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SCP-882 - (2019/10/27 (日) 14:54:15) の最新版との変更点
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&font(#6495ED){登録日}：2018/09/24 (月) 22:54:15
&font(#6495ED){更新日}：&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}：約 9 分で読めます
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&link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧
&tags()
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#center(){&bold(){&font(#008c00,120%){無機物の奴隷に成り下がるつもりなんて無い。}}}
SCP-882は、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に投稿されたオブジェクトである。[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]はEuclid。
**概要
このオブジェクトは、様々な部品で構成された何かである。歯車やケーブル、滑車にねじにベルトなど、実に多くの種類の部品が、ランダムに組み合わさっている。その全ては金属で構成されている。
エネルギー源は見つかっていないにもかかわらず、SCP-882は、&bold(){錆びていない限りは}動き続ける。そして、動いていようが、動いていまいが、SCP-882は音を発さず、静寂を保ち続ける。
これだけなら、SCP-882は単なる機械のおもちゃである。そのサイズが&bold(){約12m3}であることを除いては。
SCP-882に金属、或いはその構成物が触れた場合、&bold(){SCP-882にくっつく。}そして、数日をかけて&bold(){SCP-882の部品へと変貌する。}部品の中には、鉄や錫、金、そのほかの未確認の金属、或いはその合金が含まれているが、&bold(){チタン合金を上回る強度を持ち、さらに優れた弾力性を持つ。}金属でできたベルトが存在できるのはこのためである。また、SCP-882の&bold(){小さな部品の一部分ですら、溶断に数時間かける必要があった。}
また、厄介なことに、SCP-882に長時間接近した人物は、研削や機械音の幻聴を聞くようになる。この幻聴は段々激しくなっていくが、&bold(){SCP-882に別の金属を投げ入れる}ことによりこれを弱めることが出来る。幻聴が激化し、耐えられなくなると、発狂して&bold(){SCP-882に身を投げて、ほぼ即死する。}そして大体、SCP-882に身を投げた人物の回収は不可能である。複雑に構成された機械にミンチにされたら、そりゃ回収もままならないだろう。
**経緯・特別収容プロトコル
SCP-882は、バンクス島という島の海岸で回収された。回収地点から半径1マイル(&bold(){約1.6km})の金属及びその鉱石は&bold(){すべて無くなっていた。}この時すでに、SCP-882は海水に沈められていた。そのエリアには、数年前に破棄されたと思われる小さな町が存在していたが、それについては後述する。
SCP-882が海水から取り出されると、&bold(){すぐに錆が取れ初め、}動き始めた。この時に生じた被害や事故については皆さまのご想像にお任せします。
その後、[[ギアーズ博士>ギアーズ博士(SCP Foundation)]]は[[SCP-2519]](流すと、あらゆる機械の機能を低下させるメロディ)の使用を許可し、SCP-882の異常性を軽減した後、(おそらく時間をかけて)切削したうえで、現地で改めて海水に沈めて収容された。
#openclose(show=以下はSCP-882の回収地点近くで発見された生存者に対するインタビュー882-1抜粋である（長文注意）,block){
&bold(){対象:} リチャード・ライト
&bold(){インタビュアー:} ギアーズ博士
&bold(){付記:} リチャード・ライトはSCP-882回収地点からほど近い集落で確認された生存者である。
&bold(){<オーディオログ開始, [13:04]>}
