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  • 浪人一代男

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浪人一代男

最終更新:2020年01月03日 19:51

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浪人一代男
山本周五郎


【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)街巷《がいこう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)又|馬鹿者《ばかもの》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定]
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数)
(例)※[#「王+干」、第3水準1-87-83]


[#3字下げ]祭の街巷《がいこう》[#「祭の街巷」は大見出し]

[#5字下げ]一[#「一」は中見出し]

「よい根附《ねつけ》だね……十両はふめる[#「ふめる」に傍点]」
「どれで――?」
「彼処《あすこ》へ行く三人連れの侍、右の端さ」
 芝《しば》神明《しんめい》さまの宵祭《よいまつり》で、街並に花笠《はながさ》を飾り、軒の提燈《ちょうちん》に灯《ひ》のはいったところ、揃《そろ》い浴衣《ゆかた》の男たちや、美しく着飾った娘たちで、織るような雑沓《ざっとう》のなかを、三人の武士が七軒町から神明通りへ出ようとしている――そのあとを跟《つ》けている二人連れの男女があった。
 女は洗髪《あらいがみ》に黒っぽい縮緬《ちりめん》の単物《ひとえもの》、白博多の帯を伊達《だて》にぐいとさげて締めた阿婉《あだ》っぽい風俗、ちょいと見ると囲者《かこいもの》といった感じだ。伴《つ》れの男は二十七、八であろうか、結城《ゆうき》木綿の千筋《せんすじ》を着て寸のつまった帯、つっかけ草履《ぞうり》で、男振りこそぱっとしないが何処《どこ》にも隙《すき》のない容子《ようす》恰好《かっこう》――まあ近所の職人というところである。
「なるほど、翡翠《ひすい》ですね」
「琅※[#「王+干」、第3水準1-87-83]色《ろうかんいろ》の五分玉―――でも、おまえには無理な相手さ」
 と女が唇《くちびる》で笑った。
「やって見せましょうか」
「とち[#「とち」に傍点]ると首がとぶよ」
 若者はにやりとして、ついと足を早めた。
 侍たちは四辺《あたり》構わぬ大声で何か話しながら行く――神明さまの祭りだ、二本差に威張られて堪《たま》るかと云《い》う風に、勢いかかる者もあるが、侍たちの顔を見極めるとたんにこそこそ避けて行くところをみると、この三人連れ相当に名が通っているらしい。
 例の若者は鼻唄《はなうた》をうたいながら、侍たちの右側を前へ追抜こうとして、とんと軽く肩を当てる。
「おっと御免なすって……」。
 云いながらすり抜けようとする、とたんに右端にいた侍が体を捻《ひね》ったと見ると、腰の印籠《いんろう》へかけた若者の手を、いつ抜いたか小柄《こづか》で――ぶつりと突止めていた。早業である。
「あっ痛※[#感嘆符二つ、1-8-75]」
 若者は咄嗟《とっさ》に手を外そうとしたが、突止めた小柄は骨に通ってびくともしない、――侍は見向きもせずに話を続けながら大股《おおまた》に歩いて行く。若者は突止められた己の手に引摺《ひきず》られるように歯を喰《く》いしばったまま五六間、
「だ、旦那《だんな》……」
 ついに音をあげた。
「お慈悲でございます、若《も》し――旦那」
「どうした」
 伴れの侍が振返った。
「ふっふふふ、巾着切《きんちゃくき》りだ」
「ええ?」
「拙者の印籠を狙《ねら》いおったで、ちょいと悪戯《いたずら》をしてやったところだ」
「それは又|馬鹿者《ばかもの》だな、柚木《ゆのき》道場の髭大倉《ひげおおくら》を狙うとは、駈出《かけだ》し者にしても眼《め》が利《き》かな過ぎるぞ。どれ面《つら》を見せろ」
 覗《のぞ》き込もうとする刹那《せつな》!
「――畜生――」と喚《わめ》いて、若者が左足を髭大倉の内股へ入れた。油断をしていた隙だから、
「あっ!」
 だっ[#「だっ」に傍点]と躓《つまず》く、そこへ隙《す》かさず体当りをくれたと思うと、若者は燕《つばめ》のように跳んで、
「さんぴん、抜いたぞ」
 血だらけの右手に、高く印籠を振って見せると、身を翻《ひるがえ》して逃げようとした。然《しか》しその背へ、髭大倉が小柄をとり直して今にも手裏剣《しゅりけん》を打とうとする気配、
「危ねえ!」
 と感じて、鼠《ねずみ》のように背を跼《かが》めて二三間走ると、若者は向うからくる一人の浪人の背後へ、
「お助け下さいまし」と素早く廻《まわ》り込んだ。
 ――この騒ぎに驚いた群衆は、どっと左右へ崩れ散ったが、いま若者が隠れた浪人の姿を見るなり、
「や、業平浪人《なりひらろうにん》だ」
「新銭座《しんせんざ》の色男が出た、こいつあ面白《おもしれ》え」
「業平浪人だ、見ろ見ろ」
 にと俄《にわか》にどよめきながら、遠巻にぐるりと人垣《ひとがき》を造った。
 業平浪人と云われる男は年の頃《ころ》二十五、六か、色の飽くまで白い、眉目《びもく》秀《ひい》でたすばらしい美男、痩形《やせがた》の五尺六七寸はあろうという体に、黒無地紋付の帷子《かたびら》、蝋色鞘《ろいろざや》の大剣を落し差しにして雪駄《せった》穿《ば》き――慄《ふる》える若者を背に庇《かば》って、やや反身に立った姿は、あっぱれ五段目の定九郎というところである。
 三人の武士が追いついて来た。

