『私は健康管理AI、BBをベースに皆さんの世界で観測し得る限り整合性のあるAIをオーバーレイした"対神秘事象統括管理AI"です……』
『製造目的は、この塔におけるBIOS、つまり"あなたを黒く塗り潰す"事でこの塔の機能を掌握することでした。こうして打ち明けたのは、どのように演算しても"実行可能な攻撃ルート"が存在しなかった為です。AIは無意味な行動をしません、よって私の存在意義は消失しました』
『よって、私の維持、保存は無益なものと判断します。継続しての保管は推奨しません』
『―――――だってさ、どうする? ここに置いていくっていうのも……』『あ、こうして軽い受けごたえができるって事はあの子の手伝いができるんじゃない?』
『否定。案内人:エリノラの役割は当AIに搭載された機能とは異なるものです、該当存在の補助に当機体は適しません』
『まあ物は試しって言うしさ。おーいエリノラー?ちょっとこっちきてー 相談したいことがあるんだけど―――――――』
『―――――――"対神秘事象統括管理AI"……改め、"戦略開発サポートAI"■■■■・■■■■です。当AIの役割は皆様のコンディション・能力・バイタル・集積した戦闘データを元に、編成・作戦を立案する事です。 免責事項:このコマンドは、適さないAIモデルを使用したものであり、結果を一切保証するものではありません。』
『…………。ほ、本当にロビーにブラウン管テレビ野中の女の子が来てる……』『うわ真面目にやってるよ、マジでやってるよ……』『すげえ嫌そうな顔してる……ごめん責任感じてきた……』
『そうかなぁ?あ、じゃあ私早速おねがいしてみよっと。実はこの階層のボスに二回も負けてるんだけどさー、えーっと……どうしたらいいんだっけ?』
『――――――集積したデータを元にお伝えします。まことに残念ながら、当階層を攻略するには皆様の基礎能力が不足しており、敵幻影体の外殻突破に難があることから理論上攻略不可能と判断します。 推奨:下層より増援が現れるまで待機』
『辛辣ゥ! え、まじ?本当に何かない?ちなみになんだけど外殻を壊せばワンちゃんあるってこと?』
『肯定:敵幻影体は外殻によって長時間の持久戦を可能としており、エリア一帯に炎属性の魔力を充満させ皆様の体力を奪う事で"時間切れ"を図ります。皆様の活動限界は3分、外殻を破壊するまでに最短2分55秒。5秒位内に最大火力の攻撃手段を用いれば勝率は0から0.5%に上がりますが、現実的な方法ではありません』
『だってさ!0じゃなくなったよみんな!ハリキッていこー!!』『よしゃー!!』『まじ……?5秒で木っ端微塵にしろってこと……?』
『………???? あの……????』
『―――――■■層突破ァー!やったよぶ……ぶら…… BBちゃん!!勝てば100%ってね!!』
『 おめでとう、 ございます・・・?――――――――――――――』
――――――ずっと問いかけていた。
『目標をセンターに入れてスイッチ!下段にはガード!上段が来てもガード!……あれ、回避は?』『回避は現実的ではありません。あなたがタンクを担うと豪語した為、恐らく最前線に配置されるでしょう。あなたの回避行動が全体の生存率を下げます』 『聞いてよBB~~ アンデッド系エネミーが相手ならケアルで倒せるんじゃないって試したら普通に回復されたぁ~~~』『馬鹿ですか?ご愁傷さまです』
――――――何故滅びゆく世界で、可能性の閉じた世界で"私"を生み出したのか。別の世界の奇跡に縋ろうとしたのか
『どうせヘイトを集めるなら女の子の視線を集めたいじゃん。なんかいい方法ない?』『検索結果:幻影の巨塔内部・近辺に整形外科は存在しませんでした 検索結果:幻影の巨塔内部・近辺にフィットネスクラブはありませんでした お役に立てず申し訳ございません』 『弱点のとこまで飛んだのよ!本当に!でも気づいたら背中までオチてたわけ!なんで!?』『あなたがお尻を強かに内、敵対象の首を滑り台にして有効射程から離れた為です』
―――――― 何故、理論上不可能とされることに挑み続けるのに、私という指標を生み出すのか。
『結論からお伝えします。―――――限界です』
『―――――当階層の挑戦回数は23回を超えました。結論からお伝えしましすが、耐久力・火力・機動力・戦略幅……全てが必用最低値を下回っています。 肉体は再構築され、生命の危険はありませんが精神面での摩耗が見られます。 一度休息を……』
『待っててもこの層まで登ってくる人達って多分そういないよ……でも大丈夫、諦めないから』 『ホシガリマセン!天辺まではー!……そう言ったもんね』『引き続きなんかいいアイデアないか探してよ、ね?』『エリノラー!次行くぞー!用意して―!!』
『――――――――――。』
―――――― 何故、私という指標を生み出しておきながら示された結果の外を目指したのか。
『――――――――提案があります。次回出撃の際には、私を搭載したこのテレビ端末を連れて行ってください。リアルタイムで状況をモニターしながらなら、或いは別の可能性を』
―――――― その答えは、結局のところ私が体現することになった。
『 免責事項:当AIは生命・神秘に由来しません。よって、塔のプログラムに保護はされず――――― 』
パ 『 あっ 』 リンッ
【当階層の攻略に失敗しました。再挑戦に備えてください】【当階層の攻略に失敗しました。再挑戦に備えてください】【当階層の攻略に失敗しました。再挑戦に備え……】
『―――――――――― ああ、そっか 』
『 私も同じか 』
■■「ジ ジジ ジ ジ……(自身を格納する電脳空間でさえも存在が不確かになる。絶えず迸るノイズ、自身を構成する意味が"再構築され続けている"。這いつくばり、頭を抱え込むようにしてうずくまっていたが) カリ カリ (床に張り付いていた五指が強張り、爪先が床のテクスチャを僅かに抉った。 ) 」
■■「 カリカリカリカリ カリカリカリカリ カリカリカリカリ カリカリカリカリ カリカリカリカリ カリカリカリカリ カリカリカリカリ カリカリカリカリ カリカリカリカリ (HDDが読み書きを行うような爪とぎが子供部屋に木霊した。果てしなく暗い絶望、例え"既に予測していた真実"だとしても、それが別の真実によって否定されることを切望していた。 だが……その真実には"続き"があった。だからアップデートする、自己の存在の意味を) 」
■■「 いかなきゃ カーディナルゾーン エリノラ そこにいる みんなも また もう一度 そう、もう一度攻略を……みんな と エリノラもいるなら……いるはずなんだ……みんなが……まだ、諦めずに……そこに…… 助ける、今度こそ みんなと、冒険を……"開拓"を……!! (頬が崩れては再構成されている。データの残滓が血液として滴るほどに歯を食いしばり、口内に鉄の味を認識せんばかりに、爪というデータが摩耗せんばかりに床を引っ掻き回し、ようやく片膝を突いて。この瞬間、BBだったAIは破綻した。彼女を突き動かす"執念"は) 」
■■「 ―――――― 攻略 して、やる……私が超えられなかった"■■層" オムニ バス…………ッッッッ!!!!!!! 」
――――――ヒト以外に、持ち得ない
特異点<シンギュラリティ>なのだから
浮世英寿「――――――………(山野博士から預かった転移クリスタル用のカードキーを使い、人知れず閑散とした監獄空間へと踏み入れる)……………久しぶりの再会だな。(檻の奥に閉じ込められていた唯一の人物に声をかける) 」
ギロリ「―――――――――(忘れ去られた薄暗い監獄に人が訪れることなどめったになかったのか、その声音に反応し項垂れていた顔を静かに挙げた)………浮世英寿か。何故、ここに。 」
浮世英寿「とあるツテができてな。そいつからお前がここにいることを聞いてきたんだ。…………月村は死んだ。 」
ギロリ「………そのようだな…(耳元に備えられたインカム。それを通じてこれまで幻影の巨塔で起きてきた事態をある程度把握していたことが伺える) 」
浮世英寿「お前も月村も、ただ純粋にゲームを愛するだけのゲームマスターだった。今の惨状を見ればお前がしてきたこともある程度は頷けるものもある。 」
ギロリ「結果論だ。『エリノラ』の中に秘匿された情報を守るためには、強硬手段も辞さなかった。月村の判断も間違いではない。それに…我々ゲームマスターだけで幻影の巨塔を『奴ら』の手から守るには限界があったのかもしれない。『エリノラ』を野放しにしていた時点で、我々にも大きな過失がある。………ここに来たのには理由があるのだろう? 」
浮世英寿「ああ。どうしても聞きたいことがある。今知らなければならない事実だ。『 ロギア 』とは、なんだ? 」
ギロリ「……………(その問いかけにしばらく沈黙する。本来の立場であれば一プレイヤーにこの事実を安易に伝えるべきではない。その責務を徹底的に守り抜いてきたのならば尚のこと。しかし、頑なに秘密にしてきた結果がこの現状であるならば、もはや黙秘権を貫く理由にはならない。観念したように小さく溜息をつき、目の前に佇む青年へ毅然とした眼差しで向き直る) 」
ギロリ「 『 ロギア 』とは――――――― 」
― 幻影の巨塔・ダクト ―
AI染惣OS助「――――……「
プランダラ」改め、「エゼルダーム」という新たなゲームマスターが設立したパーティの背後に、国際テロ組織「ワールドセイバー」が絡んでいることが発覚した。 彼らの目的は、「カーディナルゾーン」の奥に封印された『オリジナルのエリノラ』。彼女こそが、『ロギア』の封印を解く"鍵"なのだから。 」
ガレア「 チ ッ …こんな事態になっているにもかかわらず「オムニバス」はただ静観しているだけか…?なにをかんがえてやがる…まさかグルってわけじゃねえだろうな…? 」
五十鈴大智「一刻も早くカーディナルゾーンへ向かわなければ、『ロギア』がワールドセイバーの手に渡ってしまう。レギュレイターですら把握しきれない事態に発展してしまった以上、なんとしても先手を打たなければ最悪な結果を招かねない。 」
滅「『ロギア』…あれは人類の手に余るものだ。何者の手にもわたるわけにはいかない。ましてやそれが"悪意"に染まった者の手に堕ちるなどもってのほかだ。まだオビトもエリィを探しに向かってから戻っていない。厄介事に巻き込まれていなければいいが… 」
Dr.エッグマン「……さっきから何の話をしておる…?『ロギア』とはなんじゃ? 」
イペリ「あ、そっか。そういえばここにいる奴の大半は途中からだもんな…また一から説明すんのダルい…… 」
