【機体解説】
地球連邦軍の試作型モビルスーツ。
アナハイム・エレクトロニクス社のガンダム開発計画で作られた試作機の内の一機。
「
ステイメン」のコードネームを持つコアとなるMSと「アームドベース・オーキス」という大型の武器庫で構成され、2つが合体することで「ガンダム・デンドロビウム(ガンダム試作3号機)」という巨大モビルスーツとなる。
モビルアーマーの圧倒的な制圧力と、モビルスーツの小回りの効きを活かした至近距離での白兵戦対応能力を併せ持つことを目的に開発された。
また、初めて完全な形で「全天周囲モニター・リニアシート」を採用している。
ステイメンの腰部に設置されたテールバインダーを介してオーキスとドッキングし、火器管制と機体制御を行う。
艦艇並みの推力を発生させる6基の大型スラスターの機動力をもって前線に突入、メガ・ビーム砲をはじめコンテナに搭載された多数のミサイルや爆導索などを発射する姿は「機動弾薬庫」とでも形容すべき威圧感がある。
その戦闘能力はMS1個大隊にも匹敵、当時における最大最強の機動兵器である。
しかし、それらの武器管制システムは非常に複雑であり、パイロットにかなりの負担がかかるため、特定の処方による投薬すら推奨されており、そのためパイロットはかなり厳しく選定される。
また、あまりの大きさのため母艦内に収容することはできず、補給や整備は宇宙空間での曳航中に船外作業で行わなくてはならないなど整備性は劣悪で、通常のMSの100倍ともいわれる莫大な運用コストも相俟った上、「ガンダム開発計画」そのものが闇に葬られたこともあり、そのノウハウが次世代に引き継がれることはなかった。
ただ、MSとMAという本来運用方法が異なる二つの形態を制御するための新開発のOSは、後の可変MSの開発に大きな影響を与えた。
なお、デンドロビウムはラン科セッコク属の花で「わがままな美女」という花言葉を持ち、オーキスは野生のランを意味する。
【武装】
ウェポン・コンテナ
オーキスの上部に1基ずつ取り付けられる巨大なコンテナ。
コンテナ内には三角柱形のスロットを8基ずつ搭載し、規格化されたさまざまな種類の武装やステイメン用の携行武装を収納する。
爆導索
スロットに収納される射出式のワイヤー状の爆弾。
本来は機雷原を突破する為の物だが、シーマ艦隊の
ムサイ級を絡め取って撃沈する用途で使用された。
マイクロ・ミサイル
スロットに収納されるミサイルポッドから発射される小型ミサイル。
1面あたり36発、計108発もの弾幕を形成する。
また、同形状のミサイルポッドがY字状に展開し、機体後方にマイクロミサイルをばら撒く「後方迎撃ミサイル」も存在している。
大型集束ミサイル
3発が束ねられてスロットに収納される大型ミサイル。
束ねた状態で発射後に分離して目標を追尾する。
離脱用フレア
スロットに収納される目眩し用の兵装。
膨大な量の可視光線、赤外線や電波などを放出し、敵の探査機器を短時間使用不能にする。
大型ビーム・サーベル
オーキス下部の2基のクロー・アームに1基ずつ内蔵されている対艦用の高出力ビーム・サーベル。
クロー・アームで挟んで保持して使用する。
ムサイ級の艦橋をすれ違いざまに両断する程の威力を持つ。
メガ・ビーム砲
オーキスの右側面に装備される全長90mの大型ビーム砲。
基部からコントロール・グリップが展開し、ステイメンに握らせて使用する。
当時の戦艦の主砲と同等以上の威力を持ち、掠っただけでもムサイ級の砲塔が融解し、ザンジバルII級リリー・マルレーンは一撃で轟沈した。
Iフィールド・ジェネレーター
オーキスの左側面に装備されるビーム防御用兵装。
機体に内蔵できるほどの小型化ができなかったため、外付けする形になっている。
【原作の活躍】
デラーズ・フリートのコロニー落としを防ぐ為に
アルビオン隊が半ば奪取に近い形で受領し、コウ・ウラキの乗機としてデンドロビウムの凄まじい火力で文字通り一騎当千の活躍を見せる。
