスがあるみたいにさ。」
「まあ、それはそうだな。めぐみんや禪院って家がある名前もここにはあるし。」
「だろ。だったらさ、苺プロダクションの関係者もいるはずなんだよ。例えば、『アイ』!」
「確か...お主の推している偶像(アイドル)だったか。名簿に名前が無いのも、芸名ではなく本名が乗ってるとすれば、無い話ではないか。」
「そうそう。少しでも知ってる奴に会いたいってのは、自然な事だろ?な?な?」
「まあ、それはそうだな。めぐみんや禪院って家がある名前もここにはあるし。」
「だろ。だったらさ、苺プロダクションの関係者もいるはずなんだよ。例えば、『アイ』!」
「確か...お主の推している偶像(アイドル)だったか。名簿に名前が無いのも、芸名ではなく本名が乗ってるとすれば、無い話ではないか。」
「そうそう。少しでも知ってる奴に会いたいってのは、自然な事だろ?な?な?」
リョースケの話は筋が通っている、概ね嘘ではない。
だが、彼の目的は『アイ』を殺すこと。
他の参加者を殺すことは無くても、自分たちファンに嘘をついて子どもをつくった『アイ』だけは、今をもっても許せないでいた。
もしそのことが、殺し合いに反対している杉元や人を殺す悪人をブッ殺す神賽に気づかれたらどうなるかなど、今のリョースケは考えてはいない。
だが、彼の目的は『アイ』を殺すこと。
他の参加者を殺すことは無くても、自分たちファンに嘘をついて子どもをつくった『アイ』だけは、今をもっても許せないでいた。
もしそのことが、殺し合いに反対している杉元や人を殺す悪人をブッ殺す神賽に気づかれたらどうなるかなど、今のリョースケは考えてはいない。
リョースケの提案は本音と打算の入り混じった、言ってしまえば取り繕った言葉ではあった。
だが。
『知ってる人に...会いたいって思うのは。自然なこと。』
動けなかった後藤ひとりに、動く原動力を与えたのは。その言葉だった。
だが。
『知ってる人に...会いたいって思うのは。自然なこと。』
動けなかった後藤ひとりに、動く原動力を与えたのは。その言葉だった。
「わ....わたしは。STARRYに行く!」
黒髪の女子高生が、震えた口を開く。
顔に傷はなく、目は泳いではいたが確かに神賽とリョースケを向いていた。
いきなり大声を出した姿にリョースケはびくつき。神賽も面食らったようにめをぱちくりさせる。
体を同じくする杉元でさえ、後藤ひとりが自分から肉体の主導権を得ることに驚いてた。
顔に傷はなく、目は泳いではいたが確かに神賽とリョースケを向いていた。
いきなり大声を出した姿にリョースケはびくつき。神賽も面食らったようにめをぱちくりさせる。
体を同じくする杉元でさえ、後藤ひとりが自分から肉体の主導権を得ることに驚いてた。
「...ここには、私の友達が居ます。リョウ先輩に喜多ちゃん。あと店長さんも。多分、STARRYがあることを知ったら。来ると思う...ます。」
必死に言葉を紡ぐ後藤ひとりは、正面に座る神賽に目が合った。
興味深そうに話を聞く彼は、うっすらと笑顔を浮かべていた。
興味深そうに話を聞く彼は、うっすらと笑顔を浮かべていた。
「わ...私には杉元さんが居てくれるけど....他のみんなには全然戦えないままかもしれない!だから.......」
「....助けたい。か」
「大事な...友達なので。」
「....助けたい。か」
「大事な...友達なので。」
―――山さん!また―――逢ったなァ!