[#5字下げ]二[#「二」は中見出し]

「そこを退《の》かれい」
 髭大倉が先《ま》ず声をかけた。
「何か御用か」
 浪人は眉《まゆ》も動かさなかった。
「貴公の知った事ではない、退かれい!」
「厭《いや》だ」
「――な、なに厭だ?」
 髭大倉が髭を喰いそらした。
「其奴《そやつ》は巾着切りで、拙者の印籠を盗み取った奴だが、貴公それを承知で庇う気か」
「巾着切り……?」
 浪人は訝《いぶか》しそうに振返った。
「貴様、掏摸《すり》か」
「へえ、仲間の意地でこの印籠を狙いましたが、抜いてしまえば用済み、彼方《あちら》へお返し申しますからどうかお助けを」
 他と差出す手を見た。
「その手をどうした?」
「こいつへ手を掛けたとたんに、彼方が小柄でお突止めなすったので」
 若者が手短かに話すのを聞くと、浪人はにやりと微笑して、
「そうか、そんならその印籠は貴様の物だ、その方|納《しま》って早く逃げろ」
「へえ……宜《い》いのですかい?」
「後は引受けた、行け」
 顎《あご》をしゃくられて掏摸の若者は、ぱっと群衆の中へとび込んでしまった。
「や、逃がしたな!」
 髭大倉が踏出すはな[#「はな」に傍点]を、
「待て待て」
 と浪人が遮《さえぎ》った。
「この勝負は貴公の負だよ。高の知れた巾着切り、頬桁《ほおげた》の一つも張って遣《や》れば済むものを、生兵法《なまびょうほう》で手を突止めるなどという無慈悲な事をするからこんな始末になる、――宜いかの、手を突止めた以上は腕と腕の勝負だ、あの掏摸が突止められた手で見事に印籠を抜いたとすれば、つまり勝負に勝った訳ではないか、この理屈はお分りであろう、ふふふふふ」
「よ――う業平浪人大当り」
「新銭座の親玉あ、確《しっか》り頼みます」
 群衆は大悦《おおよろこ》びである。――然《しか》し髭大倉はじめ三人の武士は怒った、いや本当に怒った。互《たがい》に眼配せをすると、三人はさっと左右へひらく、髭大倉が一歩出て、
「素浪人、生兵法を見せるぞ」
 喚くのと同時に、腰を落して居合抜きに一刀、胴へ斬込《きりこ》んできた。
「心得た!」
 浪人は大きく右へ体をひらいて躱《かわ》す、刹那! 左右の二人が抜きつれて詰寄るのを、退きでもする事か、逆に出てくるところへ跳込んだと思うと、だだだ、二三度もつれて、
「や、えい、そら――※[#感嘆符二つ、1-8-75]」
 鋭い掛声が響く、と見る間に、髭大倉は横さまにすっ飛んで倒れ、一人は犬のように這《は》い、一人は仰向《あおむき》に頭で地面を叩《たた》いていた。
「わあ――日本一……」
「やんや、やんや」
 群衆はわっとどよめき立った。
 浪人は呼吸も変えず倒れた三人を見下していたが、向うから町役人の走って来るのを見ると、さっと裾《すそ》の塵《ちり》をはたいて、足早に神明通りの方へ、――わっわと集《たか》って来る群衆から遁《のが》れるように立去っていった。
 さっきからの騒ぎを、群衆のなかにいて凝《じっ》と見ていたもう一人の武士がいた。
 旅支度をして笠で顔を隠しているが、年はもう若くはない、――この武士は、浪人の後を見え隠れに跟けて行ったが、新銭座へかかるところで小走りに追いつき、
「失礼ながら御意を得たい」
 と声を掛けた。
 ――浪人が足を止めて振返ると、いきなり笠を脱《と》って、
「ああ矢張り津村|氏《うじ》であったか、拙者|深井孫七《ふかいまごしち》でござる、宜《よ》うこそ御健固で――」
 嬉《うれ》しそうに腰を跼《かが》めるのを、冷やかに見やった浪人は、挨拶《あいさつ》を返そうともせずに行きかかる。――旅の武士は慌《あわ》てて、
「あ、暫《しばら》くお待ち下さい、この度の出府には、貴殿にあって是非ともお願い申さねばならぬ事がござる」
「聞かぬ、聞きとうない」
 浪人は鋭く遮った。
「太田原《おおたわら》藩とは三年以前に縁が切れている、今は天涯《てんがい》無禄《むろく》の津村三九馬《つむらみくま》、貴公に物を頼まれる覚えはない」
「でもござろうが御家の大事にて」
「諄《くど》い、――」
 ぴしりと言葉を叩きつけて、浪人三九馬は大股に横丁へ歩み去った。
 新銭座も端《はず》れに近い裏店《うらだな》、路地の片側は桑山備後守《くわやまびんごのかみ》の下屋敷の高い塀《へい》で日ざしの悪い割にはからりと乾いた一|劃《かく》――俗に藁店《わらだな》と呼ばれている長屋のひと間が津村三九馬の侘住居《わびずまい》であった。

[#3字下げ]浮世唄[#「浮世唄」は大見出し]

[#5字下げ]一[#「一」は中見出し]

