紗音(うみねこ)

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紗音(うみねこ) - (2022/10/27 (木) 22:50:13) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2009/12/15(火) 00:00:18
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 15 分で読めます

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『[[うみねこの&font(b,red){な}く頃に>うみねこのなく頃に]]』の登場キャラ。
CV:[[釘宮理恵]]

右代宮家に仕える使用人の一人。
16歳。
金蔵が莫大な援助を行っている孤児院「福音の家」の出身者。
本名は「紗代」(さよ)。

朗らかで優しい性格の為、仕事が入っていない時間は年の近い[[戦人>右代宮戦人]]たちと遊んだり喋ったりする事も多い。

幼い頃から10年も使用人として右代宮家に仕えているにも拘らず些細なミスをする事が多く、食事の名前や材料を聞かれても答えられない事が多い。
[[右代宮譲治]]とは以前から交際をしており、相思相愛の関係。
 
各章
※幻想描写が入っているため、事実と異なる場合があります。

[[Episode1>Legend of the golden witch(うみねこ)]]
譲治からプロポーズされるが、次の日の朝に顔面を半分抉られた無残な死体となって発見される。

[[Episode2>Turn of the golden witch(うみねこ)]]
メインとして登場。
事件前に譲治の件でベアトリーチェにそそのかされ、封印されている鏡を割ってしまう。

事件では[[右代宮夏妃]]の部屋で殺されているのが発見される(第四の晩)。

[[Episode3>Banquet of the golden witch(うみねこ)]]
ベアトリーチェに生贄として指名される。
生贄に反発し、七姉妹と戦う嘉音を庇って防御障壁(通称シャノンバリア)を張るが追い詰められ、彼女達を思った源次により安らかに息を引き取る。

翌朝、密室状態の本館一階客間で死体となって発見されるが、
紗音に会いたいという譲治の願いをベアトリーチェが叶え復活する。

しかし、[[エヴァ・ベアトリーチェ>右代宮絵羽/エヴァ・ベアトリーチェ]]の指示を受けた[[シエスタ姉妹近衛兵]]よって再び殺される。
 
[[Episode4>Alliance of the golden witch(うみねこ)]]
第一の晩の惨劇後、地下牢に軟禁される。
山羊達がいなくなった隙をついて、[[嘉音>嘉音(うみねこ)]]による剣(通称カノンブレード)により牢を破り、
それに気付いたシエスタ姉妹近衛兵による索敵・攻撃を封じる。
その間に閉まっている防衛壁を嘉音が破壊。防衛網を突破。
だが、ワルギリアと幼女好き山羊が立ち塞がる。
しかし、死亡フラグ立てすぎた山羊を蔵臼が撃破。
ワルギリアは山羊の下敷きになり行動不能。
これによりやっと井戸から地上に戻れたと安堵していたが、
シエスタ姉妹近衛兵により嘉音が死亡。その後紗音も死亡。
 

アニメ組[[Episode5>End of the golden witch(うみねこ)]]ネタバレ注意










本編より1年前に[[金蔵>右代宮金蔵]]が死亡。
その事実を隠す長男夫婦側であるという事が判明する。

紗音は夏妃の指揮により金蔵が生きている様に他の家具と口裏を合わせている。

夏妃に繋がれた電話で男が紗音にしか言った事がない事を当てられる。

第一の晩で物語は終了するので紗音はどうなったか不明。
 
犯人かは、譲治絡みで動機があることと&font(#ff0000){死亡した}というのは「家具」としてではないのか?という点で疑われている。

Episode4で嘉音と二つで一つと言っている事から実は嘉音=紗音と同一人物説がある。
(証拠として戦人はメタ世界以外で二人同時に見た事がない)

Episode5では譲治が死亡したにも関わらず全く悲しんでいない。(嘉音も)

夏妃が紗音にしか教えていなかった好きな季節を謎の男が知っていた事により共犯の可能性もある。

しかし、紗音は爆乳であり(譲治が確認しているはず)、嘉音に化けるには無理がある。
Episode3で秀吉の死体が発見された際、譲治は涙を流していなかった。
涙を流す流さないは個人の価値観であり、それで犯人にされたらかなわない
などの否定説もある。
 
[[Episode6>Dawn of the golden witch(うみねこ)]]では、嘉音と同一人物の可能性が高くなった。

[[Episode7>Requiem of the golden witch(うみねこ)]]では、使用人の職務に不慣れな「犯人」の頼れる同僚として描かれ、同じ部屋で寝泊まりをしている。
ただし&font(#ff0000){「犯人」の部屋は一人部屋であり、ベッドは一つしか備え付けられていない}のだが。


