「…うぅ、何て屈辱なの」
「バーロー! 殺し合いなんかに乗るからだろ」
「バーロー! 殺し合いなんかに乗るからだろ」
ハンディ・ハンディは敗北した。
殺し合い開始から1時間後、どの参加者よりも早く病院を根城とし、あらゆる罠を仕掛け、人間を狩ろうと待ち続け早数時間。
ようやくやってきた得物、江戸川コナンと風見雄二、特に雄二はまだ幼いが中々の色男だ。
これは楽しんでから、食べてあげなくちゃ。そう、嗜虐的な笑みを浮かべ病院内での闇に紛れ、そして息を潜め牙を研ぎ、待ち伏せる。
ようやくやってきた得物、江戸川コナンと風見雄二、特に雄二はまだ幼いが中々の色男だ。
これは楽しんでから、食べてあげなくちゃ。そう、嗜虐的な笑みを浮かべ病院内での闇に紛れ、そして息を潜め牙を研ぎ、待ち伏せる。
「どうして、1個も罠に引っかからないのよォ!!!」
運が悪い事に、雄二はただの子供ではない。少年兵として、テロリストの教育を受けてきた。
罠の回避などお手の物で、しかも相方には知識頭脳共に優れたコナンが居たのも、ハンディ・ハンディにとっては災いした。
お互いの知識を掛け合わせ、不足分を補いながらいとも簡単に病院内を突破され、そのままハンディ・ハンディは無力化されてしまったのだ。
罠の回避などお手の物で、しかも相方には知識頭脳共に優れたコナンが居たのも、ハンディ・ハンディにとっては災いした。
お互いの知識を掛け合わせ、不足分を補いながらいとも簡単に病院内を突破され、そのままハンディ・ハンディは無力化されてしまったのだ。
「くゥ…あのクソガキのせいで、とんだ厄日だわァ!!」
クソガキとは海馬乃亜のことでもあり、チン毛捕食後交戦したルーデウス・グレイラットでもあり、こんな体でさえなければ殺し合いなんぞに巻き込まれることもなかった、現在のボディの本来の主である左吉のことでもある。
遡れば、そもそもあんな場所で、立ちションさえしていなければこんなことには…!
遡れば、そもそもあんな場所で、立ちションさえしていなければこんなことには…!
「コナン、こいつなんだと思う?」
「頭に、カニパン付いてんだぞ。人類か甲殻類なのかも、分からねえよ」
「哺乳類……か?」
「頭に、カニパン付いてんだぞ。人類か甲殻類なのかも、分からねえよ」
「哺乳類……か?」
左吉の肉体はともかくとして、この愛らしい本体の頭部をカニパン呼ばわりされ愚弄されているというのに、ハンディ・ハンディはただ耐えるしかなかった。
なにせ、全身を縄でグルグルに拘束され、頭部の指も丁寧に結ばれて床に転がされている状態なのだ。
こうなれば、加工されて紐で縛られたハムのようなもの。生殺与奪の権を、他人に握られているといっても良い。
罠を突破した雄二とコナンを相手に、激戦を繰り広げたものの敗れ去ったハンディ・ハンディに尊厳はなく、ただ屈辱を募らせていくばかりだった。
なにせ、全身を縄でグルグルに拘束され、頭部の指も丁寧に結ばれて床に転がされている状態なのだ。
こうなれば、加工されて紐で縛られたハムのようなもの。生殺与奪の権を、他人に握られているといっても良い。
罠を突破した雄二とコナンを相手に、激戦を繰り広げたものの敗れ去ったハンディ・ハンディに尊厳はなく、ただ屈辱を募らせていくばかりだった。
「こいつの処遇を考えておこう」
「……その前に、少し休んでおこうぜ」
「……その前に、少し休んでおこうぜ」
背負っていたランドセルを下ろし、縛って転がしたハンディ・ハンディに警戒しつつもコナンは待合室に備え付けられたソファーに腰を預けた。
「雄二、おめーも休むんだよ。寝ろとは言えねえけど、座るくらいはしとけ」
「……気を遣わせて悪いな」
「そんなんじゃ…ねえよ」
お菓子の家に墜落し、そして条河麻耶の死を確認した雄二とコナンは、病院内を調べる前に彼女を埋葬していた。
その時に当然、首を切り落とし首輪の回収も忘れてはいなかった。普段のコナンであれば忌避すべき行為だが、参加者の枷である首輪の解析は避けては通れない。
そして、その解析をぶっつけ本番で自分達の物で行うにも、リスクは高い。
雄二もその必要性に気付いていたようで、斬月という大剣と既に調達していた毛布をランドセルから取り出していた。
そのあとの行為は、コナンですらあまり思い出したくない光景だった。
コナンも手伝いこそしたが、現在進行形で破壊されている遺体よりも、それを行っている雄二の方が壊れそうなほどの表情で、何度もゲロを吐いて、その手付きは震えながら、だが一切止めようとせず、全ての作業は行われた。
その時に当然、首を切り落とし首輪の回収も忘れてはいなかった。普段のコナンであれば忌避すべき行為だが、参加者の枷である首輪の解析は避けては通れない。
そして、その解析をぶっつけ本番で自分達の物で行うにも、リスクは高い。
雄二もその必要性に気付いていたようで、斬月という大剣と既に調達していた毛布をランドセルから取り出していた。
そのあとの行為は、コナンですらあまり思い出したくない光景だった。
コナンも手伝いこそしたが、現在進行形で破壊されている遺体よりも、それを行っている雄二の方が壊れそうなほどの表情で、何度もゲロを吐いて、その手付きは震えながら、だが一切止めようとせず、全ての作業は行われた。
「雄二……」
先ほどまでは事態が切迫していたのと、ハンディ・ハンディの対処に追われ落ち着いて話も出来なかった。
だが、明らかに雄二の出自は異常だ。
コナンが分かる範囲でも、軍の経験を積んでいるし殺しの技術を磨いている。
本人も軽くだが、少年兵だったと話してはいたが、これだけ流暢な日本語を話せる日本人の子供が、戦場に赴く事などありえるのだろうか?
それがありえたとして、とてもではないがまともな過程を経てはいない。
精神も擦り減り、正常な人格の維持も困難であるはずだ。
それでも、マヤを保護しコナンと協力体制を取るなど良心的な行動に移れるのは、彼が真に強い心持ち続けているからなのだろうか。
むしろ、壊れかけた心を何かで繋ぎとめて、強引に補強している。そんな風に、コナンには見えた。
だからこそ、真実を追求する探偵のコナンでも、迂闊に雄二の過去に足を踏み入れさせるのを躊躇ってしまう。
だが、明らかに雄二の出自は異常だ。
コナンが分かる範囲でも、軍の経験を積んでいるし殺しの技術を磨いている。
本人も軽くだが、少年兵だったと話してはいたが、これだけ流暢な日本語を話せる日本人の子供が、戦場に赴く事などありえるのだろうか?
それがありえたとして、とてもではないがまともな過程を経てはいない。
精神も擦り減り、正常な人格の維持も困難であるはずだ。
それでも、マヤを保護しコナンと協力体制を取るなど良心的な行動に移れるのは、彼が真に強い心持ち続けているからなのだろうか。
むしろ、壊れかけた心を何かで繋ぎとめて、強引に補強している。そんな風に、コナンには見えた。
だからこそ、真実を追求する探偵のコナンでも、迂闊に雄二の過去に足を踏み入れさせるのを躊躇ってしまう。
(そもそも、どうすればいい……?)
雄二が何かの犯罪に関わったのは間違いない。
だが、それを追求すべきなのか? ゼオン達への殿を引き受けたのを鑑みれば、善良な人物だ。
元の法治国家である日本国内であれば、しかるべき施設に手厚く保護されるべきだろう。
当然、雄二を利用した大人達は法の裁きを受けさせた上で。
けれども、この島に法はない。それどころか、より凄惨な死と戦場が充満する殺し合いの場だ。
少なくとも、この場においては雄二を保護する法も救うための術も存在しない。
だが、それを追求すべきなのか? ゼオン達への殿を引き受けたのを鑑みれば、善良な人物だ。
元の法治国家である日本国内であれば、しかるべき施設に手厚く保護されるべきだろう。
当然、雄二を利用した大人達は法の裁きを受けさせた上で。
けれども、この島に法はない。それどころか、より凄惨な死と戦場が充満する殺し合いの場だ。
少なくとも、この場においては雄二を保護する法も救うための術も存在しない。
(このままじゃ、こいつ)
法が届かぬ辺境の地で、自分の無力さをここまで痛感させられるとは思いも寄らなかった。
未だに、少年を捕食した少女や電撃の少年への対策すら見つからない。
今、この瞬間も殺し合いは加速し犠牲者は増えるばかりだというのに、事件を解決させるための手掛かりすら掴めていない。
未だに、少年を捕食した少女や電撃の少年への対策すら見つからない。
今、この瞬間も殺し合いは加速し犠牲者は増えるばかりだというのに、事件を解決させるための手掛かりすら掴めていない。
「えーーー!!! なんで、お菓子の家が壊れてるのぉーー!!
「「!?」」
それの到来に、最初コナンと雄二とハンディ・ハンディは地震かと勘違いした。
だが、リズミカルにずしんと地響きが轟き、そして爆音で響く声量で二人と一匹は一人の人間のものであると認識する。
病院の窓越しに外を除けば、巨大な肉の風船のような少女が数mはある巨体を揺らして叫んでいた。
横に居た二人の幼児と少女など、まるで人形の玩具のように見えるサイズ差だ。
だが、リズミカルにずしんと地響きが轟き、そして爆音で響く声量で二人と一匹は一人の人間のものであると認識する。
病院の窓越しに外を除けば、巨大な肉の風船のような少女が数mはある巨体を揺らして叫んでいた。
横に居た二人の幼児と少女など、まるで人形の玩具のように見えるサイズ差だ。
「た、助けてェ!! 私はここよォ!!!」
「バーロー……!!」
好機とばかりにハンディ・ハンディは叫ぶ。
こうなった以上は、事態をかき回して脱出のチャンスを狙う。
最悪の場合、自分と一緒にコナン達とも共倒れてもらう。
その思惑通り。
巨体の少女、シャーロット・リンリンは鋭い聴覚でハンディ・ハンディの声を聞き取り、病院へと駆け出して行った。
こうなった以上は、事態をかき回して脱出のチャンスを狙う。
最悪の場合、自分と一緒にコナン達とも共倒れてもらう。
その思惑通り。
巨体の少女、シャーロット・リンリンは鋭い聴覚でハンディ・ハンディの声を聞き取り、病院へと駆け出して行った。
───
「喧嘩は良くないから、仲直りしないと駄目よー」
「イヒヒヒヒ……リンリンは良い子ね」
(こんな化け物、さっさと殺しなさいよ)
エスターは内心で舌打ちしていた。
佐藤マサオと共にリンリンを言い包め、そして彼女の庇護下という名の安全圏を手に入れたのが数十分前。
そして同行してお菓子の家に来たのは良いが、その近くの病院に囚われていた頭にカニを付けたアホ面の化け物、本人はハンディ・ハンディと名乗るそれ。
どう見ても人類に仇なす醜い化け物を───というか、服にべったり血が付いていた───リンリンは喧嘩は良くないと説教をし、コナンと雄二に、半ば脅迫染みた要求を通し、解放させたのだ。
佐藤マサオと共にリンリンを言い包め、そして彼女の庇護下という名の安全圏を手に入れたのが数十分前。
そして同行してお菓子の家に来たのは良いが、その近くの病院に囚われていた頭にカニを付けたアホ面の化け物、本人はハンディ・ハンディと名乗るそれ。
どう見ても人類に仇なす醜い化け物を───というか、服にべったり血が付いていた───リンリンは喧嘩は良くないと説教をし、コナンと雄二に、半ば脅迫染みた要求を通し、解放させたのだ。
「あなた、魚人さんなのね」
「ええ、そうよ」
「ええ、そうよ」
魚人という単語の意味を知らないまま、ハンディ・ハンディは平気で嘘を吐く。
リンリンからしてみれば、ハンディ・ハンディはかつて共に羊の家で暮らした魚人の子供そのものだった。
魚人は魚の特徴を持っている。だから、それを引き千切ってはいけない。マザーに、キツく言われてきたことだ。
もしも、羊の家に妖精のような羽を持った種族が居たのであれば、きっとそれはマザーから、同じ人間であると厳重に注意されていて、きっととあるエンジェロイドにも違った未来があったかもしれない。
リンリンからしてみれば、ハンディ・ハンディはかつて共に羊の家で暮らした魚人の子供そのものだった。
魚人は魚の特徴を持っている。だから、それを引き千切ってはいけない。マザーに、キツく言われてきたことだ。
もしも、羊の家に妖精のような羽を持った種族が居たのであれば、きっとそれはマザーから、同じ人間であると厳重に注意されていて、きっととあるエンジェロイドにも違った未来があったかもしれない。
「みんな、仲良くして。仲良くしてるうちは俺がまもってあげる!!」
(仲良くしてるうちは?)
コナンの中で、引っかかる言動だった。
先ずこの少女は年相応に純粋で、だがそれに見合わぬ強大な力を秘めている。
だから、説得は通じないし、ハンディ・ハンディの解放もやむを得なかった。
ただ、それら一連の流れは彼女の幼い善性から来るもので、何とか後から追々意識を矯正出来ればとコナンは考えていた。少なくとも、悪人ではないのだから。
しかし、この言動はまるで独裁者のようだ。自分の意に沿えばいいが、そうでなければ誰であろうとも許さない。
そんな意味合いに聞こえてしまう。
先ずこの少女は年相応に純粋で、だがそれに見合わぬ強大な力を秘めている。
だから、説得は通じないし、ハンディ・ハンディの解放もやむを得なかった。
ただ、それら一連の流れは彼女の幼い善性から来るもので、何とか後から追々意識を矯正出来ればとコナンは考えていた。少なくとも、悪人ではないのだから。
しかし、この言動はまるで独裁者のようだ。自分の意に沿えばいいが、そうでなければ誰であろうとも許さない。
そんな意味合いに聞こえてしまう。
(考えすぎか? ただの子供が、深く考えず話してるだけか?)
