武田観柳

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武田観柳 - (2023/09/29 (金) 17:46:49) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2021/04/13 Tue 21:26:00
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 11 分で読めます

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#center(){
#bold(){&sizex(6){&color(gold){金!}}}

#bold(){&sizex(5){&color(gray){まさにこれこそ力の証!}}}
}

武田観柳とは『[[るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-]]』の登場人物。

*【目次】
#contents

*【プロフィール】
[[身長]]:169cm
体重:体重60kg
生年月日:嘉永元年((西暦1848年))9月
年齢:29歳
[[担当声優>声優(職業)]]:[[飛田展男]]/[[真殿光昭]](令和アニメ版)
演者:香川照之(実写映画版)、彩凪翔(宝塚歌劇・雪組公演)、上山竜治(2018年新橋演舞場・大阪松竹座公演)


*【概要】
表向きは[[東京>東京都]]で手広く商売をやっている青年実業家だが、裏では新型阿片『蜘蛛之巣』の密売を行い、莫大な利益を得ていた悪徳商人。
普段は誰に対しても敬語で話すなど紳士的な振る舞いをしているが人の命を何とも思わない残忍な性格の持ち主であり、仕損じた部下を惨殺して晒し者にして「すこぶる爽やかな気分になる」と宣ったり、機嫌が悪くなると荒んだ口調になり(自分を殺そうとしたとはいえ)女性相手にも容赦なく凄惨な暴力を振るい、下に記すように殺人も平気で行うなど極めて粗暴な人物。

ある悪徳医師と手を組んでおり、観柳が阿片の材料を渡してその医師が阿片を精製してそれを販売する…という関係を築き、ゆくゆくは阿片の密売で得た金を元手に武器商人となり、更に儲けようと企んでいた。
しかしその医師が新型阿片『蜘蛛の巣』を開発し、大量販売を目論んだ観柳はその製造法を聞き出そうとしたが利益を独占しようとした医師は口を割らず、仲間割れを起こしその末に殺害してしまう。
その後は医師の助手であった[[高荷恵]]を捕らえ阿片を製造していたが彼女が逃走したことを知ると、元御庭番衆・頭目である[[四乃森蒼紫]]を使役し癋見とひょっとこ、[[般若>般若(るろうに剣心)]]を差し向ける。


*【劇中での動向】
何度も恵略奪を試みる中で恵を護っている[[緋村剣心]]が嘗て幕末の伝説の人斬りであった[[人斬り抜刀斎]]であると判明すると、力づくでの略奪は得策ではないと考え、恵に手中に戻らないようであれば匿っている神谷道場を焼き討ちすると脅し、更に恵には既に自身が製造した阿片で人を死なせたという「阿片女」であるという罪の意識を植え付けさせ「高荷 恵は自分の意志で神谷道場を去った」という体に追い込む。

その後、恵が自らの意志で手中へ戻る((もっとも恵は観柳の手中に戻る気は更々無く、観柳を殺した上で自身も死ぬつもりで戻った))と、彼女を取り返しに来た剣心組と御庭番衆が対決することになる。
抜刀斎と真っ向から渡り合う事は何としても避けたい観柳はすかさず剣心を買収しようとしたり口車に乗せて時間を稼ごうとしたが剣心の怒りに油を注ぐ結果となり、恵を拷問して新型阿片の製造法を聞き出すまでの時間稼ぎに御庭番衆を差し向けるが、その中で蒼紫も剣心同様金で意のままに操ることのできない性質であることに気づき、下手すれば自分の敵に回る危険人物であると認識する。剣心と蒼紫共々抹殺を図る方法を思案する中、&ruby(ガトリングガン){[[回転式機関銃>ガトリング砲]]}を持ち出して抹殺を試みる。
当初こそ回転式機関銃の圧倒的な速射力を用いて蒼紫を追い詰めるものの、御庭番衆の命を懸けた活躍で弾切れ((平成アニメ版では癋見の螺旋鋲による弾詰まり))に追い込まれる。即座に命乞いをするが剣心に&color(coral){「命乞いなら貴様の好きな}&color(gold){お金様}&color(coral){に頼んでみろ!!」}と叩きのめされて敢え無くお縄となった。

