SCP-2481

登録日:2017/06/05 Mon 18:51:51
更新日:2019/08/28 Wed 22:02:58
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私は羿(Yi、げい)、夏王朝の官吏である。太陽の神である金烏(Golden Crow)からの守りである、第十の剣を任されていた。



SCP-2481 - Kill the Suns(大羿射日)



SCP-2481はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトの一つ。
オブジェクトクラスはEuclid。

なお元ページではサーキック及び壊れた神の教会に関係するオブジェクトとして登録され、このウィキでもそのタグをつけているが、
実際はサーキックや壊れた神の教会との直接の関係はなく、原始メカニトおよびヤルダバオート信仰の話である。

前置き

このオブジェクトは、中国に残る伝説及びその登場人物である二人の羿(げい)さんを前提とするオブジェクトである。

一人目はこのオブジェクトのタイトルにもなっている、『大羿射日』のエピソードを持つ羿さんで、通称「大羿」。

こちらの羿さんは、元々神様で、弓の名手だった。ある日、その羿さんは、天帝・帝俊に呼び出される。
帝俊曰く、「奥さんとの間に10匹の火の鳥を産んだんだけどよ、本当は毎日交代で天に登ってもらうはずが全員昇っちまうの、暑いからなんとかしろ」とのこと。
この10匹の火の鳥はまあ後世では太陽として伝えられているわけだが、10の太陽とか暑いとかいうレベル超えてねえか。
実際、地上はもはや住めたものではなく、穀物もみな枯れ果てていたという。
で、わかりましたと羿さんは10匹の鳥に威嚇射撃をして説得を試みたが、誰も聞いちゃくれない。
そのうち暑苦しくて羿さんはもう開き直ったのか、1匹を残してあとの9匹を射殺してしまった。
その後羿さんは、地上の人々を苦しめる悪獣どもを次々と矢で撃ちぬいて殺し、地上からは讃えられた。

しかしながら天帝・帝俊からしてみれば、奥さんとの間にヤりまくってできた子供を9匹も殺されたのは面白くない。
流石に問題解決してくれた羿さんをムッコロスわけにはいかないが、羿さんの妻であった嫦娥とともに天から追い出してしまった。
羿さんと嫦娥は不老不死でなくなってしまったのだが、不老不死である方法は他にもあった。
崑崙山の西に住む西王母は羿さんに不老不死の薬をくれたのであった。
これは分けあって飲めば二人共不老不死になれるが、分けずに飲めば神に戻れるのであった。
羿さんはぶっちゃけ自分を追い出したブラック職場に戻る気はなかったが、嫦娥は天界に未練があり、
羿さんの元から薬を奪取して一人で飲んで、天界に戻ってしまう。
しかし天界の神々たちは、「嫦娥おめえ流石に旦那置いて一人来るとか血も涙もねえな」と非難。
嫦娥は月に逃げるように移り、そこでヒキガエルになってしまった(後世ではヒキガエルにならないバージョンもある)。

さてさて、羿さんは一人になって寂しいので、地上で狩猟を楽しみつつ、弟子を取った。
その名は逢蒙(ほうもう)と言ったが、すべての技を逢蒙さんに教えると、
逢蒙さんのもとに、かつて射殺されて死んだ火の鳥が女官となってこういった。
「羿を殺したらあなたがナンバーワンやで!」
逢蒙さん、それで調子に乗って羿さんを殺してしまった。ホモがゲイを殺す

二人目は夏王朝時代にいた羿さん。
こっちの羿さんは通称「后羿」といい、やはり弓の名手で、大羿さんにあやかって名前をつけた。
ただ元の羿さんに比べてこっちの羿さんは、最初こそ腐敗した夏王朝を一時期乗っ取ったのだが、
後におんなじように腐敗してしまい、部下の寒浞に殺され、しかもその寒浞に妻である玄妻(または純狐氏)を奪われてしまう。
妻には離反され部下に殺されるところまで元ネタそっくりとか、恥ずかしくないの?