(この眼鏡のガキ、何なのよ…まるで刑事みたいじゃない)
エスターもまたコナンの異様さに気付き、苛立ちながら警戒を強めていた。
『あれれぇ~お姉さん、入れ歯なのぉ?』
『お姉さん、リボン着けるのが好きなんだねぇ~』
『おっかしいぞぉ~。手が赤いよ。何か殴ったのぉ~?』
『お姉さん、リボン着けるのが好きなんだねぇ~』
『おっかしいぞぉ~。手が赤いよ。何か殴ったのぉ~?』
エスターは年齢がバレるのを避ける為、歯の治療を受けられず、状態が悪い、さらに永久歯である事も隠す為、入れ歯をしている。
そして、精神病院での度重なる凶行から、全身を拘束された時、手足と首に消えない痣を作ってしまい、それを隠す為にリボンを巻いて隠していた。
そして、この殺し合いに呼ばれセリムと遭遇する以前、癇癪に任せて壁を殴ったり家具を破壊したせいで出来た手の傷。
これらを初対面の数秒間で、瞬時にエスターの不審点として的確に見破り、とぼけたふりをしてコナンは追求してきた。
エスターの勘だが、恐らくこのガキはただの子供じゃない。
そして、精神病院での度重なる凶行から、全身を拘束された時、手足と首に消えない痣を作ってしまい、それを隠す為にリボンを巻いて隠していた。
そして、この殺し合いに呼ばれセリムと遭遇する以前、癇癪に任せて壁を殴ったり家具を破壊したせいで出来た手の傷。
これらを初対面の数秒間で、瞬時にエスターの不審点として的確に見破り、とぼけたふりをしてコナンは追求してきた。
エスターの勘だが、恐らくこのガキはただの子供じゃない。
(……下手にナルトとかいうのと、影使いのガキの話はしない方が良いわね)
最悪の場合、自分の正体がバレてもこの子供は日本人だ。流石に、ロシアの精神病院の患者の事なんて知らない筈だし、事件も日本では報道されていないだろう。
体が成長しない不幸な病の上に、殺し合いに巻き込まれた運の悪い女性を演じれば、コナンもそれ以上、何も手は出せまい。
だから、悪評に関してはボロが出るのを避けて、ここでは吹聴しないのが得策。
体が成長しない不幸な病の上に、殺し合いに巻き込まれた運の悪い女性を演じれば、コナンもそれ以上、何も手は出せまい。
だから、悪評に関してはボロが出るのを避けて、ここでは吹聴しないのが得策。
「あのね。コナン君、雄二さん…うずまきナルトっていう───!!」
マサオに悪気はなかった。だが、リンリンもさることながら人の悪意を小さな体にありったけ閉じ込めたような、そんなエスターに対しても恐怖を抱いていたマサオは、特に何も命じられてもいないのに、失敗したら殺されると、常に気を張り続けていた。
だから、先走ってリンリンに吹き込んだのと同じ悪評を口にしてしまう。
だから、先走ってリンリンに吹き込んだのと同じ悪評を口にしてしまう。
「マ サ オ……?」
「ひ、ひぃィィ!?」
期待に沿えなければ、切り捨てられ殺されてしまうだろうと怯えながら。
「マサオが言うには───」
最悪だ。最悪の展開だ。
自分の見た中で、大人もひっくるめてこの江戸川コナンは最も優れた頭脳の持ち主だ。
下手な嘘は即座に見破られる。だから、ここでは下手な事は口にしないつもりだった。
それを独断で、マサオは勝手に口走ってしまっている。こうなった以上は、エスターも話を合わせるしかない。
”マサオが”と強調して、エスターも可能な限り自分に責任が向かないよう、マサオに合わせた偽りの真実を述べていく。
自分の見た中で、大人もひっくるめてこの江戸川コナンは最も優れた頭脳の持ち主だ。
下手な嘘は即座に見破られる。だから、ここでは下手な事は口にしないつもりだった。
それを独断で、マサオは勝手に口走ってしまっている。こうなった以上は、エスターも話を合わせるしかない。
”マサオが”と強調して、エスターも可能な限り自分に責任が向かないよう、マサオに合わせた偽りの真実を述べていく。
「……そうか」
「……」
「……」
コナンと雄二は静かに聞き、訝しげにエスターを見つめていた。
やはり、こいつら普通の子供じゃない。
今はリンリンが居るから、何も言わないが間違いなく疑われている。
こいつらが、もしもナルトや別の対主催と合流すれば、こちらの立場が悪くなるというのに。
やはり、こいつら普通の子供じゃない。
今はリンリンが居るから、何も言わないが間違いなく疑われている。
こいつらが、もしもナルトや別の対主催と合流すれば、こちらの立場が悪くなるというのに。
「ね! ひどいやつらだから、おれが懲らしめてやるの!!」
エスターとマサオに同調するように、リンリンも鼻息を荒くする。
「そりゃ酷いね。なんて、酷い奴等なんだ」
その声はコナン達でもなければ、リンリン達でもない。
軍服を着た隻眼の少年が、わざとらしく頷いてリンリンに向けて喋っていた。
先ほどまで、そこに居たかのように馴れ馴れしく、そして何時からいたのか誰にも分からない。
軍服を着た隻眼の少年が、わざとらしく頷いてリンリンに向けて喋っていた。
先ほどまで、そこに居たかのように馴れ馴れしく、そして何時からいたのか誰にも分からない。
「うん! おれ、悪い奴等やっつける! お前も仲間になるなら守ってあげる!
おれと海賊やろう!!」
「本当かい?」
おれと海賊やろう!!」
「本当かい?」
コナンとエスターは急に現れた目の前の少年を見て、それを測りかねていた。
ふっと風のように現れたようだ。
それでいて抜けているような呑気な仕草。
今までに見たことのない人種だ。
ふっと風のように現れたようだ。
それでいて抜けているような呑気な仕草。
今までに見たことのない人種だ。
「コナン…」
「雄二?」
「ひいいいいいいいいい……!!!!」
「雄二?」
「ひいいいいいいいいい……!!!!」
だが、雄二は冷や汗を流し、ハンディ・ハンディは小さく悲鳴を漏らし、それを両手で抑え込んでいる。
まだ幼いとはいえ戦場を生き延び、磨き上げられた雄二の直感と。
人間を超えた人外の本能が、警鐘を鳴らしている。
まだ幼いとはいえ戦場を生き延び、磨き上げられた雄二の直感と。
人間を超えた人外の本能が、警鐘を鳴らしている。
「僕はウォルフガング・シュライバー。よろしくね、海賊のお嬢さん」
「おれ、リンリン! ……そうだ、マザーって人、知らない? 急に消えちゃったの!!」
「さあ? それよりさ、悪い奴等と戦う前に練習しようか」
「練習?」
「おれ、リンリン! ……そうだ、マザーって人、知らない? 急に消えちゃったの!!」
「さあ? それよりさ、悪い奴等と戦う前に練習しようか」
「練習?」
轟く銃声。
リンリンがシュライバーを見れば、その手に握られたルガーとモーゼルが銃口から煙を吹いていた。
子供のリンリンでも分かる簡単な道理。
シュライバーがリンリンの仲間を傷付けようとしている。
リンリンがシュライバーを見れば、その手に握られたルガーとモーゼルが銃口から煙を吹いていた。
子供のリンリンでも分かる簡単な道理。
シュライバーがリンリンの仲間を傷付けようとしている。
「私に感謝しなさい。マサオ、あなた良いものもってたわね」
数千を超える銃弾の雨。
ハンディ・ハンディが、この場で最も弱く人権が存在しないと目ざとく見抜き、マサオから支給品を奪う為に引っ手繰ったランドセルから、数匹の奇怪な生物が飛び出した。
マサオにとって幸運だったのは、殺し合いの開始から現在に至るまで碌に落ち着く時間もなかったことだろう。
お陰で支給品を確認する暇もなく、ランドセルを空けたと同時にこの怪物たちと鉢合わせずに済んだ。
肥大した下腹部に人の足が二本、目と鼻はなく口らしき部位の下に左右二本ずつ計四本の人の手。
人間と獣をアンバランスな配合をしたような気色の悪いそれは、タッと飛び上がり、口を大きく開き、シュライバーの弾丸を飲み込んだ。
膨大な銃弾の質量を一気に飲み干し、腹部が風船のようにボンッと膨らむが、まるで苦しむ様子もなく、腹に収めてしまった。
ハンディ・ハンディが、この場で最も弱く人権が存在しないと目ざとく見抜き、マサオから支給品を奪う為に引っ手繰ったランドセルから、数匹の奇怪な生物が飛び出した。
マサオにとって幸運だったのは、殺し合いの開始から現在に至るまで碌に落ち着く時間もなかったことだろう。
お陰で支給品を確認する暇もなく、ランドセルを空けたと同時にこの怪物たちと鉢合わせずに済んだ。
肥大した下腹部に人の足が二本、目と鼻はなく口らしき部位の下に左右二本ずつ計四本の人の手。
人間と獣をアンバランスな配合をしたような気色の悪いそれは、タッと飛び上がり、口を大きく開き、シュライバーの弾丸を飲み込んだ。
膨大な銃弾の質量を一気に飲み干し、腹部が風船のようにボンッと膨らむが、まるで苦しむ様子もなく、腹に収めてしまった。
「アハハハ! これは私の子供達、ミサイルだって平気で食べちゃうの! 人間よ、恐れなさい私を!! そして崇めるのよ!!」
耐ミサイルへの性能を持つ、人間や吸血鬼が変異した特殊な変異種。
国連のミサイルを飲み込み体内で爆破しても、平然とする強固な内臓器官を兼ね備えている。
国連のミサイルを飲み込み体内で爆破しても、平然とする強固な内臓器官を兼ね備えている。
「みんな、こいつの後ろに隠れろ!!」
コナンの声にリンリン以外の全員が賛同し、ハンディ・ハンディの後ろに回り込む。
雄二はすかさず羽交い絞めにし、コナンとエスターも身動きできないよう抑え付ける。
雄二はすかさず羽交い絞めにし、コナンとエスターも身動きできないよう抑え付ける。
「え、ちょっ……私を盾にする気!? やめさないクソ人間ども!!!」
「あはははははははははははははは!!!」
「ひいいいいいいいいい」
さらなる銃撃に餌を与えられた鯉のように群がり口を開ける変異種達。
確かに、強固な口と内臓を持っているとはいえ、シュライバーの連射速度は尋常ではない。吸血鬼はおろか、アマルガムでさえあんな芸当を再現出来る者はそうはいない。
このまま銃弾を食わせたとして、いずれ上限の容量を超えパンクするのでは?
確かに、強固な口と内臓を持っているとはいえ、シュライバーの連射速度は尋常ではない。吸血鬼はおろか、アマルガムでさえあんな芸当を再現出来る者はそうはいない。
このまま銃弾を食わせたとして、いずれ上限の容量を超えパンクするのでは?
