&font(#6495ED){登録日}:2017/06/05 Mon 18:51:51 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 13 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(b,i,red){私は羿(Yi、げい)、夏王朝の官吏である。太陽の神である金烏(Golden Crow)からの守りである、第十の剣を任されていた。}} #center(){&sizex(7){SCP-2472 - &ruby(大羿射日){Kill the Suns}}} SCP-2472はシェアード・ワールド[[The SCP Foundation]]に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(The SCP Foundation)]]の一つ。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(The SCP Foundation)]]はEuclid。 なお元ページでは[[サーキック>サーキック・カルト(The SCP Foundation)]]及び壊れた神の教会に関係するオブジェクトとして登録され、このウィキでもそのタグをつけているが、 実際はサーキックや壊れた神の教会との直接の関係はなく、原始メカニトおよびヤルダバオートの話である。 *前置き このオブジェクトは、中国に残る伝説及びその登場人物である二人の&font(げい){羿}さんを前提とするオブジェクトである。 一人目はこのオブジェクトのタイトルにもなっている、『大羿射日』のエピソードを持つ羿さんで、通称「大羿」。 こちらの羿さんは、元々神様で、弓の名手だった。ある日、その羿さんは、天帝・帝俊に呼び出される。 帝俊曰く、「奥さんとの間に10匹の火の鳥を産んだんだけどよ、本当は毎日交代で天に登ってもらうはずが全員昇っちまうの、暑いからなんとかしろ」とのこと。 この10匹の火の鳥はまあ後世では太陽として伝えられているわけだが、10の太陽とか暑いとかいうレベル超えてねえか。 実際、地上はもはや住めたものではなく、穀物もみな枯れ果てていたという。 で、わかりましたと羿さんは10匹の鳥に威嚇射撃をして説得を試みたが、誰も聞いちゃくれない。 そのうち暑苦しくて羿さんはもう開き直ったのか、1匹を残してあとの9匹を射殺してしまった。 その後羿さんは、地上の人々を苦しめる悪獣どもを次々と矢で撃ちぬいて殺し、地上からは讃えられた。 しかしながら天帝・帝俊からしてみれば、奥さんとの間にヤりまくってできた子供を9匹も殺されたのは面白くない。 流石に問題解決してくれた羿さんを[[ムッコロス>オンドゥル語]]わけにはいかないが、羿さんの妻であった嫦娥とともに天から追い出してしまった。 羿さんと嫦娥は不老不死でなくなってしまったのだが、不老不死である方法は他にもあった。 崑崙山の西に住む西王母は羿さんに不老不死の薬をくれたのであった。 これは分けあって飲めば二人共不老不死になれるが、分けずに飲めば神に戻れるのであった。 羿さんはぶっちゃけ自分を追い出したブラック職場に戻る気はなかったが、嫦娥は天界に未練があり、 羿さんの元から薬を奪取して一人で飲んで、天界に戻ってしまう。 しかし天界の神々たちは、「嫦娥おめえ流石に旦那置いて一人来るとか血も涙もねえな」と非難。 嫦娥は月に逃げるように移り、そこでヒキガエルになってしまった(後世ではヒキガエルにならないバージョンもある)。 さてさて、羿さんは一人になって寂しいので、地上で狩猟を楽しみつつ、弟子を取った。 その名は&font(ほうもう){逢蒙}と言ったが、すべての技を逢蒙さんに教えると、 逢蒙さんのもとに、かつて射殺されて死んだ火の鳥が女官となってこういった。 「羿を殺したらあなたがナンバーワンやで!」 逢蒙さん、それで調子に乗って羿さんを殺してしまった。&font(l){ホモがゲイを殺す} 二人目は夏王朝時代にいた羿さん。ただしこのオブジェクトだけだとこちらの要素は薄い(時代設定に引用された、程度)。 こっちの羿さんは通称「后羿」といい、やはり弓の名手で、大羿さんにあやかって名前をつけた。 ただ元の羿さんに比べてこっちの羿さんは、最初こそ腐敗した夏王朝を一時期乗っ取ったのだが、 後におんなじように腐敗してしまい、部下の寒浞に殺され、しかもその寒浞に妻である玄妻(または純狐氏)を奪われてしまう。 &font(l){妻には離反され部下に殺されるところまで元ネタそっくりとか、恥ずかしくないの?