&bold(){ギアーズ博士:} どうぞ、座って。ではまず、あなたのお名前を。
&bold(){ライト氏:} 私はリチャード・ローガン・ライト…みんなは私を"リッチ"と呼びました。
&bold(){ギアーズ博士:} よろしい。ではミスター・ライト。最初の質問ですが、あなたがあの物体を初めて見た日を覚えてますか？
&bold(){ライト氏:} あれはいつ頃だったか…私は正確には覚えていないが、しばらく前で…最初に見つけたのはアレンで、彼のボートが、あれの上で難破したんだ。彼はあの機械をスクラップの束として売り払おうと、友人数人に話していた。私たちは最初あれをジェット機か貨物船の残骸か何かだと思っていたんだ。
&bold(){ギアーズ博士:} どの時点であの物体を動かしましたか？
&bold(){ライト氏:} 翌日だ。なんでも&bold(){錆を取り除いたらゆっくりと回転し始めて、スピードが上がってきたんだそうだ。}私が見た時はもう、&bold(){完全に動いていた。}ジミーはあれに近づいて、動力が何なのか、妙に静かなのは何故なのか調べようとしたが何もわからなかった。アレンはちょっと離れて見てた。ミス・パーカーは一部に金が使われているのを見て、パイプを押し込んでそれを取ろうとしたんだ。でも&bold(){そのパイプが歯車に突き刺さって、回転したパイプが彼女を叩き飛ばしてしまった}んだ。私たちは色々相談し合ったが結局何もわからず、その内みんなあれから遠ざかるようになった。
&bold(){ギアーズ博士:} 他に、人が怪我したり音を聞いたという事件はありましたか？
&bold(){ライト氏:} いいえ、&bold(){静かなものでした}よ。誰もがあれの事を忘れさってました。アレンは古い物置にあれを置いてました。そこにはほとんど誰も来ませんでしたから。しばらくして、彼の顔色がだんだん悪くなってきたんです。彼は&bold(){どこかからギチギチとした音が聞こえる}と言って、眠れないようでした。パット神父が彼に話をし、何とかしようと言って…それから数日は姿を見なかったんですが、その後二人はすっかり良くなって現れたんです。(対象の肩が震える)
&bold(){ギアーズ博士:} …ライトさん？
&bold(){ライト氏:} (顔をこすり、首を振る)すみません、大丈夫です。ともかく、パット神父とアレンは戻って来て、そして全て理解したと言っていました。私は最初そのことに注意を払っていませんでした…しかしそれは私の前にも現れたんです！&bold(){部屋のどこかから研削しているような…キーンという音が聞こえてきて。}彼らは、&bold(){あの機械とあの音が神の作ったものだと言った}んです。
&bold(){ギアーズ博士:} あなたは、それを信じた？
&bold(){ライト氏:} いや、いや…私はそうは…私は何も知りませんでした。しかしあの恐ろしい機械は動き続け、&bold(){しばらくして金属を取り込み始めた}んです！ミス・パーカーが以前&bold(){打ち込んだパイプが巨大なスクリューシャフトになっていて}、あの機械の一部になっていました…その頃には多くの人があれに興味を持ち始めて、アレンとパット神父を訪ねるようになりました。すると彼らは金属を持ってみんなに言いました。&bold(){歯車の音は神の声である}と。もしそれにそっぽを向いて、さらに大きな音が聞こえたとしても、&bold(){供物として金属を持ってくれば解決する}と。
&bold(){ギアーズ博士:} あなたも同様に金属を持って、あの物体に近づいた？
&bold(){ライト氏:} (数秒間の沈黙)…それは…いや、それが何か？&bold(){町の誰もが夜眠ることができなかった！}夜中の間ずっと機械の音が鳴り響いて…でも金属を持っていけば収まる。私だってやりたくなかった。私はあれが神ではない事を知ってる、でも私は言えなかった！みんなはアレンとパット神父の言う幸せのために従って、でも私はただ眠りたかっただけだ！神のことなんか知らない！(対象がテーブルを強く叩き、激しく動揺し呼吸が乱れる)
&bold(){ギアーズ博士:} 分かっている、私はまずあなたが落ち着いてくれる事を願う。私はあなたを非難しているのではなく、質問しているだけだ。さあ、席に戻って。
&bold(){ライト氏:} (数回深呼吸をする)ああ…すまない。こんな事が数週間も続いて、ただうんざりするだけだった…私たちの町は孤独だった。私たちの町は大きくない。&bold(){2、3の倉庫を荒らして偶然金属を見つけては投げ込む}くらいがせいぜいだった。パット神父は&bold(){まだ足りないと喚き、だんだんおかしくなった}。恐らく、彼もあの音に参っていたんだと思う。そして、もっと意味のある何かが必要だとつぶやいて…(声が次第に小さくなる)