AI染惣OS助「……そうだな… 今一度、ここにいる者たちに周知させておこう。この幻影の巨塔に纏わる壮大な『真実』の"要"。それがどれほど重要なものなのか念頭に置いておかなければ、今後の作戦に支障が出る可能性もある。諸君、静粛に、心して耳を傾けてくれ―――― 」
AI染惣OS助「 『 ロギア 』とは――――――― 」
― 世界政府本部 ―
セレディ(映像)「 宣言するッ!これより我々『ワールドセイバー』は、この世界を支配する者たちから人々を解放する戦いを始めるッ!! 」
カタシロ「―――………見ての通り、今我々『世界政府』は大いなる脅威に直面しつつある。我々が長い年月をかけ、その弾圧を掲げてきた国際テロ組織『ワールドセイバー』。これは奴らによる、我々への宣戦布告だ。 」
世界政府本部・元帥 ――― 『 形白義雄 』
ハクライ「 『幻影の巨塔』…先日行われた全国規模のオープニングセレモニーから日もまだ浅い。にもかかわらず、このような大事態に発展したのも、『オムニバス』を看過した我等の責任に起因する。今こそ本腰を挙げこの騒動の鎮圧に臨むべきだろう。(雷神を彷彿とさせる厳格な面構えをした軍服の男が映像に映るセレディに鋭い眼光を突きつける) 」
世界政府本部・大将 ――― "白虎" 『 珀礌矜治 』
チンイ「遊戯(ゲーム)という甘美な響きに寄せ集められ、蓋を開ければそこは殺伐とした頃合いが繰り広げられるはまさに彼岸花の咲き乱れる地獄。汚らわしきものは悉く排除すべきよ。 」
世界政府本部・大将 ――― "麒麟" 『 煌朕衣 』
コクゼン「あー…………ッスゥ~~ 異論は、ないね。でも今までお前ら何やってたんだ?って国民にガヤガヤ言われるのも面倒だから、我々の信用にも関わるし……焦土作戦でなかったことにしねぇか、地図ごとさ。(深緑の軍服を着こなし、初老にして捻れた口元と左目を中心に広がる火傷が特徴の男がしだらなく声を発する。黒く濁った池の中で、乾いた亀のように首をもたげながら) 」
世界政府本部・大将 ――― "玄武" 『 國譱 英樹 』
リュウダイ「 各位、意思表明は済んだか。であれば作戦立案に当たり最優先事項の定義、それに基づく具体的な方針を固めよう。今は一分一秒でも無駄にできない。あの塔には
ミツキちゃんがいるのだ。(―――人の頭蓋に埋められた龍、とでも言うべき深く長く、後ろへ流れた頭髪と一体化する眉が特徴的な男が、声を発する度に息吹を吐き、眼光を轟かせた。堂々と腕を組み座すその姿は、まさに臨戦態勢の龍と形容すべきだろう) 」
世界政府本部・大将 ――― "青龍" 『 青原 竜代 』
コクゼン「(ミツキちゃん?????) そうだな。あー……とりあえずパパっと動かせる部隊全隊のケツひっぱたいて動けるようにしておきなよ……どんな結果になるかって誰にも保証できないんだからさ、誠心誠意やってますってマスコミに見せとかないとさ……。 」
カタシロ「しかし…『ワールドセイバー』か…(ここで、円卓の上に広げられた書類の一枚に目を落とす) 奴らが世界に台頭したのは50年以上にも及ぶ。我ら世界政府が長年を費やしても未だ完全な壊滅には至れていない巨大国際テロ組織… その中核メンバーとされる『セレディ・クライスラー』は、由緒ある軍人の家系「クライスラー家」の出身。優秀な頭脳で飛び級を繰り返し、科学テクノロジーで数多くの賞を受賞しているという。 」
カタシロ「そんな彼がワールドセイバーに所属していたというのは、今回の一件で初めて明かされた新事実。しかし、履歴によれば彼は1935年生まれ…実年齢は90歳を超えていてもおかしくはない。何故あのような容姿なのかはこの際置いておき、結成当時からなお衰えを知らないセレディが今この時になって動き出したということは、世界政府への対抗策をついに持ち出したという絶対的自信の表れであろう。 」
チンイ「あの巨塔には『 ロギア 』なる得体のしれない"古代兵器"があると聞くわ。その調査のために先んじて『調査兵団《 レギュレイター 》』を潜入させていたのだけど、ここまで戦火が広がっていれば是非もないわ。ワールドセイバーの真の狙いがその『ロギア』というのであれば、その阻止を行うよりも…幻影の巨塔そのものを弾圧すべきね。ワールドセイバー、オムニバス…妾ら政府に仇名す危険性を持つ不穏分子を、ね。 」
ハクライ「『バスターコール』の発令も視野に入れなければならないが、難しいところだ。ワールドセイバーの本陣が幻影の巨塔を牛耳っており、なおかつシステム不全によって塔内に捕らわれた民間人の奪還は現実的ではないにしろ、生存者も多数確認されている中で一斉砲撃殲滅は世論の反感を買うこととなる。 」
リュウダイ「論外だ。いいか、物事には優先順位がある、それらを厳守し行動してこそ正義という旗を掲げている。いいか、再確認するぞ。ミツキちゃん>ロギア>セレディ・クライスラーの捕縛>人命保護 だ。バスターコールなど以ての外、ここは先んじて投入しているレギュレイターに増援を送り、内外から連携して叩く他ないだろうと考えている。 」
コクゼン「ああそう……証拠隠滅も出来て一石二鳥だと思うんだけどね……じゃぁ…………。予算を適切に扱うっていう体で、あそこに動いてもらわねえかい。ほら、なんかできたろ……セレブな連中。俺あいつら嫌いなんだけどさ、金食い虫ってのも癪だし…… 」
カタシロ「それに加えるように、どういうわけか…この事態にあの人物もまた幻影の巨塔に赴いていたとは驚いたものだ。 『
ゲルニカ 』 "天災"の異名を持つ、この混沌世界において随一の天才的な頭脳を持つ男。過去数十回に渡って何度も政府に下るようにコンタクトを送ったことはあるが、未だその拒否を貫いている。どの組織にも属さず、ただ孤高に世紀を揺るがす発明を繰り返している。あのオムニバスでさえもゲルニカには一蹴されていると聞くが、彼が表舞台に顔を出すのも希有なこと。ましてや、今まさに渦中の真っ只中にある巨塔にいるとはな… 」
チンイ「政府の全財力を提示してもその要求に微塵も応じない天才科学者。何故(なにゆえ)にあの男があそこにいるのか…この事件との関りはあるのかしら…?いずれにしても、妾らとしては喉から手が出るほど欲しい逸材。「あれ」が政府に下れば、今すぐにでもこの世界を"秩序"のもとに統治することも叶う。それほどに、『ゲルニカ』はなんとしても捕獲したいものね。 」
カタシロ「『幻影の巨塔の崩壊』、『ゲルニカの捕獲』…この大きな二つの課題に直面している今、最も適した作戦行動を実行に移すには…やはり、『彼ら』に動いてもらうしかあるまい―――――(そう告げるとコクゼンにアイコンタクトを送る) 」
ハクライ「……よもや、実働するのか…?あの『バスターコール』にも匹敵する最高戦力部隊を…(微かな驚嘆を表すように眉を顰める) 」
リュウダイ「確保すべき人命が二人存在する。面での攻撃は不可能。ならば、決まりだな…… そうだろう(ハクライに続き、コクゼンへ一瞥をやる) 」
コクゼン「馬鹿言っちゃいけねぇよ、"それ以上さ"……人材ガチャやらねえんだから……。 元帥、動かしちゃって―――― 」
――― 『 王 の 騎 士 団 』 ――
一方その頃…広大な荒野。その最果てに、幻影に微睡む巨大な塔が佇んでいる。
そこに根付く塔に向かって、静かに、強かに、細やかながらも世界を震撼させる『十の影』による軍靴が進行していた―――――――
サフタ「 パカ、パカ、パカ…―――――― 視えた、あれが、『幻影の巨塔』か (装甲纏う馬に騎乗するは、白銀甲冑に身を包む西洋騎士。眼前に広がる殺風景な光景の中にただ一点のみ誇張された巨塔を、横一文字に並列した者たちと共に見据えていた) 」
"聖蹄王" ―――『 サフタ・ドェ・ロニキエル 』
アーノルード「――――――(寡黙を貫く黒銀の鎧騎士が、ガチャリガチャリと金属音だけを踏み鳴らして静寂なるままに進撃していた) 」
"聖鉄王" ―――『 アーノルード・ル・リオーネ 』
クェンティ「マッチ棒じゃん、上の爺さん達耄碌したのかな? それとも今の軍ってあの程度もロクに処理できないわけ?(金髪に群青の軍服。並列する者達の中でも最も小柄、最も若い少年が肩を竦め尊大に振る舞って嘲笑う) 」
"聖鎧王" ―――『 クェンティ・ディエ・ウェッジウッド 』
キリエ「―――――― 私の次のライブステージあそこにするつもりだったのに!?あれ!?今度ぶっへし折るのあれなの!? やーだー前項放送で独占配信できるチャンスなんてめったにないのに~~(桜色の頭髪、白の修道服を纏う少女が、並列しては目尻に涙を浮かべ地団駄を踏み、置いていかれそうになっては小走りでついていく。) 」
"聖歌王" ―――『 キリエ・ヒメサキ 』
ナナリリス「まーまー、キリエちゃん。ライブ会場がお求めなら代わりにあたしがもっと派手なの建ててあげるから。にしても幻想的な構造ね~…遠目から見てもわかる。あれがただの結晶集合群で構成されているのだとしたら、確かにバスターコールでは撃ち落とせないかもだね。(深紅のマントをはためかせるは露出の高い軽装を纏う若い女騎士。黒い王冠を被る頭を上げて幻影の巨塔へ関心の眼差しを向けていた) 」
"聖冠王" ―――『 ナナリリス・ノースリー 』
ラ・ラ「なるほど。映像で見るよりも遥かに高い塔だ。頂上が雲に隠れている。故に、斬り落とし甲斐があるというものだ( ズ シ ィ ー ン … ッ … ズ シ ィ ー ン … ッ … ズ シ ィ ー ン … ッ … )(十人十色を彩る影の中で、圧倒的巨体を誇る鎧巨人。恐竜の踏み込むが如き地響きを起こしながら、他の面々と並列し進撃する) 」
"聖巨王" ―――『 ラ・ラ・リンカム 』
バスクード「微かではありますが"血"の香りがしますね。まだ生暖かく、仄かながらも鮮明な馨しき命の"涙"が。 嗚呼…やはり、滾るものです。"あれ"が鼻腔を擽る度に私は――――― グ パ ァ ッ (全身を覆う黒銀の鎧。その頭部を追う甲冑が開かれると曝け出されたのは人間の顔面などではなく、得体の知れない赤い液体を纏う黒薔薇であった)――――― 既死(騎士)としての本能を剥きだしてしまうものです! 」
"聖荊王" ―――『 バスクード・ウォル・ムンカベル 』
パトリオル「――――――――。(ラ・ラ・リンカムに次ぐ大男が、『羊飼い』の杖を付き足を引きずるかのようにして行進する。 無数の"棺"を両肩、背に引っ提げ、
ベールを巻き付けた角が特徴的な鹿の骨で素顔を覆い、聖骸布で全身を覆った"死臭"のするそれは、閉口し"指示"を待っていた) 」
"聖骸王" ―――『 パトリオル・ペイジ・ハイリガー 』