以下漫画[[Episode8>Twilight of the golden witch(うみねこ)]]ネタバレ


























&font(#ff0000){叶うなら、このボトルメールが、&br()誰の目にも触れませんように。&br()&br()もし、あなたが、これを読んだなら、&br()どうか私に、然るべき罰を。}

[[八城幾子>フェザリーヌ・アウグストゥス・アウローラ]]はある日道端で奇妙なものを拾う。
赤い紙で記述されたボトルメール。
題名は
『&font(#ff0000){Confession of the Golden witch}』(黄金の魔女の&font(#ff0000){自白})

そこにはEpisode7の「告白」をさらに凌駕する、真犯人の怨嗟と嘆きの声が詰まった、
ほかでもない「魔女」の自白文が綴られていた……。

#openclose(show=▷猫箱を開く(超ネタバレ)){
-使用人:紗音。本名&bold(){「安田紗代」}。&br()19歳。
-そそっかしい彼女は職務上のミスも多く、&bold(){当主の壺を誤って割ってしまう}などの大目玉も度々あったが、&br()これは同じ使用人の熊沢が&bold(){「猫のしわざ」と原因を秘匿した}ことで表沙汰にはならなかった。
-紗音は島で起きる&bold(){「使用人の鍵束から鍵が1本だけ消失する」}怪現象の犯人でもあった。&br()具体的には自分の「1本鍵が足りない鍵束」と使用人の「全部揃っている鍵束」をすり替えて&br()残りの1本はあらかじめ相手のロッカーへと投げ込んでおくという手口。&br()不真面目な後輩たちの態度を引き締めるべく行われたその悪戯は、&br()後に使用人たちの間で&bold(){「六軒島に巣食う魔女ベアトリーチェの仕業」}と恐れられるようになる。
-幼いころから目をかけてくれ、厳しくも優しい源次と世話を焼いてくれる熊沢は、天涯孤独の彼女にとって父母に等しい存在であった。&br()また孤児だった故に家族への憧れも強く、幼い頃から「&bold(){大好きな人と結婚して子供を産んで、本当の家族を作りたい}」というささやかな夢を抱いていた。
-ミステリー小説という共通の趣味を持っていたことから[[右代宮戦人]]と親しくなった彼女は、やがて戦人に恋心を抱くようになる。&br()そんなある日戦人は軽い気持ちで紗音に&bold(){「シーユーアゲインきっと白馬にのって迎えに来るぜ」}とプロポーズとも取れる言葉を言い。これを真に受けた紗音は戦人が迎えに来てくれることを信じて待ち続けた((これがep4で言及された戦人の罪))。
-&bold(){成長しない}胸、&bold(){何故か訪れない}初潮。そしてパッと見&bold(){男にさえ見える}素面。自身の身体に対する違和感は日々強まるばかり。&br()紗音は「もし自分が男であったのなら、幸せになれたのかもしれない」というifを思い浮かべた。&br()それは次第に&bold(){男装して「嘉音」という名の使用人のように振る舞う}逃避行動へと現れていった。&br()幸か不幸かそれは彼女にささやかな精神的安定を齎し、また使用人の源次や熊沢もごっこ遊びの延長としてか積極的に協力をした。&br()重責となっていた「恋心」「日々の愚痴」をそれぞれ内なる「魔女」と「弟」に預けたことで、「紗音」は素直に笑えるようになった。
-空想上ではない、普通の友達もできた。&br()[[右代宮真里亞]]との交流は紗音の世界をより広げ、また&bold(){「ベアトリーチェ」の見せる「魔法」}は純粋な真里亞を大いに喜ばせた。
-彼女は&bold(){生来の多指症}であったが、手術されその痕がわずかに残るだけとなった。
-ある日紗音が金蔵の食事を用意している時、誤って鍋の中身を足に溢してしまう。&br()熊沢が履物を脱がせてその場で処置を行ったことで、大事には至らなかった。&br()だが、金蔵の目は確かに“それ”……紗音の足に見られる&bold(){「多指症の手術痕」}を捉えていた。&br()以後、&bold(){右代宮家の親族にすら触らせない}銃を使ったクレー射撃への誘いなど、&br()一介の使用人でありながら、紗音は何かと金蔵から目をかけられる立場になる。
-使用人として働く中で、彼女は二度目の恋をする。相手は[[右代宮譲治]]。&br()女として紗音が抱えるコンプレックスは多かったが、譲治の語る&bold(){元気な子供や孫に囲まれて過ごす生活}という未来図は彼女にも希望を抱かせるものであった。