&bold(){ギアーズ博士:} …ライトさん？
&bold(){ライト氏:} (48秒間の沈黙)私はある晩、人々が叫んでいるのを聞いて倉庫へ行きました。パット神父と人々は何か祈りを捧げていましたが、それは私が知っているような普通の祈りには聞こえませんでした。その光景は、まるで彼らが大きな金属の塊になったようにも見えました。私は…私はパット神父が信仰や救いを与えているんだと思っていました…彼の手のペンチを見るまでは。
&bold(){ギアーズ博士:} なに、ペンチ？
&bold(){ライト氏:} &bold(){彼は人々の歯の詰め物をペンチで引き抜き、それをあのクソ機械に与えました！}(激しく動揺し、叫ぶ)神父はそれでも十分ではないと叫んだ！でもそこにはもう何も残ってなかった、私たちの町にもう金属は残っていなかった！しかし、神父はアレンを指さした…神父は&bold(){彼が偉大な機械から金属を隠しているんだ}と言った。アレンは&bold(){何も持っていないと叫んだ}、でも…パット神父はアレンが&bold(){腰に金属関節を持ってる}と言ったんだ。その瞬間誰もが彼を見て…神よ、ああ、ああ神様…&bold(){彼らはアレンを掴んで、誰もが掴んで…}アレンは叫んだ…(対象は泣きながら話している)彼は叫んで、叫んで…でも誰も聞かない…私は彼の腕が上がるのを見た、&bold(){彼の指が壊され、腕が引きちぎられるのを見て…}そして私は走った。私に何が出来る。ああ、私は止められなかった。そこにはあまりにも多くの事があった。&bold(){悲鳴と絶叫と叫ぶアレンと、叫ぶパット神父と…}(対象がすすり泣き、床に崩れ落ちる)
&bold(){ギアーズ博士:} このインタビューは終了とします。警備員、ライト氏の見送りを。
&bold(){<ログ終了>}
&bold(){終了報告書:} ライト氏は&bold(){インタビューの直後に自殺を試みました。}対象の自殺を警戒、及び観察のため現在は財団で保持しています。
}
聞いていて気分が悪くなりそうである。
ともかくも、こうした悲惨な状況があって、街は荒廃し、SCP-882は現在、忌まわしい出来事があった場所で収容されている。
SCP-882は、常に海水濃度40%以上の液体内に保持され、金属を使わない手段を用いて停止状態を保たれる。現在は、毎日交換される綿のロープが用いられている。
対象のいずれかの部品が錆びていないと判断された場合、すぐに純粋な海水の中に浸される。そして、再び錆で覆われるまでは、SCP-882は海水の中にとどめる必要がある。
SCP-882は金属を取り込むため、領域内に金属を置くことはできない。よって、有機材料を持ち込むことしかできない。また、SCP-882に触れる際は、厚い綿の手袋を着用する必要がある。
万が一にでも、SCP-882に金属が触れた場合は、その金属を切断したうえで、溶かし、別のエリアに移送した後、純粋な海水の中に浸される。SCP-882にかかわった職員が幻聴を聞いた際は、直ちに確認したうえで、異常が認められた場合は心理検査を受け、施設に移送されるか隔離される。
**壊れた神の教会？
さて、上記のインタビューを見てピンと来た人は察しがいい。このオブジェクトは、ある[[要注意団体>要注意団体(SCP Foundation)]]と関係がある。
&bold(){[[壊れた神の教会>壊れた神の教会／メカニト(SCP Foundation)]]}である。
教会についての説明はそちらの記事に譲るとして、実は、教会の構成員は、このオブジェクトの異常性に耐性がある。
彼らが「精神的魅惑」と呼ぶもの、すなわち、幻聴やそれによって引き起こされる金属への執着や自殺衝動に強く抗う能力があるのだ。
SCP-882は彼らにとってどのような存在であるのかは不明だが、ともかく、SCP-882とこの教会は何かしらの関連があることが示唆されている。
(メタ的に言うと、もともとこのオブジェクトは2008年にDr Gears氏([[ギアーズ博士>ギアーズ博士(SCP Foundation)]]の中の人)により執筆されたものであり、当時はまだ設定、カノンが安定しておらず、要注意団体など存在していなかった。
その後、2012年に後付けで教会との関連性を紐づけられたのである。)
**余談
SCP-882と[[SCP-447]]をクロステストさせた奴がおり、具体的にはSCP-882に緑のスライムをぶっかけたのである。
結果、&bold(){錆がとれピカピカになってしまった}ので、慌てて海水に戻した。扱った職員は隔離された。
クレフ博士「二度と試さないように、いいね？」
