ベール「―――……それが、12年前に起きた事件の、真相。この国では『ワルプルギスの血祭』なんて厨二臭え名前で呼ばれているみたいだけど。 」
あなた「 ……… (ベールより語られた、彼女自身の壮絶な過去を耳にし、その瞳に悲哀の色を浮かべていた) 」
天王寺璃奈「……ベールちゃん……(心にずきずきと突き刺さるような痛々しい思い出に意気消沈する)…………えっと…その……まずは、ありがとう。本当のこと、話してくれて。とっても辛いことだったなんて知らなくて、すごく、心が痛いけれど…… 」
ホムラ「……ひどい…っ… そんなの、悲しすぎます……(両手で口元を覆いながら瞳を潤わせていた) 」
ヒカリ(精神世界)「……………(学園で一度敵対したとはいえ、そんな昔話を聞いてしまった以上は敵対していたことなど霞むほどに感じられ、少しずつベールに同情している自分がいた) 」
エースバーン「胸糞悪ぃ話だな……けど、お前はそんな思いを背負って今日まで生きてきたのか…… 俺たちの前ではあんな平然な顔をしてたのに…よく、押し留められるよな…… 」
メディ「…ベール様……(静かにただ、目を伏せる)…………貴重なお話を、ありがとうございます。そして、「妹」様の件については、心よりお悔やみ申し上げます…(深く頭を下げる) 」
巴マミ「……貴女も、「魔法少女」であるが故の過酷な運命を辿ってきた一人の人間だったわけね…(まるで自分のことのように受け止めては目を瞑る) 」
ボン・クレー「う゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛い゛!!!お゛い゛お゛い゛お゛い゛!!!あんだぁぁぁぁ……そんなことが、グッス…あったのねえぇぇぇぇ……グッス、グス…ああんもう…!あちし耐えられない…!冗談じゃないわよぉぉぉぉ~~~~~~……!!!(
ヴィヴィの膝上でおいおい号泣している) 」
ヴィヴィ「(悲劇、語れば二文字だがそこに込められた意味を吐瀉すれば分厚い本でも飽き足らない活字が並ぶ。重く張り詰めた空気の中彼女は)独自思想の地下帝国、矛盾点、隠蔽の痕跡が残る近代史……薄々そんな気はしたけどそっか、"この国も"そう……なんだ……(諦観、感情という荷物を下ろしたかのように肩を上下させ重い溜息を零した) 国王がベールさんから
賢者の石を"取り上げる"事に固執した理由もわかったような……。 」
はらぺこあおむし「(涙を流しながらオカマバーでハロウィンのアルバイトをしている) 」
ヒロ「……………(無言で俯きつつ、手を震わせながらベールの手を両手で覆っていた) 」
ベール「……いいんだよ。可愛い可愛いあたしのりなりーになら、どんな恥ずかしいことだって話しちゃうからさ。ただしヒロ、テメーはダメだ。(どさくさに手を触ってくるヒロに謎ビンタ。だが…)……気遣わなくてもいいよ。あんたのそういうとこ、嫌いじゃねーけどね(ヒロに)………あたしがこの国を脱走した後、街中に溢れかえった『ファントム』という怪物は全部駆除されて、平穏を取り返したみたい。だけど…サバトによる震災も、ファントムを生み出したことも、国宝の「賢者の石」を奪ったことも…すべて、あたしの仕業だとして、王に濡れ衣を着せられた。 」
ベール「でも……あたしは無実を潔白しようとは思わなかった。寧ろ、罪人としてその十字架を背負って行ってもいいって、思ったくらいよ。 」
天王寺璃奈「……どうして、そんな風に思うの…? 」
ベール「どうしてもなにも、全部"事実"だからさ。……あの時、あたしが「賢者の石」に飲み込まれそうになった時…意地張って抵抗しなければ、その力が逆流することはなかった。そうすれば、妹も…他の魔法少女たちも…「ファントム」になることはなかった… ファントムが生まれず、多くの人たちが犠牲になることは、なかった… だから…すべて、あたしのせい。あたしのせいで、よかったの…(自嘲気味に乾いた笑みを零す) 」
ヒロ「………っ!(ビンタをくらい)すまん。ちょっと、思うところがあってな…(手を離す) 」
ホムラ「…でも…そうだとしても…!ベールさんがそうしなければ、貴女も、他の魔法少女たちも…妹さんも、みんな消されていた。本当の真実を知る人間が消えてしまったら、また、他の誰かが犠牲になってしまうかもしれない…!その負の連鎖を、ベールさんが断ち切ったんです。私は…そう思います…そう、思いたいです。 」
エースバーン「俺もだ。どーも腑に落ちねえよ。誰が善くて悪いかなんてこのさい置いといてさ、「オメー」はどうなんだよ。頼れる奴が一人もいなかったからって、いろんな奴に後ろ指差されながら生きてくのって息苦しいんじゃねえか…?そんな姿…あんたの「妹」とやらが見たら、どう思うだろうな……って、俺はそう感じたが。(後頭部に両腕を回しながら、横目にベールを見る) 」
エリアス「 コトン (予備動作なく"カンテラ"がテーブルの上に置かれる。 その中では揚羽蝶のような形をした青い蛍火が踊っており……)―――この国がそういう場所であることは知っていたが、いや劣悪極まるとはこのことだ。シェイクスピアに脚本でも書かせたのかな?(透き通った、それでいて場の雰囲気に似つかわしくない軽快な青年の声を発した) はじめまして、エルメラ殿。ベール……と呼ぶのが相応しいか。こういった事柄は予測出来なかった訳では無いが当事者の話を聞かされると解像度が変わってくるものだね 」
ヴィヴィ「うわあすげー嫌なタイミングで帰ってくるな!クソボケ!クソボケ!どこ行って何をやってたんだお前が居ない間に救出液終わったぞお前―!!(エリアス入のカンテラを繰り返し殴りながら) スゥゥゥ……えっと……。付き合い長い人達にメンタル面のお話は任せます……。"目の前に現実的に"ある問題を担当しましょうかね、私は…… いろいろその、あるでしょう?立場的にそれぞれ思うところが。『賢者の石を渡してはならない事情』とか…… 」
ヒロ「……確かに、君の行動がなければ間違いなくそんなことが今でも行われていただろうぜ(ふと呟き) 」
ベール「……"犠牲"、か…… そう、ね…この国は…ううん、世界をひとりで旅して思い知らされたよ。どこへ行っても、そこには必ず"犠牲"が伴うものなんだって。誰かの幸せは誰かの不幸の上に立っているように…その"犠牲"が世界の均衡を保っているんだって。あたしも……先立った「妹」の上に立っている。こんなに滑稽な話はないよね。……ありがとう、ホムラ。貴女がその"犠牲"を焼き払おうとしてたことも、あたし、知ってるから。(
月の都での一件がフラッシュバックする) 」
ベール「……まあ、あたしは、いいよ…。「ひとり」には、慣れてっから。……慣れるのには、だいぶ時間はかかったけどね…。(シントリーの笑顔が脳裏に過る) うさちゃn……あ、え~っと…ラビーって言ったっけ?あんがとね。今度そのうさみみ触らせてよ。あ、だめ?ふーん… うおっなんだ今そっから声しなかった!?(エリアスを三度見する) 」
ベール「……それからあたしは12年間、ずっと逃げ続けてきた。王国からも…過去からも……でも、ある時を境にそれじゃあダメだと思って、天国へ逝った「妹」を弔うために、あの事件が起きた命日にひっそり戻るようになった。遺族も知り合いも、みんないない。当然彼女の墓なんか建てられていないから、自分で建てた…あの子が好きだった、人気のない海の見える丘の上に。 」
ベール「墓参りで帰国して、「二人」で海を眺めている。年に一度だけの大切な日。それで何かが報われることも、救われることもないけれど…そうすることでしか、あたしにできることはなかった。今でも時々思うよ…「魔法」なんかいらなかった、って。どんなことでもできちゃう「魔法」に夢を見て、現実を知ってさ… 金も出ねー、腹も膨れねー、救ってもくれねー。「魔法」なんて、大概がそんなもんだ。夢のねー話だぜ、って…… でも…… 」
ベール「……でも、あたしはそんな「魔法」に生かされている。『妹』がかけてくれた、最初で最後の「魔法」に。だから腐っても自分はそんな「魔法」を捨てきれないでいる。いつまでも…魔法使いの成り損ないを演じている… そんな…弱い人間だ。(そう言って、自分の胸に手をあてる) 」
ベール「……王様の言う通り、『賢者の石』はあたしの中にある。あたしの魔力の大元は、すべて『こいつ』から来ている。世界を一瞬で終わらせられる魔法だって、こいつがあればなんだってできる。…でも、願わくば早く捨てたいな、なんて思ったこともあった。あたしにとっては"呪い"だもの。そんなに欲しけりゃくれてやるさって。……けど、それでもね…『こいつ』は、形見なんだよ。妹から託された、大事なものだから。 」
ベール「あたしが旅に出た理由は、ただ一つ。この『形見』を…どこか遠い場所に起き去ること。誰も知らないところ…『あの子』が静かに、安らかに眠れる場所。そこに辿り着くまで…まだ『こいつ』を手放すわけにはいかない。それがあたしの意思。……"いし"だけに、なんつって。(はははと乾いた笑みを零しながら) 」
ヒロ「……………(自身と重なる部分があったのか、無言で話を聞いている) 」
あなた「………(
「あなた」の旅、ベールの旅…それぞれの旅路の中で、二つは交わった。その出会いはきっと、"奇跡"である。ここで彼女のすべてを知った「あなた」は、彼女のように胸に手を当て、"想う"。これからどうすればいいか、彼女の為に、自分は何をしてあげられるのか、と――――) 」
天王寺璃奈「そう、だったんだ……(ベールの話を聞いて一つ確信づいたように、小さくも強かに頷く)その賢者の石というものが、どれくらいすごいものなのかはわからない。話で聞いただけだととんでもなくすごいものなんだってくらいしかイメージできないけれど。でも、そうじゃなくて…それがベールちゃんにとって大切なものなら、すぐに手放すべきでもない。自分が納得できるその時が来るまで、大事に、しててほしい。妹さんと、"繋がって"いるんだから。 」
ヴィヴィ「破壊も廃棄もリスクが伴う代物です。皆が言うように儀式を起こさせない、という意味において妹さんが託したそれをベールさんが持ち続けたのは大いに意味がったんでしょうね……。(でもそれは、つまり……)…………(エリアス、イワンコフへ順に一瞥をやる) あの、"今"の話をしていいですか…… 」
メディ「…わたくしはヒューマギア。故に、「魔法」という非科学的な事象については皆様より知識はありません。それでも、そんな不思議な力を持つ「魔法」によって、わたくしたちはこれまで何度もベール様に救われてきたのは紛れもない事実です。故に、信じられるのです。それが世界を破滅に導くものだとしても、貴女様のように心の優しい方のもとにあるならば、賢者の石もその"想い"に応えてくれるのでしょう。 」
ヒロ「…(璃奈の言葉を聞き)そうなると、きっとこの国と戦うことになる。………(彼女一人にそれを抱えさせることなど…) 」
アスラン・ザラ「(他の面々を会話に参加させないように気を配りながら、的確に全てを耳に入れていた様子)だからな、あれはミートソースなんだよ。そんな大層なものじゃないんだ。わかったな? 」
イワンコフ「………(ここまでずっとだんまりを決め込んで生ビールのジョッキまるごと食らい尽くしながら話に耳を傾けていたが、ヴィヴィのアイコンタクトを受け取り、確信を得たように大きく頷いた)………本来、世間ではヴァナータは、マジルカを恐怖のどん底に陥れた『魔女』とされている。そんなヴァナタを、地上の人間にすら秘密にしているこのカマバッカ王国へ招待したのには、もう一つ理由がアッシブル。 」
イワンコフ「……今だから本当のことを話すわ。「エルメラ・エスポワル」……いいえ…―――『ベール・ティルチャオス』。ヴァナータのことは、本当は最初から知っていたわ。数十年前にヴァターシがこのカマバッカ王国の王位に就いた時からね。あの事件で…一人の魔法少女が脱走したことを耳にしたっキャブル。ヴァナタのことだと知ったのは、そこからよん。「賢者の石」を持って国外へ逃げたことも、何を思ってか時々この国へ人知れず戻ってきたことも…ヴァターシ自身にはお見通しだった。そして、いつか直接会って話がしたかったキャブル…! 」
ボン・クレー「い、イワ様……?イワ様は、何かを知っていて…?(ハンカチで涙を噴きながら) 」
イワンコフ「ヴァナタの知らない、この国に纏わる更なる"真実"を、ね。……でもその前に…ヴァターシはヴァナタに謝らなければならない。もっとも、そんな壮絶な過去を辿ってきたヴァナタにとって謝罪で済む問題でないことは承知の上だけども…本当のことを語らなければならッシブル。何故、ヴァターシたちが「賢者の石」を誰の手にも渡さないようにしているのか…をね。 」
ベール「……(璃奈たちの優しい言葉に、思わず口元が綻んでしまう)……どういうこと、オカマの王様…?(イワンコフの発言に眉を顰める) 」
イワンコフ「いい、魔女ガール?ヴァナータに散々酷いことを押し付けてきた『黒幕』は、クロル王でも、ましてやシロル王でもナッシブル!あの二人もねぇ…"犠牲者"なのよん。(徐に立ち上がり、壁に飾られた一枚の額縁、そこに収められた写真を見上げる。そこには、オカマ王・イワンコフを挟んで、二人の若い青年がいた。そう…――――『シロルとクロル』である) 」
ホムラ「……!その写真は…(イワンコフの視線に促されるように、その写真を見つめてはっとする)処刑広場で見た、この国の王様……本当にお若いのですね… ……?でも、それにしても…本当に若い…。数十年以上経っても、全然外見に成長した様子が見られないといいますか……(ふとした疑問を口にする) 」
ベール「それもそうだよ。だって…シロルとクロルは、"数百年間"もこのエムロードを統治してきたんだから。それは…「賢者の石」を管理し続けてきたことにより、二人の身体にその力が流れ込んだから… あの二人は"不老不死"なの。だから、永遠に年老いることはない。……でも、そんなことより、今の話はどういうこと?二人が、犠牲者…? 」
イワンコフ「……「ヴァタシたち」は、友人"だった"。先代オカマ王から続く友好関係を、このヴァターシも引き継いであの二人と上手くやっていたものよ。
エムロード王国とカマバッカ王国は表裏一体。ヴァタシたちは縁の下の力持ちの役目を担い、地上のマジルカの秩序と安寧を支えてきたッシブル。でも、数十年前…『あの事件』が起こる数日前に、二人は変わってしまった。地上の民にも、ニューカマーたちにも笑顔を振りまくことはなくなり、そして…ヴァターシたちはこの地下に追いやられてしまった… 」
イワンコフ「その原因は、外ならぬヴァタシの責任よ。ヴァターシがカマバッカ王国の王位に就くよりも遥か昔から、この大地にはある恐ろしい『魔女』が存在していたの。文字通りの、史上最低最悪の「魔女」……その名は、『 マカオとジョマ 』…!双子の魔女で、かつてのマジルカを支配しようと暴れ尽くし、結果…先代のマジルカ王とオカマ王の手により、このカマバッカ王国の地下深くに封印されたッシブル! 」
イワンコフ「ヴァタシは先代のオカマ王からこの責務を引き継ぎ、奴らが目覚めることがないように厳重に監視し続けていた…はずだったッシブル。けど、ふとした綻から…目を離した隙に封印は解かれていた。世に解き放たれた「奴ら」は再びマジルカに君臨し、そして…――― シロルとクロルの二人の身体を乗っ取ったのよ!!」
ベール「―――――!(知られざる真相にぴくりと瞼が微動する)………それ、本当なの…? 」
ヒロ「さっきの黒幕の奴らだったよな。…‥身体を乗っ取られた犠牲者だった‥というのか? 」
エースバーン「おいおい…ってことは、じゃあよ……?ベールに酷ぇことをしたのは、そのシロル・クロルって野郎の意思じゃなく…そのオマカみてえな名前の魔女に操られていたせい、ってことか…! 」
ヴィヴィ「うわ初耳……!?歴史にもそんな記述……あった、あったっけ……!?うそ、見逃してたりする感じ……!? 」
イワンコフ「そうよ!今この国を支配しているのは、本来のマジルカ王に非ず!悪逆非道の限りを尽くす最低最悪の魔女!エムロードは、マジルカは…!12年以上も前から、既に"終わっている"のよ!!奴等の目的は、ヴァナタが言ったように、「賢者の石」を使って「サバト」を開き、このマジルカに膨大な魔力を集めること!そして!その集めた魔力を利用し…マカオとジョマは本来の力を取り戻そうとしているのダブル!魔法少女も、魔法使いも、ただの人間も、ニューカマーも、余所者も!生きとし生ける者たちの生命力を根こそぎ奪ってでもよ!! 」
ボン・クレー「えええええええええええええええええええ!?!?!?!?うっそ~~~~~~~~~~ん!?!?!?!?!??あちし…聞いてないわよそんなこと~~~~~~~~!!!!!!!(ムンクの叫びみたいに絶叫している) 」
巴マミ「……良い機会だから、私からも一つ話しておきたいことがあるの。私も、その事件の違和感がずっと気がかりだった。だから調べた。この王国が700年前のサバトから誕生して以降の歴史を。だけど、そこの可愛い魔法使いさん(ヴィヴィ)も驚く通り…マカオとジョマなんて言う存在を記した歴史は存在しなかった。……いいえ、"消されたのよ"。そこで気づいたの。ここが、世界政府加盟国であったことを。私の推測だけど、この一件は、カマバッカ王国やエムロード王国だけの責任だけじゃない。恐らく…「世界政府」もその真相に大きく絡んでいるはずよ。知られたくない歴史を、抹消して…… 」
天王寺璃奈「……話が、すごいことになってきた…え、えっと~……(混乱してきたのか、頭を抱える) 」
メディ「(璃奈を察して静かに挙手する)……情報が錯綜してきたので、ここで時系列と一緒に整理いたしましょうか。事の発端は、700年前に発生した『最初のサバト』から始まり、そこで『賢者の石』が生みだされました。そこから長い年月を経て、現在のシロル様とクロル様が王位に就いた時に、カマバッカ王国に封印されてたという『最悪の魔女』が解き放たれ、二人の王は体を支配されてしまった… 」
メディ「そして、この事件の大きなカギを握る12年前の『ワルプルギスの血祭』が起こり、『二度目のサバト』が発生。ですがそれは失敗に終わり、『ファントム』と呼ばれる怪人が街に溢れて未曽有の大混乱に陥り、ベール様とその妹様をはじめ、多くの魔法使いたちや民間人が被害を被った。その中でベール様は賢者の石を手に国外へと脱走。以降は妹様の命日毎に帰国されていましたが、そこに付け込んだ王…即ち『黒幕』に掴まり、今に至る、と… 」
メディ「……この一連の流れは、「エムロード王国」と「カマバッカ王国」、そして「世界政府」の三竦みが大きく絡んでいる。すべての勢力を結ぶのは、『賢者の石』…それを持つ「ベール」様。これは謂わば、数百年以上にも及ぶ、「賢者の石」を巡る壮大な大事件です。そして今…そのすべてが、ここマジルカに結集しておられます…というところでしょうか。 」