-そして彼女は[[碑文>魔女の碑文(うみねこ)]]を解き明かす。伏して許しを乞う金蔵の前で、紗音は全ての真実を聞かされた。&br()自分が&bold(){近親相姦によって生まれた不義の仔}であることに始まり―――
-「あんたは&bold(){下腹部に大きな裂傷}を負っていながらも、奇跡的に生きていたんだ。&br()私達はあんたのお母さんを救うことができなかった…。だからあんただけは&bold(){生きてほしいと}願ったんだ。&br()たとえ&bold(){子供の作れない体}であろうと、あんたには&bold(){生きて}幸せになって欲しかったのだ」
-&bold(){&font(#ff0000){「どうして…!! どうしてあなたたちは私を助けたんですか!?&br() どうして死なせてくれなかったんですか!?&br() こんな体で、生きていたくなんかなかった!! こんな、恋をすることも出来ない体で……!」}&br()子供が作れないなんてうそ &font(#ff0000){&br() 「そんなの、そんなの、生きる価値がないんじゃないですか!?」} &br()私が不義の子だなんてうそ &font(#ff0000){&br() 「そんなのニンゲンじゃない…! 家具じゃないですか! そう、私は、家具……! 家具なんだ…!」}&br()あなたが近親だなんてうそ &font(#ff0000){&br()「どうして、………私をあの時に死なせてくれなかったんですかッ!」}&br() 大好きな人と幸せになれないなんてうそ &br() &font(#ff0000){「ぅわぁああああぁあああああぁああぁああ……!!」}}
-碑文を解いた紗音は、何かを得るどころか知りたくもなかった真実を押し付けられ、思い描いていた輝かしい未来の全てを失ってしまった。&br()碑文の謳い文句である「四つの宝」とやらも、紗音からすれば「仕掛けを逆廻しに戻すことで黄金を隠しておける」というだけの、完全な茶番。
-だから地下通路の一室に積み重なる、&bold(){1944年の件で生じた白骨死体の山}を見ても、&br()紗音にはそれが、&bold(){ベアトリーチェと黄金を独占するため、金蔵が皆殺しを画策した}結果にしか思えなかった。&br()遺骨が弔われることなく雑然と纏められていたこと、地下通路の所在を隠すような立地で屋敷が建造されたこと。&br()何より源次が最後まで反論することなく黙ったままであったのも、紗音の邪推を際限無く後押しした。&br()そんな男の忌々しい血が、己の体に流れているということが、既に耐え難い事実だった。
-表面的には今までと変わりがない使用人としての日常。&br()大きな違いを挙げるとすれば、紗音が&bold(){夏妃らと共同で金蔵の死を隠蔽する立場}になったことだろうか。&br()『傲慢な女だ。口では名誉を守ると言っても体裁を守りたいだけじゃないか』&br()『ふん。妾を手籠めにした金蔵には当然の報いよ!』&br()蔵臼の借金整理のため、当主問題を棚上げにする必要があったそこへ、さも狙ったかの如く提案される偽証計画。&br()……事態を俯瞰できたならそれは、魔女か何かが彼等に魔法を授けたように見えた、かもしれない。
-&bold(){「あのさ……。嘉音くんってさ……彼女とか、いるのかな……?」}&br()悪感情の捌け口である「弟」が必要とされていたのは、紗音にとって一つの救いであった。&br()同時に自身が、紛れもなく相姦者である金蔵の血を引く事実を再確認させる出来事でもあったのだが。&br()譲治と朱志香。強まる二人からの好意。それを喜ぶ自分の血。内へ内へと向かう右代宮の遺伝子。&br()幸福の絶頂にありながら、しかしそれ故に紗音は真相を吐露することができなかった。&br()格好の機会となりえた譲治との旅行も、&bold(){「別部屋」での宿泊}となったことで無為に過ぎ去る。&br()刻限は&bold(){1986年の会議当日。}右代宮譲治はその日に婚約指輪を持って「安田紗代」を迎えに来るのだ。
