もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら - (2014/06/06 (金) 23:02:33) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2011/02/15(火) 09:35:39
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 7 分で読めます

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#center(){&font(#008cff){──真摯さとは何か}}






&font(#008cff){*}著作
岩崎夏海

&font(#008cff){*}イラスト
ゆきうさぎ

&font(#008cff){*}出版社
ダイヤモンド社

AKB48のプロデューサー、秋元康の弟子である岩崎夏海が執筆したドラッカー入門小説。

タイトルがあまりにも長い為略して

#center(){&font(#008cff){もしドラ}}
を使うことが多い。


*あらすじ


#center(){&font(#ff7800){「わたし、野球部を甲子園に連れて行きます!!」}}

進学校の都立程久保高校二年生の川島みなみは、夏休み前という[[中途半端]]な時期に野球部のマネージャーとなった。
程高野球部は弱くもなく、強くもないチームであり、甲子園を狙えるレベルではなかった。

そんな野球部だが、みなみはある理由から「野球部を甲子園に連れていこう」と決心する。
 
そこでみなみは自分のポジションである『&font(#ffdc00){マネージャー}』の役割を熟知する為に辞書を引き、次いで本屋へと足を運ぶ。
みなみは店員からドラッカーの『&font(#008000){マネジメント〔エッセンシャル版〕}』を勧められ、読んでみた。

読んで早速後悔するも、読み進めていくうちに

#center(){組織の経営=野球部の経営}
を知ることに繋がると気付く。
以後、みなみは『マネジメント』を片手に野球部という『組織』の『顧客』の定義付け、選手へのマーケティング、社会への貢献、
更には高校野球へのイノベーションに至るまでマネジメントを行っていく。


&font(#008cff){*}概要

2010年のあらゆる部門で一位となったベストセラー小説。

弱小の高校が甲子園を目指していくという典型的な題材に経営学の理論という変化球を入れた小説。
用いられたのは経営学のバイブル、ドラッカーの『マネジメント〔エッセンシャル版〕』。
 
野球部のマネジメントに行き詰まった主人公がこの書籍を振り返り、成功へと導いていくというのが主な流れである。

その際、『マネジメント』は
  &font(#008000){「人は最大の資産である」(七九頁)}
のように文章の一節としてそのまま引用されている。

本屋ではビジネス実用書の棚に置いてあるが、中身は[[ライトノベル]]に近い(実際のところジャンル区分が難しい)。

恐らくゆきうさぎ氏のイラストを見て[[ジャケ買い]]してしまった人も多いのではないだろうか。


&font(#008cff){*}総評

本書は賛否両論な作品である。
批判的な意見から纏めると文章がやや稚拙であり、ストーリーは陳腐かつ現実味に欠けている。
また、実際にこの方法で野球部が甲子園に行けるのか、経営に役立つかは怪しいところ。
盗塁成功率が100%になるチート技、ノーボール作戦による被出塁率の低下、ノーバント作戦による効率の良い攻撃、
更にバント及び変化球を「野球を詰まらなくするもの」と作中でバカにしたり、
ベースランニングをする際に直角に曲がる(全速力で90°方向転換する)等謳い文句は上等だが、実戦向けかどうかは眉唾物である。
それから値段がちょっと高い(電子書籍版は&font(#ff0000){半額}となっている)。

実際、こういった意見の大半が当たっている。

……一方で、読んで後悔はしないビジネス書だとも言われる。
というのも、文章が平易な為読みやすく王道なストーリーにビジネスの概念を加えるという斬新な発想が面白い為。
確かに小説としてはストーリーの稚拙さやキャラの薄さが目立ち、野球理論の方は「野球を馬鹿にするな」と言われる程実用性は薄い。
だがビジネス書としてはこの本を足掛かりに他のビジネス書籍に手を出すきっかけを与え、
尚且つ経営学に興味を持つ人が増えてくれた点もまた事実であり果たした役割は大きいと言える。

この本の手法を取り入れる人々がNHK等の報道機関で取り上げられていた。
大学の教科書として採用してるところもあるとか。
例えるなら、『マネジメント(エッセンシャル版)』のエッセンシャル版とも言える位置付けなのである。


本書は様々なメディア展開がされている。

まず、昨年12月に『スーパージャンプ』にて『もしドラ SUPER INTERVIEW』として、椿あすの作画で漫画化した。
 
次いで今年の3/14-25にNHKにて、全10話で[[アニメ化]]が決定した。
…が、[[東北地方太平洋沖地震]]の影響で&font(#ff0000){4/25}に延期された。

制作は『[[戦国BASARA]]』等で有名なProduction I.Gが担当。
監督は『[[テニスの王子様]]』の浜名孝行。
……主人公が釣り目になってるところが気になる。

みなみ(後述)の作画が非常にもりマン過ぎるとして某掲示板で色々と話題をよんだ。それでいいのかNHK。

更には6/4に実写映画が上映される。


&font(#008cff){*}登場人物

&font(#008cff){●}川島みなみ
声:[[日笠陽子]]
高校二年生の主人公。
髪型は[[ポニーテール]]。
ドラッカーの『マネジメント』を武器に程高野球部のマネージャーとして、甲子園出場を目指している。
過去の一件から野球を嫌悪しており、次郎との間には若干の確執がある。