ガトーと相対した際、最初はビーム兵器メインのノイエ・ジール相手に有利に戦うが、Iフィールド発生装置が外部に露出していたこともあり、有線クロー・アームで握り潰されてからは劣勢となり、コロニーの阻止限界点突破を許してしまった。
最終的にはソーラ・システムIIの照射を受けオーキスが大破した。
【搭乗者】
コウ・ウラキ
CV:堀川 りょう
地球連邦宇宙軍第3地球軌道艦隊アルビオン隊の士官。
星の屑の真の狙いがコロニー落としにあると知って、
ラビアンローズに寄港した際に強引に
ガンダム試作3号機を受領し、なんとしてもコロニー落としの阻止を誓う。
試作3号機の特異なシステムを使いこなし多数のデラーズ・フリートの機体及び連邦軍へと反逆した事実上味方のシーマ艦隊の機体を撃破していく。
一度補給に帰還した際にはどういったものかは不明だが薬物投与を行っており、それだけ負担のかかる機体である事を感じさせた。
しかし彼の奮戦虚しく、コロニー落としは阻止限界点を突破してしまい、物理的に完全破壊しない限り落着する事が確定してしまう。
その後のガトーとの決戦を行うも敗北直前にソーラ・システムIIが作動し、オーキス、連邦軍、デラーズ軍、ノイエ・ジールに多大なダメージを与え…。
【原作台詞】
- 「何のために、バニング大尉は死んだんだ…! ケリィさんも…!」
- シーマ艦隊との共闘の命令に反発するコウ。
- 劇場版「ジオンの残光」では二人の死亡シーンがカットされているため別の台詞に差し替えられている。
- 「貴様等がぁぁぁ!!」
- 友軍でありながらもバニング大尉を死に追いやったシーマ艦隊に対して怒りの攻撃をぶつけるコウ。
- 「待っていたのか、俺の為に…」
- 阻止限界点を越えて落下が止められなくなったコロニーから脱出したコウだったが、そこにいたのは宿敵ガトーの乗るノイエ・ジールだった。因縁に決着をつけるべく、二人の最後の戦いが始まる。
【VS.シリーズの活躍】
ガンダムVSガンダム
Gクロスオーバーとして登場、通過系のGCOだが先にビームとミサイルが出てその後デンドロビウムが突入するので、ただの通過系のGCOと比べると若干優秀。
また、ウェポン・コンテナがガンダム試作3号機の武装として登場している。
ガンダムVSガンダムNEXT PLUS
ボス機体として登場。
メガ・ビーム砲、大型ビーム・サーベル、2丁バズーカ、さらに原作でやったビーム砲突きによるゼロ距離射撃とメチャクチャぶりがいっぱいである。
ただ持っていそうな照射ビームを持っていなく、他の攻撃も全体的に原作と違い攻撃力は控えめとなっている。
格闘さえなければそう難しくなく、つまり射撃というよりは格闘タイプのボスであり、そのリーチの長い格闘はそう簡単には逃れられない。
撃破すると脱出して強化された3号機と戦闘…という事も特に無い。
EXVS.MB
ボスとしてNEXT PLUS以来の登場。
ダメージを負うに連れてIフィールド、右側のコンテナが壊れて無くなる。
ストライクフリーダムやジャスティスの
ミーティアみたいに分離することはない。
NEXTではしつこいくらいやってきたゼロ距離ビーム砲も健在で、3号機の覚醒技のようにオーキスのビームサーベルで切り上げてからメガ・ビーム砲を接射する。
GVS
ボスとして登場。
性能に変化はないが、部位破壊が設定されたため、Iフィールド発生装置とミサイルコンテナをロックできるようになった。
この他にも出現時にガトーへの特殊台詞が追加されている。
EXVS.2 XB
久しぶりにボスとして復活、立ち絵が新規になっている(カットインはマキオンと同じ)。
Iフィールドがオミットされ、ヒットストップが追加されるなど、MBON、GVSと比べてかなり弱体化がなされている。
但し、ダメージ蓄積によるコンテナ消失がオミットされるという地味な強化点もあった。
ボス単体としては丁寧に処理できるレベルではあるが、高難易度コースらしくルーチンは高めで機動力もやや高く、油断はならない。
EXVS.2 OB
マキオンのようにヒットストップが削除された。
【その他の活躍】