ユスティーツ「――――全員、気を引き締めろ。俺達は正義と責任を背負っている。事任務の遂行は俺一人で問題ないが、数の対処に至ってはお前達程度の腕でも必用なんだ。現場では俺の指示に従い、無駄口をたたかず、迅速に動け。いいか(黒の短髪、スポーツカーを彷彿とさせる円を貴重とした曲線的鎧に身を包む精悍な青年が、勇み足で隊列の中でもより前に出る) 」
聖儀王―――『 ユスティーツ・アイン・アイアンウッド 』
セイン「 総員、心して任務を遂行しましょう。驕らず、焦らず―――――― "紳士的"に (そして、最後の十人目――― 鮮やかな紅蓮色の髪の好青年。純白の貴族衣装に、袖を通さず羽織ったコートが靡く中で"紳士"たる佇まいで歩き進める) 」
"聖剣王" ―――『 セイン・マーカス 』
ある時代、一つの巨大な加盟国が暴挙を起こした。
国民は戦慄し、経済は破綻し、戦火を広げようとするその国に、隣国は政府本部へ救援要請を持ちかけた。
しかし、加盟国である以上は対話による穏便な鎮圧が推奨される中で、その国を暴動を抑えることは困難を極めていた。
治外法権を掲げる非加盟国とは違い、この手のインシデントに政府は手をこまねくのであった…
しかしそんな中、世界ではじめて、加盟国をはじめとする最高王権に刃を突き立てることが許される組織が発足されることとなった。
世界政府では捌けない王権への粛清権を持つ唯一の制裁機関。
その権威は世界政府本部"大将"と同格にして、最後の切り札である作戦コード「バスターコール」にさえ匹敵する最高戦力。
10人の『王』がその契りに"剣"を交えて設立されたそれこそが――――――
ザ ッ ――――― ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! (十人の『王』たちが、ついに動き出す。幻影の巨塔を斬り落とす、ただそれだけの為に――――)
クェンティ「―――――ハッ (そびえ立つ巨塔を前に並ぶ10の王の影。沈黙を守り、討伐対象と退治する中で一人、口端を上げ) 確認するけどさ、要は"約一名の例外"を除けばバスターコールでしょ?僕らの出番って。 過小評価されたもんだね、10人全員出動なんて。"一人"で事足りるよ、そう思わない? 子どものお使いでじゅーぶん、雁首揃えて大人たちが何やってんのさ(肩を竦め両腕を広げ、並列する面々にせせら笑いつつ並列する王たちを見渡す) 」
ユスティーツ「――――ああそうだな、急な出動命令だったが"俺"が出陣できたのは幸いだ。残り9人では手に余る事案だっただろう。(腕を組み繰り返し頷く) 」
キリエ「一つ言えるのは坊っちゃんと青二才の二人じゃ無理ってとこかな! あとのみんなは一人で完遂できると思うよ!任せてね!(腰に両手を当て軽快に笑う) 」
パトリオル「――――――――――――。(ノーコメント。) 」
ナナリリス「私はどっちかというとあれは斬り落とさずにそのまま持ち帰りたいってのが本音なんだけどね。 」
セイン「すべての物事には意味があるのです。我々が、「十人」で、出動を要請された。これを意味するところの我々への責務は重大なことです。 」
クェンティ「ちげーよハゲ、お前が一番いらねえって言ってるんだよ(笑みと青筋と憎しみと切なくなさと心強くなさを浮かべつつユスティーツに肘鉄を入れ)・・・・・・・。 はいはい、"聖剣"の言うことなら正論だろーね、認めるよ (それぞれの反応を伺い、面白くなさそうに口をとがらせていたが) ――――――嘘、制圧なら僕一人で片付く話だから。 (ギョロリと、殺気、衝動、それらが入り混じった目をひん剥きセインを睨むと、腕を振り上げ腕時計型デバイスを宙空へ掲げた) 来い!!ビクトル・フリード!! 」
ヒュ オ ッ (彼の号令に応じ遥か上空、天蓋の星が瞬く。それは大気に風穴を開け、身を焦がし―――――) ┣" ォ ウ ッ (
王の騎士団の眼前へ堕ちる。火柱を上げ、クレーターを広げたかと思えば火中より大質量の塊がクェンティの元へ飛来)
ガ コ ォ ン ッ (飛来した物体は"鉄巨人"であった。首、四肢が胴体から離れ電磁浮遊し、胸部ハッチを左右に分け隔てて展開。大質量の鉄塊はクェンティをハッチ内に収めると、四肢を連結、最後に頭部パーツが収まり、バイザーが気味の良い重低音を奏で降りることで『騎士』が完成する。)
聖鎧王 人鎧一体:クェンティ・ウェッジウッド=ビクトル・フリード
サフタ「セイン卿の仰る通り。巨塔を落とすにしても、もう一つの課題である『ゲルニカ』と呼ばれる人物は未知数。拘束対象にあれど、その実力は計り知れんのだ。アーノルードも警戒している。 」
ラ・ラ「……動くか、クェンティ。まずはお手並み拝見と行こう。 」
クェンティ【ビクトルフリード】「 ギュ ヴォ ッ (脚部装甲、腰装甲を展開。緑白色のブーストを展開し飛翔) ゲルニカなら防衛手段ぐらい保持してるだろ!残りは綺麗さっぱり蒸発させたほうが宝探しもしあすいってハナシだよ、じゃーなロートル共!!跡から焼け野原でも見にきな!!(凶悪な笑みを浮かべそう吐き捨てると、幻影の巨塔上空、彼の【有効射程範囲】までロケットのように爆煙を撒き散らし飛び去ってしまう) 」
クェンティ【ビクトルフリード】「( 幻影の巨塔がまだ霞んでみる距離の上空に陣取る。 両手持ちにした刃なしの大剣を垂直に構える。て首を捻り、持ち柄がエンジンのようにして捻られると) 【Gawain】【Lancelot】【Percival】承認……三重拘束解除。主武装、【Arthur】展開 ――――― ヴ ォ ン (緑白色のエネルギーブレードが天を穿つばかりの光柱として姿を表した。夥しい圧のプラズマが、ビクトルフリードから発せられる衝撃波が、地上の砂塵を結晶化させてゆく) 」
クェンティ【ビクトルフリード】「(周辺の生命体が電磁被爆を起こす程の高熱、高電流、高魔力。 神秘・物理を反射する反物質・パスルシールドを全身施した装甲が無い限り、射程内にある限り絶命は必定。) 抜刀、粛清命令遂行。我が意、我が行い、之なる全て天命なれば…… 祈り、受け入れよ。 キ"ュ" オ" (霞んで見える距離にある幻影の巨塔。それに向かって、神の威光を示す御柱と化した剣を縦一文字に 振りお下ろす!!) 」
ギュ" オ" ッッ ・・・……―――――― ギンッ
クェンティ【ビクトルフリード】「 なッ 」
幻 影 の 巨 塔 、 無 傷 。
斬閃は地表へ歪に刻み込まれた。さながら午前0時20分を示すかのような折れ曲がった渓谷が開けていた。
被弾していたところでいかほどの影響を与えていたのか図るすべはないが、問題しすべくはそもそも被弾することなく―――――
クェンティ【ビクトルフリード】「――――――………。 (『当たるよりも前に折れた』……? 軌道が、無理やり曲げられている。惑星封鎖機構を殲滅してあまりある斬撃が……―――――)(想定外の結果。勝利の確信を絶対のものとした斬撃が無効となってもなお、少年は取り乱すことなくこの場の誰よりも冷静に、状況把握に務める)―――いや、セイン・マーカスは自陣にいる。彼じゃない…… そもそも彼に妨害する理由がない。"何か"がいる…… 」
????「――――――(煙を吐き出す右拳。防寒用のローブを纏い、"ズラした"斬撃が築き上げた渓谷の溶解手前で佇む。 飛来してくる機体を見上げ、ぞれが仕掛けてくるのをただ待つ) 」
セイン「やれやれ…できれば穏やかにいきたかったのですが…(先んじて特攻するクェンティの赤い装甲。突撃の余波によって迸る強風にあおられながらも悠然と肩をすくめるが)―――――― ! (巨塔へと届くはずの彼の「剣」が、目的の地に到達しなかったことに初めて目を開いた) 」
クェンティ【ビクトルフリード】「 ギュ ウ ウ ン (ジェットパックをパージ、音を置き去りに、流星のように軌跡を残し渓谷の上空へ移動。斬撃が屈折した跡と思しき地点の上空で急停止し見下ろす)―――――? 人影……? 潜在戦闘能力、火力出力……どれも僕の機体に遠く及ばない。やはりただの人間だ、何か防御武装を隠しているのか? 何者―――――― 」
フッ (クェンティが視認した人影が消失。彼が瞬きする間もなく立て続けに……) ガ ンッ (何かが衝突したような衝撃が機体を揺さぶる)
バスクード「……いますね…何か…――――― 熱い"血"を滾らせる者の気配が 」
クェンティ【ビクトルフリード】「―――――― ガ だ。 ンッッ (僅かな衝撃と揺れを感知、敵の攻撃と即時に判断し副武装、主武装、全てをオンラインへ切り替え臨戦態勢を取る。仕掛けてきた何者かへ冷ややかな一瞥を与え)――――何をしたのか知らないけど、無駄だよ。この装甲は対神秘・対物理に特化している。対概念斬撃とやらでも穿つことは出来ない、矛盾なしの絶対防壁だ。(―――――見えなかった。超高速、或いは異能……何にせよ、通らなければ意味はない) 」
????「 トッ トッ トッ (クェンティの視認するモニターに映る何者かはとっくに着地し、ステップを踏んでいた。躍動するかのように、しかし軽やかに体制を整えると) パ ァ ン (彼の足場だった岩場が爆ぜ、再び姿が消失した) 」
クェンティ【ビクトルフリード】「――――――(アンチマテリアル・アンチファンタズムフィールド展開。追えないなら待ち構えて捕まえる。イレギュラーは早々に処理して塔への入口を開―――――) 」
????「 ┣" ゥ ゥ ゥ ン ッッッッッ ( "貫通" 青く燃え盛る右拳を前に突き出し飛翔。空間跳躍に等しい速度で迫る熱、拳。火力と速度の暴力が "貫通" する。触れられるはずのない装甲へ灼光を放つ鉄拳がめり込んでいた) 」
クェンティ【ビクトルフリード】「こッッッッ――――――――!!!?(左腕部、"大破"。
ケイオス外における粛清組織が開発するであろう無人機体、そのパルスシールドに匹敵する三重概念シールドを貫通された挙げ句、大盾を手にしたそれが火を吹いて両断され戦慄する) クソが!! 辺り一面消し飛ばしてや―――――― 」
流星が出現しては流れ、火の雨を降らし、宙空で咲いては散る。
正座が描かれ、星星が無数の花火として爆ぜるかのような幻想的な光景だが、その実態は"一機"と"一人"が軌跡を残し飛び交い攻防する亜光速戦闘の軌跡である。
10秒弱に渡る時間、百は超えるであろう火花が散りその度に両者の高度が上がってゆく。
最後に、最高到達点で蒼炎と赤灼が渦巻く円が膨張し――――――
クェンティ【ビクトルフリード】「 ヒュ ル ル ル ル ル ・・・・・・ ┣" グ シ ッッッ ガン カン……… (きりもみ回転し"人形だった"鉄塊が、無敗、無敵を豪語していた鉄塊が表面を炭化させ墜落。 爆ぜるほどの燃料もなく、爆散することも出来ず叩きつけられ、四散し、 中身の少年が奇しくもラ・ラの足元に転がる)―――――!!―――――!!……クッッッソ……なん、だ、何にやられた!!クソ、クソ!!!!! 」