} *概要 SCP-2481は、中華人民共和国河南省にある、元々商王朝(日本人には殷王朝って言ったほうが通じるか)の遺跡の、 地下20m下に埋もれていた球状の空間である。この中は常に摂氏35℃。暑い。 この中には、なんか熔けたベリリウム青銅でできている立方体的な構造物(SCP-2481-1)、 打撃を受けた痕跡のある円柱(SCP-2481-2)、そして円柱の下敷きになってる蛇人間さん(SCP-2481-3)がいる。 蛇人間さんはもともとは普通の人間だったらしく、出生後に変化したらしい。 体の左側がないにもかかわらず生きており、漢族の人とであれば友好的に接してくれる。筆談可能。 ただ長い年月を生きてきたらしく、情報を教えてくれるものの、同じ所を喋ったり支離滅裂になったりする。 この蛇人間さんは、自分を羿と名乗り、夏王朝の最後の王である桀王(暴君で有名。&font(l){[[ケツ王>ヴァーズゴスの血王/Bloodlord of Vaasgoth(MtG)]]とは無関係。})時代の官吏であると述べた。 蛇になる能力は夏王朝では多くの人がマスターするものらしい。それで大成したことで都で働く身分にまでなったのだと。 かつて夏王朝に商王朝の人たちが攻め込んできて、邪悪をなそうとしたのに対して、剣を用いて対抗しようとした。 10匹の金鳥が現れ、9匹までは殺したが一体が禹台(恐らくSCP-2481-1)に火の雨をふらせ、自分は敵わず下敷きになったと言う。 だが軒轅の剣(恐らくSCP-2481-2)が壊れていたのにもかかわらず効果を発揮し、商王朝の人々はそれを地下に埋めた。 夏王朝の人々が軒轅の剣を持っていたのは、神様を脅すため、だったらしい。 夏王朝はもともと蛇の神様(父たる蛇)が文字と機械を教えたことで成立した王朝であった。 そして神様というのは、夏王朝では恐れられていなかった。母なる龍がそれをご飯にしていたからである。 軒轅の剣は「存在をなかったことにする」どくさいスイッチみたいな剣であった。 簡単に言えば[[現実改変>現実改変(The SCP Foundation)]]能力を有する剣。 それを火の鳥を殺すために使ったのが羿さん…だったのだが、剣の力が暴発したことでその力は残り1匹ではなく、大地の方に降り注いでしまった。 結果、羿さんと剣、そしてよくわからん立方体と残り一匹を除き、夏王朝の痕跡が消滅してしまったのだった。 なおこの時逃げた火の鳥は、たまたま偶然にも財団がSCP-2481とは独立して収容しており、[[SCP-1428]]として収容されている。 これを知った羿さんはめっちゃ喜んでいた。 商王朝はこの金の鳥ことSCP-1428を崇めており、SCP-1428の特性を鑑みるに生け贄とかも捧げていたと思われる。 (SCP-1428は生け贄を捧げないと強いγ線を放つという厄介な特性を持つハシブトガラスみたいな鳥型実体) *SCP-2481の実態――もしかしてこれってスクラントン現実錨!? このオブジェクトの研究主任であるシュエ・チン研究員率いるグループは、SCP-2481-1は何かしらの演算機器の一部であったと結論し、 SCP-2481-2について研究している間に、とんでもないことに気付いた。 「あれこれってスクラントン現実錨じゃね?」 ほぼほぼ軒轅の剣とやらは、スクラントン現実錨と内部構造が一致すると同定されたのである。 財団のとんでもない天才、スクラントンさんが[[SCP-3001]]で壮絶な最期の中で作り上げたあれと同じものが、夏王朝にあったというのだ。 もちろんスクラントンさんは独立して夏王朝と無関係に現実錨を考えついたのは自明である。 つまり偶然ではあるのだが、しかしながら夏王朝にもスクラントンレベルの人がいたということだ。 それも「現代」ではない。夏王朝というのは紀元前1900年ごろから紀元前1600年頃の国なのだ。 現代ですらスクラントンという天才を待たねばならなかったものが、どうしてそんな大昔にあったんだ? シュエ・チン研究員はこれを調べるべきだと考え、SCP-2481-1とSCP-2481-2の解体と再構築を希望している。 しかしシュエ・チン研究員も危惧しているように、これをやると確実にSCP-2481-3は死ぬため、 「そういうことしてもいいのかO5のほうで討議お願いします」としており、現在はペンディング状態である。 *夏王朝、その驚くべき異常な実態 ここまで見てきて夏王朝はまず間違いなく、まともな古代文明ではない異常な文明であることは簡単に類推できる。 では、SCP-2481-3の語る歴史とそれを補完する財団の資料についてもう少し触れていく。 