「おれの…ともだちをいじめちゃ、駄目ェ!!」
「───!」
愉快に笑っていたシュライバーの隻眼が見開き、リンリンを見つめる。
射撃を止め、一気に後方へ飛び退く。
その視線には嘲りがなく、むしろ一瞬のみだが強い危機感と同時に懐かしさが含まれていた。
既知感を覚えたからだ。黄金に屈し、誰よりも速く忠誠を使ったあの瞬間と。
この醜く膨れ上がった肥満(デブ)の放つ、覇王色の覇気(プレッシャー)。
黄金のそれと同等ではない。だが、同質の覇気。
世界は違えど、世界を手にする巨大な力の一端。
射撃を止め、一気に後方へ飛び退く。
その視線には嘲りがなく、むしろ一瞬のみだが強い危機感と同時に懐かしさが含まれていた。
既知感を覚えたからだ。黄金に屈し、誰よりも速く忠誠を使ったあの瞬間と。
この醜く膨れ上がった肥満(デブ)の放つ、覇王色の覇気(プレッシャー)。
黄金のそれと同等ではない。だが、同質の覇気。
世界は違えど、世界を手にする巨大な力の一端。
「お友達を守るんだろ? なら、力を示せ」
覇王色の覇気という名も知らなければ知識もない。
だが、未熟ではあるが、紛れもない王の素質を持つ者であると嗅ぎ分けた。
決して黄金には及ばないが、ただの凡夫でもない。
だが、未熟ではあるが、紛れもない王の素質を持つ者であると嗅ぎ分けた。
決して黄金には及ばないが、ただの凡夫でもない。
「少しは楽しませなよ。
仮にも王の資質(それ)を持つんだ。つまらない戦場を宛がうなら許さない」
仮にも王の資質(それ)を持つんだ。つまらない戦場を宛がうなら許さない」
刹那、シュライバーが消えた。
遅れて、雨のように降り注ぐシュライバーより生成された魔弾。
遅れて、雨のように降り注ぐシュライバーより生成された魔弾。
「いったぁい……!!」
たったの二丁の拳銃から数千もの弾丸を弾き出し、リンリンの全身を撃ち付ける鉛の嵐。
だが、服が少し破ける以外は一切の傷も付かず、血の一滴すら流れない。
四皇と呼ばれる大海賊として名を馳せた未来では、リンリンは鉄の風船と呼ばれるほどの鉄壁の肉体を誇り、それは幼少のころから既に健在であった。
だが、全身を延々と突かれるのは気分が悪い。リンリンはむっとしながら、握り拳を作って殴りかかる。
だが、服が少し破ける以外は一切の傷も付かず、血の一滴すら流れない。
四皇と呼ばれる大海賊として名を馳せた未来では、リンリンは鉄の風船と呼ばれるほどの鉄壁の肉体を誇り、それは幼少のころから既に健在であった。
だが、全身を延々と突かれるのは気分が悪い。リンリンはむっとしながら、握り拳を作って殴りかかる。
「こ、のォ!!」
大地に隕石が墜落したかのような、数メートル単位のクレーターを刻み込まれる。
だが、その中心にあるのは人の拳だった。
リンリンが思いっきり、ただ子供の稚拙な暴力を振るったそれだけで、地形が変動しかねない規模の振動が大地を震わせる
だが、その中心にあるのは人の拳だった。
リンリンが思いっきり、ただ子供の稚拙な暴力を振るったそれだけで、地形が変動しかねない規模の振動が大地を震わせる
「鈍いんだよォ!」
クレーターから内から飛び上がり、更にもう一発、更にもう二発。
拳を振るっては大地を揺らし、その破壊音はエリア一体に響き渡り地形が変貌する。
土煙が撒き上がり、爆音が響き渡る中、シュライバーは涼しい顔でリンリンの拳を回避していく。
丸々と太った巨体からは想像も付かない程の俊敏な速さ。砲弾が意思を持ったように縦横無尽に飛び跳ね、殴り、蹴り、体当たりを繰り返す。
辺り一帯のコンクリートが砕けて、舞い上がり、更にそれを巨体が触れて弾き、流れ弾が四方八方に飛散する。
人間がまともに息を吸うことすら叶わぬ死地のなか、全ての敵意と殺意を注がれ、未だシュライバーは笑みを絶やさず、無傷のまま。
その絶速は触れる事を逃避し、リンリンにより齎されるありとあらゆる質量を持った死を避けていく。
拳を振るっては大地を揺らし、その破壊音はエリア一体に響き渡り地形が変貌する。
土煙が撒き上がり、爆音が響き渡る中、シュライバーは涼しい顔でリンリンの拳を回避していく。
丸々と太った巨体からは想像も付かない程の俊敏な速さ。砲弾が意思を持ったように縦横無尽に飛び跳ね、殴り、蹴り、体当たりを繰り返す。
辺り一帯のコンクリートが砕けて、舞い上がり、更にそれを巨体が触れて弾き、流れ弾が四方八方に飛散する。
人間がまともに息を吸うことすら叶わぬ死地のなか、全ての敵意と殺意を注がれ、未だシュライバーは笑みを絶やさず、無傷のまま。
その絶速は触れる事を逃避し、リンリンにより齎されるありとあらゆる質量を持った死を避けていく。
リンリンの猛攻を避け、肉薄し、その顎の下からシュライバーは弾丸を連射し叩き込む。
「ごっ、ぼごごごごォォ!!?」
弾丸はリンリンの顔面に直撃し、とても人体が鳴らす音とは思えない硬い轟音を鳴り響かせる。
眼が、鼻が、口が。ありとあらゆる顔面を構成するパーツを弾丸を叩き付ける。
眼が、鼻が、口が。ありとあらゆる顔面を構成するパーツを弾丸を叩き付ける。
「やめて!!」
両手を合わせ強く握りこんでから、シュライバーの頭上へギロチンのように振り落とす。
瞬間移動のように白騎士の姿は消えて、空ぶった一撃は大地を砕く。
打ち付けられた地面が罅割れた。巻き上げられた岩盤が、重力に従い雨のように降り落ちる。
シュライバーは器用にそれらを回避しながら、リンリンの数m先の正面で足を止めた。
瞬間移動のように白騎士の姿は消えて、空ぶった一撃は大地を砕く。
打ち付けられた地面が罅割れた。巻き上げられた岩盤が、重力に従い雨のように降り落ちる。
シュライバーは器用にそれらを回避しながら、リンリンの数m先の正面で足を止めた。
「口の中、入っちゃった…ぺぺぺぺぺぺぺぺ!!!」
スイカの種のように、リンリンは口からシュライバーの魔弾を吐き捨てる。
その弾丸がリンリンが巻き上げた岩盤を一瞬で蜂の巣にし、数秒で砂塵へと変えてしまう。とても、人間の肺活量で吐き出せる吐息ではなかった。
その弾丸がリンリンが巻き上げた岩盤を一瞬で蜂の巣にし、数秒で砂塵へと変えてしまう。とても、人間の肺活量で吐き出せる吐息ではなかった。
「いやはや、君…凄いね。頑丈さだけなら聖餐杯に次ぐよ。
一応聞いておくけど、人間でいいかい?」
一応聞いておくけど、人間でいいかい?」
「うん!」
リンリンは満面の笑みで頷いた。
ひゅんひゅん、すばしっこい男の子だけど、何だ簡単な話だなとリンリンは思う。
この子は玩具のピストルで遊びたいだけなのだ。
都合の良い解釈で、リンリンはこの子と友達になろうと思った。
そうすればきっと乃亜の奴も懲らしめられるし、みんなお友達になれればマザーだって喜んでくれる。
だから、目一杯遊んであげなきゃ。
ひゅんひゅん、すばしっこい男の子だけど、何だ簡単な話だなとリンリンは思う。
この子は玩具のピストルで遊びたいだけなのだ。
都合の良い解釈で、リンリンはこの子と友達になろうと思った。
そうすればきっと乃亜の奴も懲らしめられるし、みんなお友達になれればマザーだって喜んでくれる。
だから、目一杯遊んであげなきゃ。
「うん……?」
シュライバーの手刀が、リンリンの豊満な腹に減り込んでいた。
音速をも超えた絶速のそれは、鉄をも引き裂く程の鋭利な矛と化している。
音速をも超えた絶速のそれは、鉄をも引き裂く程の鋭利な矛と化している。
「ちぇっ、自信なくすなァ。腸ぶちまけるつもりだったのに。君、本当に硬いね」
シュライバーが飛び上がる。
振り上げた踵が、蹲ったリンリンの後頭部に落ちた。
ずしんと人体から響くはずのない鈍い音と共に、リンリンの顔面がその形状を維持したまま地面へ減り込む。
本来ならば頭蓋が砕け内容物が外に飛び出し、原形を留めない筈なのだが、リンリンの体はビクともしない。
種族が人間であるのなら、急所である箇所に一撃入れたというのにまるで死ぬ素振りすら見せない。
振り上げた踵が、蹲ったリンリンの後頭部に落ちた。
ずしんと人体から響くはずのない鈍い音と共に、リンリンの顔面がその形状を維持したまま地面へ減り込む。
本来ならば頭蓋が砕け内容物が外に飛び出し、原形を留めない筈なのだが、リンリンの体はビクともしない。
種族が人間であるのなら、急所である箇所に一撃入れたというのにまるで死ぬ素振りすら見せない。
「が……っ!?」
だが、シュライバーにとってはそれも想定内。
幾ら頑丈であろうと、人間である限り酸素を取り込まねば生きてはいけない。
人の殺し方など、外傷を負わせる以外にもいくらでもある。
踏まれた頭に掛かる圧力が増し、鼻と口を圧迫され、呼吸が困難になり酸素を求めようと起き上がろうとしてする。
だが、シュライバーの足に抑え込まれた顔はびくともしない。
幾ら頑丈であろうと、人間である限り酸素を取り込まねば生きてはいけない。
人の殺し方など、外傷を負わせる以外にもいくらでもある。
踏まれた頭に掛かる圧力が増し、鼻と口を圧迫され、呼吸が困難になり酸素を求めようと起き上がろうとしてする。
だが、シュライバーの足に抑え込まれた顔はびくともしない。
「ははははははははは!! 息を吸えなきゃ死ぬなんて、本当に人間みたいじゃないか!!」
「ぁ、か……は、ぁ……はッ……! ほ…ほんと、し……んじゃ……」
産まれて初めて、もしかしたら別の未来でも鬼ヶ島で最悪の世代、その筆頭たる二大海賊の船長たちを前にした時を除けば、唯一にして初めての窮地。
今までに感じたことのない命の危機と、おぞましい程の他者からの悪意と殺意。
それらを受けながら、平然と笑ってリンリンを甚振るシュライバーの異常性と嗜虐的趣向を目の当たりにして。
幼いリンリンにとっては、全てがトラウマになりかねないほどの衝撃であり、初の恐怖という感情だった。
今までに感じたことのない命の危機と、おぞましい程の他者からの悪意と殺意。
それらを受けながら、平然と笑ってリンリンを甚振るシュライバーの異常性と嗜虐的趣向を目の当たりにして。
幼いリンリンにとっては、全てがトラウマになりかねないほどの衝撃であり、初の恐怖という感情だった。
「ま、所詮は子供か…こんなんで泣きじゃくるなら、もう用はないかな。
このまま死んじゃいなよ」
このまま死んじゃいなよ」
涙が溢れて、鼻水が垂れて、涎が流れる。
どうしてこんなひどいことができるの? 苦しいし怖いし、何にも楽しくないのに。どうして笑っていられるの?
弱いものいじめはいけないことだって、マザーだって言っていた。
みんな、平等なのに。仲良くすればいいのに。
どうしてこんなひどいことができるの? 苦しいし怖いし、何にも楽しくないのに。どうして笑っていられるの?
弱いものいじめはいけないことだって、マザーだって言っていた。
みんな、平等なのに。仲良くすればいいのに。
おれ、死んじゃうの?
「だ、め……」
酸欠の中、朦朧とする意識でリンリンは走馬灯のように思い出した。
マザーや羊の家のみんな、それだけじゃない。ここに来てからお姉さんのように自分に良くしてくれたエスター、美味しそうなおにぎり野郎、カニの魚人のハンディ・ハンディ、賢そうな眼鏡、カッコいい顔した雄二、顔は知らないけどEDのルーデウス、同じく顔は知らないけどお説教しなきゃいけないエリス。
みんな、みんな、自分の大事な友達だ。仲間だ。
みんな、みんな、自分の大事な友達だ。仲間だ。
「し…ぬなんて……そ、そんなの……!」
守らなきゃ。だって、一番おれは強いんだから。
喧嘩をする奴は止めなくちゃ。死んじゃったら、みんなで美味しいものも食べられない。
喧嘩をする奴は止めなくちゃ。死んじゃったら、みんなで美味しいものも食べられない。
「おれは……お前なんかに、負けないんだァ!!!」
叫びと共に両腕を振り上げて地面に叩き付ける。
凄まじい振動と轟音により、リンリンを踏み付けていたシュライバーの体制が崩れた。
その隙に跳ねるようにリンリンは飛び上がり、後方に退いてシュライバーから距離を空ける。
涙を拭ってリンリンは闘志を宿した目でシュライバーを睨む。
凄まじい振動と轟音により、リンリンを踏み付けていたシュライバーの体制が崩れた。
その隙に跳ねるようにリンリンは飛び上がり、後方に退いてシュライバーから距離を空ける。
涙を拭ってリンリンは闘志を宿した目でシュライバーを睨む。
「うおおおおおおおォォォォ!!!」
雄叫びが木霊する。
拳を振り上げて、リンリンはシュライバーへと突っ込む。
拳を振り上げて、リンリンはシュライバーへと突っ込む。
「意気込みは良いけどさ」
速さも威力も、シュライバーからして驚嘆に値する。
だが技術がない。知恵もなければ、経験もない。
どれだけの破壊力を秘めていようと、それは当たらなければ意味がない。
ただの暴力では、最速のシュライバーを捉える事など出来ない。
だが技術がない。知恵もなければ、経験もない。
どれだけの破壊力を秘めていようと、それは当たらなければ意味がない。
ただの暴力では、最速のシュライバーを捉える事など出来ない。
「そんなんじゃ、掠りもしないんだよ!」
拳を避けて、猛るリンリンの背後に回る。
未だに人間に属する生物なのか、多くの殺戮を繰り返し人間と言う得物を理解し尽くしたシュライバーを以てしても甚だ疑問だが、肉体の構造自体は、飛び抜けて頑丈である以外は人間のそれと大差ないようだ。
銃撃と打撃では、ほぼダメージにはならないが、観察した限りでは、酸素を必要とするのは人間と同じだ。ならば首を圧迫し窒息させてやればいい。
殺し方として、面白味はない。
数十年、死者ばかり殺して欲求不満で、生きている血の温かさや心臓の鼓動も感じたかったものだが、まあそれは後ろの劣等共で楽しめばいい。
それよりも、強い失望感がシュライバーの中を駆け巡る。仮にも、あの黄金を連想させたプレッシャーの持ち主が、この程度とは。
未熟とはいえ、所詮はこんな肥えた豚の劣等には不相応の装飾品だったのだろう。
未だに人間に属する生物なのか、多くの殺戮を繰り返し人間と言う得物を理解し尽くしたシュライバーを以てしても甚だ疑問だが、肉体の構造自体は、飛び抜けて頑丈である以外は人間のそれと大差ないようだ。
銃撃と打撃では、ほぼダメージにはならないが、観察した限りでは、酸素を必要とするのは人間と同じだ。ならば首を圧迫し窒息させてやればいい。
殺し方として、面白味はない。
数十年、死者ばかり殺して欲求不満で、生きている血の温かさや心臓の鼓動も感じたかったものだが、まあそれは後ろの劣等共で楽しめばいい。
それよりも、強い失望感がシュライバーの中を駆け巡る。仮にも、あの黄金を連想させたプレッシャーの持ち主が、この程度とは。
未熟とはいえ、所詮はこんな肥えた豚の劣等には不相応の装飾品だったのだろう。
「なに───」
手順は簡単だ。リンリンの死角から飛び上がり、その巨体に迫り銃撃で撹乱し、本命の一撃を首に見舞ってやる。
シンプルで簡単、呆れるほど退屈だ。
シンプルで簡単、呆れるほど退屈だ。
なのに、シュライバーはリンリンから離れていた。
僅か1ミリほど先、リンリンの拳がシュライバーの軍服の先を掠る。
コンマの差で回避には成功したが、あらゆる敵の攻撃を絶対に回避するシュライバーならざる動きだった。
運が悪ければ、拳はシュライバーに到達し得た。そんな失態を狂乱の白騎士が許す筈がない。
コンマの差で回避には成功したが、あらゆる敵の攻撃を絶対に回避するシュライバーならざる動きだった。
運が悪ければ、拳はシュライバーに到達し得た。そんな失態を狂乱の白騎士が許す筈がない。
(なんだ? おれ、こいつの行きたいところがなんか分かる!!)