連行される際に恵を道連れにしようと、彼女が阿片の生成をしたと告発するが、剣心達によって隠蔽されている((浦村署長もなんとなく事実には気づいていたが剣心の頼みに応じて見逃す形になった。傍から見れば明らかな忖度であり当然観柳は最後まで納得しなかったが。))。

武田観柳が登場した「恵編」は御庭番衆との闘いがメインであり、その後劇中で観柳の動向は語られず、観柳の劇中での活躍や人間性もあって長らく「作中の序盤にだけ登場した小悪党」と評されるのであった…

*【本編以外での活躍】
**◆[[実写映画版>るろうに剣心(実写映画)]]
#center(){
#bold(){&sizex(4){&color(gray){「人間とは弱いものだ…。」}}}
#bold(){&sizex(4){&color(gray){「口では理想を語りたがるが…」}}}
#bold(){&sizex(4){&color(gray){「所詮三つのモノの前では&ruby(ケダモノ){獣}になる…。」}}}

#bold(){&sizex(5){&color(gray){「自分の為…金の為…。」}}}

#bold(){&sizex(6){&color(gray){「そして快楽の為…!」}}}
}


主演の佐藤健が同じく人斬りの岡田以蔵を演じた[[大河ドラマ>NHK大河ドラマ]]『龍馬伝』で、岩崎弥太郎を演じた俳優の香川照之氏が怪演。
原作とは異なり、緑色のベストを着ている。

東京の下町を潰して港を作り、阿片で儲けた金で武器を仕入れてクーデターを起こそうと目論んでいた。

原作者はモデルとなった観柳斎が男色家であったことから、観柳にもホモの設定を付けようとしたものの必要ない設定だったことから却下されていたが、映画では剣心と左之助に対し銃を向け…
#center(){
&bold(){&color(gray){「カ・タ・ナ・を・置・け。」}}

&bold(){&color(gray){「オレに謝れ。オレにひれ伏せ。」}}

&bold(){&color(gray){「つか&sizex(4){脱げ!} &sizex(5){おめーら全部脱げ!!」}}}

&color(gray){&bold(){&sizex(6){「全部脱いでオレにひれ伏せ!!」}}}
}

と発言。
ちなみに演じた香川照之氏曰く&bold(){このシーンは全部アドリブ。}
&color(gray){「この時代の武田観柳だったらたぶん、こいつらを脱がしたいだろうと思って。&bold(){いろんな趣味をもっていますよ彼は}」}
…と発言されている。だいたいあってる。((ちなみに、佐藤健氏扮する剣心が本当に脱ごうとしたのもアドリブである。))

館での直接対決では、部下共々&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}で葉巻をふかしながら大暴れする。

&sizex(2){&bold(){&color(gray){「おめーら人ん家をメチャクチャにしやがって!」}}}
#right(){&sizex(2){左之助&bold(){&color(red){「メチャクチャにしてんのはおめーだろが!」}}}}

が、銃口と反対側が死角になるという弱点を突かれ、斎藤の&font(l){ふんわり}牙突で天井のシャンデリアを落とされて敗北。
剣心に
#center(){
#bold(){&sizex(4){&color(coral){「金で買えないモノが何か分かるか…?」}}}
#bold(){&sizex(4){&color(coral){「お前が今乞うているもの…」}}}

#bold(){&sizex(6){&color(coral){「命だ…!」}}}
}

と皮肉を返されて逮捕された。

なお、小説版に於いては[[志々雄真実]]と繋がりがあった事を匂わせる描写が追加されている。
[[ノベライズ]]では身分の違いを金で越えられる世の中になったことで士族への恨みから金の亡者となった心理が描かれている。

**◆宝塚歌劇版
見目は麗しいが、期待を裏切らない濃さである。
『これがガトリング砲』というテーマ曲までもらっており、ますますネタキャラ化が加速した。

**◆[[キネマ版>>るろうに剣心-キネマ版-]]
士族に異常な嫉妬心を有するという設定が付け加えられており、撃剣勝負のスポンサーを営む一方で、夜は高額の賞金を支払うと詐称し挑戦者を&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}で殺傷するという趣味を持つ極悪人…失礼、悪人ではなく悪徳商人である(本人・談)。
一応、かなり大型の&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}を自在に持ち回す身体能力はある。

剣心に邪魔され、&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}諸共吹っ飛ばされて警察に突き出されるが、賄賂を握らせて保釈。
相楽左之助、[[斎藤一>斎藤一(るろうに剣心)]]他を雇い剣心と神谷道場への復讐を目論んだ。