現在、このオブジェクトは、本家英語記事において626以上の高評価を得ており、殿堂入りしている。SCP財団の世界観を構成するオブジェクトとして、重要であると認定されたのである。DR Gears氏、おめでとう！
追記・修正は、SCP-882に金属を投げ入れてからお願いします。
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#right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示
SCP-882
by Dr Gears
http://www.scp-wiki.net/scp-882
http://ja.scp-wiki.net/scp-882
SCP-2519
by psul
http://www.scp-wiki.net/scp-2519
Church of the Broken God Hub
by FortuneFavorsBold
http://www.scp-wiki.net/church-of-the-broken-god-hub
http://ja.scp-wiki.net/church-of-the-broken-god-hub
SCP-447 - Ball of Green Slime
by DrClef
http://www.scp-wiki.net/scp-447
http://ja.scp-wiki.net/scp-447
Experiment Log 447 A
by DrClef
http://www.scp-wiki.net/experiment-log-447-a
http://ja.scp-wiki.net/experiment-log-447-a
この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。
}
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}
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#openclose(show=▷ コメント欄){
#areaedit()
- 周囲の金属を取り込み続け、巨大化し、動力もないのに動き続ける これは神の心臓なのか それとも癌細胞なのか -- 名無しさん (2018-09-25 00:13:03)
- 警備もなく放置されていた上に財団の収容に対して特に何もしないあたり、連中にとってはどうでもいいか、少なくとも良いものではないのかもしれない。 -- 名無しさん (2018-09-25 00:26:30)
- なんか太字強調が変に多いなこの記事…強調する箇所絞ったほうが良くないか？ -- 名無しさん (2018-09-25 00:51:18)
- 「飛び込んで自殺する」というのは、血中の鉄分をささげているということなのだろうか -- 名無しさん (2018-09-25 07:59:01)
- そもそも何のために作られたんだろうか。他のＳＣＰにも言えることだけど -- 名無しさん (2018-09-25 08:28:40)
- ↑人工物とも限らないと思う。自然発生した一種の金属生命体とかかもしれない -- 名無しさん (2018-09-25 08:49:12)
- SCP-882「ところで海水中に含まれてるナトリウムって金属ですよね？^ ^」 -- 名無しさん (2018-09-25 09:20:26)
- 今までなかったんだなぁ -- 名無しさん (2018-09-25 09:50:14)
- 明らかに成長ないし修復しようとしてるのめっちゃ怖いなぁ -- 名無しさん (2018-09-25 18:22:19)
- ↑3 塩化してるけどええんか？…グワーットマト！ -- 名無しさん (2018-09-25 19:32:36)
- ↑4,↑7 塩化してる、酸化してるから多分金属を捧げる判定にはならないと思う -- 名無しさん (2018-09-25 23:30:00)
- あれ？この町についての記述って元々あったっけ？最近加筆された？ -- 名無しさん (2018-09-26 11:05:49)
- 誤字発見 ×1マイル(約1.6m) ○×1マイル(約1.6km) -- 名無しさん (2019-01-14 15:56:12)
#comment
#areaedit(end)
}
&font(#6495ED){登録日}：2018/09/24 (月) 22:54:15
&font(#6495ED){更新日}：&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}：約 9 分で読めます