神賽の脳内に、親友にして宿敵である始祖の極道の顔が浮かぶ。
神賽の脳内に、親友にして宿敵である始祖の極道の顔が浮かぶ。
―――帰りたいよ。佐一・・・
杉元の脳内に、戦場で命を失った親友の顔が浮かぶ。
杉元の脳内に、戦場で命を失った親友の顔が浮かぶ。
友を助けたいという思いは、友が死んでもなおその顔が心にあり続ける者達にとって。大きく、だからこそ汚してはいけないと思える。
「そうか...ひとりちゃん。」
いつの間にかひとりと入れ替わった(長時間知らない人の前で喋ったので、ひとりの精神は限界だった)杉元は、父親のように優しい目で自分の中のひとりを見た。
体を同じくするのが後藤ひとりでよかったと、心から彼は思った。
いつの間にかひとりと入れ替わった(長時間知らない人の前で喋ったので、ひとりの精神は限界だった)杉元は、父親のように優しい目で自分の中のひとりを見た。
体を同じくするのが後藤ひとりでよかったと、心から彼は思った。
この時まで、神賽惨蔵にとって後藤ひとりは、『杉元佐一のオマケ あるいは庇護対象』くらいの認識であった。
(その認識、改めねばならんか。)
喋るのが苦手な少女が、『友人の為』と言った言葉を、ないがしろにはできない。
(その認識、改めねばならんか。)
喋るのが苦手な少女が、『友人の為』と言った言葉を、ないがしろにはできない。
――情に揺れた忍者は、いとも容易く誤断(ミス)って死ぬ。
神賽の知る限り、最も多い忍者の死因。
神賽は決して情に絆されない男だ。
もし仮に今後後藤ひとりが誰かを殺そうとしても、その前に冷静にブッ殺すだろう。
(だからといってこの情(おもい)を無視する気には、なぜかなれん喃。)
神賽は、ふうと一呼吸つく。どことなく満足そうな、笑顔で。
神賽の知る限り、最も多い忍者の死因。
神賽は決して情に絆されない男だ。
もし仮に今後後藤ひとりが誰かを殺そうとしても、その前に冷静にブッ殺すだろう。
(だからといってこの情(おもい)を無視する気には、なぜかなれん喃。)
神賽は、ふうと一呼吸つく。どことなく満足そうな、笑顔で。
「なら、儂は“後藤ひとり”に着いていこう」
神賽の言葉に、「えー!」と不本意な声を上げるのはリョースケだ。
神賽の言葉に、「えー!」と不本意な声を上げるのはリョースケだ。
「なんだよ!俺だけ別方向じゃねえか。着いてきてくれないのか!?」
「着いていく理由がない。お主の言葉は一理あるが。『アイドルを守りたい』とも『助けたい』とも言わなかったじゃろ。」
「それは....」
「想いに貴賤(ランク)をつけたりはせんが、儂は後藤ひとりに協力する。」
「着いていく理由がない。お主の言葉は一理あるが。『アイドルを守りたい』とも『助けたい』とも言わなかったじゃろ。」
「それは....」
「想いに貴賤(ランク)をつけたりはせんが、儂は後藤ひとりに協力する。」
冷淡に返す神賽の言葉に、リョースケは言い返せない。
神賽は後藤ひとりと杉元佐一には最低限の信用を向けてはいるが。リョースケに対する信用は、積極的に協力するほどのものではなかった。
神賽は後藤ひとりと杉元佐一には最低限の信用を向けてはいるが。リョースケに対する信用は、積極的に協力するほどのものではなかった。
「幸い、苺プロダクションもSTARRYもここから南側だ。そこまで同行って形ならいいんじゃないか?」
「......わかったよ。」
「......わかったよ。」
案を出す杉元の言葉。
そこにわずかながら不信と警戒の色が見てとれることは、リョースケにも分かった。
そこにわずかながら不信と警戒の色が見てとれることは、リョースケにも分かった。
先に謝罪の言葉が出たことで、杉元・神賽両名はリョースケが『素直』な人間であることは認めている。
だがしかし、リョースケは、恐怖で錯乱しながらも。力で相手をねじ伏せ、殺される前に殺すという選択をした。
バトル・キングの力に酔いしれていたというのもあるだろうが。そもそも“他者を傷つけ、攻撃できる人間”だと神賽は判断していた。
だがしかし、リョースケは、恐怖で錯乱しながらも。力で相手をねじ伏せ、殺される前に殺すという選択をした。
バトル・キングの力に酔いしれていたというのもあるだろうが。そもそも“他者を傷つけ、攻撃できる人間”だと神賽は判断していた。
(おそらくこいつは『耐えられる』かどうかは別にしても“人を殺せる人間”。今回は後藤ひとりと杉元佐一に免じるが、怪しい動きをすれば即対処できるよう警戒は必須!)