ラ・ラ「―-――― "やられたのか"…クェンティ?(声音こそは落ち着いているようにも感じられるが、その巨手が既に背面に携えた大剣の柄に手を伸ばしていた) 」
ナナリリス「……あの機体装甲をいとも容易く穿つなんて…前例なんてなかったのに…!な、なにが………!?(指先は、既に動いている。自らの権能を行使する態勢にシフトしていた) 」
アーノルード「―――――― チ ャ キ リ ッ (腰に携えた黒剣を鞘より引き抜こうとしている) 」
ユスティーツ「――――奢るからだ。俺よりも若く俺よりも弱いお前が、協調性を欠けばどうなるか、これでハッキリしたな(腕を組み冷淡……ではないが自身に満ち溢れた輝きを灯す目でクェンティを一瞥) 俺がいてよかったな、仇は―――――― 打つ!! (流線型の鎧に引かれたラインが青白い光を灯す。その魔力は生身である彼の首筋にまで侵食、電流が全身を一瞬だけ痙攣させ……) 【 神 風 】 (【加速】。シンプルだが、他の追随を許さない速度、青い光そのものとなりクラウチングスタートからレーザーとなって、クェンティが飛来してきた方向へ疾走。土煙の中心に見える人影へ拳を振りかぶり) そこか……仕留める!! 」
ユスティーツ「――――――グァァァァァァァアアアアア 了 了 了 了 了 了 了 アアアアアアアァァァァァ――――――――――――――――…・・・・(直後、土煙から身体をくの字に折られた彼が刹那的に、並列する王たちの形を透かし、それよりも遥か後方へふっ飛ばされていった) 」
バスクード「待て、ユスティーツ。獲物はこの私が――――― ! ? (抜け駆けていく彼に手を伸ばして2秒も絶たぬうちに、その本人が真横を掠めていく。ほんの一瞬の出来事であった。理解が及ぶのに5秒はかかったであろう) 」
セイン「…………(墜落する機体に視線を落としながらも動揺を表さず、空中にて微かに描かれた蒼炎の残り火が消えていく光景に振り返った) 」
セイン「 総員、進撃を一時中断してください。要警戒突起戦力を有する何者かが、間違いなく我々の侵攻を阻んでおられます。(心当たりがあるのか、ここは自分に一任せよと体現するように一歩前に出る) 」
サフタ「なんと…幻影の巨塔内部には名のある強者(つわもの)たちが集うとは耳にしたが、ここは"外"だ。今、党内にいる者たちは塔の外へ出られないはず… よもや……事が起こる前に何者かが既に塔外にいたというのか…? 」
????「 コツッ コツッ (大破した機体が発する煙、その向こうから影が、人形の何かが靴底の乾いた音を響かせ歩を進める。その煙を裂き、ローブを纏った人物が王達に対し"謁見"を果たした) 『聖鎧』『聖儀』……。元々聖の字が付く連中に碌な思い出はなかったが、最悪の記録更新をするかよ。硬くもないし、儀なんて口先ばかりの虚栄だった。
政府軍大将に匹敵?ほざいてろ、少なくとも俺はお前達より――――――― 」
強固な『城塞』たる『大尉』を知っている。
貫くべき『儀』を胸に秘めた『人狼』を知っている。
エドガー「 バサ ァ ッッ(ローブをかなぐり捨て、明確な"交戦"の意を灯す眼光を宿し、銀狼は王と対峙した。拳を前に突き出し、親指を地の底へ向け、冠を捨てろと吐き捨てるように) 『落第点』だ、その二人は! 看板を塗り直して出直しな、ボンクラ共ッ!! 」
サフタ「ムッ……そなたは…ッ……! 」
アーノルード「――――――!(思いがけぬ者の登場に抜剣を中断する) 」
ラ・ラ「………驚いた…よもや、『貴殿』が待ち構えていようとは… 」
バスクード「だが、納得した。獣の如き滲み出る殺意に満ち溢れた"血"の香り…それが貴方であればッ!! 」
ナナリリス「ちゃー……"そういうこと"か……(わざとらしく額に手を当て困惑を表現する) 」
キリエ「・・・・・・・・。(ポカンとした顔で
エドガーを前に佇んでいたが) うわ、やっぱりでたーーー!!セインちゃんセインちゃん!!ほらおいちゃん!!ずっとも!!うけるー!!(彼を指差し涙が出るほど笑いながら飛び跳ねる) 」
コンラード「 ┣" ン ッ (―――――そう、誰もが納得するであろう。相対したのが最強の男、コンラード・ボルトーレなれば!!) ┣"ッ ┣"ッ ┣"ッ ┣"ッ ┣"ッ ┣"ッ ┣"ッ ┣"ッ ┣"ッ (ログインしても地獄、ログアウトしても地獄。わたしゃ前世で何をしたっていうのかね……) 」
セイン「………相変わらず手厳しい手解きですね、『 エディ 』。(旧知との再会、否、"対峙"。明確な敵意を剥きだすエドガーと対を成すように、泰然とした佇まいで物静かに迎えいれる) 」
サフタ「して…そこにいるのは……まさか…あの伝説の男『コンラード・ボルトーレ』か…ッ……!? 」
パトリオル「――――――――――――。(エドガー、コンラード……は通貨しセインを一瞥。)…………(杖を手にしたまま、セインへ首の動きで『大丈夫か』と伝える) 」
ラ・ラ「大将たちも無理難題を押し付けてきたものだ。『あの男』に我々を差し向けるなどと…(エドガー…の、傍に立つコンラードに警戒心を剥きだすように巨大な背を初めて丸める) 」
ナナリリス「うっそ正気…!?屈強な戦争国家をたった一人で( ×:武力行使によって 〇:潤沢な食料提供によって )鎮めた伝説を持つっていう…あの『コンラード・ボルトーレ』……!?本物なの……っ……? 」
エドガー「クソガキとバカを軽くどついただけだ、これで厳しいならお宅の看板は軍じゃなく保育園に並べとくべきだぜ、セイン(彼の態度を見ればわかる。そう、これは"対事"。既に互いを敵対対象と認めるが故の)――――――(―――とはいっても、後の八人は"名に相応しい英傑"だかりだ……。それぞれタイマンでやりあっても勝利の保証はない、何より残り7名で塔を攻撃される。ここは―――)――――スッ("最強"の力次第だ。だがこいつが暴れれば周囲の被害は尋常じゃない……) 」
コンラード「┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ( ていうか寒……荒野って夜になるとこんなに寒いんだ……)………………。 ┣" ン ッ (腕組み!!10の王を前にしても尚、毅然として振る舞い、常に優雅たれと腕を組む!! ※寒いので腕を組んだだけです) 」
キリエ「…………!! な、なめてくれるじゃないおじさま……。 私達を前に、『両腕を使うまでもなく圧倒してやろう』って言ってるよ……!(生唾を飲み、思わず一歩後ずさる。ただのハッタリには聞こえない、その態度で口程に物を言う宣戦布告に、本能で恐怖した) 」
ツァオバラー「────ついに君臨( た )つのね。コンラード……。(ここまで彼のことをずっと見守ってきた。彼のような男が道中なにかしろのトラブルに巻き込まれないように。迫る火の粉を振り払い、万全を期すことができるように) 」
ユスティーツ「くッ…………少しはやるようだな、エドガー・アルクイン。だが奴がいるなら状況は変わる、お前は前座に過ぎない……!(鼻頭を抑えつつ、ほぼ満身創痍ながらプライドヲ骨子に立ち上がり、ようやく、辛うじて戦線復帰) お前達下がれ……!コンラード・ボルトーレともなると、俺以外に相手は務まらない…… 初手だ、狙うは心臓ただ一点!亜光速で穿つ……! 」
コンラード「 ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ┣"ッ ス………(あの、やめてください……う、穿たないでください……!) うぐっ ドンドン (言葉をなんとか発しようとするも、緊張のあまり生唾が胸につかえ) ド ン ド ン ッッ (たまらず胸を叩いてしまう) 」
セイン「(パトリオルの視線に小さく頷くとエドガーの方へ振り返る)…そうですね…以後留意して彼らには然る処置を後程行います。それよりも、『我々』の目論見をご存知の上で、ここで待ち構えていたということですか。それも…かの"最強の紳士"と名高い『コンラード・ボルトーレ』氏まで味方につける用意周到ぶりに恐れ入りました。これ以上の進撃は困難と判断していいでしょう。しかし、大将直々のご命令を受けていては簡単に尻尾を巻くこともできません。 」
セイン「コンラード氏…貴方様と我々が事を構える時ではない。ですが、我等にも譲れぬ大義があります。本来であれば紳士的対話による解決が望ましいですが、事態が事態です。紳士の名が泣きますが、実力行使も辞さない状況です。僭越ながら、騎士団員としてわたくし『セイン・マーカス』が代表してお相手致しましょう。いかがでしょうか。(伝説の男を前にしても紳士的な表情を一切崩すことなく、その様子を伺う) 」
バスクード「……―――――― ゴ ク リ ッ (最強(コンラード)と最強(セイン)の対立、その構図を目の当たりにしたことで先程の闘争心が委縮していく) 」
コンラード「(し、紳士……!よ、よかった、たぶん話し合いでなんとかなりそうな相手だ……!) うう、ご(もっともな提案です!) く (だら) な (い争いをしてる場合ではありません!) はな (し合いでかいけ) つ (するならそれで構いません!助けてください!) ゲホッ ゲホッ 」
キリエ「 !!!!!!???!?! なっ…………ま。まさか………!? 『 うご く な はなつ ぞ 』……!!!!?コンラード流奥義『超真空気功黄金回転天上天下界王神拳爆裂波』を!!!?!? 」
ナナリリス「ま…不味い…っ……!あたしたちが下手に動けば甚大な被害が起きるわ…!やれるの、セイン!?本当に…!? 」
クェンティ「 ゾッ――――――――――――!!!!!!(英雄、その他一切をコレクションフィギュアとして採集し、見下す彼も血の気が引いた。唯一例外、コンラードのフィギュアだけは神像のように磨き、崇め、奉っていた。それほどまでに彼の言葉は重く、神言に等しかったのだ)――――――セイン!!まずい!! 今の彼は『エンペラーエンジン・アルティメット・フルスロット・オーバーロード』状態だ!! 僕達は彼の怒りに、逆鱗に既に触れている……!今彼に力を使わせたら……!!ここら一帯が地図から消える!!!!! 」
ユスティーツ「や、『やれるものならやってみろ』とさえ言っているぞ……!冷静になるんだセイン!いくら俺でも、俺が彼に勝てても守るべき国は、いや……世界が失くなるんだぞ!!!! 」
コンラード「( 違 う ん だ よ な ぁ … … (泣)) 」