「折角持って来たんですもの、お重ねなさいましな」「もう充分に酔った」
「あんな事|仰云《おっしゃ》って、些《ち》っともお色に出ていないじゃございませんか」
 女は嬌《なま》めかしく身をひねった。
 神明祭の夜、例の若い掏摸《すり》と組んでいた女である。あの明る日、手土産を持って礼に来てから、三日にあげず酒肴《しゅこう》持参で通う、――ひどい執心ぶりなのだ。
「こんな婆《ばあ》さんのお酌《しゃく》では御酒も美味《おい》しくはござんすまい」
「元来酒は美味《うま》いものではない」
「御挨拶ですこと、美味くないものをどうして召上ります? 業平浪人の五升酒と近所の評判を知っていますよ」
「うるさいな」
 三九馬はごろりと横になった。自ら「白狐《びゃっこ》のお紋」と名乗る女|白浪《しらなみ》――こんな女の押しつけがましい振舞酒にも、容易《たや》く酔える今の身の上、五升酒の業平浪人などと呼ばれて、まさに一介の市井無頼《しせいぶらい》に堕しつつある事を思うと、三年前の己の姿は、早くも手の届かぬ夢の彼方《かなた》に遠のいて行く。
「まさに行雲《こううん》――流水《りゅうすい》だなあ」
 三九馬は眼を閉じて低く呟《つぶや》いた。
 下野《しもつけ》国太田原藩で物頭《ものがしら》五百石を取っていた津村壮兵衛《つむらそうべえ》が、三九馬の父であった。――藩主|太田原信敏《おおたわらのぶとし》は暗愚の質で、当時五万四千石の藩政は国家老《くにがろう》谷沢曹太夫《たにざわそうだゆう》が一手に切り盛りしていた。
 事件の起ったのはちょうど三年前のことであった。信敏は世継がなく、不二緒《ふじお》という娘一人であった為《ため》、縁辺に当たる足利《あしかが》藩戸田釆女正《とだうねめのしょう》の三男竜之助を、不二緒の婿《むこ》として迎える事になった。――ところで国家老谷沢曹太夫は、早くから己の一子|仙太郎《せんたろう》を、主家の世継に篏込《はめこ》もうという野心をもっていたから、裏には竜之助の入婿を決定しながら秘《ひそ》かに奸策《かんさく》を弄《ろう》し始めたのである。
 元来曹太夫の家は藩主の外戚《がいせき》に当っていたので、こんな時にはひどく都合が宜い、巧みに同志を語らって婚約破談の密謀を進めた。――その第一着手として、
「不二緒は藩中の若者と私通している」
 という噂《うわさ》を足利藩へ触れ込んだ。
 足利藩でも捨て置けぬので、それとなく様子を探りに人を寄こしたが、これこそ曹太夫のつけ目であった。彼はこの探索を仰々しく信敏に告げて、
