「元太……」
海馬乃亜の放送を聞き、江戸川コナンは悲痛そうな表情を風見雄二に晒していた。
小嶋元太は工藤新一がコナンになってから数ヵ月、数十件以上の事件を共に解決してきた仲間だ。
かつては、コナンでいる間の短い付き合いだと割り切っていたが、今となっては掛け替えのない友になってしまった。
それを差し引いても、ただの子供がこんな殺し合いで無慈悲に命を奪われたのだ。
悲しみと怒りが綯い交ぜになっていき、コナンに影を落としていく。
だが同時に不幸中の幸いなのが、開示された名簿には同じ子供としての括りに入る円谷光彦や吉田歩美が載っていない事。
乃亜の言う子供はコナンが見てきた参加者の年齢層を見る限り、大体小学校低学年から、中学生程度を指していると考えられる。
その証拠に、法律上は未成年で子供に入る毛利蘭をはじめとする鈴木園子や服部平次のような、コナンの本来の同年代の知人の名前はなかった。
小嶋元太は工藤新一がコナンになってから数ヵ月、数十件以上の事件を共に解決してきた仲間だ。
かつては、コナンでいる間の短い付き合いだと割り切っていたが、今となっては掛け替えのない友になってしまった。
それを差し引いても、ただの子供がこんな殺し合いで無慈悲に命を奪われたのだ。
悲しみと怒りが綯い交ぜになっていき、コナンに影を落としていく。
だが同時に不幸中の幸いなのが、開示された名簿には同じ子供としての括りに入る円谷光彦や吉田歩美が載っていない事。
乃亜の言う子供はコナンが見てきた参加者の年齢層を見る限り、大体小学校低学年から、中学生程度を指していると考えられる。
その証拠に、法律上は未成年で子供に入る毛利蘭をはじめとする鈴木園子や服部平次のような、コナンの本来の同年代の知人の名前はなかった。
(灰原まで呼ばれてんのか)
予想はしていたが、やはりコナンと抱き合わせるように灰原哀まで殺し合いに巻き込まれていた。
二人の共通点は、実年齢より幼い容姿に戻されていることがある。そして、その元凶には黒の組織が繋がっている。
二人の共通点は、実年齢より幼い容姿に戻されていることがある。そして、その元凶には黒の組織が繋がっている。
(オレと灰原の正体が奴等にバレた……いや、それなら元太を巻き込む理由が分からない。
それにいくら奴等でも、こんな殺し合いを開くほど酔狂でもないだろ)
それにいくら奴等でも、こんな殺し合いを開くほど酔狂でもないだろ)
謎の多い組織だが、決して快楽殺人を目的とする集団ではない。
これを見世物として利益を得ようとしているのではとも考えたが、リスクが高すぎる。
なにより、先ほどのリンリンやハンディ・ハンディの語った世界観がコナンの知るそれとはあまりにも別すぎる。
考え難いが、SF映画のような別の世界が存在するのではとコナンでも信じてしまう。
魚人という種族なども聞いたことがないし、吸血鬼なんていうのは伝説上の存在だ。
だが実際に目にした人を食う少女に、生身のまま音速以上の素早さで走り回る蘇ったナチスの亡霊。
黒の組織と言えど、こんな連中を島に一斉に拉致し殺し合わせるなど不可能に近い。
これを見世物として利益を得ようとしているのではとも考えたが、リスクが高すぎる。
なにより、先ほどのリンリンやハンディ・ハンディの語った世界観がコナンの知るそれとはあまりにも別すぎる。
考え難いが、SF映画のような別の世界が存在するのではとコナンでも信じてしまう。
魚人という種族なども聞いたことがないし、吸血鬼なんていうのは伝説上の存在だ。
だが実際に目にした人を食う少女に、生身のまま音速以上の素早さで走り回る蘇ったナチスの亡霊。
黒の組織と言えど、こんな連中を島に一斉に拉致し殺し合わせるなど不可能に近い。
(灰原と合流しとかねーと…アイツなら首輪の解析も出来るかもしれねえし、オレもプラーミャの爆弾に関してはある程度構造を把握してる。首輪を外すヒントになるかも)
元太と違い灰原は大人だ。
判断力も頭脳もずば抜けて高い。そう簡単に死ぬとは思えないが、荒事が得意な訳ではない。