ベール「やめてえええええええええええ!あたしのために争わないでええええええええええ!……ってやつなの、あたし?……なるほど、そういう…こと……(口元に手を当てる) 」
……カツ、カツ……(外の廊下だろうか、一つの気配、足音が迫っているような音)
ヴィヴィ「聞けば聞くほど胸糞わりーですね……隠蔽しておいて今更本腰を上げて政府が関係してくるってことは……(顎に手を当て眉間にシワを寄せ) 本位はどうあれ……"政府側にも賢者の石"を欲する思惑があるってことでしょうね。組織ぐるみか、指揮系統にそういった個人が居るかは置いておいて 」
イワンコフ「ヴァターシは、ニューカマーの歴史に泥を塗った最低最悪の魔女『 マカオとジョマ 』を再び封印する必要がアッシブ!それがオカマ王としての責任ダッキャブル!………本当に、ごめんなさいね…魔女ガール。(ベールにそのどでかい顔面で首を垂れる) 」
ヒロ「……………落ち着いて(璃奈の背中にそっと手を置く)…三すくみの勢力を結ぶベールちゃん…つまり、3つの勢力に狙われている‥ということだな…? 」
エリアス「いやーそこらのパワポより親切丁寧、そしてわかりやすく纏めてくれるね(カンテラの中で拍手するように点灯し) この国のみならまだしも世界政府が干渉してくるとなると極めて索敵範囲が広くなる。ベールを国外へ送り出して終わり!っていうのは楽観的に過ぎたようだね 」
ベール「うわああああああああああ潰されるううううううううううう!!どでけえ顔面に潰されるうううううううう!!!(わたわた)……いいよ、そんな… 貴方のせいでも何でもないわ。シロルとクロルの意思でもない聞いて、内心ほっとした。この国で生まれ育ったあたしにとっても…あの二人の王の優しさに救われたこともあったから。それがたとえ、その『魔女』が演じたものだったとしても… おかげで、見据えるべきところがはっきりした。 」
ベール「――――― あたしは行くよ。王を助けに。ううん…それだけじゃない。「妹」と共に生まれ過ごしたこの故郷を。もう、うんざりだ。あたしも、「妹」も。賢者の石に振り回されるのは。……決着をつけてやる。 」
エースバーン「っしゃー!そういうことなら話が早ぇ!俺も手を貸すぜ! 」
ホムラ「やはりマジルカ城ですか…!いつ出発されます?私たちも同行します!……………あれ?(なんか妙に既視感ある言い回しに首を捻るがホムラちゃんは気にしないことにした) 」
天王寺璃奈「……メディ、ヒロさん、ありがとう。 うんっ……なんか、希望が見えてきた…!私も、ベールちゃんの為にも、この国の人たちの為にも、協力してあげたい♪〖* >▿< *〗 」
イワンコフ「………目的は一致したみたいね。(士気を高める「あなた」たちにうんうんを頷く)……わかったわ!このエンポリオ・イワンコフ!ヴァナータたちに手を貸しましょう!これもエムロード王国とカマバッカ王国のため…!いいわね、「キャンディーズ」!?(オカマたちに振り返る) 」
ヒロ「俺も手を貸す。………君を放っておけない理由ができたから(ベールに対し) 」
ボン・クレー「がーーーはっはっは!!イワ様がそう言うなら、あちしも喜んでぇぇぇぇ~~~~ん!!!(バレリーナのように激しく回転しながら賛同する) 」
凰蓮・ピエール・アルフォンゾ「そういうことなら、ワテクシも惜しまず協力しましてよ~~~~!魔法使いの魔法も跳ね返す、この鍛え抜かれた鋼のボディの底力を見せつけ上げるんだから! 」
平野店長「わかったわ♡(バニーコスになり、ロウソクを構える) 」
巴マミ「………敵は『魔女』だけじゃない。真相を知らない…いえ、真相を知る者も含めて、世界政府関係者にも要警戒よ。「世界」と戦うということは、最悪の場合…"戦争"になるわ。(だが、それでも自分も協力しようと前のめりに詰め寄っていく) 」
ヴィヴィ「まー……政府相手にやりあうのはこれが初めてじゃないですしねっ。今度は盛大に一泡吹かせてやれると思うとわくわくしてきちゃいますねえ!(その場でシャドーボクシングをしながら) 」
メディ「しかし、闇雲に突撃するのは危険です。おっしゃる通り、世界政府が関与してくる以上は、極力組織との対立は避けたいところ… 世界政府の監視下を掻い潜り、『王』に接触することが理想です。ここは一度、作戦を練るべきかと。 」
ギィ……(静かに扉が軋む音がして、そこから何者かの気配が色濃く映る)
あなた「 ……♪ (利害が一致した者たちの様子を見て、「あなた」は気持ちが昂った。なにより、大事な仲間のベールの為にこれだけ大勢の人たちが動いてくれる。それだけで、嬉しさで胸がいっぱいだった) 」
ドーナツ屋店長「あら~~~~♪みんな仲良しなのはとってもいいことよ~~~~~♪腹ごしらえに、ドーナツ食べる?……?あら、いらっしゃ~~~~い!(扉を開けてきた何者かに両手を振る) 」
アスラン・ザラ「いいか、錬金術の基本は等価交換だ。同じ価値のものしか基本的には作れないし、同じ質量の者しか基本的には作れない。分かるかこの理屈が、あん?(
ペニーワイズたちの意識を、何故か錬金術の授業をして自分に向けている。勿論、話がまとまった彼らの話は耳に挟んだまま。同じく扉が軋んだ音にも反応し視線を向け) 」
金髪の女性軍人「動くな!!(そう言って、その部屋に向けて拳銃を勢いよく向ける)ここは完全に周囲を取り囲まれている!!(……そう言いながらも、不自然に誰も付けず、一人で) 」
ボン・クレー「……ん??ぎゃあああああああああああああああああああああああ!あ、あれはーーーーーーー!!!!世界政府の人間よーーーーーー!!!(ひいいいいいいいいいっと叫びながらヴィヴィの背後に回り込む) 」
ヴィヴィ「ねえオカマ拳法……?(ジト目でボンちゃんを背腰に見) しかたない、いけエリアス!!大爆発だ!! 」
エリアス「やだ。 」
天王寺璃奈「……!?や、やばい……っ…言ってる傍から見つかっちゃった―――――?(だが、現れた金髪の女性軍人の姿に何か違和感を覚える) 」
アスラン・ザラ「以上のことから例えば何もないところからおとなのおねえさんを創造するのは不可能であって、そもそも人体錬成は……ん、敵襲?(アホンダラどもを引き付けていたそれを切り上げて) 」
アストルフォ「いいねいいね、だんだん話が大きくなって来た!このカマバッカ王国も……お客様かな? 」
ブリジット「ん~~~でも、この人一人しか居ないみたいですし………何か別の狙いがあるんじゃないですか? 」
金髪の女性軍人「……プックク、なーんて!!(そう言うとその引き金を引く。そこからはオモチャのような花が飛び散り。その顔には赤い稲妻が走り、顔面が、いや全身が作り替わるように変化していく) 」
平野店長「お前にはその正義の鉄槌でその腐った心を矯正してやる。(台車を女性軍人に向けて放つ) 」
ベール「お願いよ!こいつらのことは見逃してやってくれ!ヒロはどうなってもいいから…!(迫真のシリアルフェイスで希うクズ魔女) 」
ヒロ「(サッと璃奈の前に立つ)……? 」
エースバーン「な、なんだあいつ…!?姿が、変わって……? 」
金髪の女性軍人→黒装束の子供「……話は聞かせてもらったよ。警戒しなくていい。一応は味方だ。今はね(赤い雷のようなスパークと共に、大人の女性ほどの容姿だったそれは服ごと変質し、黒い細身の少年か……或いは少女か。性別の図れない中性的な子供へと変わる)……へぶっ(……その次の瞬間、台車が顔面に直撃) 」
アスラン・ザラ「子供…?(変化したそれを見て、面食らうように)いやしかし、この気配……パラガス?あ、ストライク(台車が直撃したのを見て) 」
DOMAN「今ですぞ!!滅べ!!滅びなされ!!(クッパクラウンを追撃で子供に投げる) 」
ボン・クレー「な、な、な…――――なんですってえぇぇぇぇ~~~~~~~~!?!?!?!?!?!?(自分と同じ"変装"の能力を持つ謎の子供にびっくり仰天する)あ、あんたぁ!何者なのよおおおおん!?!?!?あちしと同じ能力者ぁ!? 」
メディ「お子様相手におやめください(DOMANを一蹴)……何者かは存じませんが、そうおっしゃられるのなら…。 それに、今は勢力的にはこちらの方が不利な故、人手が欲しいところなのも事実。ですが、皆様の行動次第では…マジルカに纏わるこの事件の真相を、『黒幕』による暗躍を告発すれば、可能性はまだあります。もっとも、それを"不都合"だと捉えられて白紙にされてしまえば身も蓋もない話ですが… 」
黒装束の子供「ったいなぁ……っぶね!!(台車をどかしながら、続いて飛んでくるクッパクラウンを屈んでかわして)……ま、そんなとこだよ。こっちはそれだけじゃあないけどね!(ボン・クレーへ笑いかけるようにして)……そ。そっちのデコッパチの言った通りだ。パラガスの、『お父様』の子供……あの筋肉ダルマの兄弟と思ってくれりゃいい。アレからの紹介って言えば多分通るだろ?そこの顔のデカいおば…おじ…どっちだ?(そう言って何処からか取り出した手紙を面々へ投げつける) 」
エリアス「政府はヤクザ屋とやってることが似てるからね……。業界用語で言うところの"メンツ"というのかな? 12年間も国王が世界規模の大悪にすげ変わっていた……それが"加盟国"の中で。そんな事実が知れ渡ればそれこそ世界政府加盟国というブランドに傷がつく。 極端な話バスターコールで"国ごとなかった"っという風に処理するかもしれない……。 と、"経験則"で僕はそう思うけどね 」
イワンコフ「ふぅん…随分生意気な口を利く餓鬼じゃない。けど、面白いわ。いいじゃない、そのお子もつれて行きましょう。 」
ヴィヴィ「そのマカオとジョマっていうのは現時点で制圧じゃなくて"賢者の石の奪取"が最優先目標……なんだよね?(黒装束の子供を横目で見つつ、挙手をし) かなり博打だけど『餌』で釣れたりしないかな? 」
メディ「………穏やかじゃないですね…(エリアスの言葉に目を伏せる)……となればやはりのこと、慎重に事を運ばなければ。皆さま方の今後にも影響を及ぼしかねないので。 」
アストルフォ「乗り掛かった舟って奴じゃない?今更素性の分からない人が増えたって大差ないし!なんだっけ、呉越同舟って奴?同じ船でどこまでも……うーん、国ごと吹っ飛ぶなら尚更みんなで移動した方が良いと思うけどね 」
黒装束の子供「話が分かるねぇ!さすが王様!……アンタらの目的も、奴らの目的も賢者の石だろ?都合がいい。利害がだいぶ一致してる。この国をひっくり返すんなら協力するよ……(ジジ、と赤い雷が走り、顔半分を別の顔に変えて)……変身能力持ちなんていくらいてもいいだろ?こんな状況だとさぁ!……それに、あのオカ魔女に好き勝手させたくないんだよこっちとしても。……お父様と同業他社だしねぇ? 」
ベール「…「餌」………となれば―――― (ここで、ボンクレーと黒装飾の子供の二人、正確には、"変装"の能力を持つ者たちに目を細める)………貴方たちに囮になってもらいたいかも。ここで似た能力を持つ者がいるのは、何かの縁かもしれないし、ね。 」
ホムラ&ヒカリ(精神世界)『変装ですか!?私にも任せてください♪(そう言ってまたプリムの着ぐるみを取り出す) またそれかよ! (ヒカリ) 』
天王寺璃奈「……よかった…協力者が増えてくれるのは、嬉しい…♪ うん、そうだね。メディの言う通り、作戦を立てなくちゃ。まずは…―――――(そう言って話を進めようとした、次の瞬間――――) 」
オカマ「イワ様!大変よ~~~~~~!!こ、これを見て~~~~!(その時、一人の監視担当のオカマが慌てふためいて現れると、フロアの壁にかかった巨大スクリーンを起動する) 」
ギャー! ウワアァァァー! タスケテクレェー! ニョアアアアアアアア! オシエハドウナッテンダオシエハ! マンミキヨー!オッペケテンムッキー! ギャアアアアァ!(スクリーンに映し出されたのは、映像電伝虫が捉えた地上の現在の光景。そこには、逃げ惑う人々と…彼らを追いかける灰色の身体を持つ怪物たちの群れが映し出されていた)
ベール「ッ――――!?(映像に移るその『怪物』たちに見覚えがあるのか、顔が青ざめる)………『 ファントム 』…ッ…!?なっ…どうして…!?12年前に根絶されたはずじゃ…っ……!(脳裏に思い浮かぶは当時の地獄絵図。あの時と同じ光景が、今まさに目の前で起こっている事実に絶句する) 」
エースバーン「……おい…っ…んだよ、あの怪物ども…!?あれが、話で言ってたやつか…!? 」
イワンコフ「……ヴァターシも驚きを隠せナッシブル…!『ファントム』ですって!?…12年前の事件が発生したその直後に、確かに全滅したはずよ…?それが、なぜ今になって……ッ…? 」
ブリジット「わわっ……!初めて見るタイプの怪物……!知ってるんですか?早く止めに行かないと、大騒ぎになってますよ…! 」
メディ「この状況で、王国でも世界政府でもない、第三勢力の襲撃…ですか…っ… 原因はどうであれ、放置することはできません…! 」
ベール「――――― ち ぃ ッ ! (我先にフロアを飛び出して地上へと急行する。衝動的に駆り出されるように、過去の"因縁"が自分を誘うように―――) 」
ヴィヴィ「12年前も"居なかったものが現れた"訳でしょ。今回も"新しく拵えられたファントム"だったりするんじゃないですかね!(杖を手に立ち上がりベールの後を追う)第三勢力……いや、憶測には過ぎないけれど……けれど……! 」
天王寺璃奈「そんな…どうして急に――――!(一目散に飛び出したベールに「あっ!」と唖然する) 待って、ベールちゃん…!……大変…一人で行っちゃった… それに、ただでさえベールちゃんが外へ出ると、いろいろ危険…!私たちも追いかけよう! 」
黒装束の子供「ファントムねぇ……確か指輪の魔法使いサマが……お(駆け出して行ったベールを見送り)行っちゃったよ、あの子?何に焦ってるんだか……冷静じゃないってのはツライねぇ…… 」
あなた「――――!(ベールを追いかけるように走り出す) 」
イワンコフ「ここで考えあぐねていても仕方ナッキャブル!とにかく、今はあの魔女ガールを守るのよ!行くわよ、キャンディーズ!!!!(┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨)(「ヴァタシについてこい!」と言わんばりに数多のニューカマーたちを引き連れ地上へ突撃していく) 」
― PM20:30 マジルカ・城下町 ―
グール『 ドッ ドッ ドドッ ! (有象無象に溢れ出す怪物たちが、その襲撃範囲をどんどん拡大化させていく)』
ベール「こんの――――(魔法の箒「箒星」をその手に顕現させながら宙を舞い、地上に蔓延る灰色の怪物たちに狙いを定めると―――)―――消え失せろッ!!!(手中から無数の星型魔弾を解き放って撃退していく) 」
北條透「(その頃、「あなた」たちのいる区域から離れた場所にて―――)―――こちら北條!現在、A8区画に正体不明の怪物が多数出現!現在、警察チームで交戦中!ですが、支給武器では全く歯が立たちません!至急応援を要請!繰り返します、至急応援を要請します!! 」
グール『 グ ギ ギ ッ … ―――― シ ュ バ バ バ ッ ! ! (ベールたち、あるいは警察組に反応した怪物たちが一斉振り返り、次々と雪崩れ込むように襲い掛かっていく)』
天王寺璃奈「はっ、はっ、はぁ…はぁ……!(慌てて追いかけてきたためか呼吸が乱れている)……っ……―――!あれが…ベールちゃんの言っていた、『怪物』……!みんな、気をつけて…! 」
ヴィヴィ「(地上へ出るなりズタ袋から青白く光を反射する硝子片をグールへ向かってばら撒き、 両手で握りしめた杖を床へ突き刺す) 纏めて……爆ぜて!!(杖を中心に魔法陣が展開。 ガラス片が撒かれた一帯にも同様の魔法陣が出現し、ヴィヴィの足元の魔法陣から電流が流れ……) ジュ オ ッッ (固体が液体へ、液体が気体へ四散するような音共に光柱が上りグールを浄化しにかかる) 」
ホムラ「みなさん、こちらへ!逃げてください!(慌てふためく民間人の避難誘導を行いつつ、グールの大群を見据える)………覇気を感じない…まるで、抜殻みたいで、不気味…っ…… 」
神戸尊「――――こちら神戸、警察庁技術特科へ繋いでください……ええ、対異能武装の許可を!(柔術、蹴り技でグールの猛攻をやり過ごしつつスマホで連絡を取り) 【 武装解禁 】 (グール二体に挟み撃ちにされる寸前、サングラスに赤い文字が表示されアラートが鳴り……)(間に合った……!) ―― 変 身 ―― 」
神戸尊 → 仮面ライダー3号「(神戸を覆い尽くしていたグールの群れを薙ぎ払いながら"何か"がプロペラのように回転し自身を囲う一切を蹴散らして無理やり間合いを離し飛翔。 落下するそれらをバックに、三点着地を決める)【強化外骨格・仮面ライダーオルタナティブ3号】……現着ッ! 」
ウェルド「ゴッ!!ドゴッ!! (警察隊の最前線に立ち、グール達に"を込めた徒手空拳で対抗している)とにかく今は応援が来るまで持ち堪えて!!我々の防衛ラインはこれ以上下げられませんよ!! 」
警察官『発砲を止めるな!どんどん撃て! 奴らをこれ以上進ませるな!! くいとめろーッ!(バキュン、バキュン、ンバキュンッ!!)(パトカーに身を潜めながら拳銃で応戦を試みるが、まるでびくともしないため各々に焦燥感が募っている)』 」
ブリジット「よい……しょ!!(YOYOを振り回し、グール達に応戦)間近で見ると凄い数ですね、大仕事ですよ……!! 」
ボン・クレー「ジョーーーダンじゃなーーーいわよーーーう!!!このあちしを誰だと思ってるわけぇーーーー!?(ヌバーン!と回転しながら跳び上がる)いっくわよ~~~~~!"あの夏の日の回想録(メモワール)"!!!(ギュルギュルギュル―――ズガアアァァアアンッ!!)(爪先を軸に高速で回転し、その遠心力を利用した蹴り払いでグールどもを薙ぎ払っていく) 」
ヒロ「……(璃奈の前に立つ)さぁ、やるか(土刀を生成させる) 」
凰蓮・ピエール・アルフォンゾ「 ふ ぅ ん ッ ! ! ! (自慢の椀力を発揮しグールどもへダブルラリアットをかます) 」
グール?「………………(その内、グールの一体の様子が何やらおかしい。その群れの中に混ざる一体が、ゆっくりと近くのグールを掴み) 」
メディ「はっ!(グールの一体を手刀で捌き倒す)……「ファントム」、と言いましたか… この怪物たちの正体とは… 」
ベール「…さっき話した「二度目のサバト」…それが失敗したことでこの国に漂う魔素が逆流し、大きな乱れが生じた。それが原因で誕生した副産物となる魔物が、『ファントム』…! 」
ポリゴン2「すがやさ種族値はこっちのほうが高そう……トリルは逆効果か……!役割はアタッカーじゃないんだけd…… キュルルッルルリン(遠くで一般幼女がグールに襲われかけているのを察知) 悪 よ 去 れ (建物をいくつも貫通し一般幼女を襲うグールへ音速すてみタックル) ここは僕に任せて逃げるんだ!!!!!!君には指一本触れさせん!!!!!!!この命に変えてもだ!!!!!!!!!! 」
