ダンゲロスSS上海
人生で最も不幸で幸運な日
最終更新:
dangerousss_shanghai
-
view
「ど、どうしよう……」
場所は上海の路地裏。
黒ずくめの男たち数人がなにかを囲むように銃を突き立てている。
その真ん中にいるのが大戦持A子、ボサボサのロングの黒髪の後ろに手をまわし正座の姿勢で目を泳がせている。
黒ずくめの男たち数人がなにかを囲むように銃を突き立てている。
その真ん中にいるのが大戦持A子、ボサボサのロングの黒髪の後ろに手をまわし正座の姿勢で目を泳がせている。
こんなことになっているのは2日前の事。
________________
「A子、明日上海へ行け」
そう部屋に入って言ったのは大戦持A子の祖父大戦持α人。
「ひぃ、な、なんですかおじい様!」
ベットの上で漫画を読んでいたA子は飛びあがる。
「働くことも修行もせずいつも部屋で漫画やアニメばかり! それでも大戦持のものか!」
α人は怒り心頭のようだった、A子は怯んだ様子でベットで縮こまっている。
「そ、そんな急に言われましてもなんで上海なんかに」
「上海で大きな祭事があるらしてくてなそこに輸送されてくる『清王朝のダイヤ』ってのを護衛してほしいと知り合いの警察から大戦持のものを一人出してくれないかと言われてな」
「だ、だったらR美やD平でもいいでしょう。わざわざ私が行かなくても……」
R美とD平は妹と弟である。
「まだ学生じゃろう! その妹弟を出す他力本願! 精神道がなっとらん!」
健全な精神には健全な肉体が宿る。
精神を鍛えれば自ずと肉体は強くなるという精神の元行われる武道。
精神の強さ、心の強さこそ精神道の心髄。
「19にもなってまだ奇襲術 の一つもできないとは」
鍛えられた精神によって瞬時に肉体の能力を向上させる。
大戦持一族にしか使えない相伝の技であるが、実際は魔人能力であり一族全員同じような能力を持つ魔人一家である。
ただ大戦持はこれを魔人能力とは認識しておらず、技術だと思い込んでいる。
この技を用いて大戦持は道場や探偵、用心棒、はたまた裏の課業で忍者なんかもやっている武闘派一族なのだ。
ただA子はこの
「わ、わたしも頑張ってるんですよ……これでもイメージトレーニングだけは毎日欠かしたことありませんし……」
目も合わせず段々小声になっていくA子。
「カーッ! そんな言い訳はお前が中学の時からずっとではないか! 安心せい警察も何人かいるしただの警備のことだから難しくないだろう、それ早く支度をせい任務は祭りの間の10日間、資金は2週間分渡しておく、終わったら観光でもしてから帰って来い!」
「そ、そんなー!!」
次の日の朝、A子を乗せた飛行機は上海へ飛んだ。
________________
上海へ到着したA子は現地の人にビルに案内され明日の警備の段取りと日時を聞いた。
ダイヤの警備と聞き四六時中監視するものと思っていたA子だったが役割は末端の末端、ダイヤの輸送されてくるビルの周りを20名ほどで侵入してくる不審な人物を入れさせない程度の任務だった。もちろんビルの中はその数十倍の人数が控えている。
今思えば祖父がA子のためにコネを使い無理にねじ込んだ仕事だったのかもしれない。
ダイヤの警備と聞き四六時中監視するものと思っていたA子だったが役割は末端の末端、ダイヤの輸送されてくるビルの周りを20名ほどで侵入してくる不審な人物を入れさせない程度の任務だった。もちろんビルの中はその数十倍の人数が控えている。
今思えば祖父がA子のためにコネを使い無理にねじ込んだ仕事だったのかもしれない。
夜には話を終え安宿に泊まり明日は早朝の警備担当を任されたので早く寝床についた。