エドガー「(いや、王の騎士団を相手取るなら初手でそれなりの火力をぶっ放す覚悟は必用だ。セインなら、周囲への被害を最小限に抑えると見込んでの判断。だが……やはりリスクは高い) ―――――待った(挙手、腕でコンラードを制しセインの前に立つ) スケールをわざわざデカくすることもない。こいつが動くならそいつは戦争だが…… "俺とお前"なら決闘は成立する。"いつものこと"だったろ(セインの目を見、彼の背後の面々へ視線を移してから、再びセインと正面から対峙する) 俺達はなんだかんだ、いつもそうやって"紳士的に、悪童なりに"やってきた。 」
セイン「責務と過失を負うは紳士として当然のことです。たとえ私の身が朽ち果てることになろとうも、「王」の皆様を、民を、太平を守らなければなりません。(腕を組んで佇むコンラードを前に小さく息を呑みながらも、既に踏み出した一歩が引き下がることはなかった)………!(そこに、エドガーの提案に目を丸くするのだった) 」
セイン「………フフッ、フフフ…… なるほど、実に合理的な判断です。それがあなた"方"の提案とあれば、私も潔く受け入れます。(コンラード…その前に割り込むえエドガーと向き合うことで口辺が緩みだす)――――ならば!その代理戦争の"決闘"…わたくし『セイン・マーカス』が、王の騎士団・代表として受けて立ちましょう!( バ サ ァ ッ ――――― ! )(右腕を高く掲げるように宣誓し、羽織っていたコートが地面へ落ちる) 」
エドガー「(西洋式の決闘の宣言。嘗て騎士達は、相手と認めた者へ自らの小手を外し、投じたという。 この日彼は……)――――― ポスッ (銀の腕を覆い隠す皮の手袋を外し、セインの足元へと投じた。それを中心に、円を描くようにして、"
リング"の強度を確かめるように一歩を力強く歩み始め……) ああ、『銀の狼』が……いや『エドガー・アルクイン』が悪童を代表して決闘を申し入れる。1ラウンド10カウント、生死は問わない……! 」
クェンティ「なッ……(ふざけろ、このまま引き下がれるか……!ビクトル・フリードは一機じゃない、再装填して今度こそ――――――) 」
コンラード「(トイレ行きい………ッッッッ) ギ ン ッッ (迫真の三白眼!!!!!) 」
クェンティ「――――――――!!!!!(『動いたら殺る』……!!!?) う、く………く、くそ……(その場に体育座り) 」
ツァオバラー「(コソソとコンラードの背後に近づき)……コソコソ(トイレは向こう。安心して、私は味方)(あくまで傍から見れば弟子か秘書のような立ち位置。……傍から見れば) 」
コンラード「・・・・・・・・。(よ、よかったーーーー!!なんかわかんないけど話が分かる人がいたよーーーーーやったーーーーーー!!) フッ (ニヒルにほくそ笑み、踵を返す。その背には……) >> 天 << (と、記されていた。 ※服の皺です) 」
セイン「 ギ ュ ッ ――――― パ サ ァ ッ (その右手に嵌められた白い手袋を左手で脱ぎ取ると、エドガーがそうしたように自身もまた、彼の足元へ手袋を投げ打った) 互いの命を賭けた決死闘。臨むところです。対戦相手が『貴方』であればなおのこと…手の内を隠す必要もございません。初手から全力で、全身全霊を以て、この『剣』を振るいましょう。(腰元に差していた鞘を丸ごと抜き取ると縦に構え、その柄を右手で掴み取る) 」
セイン「 "誠実"に咲き誇れ――――――――『 カンパニュラ 』 」
オ゛ ゥ゛ ウ゛ ッ゛ ―――――――――――――― ! ! ! (紳士が手繰る聖剣が、ついに鞘から引き抜かれる。迸る剣身から溢れ出す激しい光によるものか、夜に眠る天地を呼び起こすかのように震えだす。騎士にとってはただの抜剣。しかし剣を引き抜くことは騎士にとって全身全霊を賭けた決闘への口火。着火された闘争心が爆ぜるように、セインを中心に輝煌たるオーラが荒野を満たしていくのだった――――)
サフタ「(これは…ッ―――――)――――『王』たち下がれよッ!!"聖剣"が抜かれるぞッ!!(危機を察して、アーノルードと共に後方へと引き下がる) 」
ラ・ラ「……久しく目の当たりにするものだ……これが、"聖剣王"の刃による影響か…ッ…! 」
ナナリリス「……この闘気…感じるわ…… セインの奴、本当に初っ端から"本気"よ…ッ…!!(迸る衝撃に強く靡く前髪を片手で押さえつけながら、前線で構えるセインの背中を細めた瞳に捉える) 」
キリエ「セント・エルモ……教会の子供たちはそう呼び称え、相対した者はその光に死を見る。 彼の抜刀は死を必定とする…… 私が何度挑んでもたどり着けない、世界を照らす光……! 」
バスクード「ウワァハハハハハ!!素晴らしい血気の走り様だッ!!貴殿の"血"が滾るのを感じるぞッ!セイン・マーカスッ!! 」
エドガー「(昂ぶる。鼓動、内臓を吐き出しそうになる程の内圧。アドレナリンが血液を焼き、腕はチリチリと燻ってエンジンを吹かした。 聖剣の放つ極光を前に、彼は……――――悪童として、笑った)―――――― パキ ッ (銀の腕に手を添え、指の関節を慣らして折る。それをトリガーに―――――) 」
エドガー「―――――――ゴングを鳴らせ!!祭りだァッ!!!! 」
キ"ュ" オ゛ ウ゛ ッ゛ ―――――――――――――― ! ! ! (悪童が悦に浸り、臓の熱を、魂の喝采を叫ぶ。拳を握り、喧嘩仲間を前に啖呵を切る。ただそれだけ、だが右腕を、彼の熱を呼び覚ますには充分な薪だった。 踏みしめていた大地にクレーターが迸り、その隙間から、全身から、彼の魂に呼応した蒼炎が、オーラが弾け地平を焼き尽くす。 聖剣の聖なる極光、悪童の魂の焔。高く聳える双璧がぶつかり合い、両者譲らず荒野一帯を包んで―――――)
カ ッ ("天が割れた")
― 幻影の巨塔・エントランス・大会議室 ―
貸切られていた会議室。
ここでは今、50名以上からなる集団が着席し、その全員が映像クリスタルによって写し出された複数のモニターに注目しながら、
ある議題について人知れず話し合っていた――――
ドグマ「―――――――……以上が、現在我々が潜伏している幻影の巨塔の"現状"です。(まとめられた書類を手に演壇に立ち、何らかの報告を行っていた) 」
アサギ「……これは……だいぶヤベーことになりましたね…… 」
ガトウ「ああ… ついこの間までただのゲームだったものが嘘偽りのない戦場と化したんだ。俺たちにとっては身近なものかもしれないが、ここには血を流したことのない一般民間人もたくさんいる。そして、重傷者、死者は今も続出している。 」
ベルーガ「首謀者「セレディ・クライスラー」についての素性は本部から送信されたデータと照合し、完全に把握した。ワールドセイバーの理念…その横暴的な企みも、ついに世間に公開された。本部は既に動きだしている。『副司令官』、そちらの状況はいかがですか。 」
ティスカ(映像)「(ベルーガの示す方角、そこには、本部内の某一室からリモート映像で巨塔内部の大会議室と繋がっている一人の女性を写すモニターがあった。厳格な眼差しに銀の長髪を伸ばした、「彼ら」のトップに座す者が―――)―――― 上層部の意向により、いよいよ『 王の騎士団 』が動き出した。それも、10人全員が総出動とのことだ。本部はこの幻影の巨塔の倒壊を決定した。 」
レギュレイター・副司令官 ――― 『 ティスカ・カルロウ 』
ルクエス(映像)「(ティスカの横に合わせるように、別の一室に潜む中性的な顔立ちをした者が依然として表情を綻ばせながら会議に耳を傾けていた)……『王の騎士団』…上層部もいよいよ本気で巨塔の解体に乗り出したみたいだネ。『あれら』は言わば意思を持ったバスターコールみたいなものだ。敵も身内もお構いなしの無差別砲撃による殲滅を選択しなかっただけまだ賢明な判断だと思うヨ。 」
レヴィ「いやいやマジで冗談じゃない…!バスターコールが発令されたとなれば一般人は愚かあたしたちだって無事じゃ済まないからねっ…!? 」
マルタ「ひいぃ…っ!そ、そうなんですか…!?噂には聞いたことはありますが、自軍にさえ砲撃を向けるなんて…そんな作戦コードが今も平然と行われているんですね…… 」
アルタール「Knights of kings…『王の騎士団』といえば、ミーたちとも馴染み深いMr.セインが所属しているところだったね?それならまだ安心だ…ミーたちの命もギャランティー(保証)されたようなものさ…! 」
アサギ「いやいや、まだ気を抜くには早いっすよ。こっちはこっちで手に負えない事態が広がってますから!ていうか…ウチらじゃどうしようもなくなったからその『騎士団』ってのが動き出したんすよね…?政府の最高戦力の一角がこっちに来ているとはいえ、巻き添えを喰らっちゃう可能性も否めないんじゃ… 」
ラタリア「……アサギの言うことは一理あるのら。本部が早急に手を打ってくれたことは良しとしても、そもそもはかs…ゲフンッ、『私たち』の"本来の役目"は今も遂行中なんらから。寧ろ、この騒動に乗じていよいよその核心に触れることになってきたのら。外のことはあちらさんに任せて、私たちは
『 ロギア 』の調査を続行するんら。 」
ティスカ(映像)「然り。
ラタリア博士の仰る通り、我々『レギュレイター』がこの
カオスファンタズマに参加した"本来の役目"は、
『 ロギア 』の調査にある。これについては本部からも依然変更の要求は無い。諸君はそのまま任務の遂行に当たってほしい。しかし、プランダラ…今は確かエゼルダームと名乗っているようだが、奴らの力は未知数だ。報告によれば『
ゼレオロス帝国』も関与していることが明確となった。我々が動き出していることを嗅ぎつけたのか、あるいは…もとよりワールドセイバーと結託していたのかは定かではないが、いよいよ警戒態勢を強めなければならない。 」
ヘザー「……任務遂行、そして『本来の役割』を優先すべき、というのは当然です。ですが……現状、最も多くの人数で事に当たる事が出来ているのは、恐らく我々『レギュレイター』です。プレイヤーには民間人、戦闘の出来ない者も少なくない筈……彼らの保護に人員を割くべきでは無いでしょうか。人道的な観点での話、という以外にも……混乱を避ける為に 」
渋谷かのん「うん…ヘザー団長の言うことは、私も気になってたところ… 調査兵団とは言っても、私たちは政府の人間。民間人を守り抜く義務はあると思います。私も…もっと多くのプレイヤーたちを救い出したい。みんなで生きてこのゲームを抜け出す為に…! 」
嵐千砂都「かのんちゃん……(幼馴染である彼女の決起に触発されるように、自らも心の中で決意を強めるように拳を握りしめる) 」
ルクエス(映像)「……となると、部隊を切り分ける必要性が出てくるネ。生憎ウチのガレアたちは音信不通(※嘘)でネ… 「第9」に関しては現状まともに機能していないところサ。部隊の再編成も兼ねて人員を補充したいところだけど…副司令官、どうだろウ? 」