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&link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧
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#center(){&bold(){&font(#008c00,120%){無機物の奴隷に成り下がるつもりなんて無い。}}}
SCP-882は、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に投稿されたオブジェクトである。[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]はEuclid。メタタイトルは「A Machine（機械）」。
**概要
このオブジェクトは、様々な部品で構成された何かである。歯車やケーブル、滑車にねじにベルトなど、実に多くの種類の部品が、ランダムに組み合わさっている。その全ては金属で構成されている。
エネルギー源は見つかっていないにもかかわらず、SCP-882は、錆びていない限りは動き続ける。そして、動いていようが、動いていまいが、SCP-882は音を発さず、静寂を保ち続ける。
これだけなら、SCP-882は単なる機械のおもちゃである。そのサイズが約12㎥であることを除いては。
SCP-882に金属、或いはその構成物が触れた場合、SCP-882にくっつく。そして、数日をかけて&bold(){SCP-882の部品へと変貌する。}部品の中には、鉄や錫、金、そのほかの未確認の金属、或いはその合金が含まれているが、チタン合金を上回る強度を持ち、さらに優れた弾力性を持つ。金属でできたベルトが存在できるのはこのためである。また、SCP-882の小さな部品の一部分ですら、溶断に数時間かける必要があった。
また、厄介なことに、SCP-882に長時間接近した人物は、研削や機械音の幻聴を聞くようになる。この幻聴は段々激しくなっていくが、SCP-882に別の金属を投げ入れることによりこれを弱めることが出来る。幻聴が激化し、耐えられなくなると、発狂して&bold(){SCP-882に身を投げて、ほぼ即死する。}そして大体、SCP-882に身を投げた人物の回収は不可能である。複雑に構成された機械にミンチにされたら、そりゃ回収もままならないだろう。
**経緯・特別収容プロトコル
SCP-882は、バンクス島という島の海岸で回収された。回収地点から半径1マイル(約1.6km)の金属及びその鉱石は&bold(){すべて無くなっていた。}この時すでに、SCP-882は海水に沈められていた。そのエリアには、数年前に破棄されたと思われる小さな町が存在していたが、それについては後述する。
SCP-882が海水から取り出されると、すぐに錆が取れ初め、動き始めた。この時に生じた被害や事故については皆さまのご想像にお任せします。
その後、[[ギアーズ博士>ギアーズ博士(SCP Foundation)]]は[[SCP-2519]](流すと、あらゆる機械の機能を低下させるメロディ)の使用を許可し、SCP-882の異常性を軽減した後、(おそらく時間をかけて)切削したうえで、現地で改めて海水に沈めて収容された。
#openclose(show=以下はSCP-882の回収地点近くで発見された生存者に対するインタビュー882-1抜粋である（長文注意）,block){
&bold(){対象:} リチャード・ライト
&bold(){インタビュアー:} ギアーズ博士
&bold(){付記:} リチャード・ライトはSCP-882回収地点からほど近い集落で確認された生存者である。
&bold(){<オーディオログ開始, [13:04]>}
&bold(){ギアーズ博士:} どうぞ、座って。ではまず、あなたのお名前を。
&bold(){ライト氏:} 私はリチャード・ローガン・ライト…みんなは私を"リッチ"と呼びました。
&bold(){ギアーズ博士:} よろしい。ではミスター・ライト。最初の質問ですが、あなたがあの物体を初めて見た日を覚えてますか？
&bold(){ライト氏:} あれはいつ頃だったか…私は正確には覚えていないが、しばらく前で…最初に見つけたのはアレンで、彼のボートが、あれの上で難破したんだ。彼はあの機械をスクラップの束として売り払おうと、友人数人に話していた。私たちは最初あれをジェット機か貨物船の残骸か何かだと思っていたんだ。
&bold(){ギアーズ博士:} どの時点であの物体を動かしましたか？