だが、現実としてリンリンの拳はシュライバーに届きつつある。
「おおおおおおおおォォォォ!!!」
咆哮を木霊させるリンリン。けれども依然変わらず、シュライバーの速さには付いてこれず、常に後手に回り続けている。
しかし、その拳の乱れ打ちはより的確で精密に、シュライバーの行く手を遮るように放たれていた。
まるでシュライバーの行先が分かっているように、リンリンはその先に拳を置いているといった方が正しいかもしれない。
これから先、起きる事を予知しシュライバーの退路へと先回りしている。
しかし、その拳の乱れ打ちはより的確で精密に、シュライバーの行く手を遮るように放たれていた。
まるでシュライバーの行先が分かっているように、リンリンはその先に拳を置いているといった方が正しいかもしれない。
これから先、起きる事を予知しシュライバーの退路へと先回りしている。
「───ッッ!!」
徐々にシュライバーの軌道が狭まっていく。優れた計算能力から、脳裏に展開する数百を超える次手の中から、確実にシュライバーが導き出した最善手をリンリンは予測し動く。
鼻先を拳がすり抜ける。僅かに上体を逸らして、右へ飛ぶ。
その先を覆うように、既にリンリンが動いている。
上空へ跳躍、だが先にリンリンが飛んでいた。
振り落とされた拳骨を、空を蹴り上げもう一段飛躍し避ける。
着地し、頭上から迫るリンリンを視認し銃撃で弾幕を張る。ダメージはほぼないとはいえ、リンリンは人間の生理的な反応として顔を腕で庇う。
その太い腕が視界を遮る事で、一瞬の間にリンリンはシュライバーを見失う。
鼻先を拳がすり抜ける。僅かに上体を逸らして、右へ飛ぶ。
その先を覆うように、既にリンリンが動いている。
上空へ跳躍、だが先にリンリンが飛んでいた。
振り落とされた拳骨を、空を蹴り上げもう一段飛躍し避ける。
着地し、頭上から迫るリンリンを視認し銃撃で弾幕を張る。ダメージはほぼないとはいえ、リンリンは人間の生理的な反応として顔を腕で庇う。
その太い腕が視界を遮る事で、一瞬の間にリンリンはシュライバーを見失う。
「やっぱりね───」
シュライバーの前方、その進行先を知っているかのようにリンリンは、素早く回り込んでいた。
腕の薙ぎ払いを避けながら、得心がいったようにシュライバーは笑う。
先ほどの弾幕から、視界は完全に潰した。
つまり、目で追ってシュライバーの行先を予測しているのではない。
五感ではない、第六感による鋭敏な感度でシュライバーの行動を察知しているのだろう。
腕の薙ぎ払いを避けながら、得心がいったようにシュライバーは笑う。
先ほどの弾幕から、視界は完全に潰した。
つまり、目で追ってシュライバーの行先を予測しているのではない。
五感ではない、第六感による鋭敏な感度でシュライバーの行動を察知しているのだろう。
「凄い能力だ。でも、練度が足りていない」
(はぁ‥…はぁ……なんか、こいつもう少しで殴れそうなのに、おれ…疲れてきちゃった)
見聞色の覇気。
シュライバーの分析通り、それは相手の気配を読み取る感知能力。
目見えぬ敵を補足し、相手に動きを先読みすることも可能とする。
リンリンは無意識化で見聞色の覇気を発動し、シュライバーの気配を読み彼我の差であった速さを埋めて、その絶速と互角に渡り合っていた。
だが、覇気もまた無限ではなく有限だ。使えば使うだけ摩耗し消耗する。
しかもリンリンは覇気を理解せず、無意識に使用している。徐々に使い慣れてきてはいるが、加減と温存を知らずどんどん体力をすり減らしていく。
更に言えば相手も悪い。黒円卓内最速のシュライバーでさえなければ、リンリンもここまで削られることもなかった。
だが、いくら動きを先読みしようと、それに追い付けなければ意味がない。常にリンリンも全速力で動かなければならない。
慣れない覇気の行使に加え、シュライバーのスピードに追いすがる為の肉体の強烈な酷使。
それはリンリンという規格外の怪物であっても、体力を大幅に消費させれる荒業であった。
もしも、後にビッグマムと恐れられた時系列での彼女であれば、この時期よりもより強大かつ無尽蔵のスタミナで、地力の差を見せつけたか。
あるいは別の搦手や経験と知恵と技量を活かし、形成創造を封じられたシュライバーであれば既に下していたかもしれない。
けれども、ここに居るリンリンは絶対な強さはあれど、未だ闘争という命の奪い合いは未経験。
シュライバーの分析通り、それは相手の気配を読み取る感知能力。
目見えぬ敵を補足し、相手に動きを先読みすることも可能とする。
リンリンは無意識化で見聞色の覇気を発動し、シュライバーの気配を読み彼我の差であった速さを埋めて、その絶速と互角に渡り合っていた。
だが、覇気もまた無限ではなく有限だ。使えば使うだけ摩耗し消耗する。
しかもリンリンは覇気を理解せず、無意識に使用している。徐々に使い慣れてきてはいるが、加減と温存を知らずどんどん体力をすり減らしていく。
更に言えば相手も悪い。黒円卓内最速のシュライバーでさえなければ、リンリンもここまで削られることもなかった。
だが、いくら動きを先読みしようと、それに追い付けなければ意味がない。常にリンリンも全速力で動かなければならない。
慣れない覇気の行使に加え、シュライバーのスピードに追いすがる為の肉体の強烈な酷使。
それはリンリンという規格外の怪物であっても、体力を大幅に消費させれる荒業であった。
もしも、後にビッグマムと恐れられた時系列での彼女であれば、この時期よりもより強大かつ無尽蔵のスタミナで、地力の差を見せつけたか。
あるいは別の搦手や経験と知恵と技量を活かし、形成創造を封じられたシュライバーであれば既に下していたかもしれない。
けれども、ここに居るリンリンは絶対な強さはあれど、未だ闘争という命の奪い合いは未経験。
「だけど、おれ…まもんなきゃ……みんな、おれの子分だ、仲間なんだ……! 誰もいなくならないで!!」
消えてしまったマザーに懇願するように、必死で必死で必死でシュライバーに食い下がる。
だが、引き離されていく。拮抗にまで翻した盤面は、リンリンの生きた年数の浅さにより、再び劣勢へと傾く。
掠りかけていた拳はシュライバーから徐々に遠ざかり、置いて行かれる。
だが、引き離されていく。拮抗にまで翻した盤面は、リンリンの生きた年数の浅さにより、再び劣勢へと傾く。
掠りかけていた拳はシュライバーから徐々に遠ざかり、置いて行かれる。
「おれ……! おれ、おれ……!! もういやなんだ! マザーもみんな消えちゃうの!!」
いくら空を殴ろうと、大地を砕こうとシュライバーに追い付けない。
何者をも寄せ付けぬ最速は、少女の拠り所になっていた仲間達に死を齎そうとしていた。
何者をも寄せ付けぬ最速は、少女の拠り所になっていた仲間達に死を齎そうとしていた。
「ははははははははははは!! 鬼ごっこはもうお終いかなァ!」
「うわああああああああああああああああああああ!!!」
駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
みんな死ぬ。居なくなる。消える。また一人になってしまう。
お願い止めて、そんなことしないで。
みんな死ぬ。居なくなる。消える。また一人になってしまう。
お願い止めて、そんなことしないで。
もう、寂しいのは嫌だ。
…………………………お腹空いた。
おれ、こんなに追いかけっこしたの初めてで、こんなに疲れたのも初めてで。
だから、お腹空いて───お菓子の家、食べたいな。
でも、お菓子の家は壊れてて、食料も全部食べちゃった……。
だから、お腹空いて───お菓子の家、食べたいな。
でも、お菓子の家は壊れてて、食料も全部食べちゃった……。
「ご…ごめん、みんな…おれ……おれ……」
「リンリン!?」
「エスター、おれ…お腹減って……お菓子の家が食べたい」
「リンリン!?」
「エスター、おれ…お腹減って……お菓子の家が食べたい」
リンリンは蹲り、そして動けなくなる。
ぐう~と腹の虫を鳴らし、燃料切れであることを外部へと知らせた。
ぐう~と腹の虫を鳴らし、燃料切れであることを外部へと知らせた。
(パンプキンはまだ使えないか……!)
雄二はランドセルに手を伸ばし、そして舌打ちする。
窮地に真価を発揮する帝具パンプキン。
だが、ゼオンとの戦いでオーバーヒートを迎え、再使用可能になるまで時間が掛かる。
掌で触れたパンプキンには、まだ熱が籠っていた。オーバーヒートから脱してはいない。
もう一つの武器、性能だけであれば斬月はシュライバーに対抗し得るかもしれないが、この場に居る者の中でこの大剣を振り回せる怪力の持ち主などいない。
窮地に真価を発揮する帝具パンプキン。
だが、ゼオンとの戦いでオーバーヒートを迎え、再使用可能になるまで時間が掛かる。
掌で触れたパンプキンには、まだ熱が籠っていた。オーバーヒートから脱してはいない。
もう一つの武器、性能だけであれば斬月はシュライバーに対抗し得るかもしれないが、この場に居る者の中でこの大剣を振り回せる怪力の持ち主などいない。
「あんた達! 何とかしなさい! マサオ、男でしょ!!」
「む…無理だよぉ」
「あんた、おにぎりみたいな頭してるわね」
「食べられろって事!? いやだあああああああ」
「一人の犠牲で皆助かるのよ? 素敵なことじゃない!!」
「む…無理だよぉ」
「あんた、おにぎりみたいな頭してるわね」
「食べられろって事!? いやだあああああああ」
「一人の犠牲で皆助かるのよ? 素敵なことじゃない!!」
ハンディ・ハンディの変異種も飛び道具への対処には特化しているが、シュライバーが体当たりでもしてくれば瞬時に肉片と化してしまう。
苛立ちに任せマサオに怒鳴るが、こんな子供にどうにか出来る筈もない。
苛立ちに任せマサオに怒鳴るが、こんな子供にどうにか出来る筈もない。
「なにか、食べさせてあげたら?」
狼狽する子供達に、シュライバーは温和に声を掛けた。
「暴れた分だけ、時間も置かずすぐに腹が減るなんて、人間の体はそう簡単な仕組みじゃあないんだが…まあ、その娘は例外って事なんだろう。
それよりもほら、何か御飯があるなら食べさせてあげなよ。待っててあげるから」
それよりもほら、何か御飯があるなら食べさせてあげなよ。待っててあげるから」
「なんの、つもりだ……」
コナンが訝しげにシュライバーに問いかけた。
遭遇してから碌な会話もなく、こちらに銃を向けて殺しに来た少年が態度を急変させたのだ。
裏がないわけがない。
遭遇してから碌な会話もなく、こちらに銃を向けて殺しに来た少年が態度を急変させたのだ。
裏がないわけがない。
「簡単だよ。そうだな…例えると僕はちょっと前まで、君達の言う天国みたいなところに居たんだが、そこでは死人ばかりを殺していたからね。味気ないんだよ、彼ら。
だから、どうせやるなら生きた人間のが良いのさ。血や肉に触れる感触も…リアクションも楽しめるからね。
お腹減らせて動けないんじゃ、死体壊すのとあんまり変わらないだろ?」
だから、どうせやるなら生きた人間のが良いのさ。血や肉に触れる感触も…リアクションも楽しめるからね。
お腹減らせて動けないんじゃ、死体壊すのとあんまり変わらないだろ?」
「天国……さしずめ、あんたはあの世から現代に舞い戻った最後の大隊ってとこか?」
「おや? 鋭いね。君の場合、あのチョビ髭の妄言の方で言ってそうだが、強ち間違っちゃいないか」
シュライバーの服装がナチスの軍服のようで、半ば皮肉交じりで、アドルフ・ヒトラーが言及した謎の戦闘集団の一人かと口にしたが、シュライバーは否定はしない。
気が狂いそうな会話だった。
令和の現代、世界基準で言えば2020年以降の時代にナチス崩れのカルト臭いイカれた少年が現れ、それが人間の域を超えた戦闘をリンリンと繰り広げてみせたのだ。
ただの二丁拳銃でマシンガン以上の連射と速度で弾丸を射出し、音速に差し迫る速度で平然と走る脚力。
コナンの知る常識ではありえない。
気が狂いそうな会話だった。
令和の現代、世界基準で言えば2020年以降の時代にナチス崩れのカルト臭いイカれた少年が現れ、それが人間の域を超えた戦闘をリンリンと繰り広げてみせたのだ。
ただの二丁拳銃でマシンガン以上の連射と速度で弾丸を射出し、音速に差し迫る速度で平然と走る脚力。
コナンの知る常識ではありえない。
(マジで、ナチスの亡霊って言いてえのかよ。何処のB級映画だってんだ)
現実離れした馬鹿げた会話だが、魔神王やゼオンなどの超越者を見た後では一笑に付すのも愚行だ。
「じゃあさ。君賢いから、お互いに情報交換としようか?
後ろのお友達は、その間にそこのピンク風船をどうにかするなり、僕を倒す方法なり考えてみなよ。
支給品も見てないのなら、ちゃんと確認するといい。何か面白いものが入ってるかもね」
後ろのお友達は、その間にそこのピンク風船をどうにかするなり、僕を倒す方法なり考えてみなよ。
支給品も見てないのなら、ちゃんと確認するといい。何か面白いものが入ってるかもね」
「……何が知りてえんだ?」
一瞬、雄二に目配せをしてからコナンは口を開いた。
少なくとも、今のコナンに現状を打破する武器はない。シュライバーの会話相手に選ばれたのは好都合だ。
雄二に装備と戦力を把握させ、打開策を練る時間をコナンが稼ぐ。
少なくとも、今のコナンに現状を打破する武器はない。シュライバーの会話相手に選ばれたのは好都合だ。
雄二に装備と戦力を把握させ、打開策を練る時間をコナンが稼ぐ。
「そうそう、出来る限り話を引き延ばしなよ? 話す事なくなったら戦争再開だ。
で、知りたいことなんだけど……アンナ、いや…ルサルカって女の子知らないかな? 僕達愛し合ってるんだよ」
で、知りたいことなんだけど……アンナ、いや…ルサルカって女の子知らないかな? 僕達愛し合ってるんだよ」
「特徴がないと分からねえよ」
「うん、赤い髪でさ…僕と同じナチスの軍服着ててね」
気紛れか酔狂なのか知らないし判別も付かないが、コナンは幾つもの難事件を解決したその天才的な頭脳をフルで回転させ、シュライバーとの会話を試みる。
その気になれば即座に話を終わらせ、殺しに掛かってくるような凶獣だ。
会話のキャッチボールが続くように、神経をすり減らしながらコナンは言葉を選ぶ。
その気になれば即座に話を終わらせ、殺しに掛かってくるような凶獣だ。
会話のキャッチボールが続くように、神経をすり減らしながらコナンは言葉を選ぶ。
「リンリン、私に支給された御飯よ。これなら……」
「違う。お菓子、お菓子食いてぇ…そんなんじゃ、力が出ないよ」
「違う。お菓子、お菓子食いてぇ…そんなんじゃ、力が出ないよ」
エスターは内心で舌打ちする。この化け物、見た目に反して、やけに偏食の一面がある。
「お菓子の家、食べたかったのに誰がぶち壊したの!!」
(俺達だ)
絶対に口にはしないが、雄二は冷や汗をかきながらそれを認めた。
「み、みんな…なんとか……なるかも」
途方に暮れる中、マサオがおどおどしながらも声をあげた。
「この道具なら、リンリンちゃんの食べたいお菓子の家も復活するかも」
そう言って、一枚の布を取り出す。それなりの装飾されたデザインを見るに、テーブルかけのようだ。
「グルメテーブルかけって言って、何でも食べ物を出せるんだって!