三条燕の実家が破産寸前に陥っていることを知ると、かつて雇用していた[[弥彦>明神弥彦]]に神谷道場を売却すれば三条家の借金を返済してやると無茶な要求をたきつけるも最終的に拒まれ、逆上して弥彦に暴行を加え権利書を略奪しようとしたが、剣士としての誇りを取り戻した弥彦に打ち据えられ、お縄となった。

原作者が実写版で観柳を演じた香川照之の演技を非常に気に入った結果、原作以上に弾けたキャラになったらしい。
原作では初期の悪役の一人でしかなく、影が薄かったのだが、このキネマ版のはっちゃけぶりがウケて、遅咲きの[[ネタキャラ]]と化した。「ガトリング斎」というあだ名がついたのはここから。




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#bold(){&sizex(5){&color(coral){追記・修正なら貴様の好きな}&color(gold){お金様}&color(coral){に頼んでみろ!!}}}
}

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#include(テンプレ3)




















以降『[[北海道編>るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚・北海道編-]]』の[[ネタバレ]]注意







#bold(){&sizex(5){&color(coral){「武田観柳ー!!」}}}


#right(){#bold(){&sizex(5){&color(gray){「緋村抜刀斎ー!!」}}}}

#center(){
#bold(){&sizex(5){&color(coral){「「なんで貴様が}&color(gray){小樽にー!?」」}}}
}


**◆まさかの再登場

阿片密売の主犯であったため逮捕後は本来死刑((現実の明治初期の刑法では阿片の密造や取扱いだけでは死刑にならない…というか史実で当時死刑になった人間は大久保利通を「暗殺」した不逞浪人達だけなのだが、そこを厳密に突っ込むと高荷恵の罪を巡るストーリーが台無しになってしまうので…。))であったが、隠し財産を各所に賄賂としてバラ撒くことでなんとか死刑を免れた。
&font(l){そのため剣心が観柳に言い放った&color(coral){「命乞いなら貴様の好きな}&color(gold){お金様}&color(coral){に頼んでみろ!!」}という台詞が、正にその通りになってしまったという皮肉な事態に。}

無論死刑は免れたとはいえ、そのまま娑婆に出られるほど警察も甘くはなく、収監された樺戸集治監では「力仕事をするだけの体力がない」との理由から肥料作りや便所掃除などの文字通り汚れ仕事をさせられていた。

そこまで落ちぶれながらも商人として再起すること野望をいだき続け、&bold(){5年間看守用便所の糞をかき分けながら金をかき集める}((当時のトイレは汲み取り式のためズボンを下ろす際ポケットの中身が落ちやすかった。))という執念深さを見せた。&font(l){そのこともあって、劍客兵器からは&bold(){糞商人}と言われてしまっている。}

そんなある日、[[北海道]]全土でテロ活動を行っている[[劍客兵器]]が樺戸集治監を壊滅させ、逃亡中に劍客兵器の霜門寺と遭遇。彼から万鉄刀を無償で渡されるも&color(gray){「タダより高いものはない」}とこれを拒否し、5年間集めた金で刀を買い取ることを宣言。

そのスタンスを気に入った霜門寺は100振りもの万鉄刀を売り、彼と結託したことで商人として再起した。

だが本名で世に出るわけにはいかないため、再起した彼が名乗った偽名は──


#center(){#bold(){&sizex(5){&ruby(がとう){雅桐}&ruby(りんぐ){倫倶}}}}


この名を聞いた剣心は&bold(){&color(coral){「雅桐倫倶…一体何者でござる? &sizex(5){ガトーリング}」}}と&bold(){御丁寧に大ゴマでカタカナ表記}して全読者にその正体をお察しさせた。




阿片や銃火器の密売によって成した財産が無に帰したことから、&color(gray){「違法行為には二度と手を出さない」}と誓っている。
だが、その直後に&color(gray){「&bold(){これからは違法ではなく脱法で稼ぐ}」}と宣言、その全然改心していない姿に剣心には呆れられ、[[左之助>相楽左之助]]からはガツンと一撃をもらっていた。

