登録日:2018/01/22 (月曜日) 19:29:13
更新日:2024/04/21 Sun 14:23:01
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概要
BMSとは音楽ゲーム用のファイルフォーマットとそれ用いて作られた音楽作品・ゲーム(BMSプレイヤー)の総称である。
発祥は1998年にプログラマーのやねうらお氏がbeatmania(俗に言う5鍵版)を模して、PC用のクローンゲームとして作られた『BM98』に使われていた譜面ファイル。
楽曲を音単位で切り分けた音源を譜面として並べるフォーマットとして作られており、いわゆるキー音のついた譜面を実装できる仕様となっている。
2000年代初期から中盤にかけてインターネット上で一大ブームを巻きおこした。
現在はブームこそ沈静化しているものの、いまだ新しい音楽作品が作られ続ける等根強い人気を誇っている。
楽曲について
初期のころはMIDI文化が根強かったこともあり、MIDIサイトから引っ張ってきた演奏データをもとにした所謂コピーアレンジなBMS作品も多かった。
MIDI文化が廃れるのにも合わせてオリジナル作品が主流となりコピーアレンジは少数派になっていった。
BMS作品の発表の場は時折、BMSイベントという形で特定のルールに沿った形でBMS作品を公開し最も優れた作品を優勝とするという形式で開かれている。
例としては
- 無名作家向けの「自称無名BMS作家が物申す!!」
- 東方アレンジ中心の「東方音弾遊戯」
- 年1回の大型イベント「THE BMS OF FIGHTERS(通称BOF)」
- 現在は「THE BMS OF FIGHTERS ULTIMATE(通称BOFU)」に名を改めて継続中。
といったところ。
その他にも「早いBPMのBMS作品を作る」、「特定のジャンルの曲を作る」、「偽名義で曲を出して名前を当てられると減点」といった変則的なルールのも存在する。
中でもBOF・BOFUは注目度が高く、優勝や準優勝などの成績を収めた曲がアーケードの音楽ゲーム(CHUNITHM、SOUND VOLTEXあたりが顕著)に収録されることが頻繁に起こっており
比較的、BMSをやったことがない人でも知ってる曲が多かったりする。
また、曲のキー音自体が用意されている関係で譜面と音を合わせる手間が無い点とエディットソフトがいくつか存在することも有り
BMS作品同梱の譜面を改造して違う譜面に仕立てた差分譜面という文化があるのも特徴的。
プレイヤー(BMSファイルをプレイするためのアプリケーション)について
2002年に元祖のBM98は開発が終了しており、後続として時代にあったプレイヤーが作成されてきた。
現在は2008年に配信されたLunaticRave2(LR2)というプレイヤーが主流となっている。
このLR2はインターネットランキング(IR)や段位認定、コースモードやノンストップモード、カスタムフォルダなど当時としては画期的で今も主流なプレイヤーとして使われている。
しかし、LR2自体も2010年で更新が停止しており5年以上経過した今では機能不足など様々な問題が浮上し始めている。
後続となるプレイヤーも一応、問題なく遊べる程度には完成しているものもあるが互換性の問題やインターネットランキングの未実装などから、
乗り換えるメリットにデメリットが勝ててない状態であり未だに普及が進んでないと言える。
その他にも、Web上で動作するプレイヤーが作成されたり、jsonというファイル形式を発展させキー音のために音源を切り分ける必要が無くなる形式が提唱されたりと改善の為の努力が続いている。
用語
beatmaniaシリーズのこと。
プレイ中に流れるアニメーション、または画像。
初期の頃は画像を連続で流すパラパラ漫画形式でしかアニメーションできなかったが、
最近のプレイヤーでは動画ファイルを指定できるようになり、動画作成ソフトも安価になったことでCGなどを用いたBGAがつくことも珍しくない。
BMSファイルの設定項目の一つ。