お菓子の家も食べ物だよね!?」
お菓子の家も食べ物だよね!?」
シュライバーに言われた通り、マサオも改めて一度はハンディ・ハンディから引っ手繰られたランドセルの中を開いてみた。
あの銃弾を食べた生物がまとめて一つのアイテム扱いなら、まだ他にも支給品が眠っている可能性がある。
またあの生物のようなものが飛び出ないか警戒しつつ、四次元ランドセルの中に手を伸ばし、その奥底で眠るこのひみつ道具を発見した。
あの銃弾を食べた生物がまとめて一つのアイテム扱いなら、まだ他にも支給品が眠っている可能性がある。
またあの生物のようなものが飛び出ないか警戒しつつ、四次元ランドセルの中に手を伸ばし、その奥底で眠るこのひみつ道具を発見した。
「運だけは良いじゃない! さっさと使うのよクソおにぎり!」
「わ…分かってるよぉ」
「早くしなさい!」
「蹴らないでぇ……」
ハンディ・ハンディの怒鳴り声に急かされながら、マサオはグルメテーブルかけを広げて欲しい食べ物にお菓子の家を念じた。
グルメテーブルかけ。
未来の技術により生み出された科学の結晶の一つ。
ただ願うだけで、それが存在しないメニューであろうと望んだ料理を無から出現させる。
物理法則、質量保存の法則などを小賢しい世界のルールを真っ向から否定する、卓越した科学の産物だ。
グルメテーブルかけ。
未来の技術により生み出された科学の結晶の一つ。
ただ願うだけで、それが存在しないメニューであろうと望んだ料理を無から出現させる。
物理法則、質量保存の法則などを小賢しい世界のルールを真っ向から否定する、卓越した科学の産物だ。
「凄ェ、お菓子の家ぇ~~~~!!!」
その布から、小さな面積に見合わぬ一軒家が飛び出す。
チョコのドアと屋根にクッキーの壁、水あめのガラス、クリームやグミの装飾、長いバームクーヘンの煙突。
屋内にはケーキのソファーにビスケットのテーブル。
可愛くて華やかでメルヘンで甘く香ばしい匂いが漂う。
リンリンは、その新たに出現したお菓子の家に釘付けになり、溺れるように飛び込んでいく。
チョコのドアと屋根にクッキーの壁、水あめのガラス、クリームやグミの装飾、長いバームクーヘンの煙突。
屋内にはケーキのソファーにビスケットのテーブル。
可愛くて華やかでメルヘンで甘く香ばしい匂いが漂う。
リンリンは、その新たに出現したお菓子の家に釘付けになり、溺れるように飛び込んでいく。
「美味しい~~~~!!」
大喜びで大きな口を開け、お菓子の家へとかぶり付く。
お菓子の家は施設扱いでもあった為、不安はあったものの食品として口にすることが可能であれば料理として扱われるようだ。
美味しそう頬張るリンリンを見て、マサオは俯きながら溜息を吐いた。
お菓子の家は施設扱いでもあった為、不安はあったものの食品として口にすることが可能であれば料理として扱われるようだ。
美味しそう頬張るリンリンを見て、マサオは俯きながら溜息を吐いた。
「嫌アアアア!!!! 私の子供達がァ!!!! 何してんのよクソデブ!」
ハンディ・ハンディの怒声が響き渡る。
「……え?」
何が起きたのかと、リンリンの方へ顔を上げてみれば、その口周りが赤くなっており、シュライバーの銃撃から、ハンディ・ハンディを守った変異種が一気に半数近く消失していた。
シュライバーという少年が殺したのかと思ったが、コナンと向き合ったまま動いた様子はない。
じゃあ、誰が───。
シュライバーという少年が殺したのかと思ったが、コナンと向き合ったまま動いた様子はない。
じゃあ、誰が───。
「幸せぇ~~~!!!
チョコやクリーム、ビスケットの破片を顔にたっぷりくっつけながら、焦点の当たらない虚ろな瞳でリンリンは叫ぶ。
「……へえ」
次の瞬間、膨大な威圧感を伴った覇気(プレッシャー)が轟く。
それは、魔人たるシュライバーですら眉を潜めるほどに。
それは、魔人たるシュライバーですら眉を潜めるほどに。
(畜生! なんだこれは!?)
コナンも飛びそうになる意識を繋ぎ留めながら、事態の異様さを肌で感じていく。
何かが起きそうな予感がある。しかもそれは質の悪い事に、シュライバーではなく味方であるはずのリンリンからだ。
何かが起きそうな予感がある。しかもそれは質の悪い事に、シュライバーではなく味方であるはずのリンリンからだ。
───……そうだ、マザーって人、知らない? 急に消えちゃったの!!
ふと思い起こすのは、しきりにマザーという人物について、探す素振りをしていたことだ。
どうやら育ての親らしく、それなりの高齢の人物のようで、乃亜の言う子供には当て嵌まらない。
この殺し合いには縁遠い人物だ。でもリンリンはそこまで考えが及ばず、自分のように参加者として呼ばれていないか、心配しているのだろう。
どうやら育ての親らしく、それなりの高齢の人物のようで、乃亜の言う子供には当て嵌まらない。
この殺し合いには縁遠い人物だ。でもリンリンはそこまで考えが及ばず、自分のように参加者として呼ばれていないか、心配しているのだろう。
(消えた? 居なくなったんじゃなく……消えただと?)
最初にそれを聞いた時は、シュライバーとの交戦に突入した為に、コナンも見落としていた。
けれども、不自然だ。消えたという表現は腑に落ちない。
まるで、目の前から急に煙のように消え去ったようではないか?
けれども、不自然だ。消えたという表現は腑に落ちない。
まるで、目の前から急に煙のように消え去ったようではないか?
「───お前ら、そこから離れろ!!」
その瞬間、シュライバーの危険性すらも忘れてコナンは大声で叫ぶ。
探偵としての勘が告げていた。今、この場で最も危険なのはシュライバーではないと。
探偵としての勘が告げていた。今、この場で最も危険なのはシュライバーではないと。
「え、何? 何なの……」
エスターとハンディ・ハンディ、そして雄二はそれを理解していた。
何せ、三人はその決定的な場面を目撃していたのだから。
本来であれば捕食者側の変異種が、哀れな餌に変わったその光景を目の当たりにした。
だから、素早くその場からの離脱に移れた。
だがマサオだけは、運のない事にその時に限って視線を外していた。
何せ、三人はその決定的な場面を目撃していたのだから。
本来であれば捕食者側の変異種が、哀れな餌に変わったその光景を目の当たりにした。
だから、素早くその場からの離脱に移れた。
だがマサオだけは、運のない事にその時に限って視線を外していた。
「ひっ……」
リンリンから放たれた覇気、覇王色と分類されるそれを直接浴びて、マサオは腰が抜けた。
本来ならば、マサオ程度の子供なら即座に意識を奪うそれは制限により、威嚇程度に済んでいるものの、それに触れた者へ誘発する恐怖心は別だ。
本来ならば、マサオ程度の子供なら即座に意識を奪うそれは制限により、威嚇程度に済んでいるものの、それに触れた者へ誘発する恐怖心は別だ。
「ちょ、ちょっと…なんで、やめ……」
気付いた時にはもう遅く、そしてその巨大な手が迫っていた。
「おいしい~おいしいよぉ~~~。ありがとう。マサオ、みんな…おれ、絶対に皆を守るから!!」
「ブギーーーーーーー!!」
手当たりお菓子の家と、逃げ惑う変異種に無差別に食い付いていくリンリンの目は、ハートになり正気をなくしていた。
反面、その言葉だけは仲間達に感謝の念を伝えているのが、尚更異様さを引き立てる。
一つだけ言えるのは、あと一秒もせずマサオはこの世界と別れを告げているだろうということのみ。
反面、その言葉だけは仲間達に感謝の念を伝えているのが、尚更異様さを引き立てる。
一つだけ言えるのは、あと一秒もせずマサオはこの世界と別れを告げているだろうということのみ。
「う…うわああああああん!!!」
だから、泣き叫びながら、震える手でマサオは最後の切札をここで翳した。
「……………は?」
リンリンの手の先、そこには腰が抜けたマサオと入れ替わるようにエスターが居た。
当のマサオは先ほどまでエスターが退避した場所へと移動している。
咄嗟に起きた超常現象に呆気に取られ、目の前に迫るリンリンの手に掴まれる。
当のマサオは先ほどまでエスターが退避した場所へと移動している。
咄嗟に起きた超常現象に呆気に取られ、目の前に迫るリンリンの手に掴まれる。
「どうして…マサオォォォォ!!!」
「ひ、ひいいいいいいいいいい」
子供を演じるのも忘れ、本性のまま怒りを口にする。
マサオは顔にある穴から液体という液体を垂れ流し、だが何度も転びながら腰を上げようと藻掻き続ける。
その手には一枚のカードが握られていた。
モンスター・リプレイス(シフトチェンジ)。
名の通り、モンスターの位置を入れ替える魔法カードである。
この殺し合いにおいては、参加者の位置を入れ替える効力を持つ。
マサオはこれを発動することで、エスターと自分の位置を変換し窮地を脱した。
エスターという身代わりの贄を捧げる事で。
マサオは顔にある穴から液体という液体を垂れ流し、だが何度も転びながら腰を上げようと藻掻き続ける。
その手には一枚のカードが握られていた。
モンスター・リプレイス(シフトチェンジ)。
名の通り、モンスターの位置を入れ替える魔法カードである。
この殺し合いにおいては、参加者の位置を入れ替える効力を持つ。
マサオはこれを発動することで、エスターと自分の位置を変換し窮地を脱した。
エスターという身代わりの贄を捧げる事で。
「マサオ……ッ!!」
耳に延々と鳴り響く叱咤の声。
「マサオ、助けなさい!」
視界に飛び込む、絶叫と切望。
「マサオ、マサオォォ!!!」
何処だ? 何処でしくじった?
あの影を使う子供を襲った時か? いや、まだ挽回は可能だった。
リンリンを利用しようと、言葉巧みに誘導した時か? だが、あれが最善だったはず。
マサオ? あんな餓鬼を手駒にしたのが、それが原因なのか?
あの影を使う子供を襲った時か? いや、まだ挽回は可能だった。
リンリンを利用しようと、言葉巧みに誘導した時か? だが、あれが最善だったはず。
マサオ? あんな餓鬼を手駒にしたのが、それが原因なのか?
「離せ、リンリン!! 離しなさい!!」
それが届かぬと分かっていても、エスターにはそう叫ぶしかない。
腕ごと巨大な手で人形にように掴まれたエスターに抗う術はなく、支給品の力すら借りることが出来ない。
腕ごと巨大な手で人形にように掴まれたエスターに抗う術はなく、支給品の力すら借りることが出来ない。
(いやよ、こんな死に方するくらいならあの泉で沈んだ方が……!!)
また巡った来た好機を、こんな形で潰されるなんて認められない。
だが、強固なリンリンの肉体を突き崩す力をエスターは持ちえない。
だから、最後の賭けに出るしかない。
だが、強固なリンリンの肉体を突き崩す力をエスターは持ちえない。
だから、最後の賭けに出るしかない。
「逃げてマサオ……必ず、私を生き返らせなさい!!!」
「え、ぇ……」
エスターが最後に動かせるのはその口しかない。言葉だけが、残された最後の武器だ。
けれどもリンリンにそれは通じない。
ならば、今この場で最も容易く精神を犯せる存在に、エスターという呪いを刻み込める者がいるとすれば、マサオを置いて他には居ない。
けれどもリンリンにそれは通じない。
ならば、今この場で最も容易く精神を犯せる存在に、エスターという呪いを刻み込める者がいるとすれば、マサオを置いて他には居ない。
「そうでないと、アンタは本当の人殺しよォ!!!」
優勝を託し、その蘇生をマサオに預ける等、現実的ではないのは分かっていた。
だが、もうこれしかエスターに残された足掻きはない。
最悪で最低の賭けだ。反吐が出そうになる。
しかし、僅かな望みであろうと生き延びる為に、エスターは死の直前まで喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。
叫び、マサオの脳裏に己を刻む。
だが、もうこれしかエスターに残された足掻きはない。
最悪で最低の賭けだ。反吐が出そうになる。
しかし、僅かな望みであろうと生き延びる為に、エスターは死の直前まで喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。
叫び、マサオの脳裏に己を刻む。
「分かってるわね! アンタのせいで、こうなったのよ!!!」
「ひ、ひぃ……ィ」
「全て、アンタが悪い子だから───」
ただの子供一人に向けるには、あまりにも重い重責と呪いをありったけ注ぎ込む。
そして、その死の間際、全てが飲み込まれる寸前までマサオから一切の視線を逸らさず、笑みを浮かべた。
そして、その死の間際、全てが飲み込まれる寸前までマサオから一切の視線を逸らさず、笑みを浮かべた。
お前は私から逃がしはしない。
その視線だけで、マサオは全身が張り裂けそうなほどの恐怖に支配された。
「も、や…だ……ぁ……!!」
耐え切れず、マサオは転がるように走り出した。
「このォ!!!」
コナンがキック力増強シューズを全開にし───。
(いや、駄目だ……)
ありえないとは思いながら、もしもそれが致命打となれば。
仮に全開にしても、あれだけの銃弾を浴びて傷一つ付かない鋼の肉体には無意味な配慮だと分かってはいる。
それでも、僅かな逡巡のなかで、万が一を考えてその威力を下げて、リンリンとシュライバーの戦いで巻き上げられたボール大の岩盤を蹴り飛ばした。
仮に全開にしても、あれだけの銃弾を浴びて傷一つ付かない鋼の肉体には無意味な配慮だと分かってはいる。
それでも、僅かな逡巡のなかで、万が一を考えてその威力を下げて、リンリンとシュライバーの戦いで巻き上げられたボール大の岩盤を蹴り飛ばした。
「くそっ!!」
リンリンの頬に激突し、岩盤が砕けるが全く意にも介さない。
「コナン」
「離せ、雄二…エスターが……!」
「……無理だ」
冷たく、雄二に断言される。
掴んだ腕を乱雑に、引き摺るように引っ張って雄二は走り出す。
掴んだ腕を乱雑に、引き摺るように引っ張って雄二は走り出す。
「おい…!?」
こうでもしないと、きっとこの少年は自分を犠牲にしてでもあの少女を救出しようとするから。
誰の血も流さず、人を救い続けてきた真っ直ぐな少年を死なせるぐらいなら、自分が後で恨まれる方が良い。
もうマヤのような犠牲を出したくはなかった。
誰の血も流さず、人を救い続けてきた真っ直ぐな少年を死なせるぐらいなら、自分が後で恨まれる方が良い。
もうマヤのような犠牲を出したくはなかった。
(クソっ……)
最悪の死に方を前にして、涎とお菓子が入れ混じった死の入り口を目の当たりにし数秒後の自分の凄惨な姿を思い浮かべて、エスターは今までの人生を走馬灯として頭の中で繰り返していた。