ちなみに&color(coral){「脱獄は違法でござろう」}と指摘した剣心に対し、
&color(gray){「脱獄じゃあない破壊行為からの緊急避難だ!」}
&color(gray){「人のこと言えるか、この&bold(){常習廃刀令違反者}!」}
と反論した。&font(l){正論といえば正論だし原作本編でも左之助に賭博を咎めた時に同じ事言われてるが、元麻薬密売人にだけは言われたくはないだろう}

金儲けに遠慮心を持たない阿爛のことは、&color(gray){「自分に似ている」}という理由から本当に気に入っているようで、阿爛が剣心に雅桐を見つけた報酬を要求した際は、「滅私奉公など商人にとっては悪徳の極み」だと彼を後押しした。
&font(l){もっとも阿爛が剣心に&color(coral){「観柳のようになりたいのか?」}と問われた際は即座に否定された。}

剣心一行との合流後も因縁の相手ということもあって頑なに非協力的な態度を崩さなかったが、「雅桐銃」といった自身に見の覚えのない武器が出回り始めたことを契機に行動を開始。

もはや用済みと見做されたことで放たれた劍客兵器の刺客から逃れた後は、&color(gray){「貴様らや劍客兵器や小樽の街なんて心底どうでもいい」}とうそぶきつつも、自分で作った「雅桐」のブランド名を勝手に使うどころか、奪い取ろうとする行為を&color(gray){「許すまじ」}と判断。阿爛に&color(gray){「自慢の頭脳と理論で劍客兵器の居所を推察してみせろ」}と推理を任せる。

劍客兵器の拠点を発見した後は&bold(){このままだと雅桐紋は劍客兵器の紋印になってしまい、自分もその一味と見做されてしまう。}

そうなると銃の販売や各種破壊行為などにも自分が関わっていることになるので、&color(gray){「雅桐倫倶は何一つ違法なことをしていないということを示すために、連中に一筆書かせる」}と決断。

明日郎・阿爛の二人に協力の対価として&color(gray){「小樽での報酬の1/3ずつを支払う」}と約束し、3人だけで劍客兵器の拠点にカチコミをかける。

作戦は首尾よく進み、小銃を手にしたところで幹部らしき人物に一筆書けと要求したところまではよかったが、その人物は劍客兵器の&bold(){記號}、&bold(){本多雨読}だった。

戦型・書裏剣によって手傷を負わされ、一転窮地に追い詰められるが……。


**◆観柳の叫び


周辺に火薬をばらまく阿爛の策も封じられ、追い詰められた観柳は本田に対して

#center(){
#bold(){&sizex(7){&color(gray){「負けましたーーーッ!!!」}}}}

と&bold(){あっさり土下座で命乞い。}

その場に駆けつけた剣心に&color(coral){「五年前とまるで変ってござらんな」「通じぬ相手とわかれば恥も外聞もなく へつらい保身に走る」「これが金の亡者の惨めな成れの果て」}と
あからさまに侮蔑される。

しかし──。



#center(){
#bold(){&sizex(6){&color(gray){「うるせええ!!!」}}}


#bold(){&sizex(5){&color(gray){「こちとら生まれた時から貧乏人! 明治になっても貧乏人!」}}}


#bold(){&sizex(4){&color(gray){「てめえら土で作った粥を喰ったコトあるか? 雑草だけの鍋を喰ったコトあるか?」}}}

#bold(){&sizex(4){&color(gray){「どっちも目から垂れる塩気がなけりゃあ喰えたもんじゃねえって知ってるか!?」}}}

#bold(){&sizex(4){&color(gray){「維新の英雄様に分かるか!? 御典医の愛娘に分かるか!? 御庭番の天才跡取りに分かるか!?」}}}

#bold(){&sizex(2){&color(gray){「つーかてめえら全員美男美女じゃねえか! 分かられてたまるか!!」}}}

#bold(){&sizex(4){&color(gray){「何一つ天から与えられなかった"持たざる者"が人並み以上になるには}&color(gold){金}&color(gray){しかねえ!!!」}}}

#bold(){&sizex(5){&color(gray){「}&color(gold){金}&color(gray){の亡者!? 結構結構!」}}}

#bold(){&sizex(6){&color(gray){「}&color(gold){金}&color(gray){の亡者で大結構!!」}}}

}

ここにきて今まで抑えてきた心の叫びが大爆発。
&bold(){実は観柳は、元から金に恵まれてきた生まれではなかった。}
[[貧しい極貧の家に生まれた>貧乏キャラ]]彼は、それこそ地べたを這い泥をすするような思いで、死に物狂いで金を稼ぎ、今の地位にのし上がったのであった。((実際、原作本編でも左之助が「何をやったのか知らないがここ数年で急激に財力を強めた」と言っている。)
悪党ではあるものの、彼なりに苦労をしてきたのである。
&s(){美男美女の下りは只のやっかみだろとか言ってはいけない}