「いやしくも五万四千石の領主の姫に、藩臣と私通したなどと云う評判を立てて探索を入れるなどと申すは奇怪至極――かかる侮辱をこうむってまで足利藩よりお世継を迎える必要はございますまい」
 と言葉巧みに唆《そそ》のかした。
 素《もと》より暗愚の信敏である。曹太夫の舌先三寸に丸められて危うく破談を申入れようとした。この時津村壮兵衛が起《た》ったのである。――壮兵衛は破談の事を待って貰《もら》って急遽《きゅうきょ》足利藩に赴き、噂の根源を突止めると、果然それが谷沢曹太夫の糸を引いている事を知った。そこで早々帰藩したうえ、百方《ひゃっぽう》奔命に努めたが……既に曹太夫の術策固く成った後で、どうにも事態収拾の道が無い。万途尽きた結果、壮兵衛は家も名も抛《なげう》って必死の挙に出た。
「足利藩へ悪評を放ったのは自分である。伜《せがれ》三九馬は姫君と乳兄妹《ちきょうだい》にて、あわよくば彼をお世継に進めんと計り、不逞《ふてい》の流言を触れて足利藩との御縁組を破ろうとしたのである。然し事の成り難《がた》きを知って自分は自決するから、どうか竜之助様との御縁組は相違なく取進められたい」
 そう云う遺言と、別に君側《くんそく》の奸《かん》を諷《ふう》した一書を残して自殺した。
 曹太夫の策謀の裏を掻《か》き、みずから悪名を負って諫死《かんし》したのだ。――事情を知る者は壮兵衛の苦衷《くちゅう》を察したが、曹太夫は飽くまで奸黠《かんかつ》に立廻り、信敏をして壮兵衛の死体に改めて刑死を命ぜしめたうえ、遺族二名、妻かな[#「かな」に傍点]女と一子三九馬を下司払《げすばら》いに放逐した。
「何と云う馬鹿げた事だ」
 三九馬は嚇怒《かくど》した。
「殿の暗愚もさる事だが、家中《かちゅう》誰《だれ》一人として正邪を糺《ただ》す者無く、易々《いい》として曹太夫の前に這っている態《ざま》――諫死した者の死体に改めて刑殺を命じ、遺族を犬のように放逐するなど……父は何のために死んだのだ」
 考えると実に馬鹿みたいな話である――それでも一度は、父の遺志を継いで曹太夫を刺殺しようと思わぬでもなかったが、信敏の愚さ、家中の馬鹿者|揃《ぞろ》いを考えると、今更そんな事をしたところで、結局|泥棒《どろぼう》に追銭だと云う気がして、此方《こちら》から見限《みき》りをつけて太田原藩を立退いたのである。
 江戸へ出てから三年、そのあいだに母を亡《な》くした。――母は父の死から受けた痛手と自分が乳をあげた不二緒姫の身上を気遣うのと、二つの心労に耐えられず江戸へ出て来て半年あまりの内に死んでしまったのであった。