このオブジェクトで登場する羿さんは、時代からすると「后羿」なのだが、夏王朝を乗っ取るどころかむしろ忠実な官吏であり、10の太陽と戦ってる点は「大羿」さんに近い。

概要

SCP-2481は、中華人民共和国河南省にある、元々商王朝(日本人には殷王朝って言ったほうが通じるか)の遺跡の、
地下20m下に埋もれていた球状の空間である。この中は常に摂氏35℃。暑い。

この中には、なんか熔けたベリリウム青銅でできている立方体的な構造物(SCP-2481-1)、
打撃を受けた痕跡のある円柱(SCP-2481-2)、そして円柱の下敷きになってる蛇人間さん(SCP-2481-3)がいる。
蛇人間さんはもともとは普通の人間だったらしく、出生後に変化したらしい。
体の左側がないにもかかわらず生きており、漢族の人とであれば友好的に接してくれる。筆談可能。
ただ長い年月を生きてきたらしく、情報を教えてくれるものの、同じ所を喋ったり支離滅裂になったりする。

この蛇人間さんは、自分を羿と名乗り、夏王朝の最後の王である桀王(暴君で有名。ケツ王とは無関係。)時代の官吏であると述べた。
夏王朝では国民は蛇人間になる改造を受けるが、身分に応じて蛇化する程度や体の部位が異なっていたらしい。

以下、羿さんの証言をまとめる。

夏王朝はもともと蛇の神様(父たる蛇)が文字と機械を教えたことで成立した王朝であった。
そして神様というのは、夏王朝では恐れられていなかった。父たる蛇と母たる龍がそれをご飯にしており、人はそれらの子孫であると考えられていたからである。
そして、夏王朝の成立後、神を脅す塔(禹台、SCP-2481-1はこの制御装置部分か?)がいくつも作られ、その後に軒轅の剣(SCP-2481-2)が禹台に配備されたらしい。剣と言っても長さ33メートルなので、手持ち武器ではなく兵器である。例えるなら禹台は軍事要塞であり軒轅の剣は弾道ミサイルで、夏王朝はこの軍事力を神々に対する抑止力にしていたわけだ。
そして軒轅の剣の原理は「存在をなかったことにする」どくさいスイッチみたいなものであったらしい。
簡単に言えば現実改変能力を有する。

そして、後に商王朝となる人々が夏王朝に反乱を起こした。彼らは金烏と呼ばれる存在を10匹召喚し、夏王朝にけしかけた。羿さんは桀王に命じられ、当時10本配備されていた軒轅の剣を使って金烏と戦った。9体までは撃破したが、最後の1匹の反撃で残り1本の軒轅の剣とそれを配備した禹台は破壊され、更に10本の現実改変兵器の同時起動により暴走した力は大地の方に降り注いでしまった。夏王朝まるごとが現実から消滅したのだ。
羿さんは破壊された軒轅の剣の下敷きとなったが、偶然にも剣の現実改変能力が周辺の空間を保存するように働き、禹台の制御装置、折れた軒轅の剣、致命傷を負った羿さんを含む球状の空間が残されたわけだ。
その後、商王朝の人々が羿さんを発見したものの、現実改変により夏王朝が消滅したためか、彼らですら敵であったはずの羿さんや軒轅の剣のことがわからず、神かモノノケかと思い埋めてしまったらしい。
現実の考古学でも、夏王朝は実在か伝説かで長らく謎であったが、近年ようやく証拠が出始めたくらいに存在があやふやであった。これこそ現実改変により滅びたせいだ。

なおこの時逃げた火の鳥は、たまたま偶然にも財団がSCP-2481とは独立して収容しており、SCP-1428として収容されている。
これを知った羿さんはめっちゃ喜んでいた。

商王朝はこの金の鳥ことSCP-1428を崇めており、SCP-1428の特性を鑑みるに生け贄とかも捧げていたと思われる。
(SCP-1428は生け贄を捧げないと強いγ線を放つという厄介な特性を持つハシブトガラスみたいな鳥型実体)

SCP-2481の実態――もしかしてこれってスクラントン現実錨!?

羿さんの証言とも一致するが、このオブジェクトの研究主任であるシュエ・チン研究員率いるグループは、SCP-2481-1は何かしらの演算機器の一部であったと結論し、SCP-2481-2について研究している間に、とんでもないことに気付いた。

「あれこれってスクラントン現実錨じゃね?」

ほぼほぼ軒轅の剣とやらは、スクラントン現実錨と内部構造が一致すると同定されたのである。
財団のとんでもない天才、スクラントンさんがSCP-3001で壮絶な最期の中で作り上げたあれと同じものが、夏王朝にあったというのだ。
もちろんスクラントンさんは独立して夏王朝と無関係に現実錨を考えついたのは自明である。
つまり偶然ではあるのだが、しかしながら夏王朝にもスクラントンレベルの人がいたということだ。
それも「現代」ではない。夏王朝というのは紀元前1900年ごろから紀元前1600年頃の国なのだ。
現代ですらスクラントンという天才を待たねばならなかったものが、どうしてそんな大昔にあったんだ?
シュエ・チン研究員はこれを調べるべきだと考え、SCP-2481-1とSCP-2481-2の解体と再構築を希望している。
しかしシュエ・チン研究員も危惧しているように、これをやると確実にSCP-2481-3は死ぬため、
「そういうことしてもいいのかO5のほうで討議お願いします」としており、現在はペンディング状態である。