ノルマケージでミスをしなかった場合、何%ケージが伸びるかの指定。(300ならケージ3本分=300%)
ノーツ数に対して異様に低い場合は低TOTAL譜面、逆に高い場合は高TOTAL譜面と呼ばれる。
BMS作品の元々の譜面を改変して作ったいわゆる二次創作譜面。
これに対して元々の譜面は同梱譜面と呼ばれる場合が大半。
中にはキー音の配置を変えてアレンジを加えた曲変更差分なんていう代物もあったりする。
差分譜面の中でも本家の☆12ですら生温く感じる変態達によって作られた高難易度譜面群。
本家☆12のAA(A)相当の難易度を★1として★1~★25の段階で有志によって難易度分けされた発狂BMS難易度表が有名。
差分譜面の中でも発狂BMSですら満足できないゴリラ達に贈る人外譜面群。
★21相当の難易度をOverjoy★1または★★1として、★★1~★★7の段階で難易度分けされている。
特に★★7は「クリア不可能に見える発狂が存在する」難易度として設定されている。
…のだが、一部の譜面に関してはクリア達成者が表れている。わけがわからないよ。
最近★★8が新設され、物理的に押せない配置があるようなものは隔離されるようになった。
発狂BMSの中でも元の音をずらしてもう一度配置することで密度を倍にする手法が取られた譜面。
大抵元が16分なのを倍にしたせいで32分配置となるためグレートの点滅が追いつかず青色に染まる。(通常 青グレ)
主にLR2のIRに設定されている段位認定。
7級~1級および皆伝が存在せず、初段~十段→発狂初段~発狂十段→発狂皆伝→Overjoyとなっている。
セガの音ゲーCHUNITHMに存在するコース「Overjoy Set」の元ネタはこの段位認定 Overjoy。
(曲目自体もかつてOverjoyの2~4曲目を担当していた曲と同じという徹底ぶり)
バックに音楽を流し、ノーツ自体は無音のBMSのこと。
音を切る必要がないことから手軽に作れるため違法性の高いものが多く、大半のBMSイベントへの投稿が禁じられている。
(LR2のIRにおいてもランキング登録ができず、実質的な使用禁止扱い)
本家を含む、商業音楽ゲーム等から引っこ抜いてきたデータを使用した違法性の非常に高いBMS。
見つけたらしかるべき権利者に通告しましょう。
代表曲
BMSイベントTHE BMS OF FIGHTERS 2008 - Resurrection -に投稿された楽曲。
当時では珍しいシュランツというジャンルの楽曲で、BMS作者たちにシュランツを知らしめるきっかけとなった。
KAC2012オリジナル楽曲コンテストにてKONAMIの音楽ゲームSOUND VOLTEXに収録。
ΔMAX以来であるクローンゲームからBEMANIへの移植という快挙を成し遂げた。
BMSイベントG2R2014 "GO BACK 2 YOUR ROOTS"に投稿され個人戦スコア部門優勝を果たした楽曲。
アカツキチョータ氏と塚原重義氏が共同で作成した自主制作アニメ「ペスカドヲル」を使った、幻想的なメロディと見事にマッチしたBGAは必見。
スマートデバイス向け音楽ゲームDeemoとセガのAC音楽ゲームChunithmのコラボと言う形で同時収録。
その後、KONAMIの音楽ゲームSOUND VOLTEXとノスタルジアにも収録された。
『ベィスベィスキックキックベィスキックキック…』
BMSイベントkonzertsaal - THE BMS OF FIGHTERS 2013 -に投稿され個人戦スコア部門優勝を収めた作品。
ベィス・キックの2つの声ネタが小気味良いU.Kハードコアで、出前氏による音合わせが非常に心地よいピクトグラムを用いたムービーも合わさり中毒性が高い。
セガの音楽ゲーム maimaiとCHUNITHMに移植され、その後KONAMIの音楽ゲームSOUND VOLTEXにも収録された。
- conflict/siromaru & cranky
BMSイベントTHE BMS OF FIGHTERS 2011 -Intersection of conflict-に投稿された楽曲。
同大会では個人戦スコア・中央値の両部門で優勝、チーム戦スコア部門準優勝、中央値部門優勝という輝かしい成績を残した。