かつて父たる蛇…もとい伏義なる真鍮の蛇神に供物を捧げていた鋼の兄弟たちや、 母なる龍…もとい女媧なる龍神に供物を捧げていた肉体を変形させられるなにかとの勝負に、夏王朝の祖先黄帝は勝利した。 そして、黄帝は自分たちも伏義と女媧の道を学ぶべきと主張、国民には蛇に変身する方法を、自分は龍になる方法を学んだ。 夏王朝の王たちはその後代々龍になる方法を学んでいたとされる。 夏王朝の禹王は国を脅かす洪水に悩まされていた。臣下の伯益は、禹王に「今こそ大歳にとらえられた女媧を調べましょうよ」と言った。 太歳は伏義が変化したもので、伏義は自分を変化させて女媧を拘束プレイしていたのである。 もちろん伏義もエッチしたくてこんなことしているわけではなく、伏義と女媧は実は敵同士だったのである。 禹王はなにかしら学んだらしく、後に定海神針という針で洪水を止めたという。 この定海神針は、後に仏教僧の格好をしたアカゲザルによって奪われ、「如意棒」と呼ばれ、 その後その死体が持っているのを財団が収容し、[[SCP-2711]]とナンバリングした。 つまり孫悟空だな、このアカゲザルは。なお伸びるんではなく、水に触れると水が鉄になってしまうという不思議な棒である。 なお禹王はその後自分も別のSCP-2711の技術で封印されている(SCP-2847)。 で、SCP-2847の存在は、詳細は省くが、簡単に言えば「伏義は壊れたる神/MEKHANE/WANの、夏王朝での呼び名」であることを示しており、 じゃあ女媧はっていうと、伏義(MEKHANE)が拘束プレイしている神はヤルダバオートくらいしかない。 詳しい説明は省くが、[[SCP-2510]](我らの壊れたる救済)で出てくるメカニトむかしばなしと全く変わらないことを言っているため、 伏義=MEKHANEと女媧=ヤルダバオートはほぼ確定であろうというのである。 つまり夏王朝は伏義の教えで発展したというのならば、夏王朝は古代メカニト文明であることがわかる。 一方商王朝はメカニトでもサーキックでもダエーバイトでもない独自の文化を築いていた。 禹王はMEKHANEによって教えられた定海神針の技術によって、国を脅かす洪水を止め、獣を討った。 そして国中から持て囃されたが、当の禹王は自分の命がいずれ尽きることに悲観を覚えていた。 そこで禹王は密かに女媧…ならぬヤルダバオートを信仰する禁忌を犯し、6つの獣(アルコーン、ヤルダバオートに仕える者)から力を得る。 だが父王・鯀によって封印され、かつて大歳を調べましょうよと言っていた伯益は鯀をサポートするために人工知能と化す。 ちなみに現在では伯益は別次元に逃れたと思われる夏王朝の子孫がいることを財団に示唆し、 それがロバート・ブマロ(壊れたる教会のリーダー)とアクセスをしていることが確認できている。 そんなとんでもない王朝だったのだが、桀王時代に[[SCP-1428]]信仰を持つ商王朝が襲ってきたときに、 羿さんは闘うも勝てず、SCP-2481-2(軒轅の剣)の力は暴走して夏王朝そのものを消してしまった。 商王朝の人々は残った羿さんや軒轅の剣を一箇所に集めて埋め、自分たちの文明をその上に構築してしまった。 以後中国は独立した文明を築き、メカニト別分派(”壊れた神の教会”となる派閥)やダエーバイト、 その後に生まれた「始祖がヤルダバオートを打ち倒した」と主張するサーキックと闘うことになる。 ちなみに財団世界では夏王朝は「痕跡がなくなっちゃった」国だが、我々の世界では夏王朝はもしかしたらあったかもしれないという証拠が出始めている。 *ベリリウム青銅 ベリリウム青銅の話は実はSCP-2481やSCP-2847だけに出てくる話ではない。 いまやベリリウム青銅は明らかにメカニト由来と結論づけていいような部分があるが、実はこのベリリウム青銅が出てくるオブジェクトは他にもいくつもあるのだ。 -[[SCP-1348>SCP-1348/SCP-1427]] − 至聖所 Yehomさんを祀る部屋がベリリウム青銅製。 メカニトはアブラハムの宗教とリンクする部分が多いのだが、Yehomさんは明らかにヤハウェであるため、 このオブジェクトとの関連が疑われる。 -[[SCP-1427>SCP-1348/SCP-1427]] − 意識剥奪の石碑 こっちはディセンサスが使っていたご先祖様を洗脳する装置。 エロヒム(Yehomさん含む)は常に放射線を出し続けているため、エロヒムのいた時代ならばずっと起動可能。 -SCP-1564 - 涅槃の後 古代メカニトの信奉者が変化した可能性があるたまご型の何か。 歯車仕掛正教の構成員と違い、呪術的なものでベリリウム青銅を含んだ実体に変化したと考えられる。 このことから、「壊れた神の教会はメカニト、というよりはむしろ『メカニトの分派』と捉えるべき」という解釈がある。 -[[SCP-073]] - ”カイン” みんな大好きカインお兄ちゃんの骨を置換する金属はなんと、ベリリウム青銅製であることが最近わかったという。 いままでどちらかといえば[[アベル>SCP-076]]の添え物みたいな扱いも多く、[[アイスヴァインちゃん>SCP-014-JP-J]]にはFateのパクリ扱いされ、 [[ピザくったり>SCP-458]][[職員の暴走を止めたり>SCP-050]]とまあlolの住人らしい扱いを受けていたカインさんだが、 今後メカニトやサーキック、ダエーバイト関連のオブジェクトでアベルと同等くらいに活躍するのだろうか。 ちなみに蛇の手の文章では、カインはMEKHANEの息子ではないかとされている。 もしこれが本当ならばカインはエンキドゥというだけでなくイエスでもあることになるが。 *余談 最後になるが、SCP-2481-3はメカニトやサーキックやといったことに直接関係しない不思議なことを述べている。 >极西之地,有猿之国。赤足而居,驭有百兽。少康与之争,至芒时,干戈方止。 > >はるかな西方には、猿たちの王国がある。彼らは裸足で歩き、様々な種類の獣を操った。少康王は彼らと戦い、芒(Mang、マン、ぼう)王の治世まで戦いは終わらなかった。 …&font(b,red){これどうみても[[ビッグフット>SCP-1000]]ですよね?} ただこのオブジェクトでは、いわゆる「花の日(Day of Flower)」は1日ではないかのようにも読み取れる。 真相は如何に。 ---- #openclose(show=▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示){ #right(){ SCP-1000 - Bigfoot by thedeadlymoose www.scp-wiki.net/scp-1000 scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/SCP-1000 SCP-2481 - Kill the Suns by SunnyClockwork www.scp-wiki.net/scp-2481 scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/SCP-2481 この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,1) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 壮大なのは分かるんだがいまいち分からないな -- 名無しさん (2017-06-05 23:30:37) - じゃあ斉天大聖ってもしかして・・・ -- 名無しさん (2017-06-06 09:01:59) - 財団世界の夏王朝はメカニトの流れをくむ異常存在だらけの国。スクラントン現実錨のような装置や過去改変して存在を抹消する装置で敵対的な異常存在に対処していたが、金烏を崇める商が支配に反旗を翻し、過去改変兵器が暴走した結果、夏王朝は歴史からも消滅してしまった、というストーリーがメインで、オブジェクト自体は夏王朝の存在を示す生き証人みたいなもの。商の末裔はHuǒjù zhi Zi(火炬之子)という太陽を崇める準要注意団体になったっぽい? -- 名無しさん (2017-06-06 09:56:38) - もしかして建ててから気づいたけど、大羿射日神話を別のページにして、こっちはSCPの説明に純化したほうがよかったか? -- 名無しさん (2017-06-06 13:37:15) - 他のいろんなサブカル作品で大羿射日神話が引用されてるってんでもなければ、このままでいいんじゃないかな?詳しい背景解説があってこそ光るこのwiki向きのSCiPだし -- 名無しさん (2017-06-06 23:05:34) - ↑いろんな、と言われるとあれだが一応「嫦娥」「純狐」といえばそういうのが東方に出てきてたような記憶がある -- 名無しさん (2017-06-07 00:09:27) - 済みません、本文冒頭のSCPナンバーが2472(『異常性を持たないと思しき小さな金属製の空気用継手』のナンバー)になっているのは何か理由があるのでしょうか?最初は建て主様が打ち間違えたのかと思ったのですが、何方も指摘も修正もされないので・・・ -- 名無しさん (2017-06-07 00:16:25) - 私はゲイ、世界一ゲイな男である。 -- 名無しさん (2017-06-07 03:27:53) #comment #areaedit(end) }