凶悪な精神異常者として、犯罪者として収監される身になっていたが、元々はそんなことするつもりもなく、殺人も好きでやっていた訳ではない。
利己的ではあるが、意味もない快楽殺人者でもない。
本当に些細なことでも理由さえあれば徹底して非情に徹するが、逆にほんの一ミリも理由がなければ好んで相手を害することもない。
気紛れに、鼠に餌を分け与えるような良心だってある。
ただ、そうでもしなければ手に入らないものがあったから、大勢を殺めてきた。
凶悪な精神異常者として、犯罪者として収監される身になっていたが、元々はそんなことするつもりもなく、殺人も好きでやっていた訳ではない。
利己的ではあるが、意味もない快楽殺人者でもない。
本当に些細なことでも理由さえあれば徹底して非情に徹するが、逆にほんの一ミリも理由がなければ好んで相手を害することもない。
気紛れに、鼠に餌を分け与えるような良心だってある。
ただ、そうでもしなければ手に入らないものがあったから、大勢を殺めてきた。
「ただ、私は───」
求めていたのは、何てことない単純で簡単なもので。
普通の女性であれば、手に入る普通なものだった。
普通の女性であれば、手に入る普通なものだった。
「はあ~美味しかった。ウップ、おれ…これで戦える。ありがとう、みんな……いつか一緒におやつを食べようね!」
そう、対等な普通の女性として、同じ大人としての目線できっと愛されたかった。
ただそれだけだったのに。
ただそれだけだったのに。
【エスター(リーナ・クラマー)@エスター 死亡】
「うふふふ……あははははははははははは!!!」
シュライバーは笑って目の前の喜劇を見ていた。
何せ、シュライバーの見てきた行ってきた中でもトップクラスにはイッてる殺し方だ。
シュライバーも魂を取り込むことを喰らうと比喩するが、よもや本当の文字通りの意味での人の踊り食いというのは、そうお目に掛かれるものじゃない。
サイズ差を考えれば当然で、人同士のカニバリズムではありえない。
だが、不幸なことに目の前の少女は人に属しながらそれが出来てしまう体格を有していた。
何せ、シュライバーの見てきた行ってきた中でもトップクラスにはイッてる殺し方だ。
シュライバーも魂を取り込むことを喰らうと比喩するが、よもや本当の文字通りの意味での人の踊り食いというのは、そうお目に掛かれるものじゃない。
サイズ差を考えれば当然で、人同士のカニバリズムではありえない。
だが、不幸なことに目の前の少女は人に属しながらそれが出来てしまう体格を有していた。
「さぁて、お腹も膨れた所で続きをしようか。待ちくたびれて、溜まってきちゃったよ」
面白い前座ではあった。
あとは人の突然変異とも言えるこの希少な獲物をどう狩るかだ。
轢き殺し、轍になったリンリンを振り返るのが楽しみだ。
あとは人の突然変異とも言えるこの希少な獲物をどう狩るかだ。
轢き殺し、轍になったリンリンを振り返るのが楽しみだ。
「あれ…? エスター、マサオ……? みんな、どこ」
加えて、こいつにはその自覚がない。
リンリンの目線では、自分にお菓子の家を用意してくれたマサオと優しく接してくれたエスターが突然消失したように見える。
そして、そんなことをするのは眼前に居る白の凶獣、ただ一人。
リンリンの目線では、自分にお菓子の家を用意してくれたマサオと優しく接してくれたエスターが突然消失したように見える。
そして、そんなことをするのは眼前に居る白の凶獣、ただ一人。
「おまえ…おまえが皆を殺したのォ!!?」
怒りと共に咆哮と覇王色の覇気を、シュライバーへと一点に集中して叩き付ける。
最初に会った時と違い、意識したものかはともかく既に覇気の出力をコントロールしだしている。
少なくとも先ほどのように、すぐにバテるようなこともないだろう。
そよ風に吹かれるような心地の良い顔で覇気を浴びながら、シュライバーはリンリンを観察した。
最初に会った時と違い、意識したものかはともかく既に覇気の出力をコントロールしだしている。
少なくとも先ほどのように、すぐにバテるようなこともないだろう。
そよ風に吹かれるような心地の良い顔で覇気を浴びながら、シュライバーはリンリンを観察した。
「ゆるさない……おれの友達をいじめたお前は、こらしめてやる!!!」
「おっと、待ちなよ」
リンリンの殺意を涼しい顔で受け流し、シュライバーはそれを静止した。
「つまり、それは敵討ちって事だろ? 駄目だよ。敵討ちするなら仲間は死んでなきゃ」
「何いってんだ! おまえが皆を殺したんだ!!!」
「馬鹿だなァ。
少なくとも、そのエスターってのはまだ生きてるじゃないか」
少なくとも、そのエスターってのはまだ生きてるじゃないか」
シュライバーが指差した方向を見て、リンリンは首を傾げた。
「なんでおれのお腹を指差してるの」と。
「なんでおれのお腹を指差してるの」と。
「あれじゃあ、即死は無理だろうね。ちゃんと、物を噛みな? 数分もすれば死ぬだろうけど。
まあ…だからさ、一人も死んでなきゃ敵討ちにならないわけ。
大事だよこういうのは」
まあ…だからさ、一人も死んでなきゃ敵討ちにならないわけ。
大事だよこういうのは」
「変なこと言うなァ!!」
「うーん、話が通じないなァ。
敵討ちするなら仲間が死んでなきゃ駄目だって、ガキでも分かるだろォ!!
敵討ちの意味、分かるよねぇ!? 菓子の食い過ぎで、頭に脂肪こびり付いてんじゃないのォ!」
敵討ちするなら仲間が死んでなきゃ駄目だって、ガキでも分かるだろォ!!
敵討ちの意味、分かるよねぇ!? 菓子の食い過ぎで、頭に脂肪こびり付いてんじゃないのォ!」
「うるせェ!!!」
轟音を鳴り響かせ、リンリンの拳が大地を砕いた。
当然、そこにシュライバーの姿はない。既にリンリンから距離を取った場所へ後退している。
当然、そこにシュライバーの姿はない。既にリンリンから距離を取った場所へ後退している。
「……じゃあ、仲間のおにぎりでも探しに行きなよ。
その頃には、エスターも死んでるよ。それでその後、君は復讐開始だ」
その頃には、エスターも死んでるよ。それでその後、君は復讐開始だ」
「おにぎり…マサオのこと!?」
「ああ、真っ先に逃げてたよ。あの裏切りおにぎり」
それを聞いて、リンリンの殺意が揺らいだ。まだ自分には友達が仲間が残されていた事に。
シュライバーの言っている事は、意味がよく分からなかったが、それだけ知れれば十分だ。
ドスドスと愉快な地響きを立てて、リンリンは走り去っていった。
シュライバーの言っている事は、意味がよく分からなかったが、それだけ知れれば十分だ。
ドスドスと愉快な地響きを立てて、リンリンは走り去っていった。
「……あっ、敵討ちって言ったけど、僕あのエスターって娘に何もしてないや」
リンリンが去った後、ふとそんなことを呟く。
ルサルカの敵討ちと違って、加害者は通してリンリンではないか。
ルサルカの敵討ちと違って、加害者は通してリンリンではないか。
「うーん、たまにはそういう趣向でもいいか」
人違いで殺意を向けられるというのも、そうなかった気もする。
そもそも戦場なんて場では、誰が誰を殺したかなんて当事者ですら分からないものだ。
そう思うと新鮮にも感じられた。
ルサルカの敵討ちのように、リンリンも変則的な理由で殺すのも楽しめるだろう。
そもそも戦場なんて場では、誰が誰を殺したかなんて当事者ですら分からないものだ。
そう思うと新鮮にも感じられた。
ルサルカの敵討ちのように、リンリンも変則的な理由で殺すのも楽しめるだろう。
「……大変だ。僕やる事が多いじゃないか」
リンリンの復讐もあれば、あの悟飯に大量の轍もプレゼントしなければならない。
帰ったら、遊佐司郎に敵討ちをしなくてはいけなくて、ルサルカには生きていて貰っては困る。
シュライバーに膝を折らせた日番谷冬獅郎だって逃がす気はない。
帰ったら、遊佐司郎に敵討ちをしなくてはいけなくて、ルサルカには生きていて貰っては困る。
シュライバーに膝を折らせた日番谷冬獅郎だって逃がす気はない。
「あぁ、面倒なハンデさえなきゃ、思いっきり楽しめるんだけどねぇ」
不満はあるが、なんであれ、また走り抜けるだけだ。
いつもと同じだ。駆け抜けた後で、屍は轍として転がっているのだから。
いつもと同じだ。駆け抜けた後で、屍は轍として転がっているのだから。
【E-5/1日目/早朝】
【ウォルフガング・シュライバー@Dies Irae】
[状態]:疲労(大)ダメージ(大 魂を消費して回復中)、形成使用不可(日中まで)、創造使用不可(真夜中まで)
[装備]:ルガーP08@Dies irae、モーゼルC96@Dies irae、修羅化身グランシャリオ@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:皆殺し。
1:敵討ちをしたいのでルサルカ(アンナ)を殺す。
2:いずれ、悟飯と決着を着ける。その前に大勢を殺す。
[備考]
※マリィルートで、ルサルカを殺害して以降からの参戦です。
※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。
※形成は一度の使用で12時間使用不可、創造は24時間使用不可
※グランシャリオの鎧越しであれば、相手に触れられたとは認識しません。
[状態]:疲労(大)ダメージ(大 魂を消費して回復中)、形成使用不可(日中まで)、創造使用不可(真夜中まで)
[装備]:ルガーP08@Dies irae、モーゼルC96@Dies irae、修羅化身グランシャリオ@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:皆殺し。
1:敵討ちをしたいのでルサルカ(アンナ)を殺す。
2:いずれ、悟飯と決着を着ける。その前に大勢を殺す。
[備考]
※マリィルートで、ルサルカを殺害して以降からの参戦です。
※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。
※形成は一度の使用で12時間使用不可、創造は24時間使用不可
※グランシャリオの鎧越しであれば、相手に触れられたとは認識しません。
───
「は…ァ……は……ァ……はァ……」
肺が張り裂けそうになるまでマサオは走っていた。
腕を振り、地を蹴りながら新鮮な空気を求めて息は荒い。何度も転んで足に幾つも擦り傷を作っているのに、涙を流してもマサオは泣く素振りも見せず走る。
腕を振り、地を蹴りながら新鮮な空気を求めて息は荒い。何度も転んで足に幾つも擦り傷を作っているのに、涙を流してもマサオは泣く素振りも見せず走る。
『マサオ……ッ!!』
『マサオ、助けなさい!』
『マサオ、マサオォォ!!!』
脳裏に焼き付けられた命が噛み砕かれた瞬間。
伸ばされた手を掴めない罪悪感と、本来ああなるべきだったのは自分だという恐怖と悍ましさ。
伸ばされた手を掴めない罪悪感と、本来ああなるべきだったのは自分だという恐怖と悍ましさ。
『全て、アンタが悪い子だから───』
どうして、あんなことになったのか分からない。
ただ、お腹が空いたリンリンを助けなくちゃと支給品を使って。
それで、殺されそうになった時、ただ身を守ろうとして。
違う。僕は悪くない。僕は……。
逃げなくちゃいけない。
きっと、多分他の殺人鬼に出会って殺されても、リンリンに見つかるよりはまだマシな死に方ができるだろう。
ただ、お腹が空いたリンリンを助けなくちゃと支給品を使って。
それで、殺されそうになった時、ただ身を守ろうとして。
違う。僕は悪くない。僕は……。
逃げなくちゃいけない。
きっと、多分他の殺人鬼に出会って殺されても、リンリンに見つかるよりはまだマシな死に方ができるだろう。
「ひ…っ!」
何度目かの転倒をして、マサオはようやくガソリンの切れた車のように動かなくなった。
そう、思い返せば同じようなものだったのかもしれない。
燃料がなくなれば、それを元に動く機械は止まってしまう。それは人間も同じことでエネルギーを切らせば、何処かから消費した分を摂取する必要がある。
だから、きっとそうなのかもしれない。
シュライバーと戦っていたリンリンが急に動かなくなったのは。
そして無差別に何でも口に放り込んだのは。
マサオの生き物としての、もっとも原初的な本能がにより拒否感。
その嫌悪感は人に向けるもののそれとは異なっていた。
そう、思い返せば同じようなものだったのかもしれない。
燃料がなくなれば、それを元に動く機械は止まってしまう。それは人間も同じことでエネルギーを切らせば、何処かから消費した分を摂取する必要がある。
だから、きっとそうなのかもしれない。
シュライバーと戦っていたリンリンが急に動かなくなったのは。
そして無差別に何でも口に放り込んだのは。
マサオの生き物としての、もっとも原初的な本能がにより拒否感。
その嫌悪感は人に向けるもののそれとは異なっていた。
「マサオ」
逃げた先、その後ろには地響きを鳴らしてあのピンクの悪魔のような少女、リンリンが追い付いていた。
「え、ぇ……」
「見つけた。良かった、一番弱そうだったから…おれ、ほんと心配して。
眼鏡と雄二とカニの魚人さんは、居ないみたいだけど……良かった無事で」
眼鏡と雄二とカニの魚人さんは、居ないみたいだけど……良かった無事で」
「やめ…やめ……」
食べに来たの? 僕を?
さっき食べたばかりじゃないか。お腹一杯じゃないか。
さっき食べたばかりじゃないか。お腹一杯じゃないか。
「おれ、気付いたら急にみんな居なくなってて……あのシュライバーとかいう奴、意味わからねえ事ばっか言ってきて……もう何が何だか分からない」
何言ってんの、この娘……みんな、怖くて逃げたんだよ。
「エスターはおれ…お姉ちゃんみたいだなって思ってて……おれ、守りたかったのに……エスターはやっぱり、死んじゃったの?」
……え? 意味わからないよ。
だって、エスターはきみが……■■ちゃったじゃないか。
だって、エスターはきみが……■■ちゃったじゃないか。
もういやだ。頭がおかしくなっちゃうよ。
いっそ、殺してよ。なんで僕ばかりこんな目に合うんだ。
何か悪い事したの? 赤ちゃんを守ろうとして、ナルトなんていう薄汚い化け物をやっつけようとし───あれ、そういえばどうして、ナルトのことこんなに…いや、あいつは悪いやつなんだ。
僕は何も悪い事したくてやった訳じゃないのに、こんなのおかしいじゃないか!
いっそ、殺してよ。なんで僕ばかりこんな目に合うんだ。
何か悪い事したの? 赤ちゃんを守ろうとして、ナルトなんていう薄汚い化け物をやっつけようとし───あれ、そういえばどうして、ナルトのことこんなに…いや、あいつは悪いやつなんだ。
僕は何も悪い事したくてやった訳じゃないのに、こんなのおかしいじゃないか!