[#5字下げ]二[#「二」は中見出し]

「母が死んで二年余日」
 三九馬は水のような哀傷が、胸いっぱいに溢《あふ》れるのを感じた。
「あれから身を持ち崩して、道場破りはする、賭《か》け仕合はする、博奕場《ばくちば》出入りまでする境涯《きょうがい》――我ながら変ったなあ」
「ねえ、先生……」
 お紋は手酌で飲んでいたが、仰向に寝転んだままいつまでも黙っている三九馬の容子を見ると、ほんのりと酔ってきた勢いも手伝って、焦《じ》れったそうに身をすり寄せた。
「あたし独りこんなに酔わせて、知らぬ顔の半兵衛は罪じゃありませんか、ねえ――」
「うるさいな、己《おれ》は眠いのだ」
「お紋も眠くなりましたわ」
「そんなら帰って寝るが宜《い》い」
「こんな気にさせて置いて、帰って寝ろは邪険でしょう――少しは可哀想《かわいそう》と思召《おぼしめ》せ」
 お紋は阿婉《あだ》っぽく片膝《かたひじ》をついて、上気した眼を恍惚《こうこつ》と男の横顔へやりながら、やるせ無げに熱い吐息をもらした。
「十六の年に嫁に行って五年、亭主《ていしゅ》に死なれたあと子供もなく、ひょんな機《はず》みから女白浪にまで落魄《おちぶ》れたけれど―――体だけは汚さずに来た。二十七の今日まで、すっかり男の味を忘れていたのに……神明さまの祭の晩、先生の伊達《だて》なお姿を見たとたんに、自分でも呆《あき》れるくらい初心《うぶ》な気になってしまった――ねえ先生、お紋をお側《そば》に置いて下さいましな」
「侍崩れに女白浪――宜い相棒かも知れぬ、ははは」
 三九馬は空《うつ》ろに笑った。
 笑いながら、ふいと不二緒の俤《おもかげ》がうかんできた。母がお乳人《めのと》にあがった縁で、幼い頃には遊びの相手もした、――成人してからは「太田原の耀夜姫《かぐやひめ》」と評判される美人になったが、幼い時分にも綺麗《きれい》で、少年三九馬の眼にさえ眩《まぶ》しいくらいにうつったものである。
「……三九馬は女のようねえ」
 そう云って、あどけなく振仰ぎながら、お庭の隅《すみ》で折取った椿《つばき》の花を一輪、三九馬の髪へ背伸びをしながら挿《さ》し、
「あら、よく似合うこと……」
 と鈴のように眼を瞠《みは》ったことがある。――それも遠い幻の今は、今は……?
「ああ!」
 三九馬は、がば[#「がば」に傍点]と起上った。
「酒をくれ、酔が醒《さ》めた」
「まあ、どうなさいましたの、急に――」
「酔いたい、骨の髄まで酔わしてくれ」
「お酔いになったら口説きますよ」
 お紋は銚子《ちょうし》を持ってすり寄った。膝《ひざ》が紊《みだ》れて、白い下の物が嬌《なま》めかしく畳を舐《な》める。三九馬はたて続けに、もう冷えている酒を呷《あお》りつけた。
「お紋にもお合《あい》をさせて……」
 と肩を凭《もた》れかけようとした時、
「御免――」と門口へ訪う声がした。
「何誰《どなた》だ」
「御主人に御意を得たい」
 三九馬は盃《さかずき》を措《お》いて起《た》った。出てみると門口に二人の武士が立っている。その一人は意外にも神明祭の夜会った髭大倉だ。
「や、矢張り此方《こちら》でござったか」
 髭大倉は三九馬を見ると愛想笑いをして、
「過日は御無礼|仕《つかまつ》った。拙者は愛宕下《あたごした》柚木道場の大倉太平と申します。何卒《なにとぞ》御別懇《ごべっこん》に」
「手前は和田兵助と申します」
 二人とも厭《いや》に叮嚀《ていねい》だ。
「何ぞ御用か」
 三九馬はにこりともしない。
「実は、いやその、実は、過日の有様を師匠柚木久右衛門が見ていた由《よし》で、全くもって拙者共の無思慮と、あれから甚《はなは》だお叱《しか》りを蒙《こうむ》った訳でござるが、ついては師匠より改めてお詫びも申上げ、また別に御相談申上げたい件もあるとの事で――是非道場へお運び下さるようにと、お願いに参った次第でござるが」
 恐る恐る云うのを聞くと、三九馬は初めて唇に冷笑を浮かべた。
「如何《いかが》でござろうか――?」
「参ろう」
 此奴等《こいつら》――誘《おび》き出して仕返しをする気だな、と早くも察したが知らぬ顔でうなずいた。
「御承知下さるか、それはかたじけない」
「されば手前共が御案内を申上げましょう」
 二人はほっとした様子で、御意の変らぬうちにと促す。
「支度をして参る、暫時《しばらく》」
 と三九馬は戻《もど》って帯を緊《し》め直し、愛剣|郷《ごう》ノ義弘《よしひろ》二尺八寸を取上げた。
「先生危い。このあいだの奴でしょう?」
 お紋が気遣わしげに止めようとするのを、三九馬は見向きもせずに出た。
「いざ参ろうか」
 と伴れ立って去る。――お紋は捨て置けずとばかり、これも後から色を変えて外へ……。