夏王朝、その驚くべき異常な実態

ここまで見てきて夏王朝はまず間違いなく、まともな古代文明ではない異常な文明であることは簡単に類推できる。

では、SCP-2481-3の語る歴史とそれを補完する財団の資料についてもう少し触れていく。
人は父たる蛇…もとい伏義なる真鍮の蛇神と、母なる龍…もとい女媧なる龍神の間に生まれた。
伏義は人に八卦を教えたが、これは8進数の数学のようなものだったらしい。これを元に人は現代文明に匹敵する科学技術を得た。-1の電子回路も8進数ベースだった。
そして女媧といえば、人を始め生命を生み出したのだが、同時に作った生命も面白半分に壊す困った母ちゃんだったらしい。
伏義は知恵を授けた生命たちの進化を楽しみにしていたので、自らを檻に変えて女媧を封じた(tale、作り手と獣より)。
時代は下り、伏義の力を得た鋼の兄弟たちや、女媧に供物を捧げ、肉体を変形させられる妖怪や他の支配者との勝負に、夏王朝の祖先黄帝は勝利した。
そして、黄帝は自分たちも伏義と女媧の道を学ぶべきと主張、国民には蛇に変身する方法を、自分は龍になる方法を学んだ。
夏王朝の王たちはその後代々龍になる方法を学んでいたとされる。

夏王朝の禹王は国を脅かす洪水や妖怪たちに悩まされていた。臣下の伯益は、禹王に「女媧の力が漏れ大地に降りている。今こそ大歳にとらえられた女媧を調べましょうよ」と言った。
太歳は伏義が変化したもので、木星もしくは木星の軌道上にある天体らしい。
禹王は宇宙船を造り太歳へ旅し、伏義の檻を修理するとともになにかしら学んだらしく、後に定海神針という針で洪水を止めたという。
この定海神針は、SCP-2711として財団に収容されている。
なお、禹王のその後はSCP-2847で記されているので参照のこと。

ここまで読むと何となく分かるが、伏義=Mekhane、女媧=ヤルダバオートであることを強く想起させる。サーキックカルトや壊れた神の教会とは別々に、これら2つの神格に影響された文明が夏王朝であったようだ。

ベリリウム青銅

ベリリウム青銅の話は実はSCP-2481やSCP-2847だけに出てくる話ではない。
ベリリウム青銅はメカニトに関連するオブジェクトにやたら登場するが、一見メカニトと関連しそうにないオブジェクトもいくつかあるのだ。

Yehomさんを祀る部屋がベリリウム青銅製。
メカニトはアブラハムの宗教とリンクする部分が多いのだが、Yehomさんは明らかにヤハウェであるため、
このオブジェクトとの関連が疑われる。

こっちはディセンサスが使っていたご先祖様を洗脳する装置。
エロヒム(Yehomさん含む)は常に放射線を出し続けているため、エロヒムのいた時代ならばずっと起動可能。

みんな大好きカインお兄ちゃんの骨を置換する金属はなんと、ベリリウム青銅製であることが最近わかったという。
いままでどちらかといえばアベルの添え物みたいな扱いも多く、アイスヴァインちゃんにはFateのパクリ扱いされ、
ピザくったり職員の暴走を止めたりとまあlolの住人らしい扱いを受けていたカインさんだが、
今後メカニトやサーキック、ダエーバイト関連のオブジェクトでアベルと同等くらいに活躍するのだろうか。
ちなみに蛇の手の文章では、カインはMEKHANEの息子ではないかとされている。
もしこれが本当ならばカインはエンキドゥというだけでなくイエスでもあることになるが。

ベリリウム青銅の扱い、財団世界(メタ的に言えば執筆者陣)ではどうなってるんですかね?



余談

最後になるが、SCP-2481-3はメカニトやサーキックやといったことに直接関係しない不思議なことを述べている。

极西之地,有猿之国。赤足而居,驭有百兽。少康与之争,至芒时,干戈方止。

はるかな西方には、猿たちの王国がある。彼らは裸足で歩き、様々な種類の獣を操った。少康王は彼らと戦い、芒(Mang、マン、ぼう)王の治世まで戦いは終わらなかった。



これどうみてもビッグフットですよね?
ただこのオブジェクトでは、いわゆる「花の日(Day of Flower)」は1日ではないかのようにも読み取れる。
真相は如何に。

→と思ったらtale「蛇について」で確定しちゃったよ!


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