なんでこんなことに、桃華さんと出会った時はようやく信用できる人と会えたと思って……。
「……桃華さんが悪いんだ」
ぽつりと、その名がマサオの口から零れてしまった。
映画館から脱出する時、朧げな意識の中でマサオは見ていた。桃華が不思議な力で映画館から自分達を一緒に吹き飛ばしたのを。
そして、あろうことか赤ちゃんと戦えない自分を別個に放りやって、桃華は写影と一緒に何処かへ行ってしまったことを。
そもそも、あの二人手を握っていた。
つまり、そういうことだ。あの二人は自分達以外はどうでもいいんだ。
映画館から脱出する時、朧げな意識の中でマサオは見ていた。桃華が不思議な力で映画館から自分達を一緒に吹き飛ばしたのを。
そして、あろうことか赤ちゃんと戦えない自分を別個に放りやって、桃華は写影と一緒に何処かへ行ってしまったことを。
そもそも、あの二人手を握っていた。
つまり、そういうことだ。あの二人は自分達以外はどうでもいいんだ。
「ももか…そいつがエスターを殺したの!?」
「ぁ、っ……」
違う。駄目だ。ヤバい。
我に返った時にはもう遅かった。
我に返った時にはもう遅かった。
落ち着いて考えれば、桃華に悪意はないはずだと分かっていた。
けれども、実際に理不尽な目にあっていたことで、その遠因であるのが桃華であるのも事実だ。
だから、精神が限界を迎えたマサオはそれを口走ってしまった。
そして、それが更なる地獄への扉を開けてしまったことに、マサオは気付く。
けれども、実際に理不尽な目にあっていたことで、その遠因であるのが桃華であるのも事実だ。
だから、精神が限界を迎えたマサオはそれを口走ってしまった。
そして、それが更なる地獄への扉を開けてしまったことに、マサオは気付く。
「許さねぇ……エスターを殺したそいつを、おれが殺してやる!!」
リンリンの怒りは、きっと上書きをする為の物だろう。
彼女は幼いが馬鹿ではない。本当は心の奥底、深層的な部分では全ての真実を察してはいる。
だが認めない。それを認めてしまえば───だから、敵がいる。
彼女は幼いが馬鹿ではない。本当は心の奥底、深層的な部分では全ての真実を察してはいる。
だが認めない。それを認めてしまえば───だから、敵がいる。
「あ、いや……ちが」
違う。違うと言え。
これは本当に、ここで勇気を出して否定をしないと取り返しがつかなくなる。
だから、勇気を出して───。
これは本当に、ここで勇気を出して否定をしないと取り返しがつかなくなる。
だから、勇気を出して───。
「マサオ。おまえ…その、ももかって奴の事知ってるんだよね? 全部話せよ」
「え、ゃ、ぁ……」
「でないと、名前なんか知ってる訳ないだろ? おれに、嘘吐く気?」
リンリンの放つ声は幼い少女の愚直で無知なものではなく、大海賊ビッグマムの片鱗を垣間見せた。
マサオの勇気など塵芥のように散らされてて行く。
もう無理だ。一度言葉にして声に出した以上、引き返す事ができない。
マサオの勇気など塵芥のように散らされてて行く。
もう無理だ。一度言葉にして声に出した以上、引き返す事ができない。
「ぁ、の……おんなのこ、で、ぇ……しゃ…えいっていう……おとこのこと、ォ……」
しゃくりを上げて、ろくに回らない活舌で必死に喋る。
今も同行してるであろう写影のことまで口にして。
話さなくても良い事と、そうでない事の区別すらつかない程にマサオの精神は崩壊寸前だった。
今も同行してるであろう写影のことまで口にして。
話さなくても良い事と、そうでない事の区別すらつかない程にマサオの精神は崩壊寸前だった。
「───へえ、桃華と写影だね? おれ、そいつらの名前、覚えたよ」
【E-5/1日目/早朝】
【佐藤マサオ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:精神疲労(限界寸前)、失意の庭の影響?、ナルトを追い詰めるという確固たる意志、エスターを犠牲にした罪悪感とトラウマ(極大)、
リンリンへの恐怖(極大)、桃華への憎しみ(逆恨みの自覚アリ)
[装備]:モンスター・リプレイス(シフトチェンジ)(24時間使用不可)&不明カード×4@遊戯王DM&5D's
[道具]:基本支給品、グルメテーブルかけ@ドラえもん(故障寸前)
[思考・状況]基本方針:生きて帰りたい。
1:赤ちゃんを殺したあの怪物は許さない、絶対に追い詰める。エスターの言う通りナルトの横に居た子も絶対に追い詰める。
2:何だよ皆おにぎりおにぎりって…!
3:桃華さん……せ、聖母だ……!出来たら結婚し(ry
4:写影さんや桃華さんが…リンリンに……どうしよう。
5:エスターを……。
[備考]
※デス13の暗示によってマニッシュ・ボーイの下手人であるナルトを追い詰めるという意志が発生しています。
※自分を襲った赤ん坊に与する矛盾には暗示によって気づかない様になっています。
[状態]:精神疲労(限界寸前)、失意の庭の影響?、ナルトを追い詰めるという確固たる意志、エスターを犠牲にした罪悪感とトラウマ(極大)、
リンリンへの恐怖(極大)、桃華への憎しみ(逆恨みの自覚アリ)
[装備]:モンスター・リプレイス(シフトチェンジ)(24時間使用不可)&不明カード×4@遊戯王DM&5D's
[道具]:基本支給品、グルメテーブルかけ@ドラえもん(故障寸前)
[思考・状況]基本方針:生きて帰りたい。
1:赤ちゃんを殺したあの怪物は許さない、絶対に追い詰める。エスターの言う通りナルトの横に居た子も絶対に追い詰める。
2:何だよ皆おにぎりおにぎりって…!
3:桃華さん……せ、聖母だ……!出来たら結婚し(ry
4:写影さんや桃華さんが…リンリンに……どうしよう。
5:エスターを……。
[備考]
※デス13の暗示によってマニッシュ・ボーイの下手人であるナルトを追い詰めるという意志が発生しています。
※自分を襲った赤ん坊に与する矛盾には暗示によって気づかない様になっています。
【シャーロット・リンリン(幼少期)@ONE PIECE】
[状態]健康、満腹、思いきりハサミの影響。エスターを亡くした強い悲しみと怒り、桃華への憎悪(極大)
[装備]なし、
[道具]基本支給品ランダム支給品1、ニンフの羽@そらのおとしもの(現地調達)、エリスの置き手紙@無職転生、首輪探知機@オリジナル、エスターの首輪(腹の中)
スミス&ウェッソン M36@現実、思いきりハサミ@ドラえもん、エスターのランダム支給品0~1
[思考・状況]基本方針:喧嘩(殺し合い)を止める。
1:喧嘩をしてる人を見付けたら仲良くさせる。悪い奴は反省させる
2:他の人を探して仲間(ともだち)にする。マサオは親分として守ってやる。
3:ナルト本人と、ナルトと共にいた男の子は懲らしめて反省させる。
4:出来れば乃亜とも友だちになりたいなぁ。
5:この手紙を書いたエリスって娘にはお説教が必要かなぁ? いるかどうかわからないけど。
6:もしルーデウスって子にあったらちゃんと伝えておかないと、じゃないとちょっと可哀想。こっちもいるかどうかわからないけど。
7:エスターを殺した桃華と写影、訳の分からない事を言うシュライバーは殺す。
[備考]
※原作86巻でマザー達が消えた直後からの参戦です。
※ソルソルの能力は何故か使えます。
※思いきりハサミの影響で、エスター達に一定の距離を取るようになっています。
※粗削りですが、徐々に覇気を使いこなしてきています。覇王色の覇気は制限により、意識を奪うのは不可能です。
[状態]健康、満腹、思いきりハサミの影響。エスターを亡くした強い悲しみと怒り、桃華への憎悪(極大)
[装備]なし、
[道具]基本支給品ランダム支給品1、ニンフの羽@そらのおとしもの(現地調達)、エリスの置き手紙@無職転生、首輪探知機@オリジナル、エスターの首輪(腹の中)
スミス&ウェッソン M36@現実、思いきりハサミ@ドラえもん、エスターのランダム支給品0~1
[思考・状況]基本方針:喧嘩(殺し合い)を止める。
1:喧嘩をしてる人を見付けたら仲良くさせる。悪い奴は反省させる
2:他の人を探して仲間(ともだち)にする。マサオは親分として守ってやる。
3:ナルト本人と、ナルトと共にいた男の子は懲らしめて反省させる。
4:出来れば乃亜とも友だちになりたいなぁ。
5:この手紙を書いたエリスって娘にはお説教が必要かなぁ? いるかどうかわからないけど。
6:もしルーデウスって子にあったらちゃんと伝えておかないと、じゃないとちょっと可哀想。こっちもいるかどうかわからないけど。
7:エスターを殺した桃華と写影、訳の分からない事を言うシュライバーは殺す。
[備考]
※原作86巻でマザー達が消えた直後からの参戦です。
※ソルソルの能力は何故か使えます。
※思いきりハサミの影響で、エスター達に一定の距離を取るようになっています。
※粗削りですが、徐々に覇気を使いこなしてきています。覇王色の覇気は制限により、意識を奪うのは不可能です。
【モンスター・リプレイス(シフトチェンジ)@遊戯王デュエルモンスターズ】
佐藤マサオに支給された5枚のカードの内の一つ。
参加者二人の位置を入れ替える魔法カード。罠カードにもなるらしい。
一度の使用で24時間再使用不可。
余談だが、原作ではシフトチェンジという名前で迷宮兄弟戦での遊戯&城之内タッグのフィニッシャーに繋げたカード。
アニメでも活躍は同じだが、カード名等が変更されている。
後にシフトチェンジ名義で、OCG効果になったこのカードを遊戯が使用する場面もある。
佐藤マサオに支給された5枚のカードの内の一つ。
参加者二人の位置を入れ替える魔法カード。罠カードにもなるらしい。
一度の使用で24時間再使用不可。
余談だが、原作ではシフトチェンジという名前で迷宮兄弟戦での遊戯&城之内タッグのフィニッシャーに繋げたカード。
アニメでも活躍は同じだが、カード名等が変更されている。
後にシフトチェンジ名義で、OCG効果になったこのカードを遊戯が使用する場面もある。
【グルメテーブルかけ@ドラえもん】
佐藤マサオに支給、どんな食べ物も出てくるテーブルかけ。
お菓子の家も食べ物扱いとする。乃亜の調整により、故障寸前で支給されている。
佐藤マサオに支給、どんな食べ物も出てくるテーブルかけ。
お菓子の家も食べ物扱いとする。乃亜の調整により、故障寸前で支給されている。
「畜生、畜生ォ!!」
リンリンから遠ざかり、落ち着けた場所まできたコナンは掌を強く握りしめて、己の行いを悔いていた。
エスターという少女、彼女を目の前でみすみす死なせてしまったこと。
それもあんな最悪の形で。
魔神王のそれに匹敵する悍ましい光景だが、今はそんな嫌悪感より何もできない自分が恨めしかった。
エスターという少女、彼女を目の前でみすみす死なせてしまったこと。
それもあんな最悪の形で。
魔神王のそれに匹敵する悍ましい光景だが、今はそんな嫌悪感より何もできない自分が恨めしかった。
「……コナン、あの娘は」
「分かってるよ…間違いなく、殺し合いに乗っている。マサオも脅されて、だから身代わりにしたんだ。
だけど…犯罪者だろうと、探偵が死なせていい理由になんかならねえんだよ」
だけど…犯罪者だろうと、探偵が死なせていい理由になんかならねえんだよ」
如何なる犯罪者も生きて罪を償わせる。それがコナンの信条であり、曲げられない信念だ。
「お前の考えは間違ってない。だが、リンリンにもそれを通すのか?」
「なんだと?」
「シュライバーもだ。あいつらを、ぶち込める牢屋が何処にある」
「なんだと?」
「シュライバーもだ。あいつらを、ぶち込める牢屋が何処にある」
エスターまでなら、雄二も配慮はする。だがリンリンやシュライバーは無理だ。
あれを人として換算するべきではない。
あれを人として換算するべきではない。
「鏡で見た人食いの女も…あの電撃使いの銀髪も……思い出せないが、マヤを殺した奴も。
そいつらを縛れる法なんて、何処にあるんだ?」
そいつらを縛れる法なんて、何処にあるんだ?」
「じゃあ、殺せって言うのか!?」
「必要なら、そうするしかない」
雄二も自分が強者側の参加者であるという自負が心の何処かであった。
仮にもヒース・オスロの元で実戦を積み、日下部麻子から戦闘技術も叩き込まれている。
人を撃つ際の嘔吐を加味しても、易々と後れを取りはしないと。
だが違う。この場に呼ばれた連中は子供だ。駄々をこねて我儘で愚直な子供だ。
その子供の幼稚さを貫けてしまう。大人になる事を拒絶し、子供のまま厄災を振り撒ける強さを兼ね備えた者が多数を占めている。
仮にもヒース・オスロの元で実戦を積み、日下部麻子から戦闘技術も叩き込まれている。
人を撃つ際の嘔吐を加味しても、易々と後れを取りはしないと。
だが違う。この場に呼ばれた連中は子供だ。駄々をこねて我儘で愚直な子供だ。
その子供の幼稚さを貫けてしまう。大人になる事を拒絶し、子供のまま厄災を振り撒ける強さを兼ね備えた者が多数を占めている。
「ただ、強いだけじゃない。マヤを殺した女みたいに、人の記憶にだって干渉も出来るんだ。
俺達が手加減とか考えるような次元じゃないんだよ」
俺達が手加減とか考えるような次元じゃないんだよ」
「それが乃亜の狙い通りなんだろうが! あいつらはオレ達を殺し合わせる為に───」
「お前に殺せとは言わない。でも、無謀な不殺の為に自分を殺そうとするな」
「だが、リンリンは悪人じゃねえ! 理屈は分からねえが……あれは」
恐らく発作的なものだ。
通常の人間とはことなる習性であり、食欲がトリガーとなって暴走してしまう。
マザーというのも、きっとそれに巻き込まれた事で。
だが、だからこそ止めなくてはならない筈だ。
彼女本人は悪人ではないのだから。
生きて、罪を償わせるべきだ。
通常の人間とはことなる習性であり、食欲がトリガーとなって暴走してしまう。
マザーというのも、きっとそれに巻き込まれた事で。
だが、だからこそ止めなくてはならない筈だ。
彼女本人は悪人ではないのだから。
生きて、罪を償わせるべきだ。
「あれは、初めてじゃない。きっと…またやる」
「雄二?」
「あの娘を…救う方法は……」
リンリンが話したマザーという人物の事は知らない。
でも、それが雄二にとっての麻子のような神にも等しい人物なのは察することが出来た。
そして察したからこそ、彼女はもう手遅れなのだと雄二は深く理解する。
自らが手を掛けたというその事実は、リンリンにとっては耐えがたいもの。
直視すれば壊れて、きっとより多くを殺す。逃避しても逃げ延びた先で同じ過ちを繰り返す。
雄二は麻子が居たから、オスロに刷り込まれた「殺人マシン」としての性格を抑え込めた。
壊れる寸前だった心身を回復させた。