寝坊した。
集合は早朝4時だったのだがもう8時。絶望的な遅刻だ部屋が明るい。
しかしA子はむしろ落ち着いていた、スマホをゆっくりと置きドブ川色にくすんだ目を閉じる。
諦めたのだ。
昨日まで行こうと思ったが時計を見た瞬間にその思いも消え失せた、本当に昨日まではあったのだ行けたら行こうという気持ちが。
A子が行かなくても人員は足りてるしダイヤの警備なんかわざわざ自分がしなくてもいい、いて何の役に立つのだろう、もういっそのこと後の2週間遊んで暮らそう祭りみたいだし、家族には申し訳なさそうに謝ればいいし無理な話だったのだいきなり海外で警備なんて、そんな考えのをしながらゆっくりと布団から出たA子は顔を洗いテレビを付けた。
しかしA子はむしろ落ち着いていた、スマホをゆっくりと置きドブ川色にくすんだ目を閉じる。
諦めたのだ。
昨日まで行こうと思ったが時計を見た瞬間にその思いも消え失せた、本当に昨日まではあったのだ行けたら行こうという気持ちが。
A子が行かなくても人員は足りてるしダイヤの警備なんかわざわざ自分がしなくてもいい、いて何の役に立つのだろう、もういっそのこと後の2週間遊んで暮らそう祭りみたいだし、家族には申し訳なさそうに謝ればいいし無理な話だったのだいきなり海外で警備なんて、そんな考えのをしながらゆっくりと布団から出たA子は顔を洗いテレビを付けた。
「ん、ん~!?」
テレビにはA子が警備する予定であったビルが写っておりテロップには【清王朝のダイヤ盗まれる】とデカデカと書いてあった、黒い服を来た男がマイクを手に取りこう言った。
「魔幇の清王朝のダイヤが盗まれた! ボスから命令だ! 誰でもいいダイヤを探し出せ! 犯人の首とともに持ち帰った者には、何でも望む褒美を与えよう! 失敗すれば、死あるのみ!」
そして映し出されたのは今日同じ任務にあたるはずだった警官たちと黒い服の男たちの姿、全員惨たらしく死んでいる。
「ひ、ひっ!」
顔を青くしてA子は映像を見ると急いで黒いぴっちりスーツを着てその上に青いジャージを羽織り、玄関から急いで空港に走った。
「か、帰る! 絶対帰る!」
荷物も置いてお金だけ持って必死に走った、数年ぶりの全速力。全力疾走。
路地裏に差し掛かったところで何かに躓いた。
A子は盛大に転び顔を上げる。
周りには黒い服を来た男たちが数人A子を取り囲むようにぞろぞろと出てきた。
路地裏に差し掛かったところで何かに躓いた。
A子は盛大に転び顔を上げる。
周りには黒い服を来た男たちが数人A子を取り囲むようにぞろぞろと出てきた。
________________
現在。
「警備リストに載ってる顔と一致するな、お前で最後だ」
真正面で銃を突き立ている男がめくられた紙束を目にしながら言った。
「お前らのせいでダイヤが盗まれて俺たちにもとばっちりだ、ダイヤは持ってなさそうだな、めんどくせえ」
探さねえといけねーかーと周りの男の声が聞こえた。
「ゆ、ゆるしてくさしぇ」
「そうはいかねぇよマフィアのメンツがある、仕事を増やしやがって」
「わ、わたしマフィア絡みなんてし、知らなくて、か、帰らせてくだすぇぬ」
正座のまま、震えながら言うA子その目には涙が止まらない。後悔のみ。
「じゃあな」
男が手を挙げて周りに発砲の合図をしようとする。
A子はドブ川色にくすんだ目を閉じた。
________________
A子は死地にいる。
A子はものぐさだった、やる気なし、自信なし、意気地なし、自堕落な生活をしている。
小学生の頃は神童とも呼ばれるほどの輝かしい人物だったが、中学、高校と時が流れる中で失敗が重なりとうとう今の状態になるまで意気消沈してしまった。