判断力も頭脳もずば抜けて高い。そう簡単に死ぬとは思えないが、荒事が得意な訳ではない。
(もう、そんなことはないと思うが……)
最近は鳴りを潜めているものの、以前は軽率に自分の命を投げ出そうとする危うさも見られた。
早い所、灰原の安全を確認しておきたいところだ。
早い所、灰原の安全を確認しておきたいところだ。
(あとは、あのマサオっておにぎり頭も早いとこ見付けてやらねーと……)
「……姉ちゃん」
「雄二?」
「雄二?」
殆どポーカーフェイスを崩すことのない雄二が、名簿に目を通した瞬間明らかに動揺していた。
「俺の死んだ姉の名前が載っている」
「なんだと?」
「なんだと?」
この時系列の雄二にとって、風見一姫は既に故人だ。
「乃亜が生き返らせたって事か?」
コナン達は最初に見せしめに殺された兄弟の内の片割れが蘇生したのを目撃している。
あれが何かのトリックであると穿った見方も捨てきれないが、これだけ人知を超えた能力を見てくると、絶対にありえないとは否定しきれない。
一姫が同姓同名ではなく、本人であるとしたらそれは死者の蘇生を乃亜が施したのだとコナンは結論を出すしかない。
あれが何かのトリックであると穿った見方も捨てきれないが、これだけ人知を超えた能力を見てくると、絶対にありえないとは否定しきれない。
一姫が同姓同名ではなく、本人であるとしたらそれは死者の蘇生を乃亜が施したのだとコナンは結論を出すしかない。
「警戒はした方が良いかもしれないな……。
コナン、お前が見た人食いの怪物のように容姿と記憶を読み取った後、同じ名前を名乗っている別人の可能性もある」
コナン、お前が見た人食いの怪物のように容姿と記憶を読み取った後、同じ名前を名乗っている別人の可能性もある」
「それは、そうだが……」
雄二の言うようなケースもコナンは想定していない訳ではなかった。
先に言い出した雄二も今にも見えない重圧に押し潰されそうな、苦々しい表情を浮かべている。
コナンが目撃した少女のような同種が別に居て、それが一姫の姿を借りているとしたら、その遺体は悍ましい光景を晒している。
身内でないコナンですら、考えるだけで気分が悪い。弟の雄二など、本当は口にするのも忌避しているはずだ。
先に言い出した雄二も今にも見えない重圧に押し潰されそうな、苦々しい表情を浮かべている。
コナンが目撃した少女のような同種が別に居て、それが一姫の姿を借りているとしたら、その遺体は悍ましい光景を晒している。
身内でないコナンですら、考えるだけで気分が悪い。弟の雄二など、本当は口にするのも忌避しているはずだ。
「ねえ、人が生き返るってお話聞いても良いかしら?」
それは空からだった。
パタパタと飾り物のような華奢な羽で重力に逆らいながら、洋風の少女がコナンと雄二達を見下ろしていた。
パタパタと飾り物のような華奢な羽で重力に逆らいながら、洋風の少女がコナンと雄二達を見下ろしていた。
「そこの人間、貴方のお姉さんが生き返ったのって本当なの?」
ネモ達と別れた後、フランドール・スカーレットは野原しんのすけの仇を討つ為にジャック・ザ・リッパーを探していた。
手掛かりを求め映画館を目的地としながら、丁度島の真ん中、さほど遠くない距離に病院があることにフランは気付く。
ジャックは直接戦闘であれば、フランには及ばない。一般の子供なら百人いても勝てないだろうが、一定のレベル以上の戦い慣れてる者からすればそこまで強くない。
495年の引きこもり生活から、対人及び対妖の戦闘経験は多くない為、フランも断言はしきれなかったが、搦手を駆使する戦闘スタイルなのは間違っていないはずだ。
殺し合いの開始から6時間、負傷者も増えている頃合いだ。
医療機器を求めて、病院に向かう参加者は少なくないかもしれない。
ジャックならば、そこで待ち伏せし、自分に有利なように罠でも張るのではないかと予想する。
そして、「その罠ごと全部壊してあげる」と一人で冷たく言い放ち、島の中央へ向かった。
病院とその周辺を調べてから、改めて映画館へ行く進路を選んだのだ。
道中、放送が響いたがしんのすけとネモ以外の名前には何の関心もない。
