概要
戦闘に至るまでの背景
リアムス国は既に大局を動かせるほどの力はなく、
サムルトン国を攻め落とせば無条件降伏の道しか残されていない為、事実上これが乱世を終わらせる最後の戦いとなる。
更に万全を喫するため、既に祖国滅亡後の保身を見据えて、密かに帝国に媚びを売ろうとしていた
リアムス国議員たちを利用して、
リアムス軍の動きを封じ込めさせた。
こうして、後顧の憂いを完全に排除した
クルーディア帝国軍は、
サムルトン国攻めに全ての戦力を差し向けることが可能となった。
帝都からは
フェリサスを中心とする部隊、旧
パレス領土からは
グラスシードを中心とする部隊が二つのルートから同時に攻め込む形で全軍は出陣。
その際、皇帝
ファルスは、「先に
サムルトン国王
ミッツを討ち取った将を帝国元帥の地位にする」と公約した。
長い間その地位に合う者がいないと空席になっていた帝国元帥の椅子は、
グラスシードと
フェリサスの立身出世レースにおいて、一つの明確な「ゴール」となった。
両軍の戦力
国境突破
サムルトン遠征には、皇帝
ファルス自らが陣頭に立つ皇帝親征が決定された。
当然前線に立つことはなくかなり距離をおいての進軍だが、この戦いが乱世を終わらせる最後の戦いというアピールが内外に示されたこととなる。
帝国軍14部隊を動員し、それぞれのルートから
サムルトンに同時進入し、指定された土地で合流する手筈となっていたが、その中でも
フェリサスを中心としたルートと、
グラスシードを中心としたルートが本命とされ、大部隊が動員された。
カイザラス城攻略戦
快進撃を続ける
グラスシードだが、彼の前に
アニエスが指揮するカイザラス城が立ちふさがる。
かつて、
六柱将が
魔族の猛攻をしのいだ名城であり、現在は廃城となっているが、それでも城壁は健在で、まともに攻略するにはあまりにも時間がかかりすぎる。
そこで、
アレイナの策略によりあえて城を無視して進軍を開始、篭城部隊は自分達が無視されたことの怒りと、このまま
グラスシード部隊を追撃すれば本国の部隊と挟撃できるという作戦により、
アニエスの制止を聞かず城から出陣する。
これを待っていた
グラスシード軍はすぐさま反転、篭城部隊を野戦にて壊滅させると、再反転して挟撃の為に出陣してきた部隊をも撃破する。
だが、この戦いの中、計算外の部隊が突如戦場に乱入する。
リアムス国の
コルカフォーンと
ルーザリットであった。
帝国の策略により国としての軍勢は派遣されなかったが、滅亡をただ待つことに納得せず、意地を見せるために自らの意思で命令違反をして出陣した
コルカフォーンと、彼に従う兵士、共感した
ルーザリットによる完全な私兵集団であった。
彼らの存在と乱入は確かに計算外ではあったが、あくまでも私兵集団でありその兵数は少なく、
グラスシードは戦局に影響はないと判断、
アニエスを説得により降伏させ、そのまま進軍を再開した。
この時
アニエスが降伏を承諾したのは、王都への道案内を務めて
グラスシードに首都一番乗りの功績を立てさせた上で、その見返りとして
ミッツ国王の助命を嘆願する為であったが、それは一歩間違えれば裏切り者と言われる危険な降伏でもあった。
アルダスの戦い
グラスシードがカイザラス城を無力化させている頃、
フェリサスもアルダス渓谷で
ムゥナと決戦を行っていた。
戦いは、当初は地の利を生かして
ムゥナが優勢に進め、更に別動隊による食料部隊の焼き討ちを決行する。
数で劣る
サムルトン軍は、本陣を強襲して
フェリサスを討ち取るか、食料を焼き払って遠征を断念させるかしかない。
だが、それを読んでいた
フェリサスは、本陣の守りを固め、更に偽の輸送部隊を用意して、奇襲を仕掛けた敵軍を荷物の火薬をもって壊滅させた。
初日の戦いはこうして終了、
サムルトン軍は奮戦するものの、賭けに出た別動隊が壊滅したことにより戦意は消失、落ちた士気を高めるべく
ムゥナは翌日の戦いで
フェリサスに論戦を挑むが、
ムゥナが叫ぶ
サムルトンの正当性は全て
フェリサスに論破され、言葉を繋ぐことができなくなった
ムゥナは吐血して落馬、そのまま落命した。
レンシアの戦い
両軍は数日に渡るにらみ合いを続けるが、ここで予期せぬ事態が起きた。
グラスシード部隊が攻撃の準備に取り掛かっていたまさにその時、王都を目指して強行移動してきた
コルカフォーンが戦場に乱入、
リックスが仮眠中だったこともあり、将軍達は焦って帝国軍の攻撃と思い込んで
カオスゼロを
リアムス軍に向けて放った。
連射できない貴重な砲撃を乱入者に使ってしまい、結果的に帝国軍に行動の自由を与えてしまった
サムルトン軍に、
グラスシード部隊が総攻撃を仕掛けて狭い土地に殺到、三軍入り乱れての乱戦の中
カオスゼロは破壊され、
リックスも後退せざるを得なくなる。
王都サムルトン攻略戦
もはや切り札の全てを失った
サムルトン軍は、首都になだれ込む帝国軍を相手になすすべなくなぎ倒された。
先のレンシアの戦いで放たれた
カオスゼロの攻撃によって、残された兵さえ失った
コルカフォーンもこの戦いに単身乱入、軍勢を持たない個人での移動だったからこそ、逆に混乱の王都に自由に進入できたのか、誰よりも早く国王
ミッツの元にたどり着き、その鎌で
ミッツを討ち取った。
彼が何故
サムルトン国王に固執したのかは、推測の域をでないが「歴史から消えていくリアムス国にも、これだけのことができるという傷跡を残したかった」という、完全な個人的感情によるものであった。
どちらにしても、これまで苦労して王都までたどり着いた帝国軍にとっては屈辱に近い行為であったが、その
コルカフォーンも満足の笑みを浮かべると最後の突撃を仕掛けて戦死し、
サムルトン国は
クルーディア帝国に完全に併合された。
戦いの結末
サムルトン側には降伏の使者を送ったという記録があるが、帝国側に到着したという記録はなく、
グラスシード、
フェリサスのどちらか(あるいは両方)が手柄争いの決着に拘り、降伏を黙殺したとの説もあるが真相は謎である。
最終更新:2024年07月28日 01:04