「この役立たずのクズがぁぁぁぁ!!私の手を煩わせるなぁぁぁぁぁ!!」
「も、申し訳ございません…!!清隆殿…!!」
「も、申し訳ございません…!!清隆殿…!!」
これには理由がある、彼の元に不幸が訪れていたからだ
彼は幸運であった
意志を搭載するベルトがたまたま近くに現れた結果、そのベルトの意志を排除し、己の肉体の代わりになる物を得れた
ゼインドライバーを魔改造した結果…否、今やこの世界におけるバンノドライバーと言える物と化した為にシビト侑斗の消滅による巻き添えをたまたま逃れる事が出来た。
多くのNPCを従えていた綾小路清隆の肉体を乗っ取る事が出来た結果、それなりの兵力を得た
そして潜伏先であった4人もの参加者を殺した結果多くの支給品を得る事も出来た
だが幸運と不幸は表裏一体、それなりの不幸もしっかり彼の元には訪れていた。
まず一つ目の不幸は背信するまでに特に悪い事はしていなかったのに潜伏先の人達…鈴音、サビルバラ、そして今のっとっている綾小路に己が邪悪である事を疑われ続けた事だろう
もしもそのような事がなかったのならば、彼はあの場で7人を裏切るような事は起こさなかったのだから、ある意味綾小路達3人は自分で自分の首を絞めてしまったと言っても過言ではないのだ。というよりある種蛮野は仕方がなかったとも言えるかもしれない、黒だと審判を下されたらタブレット毎破壊されるか何も行動が出来ない状況にさせられていただろう事は明らかだからだ。
…最も、疑念そのものは全く外れておらず大当たりである上、もし疑われなかったとしても別のタイミングで生存の為に裏切る可能性は大きかった以上、3人を悪いという人はほとんどいないだろう、真摯に以前の行いを反省していれば胡散臭さもなくなっていただろうし
続いての不幸、それはたまたま襲ってきたNPC達が強かった事にある。
テレビ局に進撃し始めた綾小路軍改め蛮野軍だが、その先をNPC達が邪魔をしたのだ
しかもそのNPC達というのがそれなりの強さを持っていた存在であった。
まずはメイドジャマトというボーンジャマトの一種、これが15体は現れた。こいつらはまだ良かった。然程の力を持っていなかったからだ。バトルマギアでも互角に戦えた。
だが次の二体は厄介であった。一体目はジャマトライダー、あのギーツが歴代ライダーの最強フォームに準ずるスペックをもつフィーバーブーストフォームのパンチと互角に持ち込める必殺技を放てる敵キャラであった。二体目は驚くことなかれ、仮面ライダーアギトであった。勿論津上翔一が変身した存在が再現されたわけではない、時の王の世界線において仮面ライダーではないアナザーアギトがアギトライドウォッチを埋め込まれて生まれた己の意志などない獣のアギトが再現された存在であった。
蛮野は当初ベルトの魔改造の考案中だった為、己の道具がどれくらい使えるかを確かめるのもかねて、道中の邪魔ものを弱らせる事を命令したのだ、弱らせた上で蛮野がトドメを刺すという己の消費を減らす考えもあった。
だがアギトの振うストームハルバードとジャマトライダーのブロイアームズによる茨はバトルマギアとカッシーンには手に余る物であり、何体か撃破されてしまった挙句、然程の消費もされなかったのだ。結局蛮野自身がしっかり倒さなければいけない事になったのだ。
勿論ゴルドゼインにとって二体は然程の敵ではなかった、カードを使用する事もなくただのプログライズキーによる必殺技で倒す事が出来たのだから、しっかり二体とも己のカードとして手札に収まっている。
だが今の蛮野を苛立たせたのは…ただのNPCにさえやられてしまう己の道具の脆弱さにあったのだ、これでは道具として大した価値がない、そう判断した蛮野が苛立ちをぶつける決断をするのは早かった。
…という訳で冒頭にあるように蛮野の予想以上に役に立たなかったカッシーンへの苛烈なお仕置きが執行されたのだった。
そして三つ目の不幸、これは蛮野が認識しようがない不幸である、そもそもゼインの道具を奪った時に既に出来ていた状況なのだから。
それは己のカードをパワーアップさせる事が出来ない状況であるという事であった。(令呪でも切らない限りだが)
…何を言っている?状態表を見る限り、残り2回グレードアップえきが使えるだろうと思ったかもしれない
