&font(#6495ED){登録日}:2016/07/20 Wed 12:14:54 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){対戦相手の戦場にクリーチャーは4体、あなたのクリーチャーはゼロ。 対戦相手の手札は7枚、あなたの手札は《天秤》と《ズアーの宝珠》の二枚のみ。 土地はお互い5枚ずつ。 &color(blue){さて、これからどうなるでしょう?} A: &bold(){《ズアーの宝珠》を除き、何もかもがまっさらになります} } 《天秤/Balance》は、[[Magic the Gathering]]の黎明期に存在したカードの一枚。最初の基本セット・アルファ版にすでに収録されていた。 #blockquote(){&font(b,#808080){天秤/Balance(1)(白)} ソーサリー 各プレイヤーは、コントロールする土地の数が最も少ないプレイヤーがコントロールする土地の数に等しい数だけ、自分がコントロールする土地を選ぶ。その後、残りを生け贄に捧げる。 同じ方法で、各プレイヤーはカードを捨て、クリーチャーを生け贄に捧げる。 } *概要 そのカード名どおり、自分と対戦相手の戦場のカードを天秤に載せて、平等化させるといったイメージ。 …だが、のちに登場した《ドルイドの誓い》と並んで、&bold(){「平等にする」とはどういうことか「わからせる」}カードである。 例えば、あなたがノンクリーチャーデッキ((クリーチャーの枚数がゼロ、若しくはフィニッシャーのみのごく少数のデッキで、ヘビーパーミッションなどなら自然とこうなる))を使っていたとしよう。 この場合、あなたがコントロールするクリーチャーの数は当然ゼロなので、相手も同じ数になる。つまり戦場からクリーチャーはいなくなる。 つまり、これは&bold(){《[[神の怒り>神の怒り(MtG)]]》と同等の効果}を持っているのと同義である。 例えば、あなたの手札の枚数がゼロで一方対戦相手の手札は7枚という絶望的な状況だとしよう。 そこであなたは幸運にもこのカードを引き、唱えることに成功したとする。 この場合、やっぱりあなたの手札の枚数に合わせることになるので、対戦相手は手札を全て捨てなければならない。 つまり、これは&bold(){「[[相手の手札全てを捨てさせる手札破壊呪文>ハンデス/手札破壊(MtG)]]」}と等価だといえる。 いくら白が平等な色とはいえ、本来白が触ることができない手札に干渉してしまうのはあまりにもアレである((手札破壊は黒の役目。他の色でも同様に「絶対にタッチできない要素」は存在する。))。 土地についてはまだマシかもしれない。マジックのルーリング上、土地は1ターンに1回しか置くことができないからだ。 だが、マジックのカードには土地を能動的に少なくする手段はいくつか存在する。 その土地を生贄に捧げることで一時的にマナを増幅させるサクリファイスランドや、土地を生贄に捧げてライフを回復する《ズアーの宝珠》などだ。 これらと組み合わせれば、&bold(){《[[ハルマゲドン>ハルマゲドン/Armageddon(MtG)]]》と同等の効果}を発揮する。 特に《ズアーの宝珠》とのコンボは&bold(){「ズーラン・バランス」}と呼ばれ((これはモダンホライゾン2に収録されるまで日本語名が存在しなかった《ズアーの宝珠/Zuran Orb》が英名そのまま「ズーランオーブ」と俗称されていたことによる。今でもそちらの呼び方に慣れ親しんだというプレイヤーも多い。))、様々なデッキで猛威を振るった。 ちなみに[[デュエル・マスターズ>デュエル・マスターズ(漫画)]]がマジックを扱っていたころ、第一回の勝負の決定打がこのコンボだった。 また、マナ源には後述にも書いているが土地以外にも豊富に存在する。そのためたとえ土地が無くなったところで自分は大して影響はないなんて芸当もできる。 何?[[打ち消し>対抗呪文/Counterspell(MtG)]]てやるって? なら対抗呪文は解決して《ズアーの宝珠》に土地食わせないでエンドします。((補足…現行のルールでは《天秤》の解決前に《ズアーの宝珠》の能力をスタックして解決しないといけないため、土地をライフに変換した後に《対抗呪文》を唱えられると一人ハルマゲドンする。しかし当時のルールだと《天秤》に対し《対抗呪文》をインタラプトで打たせるか打たせないか選ばせてから《ズアーの宝珠》を起動できるため、カウンターされなければ確定で一緒にハルマゲドン出来る。