同じ懸念は、杉元も感じていた。
殺し合いに積極的に乗るつもりもなく、自主的に人を殺すつもりもないが。
天秤が少し傾けば、良くも悪くも素直なこの男は、殺人を犯せる。
杉元と神賽から見たリョースケの性質であり、事実である。
殺し合いに積極的に乗るつもりもなく、自主的に人を殺すつもりもないが。
天秤が少し傾けば、良くも悪くも素直なこの男は、殺人を犯せる。
杉元と神賽から見たリョースケの性質であり、事実である。
提案にも扱いにも不服だと思うリョースケだが、それを気にしてくれる人はいない。
アイがいる可能性がある苺プロダクションに行きたい。
戦闘に長ける神賽か杉元に苺プロダクションまで同行して欲しい。
リョースケはそう希望しているが、それを実現する交渉材料も無ければ、行動を共にしてもらえるほどの信頼も無い。
ついさっきまで、彼がひとりと杉元を襲ったのは、紛れもない事実だ。
むしろ殺さずにいてくれるだけ、リョースケは間違いなく幸運だったといえる。
アイがいる可能性がある苺プロダクションに行きたい。
戦闘に長ける神賽か杉元に苺プロダクションまで同行して欲しい。
リョースケはそう希望しているが、それを実現する交渉材料も無ければ、行動を共にしてもらえるほどの信頼も無い。
ついさっきまで、彼がひとりと杉元を襲ったのは、紛れもない事実だ。
むしろ殺さずにいてくれるだけ、リョースケは間違いなく幸運だったといえる。
それらのことを、リョースケは頭では理解してはいたが。
「...なんでだよ。」
そのことを幸運だと飲み込めるほど、彼は出来た人間ではなかった。
「...なんでだよ。」
そのことを幸運だと飲み込めるほど、彼は出来た人間ではなかった。
三人は夜の街に向けて、南に進む。
女優の体をした忍者は、警戒をしながらすたすたと。
女子高生の体をしたギタリストと兵士は、隠しきれない不安を抱えてかつかつと。
格闘家の体をしたただの青年は、思いつめるようにとぼとぼと。
女優の体をした忍者は、警戒をしながらすたすたと。
女子高生の体をしたギタリストと兵士は、隠しきれない不安を抱えてかつかつと。
格闘家の体をしたただの青年は、思いつめるようにとぼとぼと。
――大事な友達だから。
「そんな奴。俺にはいねえよ」
ぽつりとつぶやく青年の言葉は、前を行く人たちには届かない。
この場で最も強い体を持ちながら、最も自分を惨めに思っていたのは。
ほかならぬ、リョースケ自身であった。
ぽつりとつぶやく青年の言葉は、前を行く人たちには届かない。
この場で最も強い体を持ちながら、最も自分を惨めに思っていたのは。
ほかならぬ、リョースケ自身であった。
【一日目/深夜/D―8】
【後藤ひとり@ぼっち・ざ・ろっく!】
[身体]:三鷹アサ@チェンソーマン
[状態]:精神的疲労、羞恥心、混乱(小) 神賽・リョースケへの警戒(大)
[装備]:屠坐魔@呪術廻戦
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:STARRYに行って、みんなと合流する
1:やだやだやだやだ恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいムリムリア゛ア゛ーーッ!!
2:筋肉と陽キャが増えた...たすけて.....
3:リョウ先輩に喜多ちゃんに店長さんも...
[備考]
※参戦時期は少なくとも文化祭ライブ以降
[身体]:三鷹アサ@チェンソーマン
[状態]:精神的疲労、羞恥心、混乱(小) 神賽・リョースケへの警戒(大)
[装備]:屠坐魔@呪術廻戦
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:STARRYに行って、みんなと合流する
1:やだやだやだやだ恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいムリムリア゛ア゛ーーッ!!
2:筋肉と陽キャが増えた...たすけて.....
3:リョウ先輩に喜多ちゃんに店長さんも...