-真実の自分を受け入れられた経験のない彼女にとって、希望に溢れた未来を信じることは困難であった。&br()&bold(){『綺麗事を語るな家具ゥウ! 愛は肉欲なんだよ体を重ねてしか測れねぇんだよォ!&br()失望するぜぇ譲治は。お前の生まれを、お前の体を知っちまったらよォォ!』}&br()「私だって誰かに愛されたかった! 誰かを愛したかった!&br()譲治さまとの愛を貫きたいと思うことすら罪なんですか!」&br()&bold(){『姉さんは譲治さまに拒絶されても、まだ朱志香さまがいると思ってるんだろう。&br()朱志香お嬢さまは譲治さまの代わりじゃない! 僕だって……恋がしたいんだ……!!』}&br()お前の黄金で事態を収めて見せろ、と咆える嘉音を魔女は相手にしないまませせら哂う。&br()……仮に身の上を一から十まで明かしたとしても、それはそれで「ベアトリーチェ」の血縁関係上、&br()倫理的・道徳的に大きな問題が浮上してくるであろうことは、誰の目にも明らかなのだ。&br()選べば間違いなく苦しむ。だが選ばねばより苦しむ。呪いじみた血筋という背景はあっただろう。&br()悪戯のような運命もまた影響したのだろう。でもそれこそが、生きるという行為であるのを少女は知らない。
-譲治ならば全てを告げても自分を受け入れてくれるはず。きっと「ベアト」も「嘉音」も捨てて「安田紗代」として生きられる。&br()しかしその期待は&bold(){「自分という人間を譲治から全否定される悪夢」}という形で紗音の心を苛んだ。&br()&bold(){譲治がそのような男ではない}ことを、彼女はよく知っていた。知っていてなお、畏れは消えなかった。&br()思考の端で常にちらつく最悪の未来が、「特定の誰か一人」だけを選び取ることを頑なに拒ませていた。
-1986年。例年通り会議の時期が近づく中、気を揉む夏妃から使用人たちへと激が飛ぶ。&br()&bold(){「今年の親族会議には6年ぶりに戦人くんがいらっしゃいます」&br()……何故今頃になって、彼が戻って来るのか……。}余りに&bold(){1986年}というタイミングは無慈悲が過ぎた。&br()終わりかけていた恋の決闘も、新たに魔女を加えての三竦みへと仕切り直される。
-他ならぬ“初恋”の芽を植え付けられた魔女は、内心血涙を流す紗音を嘲るように弄弁を重ねる。&br()&bold(){『戦人の帰還を誰よりも期待し、喜んでいるのはそなた自身ではないか!』&br()『譲治に拒絶された時の保険にするか? それとも今すぐ戦人に乗り替えるかよォ?』&br()『ああそうだったな。誰かを選んだところで、そなたは誰とも結ばれることが叶わぬ汚れた体であったな!』}
-何もかもが疎ましかった。あらゆる世界を、運命を呪った。&br()全ては選択を先延ばしにし続けた結果。しかしもう彼女には、過酷な現実に抗うだけの余力が残っていない。&br()&bold(){「こんな体で生きていたくなんかない。全部なかったことにできたなら、どんなに……」}
-それこそ、悪魔じみたタイミングで。稲光に照らされて、碑文の一節が紗音の視界に映り込む。&br()&bold(){『誰も生き残れはしない。黄金の郷に至るだろう』}&br()全てを黄金郷に―――肉の檻から解放し、不帰の黄泉路へと平等に誘う術は存在した。&br()黄金、銃器、爆薬。下準備と即物的な手段には事欠かない。実行が可能であってしまった。
-1986年、夏。豪雨が降り注ぐ中、秘密裡に爆薬の試験運用が行われる。&br()果たしてそれは、想像以上の威力で&bold(){「鎮守の社」を粉微塵に}吹き飛ばした。
-&bold(){「源次さん、あなたは私の命令なら何でも叶えてくれるんですよね。私が一族もろとも心中したいと言っても?」}&br()「……はい。あなた様をそこまで追い詰めてしまったのは、私の責任でもございます。&br()この源次、最期まであなた様にお仕えいたします」&br()家具頭は現当主の意志に従うことを決めた。熊沢と南條も、無償で“殺人事件ごっこ”への協力を快諾する。&br()タダ同然で貰えるインゴッドすらいらないという南條と熊沢の、「今まで不憫だった分、幸せな人生を歩んでほしい」という想いも、もう少女には届くことはなかった。
-紗音は極限まで抑圧された感情を、推理小説を模した「犯行計画」という形で物言わぬ紙面へ叩きつけた。&br()&bold(){ルールX:共犯がその度に変わる。金に困る親族の買収は容易。&br()ルールY:場の全員が共有する嘘は現実として描写される。&br()また、黄金の蝶は「共犯者」「死者」「30分以内に死亡する非買収者」だけが観測可能。}&br()&bold(){&font(#ff0000){「死ネ。死ネ。死ネ。シネ。死ネ。死ネ。死ネ死ネ。死ネ」}}&br()……親族たちの死を無限に紡ぐ中、次第に紗音の心中を昏い悦びが満たし始めていた。