その迫力と、よく見ると&bold(){地面に手をついていない}(=&color(gray){「金は差し上げますから どうか命だけはお助けを」}といったのは嘘で、実際は屈服した振りをして逃げる隙を窺っていた)事に気がついた阿爛は、観柳の意志に応えんと、駆けつけた明日郎に「無限刃を抜け!!」と叫ぶ。

友の願いをしかと聞いた明日郎の無限刃によって、火薬に引火、大爆発を起こすのであった。

&font(l){観柳本人が一番驚いてた? 気のせいです}


阿爛と共に天幕に飛び込んでなんとか爆発から逃れた観柳は、爆発に巻き込まれて怒髪天状態の本田に対処するために、武器を探す。

そんな彼の目に飛び込んできたのは一際どでかい木箱。その中を覗いた観柳は──。



**◆以下衝撃のネタバレ

#center(){

#bold(){&sizex(6){&color(gray){「神の悪戯か? 魔の囁きか? 仏の気紛れか? 鬼の誘いか?」}}}


#bold(){&sizex(6){&color(gray){「否! これは惹かれ合う運命! 5年の時を経てこの最果ての地に再び!」}}}


#bold(){&sizex(5){&color(gray){「参ッ上!」}}}

#bold(){&sizex(6){武田観柳 with &ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}}}
}



そう、観柳が阿爛と共に見つけたのは、かつて剣心と御庭番衆に対抗するために使った兵器、&bold(){&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}}だった。

かつて北越戦争において官軍の大きな脅威となった兵器を前にしても本田は一切怯むことなく(曰く、『箱館戦争の際に鹵獲したものの使いみちがなく死蔵されていた旧型の骨董品』らしい)((史実では当時の北海道開拓使が新たにガトリングガンを購入配備しており、時代的に旧式と呼べる兵器ではないのだが劍客兵器はそれ以上にオーバーテクノロジーな技術を持っていたり、[[個人>雪代縁]]が設立した武器商人組織が甲鉄艦を入手できる世界なので否定できない。))&ruby(せきりょく){赫力}を発動。&bold(){&ruby(ショリケン ランドク){書裏剣 乱読}}で&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}の弾幕に真正面から立ち向かう。

#center(){
#bold(){&sizex(6){&color(gray){「新旧? そんなのは些細なこと」}}}


#bold(){&sizex(6){&color(gray){「この私の腕の中に&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}があることが!! 最重要なのです!!!」}}}
}



#center(){#bold(){&sizex(6){&color(gray){「ガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガトガト!!!」}}}}

#center(){#bold(){&sizex(6){「ショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショショ!!!」}}}



凄まじい&font(l){3カメガトガト}ラッシュの末に、観柳はかつて剣心と御庭番衆に敗北した時と同じ、弾切れ寸前の状況に陥る。本田は5年前と同じ轍を踏んだとあざ笑いながら、観柳にとどめを刺そうとする。しかし──。

#center(){#bold(){&sizex(5){&color(gray){「弟子ィーーーーッ!!」}}}}

#center(){#bold(){&sizex(5){「ハイーーーーーッ!!」}}}


#center(){#bold(){&sizex(6){&color(gray){「弾倉 交換!!」}}}}


#center(){#bold(){&sizex(6){武田観柳 with &ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}&br()&br()&sizex(7){and 弟子 阿爛}}}}


#center(){#bold(){&sizex(6){&color(gray){「&ruby(パーフェクト){完璧}です! もはや私に死角なぁ―し!」}}}}


かつて剣心たちに負けたときとは違い、今の観柳には頼れる弟子がいた。
阿爛の助けでリロードを行った観柳は、その圧倒的弾幕量で次第に本田を追い詰めていく。

そして──。

#center(){#bold(){&sizex(8){「ッ武田 糞観柳ー!!」}}}

#center(){#bold(){&sizex(8){&color(gray){「『様』をつけんか 無礼者ォ!!」}}}}


ガキン!!

