AFTERN∞N

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AFTERN∞N  ◆STLknvzn3M



「おい、ミギーッ!!」

 私はシンイチの呼び声で目を覚ました。
「騒々しいな、何があったんだ」

 表情、口調から察するにシンイチは明らかに狼狽している。
 今までもシンイチが狼狽えるのを見たが、今回のそれは群を抜いて酷い。
 私を宿してから様々な経験を積んだので多少は冷静になったと思っていたのだが、どうやらその認識を改めなければならないようだ。
 もしくは常軌を逸脱した状況に陥って得た冷静を手放さざるを得なかったのか。
 前者である事を望みつつ、私は聞き手に回った。
 幸いな事に、シンイチは私が目を覚ました事によって平静を取り戻したのか、荒い呼吸を整えつつ訥々と我々が置かれている状況を語り始めた。

「成る程。大体の状況は掴めた」


 殺し合いを強要されている。
 逆らえば殺される。
 参加者には田村令子、そして後藤がいる。

 私なりにシンイチの話を噛み砕くと、非道な話があるものだな、と思う。たが私の同族がやっている事とさほど変わりはないようにも思える。
 我々――パラサイトと呼ばれる生命体はヒトに寄生し、ヒトを捕食する。
 ヒトとパラサイトがある種の生存競争をしていると考えれば、合点がいかない訳ではない。

「シンイチ、君はどうしたいんだ? 私は生き残る事を考えるべきだと思う」

「生き残るって事は殺し合いをするって事なのかよ!」

 私の言葉にシンイチは頭をかきむしりながら怒鳴る。彼は未だに混乱している様だ。

「そうじゃない。現状ではあまりに情報が少なすぎる。生き残りつつ情報を集めるんだ。殺し合いをする訳ではない」

 主催者とやらが信用出来る訳ではないからな、と付け足すと、シンイチは腕を組み考え込んだ。

「私は君から聞いただけだから詳しい話が解らないが、主催者――V.V.と言ったか? の意図が解らない。ヒトを集めて殺し合わせる事に何の意味があるのだろうか?」

「そんな事俺にはわからねえよッ!」

「だろうな。私が判らないのだからな」

「オマエ、性格悪いな」

「そんな事はどうでもいい」

 無駄な議論を打ち切り、私の考えを述べる。

「ルートに私意的な物を感じるな。平等に見えて平等ではない」

「どういう事だよ」

「例えば、首輪だな。意図的に外す事も不可能ではない。例えば――」

「後藤か?」

 シンイチの答えが私と均しい事に私は満足する。

「ああ、あの後藤ならば……あるいは、な」

 ――後藤。自身を含め五体のパラサイトを宿した存在。奴なら自らの首を跳ねて首輪を外し、再度頭部に収まる事も不可能ではない筈だ。
 現に奴が頭部の交換が可能である事を見た。
 応用すれば、自分だけではなく右手の三木を始めとした支配下にあるパラサイトを他の寄生体に宿す事すら可能だろう。

「V.V.とやらが知っているかどうかは別として、後藤にとっては都合の良いルールだ」

「その事を後藤は……気付いてるだろうなァ」

「私が気付くぐらいだ。後藤が気付かない筈がない」

 シンイチは周囲に憚る事なく盛大に嘆息する。

「何にせよ、後藤は殺し合いには乗らないだろう」

「何でだよ」

「奴はヒトを喰いはするだろうが、殺し合いをする事はないだろう。奴からみればヒトはエサに過ぎん」

「やっぱり性格悪いな、オマエ」

 無駄なやり取りをしている内に、睡魔が襲ってきた。あがない難い、強い睡魔だ。私はそれに身を任せ深い微睡みに落ちて行った。



「おい、ミギー! ミギー!?」

 うんともすんとも返事はない。なしのつぶてだ。どうやらミギーは完全に寝ちまったみたいだ。

「ったぁく、どうしろってんだよ!」

 ミギーと出会った時(アレを出会いとするのは少し間違ってるかもしれない)時にもビックリしたけど、それ以上だ。

 殺し合いをしろ、一番になれば元の世界に戻れる、願いを叶える事が出来る。

 ミギーも言ってたけど、あの子供――V.V.は信用出来ない。かの大合作のあさりよしとお並みに信用出来ない。いや、Sさんのホホホのニョーボ並みかもしれない。
 駄目だ。混乱している。少し休もう。休んで落ち着こう。幸いな事に目の前にホテルがある。
 息をひっそりとひそめていれば危険はないだろう。


【一日目深夜/B-2 ホテル前】
泉新一寄生獣
[装備]なし
[支給品]支給品一式、ランダム支給品
[状態]混乱による疲労
[思考・行動]
1.とりあえず休みたい
2.生き残る


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GAME START 泉新一 029:乱(みだれ)後…



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