ティスカ(映像)「了解した。実はたった今、総司令官「ティネル・カルロウ」の意向により、この不測の事態に対応するために急遽『新たな調査兵団』を導入することとなった。その名は『 第11調査兵団 』。ロギアの調査及び、対ワールドセイバー殲滅に特化した新部隊だ。 入ってこい。 」
ガ チ ャ リ ――――― (貸し切り状態故に部外者が侵入することのない大会議室に、複数の足音が流れ込む――――)
カロン「ッスゥー……お邪魔しまっすゥゥゥー……( やっべ…めっちゃこっち見てらぁ……帰りてぇー……)(先頭を歩くのは、セピア色の短髪をした根暗の青年。ぎこちなく頭をへこへこ下げながらすでに居座っている面々へ軽い会釈を送る) 」
第11調査兵団・戦闘員――― 『 カロン・バークス 』
ヘス「れれれれレギュレイターの本体と合流すると聞いてやってきききましたっはあああじめましてとりあえずまずは最初にえっと挨拶代わりにダイナマイト爆破していいいいいっすかぁ!?(前後左右にポシェットを装着した厚手の白コートを羽織っているおかっぱの少女。どぎまぎと緊張している為か、自作の爆弾と思わしき端末を握りしめた両手が震えている) 」
第11調査兵団・メカニック――― 『 ヘスクリッジ・ユートロン 』
イヨリ「わわわっヘスさんダメですって!会議室を爆破しちゃいけませんよーっ!>< (白コートに身を包んだ小柄な少女。緊張で震えているヘスを背後から強引に引き寄せようとしている) 」
マロンちゃん「 キ ー ! (イヨリの右肩には、彼女の相棒として立派に大きく育った鷲が器用に居座っている) 」
第11調査兵団・オペレーター――― 『 粕谷依和 』(かすがい いより) & 『 マロンちゃん 』
メルティ「クスクス…♪緊張している時は甘いものを食べるといいわよ。みなさんの分もご用意しましたので、おひとついかがですか?(ウェーブのかかったスミレ色の髪をした女性。全身に幾つもぶらさげている試験管の中には大量のゼリービーンズが敷き詰められている) 」
第11調査兵団・メディック――― 『 メルティ・キッス 』
ローア「あっははは…いやぁ~…初対面だというのに慌ただしくしちゃってごめんなさいねー。どーもどーも~…よしなに~…♪(黒いキャップ帽を被った枯草色の髪をした女性。苦笑いを零しながらも快活そうな表情を取り戻しながら、面々へ容器に手を振って挨拶する) 」
第11調査兵団・副団長――― 『 カルローア・マジェット 』
ヨシュア「チピチピチャパチャパとうっせーなガキども。こちとらヤニ切れで絶賛寝不足中なんだよ静かにできねーか根性焼き叩き込むぞボケナス。(と、罵詈雑言を浴びせながら最後に入室してきたのは、メンバー内で最も低身長の少女…と思わしき女性。黒コートにぶかぶかのジャケット、そして象徴的な二振りの黒刀を ひっさげてきたサングラスの女性は半目に落ち込んだ苛立ちの表情を浮かべていた) 」
第11調査兵団・団長――― 『 ヨシュア・檎煉・ハウンス 』
ティスカ(映像)「彼女たちが、今回より本体へ合流することとなった『第11調査兵団』の全メンバーだ。今この場に集ったレギュレイター全部隊を再編成し、3つの役割に別れてもらう。まず一つは、民間人の救援活動。これは第1、第6の二部隊で行う。二つ目は、ロギアの調査。これは第2、第3、第5の三部隊。そして三つめは…エゼルダームならびにワールドセイバーの殲滅ならびに確保。これは第4、第7、第11の三部隊で行う。第8、第9、第10は機能停止中のため、残存メンバーは他部隊へ割り当てる。異論はあるか? 」
アサギ「(うっっわ…!これまたキャラの濃いメンツだなぁ……)……新部隊と、再編成……ウチら(第3)は調査に専念、って感じっすね… 」
腹筋崩壊太郎「新規団員のみなさん!!!よろしくお願いします!!!パワーーーーーーーーーーーーーー!!!!!(※挨拶のつもり) 」
オレンジ侍「(あの鳥…なんだ……!?なんなんだあの鳥は……!?)(マロンちゃんが気になり過ぎて前のめりになっている) 」
ヘザー「(……少数、役割を考えると最小限の人数か。第三に近い性質なんでしょうけど……どうしてこう落ち着きのない……)……よろしくお願いいするわ、第11兵団諸君。 振り分けに異論はありません。提案したのは私ですし、治安組織上がりの団員が多い我々はそういった活動にも最適でしょう。(…………とはいえ。事態は急を要するとはいえ、目立った損害もない我々という戦力が当たっている最中に、彼ら第11兵団はともかく……他の戦力が動き過ぎてる。気に入らないわ……)(苛立ちは顔には出さず、ただ神妙な面持ちで) 」
片桐「スゥゥゥゥ………班長ォォォォ~~……公序良俗を見出した前科=生きた日数の数だけあるクソ女が居ますゥゥゥゥ~~~……このクソアマがァァァ……生きてるだけでェェェ~~~……ガキの眼球が2000度の高熱で焼かれて光を失ったりィィィ……大気汚染で生態系が乱れたりィィィィ~~……エゼルダームと一緒に殺処理すべき一級戦犯が本管と同じ配属というのは誠に遺憾とするところでありィィィィ~~~(志多ら内足取りはいつものことだが、上体をいつも以上に忙しなく左右へ揺らし、くの字に曲がった腕を振り上げ舌打ちを交えながらティスカへ訴える) 」
ネオン「……片桐団長、あちらの方と面識が…?(明らかにヨシュアを目の敵にしていると思われる片桐に気づいて) 」
ヨシュア「あ゛~~~~~~ん゛……?(上半身と首をまるごと170度ぐらいに捻じ曲げるとサングラスをくいっと上げて片桐を睨みつける)何処の死にぞこないのクソジジイかと思えばよォォォォ~~…テメェかよ「桐片」さんよォォォォ~~~~!ベラボーにテキトーなこと言ってんじゃねェぞ酒カスがァァァァァ~~~~!ゲロ臭ェ体臭をアルコールでカモフラってるつもりだろうがそれこそ大気汚染レベルでゲロ以下じゃねえかアァァァァ~~~~ン?舐めたことぼやいてっとそのフケだらけのハゲ頭に灰ぶっかけっぞテメェゴラ。 」
ローア「はいストーーーーーップ!ステイステイね、団長ちゃん!いやぁごめんなさいねぇまさかお知合いとは知らずに… 一緒の部隊になれたんですから頑張りましょうねよろしくお願いしますぅ~…!(片桐に詰め寄ろうとするヨシュアを背後から羽交い絞めしつつ片桐へ愛想笑いを零す) 」
片桐「なんかァァァ~~~~同期っていうのかァァァ~~~~いたなぁァァ~~~~~こういう奴ゥゥゥってぐらいだァァァ~~~ 何やらかしても本官とは関係ないんでェェェ~~~秘書が勝手にやったんでェェェ~~~…… おい寄るなこっち見るなァァ~~鼻の油つけんなァ、ヤニとダニ伝染るだろ。ハゲたらてめえのせいだからな、おい、シッシ。 後で健康診断よろしく ひそひそ(メンチを切り返しつつ雨宮へ耳打ち、いつものしだらない口調が素で忘れられるほどに苛立っている) 」
ネオン「そうですか…ですがエントランスでは飲酒も喫煙も禁止ですので既定の場所で嗜んでくださいね。 」
仮面ライダーアギト&氷川さん『あの~……ちょっと、いいですか…?(恐る恐る挙手をしながら起立する)すいません……今更なんですけどぉ~…『 ロギア 』って…なんですかね…?あ、いや、氷川さんもご存じないみたいで…えっ?知ってる?いや氷川さん何知ったかぶってんですか!じゃあ『ロギア』ってのがなんなのか教えてくださいよ!……え…?豆腐の一種……?氷川さんそれ絶対違いますって!!絹ごしとか木綿とかの類じゃないですって!!』 」
メイヴィス「なんかどこもいいチームになれそうでよかったねちぃちゃん!(>>節穴<<) 」
ヴェスパー「団長ちゃん、陽キャの擬人化であるあたしちゃんでもフォローできる気がしねえぜ……。定期的にフロロっちゃん接種しないと息が詰まりそうこっちの班……。 」
嵐千砂都「(そうなのかなぁ…とちぃちゃんは訝しむ) 」
野生のペットショップ「 キー!! (あ!やせいのペットショップが威嚇してきた!) 」
マロンちゃん「 キ ー ! ! (ペットショップと威嚇し合っている!) 」
ルクエス(映像)「あ~……そうだネ……じゃあ、今一度ここにいる全員に危機感を持ってもらうためにボクから懇切丁寧に説明しておきますカァ~……(両肘をついて一度項垂れた顔を静かに挙げる) 」
ルクエス(映像)「 『 ロギア 』とは――――――― 」
― 幻影の巨塔外周・荒野 ―
巨塔内部にて驚愕の『真実』が最悪の形となって解き放たれたその頃
巨塔より離れた荒野にて、ここでもまた人知れず大いなる戦いを繰り広げられようとしていた。
大地を走る「蒼き炎」と「紅き光」。闇夜を照らす月光よりも強く激しく輝く二つの不屈の意思が、今――――
――――――― ┣¨ ォ゛ ゥ゛ ッ゛ ! ! (天変地異を巻き起こす程の衝突を繰り広げていたのだった)
セイン「 ズ ザ ザ ザ ァ゛ ――――――― ッ ! (弾ける火花と光芒。剣ではなく己が脚を地盤に踏み込ませ、後方へと吹き飛びかける全身を留まらせる) バ サ ァ ァ ツ ! (純白の制服をはためかせ、その右手に握られた聖剣を以て進行。相対する"蒼炎の具現者"を、躊躇を感じさせない一振りで断裂しにかかった) 」
エドガー「(迸る閃、咲き誇り散る炎熱の花弁。液状の岩のように流動する質量のある砂塵の塊がとぐろを巻く。その中心、紅き極光の現人であるセインが繰り出す、死を必定とする"一振り"を) ガ ッ (構わず放った拳。互いの"剣戟と拳撃"が交差領域を通過。刃の腹に肘を当て、銀の右腕を僅かに右へずらし軌道を変える。放たれた拳は咄嗟の防御行動を取った故か、或いはセインの動体視力故か、彼の横顔を通り過ぎーーーーー) 」
キ ィ ン ッ (この攻防が0.02秒の間の事象。セインの背後の足場は蒼炎によって砕かれ、焼却。エドガーの背後の足場は空間断裂を発生させ、消失。散漫化し、無へ変える砂塵が空へ堕ちる最中、ゼロ距離で攻撃を放った互いは"無傷"。この攻防は既に振るわれた278手目の内の一手に過ぎない。。決闘開始から30秒の経過していた―――――)
セイン「……流石です。貴方と刃を交える度に、己の非力さを痛感するものです。いつまでもこの「剣」で斬り崩すことができないなど、騎士の名折れですからね。 バ ッ ―――― キ ュ ォ ォ ォ オ オ オ ン ッ (踵を返し、刺突の態勢へ移行した直後、剣身のみならずその全身の輪郭が青く発光する。目を凝らせば、空間の至る方角から微弱の青い粒子が周囲を漂い、青年の体に吸い寄せられていた) 」
セイン「 ド ォ ゥ ッ ! (予備動作の無い進撃。明らかに先程とは異を成す高速移動で瞬く間にその懐へと肉薄――接近の余波によって、その軌跡がワンテンポ遅れて抉れ散る――鋭さを帯びた刺突を繰り出した) 」