小学生の頃は神童とも呼ばれるほどの輝かしい人物だったが、中学、高校と時が流れる中で失敗が重なりとうとう今の状態になるまで意気消沈してしまった。
失敗だらけの人生だった。
死ぬのだろうか、A子は人生で死を考えたことは何度もある、このまま無気力な人生、このまま生き続けるもどうなんだろう事故で死んでしまったらそれはそれで仕方ないだろうしょうがないだろうな、と考えていた。
今まさにその死に際、A子は死を受け入れるだろうか。
今まさにその死に際、A子は死を受け入れるだろうか。
否。
A子は死にたくない。
読み終えてない漫画、追っているアニメ、発売が楽しみのゲーム、押入れに隠して少しずつ食べてる高級クッキー、ベット下の誰にも言えない秘密、感謝も謝罪も別れも告げていない家族。
死ねない理由など探せばいくらでもある。
死にたくない。
読み終えてない漫画、追っているアニメ、発売が楽しみのゲーム、押入れに隠して少しずつ食べてる高級クッキー、ベット下の誰にも言えない秘密、感謝も謝罪も別れも告げていない家族。
死ねない理由など探せばいくらでもある。
死にたくない。
生きたい。とにかく生きたい。
心に火が灯るの感じた。漲る。
A子は目を開けた。
魔人覚醒。
________________
「『精神道 奇襲術 』【加速】」
全力疾走。アクセル全開。
黒服が発砲する瞬間にとてつもない速さで路地裏を駆けるA子。
黒服が発砲する瞬間にとてつもない速さで路地裏を駆けるA子。
弾を避けられた黒服は目で追うがA子はもう角を曲がり追いつけない。
A子は逃げ出した。
________________
【加速】を終え人気のない場所まで走って来た。
今日警備にあたるはずだったビルが少し先に見える。
今日警備にあたるはずだったビルが少し先に見える。
「は、はぁはぁ、で、できた、わ、わたしにも、ふ、ふへへ、へへ、へ」
数秒ほどの【加速】初めてA子は精神道 奇襲術 を行った、魔人になったのだ。
ただA子は魔人になった認識はない、精神道の技術であるという認識だ。
「こ、これからど、どうしよう」
ただA子は魔人になった認識はない、精神道の技術であるという認識だ。
「こ、これからど、どうしよう」
息を整えたA子は思いだす黒服はリストを持っていた、マフィアたちには顔が割れているので出会った瞬間に追われるだろう、最悪だ。
となると空港や船なども張られているだろう、実質上海からの脱出は不可能。
となると空港や船なども張られているだろう、実質上海からの脱出は不可能。
少し考えてみるA子、結果。
それしかない。
「へ、へへ、へへへへへ」
笑うしかない。
無理に決まっている。
犯人を見つけたとしても警備の人たちを何人も殺せるほどの人物、しかもそいつからダイヤを奪わないといけない、そんなの出来っこない殺される。
ならばどこかに隠れよう、ほとぼり冷めるまで息を潜めよう。
そうしよう。
そう決めたA子は隠れそうな場所を探すため歩き出そうとしたとき。
無理に決まっている。
犯人を見つけたとしても警備の人たちを何人も殺せるほどの人物、しかもそいつからダイヤを奪わないといけない、そんなの出来っこない殺される。
ならばどこかに隠れよう、ほとぼり冷めるまで息を潜めよう。
そうしよう。
そう決めたA子は隠れそうな場所を探すため歩き出そうとしたとき。
「お嬢さん、リストの人ですな」
A子は見つかったと走り出そうとしたが話掛けてくる方を見て動きを止めた。
それが喋る亀だったからではない。
「吾輩をボスの所まで届けてくれませんかな」
亀の甲羅がキラキラ輝くダイヤモンドで出来ていたからだ。