&bold(){ライト氏:} 翌日だ。なんでも錆を取り除いたらゆっくりと回転し始めて、スピードが上がってきたんだそうだ。私が見た時はもう、完全に動いていた。ジミーはあれに近づいて、動力が何なのか、妙に静かなのは何故なのか調べようとしたが何もわからなかった。アレンはちょっと離れて見てた。ミス・パーカーは一部に金が使われているのを見て、パイプを押し込んでそれを取ろうとしたんだ。でも&bold(){そのパイプが歯車に突き刺さって、回転したパイプが彼女を叩き飛ばしてしまった}んだ。私たちは色々相談し合ったが結局何もわからず、その内みんなあれから遠ざかるようになった。
&bold(){ギアーズ博士:} 他に、人が怪我したり音を聞いたという事件はありましたか？
&bold(){ライト氏:} いいえ、静かなものでしたよ。誰もがあれの事を忘れさってました。アレンは古い物置にあれを置いてました。そこにはほとんど誰も来ませんでしたから。しばらくして、彼の顔色がだんだん悪くなってきたんです。彼は&bold(){どこかからギチギチとした音が聞こえる}と言って、眠れないようでした。パット神父が彼に話をし、何とかしようと言って…それから数日は姿を見なかったんですが、その後二人はすっかり良くなって現れたんです。(対象の肩が震える)
&bold(){ギアーズ博士:} …ライトさん？
&bold(){ライト氏:} (顔をこすり、首を振る)すみません、大丈夫です。ともかく、パット神父とアレンは戻って来て、そして全て理解したと言っていました。私は最初そのことに注意を払っていませんでした…しかしそれは私の前にも現れたんです！&bold(){部屋のどこかから研削しているような…キーンという音が聞こえてきて。}彼らは、あの機械とあの音が神の作ったものだと言ったんです。
&bold(){ギアーズ博士:} あなたは、それを信じた？
&bold(){ライト氏:} いや、いや…私はそうは…私は何も知りませんでした。しかしあの恐ろしい機械は動き続け、&bold(){しばらくして金属を取り込み始めた}んです！ミス・パーカーが以前打ち込んだパイプが巨大なスクリューシャフトになっていて、あの機械の一部になっていました…その頃には多くの人があれに興味を持ち始めて、アレンとパット神父を訪ねるようになりました。すると彼らは金属を持ってみんなに言いました。歯車の音は神の声であると。もしそれにそっぽを向いて、さらに大きな音が聞こえたとしても、&bold(){供物として金属を持ってくれば解決する}と。
&bold(){ギアーズ博士:} あなたも同様に金属を持って、あの物体に近づいた？
&bold(){ライト氏:} (数秒間の沈黙)…それは…いや、それが何か？町の誰もが夜眠ることができなかった！夜中の間ずっと機械の音が鳴り響いて…でも金属を持っていけば収まる。私だってやりたくなかった。私はあれが神ではない事を知ってる、でも私は言えなかった！みんなはアレンとパット神父の言う幸せのために従って、でも私はただ眠りたかっただけだ！神のことなんか知らない！(対象がテーブルを強く叩き、激しく動揺し呼吸が乱れる)
&bold(){ギアーズ博士:} 分かっている、私はまずあなたが落ち着いてくれる事を願う。私はあなたを非難しているのではなく、質問しているだけだ。さあ、席に戻って。
&bold(){ライト氏:} (数回深呼吸をする)ああ…すまない。こんな事が数週間も続いて、ただうんざりするだけだった…私たちの町は孤独だった。私たちの町は大きくない。2、3の倉庫を荒らして偶然金属を見つけては投げ込むくらいがせいぜいだった。パット神父はまだ足りないと喚き、だんだんおかしくなった。恐らく、彼もあの音に参っていたんだと思う。そして、もっと意味のある何かが必要だとつぶやいて…(声が次第に小さくなる)
&bold(){ギアーズ博士:} …ライトさん？
&bold(){ライト氏:} (48秒間の沈黙)私はある晩、人々が叫んでいるのを聞いて倉庫へ行きました。パット神父と人々は何か祈りを捧げていましたが、それは私が知っているような普通の祈りには聞こえませんでした。その光景は、まるで彼らが大きな金属の塊になったようにも見えました。私は…私はパット神父が信仰や救いを与えているんだと思っていました…彼の手のペンチを見るまでは。
&bold(){ギアーズ博士:} なに、ペンチ？