なお《天秤》に対し《対抗呪文》を唱えないと選んだが最後、《ズアーの宝珠》を起動しようが何をしようが、もう《天秤》に対し干渉することは出来ない。)) カードの種類によっては触れないカードがあるのもこれまた問題。同じ戦場に残るパーマネントでもエンチャントやアーティファクトは破壊されないのである。 特にアーティファクトは、&bold(){茶単}と称されるそれらに依存したデッキを生み出すほど多種多彩なカードが存在し、これらをずらずら並べて《天秤》を撃てば一方的に自分に有利な状況を作り出せる。 そして、これら全てのことを&color(red){&bold(){マナコストがたったの(1)(白)かつたった1枚の呪文でやってのけてしまう}}ことが最大の問題点であった。 そうした要素から、このカードは&bold(){マジック史上最強のリセットカード}と評されている。 その強さは伝説の[[ネクロの夏]]の決勝で、たった一枚のこのカードをトップデッキしただけで劣勢のゲームをひっくり返してしまったという逸話だけでも十分窺い知れるのではないだろうか。 尤も問題になった【ネクロディスク】はキーカードがアーティファクトとエンチャントのため、本来は天秤を撃ってもそうそうひっくり返るような状況ではないが #blockquote(){《[[ネクロポーテンツ>ネクロポーテンス/Necropotence]]》は設置されているが、《[[ネビニラルの円盤>ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk(MtG)]]》が無い盤面 ↓ 《ズアーの宝珠》で土地を全てライフにしてからの天秤により土地と手札が全部吹っ飛ぶ ↓ 通常ドローが《ネクロポーテンツ》の効果で止まってしまう ↓ どうしてもライフを支払ってドローして、土地を探しに行かないといけない ↓ ライフが詰まったところで【[[白ウィニー>白ウィニー(MtG)]]】のリカバリー能力に押し切られる} という感じだった模様。((現在カバレッジや動画が残っていないので、詳細は不明))ちなみに有名なデモコンデスは最終戦である。 これほどに凶悪なカードがどうして基本セット第4版まで残っていた((そのおかげで日本語名があるのだが。日本語版がリリースされたのは第4版以降))のかは大いなる謎である。 [[パワー9>パワー9(MtG)]]等のリソースを圧倒的に増やせるカードと比較して、このカードのように対戦相手のリソースを一気に削ってしまうカードの強さが認識されるのが大分後だったというのもあるようだが。 現在このカードが使用可能なのはエターナル環境に限られ、レガシーでは[[禁止カード>禁止カード(MtG)]]・ヴィンテージでは[[制限カード>制限カード(MtG)]]に指定されている。 新たに《天秤》の影響を受けないカード・タイプとして[[プレインズウォーカー>プレインズウォーカー (MTG)]]も登場しており、その力は現役当時より上回っている感すらある。 ただし《意志の力》など妨害手段も強力だし、《Mox Sapphire》でも残ってれば《[[Ancestral Recall]]》か《宝船の巡航》一発で立て直せちゃうのでそこまで強くはない。 前にも書いたスタックルール導入につき一人ゲドンしてしまう可能性が高いのも逆風。 …そもそもクリーチャーが出ない+土地が少ないという環境上、効果が劇的じゃないというのは内緒。 3種類調整版が存在する。 #blockquote(){&font(b,#808080){Balancing Act / 平等化 (2)(白)(白)} ソーサリー 各プレイヤーは、自分がコントロールするパーマネントを、コントロールするパーマネントの数がもっとも少ないプレイヤーと同じ数だけ選ぶ。その後残りを生け贄に捧げる。同じ方法で、各プレイヤーはカードを捨てる。} 1つ目はオデッセイに登場した《平等化》。 こちらはパーマネントの数を揃えるようになっていて、&bold(){平等}に大分近づいたと言えよう。 それでも上述のサクリファイスランドや墓地の枚数だけ大きくなれる《[[土を食うもの>土を食うもの/Terravore(MTG)]]》・スレッショルドクリーチャーといった相方に恵まれたこともあり、【&bold(){ターボバランス}】というデッキで活躍した。 #blockquote(){&font(b,#808080){Restore Balance / 均衡の復元} ソーサリー 待機6 ― (白) 各プレイヤーは、最も少ない数の土地をコントロールしているプレイヤーがコントロールする土地の数に等しい数だけ、自分がコントロールする土地を選ぶ。