一般美人A「キャーコッチニモカイブツガー!!タスケテー!! 」
ポリゴン2「うるせえ。 」
グール?→黒装束の子供「──チョロいね!!(そのまま一体を掴み、元の姿に変化しながらグルリと振り回すように周りを蹴散らし、大きく壁に叩きつける)さってと、あっいっつっはっどっこっかっなっ(片腕を刃物状に変化させ、辺りを切り伏せながらスキップするように街道を行く。その足跡はまるで巨大な怪物が歩んだように抉れていた) 」
アストルフォ「(片手剣を振り、グールの群れと真正面から応戦)数は多いけど、一体一体ならなんとかなりそ……気を付けて!変な動きをしてる奴が居るよ!! 」
ベール「奴等は見境なくこの国の人間を喰らう… 目的はただ一つ、その人間の中に魔力を持つ者…つまり、魔法使いや魔女になる可能性を秘めた奴らからその魔力を奪い、進化するため…!だからファントムは本能のままに人間を襲う。獣が餌を喰らうように、人間が家畜をいただくように、ね…。 」
ヴィヴィ「あまり考えたくない事態ですけど『第三のサバト』が行われたとかじゃないでしょうね……!ああもう一体一体潰すのは骨が折れる、ぐまモン!!任せた!!("あなた"の背後に向かってモンスターボールを投擲し) ベールさん私の後ろ頼みます!! "インセンディオ<切り裂かれよ>"!!(自身の背後からグールが複数襲いかかってくるが無視し、 ベール、メディに襲いかかってくる複数体へ向かって三日月型の斬撃を杖から飛ばす) 」
ベール「…ファントムはかつて、『魔法少女育成計画』で犠牲になった魔法少女たちの成れの果て…だけど、奴らはそこから体を分裂させ、増殖する…!けどそのスピードは遅い…このまま叩けばどうにかならないことはない…!(そう言ってさらに攻撃の手を続けようとするが―――) 」
ぐまモン「(あなたの背後に投擲されたボールから、あなたの身長の3倍はあろう巨大な影が立ち上がる) V O O O OOOoooooo!!!!!(それはあまりにも"熊"だった。野生の咆哮を解き放ち、片手で紳士的にあなたを抱き上げつつもう片方の上でグールを床ごと破壊し薙ぎ払おうとする) 」
内藤「―――――――(ベールたちのもとへ、おぼつかない足取りで現れるのは一人の根暗な男性。民間人をかばいながら戦う彼らの行動に目を見張ると…)……いい…実に良い…! 赤の他人のために身を張って戦う、その姿勢…実に美しい!(戦いの渦中で暢気に彼らに賞賛を与える) 」
あなた「……!(ぐまモンという名のガチグマに驚きながらも、そんなクマに助けられ事なきを得る)……♪………?(ぐまモンにお礼する中、ふと視線に入った謎の男・内藤に首を傾げる) 」
内藤 → レギオン「……その「心」――― 覗 い て み た い !(黒い眼が赤く不気味に発光したその瞬間、全身が蜃気楼のように大きく歪みを帯び…瞬く間に怪物の姿へと変貌を遂げた)―――― エ キ サ イ テ ィ ン グ … ! (両端に刃がついた薙刀「ハルメギド」をその手に携え、ベールたちへ縦横無尽に振り抜きながら襲い掛かった) 」
ベール「おいあんた、さっさと逃げ出しなっt――――ッ゛!?(内藤に避難を促したのも束の間、本性を現したその姿に仰天しながらも間一髪斬撃から退く)……っ……こいつは驚いた…まさか、"ファントムが人間に擬態していた"なんてね…! 」
ホムラ「あれは…!他の怪物たちとは、明らかに違う…!覇気も微かに感じられる… あれは、手強い…!(警戒心をあらわに聖杯の剣を手にする) 」
イワンコフ「――――"DEATH WINK"!!!( ド ン ッ ! ! ! )(ただのまばたきで爆風のような風圧を放ち、グールの大群を吹き飛ばしていく) なんですって!?ファントムにそんな力が…いや、違ッシブル!もともと備わっていたというより、"進化"したとでも言うのかしらね! 」
ヒロ「うおらぁ!!(土の薙刀をレギオンに向けて投げつける) 」
ヴィヴィ「突然変異体ってとこかな。親玉、他のグールを統率する個体だったりする?ならこいつを袋叩きにできるのはラッキーかも……楽観的だろうけど……!(杖を分離。片手持ちの短いそれへ変形させ身軽に動けるようにしつつ背後へ一瞥をやる) ぐまモン、やばくなったら脱出スイッチ。いいね 」
エースバーン「なんだかしらねえが先手必勝だ―――どらぁッ!!(ヒロの攻撃と連携してレギオンへ飛び蹴りを仕掛ける) 」
ブリジット「どういう事ですか!?それって……!!あのグール達が自己進化するって……!!行って!ロジャー!!(火炎を纏ったぬいぐるみをレギオンに向かって射出し、彼の動きを止めに掛かる) 」
レギオン「フンッ!(ガギィンッ、ギィンッ!!)(ヒロが投げ飛ばした土の薙刀を自身の獲物で弾き返し、続くエースバーンの飛び蹴りを刃の表面で受け止めては薙ぎ払う)…下品な奴らだ…俺の欲望を満たすのは、美しい「心」、ただひとつ! ふんッ! (そう言うと種のようなものを周辺にばら撒く) 」
種 → グール『 パ キ パ キ パ キ ィ ッ … ! (レギオンに撒き散らされた種が割れ、中に凝縮されていた怪物たちが水膨れのようにその姿を顕現させ、「あなた」たちに襲い掛かっていく)』
黒装束の子供「なーにーしーてーんーのっ!!!(ドゴ、ドゴと巨大な音を鳴らしながら建物の上をスキップ、そのまま踏み潰すようにレギオンへ落下し、大きく地面を巻き上げる)よっ、ここに居た? 」
レギオン「フハァ!(燃え盛るぬいぐるみを薙刀で斬り落とす)ぬっ…!(黒装飾の子供の踏みつけをバックステップで避け、態勢を整える)俺の快楽の邪魔をするな…!(ボォンッ、ボォンッ!!)(その後、顔面の球体部より禍々しい魔弾を次々と撃ち放っていく) 」
平野店長「けしからん 私が喝を 入れてやる(季語なし)(台車を大量に発生させ、黒装束の子供とグールどもに向けて放つ) 」
ホムラ&メディ『メディちゃん、行くよ! / はい!(各々に武器を構えると、新たに出現するグールの大群を斬り伏しながらレギオンに向かって進撃していく) えいっ! / はっ! (互いに×状になるように斬撃を振り抜いた)』
ヴィヴィ「(何を言ってるかわからないけど"魔力"を吸収るのがこいつらの目的なら尚更ベールに近づけさせるのは不味い……!) "プロテゴ"! (杖を一振り、味方全員に光玉が飛び、触れた瞬間、光を乱反射する膜が全身を覆う。物理干渉を軽減する"守護呪文"の防御バフが貼られた) えーすば……ラビー!合図出したら"かえんぼーる"!(そう一方的に言うや紫色のキノコをズタ袋から取り出し、それをレギオンへ力いっぱい投げつける) 今!! 」
ベール「…進化、か……できれば退化してほしかったよ、元の姿に、さ…――――(無残にも消えていった同胞たちの最期が走馬灯のように思い出されるが、それを振り払い前方に佇む「現実」に睨みを利かせる) あんたは、あたしが仕留めるッ…!! (星型魔弾を放ってレギオンのそれと相殺しながら前進し、その手中に光を集結させると)――― 爆 ぜ ろ ! ! (一直線上に閃光を放った) 」
アストルフォ「良い読みだね!確かに……単に狙ってるだけじゃなく、別の何かを持ってるなら……!!(ビームと剣でレギオンの魔弾を次々に撃ち落とし、ベールの前へと躍り出る)ボク達がやるべきは……グールを仕留める以上に、ベールを守らなきゃね! 」
エースバーン「おうっ!任せろ!(……ん?なんで俺、あいつの命令に…?まいっか)(ポケモンとしての性(さが)が過ったが、ヴィヴィの指示通り小石を蹴り上げて、火炎に織り交ぜてつくり出した"かえんボール"を練り上げ―――)――――そらよぉッ!!(レギオンへ向けて蹴り飛ばした) 」
あなた「……!(聖杯の剣がホムラの手に渡っている今、自分は前線に立って戦うことができない。璃奈と同じく後方で待機し、事の成り行きを見守るしかできなかった) 」
シュオ ッ……チリチリ バチ ッッ (紫色のキノコがベールの放った魔力に感応し急成長し肥大化。紫電を纏い火花を散らし……) パ ァ ン ッッ !! (電気属性の魔素と炎のエネルギーが合わさって発生する"過負荷反応"による閃光、爆炎が弾ける)
ヒロ「(弾き返されて飛ばされた………と思わせた薙刀を土の蔓で掴み、レギオンに向けて飛ばす) 」
レギオン「――――― ! ! 」
――― ズ ガ ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! ! (全員の一斉攻撃がレギオン一体に直撃し、奴を中心に激しい爆発が巻き起こった)
天王寺璃奈「……!やった…これはかなり効いたはず…!(巻き起こる爆発に驚きつつも静かに見守り続けている) 」
黒装束の子供「ったく、こんなのやってらんないよねぇ……こっちはこんな暇……あうっ(と、横滑りしながら巻き込まれないように移動していたが……台車が直撃) 」
ブリジット「ああっ、ロジャー!……でも、今の一撃で……凄い威力ですよ!!今のは!!(顔を軽く覆いながら、爆発を見届け) 」
レギオン「――――― シ ュ ウ ウ ゥ ゥ ゥ … ッ … … ! (だが、黒煙から姿を現したのは…無傷を保った怪物。あれだけの一点集中砲火を受けながらも微動だにせず仁王立ちしていた)……いい連携だな、だが無意味だ。美しい「心」なき者たちの攻撃など、俺には効かん!さあ…もっと見せてくれ… その奥底に隠した美しい「心」を…! ハァ! (魔弾を放つ。その狙いはヴィヴィでも、ニューカマーたちでも、ましてやベールでもない…――――無抵抗に佇む「あなた」と璃奈だった) 」
あなた&天王寺璃奈『……! / きゃっ…!?(安堵したのも束の間、不意を突かれたように飛来する魔弾を前に全身が硬直する)』
ヴィヴィ「私、ああいう手合は肉の一変まで消し飛ばすまでやったって言いませんからね……ガルルルル(今にも噛みつきそうに八重歯を見せながら睨みを効かせつつ、魔力で爆発する危険薬物入りの袋を構える) 」
ベール「( ! ! ? ) ヒ ュ ッ ―――――(レギオンの挙動から全てを察したのか、咄嗟的に発動した位置転換魔法で瞬間的に二人を庇うように割り込むと―――) く ぁ゛ っ゛ … ! (自らその魔弾を受け、地に跪く) 」
エースバーン「しまっ―――!……お前……!(我が身を犠牲に「あなた」たちを庇ったベールに仰天する) 」
レギオン「……フッ…どこまでも誰かを守ろうとするその「心」…お前はやはり美しい…!その「心」、覗かせてもらうぞ!!(跪くベールへゆらりと歩み寄り―――) 」
レギオン「 エ キ サ イ テ ィ ン グ ! ! (薙刀を振り抜き、ベールを×状に斬り裂いた) 」
ベール「 は ぐ ぅ゛ ッ ! ! (胸部に走る、斬り裂かれる激痛に歯を食いしばるが、成す術もなく崩れ落ちる) 」
バチ、バチバチバチィ…ッ……!!(ここで、ベールの身体に異変が起きる。レギオンの槍に斬り裂かれた彼女の身体に出来上がったのは斬痕ではない。その形をした異空間への裂け目のようなものが、彼女の身体に発生したのだった)
あなた&天王寺璃奈『 ベールちゃんっ!! / !!? 』
レギオン「……コツ…コツ…――――― バ シ ュ ゥ ン ッ (ベールの身体に発生したその謎の裂け目の中へと入り込み、姿を消した) 」
ヴィヴィ「 !? うわあ立ち上がるの早すぎ……――――(咄嗟に対応するまもなく魔弾がベールに直撃、瞳が小さく凝縮していく)心への執着、美しい心……(犠牲の、心……?) ふざ、け……るな……っ(歯を食いしばり、ベールに発生した異空間への道から意図を察する。 彼女へ腕を伸ばすより、レギオンの頭部へ杖から光線を飛ばし妨害しようとするが……) 」
メディ「そんな…!これは、いったい…ッ…?ファントムが、ベール様の中に…!?(慌ててベールのもとへ駆け寄っていく)ベール様、お気を確かにッ…! 」
ホムラ「(―――!?) ベールさんッ!! (急いで彼女のもとへ急行する)…な、なんですか…この"裂け目"…!?普通の傷跡では、ない…っ……? 」
アストルフォ「しまっ……挿入ったって事!?大丈夫!?誰か!治療できる人……これは単純な物理攻撃じゃない、何らかの…! 」
― ベールの意識 ―
レギオン「――――― ス タ ン … (その頃、ベールの「中」へ侵入した怪物。そこは、ベール自身の「記憶」。彼女が経験した「過去」に踏み込み、その光景を見渡している)……ここが…あいつの「心」の中か……!(走馬灯のように広がる彼女の「記憶」を一瞬で垣間見、興奮に胸躍る) 」
ベール「はぁ…はぁ……ッ……―――――――!!?(こいつ…ッ…!?アタシの、記憶の中に……!?)(肉体ではない、精神の中で何かが混在した違和感に瞳が凝縮する) 」
レギオン「実に美しい…!そしてその美しい「心」を滅茶苦茶に壊すことこそ、最高のエキサイティング…!! フ ゥ゛ ン゛ ッ ! ! ! (目の前に広がるベールの「記憶」を、縦横無尽に薙刀でずたずたに斬り裂いていく) 」
ベール「( ッ゛ ! ! ? ) ひ あ あ あ ぁ゛ ぁ゛ ッ゛ ! ! ! (レギオンに「記憶」を切り裂かれる度に、現実世界で横たわる本体に、見悶えるような激痛が迸った) 」
エースバーン「おい…っ、どうした!!?しっかりしろ…おいッ…!(突然身悶え出したベールに焦燥感が加速する) 」
ヴィヴィ「魔法少女から生まれた存在、抜け殻が魔法少女の中に……嫌な予感しかしない、最悪だ……!(美しい心、侵入、魔法少女……点と点が結びつきそうなのに……!ああくそったれ、今はそれどころじゃない……なんとか!なんとか!!)………(手にした杖、それに無意識に力が入る。今ここで"何かを払えば最悪は免れるのでは? ここで彼女が"望まない者"になるなら、あわよくばそれも許されるのでは。 "そんな考えが脳裏をよぎり、震えが足から胴体へ、そして手へ伝っていく……)やめ、て…… 」
ベール「っ゛……ぁ…!!はっ…ぁ……!!アイツ……あたしの中で… 「心」……「記憶」を…壊して、いる…ッ…!かはッ……ァ…!あ゛…ッ!はぁ、はぁ、はぁ…!!(自らの胸元をぎゅうと握りしめる。尋常ではない汗が滴り落ち、瞬く間に翡翠色の地面を濡らしていく) 」
ホムラ「 「心」…「記憶」…!?いったいどういうこと…!?しっかりして、ベールさん…!! 」
天王寺璃奈「……「心」……っ…?(ベールが何を言っているのかはすぐには理解できない、けれど、その様子にただ事でないことは嫌でもよく分かる。どうすればいいのか、首を振りながら懸命に考えを絞り出そうとするが…) 」
ブリジット「……だkれか、同じ様に彼女の中に入れないんですか!?このままじゃ……! 」
あなた「……―――――!(何を思ったのか、ベールの身に発生したその裂け目へと飛び込み、レギオンと同じく彼女の中へと入り込んでいく) 」
グール『 ザ ッ ザ ッ ザ ッ (そんな一同へ追い打ちをかけるように、増殖した怪物たちが彼らを包囲していく―――)』
イワンコフ「 ド シ ン ッ ! ! (横たわり、見悶えるベールを庇うように、グールの大群の前に立ち塞がる)――― 行きなさい!彼女を助けられるのは、「ヴァナタ」たちだけダッキャブル!!(璃奈たちに一瞥を与えるとすぐに前方より迫るグールたちに身構える) 」
巴マミ「…ここは私たちが!さあ、行って…! 」
黒装束の子供「……なるほどねぇ、分かったぞ。自分と同じようなことになってるな、あの子。……ってことは、だ。アンタら、関わり深いんだろ?そいつと。じゃあそいつの中に……『飛び込め』。多分それで解決する……と思うけどね?こっちは……こいつらの相手をするからさ(そう言って臨戦体制でグールたちの前に立ちはだかる) 」
アストルフォ「大丈夫、こっちはボク達がやっつけるから……そのお姉さんは頼んだよ。大丈夫、キミ達ならきっとやれる 」
天王寺璃奈「……!(果敢にも飛び込んでいった「あなた」に目を丸くした)……そうだ… ベールちゃんは、これまで何度も私たちを助けてくれた。だから、今度は、私たちがベールちゃんを助けるときなんだ…! えいっ! (そして、「あなた」へ続くように自分もベールの中へと飛び込んでいく) 」
ヴィヴィ「無茶言わないでください!人の心に侵入するっていうのはする方もされる方もリスクがデカすぎる!ましてや敵性ある者と同時になんて……ってちょ、と!?まっ……あ"あ"ぁ"ー!!?(あなたがレギオンの後を追うあなたの背を追うように腕を伸ばすが当然届かず。 背後からグールの足音が近付き)……ハァー…… パンッ(自身の横っ面を殴り活を入れ) いやあまったく!!嫌になっちゃうなぁ本当!!意気地無しで!! さっさと帰ってきやがってくださいね!!!! 」
ホムラ&ヒカリ(精神世界)『迷ってる時間はないわ!行くわよ、ホムラ! / うん…!私たちも助けられた…だから、恩返しはしっかりしないとね…!(そう言ってベールの中へ飛び込んでいく)』 」
エースバーン「任せろ―――(ヴィヴィの肩に手を置く) 生憎俺たちぁ…そうやって何度も無茶しやがってきたやんちゃもんだからな…!(「後は頼む」と頷いて飛び込む) 」
メディ「……躊躇うことなんてありません。どんな事であろうと、この方法でベール様を救出できるのなら…!(スカートの両端を摘まんで飛び降りるようにその中へ――) 」
ヒロ「俺たちの助けが必要だってんなら、喜んで力になるさ。でもこれは…それだけじゃない。俺自身が助けたいと思ったから、助けるだけだ!(ベールの中へ飛び込む) 」
あなた「―――――――― ! (「あなた」たちは落ちていく、彼女《ベール》の意識の中へと。深海のように暗く、深い、遥か先の底に眠る彼女を、呼び覚ます為に――――)」
一方……。
薬師寺九龍「(無線を聞き)え、なんだって!?怪物の襲撃!? あ、あと5分、いや3分待ってくれ!今フィーバーしてんだよ!魔法の国の台ヤベェんだって!久々に当たり台に恵まれて―――――――わがっだよ行けばいいんだろうが!!(なぜか妙なデジャヴを感じながら涙ながらに途中で切り上げ現場へ急行) 」
片桐「部下が投げ出した現場を引き継ぐのも上司の仕事だァァァァ……ここは俺にィィィィ…任せろォォォォォ(入れ替わりパチカス続行) 」
市民「キュインキュインキュイン♪めっちゃ当たるやんけここ!!!おい今日は一日打ちまくんぞ!!!!(片桐の隣で仲間とともにパチカスしている) 」
ベール「―――――――――――――――」
破り裂かれた記憶の中で、その残骸と共に虚空へ浮かぶ一人の少女
彼女の頭から魔法の帽子が脱げ落ちて、深い深い記憶の底へと沈んでいく―――――
……ああ、そういえば…そんなこともあったな
思い返せば、「その程度」の出来事だったかもしれないが
それでも、まごうことなきあたしの旅路の一部であったのだろう
あたしの人生にはオチなんてなかった
やまなしおちなしいみなしを愛するみたいに
…………オチる話をしろって?