&bold(){ライト氏:} &bold(){彼は人々の歯の詰め物をペンチで引き抜き、それをあのクソ機械に与えました！}(激しく動揺し、叫ぶ)神父はそれでも十分ではないと叫んだ！でもそこにはもう何も残ってなかった、私たちの町にもう金属は残っていなかった！しかし、神父はアレンを指さした…神父は彼が偉大な機械から金属を隠しているんだと言った。アレンは何も持っていないと叫んだ、でも…パット神父はアレンが&bold(){腰に金属関節を持ってる}と言ったんだ。その瞬間誰もが彼を見て…神よ、ああ、ああ神様…&bold(){彼らはアレンを掴んで、誰もが掴んで…}アレンは叫んだ…(対象は泣きながら話している)彼は叫んで、叫んで…でも誰も聞かない…私は彼の腕が上がるのを見た、&color(red){&bold(){彼の指が壊され、腕が引きちぎられるのを見て…}}そして私は走った。私に何が出来る。ああ、私は止められなかった。そこにはあまりにも多くの事があった。&bold(){悲鳴と絶叫と叫ぶアレンと、叫ぶパット神父と…}(対象がすすり泣き、床に崩れ落ちる)
&bold(){ギアーズ博士:} このインタビューは終了とします。警備員、ライト氏の見送りを。
&bold(){<ログ終了>}
&bold(){終了報告書:} ライト氏は&bold(){インタビューの直後に自殺を試みました。}対象の自殺を警戒、及び観察のため現在は財団で保持しています。
}
聞いていて気分が悪くなりそうである。
ともかくも、こうした悲惨な状況があって、街は荒廃し、SCP-882は現在、忌まわしい出来事があった場所で収容されている。
SCP-882は、常に海水濃度40%以上の液体内に保持され、金属を使わない手段を用いて停止状態を保たれる。現在は、毎日交換される綿のロープが用いられている。
対象のいずれかの部品が錆びていないと判断された場合、すぐに純粋な海水の中に浸される。そして、再び錆で覆われるまでは、SCP-882は海水の中にとどめる必要がある。
SCP-882は金属を取り込むため、領域内に金属を置くことはできない。よって、有機材料を持ち込むことしかできない。また、SCP-882に触れる際は、厚い綿の手袋を着用する必要がある。
万が一にでも、SCP-882に金属が触れた場合は、その金属を切断したうえで、溶かし、別のエリアに移送した後、純粋な海水の中に浸される。SCP-882にかかわった職員が幻聴を聞いた際は、直ちに確認したうえで、異常が認められた場合は心理検査を受け、施設に移送されるか隔離される。
**壊れた神の教会？
さて、上記のインタビューを見てピンと来た人は察しがいい。このオブジェクトは、ある[[要注意団体>要注意団体(SCP Foundation)]]と関係がある。
&bold(){[[壊れた神の教会>壊れた神の教会／メカニト(SCP Foundation)]]}である。
教会についての説明はそちらの記事に譲るとして、実は、教会の構成員は、このオブジェクトの異常性に耐性がある。
彼らが「精神的魅惑」と呼ぶもの、すなわち、幻聴やそれによって引き起こされる金属への執着や自殺衝動に強く抗う能力があるのだ。
SCP-882は彼らにとってどのような存在であるのかは不明だが、ともかく、SCP-882とこの教会は何かしらの関連があることが示唆されている。
(メタ的に言うと、もともとこのオブジェクトは2008年にDr Gears氏([[ギアーズ博士>ギアーズ博士(SCP Foundation)]]の中の人)により執筆されたものであり、当時はまだ設定、カノンが安定しておらず、要注意団体など存在していなかった。
その後、2012年に後付けで教会との関連性を紐づけられたのである。)
**余談
SCP-882と[[SCP-447]]をクロステストさせた奴がいた。具体的にはSCP-882に緑のスライムをぶっかけたのである。
結果、&bold(){錆がとれピカピカになってしまった}ので、慌てて海水に戻した。扱った職員は隔離された。何がしたかったのだろうか。
クレフ博士「二度と試さないように、いいね？」
現在、このオブジェクトは、本家英語記事において626以上の高評価を得ており、殿堂入りしている。SCP財団の世界観を構成するオブジェクトとして、重要であると認定されたのである。DR Gears氏、おめでとう！
追記・修正は、SCP-882に金属を投げ入れてからお願いします。
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#right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示
SCP-882
by Dr Gears
http://www.scp-wiki.net/scp-882
http://ja.scp-wiki.net/scp-882
SCP-2519
by psul
http://www.scp-wiki.net/scp-2519