禁止エリアだけ記憶し、名簿に姉のレミリア・スカーレットをはじめ知り合いの名がないのだけ確認すると、さっさとタブレットを仕舞い込む。
強いて言えば、放送で呼ばれたアーカードの名前だけは気になった。
これはドラキュラ(Dracula)の名を下から読んだものだ。吸血鬼絡みの小説や映画などでもよく使われており、吸血鬼のフランとも完全に無関係とは思えない。
案外、本物のドラキュラ伯爵でも呼ばれていたのかもしれない。
しかし、死者として名を呼ばれたのならそれを確認する術もなく、少し会ってみたいと残念に思っていると、飛んでいるフランの下方から少年たちの話し声が聞こえてきた。
偶然にもそれは死者が蘇ったかもしれないという会話。
アーカードのことなど一瞬で頭の片隅に押しやり、フランは少年達に声を掛け下降していく。
コナンと雄二は訝しながら、その光景を見つめていた。
手掛かりを求め映画館を目的地としながら、丁度島の真ん中、さほど遠くない距離に病院があることにフランは気付く。
ジャックは直接戦闘であれば、フランには及ばない。一般の子供なら百人いても勝てないだろうが、一定のレベル以上の戦い慣れてる者からすればそこまで強くない。
495年の引きこもり生活から、対人及び対妖の戦闘経験は多くない為、フランも断言はしきれなかったが、搦手を駆使する戦闘スタイルなのは間違っていないはずだ。
殺し合いの開始から6時間、負傷者も増えている頃合いだ。
医療機器を求めて、病院に向かう参加者は少なくないかもしれない。
ジャックならば、そこで待ち伏せし、自分に有利なように罠でも張るのではないかと予想する。
そして、「その罠ごと全部壊してあげる」と一人で冷たく言い放ち、島の中央へ向かった。
病院とその周辺を調べてから、改めて映画館へ行く進路を選んだのだ。
道中、放送が響いたがしんのすけとネモ以外の名前には何の関心もない。
禁止エリアだけ記憶し、名簿に姉のレミリア・スカーレットをはじめ知り合いの名がないのだけ確認すると、さっさとタブレットを仕舞い込む。
強いて言えば、放送で呼ばれたアーカードの名前だけは気になった。
これはドラキュラ(Dracula)の名を下から読んだものだ。吸血鬼絡みの小説や映画などでもよく使われており、吸血鬼のフランとも完全に無関係とは思えない。
案外、本物のドラキュラ伯爵でも呼ばれていたのかもしれない。
しかし、死者として名を呼ばれたのならそれを確認する術もなく、少し会ってみたいと残念に思っていると、飛んでいるフランの下方から少年たちの話し声が聞こえてきた。
偶然にもそれは死者が蘇ったかもしれないという会話。
アーカードのことなど一瞬で頭の片隅に押しやり、フランは少年達に声を掛け下降していく。
コナンと雄二は訝しながら、その光景を見つめていた。
「大丈夫よ。取って食うつもりはないわ」
人間らしく、恐れを交えた目で見つめられているのを認識しフランは警戒を解くよう口にする。
少なくとも今は襲う気はない。ネモも生きているし、何より死者蘇生の情報を握った重要な証言者だ。
ネモを疑う訳ではないが、しんのすけを生き返らせる保険はいくつあっても損ではない。
少なくとも今は襲う気はない。ネモも生きているし、何より死者蘇生の情報を握った重要な証言者だ。
ネモを疑う訳ではないが、しんのすけを生き返らせる保険はいくつあっても損ではない。
「フランドール・スカーレット。私は名乗ったわ。貴方達も名乗って欲しいわね」
心底面倒そうな顔をして、フランは溜息交じりに自分の名を口にした。
(しんちゃんなら、何も言わなくてもあっちから何か察して話してくれて、会話楽なのに。
臆病な人間ね)
臆病な人間ね)
しんのすけという少年が非常に陽気で高いコミュニケーション力を持っていたことに加え、彼もまだ幼く良くも悪くも人を疑うことを知らなかったのも大きいのだが、フランからすれば知る由もない。
ただ人間は妖怪を恐れるもので、その中でしんのすけがやはり特別だったのかもしれないと、初めての友達への特別視をより深めていくだけだった。