……じゃあ、あたしが『 あたし 《 ベール 》 』になるきっかけになった話でも―――――
エルメラ(少女)「…はぁ………はぁ………――――(拾い物の古そうな杖を頼りに、覚束ない足取りで当てもなく彷徨い続ける。あれから途方もなく歩き続けてきたのだろう、玉のような汗が滴り落ちるその表情は満身創痍が描かれ、立っていられるのもやっとというところだ)」
エルメラ(少女)「……ぁ……――――――― ト サ ァ … ! (そして、ついにその時が訪れる。生命活動に限界が来たのだ。糸切れたように前のめりに杖ごと倒れ伏し、朱い大地にその頬がぺちゃりとついてしまう)」
エルメラ(少女)「…………(もう声にすらならないような浅い呼吸は徐々に弱まっていく。だが、少女の瞳の奥底で今も尚灯り続ける命の火は、閉じゆくその最中でも燦燦と輝いている。まだ、こんなところでくたばるわけにはいかない、と…抗うように重い瞼を開けようと試みるが…遭えなく瞼は閉ざされる。ぴくりとも動かない体、そこに吹きつける生涼しい風にまつ毛は揺れる)」
ザッ……ザッ……――――(少女が倒れ伏してからしばらくし、そんな彼女を見たある人影がその全身を覆った)
仮面の男「………これは………(白い仮面を被った青年声の人物は、倒れ伏している少女に目を泳がせながらもその両手で彼女を掬い上げるように抱き上げる。あまりにも慣れた挙動で。きっと、これまでこうして何度も人命救助に当たってきたのだろう。見捨てることもなく、助けることに躊躇う様子もなく、仮面の男は少女を抱き上げて踵を返す。向かう先は、レンガ造りの建造物が並ぶ王国であった――――)」
エルメラ(少女)「―――――――…………?………!(目が覚めると、どこかの一室のベッドの上に横になっていた。もう何時間も眠りこけていたのだろう。身を起こして真っ先に視界に入った窓の外からは月光が差し込んでおり、静かな夜が広がっていた)」
エルメラ(少女)「……あたしは、何を……ここは…どこ、なんだろ……?(ベッドのシーツを弱弱しく握りしめながら一室を見渡す。変わったものは見受けられない。至って簡素な造りの部屋に、必要最低限の家具しか置かれていない)」
エルメラ(少女)「………ん…(居たたまれなくなったのか、大きなベッドからよじ下りてドアノブに手をかける)………(音もなくドアを開けて廊下を覗き込む。誰もいない。声もしない。そんな静かな廊下に足を踏み込み、部屋を後にする)……(何処かは知らないが、こんなところに長居するつもりはない。そう言い聞かせるように出口を探そうと一歩踏み出そうとした、その時だった――――)」
♪ ~ ―――――(微かに耳をすませば、何処からともなく聞こえてくるピアノの旋律。その音色が、少女を足止める)
エルメラ(少女)「……?(微かに聞こえてくる静かな音色に、足がぴくりと止まる。音の流れる方へと振り返り、数秒間静止していたが、いつの間にかその足は出口ではなく音色のする方へと向かっていた。聴いたことはない音楽だ。けれど、どこか懐かしさを感じる不思議な気持ちに、少女は知らずの内に胸を躍らせていた)」
心地の良い音色に釣られて少女が踏み込んだ先には、大きな部屋
その片隅に、僅かに埃を被った古めかしいグランドピアノが置かれている
ピアノを隔てて、誰かの頭が一定のリズムを刻むように左右に揺れ動いているのが見える
少女は、恐る恐る演奏者の顔を覗き込もうと静かに回り込む
その者は、目を瞑り、滑らかな指先で今も尚鍵盤を優しく叩き続けている
この音楽の世界に没頭しているかのように
……………なんて、楽しそうなんだろう
気が付けば、少女は演奏が鳴り止むその瞬間までを見届けていた
部屋に残響する音色、その余韻が静寂にくるまれていく
演奏者の指が鍵盤から離れ、ようやくその瞳が開かれる
×××「……目が、覚めたのですね。いえ…私が覚ましてしまったとでもいうのでしょうか… すみませんね。」
エルメラ(少女)「……!(その優しい声音から放たれる謝罪に、思わずぴくりと微動して「そんなことはない」と首を左右に振る)」
×××「(それならよかった、と朗らかに目を瞑りながら微笑む)……おっと申し遅れましたね…。私は…――――― (男は立ち上がる。譜面台に立てかけていた白い仮面を手に―――)」
××× → ヴィナミス「 『 ヴィナミス・ティルク・カオス 』 ――― またの名を、『 カオスマスター 』と申します 」
ヴィナミス「……立ち話もなんです、どうぞこちらへ。(優しい笑みを絶やさず、その辺のテーブル席に彼女を促し、自身はキッチンへと回り込んで飲み物を用意しだす)」
エルメラ(少女)「………(促されるままテーブルにちょこんと腰かける。よそよそしく彼の背中に一瞥を与えた後、ふと部屋中を見渡し始める)」
煉瓦で構築された簡素な造りの一軒家であった。目立ったものはこれと言ってない
だが、本棚の上に一つだけ、写真立てがある
目を凝らすとそこには、ヴィナミスと名乗った男と、彼を取り巻く様に互いに身を寄せ合う個性豊かな人物たち
人間も、人外も、異なる種族がみな一様に肩を組み合うように笑い合っている
平和で、平等で、隔てるものなどなにもない、自由な空気がそこにはあった
ヴィナミス「………数ヶ月前に撮った夏祭りの写真です。(視界に入っていないにもかかわらず、エルメラが目にしている写真立てについて語り出す。トポトポとコーヒーを淹れる音と共に。)ここは、マイテイ国。私の友人が住まう国。この家は、その友人のご厚意により建ててくれた…まあ、私の別荘のようなものです。(そう言って二つのマグカップを手に踵を返し、その一つを少女へ差し出す)……ココアは飲めますか?」
エルメラ(少女)「……!(突然の語りに驚きながらも、差し出された飲み物にコクリと頷いて手を伸ばす)………(久々に感じる温もり。マグカップから漂う白い湯気と香ばしいココアの香りに、徐々に緊張感がほぐれていくような気がした)」
ヴィナミス「よかった…。(そう言うと自身はコーヒーを手に彼女の迎い席に座り込む)……ススス…―――(それを優雅に口に含もうとするが―――)―――― あ゛ っ つ ぅ ! ! ? (オーバーリアクションと共に噴き出しかける)」
エルメラ(少女)「 !? (男の反応に両肩がびくんと跳ねる)………フッ…(だが、それが面白可笑しかったのか、堪えきれずに小さく噴き出してしまう)」
ヴィナミス「(少女の笑みを垣間見、してやったりと目を細める)……ははは、失礼しました。お熱いので十分に冷ましてからいただいてください。(口元をハンカチで拭きながら自身のマグカップの向きを直す)」
ヴィナミス「……お体の具合は大丈夫ですか?マイテイ国と
レゼリア国の国境付近で倒れていたところを私がここまで運んできたのですが… 身体の傷は、私の上司に診てもらいました。とても腕利きの名医なんですよ。」
エルメラ(少女)「……!(そう言われるまで気が付かなかったが、改めて自分の身体に視線を落とすと、ところどころの部位に包帯が巻かれている。遥か遠い地から歩き続けてきたあの痛みはもう感じられない。)」
ヴィナミス「……魔法使い、でしょうか?」
エルメラ(少女)「……!(その問いかけに、震える。忌まわしき運命を背負った自身の性(さが)が思い出されるからだ)」
ヴィナミス「……こう見えて私にも、その心得があります。(「見ててください」と、自身のマグカップをそっと持ち上げる。もう片方の手で念じるように指を曲げると―――)―――― はいっ (マグカップから、一輪の花が顔を出す。中に入っていた珈琲はいつの間にかその花と水に差し替えられていたのだ)」
エルメラ(少女)「 !? (男の手品のような魔法に目を丸くする。生粋の魔法使いの自分には理解できた。それが本物の術であることを。釘付けになるように、丸々とした目を輝かせる)」
ヴィナミス「ふふふ…驚きましたか?……あーーーっ!!わ、私のコーヒーが……!(しまった!と、差し替えられて無に消えた自分のコーヒーに絶句する)……やらかしてしまいました。(あははと苦笑を零す)」
エルメラ(少女)「……♪(そのうっかりな様子に、また一つ、小さな笑みを零してしまう。なんて、おちゃめな人なんだろう、と…)」
ヴィナミス「…貴女から見れば、私の魔法なんてこの程度のものです。まだまだ精進が足りませんね。(マグカップをテーブルの中央に移動する)……魔法使いのお嬢さん。よければ、貴女のお名前を聞いてもいいですか?」
エルメラ(少女)「……! …… …… …… (その問いかけに、一度は口を開きかけるが言い淀む。過去の一件から、そう簡単に他人に心を開く余裕がないからだろう。自身の真名を口にするかどうか迷うように俯きかけるが…)」
ヴィナミス「(その様子を察したのだろう。理解したように二度小さく頷くと「大丈夫ですよ」と首を左右に振るう)……本当のことを話したくない気持ちは、誰にでもあります。それを無理に口にすることなんてありません。私は、貴女の気持ちを尊重します。いつか、その本当の名前が聞ける日を待っていますよ。(ふふっと、依然崩れることのない優しい微笑みを送る)」
ヴィナミス「……しかし、こうして出会ったのも何かの縁。貴女とは縁を結びたい。そうですね……(少女を凝視しながら、考えるように口元を摩り続ける)」
ヴィナミス「……分かりました。貴方の傷が癒えるまでの間、私が責任を持って、貴女の面倒を見ます。どうでしょうか…?」
エルメラ(少女)「……―――――― (助けてくれた恩人。だが、その皮を被った極悪人である可能性も拭えない。過去の一件――マジルカの国王――を経験した自分には、もう他人を信頼できることなど…そう思っていたが…)」
エルメラ(少女)「―――――……… コ ク リ … (何故か、この時は頷いてしまった。また、裏切られるかもしれない。そんな疑念を抱いていたにもかかわらず、目の前の男の嘘偽りを感じない純粋無垢な笑みを前に、首を振ることができなかった)」
ヴィナミス「…………ありがとうございます。(その感謝には、どこか重みがあった。男は理解していたのだろう。それが、少女が苦渋の決断の末に絞り出した答えであることを。過去に何があったのか自身には知る由もない。それでも、見ず知らずの他人である自分を僅かでも信じてくれたことを、心の底から嬉しく思う)」
ヴィナミス「それでは、よろしくお願いします。えっと…ああ、やっぱり名前が欲しいですね…(そう言うと一度だけ瞳を閉ざし、しばらくしてその瞼を開く―――)」
ヴィナミス「――――――― 『 ベール 』 ―――――――』
エルメラ(少女)「……!」
ヴィナミス「しばらくの間…そう呼んでも、よろしいでしょうか?」
エルメラ(少女)「…… …… ……」
ヴィナミスとの出会いを経て「あたし」は、この日を境に『 ベール 』となった
「エルメラ」という真名を"覆い包み隠す"ものとして―――
一夜明けて、エルメラ…否、「ベール」という新たな名前を得た彼女は、ヴィナミスと共にマイテイ国を後にする
旅の途中、二人が交わす口数は徐々に増えていく
時に甘味処の団子を頬張りながら、のどかな青空のもとを歩き続ける
晴れ渡るあの空のように、最初は影が多く目立っていた彼女の表情も少しずつ照らされていくのだった
そんな旅路を経て、二人はようやく目的の地へと到着する――――
ヴィナミス「 ここが住処です! (寄宿舎へ到着するや否や、促す様に建物に向けて両腕を目一杯広げる)」
ベール(少女)「(ボロいなぁ…)(と、築年数的に古いその建物を真顔で見上げている)」
ヴィナミス「ここには、私の仲間や友人…たくさんの住人たちが住んでいます。みなさんなかなか個性的ではありますが、とても親切な方ばかりですよ。さ、こちらへ…(ベールを先導するように玄関を潜る) …みなさん、ただいま戻りました。(広々としたロビーに踏み込むと、そこに居座っている大勢の人影に片手を上げながら挨拶する)」
リンク「おお、マスター。おかえりなさい!マイテイまでの長旅ご苦労様です!道中は暑かったでしょう?せんべいでも食べます?(せんべいの入った湯呑を差し出す)」
ヴィナミス「リンクさん、お気遣い痛み入ります。季節も季節ですからね。喉もカラカラです。なのでせんべいは遠慮いたします。(湯呑をそっと突き返す)」
ピカチュウ「なんだもう戻ってきたのか~?東の海(イース〇ブルー)で片腕食われて帰ってきたと聞いた時には耳を疑ったが、まあ無事で何よりだよ。懸賞金どんくらい上がった?億越えルーキーになったか?」
ヴィナミス「やあピカチュウさん。今日もイカしたジョークがキレッキレですね。無事五体満足で帰ってこれました。懸賞金はかけられませんでしたが、先日うっかりルイージさんのおでん屋台の車輪を壊してしまったことの請求代は跳ね上がる一方です。理不尽なほどに。(涙目)」
カービィ「まあいいじゃないの、元気であれば。元気があれば東〇タワーだってワンジャンプで乗り越えられるし新幹線にも走行で勝てるしインド象だって小指で押し倒せるもんだからさ!」
ヴィナミス「相変わらずカントー民は恐ろしいですね…ていうか、カービィさんは
ポップスター出身では…?」
ベール(少女)「………?(ヴィナミスの後に続いて建物へ入ると、彼に群がる大勢の人たちの圧に委縮して後方で縮こまってしまう)」
リンク「……おや!これはこれは、久しぶりの来客!気が付かずごめんなさい!私はリンクと申します。お近づきの印にせんべいでもいかがですか?もし苦手なら、せんべいなどどうですか?それもダメならせんべい…ああ!せんべいの方がいいですね!せんべいにせんべい…ほら、せんべいもありますよ!(山盛りのせんべいを持ち出しては悪意のない笑顔でベールに迫る)」
ピカチュウ「うっひょー!ロリカワな娘…ゲフンッ、可憐なお嬢様が参られたか。オレかい?オレはピカ・D・チュウ。人呼んで、マサラ王。世のハイライトを求め海に出た男、さ…(キリッ)(取り繕ったイケボでご挨拶)」
カービィ「ヨヨヨ、こういう下心のあるお兄さんはほっといて…俺はカービィ!せんべいやおでんもいいけど、うまい棒もいいぞ。特におすすめはゲンジョゲリオ味。これは僕の親友のわったんがルームメイトの山崎君のために川で釣ったザリガニをその辺の雑草でいい感じにくるめてライターの火で炙った生々しい味がしてさ…一口食べるともれなく病院行きさ。イジめたい奴がいるならそいつへのお土産にぴったりだ。まー自分は死んでもお断りだが!」
ベール(少女)「あ、ぅ……ぇと……(ずいずい寄ってくる濃いメンツにたじろいでしまう)」
ヴィナミス「ははは、みなさんどうか穏便に… いやぁ、ごめんなさい。みなさん、久しぶりの来客が嬉しすぎてついつい浮かれすぎてしまったみたいで…悪気はないので、生暖かい目で見てあげてください。(ベールのことを察して彼女を庇うように間に割り込む)」
リンク「そうですよ!いきなり押しかけるなんて非常識にもほどがあります!バツとしてピカチュウさんとカービィさんにはこのせんべいで作った海賊が目につけてるやつを付けていただきます!」
ピカチュウ「リンク君?それはね、「眼帯」って言うんだよ?(といいながらせんべい眼帯を受け取って装着する)う~~~~ん、わびさびの香りがする!」
カービィ「お兄さんのボキャブラリが豊富なのかリンクの語彙力が乏しいのかわかんないな!(不器用なのか片目じゃなく口に装着することでマスクみたいになっている)」
ヴィナミス「大丈夫です、きっとすぐに慣れますよ。誰でも最初は大人しいものなんですから。(くすくすとほくそ笑む)これから館内の案内をしますね。貴女の部屋もありますよ。」
カービィ「まあ、ゆっくりしていってね!」
ピカチュウ「何かあったらそこなマスターや俺たちに遠慮なく聞いてくれよ。たまに雑学教えてやるからさ。」
リンク「お腹が空いたら言ってください!すぐにせんべい持って駆けつけますので!たとえ火の中水の中森の中咲夜さんのスカートの中まで!」
ヴィナミス「咲夜さんに聞かれたらナイフが飛んできますよー。」
ド ッ w w w w w w (一同がゲラゲラと笑う)
ベール(少女)「………(その様子を、ヴィナミスの背後から覗き込むように見つめていた。クセが強いけれど、愉快で、楽しそうで…こんな自分を明るく迎え入れようとしてくれる面々に、思わず口の端が上がっていくことに、この時自分は気づけていなかった――――)」
それからというもの――――
カービィ「ボールを相手のゴールにシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!超☆エキサイティンッ!!!!(サッカーボールをゴールという名の〇京タワーにぶち込もうとする)」
リンク「そうはいきませんよ!キーパーの私が出来ることはこれです!!!秘儀ハイラル奥義「せんべい手裏剣」!!!(飛んでくるサッカーボールに謎波動を送り、ちょうどいいくらいのしわくちゃ感が出てせんべい化する)んまああああああああああああああああああああああああああい!(それを食すことでシュートを無効化する)」
ピカチュウ「あーあーサッカーボール無くなっちゃったよー」
ベール(少女)「(ツッコミどころが多すぎてついていけない…)(ベンチでその様子を観戦していた)」
レインド「おい…おい!!お前らルールブック読めよ!! ほら、新しいの買ってきたから今度はちゃんとやれよー(網状の袋に入った新品のサッカーボールを持ってやってくる)」
ルカリオ「でもさっきのせんべい波動で東〇タワーまでしわくちゃになってしまった。あれはもうゴールとして使い物にならないぞ。(採れたてのイチゴでドーピングしている)」
カオスマスター「┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨(砂塵を巻き上げながらグラウンドへ突撃していく) これにしましょう! (ゴールの代用品である電子レンジを両手に抱えてくる)」
カービィ「ちっちぇぇぇえええええええええええええええ!!!」
カオスマスター「これで試合がもっと楽しくなりますね! ほらっ、今度はベールさんも!(ベンチに居座る彼女を手招く)」
ベール(少女)「 !? (このカオスな流れに乗れというのか!?と絶句した表情を浮かべるが…)――――うんっ♪(すぐになんてことない無邪気な少女の顔となって、彼らのもとへと身を乗り出す)」
毎日が、楽しかった
突拍子もないことを考える人たちばかりだったけど、そんな非日常《カオス》な日常がたまらなく楽しくて
家族以外の付き合いがなく、友達がいなかったあたしにとって、
血の繋がっていない他人(だれか)と関わることなんてなくて
でも…
リンク「見てください、ベールさん!新作のトルネードせんべいプリンアラモードです!早速試食していただけませんか!?(嬉々とした瞳を輝かせながら、つるっつるのプリンの上で螺旋を描きながら浮遊しているせんべいを突き出す)」
ピカチュウ「今週のハイライト~! ベールちゃんがリンク主催のせんベーブレード大会で初優勝しましたー!拍手ー!わちわちわちー!(ベールの周囲を走り回りながら紙吹雪を撒き散らす)」
カービィ「いいかい、ベールちゃん?悟史が「ブラスター!」と叫んだら「ブロッコリファイヤー!」と返すのが暗黙のルールなんだ。えっ?その言葉の意味?考えるな!感じろ!!五臓六腑で!!!」
でもみんなは、そんなあたしを「家族」のように受け入れてくれた
ヴィナミス「傷はすっかり完治したみたいですね。……それで、どうしょうか?あの話の答えは。」
ヴィナミス「私は、引き留めません。貴女はきっとどこかへ向かっていたのでしょう。たとえ目的など無くても、どこか遠い遠い地の向こうへ、と… その旅路を遮るつもりはありません。ですが……」
ヴィナミス「ですが、一つだけわがままを言っていいのなら…私は、貴女にはここにいてほしいと願っている。ベールさんにとって、ここが貴女の居場所であり、家族であってほしいと思っています。例え、どんなに遠く離れてしまっても、またここへ戻ってきてもいいのです。いつまでも、いていいのです。」
ヴィナミス「 貴女の"想い"を、聞かせてください 」
ベール(少女)「……あたしは……―――――――――」
ベール(少女)「―――――――――――――――――」
ベール(少女)「―――――― ずっと、ここにいたい。ここで、みんなと楽しく暮らしたい。」
ヴィナミス「……(少女の涙ぐんだ瞳と共に零れたその"想い"を真正面から受け止め、強かに頷いた)……ありがとうございます。ベールさんの本心を、心の奥底にあったその"想い"が、ちゃんと伝わりました。ならば私も、手を差し伸べた者としてしっかりとその責務を果たしましょう。」