Church of the Broken God Hub
by FortuneFavorsBold
http://www.scp-wiki.net/church-of-the-broken-god-hub
http://ja.scp-wiki.net/church-of-the-broken-god-hub
SCP-447 - Ball of Green Slime
by DrClef
http://www.scp-wiki.net/scp-447
http://ja.scp-wiki.net/scp-447
Experiment Log 447 A
by DrClef
http://www.scp-wiki.net/experiment-log-447-a
http://ja.scp-wiki.net/experiment-log-447-a
この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。
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- 周囲の金属を取り込み続け、巨大化し、動力もないのに動き続ける これは神の心臓なのか それとも癌細胞なのか -- 名無しさん (2018-09-25 00:13:03)
- 警備もなく放置されていた上に財団の収容に対して特に何もしないあたり、連中にとってはどうでもいいか、少なくとも良いものではないのかもしれない。 -- 名無しさん (2018-09-25 00:26:30)
- なんか太字強調が変に多いなこの記事…強調する箇所絞ったほうが良くないか？ -- 名無しさん (2018-09-25 00:51:18)
- 「飛び込んで自殺する」というのは、血中の鉄分をささげているということなのだろうか -- 名無しさん (2018-09-25 07:59:01)
- そもそも何のために作られたんだろうか。他のＳＣＰにも言えることだけど -- 名無しさん (2018-09-25 08:28:40)
- ↑人工物とも限らないと思う。自然発生した一種の金属生命体とかかもしれない -- 名無しさん (2018-09-25 08:49:12)
- SCP-882「ところで海水中に含まれてるナトリウムって金属ですよね？^ ^」 -- 名無しさん (2018-09-25 09:20:26)
- 今までなかったんだなぁ -- 名無しさん (2018-09-25 09:50:14)
- 明らかに成長ないし修復しようとしてるのめっちゃ怖いなぁ -- 名無しさん (2018-09-25 18:22:19)
- ↑3 塩化してるけどええんか？…グワーットマト！ -- 名無しさん (2018-09-25 19:32:36)
- ↑4,↑7 塩化してる、酸化してるから多分金属を捧げる判定にはならないと思う -- 名無しさん (2018-09-25 23:30:00)
- あれ？この町についての記述って元々あったっけ？最近加筆された？ -- 名無しさん (2018-09-26 11:05:49)
- 誤字発見 ×1マイル(約1.6m) ○×1マイル(約1.6km) -- 名無しさん (2019-01-14 15:56:12)
- 太字を少なくしました。誤字を訂正しました。記述を一部変更しました。 -- 名無しさん (2020-06-24 21:18:05)
- 誰か壊れた神の教会、蛇の手、サーキックカルトでSCPそれぞれまとめてくれ -- 名無しさん (2020-08-07 10:30:39)
- 全部個別ページにまとまってるじゃないか -- 名無しさん (2020-08-07 10:51:48)
- ちなみにSCP-1461(ワームの館)にはSCP-882をパーツに使ってたっぽい機械が出てくる -- 名無しさん (2020-08-16 04:14:52)
- 歯車だからギアーズ博士に対応させてるのか？トマトの審判を仰ぎたい -- 名無しさん (2021-03-05 08:58:29)
- アイスバーグ博士のtaleにscp-882の現場を描いたやつがあったなあ。 -- 名無しさん (2021-04-02 20:05:59)
- 頭イカれたやつが頭イカれたものに惹かれたのか、それとも逆か。 知るかボケ -- 秘匿 (2021-11-07 09:30:55)
- 上の海水のやつ -- 秘匿 (2021-11-07 09:32:27)
- 海水濃度じゃなくて「塩分濃度」では。 -- 名無しさん (2022-08-23 06:20:08)
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