HARMONIC SCHRANZのジャンル通り、ピアノのクラシカルな要素を取り入れた盛大なシュランツ。造語の歌詞によるボーカル担当のpico氏の力強い歌唱も特徴的。
映像面と譜面ではビーム地帯とそれに合わせての縦連打譜面となっており移植の際も特に再現されやすい箇所となっている。
収録作品が非常に多く、Tone Sphere、Cytus、CHUNITHM、SOUND VOLTEX、SUPERBEAT:XONiC、GROOVE COASTER・太鼓の達人・シンクロニカとスマホ音ゲーとAC音ゲー各社をほぼ網羅する形となっている。
BMSイベント戦 [sen-goku] 國 ~夏の陣~に投稿された楽曲。
作曲者のBACO氏が「自分なりのELECTRO SHOCK」と語ったように高音のシンセを細かく流すことで電流を想起させるメロディ(通称 電撃地帯)を作っていることが特徴。
段位認定 Overjoyの3曲目をかつて務めていた差分譜面の★★3 DENGEKI Tube[100万ボルト]が有名であり、
途中までは本家で言う☆11ぐらいの譜面しか流れてこないが電撃地帯から手動ディレイを大量に用いた超発狂が降り注ぐ。
セガの音楽ゲームCHUNITHMに移植された際も、移植されたアルバム音源に100万ボルトを意識したアレンジが加わっていたり、WORLD'S END譜面にて一部同じ配置で降ってくる場所があったりと影響が伺える。
BMSイベントTHE BMS OF FIGHTERS 2009 - revolutionary battles -に投稿された楽曲。
同梱が5鍵用譜面だけなこともあって、5鍵時代を想起させるようなハイテンションな楽曲とCube3(TOHRU MiTSUHASHi)氏のコミカルなムービーが人気を呼び個人戦スコア部門優勝を収めた。
まだBMS作品の収録が盛んでない頃にセガの音楽ゲーム maimaiにまさかの収録を果たし、その後CHUNITHMにも移植された。どちらも同梱を意識した縦連打中心の譜面となっている。
『宇宙、四次元、カリスマ。』
ひたすらにBPMの高いBMSを作るイベントである"MAXBEAT"にて投稿された楽曲にして、作曲者のxi氏のデビュー作。
カノンコードの疾走感のあるハッピーハードコアで、BGAに登場する謎の生物と少女(くらんて)も特徴的。
差分の一つである、"★25/★★5 FREEDOM DiVE [FOUR DIMENSIONS]"は段位認定 OverjoyのFinal常連でありBMSのラスボス枠として親しまれている。
そういった経緯もあり、移植されたCytus、VOEZ、CHUNITHMといった音楽ゲームでは最強クラスの譜面として実装されている。
また、この楽曲のリアレンジとして書き下ろされたGlorius Crownがセガの洗濯機音楽ゲーム maimaiに収録されている。
2003年に行われたLiZ vs OMTというイベントに投稿された-45(名義は455-38B)氏の楽曲。
ダークなサイケデリック・トランスで、実写画像を用いたムービーも特徴的。
差分譜面が大量にあり、特に手動ディレイを用いた差分で段位認定 Overjoyの2曲目を努めたこともある"★24/★★4 G e n g a o z o - f o o n"や
5555notesに対してTOTAL300という低さに加えて、皿バス、「FUC」の文字押し、あみだくじといった無理要素満載の★★7 G e n g a o z o _ F U Cが有名。
後者は長らくクリア不可能と見積もられていたが、2015年にランダムオプションを用いた正攻法でハードクリア達成者が現れてしまった。
セガの音楽ゲームCHUNITHMにて「Overjoy Set」コースを実装するためだけにWORLD'S END譜面がコース限定楽曲として先行実装されることとなった。
BMSイベント「仮装BMS舞踏会」の作品。通称リトハ
「仮装」というタイトル通り名義や作風を他の作者のものに偽装してバレたぶんだけ減点というルールのイベント。