[備考]
※参戦時期は少なくとも文化祭ライブ以降
【リョースケ@推しの子】
[身体]:バトル・キング@タフ・シリーズ
[状態]:不安(中) 恐怖(大) 劣等感
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:元の世界に戻って星野アイを殺害する
1.俺の体が死んでる!なんでだよ!!!なんで俺だけがこんな目に!
2.苺プロダクション.....。ひょっとしたら関係者もここにきているのか?
3.友達なんて....俺には
[備考]
※アイを殺す前からの参戦です。アイの本名および『星野アクア』については知りません。
[身体]:バトル・キング@タフ・シリーズ
[状態]:不安(中) 恐怖(大) 劣等感
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:元の世界に戻って星野アイを殺害する
1.俺の体が死んでる!なんでだよ!!!なんで俺だけがこんな目に!
2.苺プロダクション.....。ひょっとしたら関係者もここにきているのか?
3.友達なんて....俺には
[備考]
※アイを殺す前からの参戦です。アイの本名および『星野アクア』については知りません。
【神賽惨蔵@忍者と極道】
[身体]:黒川あかね@推しの子
[状態]:健康 悪刀に対する警戒 リョースケに対する警戒
[装備]:悪刀 鐚@刀語
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:主催者と殺し合いに乗り気な悪人は殺す それ以外は生かして帰す
1:儂とこの少女(黒川あかね)をこんな悪夢(クソゲー)に巻き込んだこと。悔いてもらおうぞ!!
2:後藤ひとり。友人(ダチ)のために動くとは、意外と見どころがあるかもしれん喃
3:リョースケはおそらく”人を殺せる人間”。次怪しい動きをすればその時は....
[備考]
※参戦時期は情愛大暴葬より後です
[身体]:黒川あかね@推しの子
[状態]:健康 悪刀に対する警戒 リョースケに対する警戒
[装備]:悪刀 鐚@刀語
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:主催者と殺し合いに乗り気な悪人は殺す それ以外は生かして帰す
1:儂とこの少女(黒川あかね)をこんな悪夢(クソゲー)に巻き込んだこと。悔いてもらおうぞ!!
2:後藤ひとり。友人(ダチ)のために動くとは、意外と見どころがあるかもしれん喃
3:リョースケはおそらく”人を殺せる人間”。次怪しい動きをすればその時は....
[備考]
※参戦時期は情愛大暴葬より後です
[副人格キャラ状態表]
【杉元佐一@ゴールデンカムイ】
[身体]:ヨル@チェンソーマン
[状態]:健康 ひとりに対する心配 リョースケへの警戒
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らないし、こいつ(ひとり)にも乗らせない。
1:殺す必要がある時はどうするか…
2:俺の方が副人格ってやつで…参加者にはならないってことなのか?
3:こいつ(リョースケ)、大丈夫か?
[備考]
※細かい参戦時期は後続の書き手にお任せしますが、少なくとも原作第221話「ヒグマ男」終了以降のどこかとします。
【杉元佐一@ゴールデンカムイ】
[身体]:ヨル@チェンソーマン
[状態]:健康 ひとりに対する心配 リョースケへの警戒
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らないし、こいつ(ひとり)にも乗らせない。
1:殺す必要がある時はどうするか…
2:俺の方が副人格ってやつで…参加者にはならないってことなのか?
3:こいつ(リョースケ)、大丈夫か?
[備考]
※細かい参戦時期は後続の書き手にお任せしますが、少なくとも原作第221話「ヒグマ男」終了以降のどこかとします。
【屠坐魔@呪術廻戦】
後藤ひとりに支給された短剣 『呪具』と呼ばれる呪いを込めた武器
後藤ひとりに支給された短剣 『呪具』と呼ばれる呪いを込めた武器
| 14:戦いの時 解き放たれた心に宿した火よ | 投下順に読む | 16:眠れ赤子のように、消えよ数多の塵のように(前編) |
| 時系列順に読む | ||
| 登場話3:戦争コンプレックス | 後藤ひとり&杉元佐一 | |
| 登場話121:アンフォーギブン | リョースケ | |
| 登場話190:悪刀 惡金は忍ばない | 神賽惨蔵 |