だから笑ってなんかあげるものですか!

発言者:ナーキッド
対象者:スィリオス

ナーキッドが心の底から苛立つ(したう)兄へ面と向かって初めて向けた宣戦布告(親愛の情)

己の真実を取り戻したスィリオス。
かつて自分を苛立たせて擦り切れさせた目障り(大好き)な状態となった兄は、演者の業に囚われる自分を救済しようと喧嘩を挑んできた。
しかしスィリオスは不殺を貫くだけでなく隙を晒した妹に貼り手の一つすらくれてやらない。
兄として妹の我がままをすべて受け止める構えなのか、ならば望み通りに演じよう。
だから、殺す気でやった。なのに……怯えた顔で伸ばされた手が宙を泳ぐ。
それは自分が成した所業に、そんなつもりじゃなかったと慌てているかのようだった。

「心配するな」、その兄の言葉にナーキッドは胸に形容不可能なむかつきが、わけも分からぬまま膨らんでいく。
けれども、宣言通り耐えた兄にほっと胸を撫で下ろすような表情も見せた。
私は壊れてしまったのかと、ナーキッドは狼狽する。空の心にノイズが走り、演じるべき姿が揺らいで脚本の方向性を見失っていく。

「お兄様はそうやって、私に人の幸せとやらを与えようとしてくださる。この不出来な妹を見捨てずに、新しい世界へ導いてくれると言うのでしょう?」
「ええご立派ですわ、涙が出ます。きっとそこは平凡だけど暖かく、失敗しても取り返せて、悪く言えば退屈なのかもしれませんが、真っ直ぐ立てる場所なのでしょう。あなたの趣味はよく知っていますから、些細な愛が不変の(カミ)になるのだと分かります」

だけど――とナーキッドは呟いて、激しく拒絶するようにかぶりを振った。
それは、愛する者を犠牲にして成り立つ平和への憎悪と、それに殉じる愛する者への怒りのようで――

「私を救えば次の誰か。それが終わればまた別の誰か。すべてを包むまでお兄様は歩き続け、果てに“みんな”のものとなる。そんな大団円は嫌いです!

私は何をもって勝利を定義すればよいのかと――答えがここに紡がれていく。
それは、自分自身こそが兄にとってのはじまり、唯一無二であるという自負。
詰まる所、無自覚に兄の事を心の底から好きだと宣戦布告と共に告げている。

「私がお兄様にとって“みんな”の一人になるくらいなら、ずっと縛り付けます。放さない。だから笑ってなんかあげるものですか!」

己の正義を然りと宣し、兄を思う少女は一気に捲し立てた――



  • つまるところ超ブラコンの妹が兄大好きを拗らせてるお話 -- 名無しさん (2022-06-19 14:01:59)
  • 「兄妹なんだから遠慮するな。存分に俺を困らせても良いんだぞ?」→(妹の長年溜まってた悲喜交々)→「落ち着け。んな一遍に処理できん…」民の名前を一人一人正確に覚えてきたスィリオスにとってもナーキッドの悩みは等しく貴重で、だからこそ真剣に解決したいって事なんだろうな。真剣だけに -- 名無しさん (2022-06-19 14:16:51)
  • 獣殿と似て非なるというか根底はごく普通の家族愛隣人愛なんで覇道神なのに凄い地道になるのも当然というか -- 名無しさん (2022-06-19 14:26:58)
  • 初見の時に得られた栄養素を最近のFGOのトラオムの最後でも得られたな -- 名無しさん (2022-06-19 14:44:08)
  • 長くて項目名のセリフが埋もれている上に、単に前後のシーン移しているだけで、セリフの解説になっていない。短くてもいいから、せめて丸写しだけでもやめてほしいなあ。 -- 名無しさん (2022-06-19 16:00:34)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2025年06月11日 07:57
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。