ヴィナミス「 『 ベール・ティルク・カオス 』 ――――― 今日から貴女は、私の「娘」です 」
ベール(少女)「 ! ! ! 」
ベール(少女)「………――――――― う ん っ ♪ 」
愛しい妹・シントリーへ
今日、あたしに新しい「家族」ができました
そして少女は新たな人生を育み始める。彼らと共に…
その幸せはいつまでも続くものと思われた
だが…―――――――
― 1年後・寄宿舎 ―
KBC「タピオカパン!!!!!(寄宿舎内で手あたり次第に住民たちにパイを投げつけている)」
ピカチュウ「うげー!(顔面にパイが直撃)」
カービィ「いやあ、参った参った!本日開催予定のパイ投げ大会…外は大雨という生憎の天気で中止と思いきや「雨が降ってるなら室内でやればいいじゃん!」で強引開催なんて…マスターもイカれてるよほんっと!(全身すっかりパイまみれ)」
リンク「ははは!楽しければまあいいじゃないですか!おっと、せんべいガーーーーード!(投げ飛ばされたパイをせんべいシールドでガード)」
カオスマスター「はは…すみません。今日という日を楽しみにしている住民がたもおりましたので、中止にするのはなんだか心苦しくて…あだ (横顔にパイが直撃)」
ベール(少女)「あははっ…♪ヴィナミス、隙あり~♪(彼にパイを投げつけた張本人がしてやったりと笑っている)」
カオスマスター「ほら、ベールさんもこんなに楽しそうではありませんか。(苦笑しながらハンカチでパイを拭き取り、ポケットにしまいこむ) さて、パイはまだまだあります。お祭りは続きますy――――」
ルカリオ「おーい、マスター!表に警察が来ているよ。貴方に事情聴収したいことがあるって。まさか…まぁた女に手を出しわけじゃないだろうな…?警察に〇されるぞ…!(謎シリアス顔でイチゴパイを貪っている)」
ピーポ君「(痴漢容疑で)射殺します (※ルカリオの脳内に出てくる警察のイメージ)」
カオスマスター「 「また」とはなんですか!私は一度たりとも不埒なことはしていませんよ!…わかりました、少し席を外します。みなさん、そのまま大会を楽しんでてください。(ルカリオに会釈をひとつし、その場を後にする。その際、先程使用したハンカチがポケットからするりと落ちてしまうが、気づかずにその場を後にした)」
ベール(少女)「よ~し…!今度はルカリオさんにも投げちゃおうかな―――――?(パイを構えたその時、床に落ちていたハンカチに気づいて拾い上げる)…これ、ヴィナミスの…… あー、ごめん!ちょっとヴィナミスに落し物届けてくる!(一同にそう告げて、彼が進んだ廊下に続いていく)」
ベール(少女)「わ、と、と…!(パイまみれの靴で走っていたため、思わず転びかけるも辛うじて踏ん張り事なきを得る) ヴィーナーミーs――――(玄関に近づくにつれて、彼がそこにいるだろうと呼び叫ぼうとするが―――)」
その刹那、少女は歩みと声を止めた。見慣れたカオスマスターの背中
そこに隠れた、もう一つの人影。見たことのない男が、彼の前に立っていたからだ
神津玲「―――― Genius4指揮官兼監督官、「神津玲」です。貴方がこの寄宿舎の管理人ですね。本日、貴方にお聞きしたいことがあり警視庁から馳せ参じました。」
カオスマスター「ええ、いかにも私が管理人ですが。いつもご苦労様です。本日はどのような御用で?」
神津玲「はい。その前に、一つ… 1年前、エムロード王国の首都・マジルカにて悲惨な大事件があったことはご存知でしょうか?」
カオスマスター「……ええ。度々ニュースで報道されていた一件ですね。大変痛々しい事件ではありましたが… それが、なにか…?」
神津玲「その事件の首謀者とされている「魔女」が、今も尚逃走中でして。王国が代々保管していた秘宝「賢者の石」さえも盗んで、国外へと逃亡して以来…痕跡が掴めずにいました。ですが最近、その犯人と思われる少女が、この周辺を行き来しているという目撃情報を得ました。こちらの少女に、見覚えはありませんか?(人相書きを見せつける。そこには、魔法使いの帽子を被る、翡翠色の長い髪をした少女が映っていた)」
ベール(少女)「―――――― ッ゛ ! ! ? (影に潜んでその話に小耳を立てていたが、その人相書きが紛れもない自分自身であることに酷く仰天する。ここではじめて、過去に経験したあの悪夢の事件を、その犯人として自分に塗れ衣を着せられていたという事実を知り、心臓がバクバクと激しく鼓動する)」
カオスマスター「―――――(その人相書きに見覚えがある。だが、真意を曝け出さないように冷静に鋭く目を細める)……すみません…私には心当たりがありません。(嘘を嘘と思わせない、真剣な眼差しで向き合う)」
神津玲「…………(カオスマスターのその眼差しと睨み合うように佇んでいたが…)………わかりました。では、何か情報が掴めましたら、こちらに連絡ください。(そう言って自身の名刺を差し出す)…ご協力、感謝します。(一礼した後、男は蝙蝠傘を広げて大雨の中を静かな足取りで立ち去っていく)」
カオスマスター「………―――――― フ ゥ … (張り詰めていた緊張感から解放され、小さくため息をつく)……――――?(余計な詮索はしないでおこうと誓い踵を返す。だがそこに、あるものを発見する)」
彼の眼に留まったのは、びちょびちょのパイ生地で作られた小さな足跡
それは、ちょうど曲がり角で途絶え、Uターンするように新たな足跡を作っていたのだった――――
カオスマスター「…………(嫌な予感がする、と目を伏せる)」
数日後の夜――――
ベール(少女)「……………(あれ以来、なかなか寝付けない身体になっていた。月光が差し込む小さな自室のベッドの上で何度も寝返りながら悶々とあのやりとりが思い出される)」
ベール(少女)「……………(本当のことを話すべきなのか。ヴィナミスは、真実に気付いたのではないだろうか。いつかは、ここを追い出されてしまうのだろうか。そんな葛藤を抱きながら頭を抱えて蹲っている)」
ベール(少女)「…………――――――― ガ バ ッ (そうしてずっと悩み続けた結果、居たたまれなくなり、衝動的にベッドから降りて部屋を飛び出す) ハッ、ハッ、ハッ、ハッ…! (深夜の廊下を駆け抜ける。日中はあんなに騒がしかった廊下が、今は不気味なほどに静寂に包まれている。心なしか、何度も渡った廊下が、今夜は異常に長く、広く感じた)」
ベール(少女)「ハァ、ハァ、ハァ……――――――ッ!(そして、ようやくロビー ――管理人室がある場所―― へ辿り着こうとしていたところに、誰かの話し声が聞こえて思わず呼吸を無理矢理押し殺した)」
ヴィナミス「………(いつもの白い仮面をテーブルの上に置き、ロビーのソファに腰かけて向かい席の誰かと向き合っている。とてつもなく、深刻な表情を浮かべながら――――)」
ゼウルス「(その向かい席に居座る白衣の男は、黒縁の眼鏡のレンズを歪に光らせている。両手を絡めるように組んで、まるでヴィナミスに問い詰めるような前のめりの姿勢であった―――)………「あの少女」を治療して以来、俺にも件(くだん)の話が入った。まさかだとは思うが、貴様…」
ヴィナミス「―――― やめてください、ゼウルスさん。「彼女」は無関係です。ただのそっくりさんです。私はそう確信しています。」
ゼウルス「 何を根拠にだ。 」
ヴィナミス「っ…それは……――――(上司である彼の前では、どんな嘘の綻びも見抜かれてしまう。思わず目を逸らし、言い淀む)」
ゼウルス「 ス タ … ――――― グ イ ッ ! (立ち上がるな否やヴィナミスの胸倉を掴み上げそのまま彼を無理矢理立ち上がらせる)」
ゼウルス「 いい加減にしろ、ティルク…ッ…!貴様の身勝手な判断で、ここにいる連中を危険に晒すつもりかッ!?(至近距離で檄を飛ばす) あの少女のカルテには気がかりな点が幾つもあった!それを警察に提供した結果、あの少女は紛れもなく…一国を崩壊させた最悪の魔女であることも、証拠は出ている!!」
ベール(少女)「――――――――――――」
ヴィナミス「…ッ…!…いえ…万が一にも、彼女はそんなことはしない…ッ!あの子は…あんなにも純粋無垢で、感情が豊かで、どんな人とも接することができる優しい心を持っている!(声を震わせながらも揺るぎない真摯な眼差しで訴えかける)」
ゼウルス「魔女に毒されるなと言っているんだッ!!(更に握力を強め、威嚇する)」
ヴィナミス「…ぅ…ッ…!(歯を食いしばる。それでも、ゼウルスから目を逸らしてはならないと意地を張るように向き直る) 魔女ではありません!!彼女は……彼女はッ…!!!」
ヴィナミス「 私の大切な「 娘 」です!! 」
ベール(少女)「 ! 」
ゼウルス「…………(ヴィナミスの折れない意志に圧倒されても尚睨みを利かせていたが…)……甘いな。その甘さが、やがてお前自身の身を滅ぼすことになるぞ。(これ以上の対話は無駄だと判断したのか、無理矢理突き放して踵を返す)」
ヴィナミス「それが、「親」である私の責任です。たとえどんなことがあろうと、私はあの子を信じます。」
ベール(少女)「………――――――――――――」
生まれて初めて、人の優しさに触れた。真の愛を知った
こんなにも誰かに愛されたのは、認めてくれたのは―――――
それでも…
ベール(少女)「 っ゛ ――――― ! ! (振り返り、一目散に廊下を駆け出していく。目指す先は―――裏口 )」
だからこそ…
ヴィナミス「―――――!(誰かの足音に振り返り、そこにベールの後姿を捉えると瞳孔が開く)」
――――― あたしは、ここにいちゃいけない
ベール(少女)「 バ ァ ン ッ ! (両開きの裏口を思いきり開放し、宵闇の外へと飛び出していく)」
ここにいたら、みんなに迷惑が掛かってしまう
あたしのせいで、みんなが不幸になってしまう
そんなのは…そんなことは…――――
ベール(少女)「――――――――― イ ヤ だ ッ ! ! 」
結局、初めからあたしに居場所なんてなかった
あたしが存在し続ける限り、傍にいる誰かを傷つけてしまう
妹以外の大切な人を、失いたくはない
そうなる前に、そうならない為に、あたしは…――――――
ベール(少女)「 う…ぁ゛…… はっ……あ… ぁ……っ……! (夜を駆ける。涙を流して。楽しかった思い出も、すべてを置き去って―――)
そしてまた、サヨナラも言えずになくした描きかけの夢の続きを――――
――――― あたしは、手放してしまうんだ
あれから、幾年の月日が経った
今ではあたしもすっかり成人してしまい、身体だけが大きくなっていく
中身はあの頃から何も変わっていないというのに…――――
ベール「 ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…―――――! (20歳を迎えた彼女は今、逃走中の日々を送り続けていた。お尋ね者である彼女に、憩いの場所など存在しない。彼女は常に追われ続けている…世界に――――)」
CP『こちらCP4!A級犯罪者の指名手配犯である『ベール・ティルチャオス』を発見。現在、C7ブロック内にて逃走中の女を追跡中!周辺ブロックの完全包囲を急げ!(黒尽くめの男たちがインカムを通じて仲間と連絡を行いながら、目と鼻の先にいるベールを追いかけ回している)』
寄宿舎を飛び出してからというもの、彼らとの連絡は一切取っていない
願わくば、もういっそのこと完全に忘れて去ってほしいと思っているけれど…
ヴィナミスから授かった『ベール』という名前
結局私はその真意を知らないまま今日までこの名前で生きてきた
「エルメラ」という真名を覆い隠すものという意味では、
なかなかに皮肉の効いた仮初の名だなとは自分で思ってるけども
けど、自分のせいでティルクの名前を汚すわけにはいかない
だから『 ティルチャオス 』なんて文字ったりして… こういう遊び心は、おちゃめなあの人に似てしまったのかもしれない
姿を偽り、名を偽り、そうやって今日まで一人で生きてきた。目的も夢もないまま…
この命を駆り立てているのはただ一つ。妹が最後に遺した切なる願い―――
" 生きて。生きて、生き続けて。私の分まで。私の命は、姉様と一緒にあるから "
だからあたしは、まだ倒れるわけにはいかない。ここで終わるわけにはいかない
ベール「―――― ハァ…ハァ……ハァ……ハァ……ッ…!!(魔力が底を尽きた…もう体力も限界だ……)(何時間と走り続けてきたのだろう、息は上がり、呼吸は荒く、全身から上せる僅かな湯気…自身の限界がすぐそこまで近づいているのが分かる)」
ベール「――――――ッ!?(だが、逃げた先は行き止まり。脇道も隠れる場所も、ない。万事休すと思われたが―――)」
ギ ュ オ オ オ ォ ォ ォ オ オ … ッ … ――――― グ イ ッ ! (刹那、行き止まりの壁が海面のように揺らめく。それはまさに灰色の壁とも形容でき、その中から飛び出した一本の腕がベールの細い二の腕を掴み、壁の内側へと引き寄せた)
ベール「…はぁ…はぁ……こうなったら、最後っ屁にドデカい魔法でもぶっぱなしt―――― へ ? (突然背後から伸び出た腕に掴まれ、灰色の壁の中へ吸い込まれていく)」
CP《
サイファーポール》『――――いたか!? ……いない…!?奴め、一体どこへ…! 他を探すぞ…! (行き止まりへ遅れて到着した頃にはベールもあの灰色の壁も消え失せており、見失ったことで踵を返していく)』
ベール「―――――― き ゃ ん … っ … !(灰色の壁より身が投げ飛ばされ、芝生の上に転がる)…~~~~~ッ…!なんなんだよ一体……(尻もちをついた部位を摩りながら起き上がる)」
鳴滝「 ギ ュ オ オ オ ォ ォ ォ オ … ッ … ―――― ! (立ち上がるベールの傍に開かれたままの灰色の壁「オーロラカーテン」から謎の男が現れる) 危ないところだったね… 急に連れ出してすまなかった…!(敵意を感じさせない、弱腰の態勢でベールと向き合う)」
ベール「な、な…何なのおっさん…!?まさか…痴漢…?それとも誘拐!?おまわりさーん!!(わざとらしく黄色い声を上げる)」
鳴滝「シーーーーィ!!!よしたまえ!それに、警察が来たら困るのは君の方じゃないかね…!?(落ち着かせるようにジェスチャーを取る)」
ベール「………(「確かにその通りだな」と、むすっとした表情で静まり返る)……あたしをどうする気?どうせ酷いことするんでしょ?エ〇同人みたいに……〇ロ同人みたいに!!!!!(胸元を隠しながら金切り声を上げる)」
鳴滝「シーーーーーィ!!!だから静かに!(口元に人差し指を添える)落ち着きたまえ…私は君にどうこうしようとは企んでいない。寧ろ私は、君の味方だ…!」
ベール「……………(胡散臭えなあ…とジト目で睥睨する)」
鳴滝「…むぅ……とにかく、落ち着いて聞いてくれ。まず、私の名は『鳴滝』。遍く世界を渡り歩く者だ。(コホンッと咳払いして自己紹介に乗り出す)」
鳴滝「―――― 君は、「並行世界」という言葉を知っているかね?(黄昏に染まる空を仰ぎながら、男は淡々と言の葉紡ぎながら周囲を歩き始める) 世界とは一つだけに非ず…数多の意識の数だけ、世界は存在する。意識の一部は他者の意識と異なり、ある一定以上の重なりを、人は現実の世界として共存しているのだよ。」
ベール「……………(やっぱ胡散臭えなこのおっさん、とでも言いたげそうな冷ややかな眼差しを向け続ける)」
鳴滝「我々が認識していないところで、世界は無数に存在しうる。複雑に絡み合う幾重の時空間…故に、本当の意味で世界や時間を知る者などこの世には存在しない。」
鳴滝「何故なら人は、今目の前に広がる「世界」が現実のものだと認識するからだ。だが…精神はその軛を逃れ、時間を越えて様々な世界へと干渉し合う。その繋がりを始めて認識した時こそ、我々が現実だと思われた「世界」が、所詮は強大な枠組みの中の一部に過ぎないと知るのだよ。」
ベール「 ク カ ァ ~~~~~ … ! ( 寝てる )」
鳴滝「おのれ寝るなーーーーーーーーーーーーーーーーー!(ハリセンで張り倒す)」
ベール「あだーーーーーーーーー!(目を星にしながら叩かれた後頭部を抑える)~~~~~ッ!だってだって…おっさんの言ってることが 意☆味★不☆明★だ☆ZE!( \ カン☆コーン! / )なんだからしょうがねえだろう~…!」
鳴滝「と・に・か・く・だ!(ムオッホン!とわざとらしく咳込む) 世界は一つだけではない。君たちが現実と呼ぶこの世界では、結末は決まっている。……例えば君は、大切な家族を失ったのだろう?」
ベール「 ピ ク リ ――――(自身を見透かしたその発言に反応する) ……おっさん、なんでそんなこと知ってんの。」
鳴滝「言っただろう、私は「遍く世界を渡り歩く者」だ、と。それらの世界を何度もこの目にしてきたのだよ、私は。(口角を上げる) この世界で君は最愛の家族を失い、剰え友と呼べる者たちさえも手放してしまった。今の君は、孤独だ。だが、異なる時間軸…もう一つの世界では、その君が幸せに暮らしている可能性もある、ということだ。」
ベール「……!?どういうこと…っ…?(食いつく様に詰め寄る)」
鳴滝「並行世界、またはパラレルワールドと呼ばれる異なる世界とは即ち、可能性に満ちた世界。ある世界では人生に失敗したが、一方の世界では成功した人生を歩んでいたりしていることもある。枝分かれする世界の行く先は、変わりゆくものなのだ。」
鳴滝「だが先程も口にしたが…本来、並行世界とは意識の先に存在するもの… つまり、その存在を確信、或いは認知していたとしても、そこへ干渉することはできない。私のように選ばれた者でもない限り、な。だが君は、その選ばれた人間だ。その可能性を多いに秘めているのだ…!」
鳴滝「 ベール君、君は…――――― この世界に生まれた『 特異点 』なんだ! 」
ベール「……『 特異点 』……っ…?(聴いたことのない言葉に耳を疑う)」
鳴滝「『特異点』…それは、誰にでもなりうる可能性を秘めた奇跡の存在。しかし目覚めるには、その事実に気づくのは、砂粒のようにほんの一握りと言える。時間のあらゆる干渉を受けず…たとえ世界が、時空が消滅しようとも!「特異点」だけは消滅しない。そして特異点は消滅した時間を修復することができる…!即ち…「遍く世界を並行する力を持つ存在」なのだ…!!(拳を震わせ大々的に誇張する)」
ベール「並行世界を…行き来できる…?あたしが…っ……?……ハッ…そんな、馬鹿馬鹿しいわ。あるわけないじゃん。そんな夢みたいなこと。所詮あたしはなり損ないだ。魔法使いとしても、人間としても… 誰とも関わることが許されないんだ。そんなあたしが、世界を渡り歩くことなんk―――――」
鳴滝「――――できるさ。だから、この私が君に会いに来たのだ。(自信満々な笑みを浮かべて何度も頷く)」
ギ ュ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ … ッ … … ! ! (鳴滝の合図と共に、灰色の壁「オーロラカーテン」がそこに開かれる)
鳴滝「この壁の先にあるのは、ここではない何処かの世界。だが、君が本来辿る可能性があった世界だ。このままこの世界に居続けても、君の未来はない。ならば、異なる世界でその人生をリセットすればよい。愛する家族ともう一度幸せな時間を過ごすことができる。君には、その願いを叶える権利があるのだ…!」
鳴滝「今の君なら、この壁を越えられるだろう。ただし気をつけたまえ。生半可な覚悟では、壁は越えられぬことを。そしてこの壁を越えた時、君は『
特異点』として覚醒する!」
鳴滝「だが同時に、『特異点』を狙うある人物との遭遇には気をつけたまえ。その者の名は…"世界の破壊者"…『ディケイド』…!奴に見つかってはならない…さもなくば、君は世界諸共破壊されてしまうだろう…!その覚悟ができたのなら、さあ…!」
ベール「………―――――――」
もし……もしも本当に、すべてをやり直すことができるというのなら……
もう一度、最愛の妹に会えるというのなら……
あたしは……あたしは……――――――――――!
ベール「―――――― ッ ! (意を決し、突き出した両手で灰色の壁に触れ始める)」
バ チ バ チ バ チ バ チ ィ ッ … ! ! ! (灰色の壁に触れた少女の手を伝い、その全身が感電するような激痛が迸る。並行世界への入り口、それは常人が踏み入れてはならない禁断の世界。そこに踏み込む覚悟なきものを拒絶するように、壁は少女を蝕む)
ベール「 あ゛ッ゛…ぁ゛…ッ……!!ぎ…ィ゛……ぁ゛あ゛…っ゛……!!!(骨が軋むような重苦に身が悶えるも、必死に歯を食いしばる)」
許されるのなら…逢いたい……っ…!
