SCP-2357

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SCP-2357 - (2017/12/24 (日) 09:52:32) の編集履歴(バックアップ)


登録日: 2017/04/25 Tue 11:44:55
更新日:2024/01/03 Wed 09:29:17
所要時間:約 6 分で読めます





やあ.私はヴァネッサ=グラフ博士という者だ.
もしこの名があなたの中ですでに何か意味を持っているならば,これが一体何なのか推測がつくだろう.


SCP-2357はシェアード・ワールドThe SCP Foundation2登場するオブジェクトである。
Obj3ct Classは特にないが、ある方法で簡単に作れるという。

で、先に断っておくと、この記事は最初からメタ全開でお送りする。
なぜなら、このオブジェクトの特性上、影響を受けた場合はこのオブジェクトの派生物を作成できないためである。
以5、よろしくお願いします。


概要とプロトコル

SCP-2357はそれの完全なプロトコルに基づい5、所持が雇用に影響を及ぼさないスタッフのオフィス、個室、居室などに配布されるという。
いや何を言って3だと思うだろうが別に持っていて重篤な危険を及ぼすわけ5ないからだ。
オブジェクトの作者(財団世界における)がそうおっしゃるのだから仕方ない。

そして、これ以上の収容プロトコルは財団に影響を及ぼすまで必要ないとされる。
さすが作者だけあり、収容させる気がない。
何を言ってんだかわからない?まあそうだ、オブジェクトの正体がわからないとわからない話である。



SCP-2357の作者が作ったオブジェクトとは何か?簡単である。答えは「SCP-2357の報告書」。
つまりSCP-2357は「SCP-2357について述べた報告書、それ自体」であり、
オブジェクトの作者は財団を辞めて別の団体(要注意団体に転職するようだ)に行く、ヴァネッサ・グラフ博士である。

ヴァネッサ・グラフ博士はあろうことか、「報告書」という体裁で、退職届代わりにオブジェクトを生み出したわけである。
なんてこった。
オブジェクトの解説がオブジェクト自身に書かれているので、それを要約する。

まず、このオブジェクトは本来報告書に使うべきでない砕けた文体で書かれているが、
普通に受理され、賞賛され、複製を作ってひと目に触れるところに飾りたくなる。
つまりほっておくとどんどんミーム感染を引き起こす認識災害特性を有したオブジェクト。

またこのオブジェクトを財団職員と共有したくなる欲求が生まれる。
ただし効果範囲はよく一緒に仕事をする同僚や上司に限られる。
ヴァネッサ・グラフ博士の転職の都合上、下手な速度で広まるとやばかったらしい。

そしてオブジェクトに関する追加資料を作る欲求や、オブジェクトそれ自体を編集して普通の報告書にする、
あるいは派生物を作ることを忌避する。このためSCP-2357はSCP-2357に関する唯一の情報源となる。
(なおこの特性を厳密に適用した場合、そもそも他国語訳も生まれないはずだがこの辺は気になる人だけ気にしといて)

…というわけでアニヲタwikiではメタ的に解説しないとただコピペするだけになっちゃうのだ。
ちなみに気づいたと思うが、一部の文字が似た形や読みの数字に入れ替わって書かれている。
ただし入れ替わるのは「2」「3」「5」「7」に限られるようで、その他の数字は入れ替わらない。

このオブジェクトが効果を失うのは、全財団職員にこのオブジェクトが行き渡るとき、だそうである。
なんというひどい形の退職届だよ…。


バックグラウンド


ヴァネッサ・グラフ博士も、単なるイタズラでこんなものを生み出したわけでない。
そんなことする研究者なら財団にはブライトとコンドラキで十分足りている。

ヴァネッサ・グラフ博士は要注意団体に転職するわけだが、このオブジェクトが生み出されたのは2030年。
このアニヲタwikiのページの初版は2017年に書いているので、今から13年後の話である。

どうやら2020年ごろから、財団は非常に官僚的な組織になってしまったらしく、柔軟性を失ってしまったらしい。
そのため、世界を守るための収容というよりは、「ああはいはい、異常存在ね、しまっとくわー」みたいなノリになってしまったようだ。

グラフ博士はミームと情報災害の権威として財団に籍をおいていたが、彼女は財団にとって有益な研究で貢献しようとしていた。
しかし、門外漢たるプロジェクト管理者のジョセフ=ボタは、グラフ博士の研究をちょっと見て、
「はぁぁぁぁぁぁ!?なにこの疑似科学ぅぅぅぅぅぅ!?」と切り捨ててしまったのである。
おいボタさんよ、お前は財団で今まで何を見てきたんだよ。グラフ博士の失意はでかかった。

グラフ博士の部下は、みな財団をやめてしまった。
財団は人類を守るというより、もはや人類の進歩を抑制するだけの存在だと思った。
グラフ博士はオンラインの競合相手に就職することを決めたのだ。


(あなた方は.ネットワーク接続を.確認したほうがいい.この馬鹿共)
彼らは私の研究の価値を認めてくれ,彼らの目標はあなた方のようなただのオナニーではない.


グラフ博士は財団が才能のある者をガリレオのように扱うのを辞めるべきだ、
でないと財団以上に腐った奴らが財団を乗っ取りかねないよ、と警告し、
更に追伸で「あんたらを殺すことももっとひどいことをすることもできたけどしなかった私に感謝しろ」と書いて出ていったのである。


余談

  • グラフ博士はDi Molte Vociにも登場する。やはりミーム・認識災害・情報災害のエキスパートとしての知見を述べている。さらにグラフ博士はSCP-1422にも登場している。非常に優秀だったことが伺える。未来の財団は惜しい人を手放したものである。

  • このオブジェクト、そしてSCP-1422とDi Molte VociはCommunism Will Win氏の書いたオブジェクトである。そう、あのSCP-2466かつて図書館だったSCP-2602を書いたシュールオブジェクトの大家である。実際、「報告書を模した形式の退職届」というこのオブジェクト、その文体もややシュールである。

  • 入れ替わる文字が2・3・5・7に限定されるのは、おそらくこの4つがいずれも「ひとけたの素数」であるからだろうと思われる。

  • ちなみに本来のオブジェクトを改変したり派生物を作れないのは、「人間でないものを雇ったりでもしない限り、下手に改変や派生物の作成を許すと馬鹿によって変な特性を持たされかねないから」だそうである。そのせいでオブジェクトの記述にやや不正確な部分があるようだが、筆者のグラフ博士も気にしないし、多分読む側も気にしない(オブジェクトの特性上)だろう。

  • というか功績もそれなりに多い研究者を冷遇し、しかもネットワーク問題も(2030年なのに!)監視できていない未来の財団は大丈夫なんだろうか?大丈夫じゃないからこそこういうものが産まれたんだろうけれども。





SCP-2357 - The Perfect SCP(完全なるSCP)





SCP-2357 - The Perfect SCP
by Communism Will Win
scp-wiki.net/scp-2357
ja.scp-wiki.net/scp-2357
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