ただ人間は妖怪を恐れるもので、その中でしんのすけがやはり特別だったのかもしれないと、初めての友達への特別視をより深めていくだけだった。
「えへへ…ぼく、江戸川コナン! お姉さんにびっくりしちゃった! お空飛べるなんてすごいな~」
いつも通り、猫を被ったあまりにもわざとらしい子供の演技でコナンはフランに接する。
「へえ、その名前…両親はシャーロキアンかしら?」
「分かる? うん、僕とパパはホームズの大ファンなんだ!」
「ホームズなんて何度も読んだもの。アガサ・クリスティのが私は好きだけど」
「ぼくが居候してるお家の下には、ポワロってお店があるよ」
「分かる? うん、僕とパパはホームズの大ファンなんだ!」
「ホームズなんて何度も読んだもの。アガサ・クリスティのが私は好きだけど」
「ぼくが居候してるお家の下には、ポワロってお店があるよ」
思い掛けない趣味の一致から、フランの声も少し弾んでいく。
スペルカードの命名をアガサ・クリスティから取ってくる程だ。フランもそれなりにミステリー小説には明るい。
スペルカードの命名をアガサ・クリスティから取ってくる程だ。フランもそれなりにミステリー小説には明るい。
「死んだ人間の蘇生に興味があるのか」
雄二はパンプキンに手を回し、いつでも臨戦態勢に移れるよう構える。
「そう怯えなくていいわ。
死者蘇生に興味あるけど、優勝して願いを叶える以外の別の手段も考えてるし……一応、貴方のお姉さんの事も聞きたいと思っただけよ。
少なくとも今は殺し合いに乗らないもの」
死者蘇生に興味あるけど、優勝して願いを叶える以外の別の手段も考えてるし……一応、貴方のお姉さんの事も聞きたいと思っただけよ。
少なくとも今は殺し合いに乗らないもの」
今は。
それを聞き、コナンと雄二はフランへの警戒をより強めた。
まるで隠す素振りもなく、フランはあっけからんとしていた。
隠していた素を出したわけではなく、そもそも殺し合いに乗り気な事を悪びれもしていない。
それを聞き、コナンと雄二はフランへの警戒をより強めた。
まるで隠す素振りもなく、フランはあっけからんとしていた。
隠していた素を出したわけではなく、そもそも殺し合いに乗り気な事を悪びれもしていない。
「────同姓同名かもしれない。まだ、俺達もそれが本物か確認していない」
自分の姉について、フランに話すのは気が引けたが既に一連の会話を聞かれた以上しらばっくれるのも難しい。
下手に誤魔化し機嫌を損ねるよりは正直に話した方がマシだ。
他にも魔神王などの危険人物の情報も含め、雄二は自分の持つ情報をある程度話した。
下手に誤魔化し機嫌を損ねるよりは正直に話した方がマシだ。
他にも魔神王などの危険人物の情報も含め、雄二は自分の持つ情報をある程度話した。
「ふーん…でも、まだ6時間程だものね。知り合いが居てもそうは会えないか」
つまらなそうにフランは呟く。
「ねえ、お姉さんはマサオ君って男の子見なかった? 頭がね、おにぎりみたいなんだ」
そのままコナンは作り物の猫撫で声を維持したまま会話を繋げる。
シュライバーの乱入やリンリンの暴走で逸れてしまったが、佐藤マサオという子供を放っておくのは非常に危険だ。
一連の一部始終は知っているし、それが元で自暴自棄になって殺し合いに乗るかもしれない。
そうでなくとも、あんな幼稚園児が一人で殺し合いの場をうろつけば、マーダーに狙われない方が不自然だ。
シュライバーの乱入やリンリンの暴走で逸れてしまったが、佐藤マサオという子供を放っておくのは非常に危険だ。
一連の一部始終は知っているし、それが元で自暴自棄になって殺し合いに乗るかもしれない。
そうでなくとも、あんな幼稚園児が一人で殺し合いの場をうろつけば、マーダーに狙われない方が不自然だ。
「マサオ……そういえば、しんちゃんの……」
聞き覚えがある。
しんのすけの友人として、挙げられた名前の中にそんな名前があった気がする。
しんのすけの友人として、挙げられた名前の中にそんな名前があった気がする。
「一緒に探そうよ! しんちゃんってしんのすけって子だよね?