その後残りを生け贄に捧げる。プレイヤーは同じ方法でクリーチャーを生け贄に捧げ、同じ方法でカードを捨てる。} 2つ目は時のらせんに登場した《均衡の復元》。 効果はオリジナルと全く同じだが、マナコストを持たないためそのままでは&color(blue){マナを支払って唱えることが出来ない。} ではどうするのかというと、このカードの持つ『待機』能力を利用して唱える事になる(大雑把に説明すると、待機コストを支払うことで数ターン後に呪文が発動する)。 この呪文の待機コストは(白)で待機ターン数は6。「相手にバレバレだし即効性もないからこれで大丈夫でしょ。」とスタッフは判断したのだろう。 2016年現在の基準で考えると全体リセット呪文の点数で見たマナ・コストは5~6、 1ターンを1マナと換算するならこの呪文の点数で見たマナ・コストは7相当である。 盤面のクリーチャー以外にも対処出来ることを考えるなら、7マナでも破格ではあるが十分に納得できる設定といえるだろう。 …同じく待機を持ち、発動ターンを調整するついでに自由にパーマネント数を調整できる 《大いなるガルガドン》を見なかったことにすれば、だが。 #blockquote(){&font(b,#808080){Magus of the Balance / 天秤の大魔術師(1)(白)} クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard) (4)(白),(T),天秤の大魔術師を生け贄に捧げる:各プレイヤーはそれぞれ、自分がコントロールしている土地を、いずれかのプレイヤーがコントロールしている土地の総数のうち最も小さい数に等しい数選び、その後残りを生け贄に捧げる。プレイヤーは同様にカードを捨て、同様にクリーチャーを生け贄に捧げる。 2/2} 3つ目は統率者2018に登場した《天秤の大魔術師》。 起動型能力になった《天秤》を内包している。 唱えるだけなら本家と同じ(1)(白)だが、能力の起動に(4)(白)と(T)と生贄を要求されるため唱えたターンには召喚酔いで使えないのがネック。 なので下環境において特に目立った活躍はしていない。 追記と修正の&ruby(天秤){バランス}をお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,4) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 物理的な平等こそ真の不平等である -- 名無しさん (2016-07-20 12:28:48) - 今ならそこまで…感もないことはないけどやはりマナファクトずらずらから展開されて打たれると終わるので無理かなあ -- 名無しさん (2016-07-20 13:41:10) - あれ、カウンターは打てるんじゃないかな。今と違って天秤発動が確定してからZuran Orbで土地喰ってアルマゲって動きが今のルールだと出来ないだけで -- 名無しさん (2016-07-20 13:44:03) - ↑その意味で書いたんだけど、少し分かり難かったかな?(筆者はルール面はあんまり詳しくないので) -- 名無しさん (2016-07-20 14:03:50) - 切札勝舞の作中初デュエルの切札だったりする -- 名無しさん (2016-07-20 21:20:56) - 「天秤とズーランオーブのスーパーコンボだ!」台詞は覚えてるけどって当時は何が起こってるのかよく理解できなかった思い出 -- 名無しさん (2016-07-21 00:31:37) - 資源や文明を考えずに量的な平等だけを追求しても真の平等には繋がらないことを教えてくれるとはなんて社会的なカードなんだ(嘘) -- 名無しさん (2016-07-21 01:35:16) - 平等の 法則が みだれる! -- 名無しさん (2021-02-24 03:27:17) - ズーランオーブはいつの間にか「ズアーの宝珠」って日本語訳ついたね そのまま「ズーランオーブ」でもよかった気もするが -- 名無しさん (2021-06-17 19:10:53) - Zuranも~Orbも訳語テンプレが存在したからしょうがないね -- 名無しさん (2022-03-19 09:59:05) #comment #areaedit(end) }