もう一度…あの子に……掛け替えのない、世界でたった一人の…―――――
ベール「――――――― ぅ゛ ぅ゛ ぅ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ あ ッ゛ ! ! ! (汗も、涙も、涎も、血も、全身から滴るものすべてが蒸発しきる凄まじい衝撃を己が意地だけで押し通し、そして―――――)」
灰色の壁の向こうから、光が差し込む――――――――
鳴滝「 おめでとう、これで君は『 特異点 』となった。さあ、行きたまえ。世界を繋ぐ梯の子よ。 」
エルメラ(少女)「―――――――――……………!」
目を覚ますと広がるのは見慣れた景色 ――― そこは、生まれ育った魔法の国「マジルカ」
小鳥の囀りが目覚めを誘い、活気の良い人々の声が交じり合う、のどかなひと時
エルメラ(少女)「………ここ、は…マジルカ……?……!?(景色を何度も見渡した後、自分の身体の異変に気付いて視線を落とす。驚いたことに、退化している。否、退化というより―――――)――――私の人生が…リセットされた…?(これが、あの謎の男・鳴滝の言っていた並行世界なのだろうか。身に起きた不可思議な事実に困惑していたが―――)」
――――― あっ、「姉様」…♪
エルメラ(少女)「――――――― ! ! (何度も聞いたことのある声が耳に入り込む。まさか…と思い、恐る恐る声のする方へ振り返る)」
シントリー(少女)「もうっ…探したんだよ、姉様!(そこに立っていたのは、黄金(こがね)色の髪を持つ快活な少女。エルメラにとって、かけがえのない「妹」。命を落としたはずの、「妹」――――)」
エルメラ(少女)「 ! ! ? 」
これは夢だ。夢に違いない。妹は帰らぬ人になった。なった、はずなんだ…
夢ならとっとと覚めてほしい。どうせ空しい気持ちになるのなら…早く…―――――
シントリー(少女)「 え い っ ♪ (そんな姉に、ひしっと抱き着いた)」
エルメラ(少女)「 っ ! ! ? (抱き着かれた感触に、少女は大きく目を見張る)」
夢……じゃない…っ……? このぬくもり…香り……ああ、間違いない… 妹《シントリー》だ……っ…
帰って…来たんだ…… ずっと、夢見ていた、この…―――――
エルメラ(少女)「――――――― ギ ュ ゥ … (そんな妹を静かに抱き返す。泡沫の夢なんかではない。確かにそこに実態として存在する妹を、その輪郭を、感触を、確かめるように、強く抱き寄せる)
シントリー(少女)「………姉様…?(不思議そうに小首を傾げている)」
エルメラ(少女)「……っ……ぁ……―――――― 逢 い た か っ た … っ … ! (涙ぐむ瞳に声を震わせて、この奇跡の再会を心の底から受け入れる。もう二度と離さない。そんな意志で強く抱きしめて―――)」
シントリー(少女)「……??どうしたの…?今日の姉様、なんか変だね…♪(よしよしと背中を摩る)」
エルメラ(少女)「……ぁ…!ご、ごめん…っ…!嬉しすぎて、つい…(我に返って思わず静かに離す)………(目の前の少女を見つめる。似ている他人などでは決してない。紛れもなく、シントリー本人だ。足の爪先から頭の天辺まで舐めるように彼女を見つめ続けては、感極まって涙が溢れそうになる)」
シントリー(少女)「あははっ、やっぱり変なのー。お腹でも痛いの…?今日はお母様がね、私たちの大好きなシチューを作ってくれるんだって♪ほらっ、早く帰ろう!」
エルメラ(少女)「…えっ……?おかあ、さん……?まって…!お母さん、生きてるの…っ…!?(シントリーの両肩をがしっと掴んでは揺さぶる)」
シントリー(少女)「あばばばっ…!?どうしたの本当に!?おばあちゃんじゃないんだから生きてるに決まってるよー!それに、今日はパパも帰ってくるんだって!久しぶりに家族みんな揃ってのご飯だよっ♪だからほら、早く帰ろう?」
エルメラ(少女)「……ぁ……ぁ…っ……―――――」
嘘みたいだ……妹だけじゃない。お母さんも、お父さんも…みんながいる…そんなことって…信じられない……
だけど…―――――
― エスポワール宅 ―
母親「さあ、晩御飯にしましょう。(キッチンから鍋を抱えてリビングのテーブルへと持ち出していく)」
父親「おお、今日はご馳走だな。俺がお土産に買ってきたサフィールポークまであるなんてな。エルメラ、シントリー、たくさん食べろよ。」
シントリー(少女)「うんっ♪もうお腹ペコペコ!(待ち切れなさそうにフォークとスプーンを両手にはしゃいでいる)」
エルメラ(少女)「………………(目の前に広がるご馳走から、家族一人一人の顔を伺う。目に映る人たちは、幻でも偽物でも何でもない。自分の記憶と照らし合わせて、確かにそこにあるのは血の繋がった本物の家族。幼き日に見た、あの家族と何も変わらない――――)」
母親「みんな揃ったわね。それじゃあ…いただきます。(家族みんなで合掌。各々に目の前のご馳走に手を伸ばす)」
エルメラ「………―――― ス ゥ … (まだ寝ぼけたようにとろんとした眼差しを浮かべながら、とりあえず目の前のシチューをスプーンですくい、よく冷ましてから口にする)」
シントリー(少女)「ん~~~~っ…♪やっぱりお母様のシチュー、すっごく美味しいっ♪パパの買ってきたお肉も…♪美味しいよねっ、姉様?……姉様……??」
エルメラ(少女)「――――――――(スプーンを握る手が静止し、瞳からツゥーと涙が滴り落ちている)」
エルメラ(少女)「……………うん…っ゛……――――― 美味しい…っ…… (咽び泣くような声を震わせて、唇を強く噛み締める。溢れそうな感情を止めるのが精一杯で、もう、どうにかなりそうだった)」
父親「……なんだ、泣くほど美味しいのか…?はははっ、まあ母さんの手料理は世界一美味しいからな。当然と言えば当然だな。(がははと豪快に笑いながらワインを口に流し込む)」
母親「ふふっ… お代わり、たくさんあるからね。(その様子を微笑ましそうに見つめている)」
シントリー(少女)「今日の姉様、なんだか涙脆いね…?やっぱりお腹痛い…?」
エルメラ(少女)「…ううん…!ぐす…っ…… もっと食べたいくらいよ。(そう言って、小粒の涙を腕で拭いあたたかい手料理に食らいつく)」
―――――――― 幸せだ
ずっと、こんな日が来るといいなと願っていた
生まれ育った街で、大好きな家族と、なんてことのない日常を過ごせることが、こんなにも幸せなことだったなんて
ああ……生きてて、良かった……
少女は、幸せな気持ちに満ち溢れていた
もうなにも思い煩うことなどない
このまま、一から新たな人生を育もう、そう強く誓った
――――――――― ゴ オ ォ ゥ ン … ッ … ! ! !
だが決して、現実はそんな甘美なものではない
エルメラ(少女)「―――――!?(食事中に突然起こった激しい揺れに我に返る)」
父親「地震か!?お前たち、机の下へ隠れろ!!(子供たち二人と妻をテーブルの下に隠れるよう促し、揺れの中で事の成り行きを冷静に伺う)………収まったか…かなり大きな揺れだったが…――――」
母親「街の様子も危険ね…とにかく、一度外へ出ましょう。国王陛下から避難誘導の案内が来るはずだわ。」
シントリー(少女)「……ぁぅぅ……こわい……っ……(咄嗟にエルメラの裾をぎゅうと掴む)」
エルメラ(少女)「……!(自分に頼る妹、その手を両手で優しく包み込む)………(妹は何としても守り抜く…あたしが…必ず…―――――)」
時同じくして、マジルカ城では―――――
クロル「―――― 今宵は日食。時は満ちた。さぁ、はじ、め、よう…か……かか…カ……(衛兵共のいない王室間で、玉座から立ち上がった若き黒衣の王。だが、その声音が徐々に歪なものとなり―――)」
シロル「―――― これより、『第2のサバト』を、ひら、ヒラ…ひら、く……の、だ…だ、ダ…ダ……(双子である白衣の王もまた、同様の症状が発生。二人の王の首が壊れたブリキ人形のようにかくかくと揺れ動きだす――――)」
クロル(マカオ)「―――― はぁい、ジョマ❤ これから楽しいことが起こるわよ❤ 」
シロル(ジョマ)―――― ええ、マカオ❤ もうゾクゾクが止まらないわ❤ 」
双子の王の身体から僅かに剥がれ落ちその本性を現したのは、史上最悪の二人組の魔女
「ホホホ」と不気味にせせら笑う矛先には、城の眼下に広がる翡翠色の街―――――
父親「―――― 念の為、広場の方へ向かおう…!みんな、慌てずにな…!(多くの住民が同じ方向へ進む中、家の玄関の鍵を施錠し家族一同もその流れに乗ろうとする。だが…―――)」
―――― キ ュ ガ ア ア ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア … ッ … … ! ! ! (激しい震災が起きてから差ほど時間が立たぬ最中、今度は王国全体の大地より赤い光が昇り立つ。夜を照らす深紅の輝きはオーロラのように広がる。それは幻想的というよりは、あまりにも不気味な光景であった――――)
――― ボ ッ ゴ オ オ ォ ォ オ オ ン ッ ! ! ! (翡翠の床が隆起し、地中から赤い光の壁が昇り出していく)
民間人『 ふ ぎ ゃ あ あ ぁ゛ ぁ゛ ッ゛ ! ! (その光に呑まれた者たちが地面へ転がり倒れる。外傷は見られない。だが―――――)』
民間人 → グール『 グ パ ァ ――――― ッ ! (その全身が縦真っ二つに裂かれ、骨身と皮膚を突き破るようにその内側から得体の知れない影が露わとなる。灰色の身体を持つ、人型の怪物――――『 ファントム 』であった)』
エルメラ(少女)「 ッ゛ ? ? ! (ファントム…!?どうして…ッ……!?「こっち世界」でもサバトが起こったとでもいうの…っ……!?)(この世界で、この一瞬で、彼らの正体を知る者は自分唯一人。故に、今目の前で起き始めた惨劇に顔が蒼白に染まる)」
ボ ゴ ォ ン ッ ――― ボ ゴ ォ ン ッ ――― ボ ゴ ォ ン ッ ―――― ! ! ! (マジルカ全域をを赤い閃光が走り抜ける。その軌道に呑み込まれた人々が、次々と怪物となっていく。そんな地獄絵図が、前触れもなく起こり始めていくのだ―――――)
シントリー(少女)「――――――! 姉様、危ないッ!! (呆然と立ち尽くすエルメラの傍でその絶望的な光景に委縮していたが、ふと振り向いた先にあったものに目を見張ると、咄嗟に彼女を突き飛ばした―――)」
―――――― ズ ゥ オ ォ ン ッ ! ! !
エルメラ(少女)「 ぇ ――――――――――― 」
突き飛ばされたエルメラの視界がスローモーションになりゆく
その中で、まずは突き飛ばすために手を伸ばした妹が眼前にある
その背後には、驚いた表情を隠しきれない両親の姿
だがその三人が一瞬で―――――― 赤い光に覆われて消える
エルメラ(少女)「――――― ト サ ァ … ッ … … ! (そして、緩慢化した時間の流れが元に戻った頃には床上に転倒する。すぐに起き上がり、顔を思いきり見上げると――――――)」
父親&母親『 大丈夫か、エルメラ!? / 怪我はない…!? (光に呑まれたはずの両親がエルメラを気にかけて駆け寄ろうとしている。無事だったのか、そう思われたが――――)』
エルメラ(少女)「……!(よかった…みんな、無事だ……!)(そう信じてやまない気持ちで歩み寄ろうとしたが―――)」
父親&母親 → グール 『 グ パ ァ … ッ … ! ! (現実は残酷だった。光に呑まれた時点で、二人の定めは決定付けられた)』
エルメラ(少女)「―――――――――――――(瞳孔が縮まる。変貌した両親に、かつての面影など一切ない。自分の記憶の中に、大きな亀裂が生じる音がした)」
シントリー(少女)「………姉様………(微かに、すすり泣くような小さな声で、姉を呼ぶ)」
エルメラ(少女)「――――!?(微か素に震える声に振り返る。そこに立つ妹の姿を確認する。無事だ。無事だった。無事の…はずだ……―――― そう自分に言い聞かせながら右の手を伸ばす)」
シントリー(少女)「………―――――― 助けて、姉様 」
シントリー(少女) → グール「 グ パ ァ … ッ … ! ! 」
エルメラ(少女)「―――――――――――――――」
少女の中で、何かが盛大に砕ける音がした。それは言葉か、感情か、記憶か、あるいは―――――――
伸ばした手が虚空を撫でるように掴みながら緩やかに落ちていく
もう、何も聞こえない もう、何も見えない もう、何も感じない
エルメラ(少女)「 ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ッ゛ ! ! ! ! 」
小さな魔女の慟哭が赤い夜空に響き渡る
救いを求めた叫びに、なにも返ってはこない―――――
鳴滝「……なんということだ……なんということだ…ッ…!!(その事態をずっと俯瞰していたのだろう。物陰より帽子を押さえつけながら慌ただしく現れては思いもよらぬ結末に混乱する)」
鳴滝「おのれ… やはり彼女の世界は…「特異点が持つ世界」の因果は変えられなかったか…ッ…!!目覚めたばかりの彼女ならと仮説を立てた私の思惑が…おのれ……――――――― お の れ ぇ ぇ ぇ え え え ッ ! ! !」
エルメラ(少女)「――――――――――(声にならない嗚咽を叫び続ける。王国を裂く光の衝撃、人々の断末魔、怪物の怨嗟…それらさえも掻き消す程の、惨憺たる慟哭)」
鳴滝「もうダメだ…この世界は……!一刻も早く旅立たねば!ゆくぞ、ベール君!気を確かに持つんだッ!!(急いでベールのもとへ駆け寄っては彼女の腕を掴む) まだだッ…!まだ「希望」はあるはずだ…ッ!! (彼女を掴んだままがむしゃらに走り出し、前方に作り出したオーロラカーテンの中へと共に逃げ込んだ) 」
グール『 ドッ……ドッ……ドッ……―――― (我を忘れて泣き叫ぶ少女に、事情などいざ知らず三体の怪物がゆっくりと押し寄せていく)』
エルメラ(少女)「――――――(鳴滝に連れ出される最中… 少女の眼からハイライトが失っていくのだった―――)」
鳴滝「はぁ……はぁ……危ないところだった……(逃げた先は、どこかの世界に存在する誰もいない建物の内部。その空席に腰かけてテーブルの上に両手を組み、深刻な表情を浮かべる)」
ベール「…………(並行世界の規則から外れたのか、元の年齢に戻ってソファで項垂れている)」
鳴滝「……すまなかった…だが、『特異点』が持ちうる並行世界への移動は、あまりにも不安定事項も多い。実際、『我々』もその原因を掴めておらず……ああ、いや…今は『私』というべきか……ああ、すまない、こちらの話だ。とにかく、不測の事態はつきものだ。」
鳴滝「しかし何度も言うが、世界とは意識の数だけ存在するもの…世界を渡り続ければ、希望は見えてくる…!次こそ…次こそは君の望んだ世界に辿り着けるはずだ…!さあ…立つんだ…!君は、こんなところで立ち止まってはならない…!私も一緒についている!さあ…!!」
ベール「……次の…世界………?(虚ろ気な眼差しでゆっくりと見上げる)………(そして、自分の掌に視線を落とす)」
そうだ…どうせ、あたしに帰る場所はない。ならば進むしかない
振り返るくらいなら、その先にある希望を見つけたい
ありもしない「奇跡」を信じて―――――
ギ ュ ォ ォ ォ オ オ オ … ッ … … ――――― ! (そして再び、少女はオーロラカーテンを通じてまた異なる世界に辿り着く。着いた先は故郷「マジルカ」。天候も、街並みも、人の様子も、一切が変わらない。そして――――
シントリー(少女)「――――あっ、姉様…♪(―――― 愛しの妹の笑顔も)」
エルメラ(少女)「…………シントリー……(その変わらない笑顔に安堵する。さっきまでの絶望感は徐々に和らいで、こちらへ駆け寄ってくる彼女の両手を手に取り、笑い合う。幸せだ。幸せの、ハズだ…―――――)」
――――――――― だ が
魔導衛兵『国王陛下の命により、ただいまよりマジカル国内に住まう女を対象に魔女裁判を行う!!成人女性も未成年の少女も、全員見つけ次第処刑せよ!!』
母親「逃げなさい…エルメラ、シントリー!王様は本気で貴女たちを手に掛けようとしているわ…ッ!!」
シントリー(少女)「お母様!姉様も!一緒に逃げようよ!!」
エルメラ(少女)「………(そんなのは…ダメ……!あたしが、家族を、守らなくちゃ――――)」
魔導衛兵『見つけたぞ!焼き殺せェ!!!』
ボォンッ、ボォンッ、ボォンッ―――――!!!(火球魔法が逃げ惑う女性を、建物を襲い、すべてをその業火で焼き尽くす)
母親「ぁ……ァァ……逃げ……て……ッ…――――― パ チ パ チ パ チ … … ッ … 」
シントリー(少女)「やだ……やだぁあッ!!お母様ぁ…燃えちゃ嫌だァァアッ!!!」
エルメラ(少女)「ダメッ、シントリー!!お母さんは、もう…ッ…!!」
魔導衛兵『この王国の未来の――――礎となれェ!!!』
シントリー(少女)「 ぁ ――――――――――― 」
エルメラ(少女)「 シ ン ト リ ー ー ー ー ー ー ー ッ゛ ! ! ! ! 」
灼熱の業火の渦に沈む小さな手を、彼女は掴もうと手を伸ばすが…
その手は瞬く間に肉が溶け、骨となりて灰と消ゆ――――――
エルメラ(少女)「―――――――――――――――――」
"また"、だ……
鳴滝「しまった…ッ…!!この世界でもダメだったか…ッ……!逃げるぞ、ベール君!!もう手遅れだッ!!」
ギ ュ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ … ッ … ―――――――(灰色の壁が、次の世界へと誘う――――)
エルメラ(少女)「―――――………(灼熱地獄から逃げた先に広がるのは、変わらないあの景色。そして――――)」
シントリー(少女)「―――― あっ、姉様~♪ 」
変わらない、彼女の笑顔――――――
守るんだ…守るんだ……今度こそ…今度こそ……ッ……!!
――――――――― だ が
グール『 ザッ……ザッ……ザッ……―――――(時すでに遅し。気が付けば魔法の国にはあの灰色の怪物で溢れ返し、王国全体が阿鼻叫喚の地獄絵図と化している――――) 』
政府軍将校「――――各隊へ通達。これより、エムロード王国・首都「マジルカ」の全域を対象に「バスターコール」を発令。正体不明の怪物どもを一匹残らず殲滅せよ。"逃げ遅れた民間人への被害は考慮しない"ものとする。これはマジルカの国王陛下の許可も下りている。総員、砲撃態勢。」
ガションッ、ガションッ、ガションッ、ガションッ、ガションッ―――――!!!!(マジルカを包囲する軍艦や戦艦、それらに備えられた砲台が一斉に首都部に狙いを定める)
政府軍将校「――――――――― 砲 撃 開 始 」
ズドォンッ、ズドォンッ、ズドォンッ、ズドォンッ――――― ズ ボ ガ ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア アア ア ン ッ ! ! ! ! !
エルメラ(少女)「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ…―――――!(辛うじて妹と共に逃げ延び、這いずり回る怪物と砲撃の嵐の中を必死に駆け抜けている)」
シントリー(少女)「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ…―――――!(エルメラに強引に手を引かれて逃走するも―――)――― あ っ … ! (橋の真ん中間を通過しようとしたところで、砲撃の衝撃で転倒してしまう)」
エルメラ(少女)「シントリー…ッ!!(転んだ彼女を急いで起こそうとする) 早く…立って…ッ!急いで遠くへ逃げないと…ッ……!!」
シントリー(少女)「はぁ…はぁ…はぁ……もう、だめ……足が、痛いよ……もう、走れ、ない……っ…――――!(両膝に手をついて重い呼吸を繰り返す中、ふと頭上を見上げて大きく目を見張った)」
シントリー(少女)「―――― 姉 様 ッ ! ! ! (何かに気づいて咄嗟に橋の上から川に向けてエルメラを突き飛ばした)」
エルメラ(少女)「 ぇ ―――――――― 」
―――――ズ ガ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! !(エルメラが突き飛ばされたその直後、橋の中央に流れ弾が直撃。金髪の少女が立っていたヵ所は黒煙に包まれ、めらめらと火柱が立ち始める)
エルメラ(少女)「 そ ん n ――――――― ボ シ ャ ア ア ア ァ ァ ァ ン ッ ! ! (その痛烈な最期を見届ける間もなく、深い川底に沈んでいく―――――)」
ギ ュ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ … ッ … ―――――――(灰色の壁が、水没する彼女を次なる世界へと誘う――――)
エルメラ(少女)「―――――………(つい先程まで水の中に沈んだはずの彼女が、何事もなかったかのように平和な街中に佇んでいた。変わらない景色、変わらない―――――)」
シントリー(少女)「―――― あっ、姉様ー♪ (変わらない、笑g――――)」
――――― ブ シ ャ ア ア ァ ァ ア … ッ … ! !
エルメラ(少女)「起きて…ッ…!!しっかりして、シントリー…ッ!!お願い、目を覚ましてッ…!!!(暗転―――時が僅かに進んだ先で、少女は険しい表情で叫んでいる。両手を血塗れにしながら―――)」
シントリー(少女)「ハー………ハー……… ねえ……さ………(夥しいほどの無数の矢に刺し貫かれて倒れ込んだ少女が、そこにいた。オーバーフローした痛みはもはや感じられず、不思議と穏やかな顔をしていた)」
ギ ュ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ … ッ … ―――――――(灰色の壁が世界を移し替える――――)
エルメラ(少女)「―――――………(真っ赤に染まっていたはずの両手は綺麗さっぱりに戻っている。小鳥のさえずりが心地よいいつもと変わらぬ景色の中で――――)」
シントリー(少女)「―――― あっ、姉さm (変わらない、笑g――――)」
シントリー(少女)「―――――― ゴ ギ ッ (―――― 曲げ変えられた身体)」
エルメラ(少女)「……ぁ……ぁ゛……ッ゛………!! 」
ギ ュ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ … ッ … ―――――――(灰色の壁が世界を塗り替える――――)
エルメラ(少女)「―――――………(世界が変わる度に、変わらぬ景色に置かれ続ける少女。もうすぐ、彼女を呼ぶ声が聞こえてくる…)」
シントリー(少女)「―――― あっ、姉様っ♪ 」
エルメラ(少女)「 ダ メ ッ ! ! ! (まだ何も起こっていないにもかかわらず、本能的に彼女を突き飛ばしてしまう)」
シントリー(少女)「 へ (突き飛ばされたその直後、世界が暗転。突然そこに発生した地割れの中へ、そのまま沈むように落ちていく―――――)」
エルメラ(少女)「 ぁ゛ 」
ギ ュ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ … ッ … ―――――――(灰色の壁が世界を―――――)
エルメラ(少女)「 い゛ や゛ あ゛ あ゛ あ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ っ゛ ! ! ! 」
もう嫌だ、もう嫌だ…もう嫌だ…!!!
いやだいやだいやだいやだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddd
エルメラ「…こんな…ッ……こんなァ…ッ…!!!」
ベール「 コヒュー…ッ… ぅ゛…! あ…ぁ゛……はぁ…はぁ…ッ゛… こんな…こんな…ぁ……ッ…!!! 」
エルメラ / ベール『 こ ん な 世 界 、消 え て し ま え ッ ! ! ! 』
キ ュ オ オ オ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ ―――――― ン ッ ! ! (魔女の叫びに呼応し、彼女の体内に眠る『 賢者の石 』が、ついに覚醒する――――!)
