白い牙(小説)

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白い牙(小説)」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2012/02/08(水) 02:23:49
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&font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます

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#center(){&font(#ff0000){自分以外のすべてに、彼は激しく牙を剥いた……}}



白い牙(原題:White Fang)とは、米国の作家ジャック・ロンドンが1906年に発表した長編小説である。
動物を主役としており、動物文学として知名度は比較的高い(はず)。
また同著者の作品に「野性の呼び声(原題:the Call of Wild)」があり、こちらの方が有名かもしれない。こちらも面白い。

以下、ストーリーのネタバレあり、ご注意下さい。





【あらすじ】

時はゴールドラッシュに沸く北米。現在のユーコン準州(カナダ)を中心とする雪深い北の原野が主な舞台である。
そんな環境に生を受けたホワイト・ファングと呼ばれる狼が、人間社会や自然界による数奇な運命に翻弄されながら力強く生き抜いていく。
因みに、本編はホワイト・ファングからの視点で描かれている。


【登場人物】

ホワイト・ファング
狼の父と、狼と犬のハーフの母をもつ。兄弟は全て餓死しており、父親は狩りのさいオオヤマネコに殺されている。
母親はもともとネイティブアメリカンであるグレー・ビーヴァの兄の飼い犬で、彼もまた彼らの支配下に置かれた。後に母とは生き別れになる。
橇犬として鍛えられ、リーダーになれるほどの力量を身につける。だが、これが原因で他の橇犬から爪弾きにされてしまう。

そんなある時、彼はグレーにウィスキーと引き換えにビューティ・スミスという男に売られる。&font(#0000ff){まさかのウィスキー。}
ビューティ・スミスはホワイト・ファングを闘犬として見世物にする。
彼はそこで非凡な戦闘力を発揮し、連戦連勝を飾る。&font(#0000ff){そりゃあ狼ですもの。}
だがあるとき戦った、当時珍しかったブルドッグのチェロキーの脂肪に攻撃が通用せず、死の危機に瀕する。
そんな時、そこを通りかかったウィードン・スコットが割って入る。ホワイト・ファングはスコットに引き取られカリフォルニアに連れて来られる。そして彼の家族と暮らし始めるのだが……。
前に述べた通り、ホワイト・ファングは身体面では申し分ない実力をもつ。50マイルを軽々走り、戦闘は牽制なしで瞬殺する。

性格は疑り深く、狡猾、非情。これは荒野での経験と人間や他の橇犬によるものが大きい。要するに彼には良心のようなものがなく、力で屈服されているに過ぎないということである。
だがそんな彼も、スコットに引き取られてからは少しずつ変化を見せる。だが孤独が好き。イヌ族は苦手。

ホワイト・ファングの説明だけで物語の大筋を語ることになってしまったが、それはこの内容自体が彼の半生であるためである。


グレー・ビーヴァ
ホワイト・ファングの最初の飼い主。ウィスキーでホワイト・ファングを売り払う。
優秀な橇引きよりもウィスキーが大好きなのだろう。ホワイト・ファングの価値観に悪影響を与えたひとり。


リプ・リプ
橇犬チームの一員。
ホワイト・ファングを虐め、性格を歪めた元凶。しかし、途中から立場が逆転し、周りから虐められるようになる(一番前の橇犬になると狙われる)。群れを抜け出すが、同じく群れを脱走していたホワイト・ファングに殺される。

ビューティ・スミス
醜男。渾名は反語的についた。
「造化の神は、この男にけちだったのである」を始め、形容からして並みの不細工ではない。
その一方野心家で、ホワイト・ファングを上手くせしめ、彼を闘わせることで自分の欲望を満たそうとした。ホワイト・ファングが瀕死に陥っても、蹴り飛ばしたり哄笑する(彼は笑われるのをひどく嫌う)ことで無理に戦わせようとした賤しい人。
鉄拳制裁を食らいました。


ウィードン・スコット
一流の金鉱掘り。
醜男をぶん殴りホワイト・ファングを救いだした。
それでもって彼をデレッデレにした御仁。ホワイト・ファングはウィードンさんの命令は厳守。体罰も不要。犬を殺すのもやめる。
ちなみに、家族も主人の大切なものと見なしているため大事にする。使用人は対等、もしくはそれ以下。
&font(#ff0000){ウィードンさんの前でのホワイト・ファングはかなり可愛い。}


コリー
スコット家の飼い犬。
雌の牧羊犬で、ホワイト・ファングを毛嫌いする。会えば襲撃。しかし狼には雌を傷つけない掟(シートン動物誌も記述)が存在するためある種彼の天敵。
だったのだが……。

以下結末ネタバレ




とある監獄からジム・ホールという囚人が脱獄する。彼はウィードンの父(判事)に「でっち上げ」た罪で判決を下される。ジムはスコット判事に復讐すべく屋敷に侵入したのだ(しかし、スコット判事も真実を知らなかった。彼も被害者である)。
ジムが屋敷の階段を昇ろうとした途端、ホワイト・ファングが躍りかかる。ジムは拳銃を発砲する。
乱闘の末ジムは喉を裂かれ死ぬが、ホワイト・ファングも重傷を負う。

医者も諦めるほどの容態だったが、野性の治癒力も相まって彼は奇跡的に命を取り戻す。「幸運のオオカミさま」と呼ばれ、屋敷の人々が持て囃した。
やがて庭に出た彼の視線の先には、ずんぐりとした仔犬が。小さな舌が顎に触れると、ホワイト・ファングは無意識のうちに仔犬をなめ返していた。
コリーは気が気ではない様子でそれを見ていた。しかし仔犬たちは横になったホワイト・ファングの体を転がったりしてじゃれている。
彼は決まり悪さを感じながらも、太陽の光を浴びてまどろんでいた……。

あくまで私見だが、この作品には自然界の厳しさだけではなく、「文明の主体」を名乗る人間の道徳性についての諷刺がなされている。動物目線だからこそかえって鋭いものに思える。
比較的読みやすい部類なので、興味のある方は是非。





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