#center(){#bold(){&sizex(8){「ぐあっ」}}}


#center(){#bold(){&sizex(8){&color(gray){「&ruby(フィニッシュ){完了}です!」}}}}


&bold(){なんと非戦闘員の立場でありながら、劍客兵器の一角を下す}という大金星を上げることに成功。

その後、再び味わった[[「最強」>最強]]の感覚に酔いしれるかのような、邪悪な笑みを浮かべる観柳。危険を感じた剣心が逆刃刀を抜くが──。


&bold(){&color(gray){「&ruby(これ){回転式機関砲}は違法──……これが最後。これでお終いです」}}


観柳は&bold(){自らの意志で }&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}から手を放す。
&color(coral){「(違法からは手を引くというのは)本気だったか」}と驚く剣心を尻目に、己の過去を振り返る観柳。


阿片や武器といった犯罪行為で金を稼ぎ、極貧生活から成り上がったこと。

しかし、どんなに贅沢三昧したところで、「劣等」の味は舌に性根に染み付いていたこと。

それでももっと成り上がれば……と金を稼ぐことに躍起になっていた頃。


#center(){#bold(){&sizex(5){&color(gray){(あの日あの時あの場所で 君と巡り合った──……)}}}}



すべてを破壊し尽くす圧倒的な「力」である&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}。
生まれてはじめて味わった無敵の味は、ほんのひと時とはいえ自分には金はあっても「力」はないという観柳の「劣等」を鮮明に打ち砕いていた。



#center(){
#bold(){&sizex(4){&color(gray){(今でも君は最高です 今一度会えて本当に良かった)}}}


#bold(){&sizex(4){&color(gray){(けれどもう君と私は住む世界が違う これ以上は一緒にいられない)}}}


#bold(){&sizex(4){&color(gray){(君への想い雅桐倫倶の名と紋に刻み 私は堂々胸を張って再起を図ります)}}}
}



#center(){
#bold(){&sizex(4){&color(gray){「ガトリングの名は武田観柳と共に──……」}}}



#bold(){&sizex(6){&color(gray){「さらばわが愛しの&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}──……」}}}
}





&font(l){BGM:ラブ・ストーリーは突然に}
&font(l){あと観柳の話を聞いている&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}の角度が完全に[[ヒロイン>メインヒロイン]]のそれ。}


**◆脱法から合法へ

その後、阿爛を商売仲間として誘ったが、旭と明日郎は用無しと言ったことから、彼には「お金を儲けて美味しいものを食べるなら僕たちは3人で」と丁重に断られる。

それに対して観柳は餞別として、樺戸集治監の便所の底で手に入れた最初の貨幣(臭い付き)を渡す。


&bold(){&color(gray){「先々3人仲良く残飯を漁るほど落ちぶれたときは、それを持って大商人雅桐倫倶の元を訪れるが良いでしょう。後悔という&ruby(スパイス){香辛料}が効いた、極上の御馳走を恵んであげます」}}

&bold(){&color(gray){「&ruby(グッバイ){おさらば}です 我が弟子よ」}}



去りゆく阿爛の背中にさみしげにつぶやく観柳の前に現れたのは、剣心だった。

彼に&color(coral){「今回は見逃してやるから気が変わらないうちに消え失せろ(意訳)」}と告げられた観柳は、&color(gray){「全てお偉い維新志士様の胸三寸か!? どれだけ[[正義]]なんだよ!!」}と激高する。

それに対して剣心は&color(coral){自分が正義など持てる身ではないこと、[[咎を問うなら観柳の比ではないこと>人斬り抜刀斎]]、人を守る剣は振るうが、裁く剣は振るえないこと}を語る。


#center(){
#bold(){&sizex(4){&color(coral){それに…}}}

#bold(){&sizex(5){&color(coral){土の粥はないが雑草の鍋の味なら、拙者も知ってるでござる}}}
}


同じく昔は極貧の生活をしていたものとして歩み寄りの姿勢を見せる。&font(l){決して[[薫殿>神谷薫]]の料理のことではないからな!}
実際、剣心と観柳の違いは、&bold(){手にした「力」が[[&color(coral){「剣」}>剣]]か[[&color(gold){「金」}>お金]]か。}
たったそれだけの違いでしかない。
歳も近いし、剣心には、本当に観柳の気持ちが理解出来たのだろう。