名簿でマサオ君の近くに、名前が載ってたからきっと友達なんだと思うよ」
名簿でマサオ君の近くに、名前が載ってたからきっと友達なんだと思うよ」
僅かに考え込む素振りを見せたコナンはこれをチャンスだと思った。
恐らくフランはしんちゃんと愛称で呼んでいて、更にマサオという名に反応した事から、名簿にあり放送でも呼ばれた野原しんのすけと非常に親しい間柄だと考えられる。
殺し合いに比較的乗り気で死者蘇生に関心を持っていたのも、死んだしんのすけを生き返らせる為だと推測した。
恐らくフランはしんちゃんと愛称で呼んでいて、更にマサオという名に反応した事から、名簿にあり放送でも呼ばれた野原しんのすけと非常に親しい間柄だと考えられる。
殺し合いに比較的乗り気で死者蘇生に関心を持っていたのも、死んだしんのすけを生き返らせる為だと推測した。
「……どうして?」
首を傾げて、何の悪意もなくただ疑問をフランは口にする。
「あの子、怖い目に合ってとても大変なんだよ。見付けてあげないと……。
しんのすけ君ならそうするよ」
しんのすけ君ならそうするよ」
「しんちゃんは私の友達だけど、マサオは他人よ」
「でもさ、しんのすけ君の友達なんだよ?」
「それって、私と関係ないでしょ」
「───ッ」
フランはきょとんとした顔のままコナンを見つめていた。
だからこそ、逆にコナンはたじろいでしまう。
だからこそ、逆にコナンはたじろいでしまう。
「そうそう、ジャック・ザ・リッパーって女の子見てないかしら?
特徴はね……」
特徴はね……」
人の価値観と相違があり過ぎる。
淡々とジャックという少女について、サーヴァントがどうだのとネモから聞いた話を語り出すフランは、マサオの事など欠片も気にしていない。
淡々とジャックという少女について、サーヴァントがどうだのとネモから聞いた話を語り出すフランは、マサオの事など欠片も気にしていない。
「───そいつ、しんちゃんの仇だから私が壊したいの。
相手の記憶を消去する能力があるらしくて、何かうろ覚えになってるなら間違いなく貴方達と出会ってると思うんだけど」
相手の記憶を消去する能力があるらしくて、何かうろ覚えになってるなら間違いなく貴方達と出会ってると思うんだけど」
しんのすけの死に心を痛めるのは理解できるが、その下手人のジャックを仇として執着する割にマサオに対しての無関心さは歪だ。
「なにか、心当たりがありそうな顔してるわね」
コナンと雄二も、ジャックの記憶消去に関しては身に覚えがあり、僅かに反応してしまう。
人と妖怪の差に動揺していたせいもあるだろう。取り繕う余裕がなかった。
マヤを殺した少女について、容姿がうろ覚えである事をフランに即座に見抜かれてしまった。
人と妖怪の差に動揺していたせいもあるだろう。取り繕う余裕がなかった。
マヤを殺した少女について、容姿がうろ覚えである事をフランに即座に見抜かれてしまった。
「何処に居るのそいつ」
フランにとっては友好的な態度から一転し、淡々とした殺意の籠った声が紡がれる。
偽ればただではおかないと、声に込められた圧がそう伝えてくる。
偽ればただではおかないと、声に込められた圧がそう伝えてくる。
「情報が欲しいなら、そちらからも見返りがあって然るべきだと思うが」
雄二が毅然とした態度を取り戻す。
「……それもそうか。
北の方にネモと悟空って言う対主催がいるわ。
ネモは首輪の解析をしてるみたいで、私を対主催で居るよう説得してくれたの。
あと、悟空は多分この島じゃ最強で────」
北の方にネモと悟空って言う対主催がいるわ。
ネモは首輪の解析をしてるみたいで、私を対主催で居るよう説得してくれたの。
あと、悟空は多分この島じゃ最強で────」
フランも少し悩んだ後に自分が出会った少年達の情報を渡した。
目の前の二人は間違いなく対主催だ。
ネモ達の事を伝えるだけでも有益な情報だろう。
それは雄二からしても悪くない情報で、首輪を解析する技術者と強力な戦力のあてが付いたのは大きな前進だった。
目の前の二人は間違いなく対主催だ。
ネモ達の事を伝えるだけでも有益な情報だろう。
それは雄二からしても悪くない情報で、首輪を解析する技術者と強力な戦力のあてが付いたのは大きな前進だった。