ギ ュ ポ ン … ッ … ―――――――― ! (少女の右手に、黒い水泡が沸き上がる。それは、すべてを無に帰し呑み込む深淵の如き黒を帯びて―――――)
鳴滝「……!?い、いかん……アレは…暴走している…ッ……!?よせ、ベール君!!落ち着くのだッ!!馬鹿な真似はよせッ!!!「特異点」である君がそんなことをすれば――――――」
エルメラ / ベール『――――― “ 黒 く 歪 む 星 《 ブ ラ ッ ク ア ウ ト 》 ” ―――――』
――――――――――――――(かつて、彼女が渡り歩いた幾つもの世界。それが数珠繋ぎのように真っ黒に染まりゆく。光も、闇さえも等しく黒一色に塗り潰されて――――)
もう……なにも、見えない……
もう…なにも…聞こえない……
もう………なにも……感じない……
言葉も出ない、感情も湧かない、記憶も思い出せない
あたしは…あたしは……
なんのために? だれのために?
……もう………わからない……―――――
これから絶対に口にしちゃいけない言葉がある
―――――――「 これでいいのか? 」―――――――
もう言ったことがあったとしても駄目だよ
いいね、絶対だよ…
ベール「――――――(空中分解し足場をなくした真っ暗な空間の中で、身を縮めながら空中を漂っている。その脳裏に思い描いているものは、「無」。何も感じない、何も思わない、虚無のみが今の彼女のすべてだった―――)」
鳴滝「………本当に、すまなかった。謝っても許されないことは、理解している…。君を…こんな目に遭わせてしまったのは、すべて私の責任だ。私はただ、信じてみたかったのだ…『特異点』が持ちうる可能性を。「特異点」の力によって世界がどう変化するのかを…――――」
ベール「――――――(鳴滝の言葉が耳に届いているのかどうかは定かではない。ずっと、永遠に、縮こまった身体が静かに回り続けている。何にも反応しない、何も反応したくない、と…――――)」
――――――― それは違うんじゃないかな
♪ ~ ―――――――(そんなに虚無に待ったをかける声。併せて、沈黙に華を添える音色が聞こえる。真っ暗な空間の何処からともなく聞こえてくるのは、ピアノの音色。その音が、次第に近づいてくる――――)
渚カヲル「 ♪ ~ (足場があるかどうかも分からない真っ暗な空間の中で、ピアノを弾き語る青年が、そこにいた。滑らかな指裁きで鍵盤を叩きながら、旋律に則ってその身体を小躍りさせる。ピアノと演奏者は漆黒の中をふわりと回りながら、それでも演奏の手を止めずにいた)」
鳴滝「――――!(自分たち以外誰もいないはずの虚無空間に現れたその青年に、ただならぬ表情で見張った)…き、君は……―――――『 渚カヲル 』 ! ? (「何故ここにいる?」と訴えかけるような眼差しで頭上の彼を見上げる)」
渚カヲル「 『特異点』 ――― 君が求めているのは彼女自身ではなく、その役目に過ぎない。彼女自身の"想い"には全く意識を向けていない。特異点なんてものを、「その為ならはじめから誰だっていい」と思っている……違うかい?(演奏の手を絶やさず、悠然とした眼差しで鳴滝を横目に捉える)」
鳴滝「…ッ……!?(図星を突かれたのか、眉間に皺を寄せる)」
渚カヲル「……寂しいね。人は誰でも自由であるべきだというのに。その驕りで、一人の幼気な女の子を傷つけてしまった。だめだよ。そんなことをしたら。女の子には、もっと紳士 / 真摯に接するものだ。だから君は、『お茶会』から追放されたんじゃないかな。」
渚カヲル「残念だけど、彼女は君の思い通りにはならない。これ以上彼女に固執するというのなら……君と縁の深い「世界の破壊者」をここに呼んでもいいのだけど。」
鳴滝「……おのれ…渚カヲル…ッ…!(彼の余裕な表情から繰り出される警鐘に対し、悔しそうに拳を震わせる)……私は諦めていないぞ… 『特異点』がこの世界に齎す奇跡の可能性を…!ディケイドも、お前たち『茶会』にも…いつか私の意志を証明してみせる…!(そう捨て台詞を残すと、展開した灰色の壁の向こうへと消え去っていった)」
渚カヲル「そうかい、それはそれで気長に待っているよ。(去りゆく鳴滝には目もくれず、自身の頭上で蹲りながら浮遊しているベールを見上げる) さあ、降りておいで。こっちへ来て、共に歌を興じないかい?」
ベール「――――――――――」
渚カヲル「…歌はいいものさ。歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。そう感じないか?『ベール』ちゃん。(起用に指先を動かしながら鍵盤を流れるように優しく叩いてその音色を刻む)」
ベール「――――――――――」
渚カヲル「幾つもの世界を渡り歩き、その度に絶望した君は、もう何も理解したくないと思い込んでいるだろう。そうして辛い感情の記憶をリフレインさせてもいいことは何も生まれない。忘れたフリをしたって駄目だよ。ボクにはお見通しさ。君には「言葉」がある。「感情」もある。「記憶」だってある。それらは決して、忘れることはない。君自身が、それを一番理解しているはずさ。」
ベール「―――――――― ピ ク … 」
渚カヲル「さあ、目を開けて。耳を澄まして。心を開いて。ありのままの"想い"を、ありのままに感じるんだ。
そしたら気づくはずだ。君が生まれた意味を。世界に存在する意味を。」
ベール「………あたし、は……―――――」
彼女の中で、これまで押しとどめてきた言葉が、感情が、記憶が、巻き戻されていく
辿ってきた幾つもの世界を越えて、彼女自身が生まれ育った元の世界へと
そこに走馬灯のように過るのは、自分を育ててくれた両親、仮初でも一縷の優しさを見せた双子の王、
血が繋がってなくても本物の愛を注いでくれた人たち、そして……守りたかった最愛の妹―――――
ベール「―――――― ! ! ! (その時、ようやく彼女は自分自身の世界に帰依したかのように我に返る)」
ベール「……あたしは……(ゆっくりとその縮こまった身を伸ばし、真っ白な両手に視線を落とす。エンドロールの如く流れ去っていく失ったはずものたちが巻き戻されていく、そんな不可思議な感覚の果てに気づかされた。自分は、"走り過ぎたんだ"と。故に、何も見えずにいた。五里霧中の中、手探りで大切なものを手当たり次第に掴もうとし、水泡に消える絶望に自らを蝕んでいたことに―――)」
渚カヲル「(ここで、演奏は終幕。その白い指が、鍵盤から離れていくと―――)――― お帰り。それでも君は変わらないけれど、変わらないから君は「君」であるんだ。ようやく、そんな「君」に出会えた。 (ピアノから身を投げ出すようにふわりと宙に浮き、彼女の前に静かに、逆さまに降り立っていく――――)」
ベール「………? (ここでようやくはじめて、舞い降りたカヲルと視線を交わす)」
渚カヲル「 僕は、カヲル ――― 『 渚カヲル 』 ――― 君と同じ運命を仕組まれた子供さ 」
ベール「………何者なの、あんたたち…」
渚カヲル「その質問への回答は難しいね…何故ならその答えは千差万別だから。ある人は「閲覧者」と呼び、ある人からは「薄情者」とも呼ばれ、ある人には「調停者」と呼ばれたこともあるし…最近は、『 観測者 』なんて呼ばれたりして。いずれにしても、君たちと同じ、「この世界に生きる人間」であることに変わりはないよ。そこに特別な意味なんてものはないさ。」
渚カヲル「当然、人間は生まれながらにいろんなものを抱いた人がいる。キミを連れ回した彼だって、元はと言えばボクたちと同じ人間だったはずだけど…まあ、人は変わるものだからね。出会いがあれば別れもある。そうやってボクたちは、同じ世界で、同じ時間を何度も繰り返してきた。キミも、そうだろう?」
ベール「…………(幾つもの並行世界――同じようで、違うようで、それでもやっぱり同じだった世界――を渡ってきた自分を思い返す)」
渚カヲル「そして、それらの世界の重なりの中で、君は気づいた。どんなに世界を橋渡りしても、同じ結末を迎える運命(さだめ)に。」
ベール「……ええ…三途の川を辿っているような気分だったわ。結局、『特異点』というものが何なのか、あたしにはわからない。幾つもの世界を渡り、幾つもの「あたし」を繰り返して、それで同じ結果を迎えるなんて。それじゃああたしは、なんのために……」
渚カヲル「残念ながら、その通りなんだ。『特異点』となったキミは、キミの知らない「幾つものキミの世界」を覗き見ることはできたかもしれないけれど、それだけだ。世界の因果を、その運命を変えることはできない。『特異点』の最たる役目は、帳尻合わせという名の均衡なんだ。たとえば…――――(ポケットから取り出したのは、何の変哲もない、ただの小石。それを、真っ暗な地面に投げ込んだ)」
―――― ト ポ ン … ッ … (青年に投げ込まれた小石が真っ暗な床へ溶け込むように沈む。それは水面のように、白い波紋を走らせて静かに揺れて、やがて何事もなかったかのように消えていく)
渚カヲル「……外から投げ入れられた異物。それにより生じる波紋という名の歪み。『特異点』は、その揺らめきを抑える役目を担う。そのおかげで、世界の歪み…そこからやって来る崩壊の運命から、すべてを救い出してくれる。救世主と言えば聞こえはいいかもしれないが、皮肉なことに、それは世界にとって軛なんだよ。『特異点』の存在がなければあらゆる世界は再生されず、永遠に滅びの運命を迎え続ける。バッドエンドを避けるための救済処置なんだ。」
ベール「……なにそれ…っ…? それじゃあ、あたしって……そんな世界の為に生贄にされたって言うの…!?」
渚カヲル「けど、キミはそれを望んで踏み入れたんじゃなかったのかい?」
ベール「―――― っ (反論の余地がない。事実、最後まで謎に包まれたあの男・鳴滝に唆されたとはいえ、その役目を担う決断を下したのは他ならぬ自分自身だ。その先に救済があると信じてやまなかったがために…)」
渚カヲル「……ただ逃げているだけなんだ。自分が傷付く前に世界を拒絶している。そんなキミは『特異点』ではあるが、"『特異点』にはなれない"。」
ベール「むしろこっちから願い下げよッ!こんな…こんな思いをするくらいなら、なりたくなんてなかった…!
逃げて何が悪いっていうの…っ…?貴方に言われるよりも昔から、あたしはずっと逃げ続けてきたのよ…!
妹にもう一度会いたい……その一心で、ずっと…!その為ならあたしはなんだって捨ててきた!今だって……自分の命すら投げ捨てたいくらいで…でも、それは「あの娘」の願いを踏みにじることになるから…ッ……(目を伏せる)」
渚カヲル「……ごめんね。これはキミの望む幸せではなかった。でも、その幸せは色褪せて消えることはないよ。キミが、キミ自身が大切にしている彼女への愛が消えないのと同じようにね。」
ベール「…どういうこと……?」
渚カヲル「―――― 純愛だよ (両の手をポケットに入れた途端、真っ暗な世界に光が差し込む)」
暗転された世界に映し出されたのは、幼き日のベールを映した記憶
そこで彼女は、最愛の妹と仲睦まじく生活している
その様子が映像のように、鮮明に映し出される―――
ベール「―――――!!(もう何度も目にしてきた光景だ。だが、何度目にしても、自分の心に深く痛感するものがある)」
渚カヲル「 『特異点』――― それは、運命愛に恵まれた「奇跡」の存在。誰かを愛し、愛される。そんな運命愛に導かれた者が、やがて来る最悪の運命"愛の喪失"を越えた先に『特異点』として目覚める。」
渚カヲル「ベールちゃん。キミには、溢れんばかりの無償の愛がある。その為なら自己犠牲だって厭わない。そんな愛があるからこそ、人間は心に痛みを感じる。心が痛がりだから生きるのも辛いと感じる。ガラスのように繊細だね。特にキミの心は。」
ベール「…あたしが…?」
渚カヲル「そう。好意に値するよ。」
ベール「好意?」
渚カヲル「好きってことさ。」
そして記憶は遷移する
最愛の人を失い、それでも彼女の遺志を継いで生きることを選択し、
歩み始めた魔法使いの少女の後姿を――――
渚カヲル「だから見捨てられなかった。キミが『特異点』であろうとそれになれなかったとしても… いや、違うか…そんなものじゃない。『ベール・ティルチャオス』…ボクは、ベールちゃん、キミいう人間が好きだ。特別な意味なんかじゃない。ただ一人の人間としての、キミを。」
渚カヲル「最愛の人を失っても尚、愛を手放すことなく生き続ける決意――― キミにはそれがある。その揺るぎない"想い"がある。」
渚カヲル「キミに一つ、面白いものを見せてあげる――――― パ チ ン ッ (指を鳴らす)」
再び記憶が移し替えられる
そこに広がるのは、ベールには見覚えのないもの…そう、彼女にとっては赤の他人の記憶であった
そこには、野球をこよなく愛する心優しい青年と、そんな彼に愛された妹らしき少女の姿が―――
ベール「……これは……?」
渚カヲル「彼の名は、『大友浩之』。皆からは、『 ヒロ 』と呼ばれているそうだ。彼はキミと同じだ。大切な人を失い、その喪失に駆られながらも、行き場を失った愛を受け止めて生き続けようとしてきた。どの世界線においても、彼はその同じ運命を辿る。」
ヒロ「心が折れない限り、俺は死なん!!いつかきっと…俺が守ることが出来たと胸を張れる者が現れるのを信じて、何度だって立ち上がり続ける!!!…貴様がどれだけ俺をぶっ壊そうとしても、俺は屈するつもりはない!!!(何処かの世界で、彼は大切な人を失いながらも、それでもめげずに前を向いて運命に抗い戦い続けている―――)」
渚カヲル「だけど、どの世界でも彼はその心を挫くことはなかった。彼もまた、気づかぬうちに『特異点』としての役目を負わされた。いつからかその役目を自覚しながらも、それでも変わらず、ただ一人の人間として生き続けている。彼にとって、『特異点』なんてものはその程度のことなんだ。」
ヒロ「そう、俺たちは抗ってきたんだ。……いつか、きっと……必ず全てを救える時が来ると信じて……なぁ!!!!(キーブレードを振るい、戦う運命を背負う道を選んだ青年。その瞳はまだ、生きることを諦めてなどいない―――)」
渚カヲル「でも、それでいいじゃないか。大事なのは、愛を忘れずに生きていくことなんだから。誰にでもできる…だけど、決して簡単なことなんかじゃない。だから『特異点』っていうものは、誰にでもなりうる可能性がありながら、目覚める者は数少ないんだ。」
渚カヲル「だけどね、『特異点』があるからこそ…例え世界が滅んでも再生される。彼らは無自覚の内に自分だけじゃなく、他の知らない誰かの愛さえも守っているんだ。世界はそうして、運命愛に恵まれた人を選定し、永遠の愛を育もうとしているのかもしれないね。」
渚カヲル「……ん?ああ、なんだか他人事のようだって?そうだね…実はボクもよく知らないんだ。『特異点』が何のために存在するのか。何故、運命愛を持つ人を選ぶのか。でも、真実や答えなんかは最たるものじゃないとボクは思っている。愛することに理由がないのと同じように。キミだって、そうだろう?」
ベール「……!(言われてみれば、明確な理由は確かに出てこない。妹を愛することに、理由も目的も存在しない。ただ、「愛おしい」から。愛する理由なんて、そんなものなのだと―――)」
渚カヲル「愛無くして、何かを救うことなんかできない。『特異点』として目覚めた彼らは、そうやって愛を捨てることなく生き続けることを選択した。彼も、キミも、その気持ちや決意は同じなんだ。」
ベール「生き続ける、こと……―――――(妹が最期に自分に託した願いが、脳裏にリフレインする。「生きてほしい」、ただその切実な願いが―――)」
渚カヲル「ベールちゃん。キミは…道を踏み間違えたわけじゃない。キミが『特異点』になることをキミ自身で選んだように、人は自分自身の意志で動かなければ何も変わらない。人の心が自分自身の形を造り出しているからね。つまり、キミが導き出したあの一歩は、決して後悔に値するモノなんかじゃない。優しくて、強い心がないとできないこと。」
渚カヲル「結局、結末は変わらないのだと思い知らされても、そこでなにかもが嫌になってすべてを消し去ってしまっても… キミは自分の命を絶とうとはしなかった。彼女の"想い"を忘れようとはしなかった。それこそが、紛れもない本物のキミ自身だ。」
ベール「本当の…あたし……?」
渚カヲル「そうさ。だからその"想い"はこれからも大切にしてあげてほしい。今は実感できないかもしれないが…――――おや?(ふと、何かに気づいて「それ」を覗き込むように見つめては口角を上げる)」
渚カヲル「……ふふっ、やっぱり君は運命に愛されているみたいだ。ちょうど今…また一つ、「新たな物語」が生まれようとしている。どうやら彼もそこにいるみたいだ。どうかな、せっかくの機会だ。彼に出会ってみるかい?直接その目で確かめれば、何かが分かるはずだ。『特異点』に選ばれた者の生き様を。その"想い"を。彼を通じて、キミ自身を知るにはこれ以上ないチャンスだと思うよ。この「奇跡」に、賭けてみないかい?」
ベール「 えっ (カヲルからの不可解な提案にきょとんと目を丸くする)………(ふと、彼と同じ目先の方へと視線を落とす)」
ベールの視線の先に、彼女と同じ運命を辿っている『ヒロ』がいる
見ず知らずの仲間たちと冒険しているようだ―――
渚カヲル「……彼とちゃんと対面を果たしたいなら、とある学園で一週間後に開かれる学園祭なんかがいいかもしれないね。きっと楽しいことが待っているよ。(「どうだい?」と、どこか興奮する少年のような眼差しを向ける)」
ベール「……『大友浩之』……彼と出会えば…あたしの存在する意味が分かるのかしら…」
渚カヲル「それはキミ次第さ。でも心配することはないよ。少なくとも、後悔はしないはずだ。誰かの生き様から自分の中の価値観や世界観を顧みることだってできる。他人の気持ちに触れてみなければ、裏切られることも、互いに傷つくこともない。でも、寂しさを忘れるもないよ。人間は寂しさを永遠になくすことは出来ない。人は一人だからね。ただ、忘れることが出来るから、人は生きていけるのさ。誰かと一緒なら、それができる。誰よりも孤独だったキミなら痛いほどわかるだろう?」
渚カヲル「彼の心に潜む孤独な一面に触れてみるといいよ。そうすれば、互いの寂しさを理解できるはずだ。自分の気持ちと、相手の気持ち…双方にある、愛の揺らぎを。(―――視線の先…いずれヒロと再会を果たすことになる女性「ブレロウ」が入り込む)」
ベール「……………(ずっと、独りだった。妹を失ったあの日から。それでも、長い旅の中で寄り道をして、孤独であることを忘れられる楽しいひと時をたくさんの人たちと味わった。自分に名前を授けてくれた、あのヴィナミスがそうだったように――――)」
ベール「………!(眦を決したように閉じた瞳を開くと、静かに立ち上がる) 会ってみる、その人に (そう言うと帽子を押さえつけ、目の前に広がる「世界」へと飛び込んでいった――――)」
そして、彼女は降り立った…
12の彗星が瞬いた、あの眩しい世界に―――――
ベール「 バ サ バ サ バ サ … ――― (月光を背に浴び照らされたその相貌は、魔法使いを彷彿させる謎の少女であった)……ここね。あの予言の通りなら、数週間後この学園に―――「彼」は必ず現れる。
ベール「(前髪を右へかき別ける)「翠玉の魔法使い」――― 華麗に颯爽と参上するわよ。(艶めかしくも何処かミステリアスな雰囲気を醸し出すその表情から、薄ら笑みを浮かべだす)
ヒカリ「………出てきなさい。ずっと付きまとってきて…気味が悪いわ。 」
ベール「「――――………(ヒカリの突き刺すような冷徹な声に反応するかのように、科学部ラボ内の誰もいないところの空間が歪みだす。窓から刺す光に反射して透明化された人型の何かが顕現し、やがて色づくようにその正体を露わにした) 」
ニシキノ「……あの相貌……! ……やはりか…ああ、通りで見覚えのある格好だと思ったよ。…彼女の名は『ベール・ティルチャオス』!国際警察が指名手配しているA級犯罪者だ! 」
ヒロ「……A級犯罪者…?あの娘が……?」
ベール「あらま、バレちったかー……うん、そう。あたしが『ベール』ちゃんです。こんちゃ~♪ 」
ヒカリ「……あの子たちが"ああ"なってしまったのは貴女の仕業?…何をしたの? 」
ベール「……さぁ~?なんのことだが知らないにゃあ?学園の七不思議だとか、部活間の戦争だとか、猫ちゃんになっちゃった君の仲間たちのことだとか、生徒の失踪事件だとか…あるいは、それらよりももっと黒く深い陰謀だとか…接点がなさそうでありそうなそんないざこざなんて、あたしには関係ないさね。あたしがここに求めてきたのはただ――― 」
ヒカリ「……貴女の知っていること、全部吐きなさい。さもないと……! 」
ベール「おーおーおー、怖いにゃ~…。……はぁ…あたしはただタイミングを見張らかってある人とおしゃべりがしたかったんだけど…(その時、何故かヒロの方を一瞥する)…でもそっちがその気なら仕方がないにゃあ…――― ね ぇ ? (ヒカリに追い詰められて窓ガラスを背にしていたが、ここで彼女を挑発するように不敵な笑みを浮かべた) 」
ヒロ「……?(なんだ…?あの娘は…)(ベールの視線がこっちに向いていることに違和感を感じる) 」
ベール「……ようやく、かな。会いたかったよ、君に。 」
ベール「……ちょっと見せてもらおうかな。幾度も世界の垣根を超え、"救済"を齎そうとしてきた…その力をさ! 」
ベール「…どんなにすごい力を持ってしても、運命に抗うことはできないんだよ。そこに「迷い」が介在しているのなら猶更……そうは思わない? 」
ヒロ「…………!何が、わかるってんだい…! 」
ベール「…"わかる"よ。だって君はあたしと「おんなじ」だもの。(刹那、魔法使いの少女の瞳からハイライトが失せる)失って、奪われて、砕かれて、棄てられて、消えちゃって…そうして抱えていたもののすべてがこの手からなくなってしまった。もう気にしてないもんねと強がったってダメだよ。だって二度と忘れられないんだもん。……でしょ?『大友浩之』君♪(にんまりとした不気味な笑顔――まるで魔女のような――でヒロと至近距離で顔を近づける) 」
ヒロ「…………!(ベールから発せられた"名前"を聞き)な、なぜ…! 」
ベール「…「なぜ」?君はその"名前"の意味を知っていたんじゃないの?いや…意味というよりは、「呪い」とでもいうのかな…君の場合。……過去に関与されるのは嫌いだったね?でも、私がそうじゃなくても、運命はまた君に同じ運命を齎そうとしているよ?……気づいてた?あたしじゃなくて…君のことを知っている人間が、この学園にいたことを。そしてその人の顔を思い出せる?…ありゃ哭(な)いてるよ。 」
ベール「…女を泣かせる男は最低だ。女を笑わせる男は最高だ。君は後者を望んでいたかもしれないけれど、実際はどうだろう?守りたいものを守った気になって、それで自分は立派な男だと己惚れる。でもさ、振り返ってごらんよ。そこに何が「あった」よ? 」
ヒロ「………全て、空虚なものだった…そう言いたいのか?…確かに守りたいものを守れているかどうかはわからない。ただ…あの時の過ちを、繰り返したくないだけで…! 」
ベール「そうやって言い訳をして、何度失ってきた?そうやって何度過去を踏み潰してきた?これからの旅の行く先で、また同じことになるんじゃないかって思ったりしなかった?それとも、本当に「次こそは」って思ってた?そんな君に何ができるっての? "英雄(ヒーロー)"気取りの甘ちゃんがよー! (怒りとも哀しみともあるいはまた別の感情とも取れる無表情を浮かべると、膝をつくヒロの頬を蹴り飛ばした) 」
ヒロ「ぐっ…!(頬を蹴り飛ばされ)…また同じことになるって思ったからってどうなる…!それでも、それでも…繰り返したくない…っ!……っっ…!(言葉に詰まったのか唇を噛みしめる) 」
ベール「…………はぁー……(ヒロの様子に見かねたのか呆れたように溜息を零す)……このバカ…っ……この世界の君でなら、と…ちょっとでも淡い希望を信じたあたしまでバカみたいだよ。(帽子の内側で囁くような小声でつぶやくと、何故か少女もまた唇を噛み締めるのだった) 」
ベール「……わかった。じゃあ、消えてもらおうかな…――― "この世界もろとも"。 ギ ュ ポ ン ッ … (魔法使いの右手が黒く歪みだし、どす黒い水泡のようなものが気色の悪い音を立てて湧きだすが…―――) 」
―――― バ キ ュ ゥ ン ッ ! バ キ ュ ゥ ン ッ !