しばしの沈黙の後、剣心は観柳に対してある事実を告げる。


#center(){#bold(){&sizex(8){&color(coral){「そう遠くないうちに北海道に、四乃森蒼紫が来る」}}}}


当然観柳は驚愕する。
御庭番衆を惨殺した自分が蒼紫と出くわせば、言い訳も出来ないまま斬り捨てられるのは必至((雇い主の観柳の言動にブチギレて首根っこ掴んだ蒼紫にも責任はなくはないが、曲がりなりにも最後まで観柳側に立っていた御庭番衆に対する非道な行いであったことは変わらず報復を恐れるのもやむを得ない話である。))。
蒼紫自身は京都編で剣心との戦いなどを通して自分の中でケリはつけているのだが、当時は獄中にいた観柳がそのことなど知る由もない。&font(l){まぁ、蒼紫が黙っていても操が良くて半殺しにはするだろうから間違っちゃいない}

結果、凄まじい[[顔芸]]を披露した後、剣心も驚くほどの速さでその場から逃げ去るのであった。












夜の河原に、蒼紫への恐怖に突き動かされるがまままに逃げ続ける観柳の姿があった。

よろけて転んでしまった拍子に、観柳はとあるアイデアを思いつく。

只の大商人ではなく「大政商」になって、法律そのものを変えてしまえば……!!

#center(){
#bold(){&sizex(7){&color(gray){「&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}を合法にする これですッ!!」}}}
}



#center(){
#bold(){&sizex(5){&color(gray){「雅桐倫倶の名は武田観柳と共に……」}}}

#bold(){&sizex(5){&color(gray){「いつかまた再び」&br()「愛しの&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}よ──……」}}}
}


勇み走る観柳の上空では、彼を励ますかのごとくガトリング座が光り輝くのであった。

&font(l){ガトリング座ってなんだよとか、手段と目的が入れ替わってるじゃねえかとかいった突っ込みは野暮……かもしれない}

&font(l){と思ったら、&bold(){令和アニメ版で最初から回転式機関砲LOVEだった}という事で辻褄を合わせられた。なんてこった}


*【人物像】

#center(){
#bold(){&sizex(4){&color(gray){「そう、確かに買えないモノもあります」&br()&br()「例えば、才能 血統 家柄 容姿 肌の色 髪の色」&br()&br()「}&color(gold){金}&color(gray){で買えないモノは差別を生みます」&br()&br()「だからこその}&color(gold){金}&color(gray){なのです」&br()&br()「凡庸でも!馬の骨でも!下賤でも!不細工でも!」&br()「人並に}&color(gold){金}&color(gray){さえ稼げば人並に!」}}}

#bold(){&sizex(5){&color(gray){「何一つ持たざる身に生まれても!!」}}}
#bold(){&sizex(5){&color(gray){「それ以上に稼げばそれ以上に成れる!!」}}}



#bold(){&sizex(6){&color(gray){「}&color(gold){金}&color(gray){こそがこの世で最も平等で公平!!」}}}

#bold(){&sizex(6){&color(gray){「それこそが}&color(gold){金}&color(gray){の価値なのです!!」}}}
}

商談の際や気に入った相手に対しては敬語で話して丁寧な物腰を装うが、卑劣、狡猾、利己的で守銭奴な部分はかつてのまま。

それでも過去の苦い経験や月日の流れによって、精神的に成熟した部分を見せており、言動の端々から商人としての美学やプライドが垣間見える。

前述の便所の糞をかき分けながら集めた金を「汚い」と言った霜門寺に対しては&bold(){「あなた商人の才能ありませんね。金に綺麗も汚いもありません」}と言い返し、
上述の&bold(){「金で買えないものは差別を生む」}、&bold(){「人並みに金さえ稼げば人並みに それ以上に稼げばそれ以上になれる」}、&bold(){「金こそがこの世で最も平等で公平でそれこそが金の価値」}といった言葉は、異人とのハーフである阿爛の心を動かした。