「俺達は銀髪の電撃を操る少年と共に、そのジャックという奴に襲われた。
桜田ジュンの家だ」
桜田ジュンの家だ」
まだ北辺りにいるらしい。
こんなことなら、ネモ達と同行しておけば良かったかとフランは少し後悔した。
こんなことなら、ネモ達と同行しておけば良かったかとフランは少し後悔した。
「そ、ありがとう。お互い有意義な時間だったわね」
そう言ってフランはまた羽をパタパタと動かして宙に浮いていく。
「しんのすけ君、悲しむんじゃないかな」
フランの羽の動きが止まった。
「もしも、自分を殺した相手でも友達のフランちゃんが殺したと知ったら、とても悲しむと思うよ」
フランは滞空したまま、コナンへと振り返る。
「ジャックは英霊よ。ネモが言うには死んだ過去の人間のコピーだったかな、まあ何でもいいけど。
コピーに人権なんかないんだから、それは殺人にならなくない?」
コピーに人権なんかないんだから、それは殺人にならなくない?」
「仮に法で裁かれなくても、しんのすけ君の友達を見捨てて優先することが復讐なの?」
雄二が驚倒した顔でコナンを見つめていた。
「うふふふ……私ね? ここに来てから、初めてばかりだわ」
両手を広げて、うっとりしながらフランは感傷に浸る。
初めて出来た人間の友達。その友達との初めての離別。
初めての復讐。初めて意識した異性との接吻。
初めて出来た人間の友達。その友達との初めての離別。
初めての復讐。初めて意識した異性との接吻。
「自分より、遥かに弱い子に威勢を張られたのも初めてよ。
空威張りも程々にしないと、貴方壊れちゃうわよ。
だって弱いんだもん」
空威張りも程々にしないと、貴方壊れちゃうわよ。
だって弱いんだもん」
吹けば飛ぶような小さな体で、よくもここまで吠えられたものだ。
そこまでして、他人が壊れるのを否定する人間も初めて見た。
あのネモだって場合によっては、フランを殺す事を覚悟している。もし殺し合いに乗れば、自分が手を下すとも宣言したのだ。
そこまでして、他人が壊れるのを否定する人間も初めて見た。
あのネモだって場合によっては、フランを殺す事を覚悟している。もし殺し合いに乗れば、自分が手を下すとも宣言したのだ。
「ああ、よえーよ……もう二人も目の前で死なせちまった。
だから、せめて……マサオを助けるまでは、力を貸してくれ。頼む……」
だから、せめて……マサオを助けるまでは、力を貸してくれ。頼む……」
コナンは頭を下げ、そして懇願する。
リンリンの根は善良だが、今の二人では太刀打ちできる相手じゃない。
エスターを食らったことを自覚すれば、それこそ話し合いも出来ない。
聞けばフランは、人間を超えたサーヴァントとも戦いを繰り広げられるらしい。
だから、万が一を考えて強者の協力者がコナンには必要だった。
リンリンの根は善良だが、今の二人では太刀打ちできる相手じゃない。
エスターを食らったことを自覚すれば、それこそ話し合いも出来ない。
聞けばフランは、人間を超えたサーヴァントとも戦いを繰り広げられるらしい。
だから、万が一を考えて強者の協力者がコナンには必要だった。
「……まあ、ついでに探すくらいならしてあげる。ついでによ。
だけど、貴方達と一緒に……クスッ…犬みたいに嗅ぎまわって、その子を探すなんてごめんだもの」
だけど、貴方達と一緒に……クスッ…犬みたいに嗅ぎまわって、その子を探すなんてごめんだもの」
皮肉と批判を交えて。
フランは小さな探偵に嘲笑と拒絶の意を告げる。
フランは小さな探偵に嘲笑と拒絶の意を告げる。
病院周りはコナン達の言い分を信じれば、まだジャック達は来ていないようだ。
恐らくまだ北に居るのかもしれない。
それか、今になってようやく南下して病院などの目ぼしい施設を目指すか。
ある程度の場所を絞りこめたのは大きい。
今度こそコナン達に背を向けて、フランは飛び立っていった。
恐らくまだ北に居るのかもしれない。
それか、今になってようやく南下して病院などの目ぼしい施設を目指すか。
ある程度の場所を絞りこめたのは大きい。
今度こそコナン達に背を向けて、フランは飛び立っていった。
(ジャック────貴女の行く先々、逃げ場も救いも何もかも壊してあげる)
頭の片隅の更に端っこ辺りに、佐藤マサオの存在をちょこんと置いて。