ガンダムEVOLVE
劇中では描写されなかったシーンや
MSVのシーン再現などをフルCGで描かれるこの作品ではステイメン単体およびデンドロビウムの戦闘描写が存在する。
ガンダム試作1号機と
ガンダム試作2号機が相打ちとなってからアルビオンが
ラビアンローズへと到着する間のことであり、パイロットはコウではない。
内容は試作1号機、試作2号機の相打ち後、デラーズ・フリートのアナハイムへの接収部隊をガンダム試作3号機を用いて撃退するというものである。
このシーンからステイメンの二丁バズーカ、デンドロビウムのステップ回避のモーションがVSシリーズで採用された。
ステイメンは本編に登場した機体以外に、Pスペックと呼ばれる
コア・ファイターを内蔵した機体が存在しており、こちらは
ラビアンローズ防衛時に襲撃してきたシーマ艦隊との交戦にて撃墜されている。
機動戦士ガンダム0083 REBELLION
OVAの監督による監修の漫画。
ステイメン側だけでなくオーキスの方にもパイロットが乗る仕様になっており、アニメと異なり捕虜になっていたケリィ・レズナーが紆余曲折を経てパイロットになった。
また、お馴染みのミサイル・コンテナは追加武装となっており、装着しているのを見たメカニックが「ニナはウラキを殺すつもりか」と驚愕していたほど。
また、それからさらにミサイルが追加された。
コウが一号機の爆発に巻き込まれ大量出血するも血液型が特殊なため輸血もできない…と危機に陥っていたが、撃墜せず捕虜にしたケリィの血液型が一致したため輸血を行い一命をとりとめる。
3号機を受領するのはだいたい原作通りだが、ケリィがテラーズ・フリートがナトーラのいる月にコロニーを落とす作戦を展開したと聞き強奪という形でオーキスを受領しガトーと対峙し決別。
おまけにニナもコウに胸中を明らかにしてともにガトーを倒すため結束が強くなる…と原作より安定した精神状態で最終決戦に向かうことになるが…
Another Century's Episodeシリーズ
『2』に参戦。
デンドロビウムを操作できる数少ないアクションゲームの中でも劇中でみせた急制動などの挙動も忠実に再現されており、高機動戦闘を楽しむことができる。
宇宙専用で僚機出撃不可だが、強力な各種ミサイル、戦艦の艦橋をぶった切った原作を再現した大型ビームサーベル、スラスターで制動をかけてしっかりと敵を狙い撃つメガビーム砲といった高性能な各種武装が僚機出撃不可というハンデを感じさせない。
欠点としては武装のリロードが遅い、いくら機敏に動けるとはいえ大きすぎる機体サイズによる被弾の多さ、なによりAP3000になると強制的にステイメンに換装されることだろう。
ステイメンの使用感自体は試作1号機とほぼ同等であるが、デンドロビウムで出撃していた場合僚機が居ないためかなり危険な状況となる。デンドロビウムのうちに勝負を決めてしまいたい。
地上では強制的にステイメンとなり僚機も伴って出撃することができる。
【余談】
一年戦争時代から3年少々で出来たとは思えない、脅威の性能を誇るガンダム…と言うより巨大
Gアーマーと言うべき機体で火薬庫を背負って宇宙を飛ぶガンダムとも言える。
公式見解ですらオーパーツ扱いで、
アプサラスIIおよび
アプサラスIIIと並ぶ宇宙世紀の謎機体とされている。
つまり、同年代MSの中では規格外の強さを誇るといえる。
デンドロビウム全体のプラモデルは1/144サイズでも砲身含めて1m位(逆算すれば実際は144m)になるとか…。
パーツ自体の量も凄まじく、泣きながら本機を組み立てる少年(及びオトナ)が続出したという。
一部ゲーム作品では区別を付ける為に、オーキス装備時は『ガンダム試作3号機』、素体時は『ガンダム・ステイメン』と表記されている事が多い。
VSシリーズではステイメンがメインとなっている為か、ステイメンを『ガンダム試作3号機』、デンドロビウムを『ガンダム試作3号機 デンドロビウム』と表記されている。
最終更新:2024年09月18日 23:43