良くも悪くも剣心や左之助と言った主要人物とは別ベクトルの信念を持った人間として描かれている。


*【戦闘能力】
単純な身体能力では十歳の時の弥彦にも劣り、武術の心得も無いと思われるため、恐らく作中でも最弱。
しかし、それは飽くまでも観柳が素手の時の話。
&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}を装備した観柳は、御庭番衆を全滅させ、剣心を敗北寸前まで追い詰め、劍客兵器の一角を下すなど作中最強クラスの戦闘能力を持つ。
本人は所詮兵器に溺れたガトリングガンのオマケ…と思いがちだが、
実は観柳は&bold(){当てたいところにだけピンポイントで弾を当てる}妙な精密射撃能力を発揮している。&s(){これそういう武器じゃないから!}
例えば本編では「下手に撃てばこの油袋に引火してドカンだぜ」とひょっとこに脅されたにも関わらず、&bold(){頭部だけを的確に撃ち抜く}ことで彼を下している。
それだけでなく、北海道編でガトガトした際も本多の両腕だけを撃ち抜き、「命までは取らない」という有言実行を果たしている。
あと、上記の通りキネマ版では&bold(){回転式機関砲を文字通り振り回すという妙な馬鹿力を発揮する}。&font(l){ホントなんなんだコイツ}

**◆&ruby(ガトリングガン){[[回転式機関砲>ガトリング砲]]}
[[甲鉄艦>大型甲鉄艦煉獄]]、アームストロング砲と並ぶ幕末三大兵器の一つで、後の&ruby(マシンガン){[[機関銃]]}の原型となった兵器。
1861年にアメリカの医師であるガトリング氏によって開発された。
アメリカの南北戦争で北軍が使用し絶大な戦果を挙げて以後、様々な型が製造され世界中に広まった。
日本では越後の長岡藩が購入し、北越戦争では官軍の大きな脅威となった。
…というナレーションが原作ではあるのだが、&bold(){令和アニメ版では観柳が直接説明する}。&bold(){[[ナレーションはちゃんといる>関俊彦]]のに}


*【余談】
本来なら北海道編では観柳の再登場の予定は無かったのだが、作者が実写版の香川照之氏と宝塚版の彩凪翔氏が演じた観柳を見て描くことを決めた。
作中の台詞の&color(gray){「こちとら生まれた時から貧乏人!明治になっても貧乏人!」}は宝塚版、ガトリング砲を放った時の&bold(){&color(gray){「ガトガトガトガトガト」}}は実写版の[[逆輸入>逆輸入(創作)]]。
だがこれにより、「武田観柳」というキャラが掘り下げられ、&bold(){ある意味では剣心のifの存在}という形で更に深みが増したと言えるので、取り入れて正解と言えるだろう。
本多を撃破した後の&color(gray){「この快感…この絶頂…これぞ破壊の権化一度味わったらやめられない止まらない…」}のシーンは[[「武装錬金」>武装錬金]]の[[パピヨン>パピヨン(武装錬金)]]の要素が入っている。
&s(){等と言っていたら令和版アニメで本当に声優がパピヨンになってしまった}
なお&bold(){令和版アニメではガトリング砲と初めて出会って大興奮する場面がアニメオリジナルで描かれた}。そしてガトリング砲を撃つ時も&bold(){&color(gray){「ガトガトガトガトガト」}}と叫ぶ。
&font(l){北海道編逆輸入した原作再現のアニオリとかいうわけのわからない状態になった}

モチーフは[[新撰組>新選組]]の五番隊組長・武田観柳斎。
「るろ剣」作中では武田観柳斎も、観柳と似た顔立ちで描かれ登場している。
なお、当初は武田観柳斎と同じく&ruby(ホモ){男色家}という設定も用意されていたが、これはボツになった。

また外見の原型は連載開始前の[[読み切り]](単行本三巻に収録)に登場した「西脇」((なお西脇は作者の和月氏の本名でもある。顔は違うが原作第一幕でも同じ名前のキャラが登場している。))。
越路郎の死後、道場を乗っ取った神谷括心流の元門下生とキャラ的にはむしろ[[比留間兄弟]]の原型で、
観柳との類似点は道場を賭場に改装する金の亡者っぷりと、恵の原型の神谷家長女を狙う程度。

また完全版の[[カバー下]]に描かれている本編の登場人物を現在の解釈で執筆する剣心再筆ではまさかの&bold(){ハブられる始末}。これに関しては和月氏が「観柳は…忘れました。」とのこと。
一度は作者に忘れ去られたキャラがここまで大躍進するとはこの時誰も思わなかったであろう。


追記・修正はいつかまた再び愛しの&ruby(ガトリングガン){回転式機関砲}と巡り会えたときにお願いします。

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