「バーロー……」
戦力の当てが外れ、コナンは力なく項垂れる。
急がなければ、リンリンはまた更なる犠牲者を出してしまうのは分かっているのに。
いくら口で高説を述べても、そこに力が伴わない事がこれ程にまで無力だとは。
急がなければ、リンリンはまた更なる犠牲者を出してしまうのは分かっているのに。
いくら口で高説を述べても、そこに力が伴わない事がこれ程にまで無力だとは。
「ポワロは一次大戦後の探偵でホームズはその前の時代の探偵だ。
時代も技術も捜査方法だって、ちげーだろうが……」
時代も技術も捜査方法だって、ちげーだろうが……」
力さえなければあの少女の批判に対する反論すら、届かせることが出来ない。
【D-5/1日目/朝】
【フランドール・スカーレット@東方project】
[状態]:ダメージ(小)、精神疲労(小)
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Grand Order
[道具]:傘@現実、基本支給品、テキオー灯@ドラえもん、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:一先ずはまぁ…対主催。
0:桜田ジュンの家を起点にジャックの行先を考える。
1:ネモを信じてみる。嘘だったらぶっ壊す。
2:もしネモが死んじゃったら、また優勝を目指す
3:しんちゃんを殺した奴は…ゼッタイユルサナイ
4:一緒にいてもいいと思える相手…か
5:マサオもついでに探す。
6:乃亜の死者蘇生は割と信憑性あるかも。
[備考]
※弾幕は制限されて使用できなくなっています
※飛行能力も低下しています
※一部スペルカードは使用できます。
※ジャックのスキル『情報抹消』により、ジャックについての情報を覚えていません。
※能力が一部使用可能になりましたが、依然として制限は継続しています。
※「ありとあらゆるものを破壊する程度の力」は一度使用すると12時間使用不能です。
※テキオー灯で日光に適応できるかは後続の書き手にお任せします。
※ネモ達の行動予定を把握しています。
[状態]:ダメージ(小)、精神疲労(小)
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Grand Order
[道具]:傘@現実、基本支給品、テキオー灯@ドラえもん、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:一先ずはまぁ…対主催。
0:桜田ジュンの家を起点にジャックの行先を考える。
1:ネモを信じてみる。嘘だったらぶっ壊す。
2:もしネモが死んじゃったら、また優勝を目指す
3:しんちゃんを殺した奴は…ゼッタイユルサナイ
4:一緒にいてもいいと思える相手…か
5:マサオもついでに探す。
6:乃亜の死者蘇生は割と信憑性あるかも。
[備考]
※弾幕は制限されて使用できなくなっています
※飛行能力も低下しています
※一部スペルカードは使用できます。
※ジャックのスキル『情報抹消』により、ジャックについての情報を覚えていません。
※能力が一部使用可能になりましたが、依然として制限は継続しています。
※「ありとあらゆるものを破壊する程度の力」は一度使用すると12時間使用不能です。
※テキオー灯で日光に適応できるかは後続の書き手にお任せします。
※ネモ達の行動予定を把握しています。
【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ(アニメ版)】
[状態]:疲労(大)、精神的なダメージ(極大)、リンリンに対しての共感
[装備]:浪漫砲台パンプキン(一定時間使用不可)@アカメが斬る!、グロック17@現実
[道具]:基本支給品×2、斬月@BLEACH(破面編以前の始解を常時維持)、マヤのランダム支給品0~2、マヤの首輪
[思考・状況]基本方針:5人救い、ここを抜け出す
1:コナンに同行しつつ、万が一の場合は自分が引き金を引く。
2:可能であればマーダーも無力化で済ませたいが、リンリンのような強者相手では……。
3:悟空やネモという対主催にも協力を要請したい。
4:一姫がいるのか?
