PCエンジンGT

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PCエンジンGT - (2019/04/20 (土) 21:35:27) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2019/04/20 (土) 21:35:03
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#center(){&bold(){&color(orangered,black){まことにGT。}}}



PCエンジンGTとは、日本電気ホームエレクトロニクスが発売した携帯ゲーム機…というか携帯型互換機。


*【解説】
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名前から見ても分かる通り、数あるPCエンジンの派生ハードの一種。

「GT」は「Game and TV」という意味が込められている。&del(){グランツーリスモとがグランドツーリングの略称では断じてない。}
海外市場では「TurboExpress(ターボエクスプレス)」の名称で販売される。

簡潔にこの機種を評すると「PCエンジンの携帯機版」で、PCエンジンのHuカードソフトを手元で遊んだり、外でのプレイを可能とした。
家庭用の据置型ゲーム機と携帯型ゲーム機で互換性を実現したのは、このハードが世界初だった。
Huカードが小型のカード媒体だったことが功を奏して、携帯機サイズに収める事に成功したのだ。
ただし、あくまでも据置機の互換ハードであるためか、後世では据置機として分類される事も多い。

GTの開発背景としては、当時の携帯機ブームが原因。
1989年頃、[[任天堂]]が携帯型ゲーム機として[[ゲームボーイ]]を発売してこれが大ヒット。
翌年にはセガも負けじと高性能携帯機である[[ゲームギア]]を世に送り出す(こちらはヒットしなかったが)。
世は空前の携帯機の流れの中、NECは「&bold(){PCエンジンをそのまま携帯機にする}」という発想で携帯機に挑む。

こうして1990年12月1日、PCエンジンGTは世に発売された。
高性能機であるゲームギアの液晶よりも高品質なTFT液晶によるカラー映像、発売時点から既に大量に抱えるソフト数のアドバンテージ。
据置機を携帯機にしたという発想は夢その物であり、かなりの魅力に溢れていた……


#center(){&bold(){はずなのだが、現実は甘くもなかった。}}


まず、PCエンジンは機種にもよるが価格は大体19,800~24,800円という価格帯だった。
それを性能をそのままに小型化するのは価格が高騰してしまうのは必然だった。
更に高品質な液晶を始めとする高級な仕様まで付け加えたため、結果はお値段&bold(){&color(red){44,800円}}となった。

ライバルとなる&bold(){ゲームボーイは12,500円}(当時)、&bold(){ゲームギアは19,800円}。
ゲームボーイが売れた理由の一つは携帯機故の低価格(実際、ゲームギアは価格が敗因の一つとされる)なのだが、その辺りを全くNECは考えていなかったと言える。
そして、GTの発売から遥かに時が流れた現在においても、GTは歴代携帯ハードの価格設定でもトップに君臨している。

しかも、カラー液晶にしたことによる単3電池6本で3時間程度の稼働時間という燃費も携帯機としては弱点になった。
この燃費に関する問題点は、同時期に同様にカラー液晶を採用したゲームギアでも致命的な欠点だった。
まあ、ゲームギアよりも高画質でありながらも稼働時間がほぼ同時間なのは強みでもあったのだが。
ゲームギアもGTも、後の世でゲームボーイが稼働時間に拘った正しさを証明する例になってしまうのだった…。
一応、燃費性能の悪さをカバーする周辺機器として『GT用ACアダプタ』『GT用カーアダプタ』などが発売された(というか、長時間プレイはこれらの機器頼りになる)。

結果としてGTはあまり売れ行きが伸びず、PCエンジンのバリエーションハード
熱心なPCエンジンユーザーに関しても、CD-ROMとの非互換性などの問題点から強く支持を得ることは出来なかった。
しかし、据置機を携帯機化という発想自体は後世において再評価される事になる。

なお、NECは後に『PCエンジンLT』というGTに続く小型版PCエンジン路線のバリエーションハードを発売する。
ただし、LTは携帯機のように見えるが実際は外でのプレイが実質不可能であり、GTと違って「携帯機」ではない。


*【PCエンジンGTの特徴】
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**本体に関して

ぶっちゃけパッと見た外観やボタン配置は、任天堂の[[ゲームボーイ]]に限りなく酷使している。

ゲームに疎い親や祖父母が、子供に強請られたゲームボーイと間違えて購入するのを狙ったのではないかというレベル。
でも仮に間違えたとしても、44,800円では大人ですら購入にまで至る可能性は低いのである意味安心。

本体の大きさは、縦185mm・横108mm・厚さ46.8mm程度のサイズ。
重量は本体のみだと約410g(電池を含むと約550g)と形態機にしては重く、手への負担が辛い。

本体の右側部分にはTVチューナーに使う端子が備えられている
左側部分にはACアダプター端子やイヤホン端子などの端子の他に、音量調整やバックライト調整が存在。
上部分に電源スイッチとHuカード挿入口が存在し、下部分に通信ケーブル用端子を搭載。

画面の液晶はTFT液晶を採用し、携帯機としては鮮やかな画質を持つ。
しかし、PCエンジンの横解像度が256-512ドットであるのに対し、GTはRGB合わせて横336ドットしかないという欠点が生まれた。
その悪影響により、一部ソフトでは文字などが潰れてプレイに支障が出るという難点が生まれた。

標準で連射機能も搭載されているというゲーム機では珍しいオプションも装備されている。


**対応ソフト

HuカードのPCエンジン専用ソフトに関しては基本的に対応。

ただし、本体に拡張バスが存在しないことでCD-ROMなどの専用ソフトには対応していない。
また、システムカードやスーパーグラフィックス専用Huカードにも対応できないので遊べない。

『COMケーブル』という専用通信ケーブルによって、ゲームボーイと同様に通信機能を可能備えたGTだったが、PCエンジンのソフトにもGTの通信機能を想定したソフトが現れた。
しかし、GT自身の不振や本体の価格の高さもあって複数体用意するのは難しく、通信対戦の相手は滅多に見られなかったともされる。
そんな事情もあってか、最終的にGTの通信対応ソフトは僅か6タイトルに終わった。


**TVチューナー

周辺機器に積極的なNEC及びPCエンジンの特徴や携帯機というGTの性質もあって、周辺機器も力が入っている。

GTの一番の売りにされた周辺機器は『GT用TVチューナー』であり、GTの画面でTV映像を楽しめる。
これは当時のテレビコマーシャルでも強くアピールされたことで有名である。
ただし、携帯機でのTV鑑賞は同時期のゲームギアもTVチューナーで可能だったため、専売特許でもなかった。


*【余談】
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「据置機を携帯機に変換する」という発想で生まれたのがGTなのは上述した通りだが、[[13年程後に他社からGTと逆転した発想のゲーム機>PlayStation Vita TV]]が生まれる事になる。
しかし、GTとは真逆の発想で生まれたゲーム機にしてもすぐに商業的不振に終わってしまった。

そして17年後、今度は「据置機でもあって携帯機でもある」という、[[ある意味GTのコンセプトに微妙に似た要素もなくはないハード>Nintendo Switch]]が世に送り出される。
こちらはGTのような失敗に陥ることはなく、商業的に無事成功したのだった。









追記・修正はPCエンジンGTを購入してからお願いします。

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