彼女が居なければ、もっと大勢の人間を殺していただろう。
麻子と会う前の雄二であれば、マヤもコナンもニケとおじゃる丸も水銀燈も自分がこの手で殺していたと確信できる。
理由なんか必要としない。機械として淡々と殺すだけだ。
でも、それが雄二にとっての麻子のような神にも等しい人物なのは察することが出来た。
そして察したからこそ、彼女はもう手遅れなのだと雄二は深く理解する。
自らが手を掛けたというその事実は、リンリンにとっては耐えがたいもの。
直視すれば壊れて、きっとより多くを殺す。逃避しても逃げ延びた先で同じ過ちを繰り返す。
雄二は麻子が居たから、オスロに刷り込まれた「殺人マシン」としての性格を抑え込めた。
壊れる寸前だった心身を回復させた。
彼女が居なければ、もっと大勢の人間を殺していただろう。
麻子と会う前の雄二であれば、マヤもコナンもニケとおじゃる丸も水銀燈も自分がこの手で殺していたと確信できる。
理由なんか必要としない。機械として淡々と殺すだけだ。
逆に言えば、麻子が居ない雄二の姿がリンリンなのだろう。
食欲というトリガーを刺激されることで、それを満たすだけの効率の良いモンスターになる。
善も悪もなく腹を満たそうと本能のままに動くのは、ある意味で虫に近いかもしれない。
善も悪もなく腹を満たそうと本能のままに動くのは、ある意味で虫に近いかもしれない。
そんな相手とどうやって対話して、しかも災害のような強さを持つ相手を武力的に制圧させる方法など雄二には思いつかない。
「救えるとしたら、マザーって人だけだ。
俺達に、その代わりになんてなれると思うか?」
俺達に、その代わりになんてなれると思うか?」
なれっこない。
もしそれが麻子なら、きっと…誰かが代わりになんて考えることも出来ない。
もしそれが麻子なら、きっと…誰かが代わりになんて考えることも出来ない。
「オレは探偵なんだ……どんな理由があっても、人を死なせる訳にはいかねえんだよ」
論理的な答えなど放棄した発言であり決意であった。
交わすべき議論を避け、自分の主張だけを通している。
交わすべき議論を避け、自分の主張だけを通している。
「……これ以上の議論は平行線だな」
コナンの過去に何かあったのだろう。
探偵として、救えない誰かが居たのだろうと思う。
だから、その誰かを亡くした後悔を背負って、他の全てを拾上げようとしている。
それは否定すべきではない。
探偵として、救えない誰かが居たのだろうと思う。
だから、その誰かを亡くした後悔を背負って、他の全てを拾上げようとしている。
それは否定すべきではない。
(お前はお前で誰かを救い上げればいい……必要な引き金は俺が引いてやる)
心の奥底で決心する。
もうこれ以上、マヤのような犠牲は出さない為に。
他人の為になら、迷わず引き金を引く事を。
いずれそれは、コナンとの決定的な亀裂と対立を意味する。
この探偵を名乗る聡明な少年の目を盗んで、引き金を引き続ける事など出来ないのは雄二にも分かる。
だが、構わない。
雄二が5人を救う。そしてコナンならば、その間により大勢を救えるだろう。
その為なら、いくらでも引き金を引こう。
もうこれ以上、マヤのような犠牲は出さない為に。
他人の為になら、迷わず引き金を引く事を。
いずれそれは、コナンとの決定的な亀裂と対立を意味する。
この探偵を名乗る聡明な少年の目を盗んで、引き金を引き続ける事など出来ないのは雄二にも分かる。
だが、構わない。
雄二が5人を救う。そしてコナンならば、その間により大勢を救えるだろう。
その為なら、いくらでも引き金を引こう。
【E-5/1日目/早朝】
【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ(アニメ版)】
[状態]:疲労(大)、精神的なダメージ(極大)、リンリンに対しての共感
[装備]:浪漫砲台パンプキン(一定時間使用不可)@アカメが斬る!、グロック17@現実
[道具]:基本支給品×2、斬月@BLEACH(破面編以前の始解を常時維持)、マヤのランダム支給品0~2、マヤの首輪
[思考・状況]基本方針:5人救い、ここを抜け出す
1:コナンに同行しつつ、万が一の場合は自分が引き金を引く。
2:可能であればマーダーも無力化で済ませたいが、リンリンのような強者相手では……。
[備考]
※参戦時期は迷宮~楽園の少年時代からです
※ 割戦隊の五人はマーダー同士の衝突で死亡したと考えてます
※卍解は使えません。虚化を始めとする一護の能力も使用不可です。
※斬月は重すぎて、思うように振うことが出来ません。一応、凄い集中して膨大な体力を消費して、刀を振り下ろす事が出来れば、月牙天衝は撃てます。
[状態]:疲労(大)、精神的なダメージ(極大)、リンリンに対しての共感
[装備]:浪漫砲台パンプキン(一定時間使用不可)@アカメが斬る!、グロック17@現実
[道具]:基本支給品×2、斬月@BLEACH(破面編以前の始解を常時維持)、マヤのランダム支給品0~2、マヤの首輪
[思考・状況]基本方針:5人救い、ここを抜け出す
1:コナンに同行しつつ、万が一の場合は自分が引き金を引く。
2:可能であればマーダーも無力化で済ませたいが、リンリンのような強者相手では……。
[備考]
※参戦時期は迷宮~楽園の少年時代からです
※ 割戦隊の五人はマーダー同士の衝突で死亡したと考えてます
※卍解は使えません。虚化を始めとする一護の能力も使用不可です。
※斬月は重すぎて、思うように振うことが出来ません。一応、凄い集中して膨大な体力を消費して、刀を振り下ろす事が出来れば、月牙天衝は撃てます。
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:疲労(大)、人喰いの少女(魔神王)に恐怖(大)と警戒
[装備]:キック力増強シューズ@名探偵コナン、伸縮サスペンダー@名探偵コナン
[道具]:基本支給品、真実の鏡@ロードス島伝説
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、乃亜を捕まえる
1:仲間達を探す。
2:乃亜や、首輪の情報を集める。(首輪のベースはプラーミャの作成した爆弾だと推測)
3:魔神王について、他参加者に警戒を呼び掛ける。
4:リンリンや他のマーダー連中を止める方法を探し、誰も死なせない。
5:マサオやカニ(ハンディ様)も探す。
[備考]
※ハロウィンの花嫁は経験済みです。
※真実の鏡は一時間使用不能です。
※魔神王の能力を、脳を食べてその記憶を読む事であると推測しました。
[状態]:疲労(大)、人喰いの少女(魔神王)に恐怖(大)と警戒
[装備]:キック力増強シューズ@名探偵コナン、伸縮サスペンダー@名探偵コナン
[道具]:基本支給品、真実の鏡@ロードス島伝説
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、乃亜を捕まえる
1:仲間達を探す。
2:乃亜や、首輪の情報を集める。(首輪のベースはプラーミャの作成した爆弾だと推測)
3:魔神王について、他参加者に警戒を呼び掛ける。
4:リンリンや他のマーダー連中を止める方法を探し、誰も死なせない。
5:マサオやカニ(ハンディ様)も探す。
[備考]
※ハロウィンの花嫁は経験済みです。
※真実の鏡は一時間使用不能です。
※魔神王の能力を、脳を食べてその記憶を読む事であると推測しました。
ジョーーーー ドボドボドボ ブリブリ
「ひいいいいいいいいいい、化け物ォ!!」
小便と大便を撒き散らしながら、ハンディ・ハンディは必死に走っていた。
「乃亜のクソガキィ! あんなの寄越すなら、もうちょっと強い武器くれても良いじゃない!! 依怙贔屓よォ! バーカ!」
それからしばらく走り、荒げた息を整えながらハンディ・ハンディはランドセルを下ろした。
中から変異種が5匹出てくる。
マサオから強奪した時は、20匹は居たのだ。それが一瞬で5匹にまで間引きされて、餌にされてしまった。
しかも、邪鬼ならまだしもただの馬鹿でかい人間にだ。
中から変異種が5匹出てくる。
マサオから強奪した時は、20匹は居たのだ。それが一瞬で5匹にまで間引きされて、餌にされてしまった。
しかも、邪鬼ならまだしもただの馬鹿でかい人間にだ。
「冗談じゃないわ。乃亜の奴、私を優勝させる気ないわね。馬鹿でしょアイツ…ほんと馬鹿」
とても正攻法で優勝できる殺し合いではない。
「……ただ、数は減ったけどこの子達を拾えたのは運がいいわ」
だがハンディ・ハンディにも強みがある。
藁にも縋るような矮小な強みだが、飛び道具に関してはミサイル規模で泣ければ変異種達で対応できるのだ。
仮にもウォルフガング・シュライバーと鉢合わせて、掠り傷一つ負わなかったその防御性能だけは信じられる。
無論、近接戦はからっきしではあるが、それをカバーできる強力な参加者に取り入る事が出来れば話は変わってくる。
藁にも縋るような矮小な強みだが、飛び道具に関してはミサイル規模で泣ければ変異種達で対応できるのだ。
仮にもウォルフガング・シュライバーと鉢合わせて、掠り傷一つ負わなかったその防御性能だけは信じられる。
無論、近接戦はからっきしではあるが、それをカバーできる強力な参加者に取り入る事が出来れば話は変わってくる。
「リンリンもコントロールできれば悪くはないわ。でも……」
あの食に対する異様さは、同じ人食いのハンディ・ハンディからしても一線を画す。
そもそも共食いじゃない気持ち悪いわね。そう毒づきながら、だがマサオが手にした奇妙な道具を思い出した。
そもそも共食いじゃない気持ち悪いわね。そう毒づきながら、だがマサオが手にした奇妙な道具を思い出した。
「あれから、食べ物を出していたわね。上手に使えばコントロールできるかしら」
例えば、敵側にお菓子の家を出してリンリンを誘導すれば、食べられるのは当然のその傍に居る敵となる。
あの発作も利用次第では兵器になるかもしれない。
あの発作も利用次第では兵器になるかもしれない。
「……だけど、あんま近づきたくないわね。
私、乙女だもの」
私、乙女だもの」
そうと決まれば話は早い。
ハンディ・ハンディを守って貰える対主催かマーダーを探すのだ。
愛らしさには自信がある。
人形も第三弾まで作られているのだ。この容姿は武器になる。
こびり付いた血を拭きとって、身なりを奇麗にすれば信用を勝ち取れるだろう。
ハンディ・ハンディを守って貰える対主催かマーダーを探すのだ。
愛らしさには自信がある。
人形も第三弾まで作られているのだ。この容姿は武器になる。
こびり付いた血を拭きとって、身なりを奇麗にすれば信用を勝ち取れるだろう。
「イヒヒヒヒ……出来れば良い男に守って貰いたいわね」
チンゲの返り血と小便と大便を奇麗にしなくては
ハンディ・ハンディはシャワーを求めて歩み出した。
ハンディ・ハンディはシャワーを求めて歩み出した。
【E-5/1日目/早朝】
【ハンディ・ハンディ(拷問野郎またはお手手野郎)@彼岸島 48日後…】
[状態]:左吉の体、ダメージ(小)、リンリンに対する恐怖(大)、失禁と脱糞
[装備]:レナの鉈@ひぐらしのなく頃に、対ミサイル型の変異種×5@彼岸島 48日後…
[道具]:基本支給品一式、ランダム品0~2
[思考・状況]
基本方針:優勝するわよ。
1:いずれ、ルーデウスとさくらは楽しんで殺してやるわ。
2:ストレス解消にもっと人間を食べたいわね。
3:飛び道具の防御には自信があるわ。だから、マーダーでも対主催でも良いから前衛を探すのよ。
4:リンリンも利用できそうだけど、怖いわ。
5:乃亜、あいつほんとバカ。死ね。
[備考]
※蟲の王撃破以降、左吉の肉体を奪って以降からの参戦です。
※生首状態になった場合、胴体から離れる前に首輪が起爆し死亡します。
※変異種は新たに作れないよう制限されています。
※こいつの血を摂取しても、吸血鬼にはならないよう制限されています。
※対ミサイル型の変異種はハンディ・ハンディしか操れません。
そして、ハンディ・ハンディが死ねば死にます(後の原作と矛盾した場合、ロワ内の制限ということにします)。
[状態]:左吉の体、ダメージ(小)、リンリンに対する恐怖(大)、失禁と脱糞
[装備]:レナの鉈@ひぐらしのなく頃に、対ミサイル型の変異種×5@彼岸島 48日後…
[道具]:基本支給品一式、ランダム品0~2
[思考・状況]
基本方針:優勝するわよ。
1:いずれ、ルーデウスとさくらは楽しんで殺してやるわ。
2:ストレス解消にもっと人間を食べたいわね。
3:飛び道具の防御には自信があるわ。だから、マーダーでも対主催でも良いから前衛を探すのよ。
4:リンリンも利用できそうだけど、怖いわ。
5:乃亜、あいつほんとバカ。死ね。
[備考]
※蟲の王撃破以降、左吉の肉体を奪って以降からの参戦です。
※生首状態になった場合、胴体から離れる前に首輪が起爆し死亡します。
※変異種は新たに作れないよう制限されています。
※こいつの血を摂取しても、吸血鬼にはならないよう制限されています。
※対ミサイル型の変異種はハンディ・ハンディしか操れません。
そして、ハンディ・ハンディが死ねば死にます(後の原作と矛盾した場合、ロワ内の制限ということにします)。
【対ミサイル型の変異種@彼岸島 48日後…】
佐藤マサオに支給後、ハンディ・ハンディが強奪。
血の楽園を守護する変異種であり、ハンディ・ハンデから生まれたらしい。
国連のミサイルを食べ、体内で爆破されてもケロッとしており、飛び道具には強い。
反面、脱走した際には豹丸にあっさり捕まるなど、近接戦はそこまで強くないと思われる。
佐藤マサオに支給後、ハンディ・ハンディが強奪。
血の楽園を守護する変異種であり、ハンディ・ハンデから生まれたらしい。
国連のミサイルを食べ、体内で爆破されてもケロッとしており、飛び道具には強い。
反面、脱走した際には豹丸にあっさり捕まるなど、近接戦はそこまで強くないと思われる。
063:愛ほど歪んだ呪いは無い | 投下順に読む | 065:館越え |
時系列順に読む | ||
050:Everyday Level Up!! | 江戸川コナン | 075:緋色の研究 |
風見雄二 | ||
038:バケモンにはバケモンをぶつけるのよ | 佐藤マサオ | 080:暴発 |
シャーロット・リンリン(幼少期) | ||
エスター | GAME OVER | |
001:壊れた幻想 | ウォルフガング・シュライバー | 068:愛さえ知らずに |
027:ハンディ×ハンディ | ハンディ・ハンディ | 080:暴発 |