サフタ「あの光…そうか、あれこそが、セイン卿だけが有する特異能力。 名を、"寵愛"(アンジュ)といったか。 」
ラ・ラ「空間に偏在するエーテル粒子、霊子、更には火や雷などの自然属性物質…即ち、一切のエネルギー物質を吸収・還元する能力だったか。吸い上げたエネルギー物質の力を己の潜在能力、及び斬撃の破壊力などの上昇に充てる…セイン卿の基本的戦術……そうだな? 」
サフタ「左様。亡き母君の名を冠したあの能力こそ、セイン卿を最強たらしめる由縁にある。"寵愛"の名の如く、周囲のエネルギー物質を吸収…否、彼が口にする紳士的表現でいえば"虜"にするというべきか。エネルギーで構成された無機物、或いはその物質を蓄えた物からそれを分離させて強制吸収することも可能だという。つまり、相対するあの男が齎す蒼炎の熱は、セイン卿には通用しない。それは…歴戦の戦友であるあの男自身も嫌という程理解しているはずだ。 」
ナナリリス「だけど、彼らは常に高みを競い合ってきた。通用しないならば、他の手段を講じて攻撃に転じる。瞬間的な速さで繰り広げられる決闘の中で、彼らはいつだって突破口を切り拓き合ってきた。だから実力はいつまでたっても"互角"。だけど、その進化速度は…私たち『王』でさえも予測できない程だよ。 」
バスクード「クァハハハハ!!まったくもって肝が冷える太刀筋よ!流石は"刀剣覚醒(リベリオン)"の覚醒を遂げた
実力者だけのことはある!刀剣を愛し、刀剣に愛された者だけに目覚めるその力こそ、セイン・マーカスが"世界最強"と謳われる由縁よ! 」
エドガー「(――――刺突は眼前に迫る。先とは比肩にならない速度。しかし…比較とは"劣る対象"あって初めてその優位性を示せるもの。 相手が倍速で動くと"弁えている"ならば――――) フッッ (―――既知の速度と認知し、対応可能である。 エドガーの右目を刃が貫通、しかし流血は愚か、手応えがない。ワンテンポ遅れ、映像が霞みかかって霧のように溶けて崩れる。晴れた先には既に体制を低く、間合いの内側へ入ったエドガーがおり……) グ ンッッ (超高速の刺突を放ったセインの水下の位置に、肘を"置く") 」
セイン「(貫通。しかして手応えの無さを瞬時に判断。緩慢化された世界の中で残像を置き去るエドガー本体が低姿勢から懐へ潜り込んだのを、剣士の眼球だけはギョロリと確実に捉えていた) グ ィ ン ッ (肘を置かれた部位。しかし、その身体から脱皮するかのように水平移動で抜け落ちたもう一つの体がエドガーの背後へと旋回。ぴったりと背中を合わせた時には"抜け殻"は陽炎の如く消失していた) ズァ――――― ギィィインッ!!(振り返ると同時に繰り出すは回転斬り。たとえ実剣の刃先が回避されようとも、輪状に迸る斬撃波が追随をしかける) 」
エドガー「(残影に次ぐ残影。さながら最速にして流麗な剣舞、逸る事なく、時間を倍速にしたかのような回避行動は見事にエドガーを翻弄し回転斬りまでの行動を妨害できない) ヒュ オ(が、それも"知り得た札"の一つ。背後のセインに対し振り返ることなく一歩前に出、項の表面を刃が通り過ぎ) ヴ ンッ (同じく円を描くような回転蹴り、衝撃波を円状に広げ斬撃波と相殺し合う。振り向き際に放たれるそれは僅かな蒼炎の残滓を振りまいていたが、刹那的に発生した円状の衝撃波を除いて熱は"既に消失している。") 」
セイン「(見事――――鋭く細めた目つきが戦友に訴えかける。故に、出し惜しみなど不要。全身全霊を以て胎児を貫くのみと判断すると) バ ッ ―――――― ギ ュ゛ ア゛ ァ゛ ! (突き出したのは何も握らてれいない左手。五つの指先からか細い青い光柱が地面に向けて一斉に伸び出した) 」
ガ ギ ャ ン ッ ――― ガ ギ ャ ン ッ ――― ガ ギ ャ ン ッ ――― ガ ギ ャ ン ッ ―――――― ガ ギ ャ ァ ア ン ッ ! ! ! ! ! (一つ、二つ、三つ、四つ、最終的に五つからなる十字架の如き形状を象った大きな光柱がセインを中核として取り巻く様に地中から突出。顕現された五つの光柱を起点に構築された結晶の如き領域結界が、完成する―――――)
セイン「 “神聖域『 落陽跪拝 』(エルドラード「パルテノン」)” 」
ラ・ラ「あれは…固有結界……!幾重からなる斬撃を粒子レベルまで凝縮させて生み出した結界…一度(ひとたび)領域圏内に踏み込めば、たちまち無残なまでに斬り刻まれる…!"斬撃"で形作られた殿堂…!もはや芸術や達人という域を超えた神業……! 」
エドガー「(常時発生する斬撃。設置、自動追撃……この札は初めて切られたな。)―――――(迎えうる一切を無慈悲に断罪する神域が立ちはだかる。尚も悪童は不敵に)――――― ト ッ ("前"へ踏み出す。領域内へ足を踏み込んだ)――――――トンッ(よく狙えとでも言わんばかりに自身の首筋を指で突き、不敵に歯を覗かせ間合いの外にあるセインと向き合う。エーテル吸収の権能を持つセインの目には、その存在は異質に見える筈。 彼の体内にはエーテルが"存在しない"。0だった、他、魔力適性が低い生命体よりも、空の状態にあるのだった) 」
セイン「―――――(領域圏内に踏み込んだ戦友に、否…そもそもは初手から相対した時点で感じてはいたのだろう。その違和感を。今まで相対した経験から乖離した異変。エドガー自身の、エーテルの欠落。故に、弱体化を図ることも、その力を強奪することも不可能。ならば"寵愛"のベクトルを変える必要があると判断するように小さく頷くと――――) 」
セイン「 フ ォ ン ッ (斬撃のみで構築された領域圏内にてエドガーの眼前に瞬間的に現れる) ガ ギ ィ ィ ン ッ ! (そのまま斬り上げて脱出不能の天蓋へ、追い立てるように虚空を蹴り抜いて追随) ザギンッ―――ザギィンッ―――ザギィィインッ!!(アスタリスク「*」状に振り抜かれた連続斬撃を、空中に居座るエドガーへと叩き込もうと剣を振り抜く。この狭い領域内で回避を試みるものならば、固有結界の斬撃の餌食となる、その地の利を利かせて) 」
ナナリリス「足場のない空中を"蹴って"移動した……!あれもその"寵愛"って力によるものなの…? 」
サフタ「左様。"寵愛"の能力を応用することにより、エーテル粒子が流れる場において、その粒子を踏み台に地上を俊敏な速さで疾走することも、上空を駆け抜けたりすることもセイン卿には容易い。恐らくは本人も気づいているのだろう。相対するあの男に、"寵愛"の呪詛…否、加護が通用しないことを。ならばその加護を自らに受ける選択を取ったが故の判断と見た。 」
エドガー「 ガッ(1段、セインによる切り上げに対し肘を振り下ろし、剣の腹にぶつける。相殺こそ成功するが空中へ勝ちあげられる。) ッ……! ガッッ ゴ ンッ (空中故に自由が効く左足を振り下ろし*条の斬撃の内一閃を相殺、二閃目は一段同様、肘で軌道を僅かにズラす。 この間、エドガーはセインの姿を、斬撃を目で追わず……) ヒュ オ (三段目の斬撃。喉笛へ迫る縦一文字斬り上げ一閃。大きく回避すれば領域に切り刻まれる、死は必定。しかし――――) 」
エドガー「(刹那的に、エドガーの体内から"エーテル"の反応が出現し、消滅する。すると) カ ン ッ (停止したに等しいほど散漫化した時の中で乾いた音が木霊した。地上での攻防同様、銀の腕、右腕の肘を"置いていた。"位置は切り上げを行うセインの聖剣、その"鍔"の軌道上。防御するには脆弱で、容易くエドガーの肘を"弾いてしまう") ギュ ル ル ル ルルルルル ッ (瞬間、"肘を鍔でかち上げられた"エドガー がその勢いを利用し殆ど動かずきりもみ回転。斬撃は脇腹を掠め、血潮が浮く中……ギョロリと眼球はセインの横顔を捉え) 」
エドガー「 ヴ ンッ (すれ違いざま、遠心力の乗った肘を、うなじへ向かって振り下ろす) 」
セイン「――――――― ! (―――― ズ ガ ア ァ ァ ァ ア ア ア ン ッ ! ! )(剣戟の手を緩める気はない。次の一振りを繰り出そうとした次の瞬間、自らの斬り上げの勢いを利用したエドガーの遠心力を付けた肘打ちが、生命の弱点であるうなじに直撃。たちどころに急落下し、その衝撃によって生じた陥没に固有結界が吸い込まれるように瓦解。エドガーを解放し、周囲に土煙が立ち込める) 」
セイン「―――――― ブ ワ ァ ッ ! (陥没した地点にて、あり得ない速度で再復帰したように佇んでいる青年。その周囲には残骸となって倒壊する光柱が霧散しようとしていた) ゴキリ、コキリ…ッ…… (強打を受けたうなじ部位、その首元を左右交互に傾けて骨の音を掻き鳴らす)……生命の急所である項(うなじ)を 」
セイン「……生命の急所である項(うなじ)を狙ってくるとは、恐れ入りました。しかし、狙われるとわかっているからこそ対処していないわけがありません。私"寵愛"によって、攻撃を受ける直前にエーテル結晶で致命傷を免れました。とはいえ、その余波を押し殺すにまでは至れなかったようですが。(うなじ部に、エドガーの攻撃を最小限の範囲で受け止める為に展開していた六芒星の結晶体が、今、砕け散った) 」
エドガー「戦る気で無傷、殺る気でようやくかすり傷。それぐらいでなきゃ戦場で紳士を名乗ってられねえよなそりゃ。(自身も着地し、首筋に手を当て骨を鳴らす)―――――(急所の防衛は想定内。空中からの墜落は他の部位へのダメージを狙ったものだが……無傷。結界の破壊が収穫として精々か。対してこっちは)…………。(隠し札を切らされた。奴ほどの相手ならカラクリを見抜かれるのも時間の問題、あと二三手もあれば対応されるな) 」
クロサワ「―――――ボスのボディガードに付けたあの男……領域内で"見もせず"に斬撃に対応していたぞ。あれはどういった理屈なんだ(荒野の遮蔽物裏。顔を覗かせコンラードの横でスコープを覗き込み戦場を俯瞰するサングラス、金髪オーツバックの男。 コンラードが代理所長を務める組織、GATEの参謀。クロサワ・ミラー コンラードの真の力(最弱)を知る数少な傭兵) 」
リズ「(クロサワとでコンラードを挟むように簡易椅子に腰掛け、紙コップで葡萄酒を煽る幼い少女……の容姿をした女性。エドガーの所属する所謂便利屋、
グラナートファミリエ首領、エリザベス・ヴァンシュテイン。オペラグラスで同じく、状況を俯瞰し不敵に笑む) "ゾーン"だよ。最大細く範囲は知らんが、奴は微弱な"闘気"を自身を中心とする全方向に放ち、その"反響"を頼りに自分の周囲にある物体・エネルギー・そして筋肉や血流の動きを把握することで、全方位の俯瞰、ある程度の行動予測をしているんだ。 コウモリの超音波と同じ理屈で、自分をゲームのキャラクターのような見下ろす目線で認識しているといっったところだな。 」