モデルとなった人物はAKB48の峯岸みなみらしいが、映画では前田敦子が担当する。
当の峯岸は文乃を担当とのこと。
 
&font(#008cff){●}宮田夕紀
声:[[花澤香菜]]
みなみの[[幼なじみ]]であり、同期のマネージャーだが現在入院中。
小学生の頃、みなみのサヨナラヒットに&font(#ff0000){感動}したことがきっかけで、野球を好きになった。
「マーケティング」を担当する。

&font(#008cff){●}北条文乃
声:仲谷明香
「え、あ、はい」が口癖の高校一年生マネージャー。
学年トップの秀才だが、とある扱いをされることを嫌う。
加地の通訳となる。

&font(#008cff){●}柏木次郎
声:陶山章央
みなみの幼なじみ。
程高の5番キャッチャー。
ムードメーカー的存在であり、野球に対する姿勢は真面目だが、かなりの鈍感で何も考えずに発言する機会が多い。

&font(#008cff){●}浅野慶一郎
声:[[柿原徹也]]
程高のエース。
キレ味ある速球が武器。
とある一件で加地との間に確執が生まれた為、練習になかなか参加しないが試合には必ず出てくる。
 
&font(#008cff){●}星出純
声:[[細谷佳正]]
野球部主将。
自分の実力を試す為に野球部へと入団した。
実力者だが、キャプテンの仕事が重荷となっている。

&font(#008cff){●}二階正義
声:[[浅沼晋太郎]]
野球部補欠。
経営者を目指しており、経営者のスキルを磨くことと就職に役立つと考え入団した。
……ここまで考える奴は普通はいない。
最終的に大出世する。

&font(#008cff){●}加地誠
声:津田健次郎
程高野球部監督。
部のOBで東大卒のエリート。
知識・戦術共に長けているが、わかりにくい為選手には伝わらない。
過去の一件により、選手を恐れている。

&font(#008cff){●}朽木文明
声:赤澤涼太
レフト。
かなりの俊足だが、守備がイマイチ(浅いショートフライをダイビングキャッチする程度)。
そんな自分がレギュラーであることに悩む。
直角ベースランニングの体現者。

&font(#008cff){●}桜井祐之助
声:中西英樹
高校一年生のショート。
夏の大会でエラーしてしまったことを引きずっている。
プレッシャーに弱い。
現代野球ではショートに一番良い選手を置く為、素質は高いものはある…はず
 
&font(#008cff){*}余談

夏海氏は3/17に1日作の『エースの系譜』という青春野球小説を出すと述べた。

挿絵を担当するのは『[[さよなら絶望先生]]』の

[[久米田康治]]

である。

『さよなら絶望先生』の3期に渡るアニメ化、『[[じょしらく]]』の原作、そして『[[かってに改蔵]]』のドラマCD化・OVA化とここ数年波に乗る久米田による挿絵。
かなり気になるところである。



「あなたはどんな[[アニヲタWiki]]にしてもらいたいですか?」

&font(#008cff){「[[ぼく達>Wiki篭り]]は、それを聞きたいのです。ぼく達は、それをマーケティングしたいのです。&br()なぜなら、ぼく達は、みんながみてもらいたいと思うようなアニヲタWikiにしたいからです。ぼく達は、顧客からスタートしたいのです。&br()顧客が価値ありとし、必要とし、求めている項目から、アニヲタWikiをスタートしたいのです」}


※ドラッカー…ピーター・ドラッカー。
マネジメントの神様と呼ばれている経済学者。

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- 親父が仕事に生かすためにアニメ毎週録画して見てたな。  -- DCD  (2013-11-24 17:42:31)
- 少なくとも、実写の映画版は「ここ最近の邦画の中でこれほどの駄作はそうそう無かったんじゃないか?」って言いたくなるほどつまらない。  -- 名無しさん  (2013-11-24 18:43:49)
- 峯岸みなみが野球部員御用達の丸刈りになったのはこれの宣伝のためか(大嘘)  -- 名無しさん  (2013-11-24 18:55:52)
- AKBの売り込みをやるためにいろんな手で半ば無理矢理にベストセラーにされた、という側面もあるにはある…売れてなけりゃ批判もなかったろうけど、作者もそっち側の人なので、まあ自業自得というか  -- 名無しさん  (2013-11-26 15:33:10)
- 丸刈り峯岸みなみさえもコラネタにされてるもんな。  -- 名無しさん  (2013-12-01 18:31:52)
- カッワレ流行ったなぁ  -- 名無しさん  (2013-12-18 08:58:21)
- まぁ一番大事なことはただ練習による技術の向上のみ。スポーツでは戦法がチームの自力を上回ることはマズない。戦法がものを言うのは自力が同じレベルに高まったチームの戦いだけ。弱小チームがどんだけ小細工を労しても普通は勝てやしない。  &br()まぁつまりスポコン好きな人には向かない本ってことさね  -- 名無しさん  (2013-12-18 09:20:38)
- 時が経ってみると実にしょーもなかったことがわかる  -- 名無しさん  (2014-04-20 07:31:01)
- 良かった点は「ヒロインが可愛い」。これに尽きる。映画版?ソンナノアリマシタッケ(すっとぼけ)  -- 名無しさん  (2014-04-25 12:31:28)
- ↑×3そこを踏まえ、「成果をあげられなかったマネージャーは体で責任を取ることに」って薄い本もあるそうな。  -- 名無しさん  (2014-04-25 14:59:08)
- 経営学入門小説としては良し、スポーツ小説としては駄目、といったところか  -- 名無しさん  (2014-06-06 23:02:33)
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