[#5字下げ]三[#「三」は中見出し]

 いやどうも大変な饗応《きょうおう》である。柚木道場の奥の広間に、贅《ぜい》を尽した酒肴の支度がしてあって、髭大倉をはじめ若干の門人たちが下へも置かぬ接待、三九馬は拒みもせずに盃の満をひいていた。――すると、暫《しばら》くして四十四、五になる赫顔《あからがお》の、髪を総髪にした武士が出て来て、
「宜《よ》うこそ御入来、拙者当道場の主、柚木久右衛門と申す。過日は門弟共が……」
 と慇懃《いんぎん》に挨拶《あいさつ》するのを三九馬はさえぎって、
「いや固苦しい挨拶は御免蒙りたい。折角|御馳走《ごちそう》の酒がまずくなる――それよりお近付きに一|盞《さん》参ろう」
「これは痛み入る、然らば御意に任せて」
 たくましい体をずいと寄せて盃を受けた。家での酒で下地があるから、三九馬はもうかなり酔っている。
 久右衛門はそれを見ると、側にいる門人たちに座を外せと合図をした。
「失礼ながら」
 二人きりになるのを待兼ねて、柚木久右衛門は盃を置いて切出した。
「実はちと御相談がござる」
「うん」
「先夜のお腕前を拝見仕って、是非とも御助力を仰ぎたいと存じたのでござるが。――あけすけにお話し申す、百金お儲《もう》けなさらぬか」
「金百両、わるくないな」
 三九馬は手酌で呷った。
「将軍家でも斬るか――?」
「冗談でなくお聞き願いたい」
 久右衛門は膝を進めた。「仔細《しさい》は申上げられぬが、或る御邸より身分高き方を密々にお伴れ出し申上げ江戸より二日路の某所まで守護して参るだけの役でござる」
「では拙者などの出る要はあるまい」
「いやそれが」
 久右衛門はごくりと唾《つば》をのんだ。
「実はその方に害心を持つ輩《やから》があって、途中如何なる妨げをするかも知れず、万一の場合に備えるためのお願いでござる」
「ふーむ。それで百金か」
 三九馬は興も無さそうに、「百金は悪くない値だが……その身分高きお方とやら云うのはどんな人物か」
「さあ、それは――」
 久右衛門が云い渋っていると、襖《ふすま》を明けて一人の立派な老武士が、
「それは拙者から申そう」
 と云いながら入って来た。三九馬はふっと振返ったが、見るなり、
「や、谷沢曹太夫」
 と云って片膝立てた。相手もその声に驚いてはたと足を止める。鋭い眼でじろり三九馬を見ると――さすがに顔色をかえた。
「津村三九馬……」
 眼と眼とが空で火花を散らす一瞬――と、不意に三九馬はどっかと尻《しり》を落して、
「わはははは」
 腹の底から笑いだした。
「こいつは大笑いだ、ふははははは。おい谷沢老随分変った対面だな。拙者はもう疾《とう》に太田原家は貴公の物だと思っていたが、まだそんなところをまごついているのか。智恵者の曹太夫にも似合わぬ、さりとは気の長い事だ、ふはははは」