事実は間違っている。そしてその液体が使い切られた理由をご覧になっていただこう
《果穂!あなたもカードを……!》
《はっ、はい!》
《はっ、はい!》
ジンガが変身したディケイド・コンプリートフォーム激情態、彼による無法も無法、破壊者としては相応しい19ライダーによる一斉攻撃によって皇帝の城は殆ど破壊されつくしてしまった。
この時その場に居合わせていた仮面ライダーゼインとそれに操られ従っていた小宮果穂が変身していたもう一人のゼインは攻撃に呑まれようとしていた。
故にカードを使って対処しようとしていたのだが
《ぜ、ゼインさん!!》
《何です!?》
《どういうカードを使えばいいんですか!?》
《何です!?》
《どういうカードを使えばいいんですか!?》
と、何枚かカードを出しながらゼインに訊ねてきていた。
それも当然である、小宮果穂は仮面ライダーのいる世界に生きているわけでもない、ライダーの知識がインプットされたドライバーに宿っている人工知能でもない、故にどのような力を使えばどうなる等を具体的に知っているわけがないのだ。
だが問答をしている暇はない、こうしている間に膨大な破壊のエネルギーが迫りくるのだから
《こうなったら…!!》
ゼインは放送を経て制限をリセットされた時間停止を2回連続発動、2秒の時間停止で一連の行動を終わらせることを決めた。
その行動とは果穂が持つカードから一枚奪取して、それをグレードアップえきにかけて、パワーアップしたゼインカードの力で防御するという事であった。
どのゼインカードを使うか、それも短い時間の中で決めた。それは
<フォーゼ!コズミックステイツ>
<執行!ジャスティスオーダー!>
<執行!ジャスティスオーダー!>
沢山のダチとの絆を胸に宇宙を掴む学生が変身する仮面ライダーの力であった。
ゼインの肉体にコズミックエナジーによる青いバリアを全開で張り、二人のゼインを守る、もちろんこれだけでは不足しているとわかっていたゼインはバリズンソードにコズミックスイッチを差し込む
『Limit break!』
こうしてバリズンソードにもコズミックエナジーを纏わせ、攻撃を迎え撃つに相応しい刃へと変化させる。
更にだ
『Hand ON』『Shield ON』
コズミックステイツに変身した時にベルトに残るソケットにハメる事が出来るアストロスイッチの1つ、シールドスイッチでサーフェイスパネルと呼ばれる盾を召喚し、右脚からハンドスイッチで第三の腕と呼べるマニピュレーターハンドを召喚し、メタジャリバーを盾のように運用する。
《くっ……!ふざけた真似をしてくれる……!》
《うああああ……!ま、負けちゃ、ダメです……!ゼインさんの正義が、負ける筈は……!》
《うああああ……!ま、負けちゃ、ダメです……!ゼインさんの正義が、負ける筈は……!》
このようにフォーゼの力を全力で駆使し護る為の障壁を作りあげたゼインを果穂が背後から支える事でどうにかコンプリートフォーム激情態の破壊を耐え抜いたのだった
その後チェイス達と会うまでの間、ゼインは記録されている大まかのライダーの知識について果穂に話した。その方が先程のような知識不足によるアクシデントが起こらず、己の正義を執行しやすくなると判断したのだ。
…という訳で、グレードアップえきは完全に使い切っており、フォーゼのカードも使用済みであるという事はおわかりいただけただろうか
おっとすまない、これで説明を終わらせてはもう1回使えるじゃないかと疑問を抱かれても仕方がない
じゃあその1回についてはクイズにしよう、ゼインはいつグレードアップえきを使っていたのか?答えは次のページに載せる事にしよう
「壊乱Ⅴ:アウトサイダーズ -Alteration-」におけるゼインカードによる能力の使い方を見直してみるといい、きっと違和感に気づけるはずだ
| 131:一名様ご案内 | 投下順 | 132:壊乱Ⅴ:アウトサイダーズ -Alteration-…狭間に下されし執行② |
| 125:龍園少年の事件簿 -アッシュフォード学園殺人事件- | 時系列順 | |
| 122:蛮野天十郎:リサイタル | 綾小路清隆 | |
| 蛮野天十郎 |