[備考]
※参戦時期は迷宮~楽園の少年時代からです
※割戦隊の五人はマーダー同士の衝突で死亡したと考えてます
※卍解は使えません。虚化を始めとする一護の能力も使用不可です。
※斬月は重すぎて、思うように振うことが出来ません。一応、凄い集中して膨大な体力を消費して、刀を振り下ろす事が出来れば、月牙天衝は撃てます。
[状態]:疲労(大)、精神的なダメージ(極大)、リンリンに対しての共感
[装備]:浪漫砲台パンプキン(一定時間使用不可)@アカメが斬る!、グロック17@現実
[道具]:基本支給品×2、斬月@BLEACH(破面編以前の始解を常時維持)、マヤのランダム支給品0~2、マヤの首輪
[思考・状況]基本方針:5人救い、ここを抜け出す
1:コナンに同行しつつ、万が一の場合は自分が引き金を引く。
2:可能であればマーダーも無力化で済ませたいが、リンリンのような強者相手では……。
3:悟空やネモという対主催にも協力を要請したい。
4:一姫がいるのか?
[備考]
※参戦時期は迷宮~楽園の少年時代からです
※割戦隊の五人はマーダー同士の衝突で死亡したと考えてます
※卍解は使えません。虚化を始めとする一護の能力も使用不可です。
※斬月は重すぎて、思うように振うことが出来ません。一応、凄い集中して膨大な体力を消費して、刀を振り下ろす事が出来れば、月牙天衝は撃てます。
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:疲労(大)、人喰いの少女(魔神王)に恐怖(大)と警戒
[装備]:キック力増強シューズ@名探偵コナン、伸縮サスペンダー@名探偵コナン
[道具]:基本支給品、真実の鏡@ロードス島伝説
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、乃亜を捕まえる
1:灰原を探す。
2:乃亜や、首輪の情報を集める。(首輪のベースはプラーミャの作成した爆弾だと推測)
3:魔神王について、他参加者に警戒を呼び掛ける。
4:リンリンや他のマーダー連中を止める方法を探し、誰も死なせない。
5:マサオやカニ(ハンディ様)も探す。
6:フランに協力を取りつけたかったが……。
7:元太……。
[備考]
※ハロウィンの花嫁は経験済みです。
※真実の鏡は一時間使用不能です。
※魔神王の能力を、脳を食べてその記憶を読む事であると推測しました。
[状態]:疲労(大)、人喰いの少女(魔神王)に恐怖(大)と警戒
[装備]:キック力増強シューズ@名探偵コナン、伸縮サスペンダー@名探偵コナン
[道具]:基本支給品、真実の鏡@ロードス島伝説
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、乃亜を捕まえる
1:灰原を探す。
2:乃亜や、首輪の情報を集める。(首輪のベースはプラーミャの作成した爆弾だと推測)
3:魔神王について、他参加者に警戒を呼び掛ける。
4:リンリンや他のマーダー連中を止める方法を探し、誰も死なせない。
5:マサオやカニ(ハンディ様)も探す。
6:フランに協力を取りつけたかったが……。
7:元太……。
[備考]
※ハロウィンの花嫁は経験済みです。
※真実の鏡は一時間使用不能です。
※魔神王の能力を、脳を食べてその記憶を読む事であると推測しました。
074:ここに神は見当たらない | 投下順に読む | 076:HAPPY END BRAVER? |
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062:MELTY BLOOD | フランドール・スカーレット | 076:HAPPY END BRAVER? |
064:まもるべきもの | 風見雄二 | 105:おくれてきた名探偵 |
江戸川コナン | 105:おくれてきた名探偵 |