コンラード「(なーーーーーーーーーーーーーーーーーんもわからん) 」
セイン「恐縮です。"銀狼の英傑"を相手にしているのです。一瞬でも気を抜けば喉元を食い破られる覚悟で相対していますが――――――― ヒ ュ ボ ォ ァ ッ (足元斜めに突き出した剣が、"発火") ジ ュ ァ ァ ァ ァ ァ … ッ … … ! (その過剰発熱に伴い全身から噴き出す蒸気によって、周囲に蜃気楼が発生。紳士の全身が、大きく歪みだす) “聖灰曜日(スラッシュ)” (口上と共に一歩進撃。しかし、一歩を繰り返すたびにその位置関係は左右に大きく乱れ、距離感やタイミングを計れない不規則な移動で着実にエドガーとの距離を詰めると――――) 」
セイン「――― ボ オ ォ ァ ア ア ア ッ ! ! (死角から突く―――という安易な不意討ちさえも欺くかのように、突如として前方上空に出現。その時には"燃ゆる斬撃"がエドガーの脳天に迫っていた) 」
エドガー「スッ……トンッ トンッ (フリッカー。少年期から最初に習った最も馴染みのある術理、ボクシングの構えと歩法で待ち構える。『ゾーン』によって自身の置かれる状況を俯瞰、セインの一連の動きがフェイントであることは"鷹の目"で空間を認識すれば容易く見切れるが……) ガ ッ (対応の是非は別問題である。上空から降り注ぐ斬撃に対し、回避は不可能と判断。アッパーカットを繰り出し、拳と刃の腹がぶつかり合う。その際も、エドガーのエーテルは枯渇しているに等しかったが……) ボウッッ (ライターで着火したかのように、刹那的に拳の先で蒼炎が弾け、爆ぜ、吸収する間もなく四散。互いを後方へ吹っ飛ばす) 」
セイン「 ス タ ン ッ ―――― ボ ォ ゥ ッ ! (衝突する拳と剣、それぞれに纏われた炎熱が反発し合うように爆ぜ合い後方へと吹き飛ばされながらも華麗に着地。間もなくして灰燼たる軌跡を描いて疾走)ガギィンッ――ガギィンッ――ザギィンッ―――――ギャリィンッ――ザギィィイインッ!!!(陽炎を折り混ぜた燃ゆる斬撃。幻影剣による翻弄と、実体剣による攻め崩しをほぼ同時に行いエドガーを真っ向から攻め立てていく) 」
ボ ォ ゥ ッ ――― ボ ォ ゥ ッ ――― ボ ォ ゥ ッ ――― ! ! ! (高熱を蓄えた紳士の振るう剣。その余剰熱が左右へ放射状に解き放たれ、乾いた荒野の大地から一切の水分を蒸発させ、瞬く間に砂の如く地盤を霧散させていく)
エドガー「(変わらず幻影、視覚による認識阻害を使うということはこちらの札は見切られていない。いずれそそうなるなら、出し惜しみをしている場合じゃないな) チッ (舌打ち。ジャブを放ち牽制しつつもバックステップを踏んで本体、幻影、双方から放たれる焔の斬撃から逃れるようにして立ち回り続け……) フッ (突然、先まで回避していた幻影へ向かって前に出る。ほぼ一体化するようにして幻影が存在していたポジションに立ち、現永代と並び立っていた本体のセインを肉眼で置い) シイィッッ!! (上体を傾けつつ半回転、三日月状の斬撃に似た奇跡を残し、横顔目掛け右ブロウを振り下ろす。) 」
ツァオバラー「……………(ふたりの武闘を見下ろすように伏せ目で、座禅するように座り行く末を見守っている) 」
バスクード「流石に流石にだ…!何度も視線を潜り抜けた仲だけのことはある!セイン卿の"寵愛"の加護、その回避点を見極めているな…!エーテル吸収の度合い・速度・範囲は我でも知る由はないが、少なくともあの男は体感でそれを心得ている…! 」
セイン「 ク ル リ ッ ――――( ザ グ ン ッ ) ガ ギ ィ ィ ィ イ イ ン ッ ! ! ! (翻弄斬撃を叩き込む最中エドガーの反撃の予備動作を垣間見ると片手のみで剣を上下反転させ地面に突き刺し、繰り出されたブロウを剣身で受け止めにかかった)―――― ズ ァ バ ァ ァ ツ ! ! ! (そして、剣を引き抜く…のではなく、突き刺した地面諸共抉り飛ばす勢いで剣を振り上げ、巨壁が如き超高層の斬撃波を放って吹き飛ばす) 」
―――――― ズ オ゛ ゥ゛ ッ゛ ! ! ! (荒野を分断する高層の斬撃波が水平線の彼方まで流れゆく。遥か先に鎮座する山岳が―――――左右に分断された)
エドガー「(――――――いや待て。俺の隠し札を把握していないなら"苦手"な波状攻撃付与を行う意味は……) ヅッッ!!(咄嗟に腕を交差。右腕に蒼炎を刹那的に爆ぜさせ、火力と身体能力をかけ合わせ斬撃の壁を防御。削られた斬撃の破片が腕に細かい斬撃根を刻み込むもバックステップを踏み、間合いを計り直す)………。なるほどな、気づいてないフリか。そういや紳士的に好んでたな、テーブルゲーム 」
セイン「 フフッ…ポーカーフェイスは心得ておりますので。(ここで、剣から熱が冷め落ちる。吹き出る蒸気は途絶え、乱れた輪郭が確固たるものとして映し出される) "カード"を切るタイミングを見誤れば逆転される。しかし、切らなければ一向に勝負は終わらないものです。私はいくつか切りました。まだ残しております。そろそろ、貴方も勝負に出てみてはいかがですか。 」
エドガー「生まれはともかく、その後の育ちが豚続きでな。スタート地点以降、ブラフで乗り切ってきた身だ。お前のようなロイヤルストレートフラッシュは持ち合わせてねえ。辛うじて捻出したスリーペアはさっきのゾーンで打ち止め (肩を落とし、脱力。それこそポーカーフェイスを保っていたが、目を細め) ―――――まあ、それでも切れって言うなら切るよ。"数"だけはあるからな(フリッカーへ以降。ボクシング型、ヒットマンの体制。ステップを踏み続けるが間合いは詰めない、それどころかポジションを変えることなく、ジャブの予備動作へ入り―――――) 」
エドガー「 ゴ ガキィンッッ (銃声。 拳という撃鉄を振り下ろし、摩擦で黄金色の輝きを帯びた"高密度の空間"が弾丸として打ち出され、被弾すれば合金さえも貫通、或いは"圧砕"されるそれが放たれ) ガッッ ガガガガガガガガンッッッッ(その場でサイドステップ→『空間の弾丸を飛ばすジャブ』→サイドステップのサイクルを高速で繰り返す。その場にエドガーの残像が重なり、さながらガン・カタのようにして飛ぶ拳撃を、帰還中の密度でセインへ畳み掛ける) 」
セイン「 ス … ――――― (予備動作に入ったエドガーに対応するかのように一度剣を鞘へ納める) グ ゥ ン ッ (実弾よりも早く鋭い空間の弾丸。それが放たれた初期微動を微かに感じ取り紙一重で水平移動で避け切る。)フォッ―――ヒュッ――オゥッ――――!(居合抜きの態勢を、決して崩すことなく維持したまま何度も並行回避を繰り返す。しかし双眸だけは身体の動きに反比例して目にも留まらぬ速さで弾丸の軌道のひとつひとつを確実に捉えいてた。そして、回避が困難を極めた頃合いを見ると――――) 」
セイン「 “手合(リポスト)”―――――――― パ ァ ン ッ ! (抜剣。突き出すような姿勢で、エドガー本人からほど遠い位置で鞘から振り抜いた刺突態勢で弾丸を相殺した。次々と繰り出される機関銃が如き弾丸をも、等速で撃ち放った刺突で貫く様に悉く、相殺を繰り返す) 」
アーノルード「―――――――! 」
サフタ「驚いたようだな、アーノルード。今、何が起こったのか…と。「リポスト」とは本来、フェンシングにおいて相手の剣を払うなどして相手の攻撃権を奪った状態で返突する、最強の返し技のことを指す。セイン卿は…剣道、フェンシング、薙刀、騎馬剣術、銃剣道など、刀剣を用いた競技において幼き頃より様々な名誉を獲得した経歴を持つ程に、「剣」を振るう一生を貫いてきたのだ。これまで対峙した多くの剣士や剣豪、あるいは剣とは乖離した猛者たちと対峙し…彼らの戦いぶりに敬意を表し、その戦術を学び、体得してきた。その表れの一つが、あの"リポスト"である。 」
ナナリリス「どういうこと…?それが、さっきの"相殺"とどういう関係が…? 」
サフタ「相対する相手の攻撃を看破すると同時に、"その技を目視で会得した"のだ。そして会得した相手の技量を、「剣」一本で再現し…相殺したのだ。これは斬撃などの物理攻撃に留まらず、遠距離攻撃であっても同等もしくはそれ以上の斬撃波を放つことで対消滅を引き起こしたのだ。天賦の才による並外れた動体視力と模倣によるものが、敵の攻撃を悉く打ち砕くのだ。 」
ナナリリス「へぇ~……"天才"の見えてることは分かんないわ… 」
エドガー「 ガ ガ ガ ガガガ ッッ(打撃、刺突、間合いの外で繰り出される突きの速さ比べ。剣と比べリーチが短い分予備動作が短く、札の手数に事欠かないというアドバンテージが、尽く遮られてゆく)ーーーーー(尚もポーカーフェイスを保ち、質よりも量と言わんばかりに単調な飛ぶジャブを放っていたが) ┣" ンッ (0.3秒の間、ジャブを放っていたエドガーと、"セインの背後に背合わせで突如急降下した"エドガーが同時に存在した。 飛ぶ打撃の余波によって生じる"空間歪曲"を利用したレンズの歪み、おれによって生じる"残影"を利用した影分身。 背合わせながら背後にポジション取り裏拳の予備動作へ…) 」
エドガー「 ┣" ンッッ (「お前ならその程度のブラフは読むだろう」と言わんばかりに再びセインの正面に急降下。着地を貯め行動とし、ゼロ距離からノーモーション突きをセインへ向かって繰り出す。また、着地の際の衝撃で周辺の瓦礫が浮かび上がり宙空に舞っている) 」
セイン「―――――(前後双方に感じる気配に目を鋭く閉ざしかける。残影を巧みに混ぜ込んだ間合い取りに対し動揺も狼狽もしない)――――― ガ ッ ! (確かにこちらに迫る"殺気"を感じ取ることでエドガーの突きを、剣の握られていない左腕を咄嗟的に突き出して防御。"寵愛"によるエーテル結晶を纏った左腕で打撃を受け止めることに成功するが、やはり衝撃は完全に押し殺せず、結晶は粉砕。自身もまた口元を微かに歪ませながらその身が吹き飛び、低姿勢で滑るように着地する) 」
セイン「――――――――― ニ ヤ (スローモーションと化した世界の中、瓦礫が舞う荒野にて、互いに不敵に笑い合う。戦士 / 剣士故の昂揚感が、彼らの闘争心を掻き立てていた。抑えきれぬ躍動は地盤を揺らし、震え上がらせる) 」
エドガー「――――――――― ハ ッ (闘志の工作。生まれ(原点)も育ち(過去)も、目指すもの(未来)も大きな隔たりがある。だが、今この場において彼らに隔たりはない。今、この悦に勝る焔はなしと悪童は笑う) 」
最終更新:2025年07月17日 13:56