氏は「white chocolate max」という名義で元ネタに寄せたタイトル・曲調にした。
…が、隠しきれない作風からバレバレで評価自体はとても高かったのだがあまりに正体を言い当てられすぎたことで結果自体は最下位に終わっている。
発狂BMSとしてはかつての発狂皆伝ボスを務めた「★LittlE HearTs★(GOD)」が有名。
のちにCHUNITHMに移植された際も案の定というべきかMASTER譜面のAJ称号が「リトハGOD」だったりWorld's EndにNote Disigner「神域」名義で狂属性譜面を出したりと盛大にパロられている。
2001年に公開されたparaoka氏の楽曲。
氏の特徴が存分に活かされたプログレッシヴフュージョン。naotyu-氏がアレンジしたL99も同時に有名。
どういうわけかU9などを始めとしてやたらクソ差分が作られやすく、果てには音源を滅茶苦茶に並べて大量のソフランを加えて原曲を破壊したL9999999999999^99999999999という差分まで存在する。
特に後者に関しては作曲者のparaoka氏に名指しで「あんだけ悪意に満ちたものはさすがに許せません。」と言われているため、クソ差分を作るのもネタにするのもほどほどに。
セガの音楽ゲームCHUNITHMとmaimaiに収録されており、CHUNITHMでは配置が妙に癖の強いものが多く止属性でもないのに停止地帯があるなど差分を意識したような譜面となっている。
- Party 4U "holy nite mix"/Cranky
Cranky氏を代表する楽曲の1つ。
1999年にクリスマス限定で公開され、2010年にリメイクして再公開された。
FLASH黄金時代を象徴するFLASH「num1000」のBGMとしても使用されており、そちらで曲だけ知ってるという人も多いのではないだろうか?
セガの音楽ゲーム maimaiに収録され、タイトーの音楽ゲーム GROOVE COASTERにも移植を果たした。
また他にもPUMP IT UP INFINITYやNeon FMといった音楽ゲームにも収録されている。
maimaiはリメイク版のBMSに収録されていたムービーを使用しているが、PUMP IT UPではnum1000がムービーとして流れ、GROOVE COASTERにおいてもnum1000を元にした演出がなされる。
BMSイベント BJ CUP 5thに投稿された楽曲で同時に優勝を果たしている。
タイトルの通り和風要素の強いダンスポップ。差分と言う形でアレンジを加えたものも非常に多い。
DJMAX Onlineに移植され、BMSで初めて商業作品への移植を果たした楽曲。
BOFU2017 - LEGENDA EST A MYTH -に投稿された楽曲。
緩いタイトルの通り、ポップでキャッチーな楽曲で癒し系といった感じ。
Optie氏作成のムービーもデフォルメされた花やボール型の生物が楽しげに踊るというもの。
ジャンル名のイルーム音楽というのは、ときめきメモリアルを意図的にバグらせたという動画に出てきた
「今のイルーム音楽面白かったと思わない?」「音楽は、脳が腐りそうよ。あなたにはお似合いね。」
というバグ会話が元ネタであり、そのジャンルを冠するこの楽曲も脳が腐り、精神が削り落ちそうな罠が仕掛けられている。
中盤あたりでノイズが混じり始め、終盤にさし変わると今までのポップな楽曲はどこへやらブレイクコアの様なノイズミュージックに豹変する。
それと同時にムービーも赤黒の不気味な背景に変わり、花やボール型の生物の顔も巨大な口だけが付いた怪物じみた姿に変わってしまう。
そして、地面や花弁がある筈の場所は手が生え、空には無数の眼が浮かぶというSAN値直葬間違い無しの有り様へと豹変する。
あまりに衝撃的な内容故に賛否は両論、スコア部門では483曲中の3位だが中央値部門では483曲中の421位というBMSイベントでも珍しい事態となった。
さらに、そのマイクラ的要素から検索してはいけない言葉Wikiに登録され、台湾のメディアに子供に有害な映像として紹介されるなどBMS作品としても異色の扱いをなされている。
追記・修正お願いします。