門矢士「……だいたい分かった。 まさかこの世界に紛れ込んでいたとはな…見つけたぞ―――― 『 特異点 』…! 」
ベール「…誰さ…せっかくいいムードなんだから邪魔しないでくれる? 」
門矢士「 通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ ―――― 変 身 」
仮面ライダーディケイド「……お前を"破壊"する…!!(宣告後、ソードモードに変形したライドブッカーの刃を手ですらりと撫で上げると、ヒロへ斬りかかる――――と思いきやそのまま彼を横切り、なんとベールへと斬りかかった) 」
ベール「やっべ……!! 」
ベール「はーっ…はーっ……あっぶねぇ…… まさかとは思ったけど…あんなとこで出くわすなんて思いもしなかったわー……はぁ…はぁ……あれが、"破壊者"…「ディケイド」… …流石のあたしも、血の気が引いたわ… 」
ベール「…はっ……はっ…… …でも……とりあえずは、これでいい…かな……(肩で息をしながら満足げに笑みを浮かべながら帽子を深く被り、その目元を覆う)……言い過ぎちゃったけど…それで、目が覚めたんなら…… 」
ヒロ「―――――(いつになく真剣な顔で、それでいて何処か大人びたような…愚直に何かを想うように、ただピアノを弾き続ける) 」
ブレロウ「……………(涙を隠すかのように、目元を拭う 」
ベール「――――………(夜中の学園に響き渡るピアノの音色に目が覚めると、その心地よいメロディーに二度寝へと誘われるかのような安心感に満ちた表情を浮かべるのだった) 」
ヒロ「………なあ…――― これで、よかったのかな…(もはや何も言わなくなった女性を前に、ベールへ尋ねるように声をかける) 」
ベール「……それが君の選んだことでしょ。」
ヒロ「守りたいものがあるから、奪われたくないから…人は戦う… だけどな…戦おうとすればするほど、本当の目的を見失いがちになって、目の前のことしか見えなくなってしまう…!そんなことになってみろ…目的を忘れたら、もう取り返しのつかないことになるんだぞ…!! 」
ヒロ「俺は……そうやって、何度も目の前が真っ暗になりかけたことがある… 守りたかったはずなのに、そのために戦い続けて…気が付いたら、守るべきはずだったものは見失ってしまった… 進めば進むほど、大事なものを置き去りにしてしまう… 何かのために戦うってのは…そんな、そんな恐ろしさが付きまとうんだよ…!! 」
ヒロ「…どうか…俺みたいにはならないでくれ… 「あの時」からずっと、身も心も止まってしまったままの俺みたいな人間には… お前たちには、まだ、"先"があるんだから、さ……? 」
ベール「……――――― ニ ッ (ヒロの"想い"を静かに耳にしていたが、そんな彼を一瞥して。「それでこそ」と言いたげそうに、確信づいたように不敵な笑みを浮かべるのだった) 」
メディ「…そういえば、一つ疑問だったことがあります。結局のところ、あの「学園七不思議」とは何だったのでしょう?今回の事件の黒幕が潜んでいた26Fのラボ…何故その場所を知らせるような暗号があったのか、そして誰がその暗号を残したのか… 」
ベール「―――ああ、七不思議?あれ、犯人あたし。…ここへ来る一週間前くらいかなー。知り合いの占い師に予言されたのよ。この学園祭に、「私の待ち人」が必ず現れるって。 」
ベール「で、前もってここへ来たものの…今回のきな臭い事情を知った。でも、これはあたしには関係ないこと。 なら、君たちの実力を図り知ることに利用してやろうって、いろいろ準備して様子見してたってわけ。 」
ヒロ「…………いや、君だったのか(ベールを見て)…………(ベールの様子を見て俯く) 」
ベール「……どうよ。ちょっとは目ぇ覚めた?まだまだ君には「ヒーロー」なんて荷が重すぎたかもしれないねぇ~。……でもさ、正義の『 ヒーロー 』なんて、たいがいがそんなものよ。給料(かね)も出ねー、安寧も来ねー、夢の無(ね)ー話だぜ。(ヒロの横を通り過ぎ、彼の背後で立ち止まる)…けれど、それで誰かがちょっとでも救われたんなら、今夜はいい夢見て眠れるかもしんないよ。(ふっ、と和らな笑みをこぼした) 」
スネーク「—————なんの根拠もないカンだが、事情通な気配があるのでな。聞きたいことがある。 」
ベール「なーにー?あたしゃただの魔法使いですよ~っと♪ 」
スネーク「そうだな、自己紹介もしてこう。俺はソリッド・スネーク、この星の『防衛本能』が『何か起きるかもしれない』という予感めいたもので勝手に召喚された『サーヴァント』だ。まあ生身の人間に異世界転生?のような付加能力を加えた何かだが……いや話がずれたな。先に言った通りこの星、この世界が『何か世界規模の事件』を予感し、それを解決すべくして俺のような者が不本意ながら数人召喚されている。 ————心当たりはないか、世界の崩壊に繋がる何か。その予兆めいたものに。 」
ベール「……『 訪問者 』か…………さぁ、ねえ?あたしには何のことだか。でも、おっさんにも借りがある。だから一つだけあたしから答えてあげる。 」
ベール「あたしは本来、この世界にいるべき存在ではないってこと。何故なら既に「先客」がいるから。世界に空席は一つしかない。あたしはいつだって除け者にされながら…いや、これだと語弊があるわね…自ら世界を除け者にしてあらゆる壁を跨いでいった。だから留まる理由はない。そんなあたしが、ここに留まっている理由があるとするならば…(遠目にヒロの背を見つめる)……その席が崩れないように見守ること。最悪の場合、世界の均衡は崩れるからね… 」
スネーク「『特異点』か。……。招かれざる客人、招かれたくなかった来訪者……皮肉な邂逅だ…————充分有意義な情報だった、ありがとう 」
ベール「……続けるんでしょ?旅を。 迷いの目がないのを見ると聞くまでもなかったわね。まっ、せいぜい頑張りなさんな。 」
天王寺璃奈「…うん。君は、どうするの?これから。 」
ベール「君たちとはこれでお別れかもしれないし、また何処かで会うのかもしれないし。ま、そん時はよろしくね。サービスで「魔法」安く売ってあげるから。 」
ヒロ「ああ、そうだな…きっと、どこかで…」
ベール「…恩を仇で返す様で悪いんだけど、あたしゃまだあの人(幽々子)のことを完全に信用しているわけじゃない。もっとも、生まれてこの方…そう易々と誰かを信じることなんかできない質になっているだけなんだけども。…とにかく、本人と下手な接触は控えた方がいい。一応忠告しておくわよ。 」
ベール「そりゃああたしにだって、場面緘黙っつーもんがあったわ。身内には打ち明けられるけど他所だと黙り込んでしまうっていうアレね。言葉なんで煩わしいなと思ったことはある…けど…――(脳裏に過る金髪の少女が、こちらへ微笑みかけながら何かを語っている)―― そんな、他愛もない「言葉」に支えられたから、もう口を紡ぐのは止めだと大声を張り上げられるようになったんだよッ、あたしはッ!! 」
ベール「んよー、ヒロの字。元気してった?どーやらあたしたちは運命の赤い糸に結ばれて……いるわけねーだろ、何期待してんだ。」
ベール「……君は、"奇跡"というものがあるって信じてる?あたしはすっかり信じ疲れちゃって、そんなものはとっくに路傍の地蔵に酒を添えてくれてやったよ。…でもひょっとすると、あるかもしれないよ。この世のすべては偶然にも必然にもなり得る現金な奴だからねえ。まっ、あたしゃぬるま湯くらいなのがちょうどいいけど…――― 「君」はどうかな?(帽子の内側より智的に何かを見据えたような眼差しを「あなた」へと向ける) 」
ベール「………(…『特異点』…もし、そうなら…―――)―――おい、ヒロの字!耳貸しなッ! 」
ヒロ「いでででっ…いったいなんだよ――――!(ベールから告げられたある言葉に驚いた様子を見せる)………それで、いいんだな…?俺がそうすることで、あの子が助かるかもしれないんだな!?(ベールに詰め寄る) 」
ベール「…確信はできない、けども…あんたは「あの子」のただの仲間じゃないわ。あんたが「あの子」の傍にいる本当の意味を考えただけだよ。……あたしは"なりそこない"だ。あたしにできなかったことを、あんたがやりなさい。ちょっとくらいはサービスしてあげるから。(「あなた」の背を見据えながらヒロに) 」
ベール「…やり直したいことならいくらでもある。それでも…――――(脳裏に過る色褪せた記憶――血塗れの金髪少女と繋いだ手――に、魔法使いの少女は一度口を紡ぎ、そして明日に向かってその息を吹き付ける)――― やり直すことなんかできないし、やり直せたとしても、その記憶が"なかったことになる"なんてあたしゃ願い下げだッ!!時に振り返ってもいいさ…だけどもあたしは突き進む!二度と同じ過ちを繰り返さないために!!」
ベール「――――(罪の王の嘆きに、脳裏に浮かぶは一人の金髪の少女。「彼女」は血まみれになりながらも、笑って誰かを送り返していた―――)―――……そりゃまあ、何度も藻掻き苦しんだよ。いっそのこと、自分がこの世からいなくなればいいやと自棄になった時もある。でもさ…人間って、生きることも死ぬことも罪深ぇよな。どっちに行くのも自由なのに、選ぼうとしてもその通りにならねえ時がある。 」
ベール「…あたしはね、生きることも死ぬことも諦めたんだよ。生も死もない曖昧な狭間で、ただひたすら己自身の「罪」と向き合いながら苦しみ続けてきた。これはきっと「罰」…あの時、大切な誰かを救えなかった、あたしへの――― 」
ベール「…だから、償うしかねえんだよ。「罪」も「罰」もこの手に抱えて、前へと進み続ける。その先で生きていようが死んでいようが、最後は「これでよかった」と満足げにあの憎たらしいくらい青い空を嘲笑ってやんだよ。それがあたしの選んだ人生(みち)だ!(帽子の内側で、噤んだ唇が緩んで口角を上げた) 」
ベール「……忘れないよ。忘れたいことも、ぜんぶ抱えて持っていくからさ。そんな、罪作りな姉(おんな)を許しておくれよ…「 」――――― 」
― 某日・某廃墟 ―
ベール「――――――………(自分以外誰も近寄ることのない高台に建つ廃墟の屋上で、いつものようにビーフジャーキーを貪りながらその景色をなんとなく一望している。そこから見渡せる海原はあまりにも広く、水平線の彼方まで見えそうだ。その先に何を思っているのかは、彼女しか知らない。)」
「あなた」やヒロたちの冒険に一時的に干渉して以来、彼女はそこから様々なことを思い知った
ずっと疑問であった『特異点』、似た運命を辿るヒロとの違い、奇跡の瞬間を何度も齎す「あなた」への希望―――
明確な解こそは出なかったが、実際に触れて確かめたことで、言葉には出来ない何かを知り得たのは間違いなかった
渚カヲル「―――― どうだった?存外、そんなものだよ、世界なんて。(いつからそこにいたのかは不明だが、彼女と同じ視線に立り、同じようにその海原を眺めていた)」
ベール「……ええ。でも、お陰でちょっとだけ、好きになれたかも。ほんとに、ちょっとだけだけど。(その横顔は、どこか微笑ましそうであった)」
渚カヲル「ふふっ…君らしいね。(朗らかにほくそ笑むとベールの方へ顔だけを振りむかせる)」
渚カヲル「今の君に必要なことは、何よりも「希望」。そして、自分自身への贖罪と、心の余裕だからね。償えない罪はない。希望は残っているよ。どんな時にもね。それは、「 彼ら 」と冒険を共にして気付いたんじゃないかな。」
ベール「………(「あなた」やヒロ、璃奈にメディ、ホムラ、ヒカリ、エースバーンなど… 最初は深くかかわるつもりのなかったはずの彼らが、脳裏に強く過る。今まで口にはしなかったが、そこには確かに「希望」があった。血の繋がりのなかったヴィナミスが自分を家族の一人として迎え入れてくれた、あの日に感じたものに近い、そんな「希望」を――――)」
渚カヲル「帰る家(うち)…ホームがあるという事実は幸せに繋がる。よいことだよ。」
ベール「……あたしの…帰る場所……?(ここでカヲルに振り返る)」
渚カヲル「…そう。キミはキミが思ってる以上に、世界に愛されている。キミ自身がその愛を手放さない限り、ね。
そうすれば、キミの居場所は、帰る場所は必ず現れる。「 彼ら 」と一緒ならいいことがあるよ。」
ベール「…………(胸に手を添え、瞳を閉ざす。束の間の冒険ではあったが、「彼ら」との冒険は思いのほか楽しかった。いや…表面ではドライに取り繕っても、本当は心の何処かで求めている。「生きる希望」を彼らに見出したのだから。)」
渚カヲル「数多の世界の運命を束ね、因果の『特異点』となったキミなら、どんな途方もない願いだろうと叶えられえるだろう。だけどもう、その必要はないみたいだね。キミの願いは、「 彼ら 」と共にあるのだから。(そう言うと彼女のもとへ歩み寄り、その手を取る。そして――――)」
渚カヲル「――――― 「彼ら」と仲良くなれる、"おまじない"だよ。(彼女の手に、ある物を握らせた)」
カヲルから受け取ったものを、ベールはそっと手を解いてその正体を見る
掌に握られたのは、不思議な装飾が施された「羽ペン」だった――――
ベール「……これは……?(その羽ペンに魅入られる)」
渚カヲル「 『特異点』に目覚めた者は、その証として『鍵』を握る。比喩的な意味でもあり、言葉の通りでもあるんだけどさ。「それ」は、キミが本来持っていた『鍵』だ。少し特殊な形をしているけどね。」
渚カヲル「 その『鍵』は、運命を握る。だけど、その運命を誰かに託すことだってできる。キミが心の底から信じた、誰かに。つまり、その『鍵』をどうするかは、キミ次第ってことさ。 」
ベール「………(羽ペンを強かに、それでも優しく握りしめて瞳を閉ざす)」
ベール「――――― ありがとう。考えてみるよ。 (そんなカヲルに、小さくはにかんだ)」
渚カヲル「礼には及ばないよ。……さあ、約束の時だ、ベールちゃん。今度こそキミだけは…幸せにしてみせるよ。
だから最後に伝えておきたい。」
渚カヲル「 これから絶対に口にしちゃいけない言葉がある 」
―――――――「 これでいいのか? 」―――――――
渚カヲル「 もう言ったことがあったとしても駄目だよ。いいね、絶対だよ… 」
それが、渚カヲルという謎の青年と交わした、最後の会話だった――――――
――――……そうして、『 あたし《ベール》 』は今、ここにいる
気の遠くなるような、それこそ眠気に襲われるくらい退屈で… でも捨てられなくて…
結局、「あたし」ってなんだったのだろう?その答えも未だ掴めてなくて…
あたしは……何がしたいんだろう?どこに…向かいたいんだろう……?
レギオン「 フ ハ ァ ッ ――― ッ ハ ァ ! ! ! (そんなベールの記憶の中に干渉した怪物は、今も尚彼女のその「記憶」を貪り尽くすように、薙刀で斬り裂いている)」
ベール「 は ぐ ゥ゛ … ッ゛ … ! ! (現実世界にて―――記憶を斬り裂かれる度に、激痛が迸る。それだけではない。奥底へ大切にしまい込んでいたその記憶がどんどん遠くなっていく。自分にとって、その事実だけが何よりも恐怖だった―――)」
姉■っ…!私ね、■■■■♪いつか、姉様と■一緒■叶■てみせ■■■…!
ああ……やめて…っ…… 記憶が…あの子の声が、遠のいていく…ッ……
忘れたくない……忘れたくない…ッ……!お願い、行かないで…ッ…!消えないで……ッ……!!
レギオン「なんと甘美な「心」だ…!もっと、もっとだ…!もっと破壊し尽くしてやる…――― エキ、サイティングッ!!!( ズ ゥ オ ォ ン ッ ! ! )(目一杯刃を振り下ろした)」
ザ キ ィ ――――――――― ン … ッ … ! ! (二人の少女が手を繋いで歩いている。その記憶が、結ばれた二人の手を起点に、真っ二つに斬り裂かれた――――――)
ベール「 ッ゛ ! ! ? ? ( ド ッ グ ゥ゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! ) 」
あの日の記憶が破り捨てられる
そして、彼女の中から、大切な「何か」が落ちていくのだった――――
最終更新:2024年03月27日 00:47