-右代宮家の関係者は、どいつもこいつも叩けば埃が出るような連中ばかりだった。&br()目立った失点の少ない郷田すら、過去に職場を女性関係で辞したことがあるらしい。&br()そんな奴が夏妃に媚び諂うのも甘い汁を吸いたいがためなのだろう。そうに違いない。&br()一人の罪が露見すれば、芋蔓式に残りの親族も破綻することは明白。この一族は呪われている。&br()&bold(){「だから死にましょウ。私ト一緒に。そしたらみんなもう苦しまなくていい」}
-シナリオは魔女による生贄殺人。事前に買収もしくは脅迫で共犯を用意する。&br()表向きは狂言で進行、死体が出てもごまかせばいい。最悪、そいつも始末するだけの話。&br()計画は杜撰で行き当たりばったり。だってどんな結果になろうと初めから魔女は満足できるのだから。
-&bold(){『いいわ。あんたの魔法世界が“絶対”で在り続ける限り! 私は永遠にあんたの後見人であり続けるわ……!』}&br()……果たして&bold(){“絶対の魔女”を名乗るそいつ}が、少女の狂った妄想の産物に過ぎないのか。&br()はたまた現世に垣間見えた正真正銘の化外であったのか。それはもう誰にもわからない。
-&bold(){毒}か&bold(){銃}を使えば会議で一室に集う親族の殺害は容易。&bold(){ライフルで頭を吹き飛ばせば}銃痕の隠蔽も行える。&br()トリックは無数。&bold(){室内に鍵が残る密室、時間差を利用した連鎖密室、凶器の残らない自殺、プレートの差し替え……。}&br()あるいは彼等の思いを確認するために、&bold(){ほとんど全員を狂言に抱き込む}という手もある。&br()譲治も朱志香も、きっと私の思いを理解してくれる。私と共に死んでくれる。
-&bold(){「本当にいいの……? こんな恐ろしいこと……。本当に……?」}&br()人知れず、頬を涙が伝っていた。虚構上でさえ「譲治の死」を、己の手で確定させることはできなかった。&br()本当は理解している。全員が生きて幸せになるのが一番だと。だが自分ではもはや止められない。
-&bold(){ルールZ:誰か私を止めて下さい。}&br()想い人が碑文を解けば、その人に全てを捧げよう。計画を中止し、全ての罪を告白する。&br()あるいは当日の“殺人事件ごっこ”がどちらとなるにせよ、&bold(){6年ぶりに帰還する彼}ならそれも容易く看破するはずだった。
-&bold(){10月3日。}大量のボトルメールが海へと流される。その一つ一つが罪の告白。書かずにはおられなかった罪の懺悔。&br()「狂気の犯行計画書」は、いずれもルールに従うことで犯人を一人に特定可能。
-予め遺族となるであろう者たちには、&bold(){キャッシュカード送付という形で謝礼}を行っておく。&br()真里亞に暗記させた手紙の開示を以って、運命のルーレットは幕を開ける。&br()その結果がどのようなものとなるかは、奇跡を望む魔女自身にすら伺い知れない。
―――計画実行は親族会議当日。
用意したルーレットの目は「魔女」「安田紗代」「嘉音」に対応した三つ。
狂言殺人。碑文解読。そして黄金郷。
絶対の意思で課した破滅的リスクは、真に魔法の奇跡を彼女へ齎すのか。
少なくとも、その期待値は……、
&bold(){「こんな自白じみたメールボトルを世に流して、実行前に計画が途絶する確率」}よりは、高いのだろうか?

#center(){私は偉大なる六軒島の魔女ベアトリーチェ}

#center(){この呪われた血と不幸の連鎖に終焉を}

#center(){そしてもしも許されるなら}

#center(){うみねこのなく頃にあの人と笑いあえる奇跡を私に……}

1986年10月6日。午前零時。六軒島爆発事故が発生。
生き残りしは、右代宮絵羽ただ一人。そして彼女も口を噤んだままこの世を去った。
故に事態の影で運命に翻弄された、少女の存在を知る者は皆無。

……選択できない彼女の顛末は、
痕も遺さず姿を消した、あの日の六軒島にいたはずの者たちだけが知っている……。



ちなみに『うみねこのなく頃に翼』と同人短編を書籍化した『うみねこのなく頃に 最初で最後の贈りもの』の作者解説内でも「安田紗代」という名が登場するため、少なくとも名前設定に関しては公式と見ていいだろう。

}


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