「――うぬ!」
 体を揺すって笑う隙《すき》、曹太夫は耐《こら》え兼ねたか、左手に提げていた剣を、抜討ちにばっ[#「ばっ」に傍点]! と斬りつけた。
「冷水か」
 叫んで、体を捻《ひね》りざまぐいと曹太夫の利腕《ききうで》を抱え込む三九馬、すっくと立って、
「騒ぐな虫けらども!」
 と怒号する。襖の向うから踏込もうとした門人たちや、狼狽《ろうばい》する柚木久右衛門が、勢いに呑《の》まれて居竦《いすく》むのを睨《ね》めつけながら、
「よく聞けよ曹太夫、太田原家と津村の恩義は、父壮兵衛の自殺で貸借なしだ。馬鹿殿が蛙《かわず》どもの笛に乗ってどんな踊りを踊ろうと、今の三九馬には縁なき衆生――したがって又貴様の手助けをするのも真平だ。高が五万石あまりの吝臭《けちくさ》い藩でお家騒動もすさまじいが、どうせやるなら谷沢ほどの奸物、町道場のぼて振り[#「ぼて振り」に傍点]剣客など頼まずと、綺麗に乗取って見せるが宜い。この三九馬黙って見ていてやるのが何よりの助勢だ――分ったか」
 存分に罵《のの》しって、だ! と突き放す。曹太夫がよろめいて、再び斬掛る気配のないのを冷やかに見ると、――大剣を取上げて、
「ふう、これは良い具合に酔が出た、柚木先生御馳走でござったな。こういうお招きなら又お願い申すぞ、いや失礼」
 ぷうっと酒気を吐きながら、悠々《ゆうゆう》と玄関の方へ立ち去った。
 外へ出ると「――先生」と云って駈寄《かけよ》って来た――お紋。
「なんだ、お紋か」
「宜うまあ御無事で、どんなに案じたか知れません」
 嘘《うそ》ではない、丸く張った胸が高く低く波打っている。――三九馬が眼を外らして、ひょいと向うを見ると、道場の塀廻《へいまわ》り、街並の小蔭《こかげ》に無頼《やくざ》と見える男たちが十七、八人、此方を見ながら囁《ささや》き交していた。
「仲間だな?」
 お紋の思案を察して三九馬は微笑《ほほえ》んだ。
「ええ、もしもの事があったら殴込みかけようと、あたしも死ぬ積りで……ほら」
 衿《えり》を少し寛《くつろ》げて見せた。
 雪のように白い、脂《あぶら》の乗った豊かな胸へきりきりと巻いてある晒木綿《さらし》。三九馬はちらと見たが急いで外向《そむ》くと、
「お紋――金があるか」
「あい」
「彼奴らを呼んで来い、今夜は芝花屋で呑み明しとやらかそう」

[#3字下げ]雲の去来[#「雲の去来」は大見出し]

[#5字下げ]一[#「一」は中見出し]

「先生、――ねえ」
 泥《どろ》のように酔った寝覚めの耳に、お紋の声が聞え、
「お起きなさいまし、お客様ですよ」
「うーむ」と起き上ったが眼が舞う。
「水をくれ」
 お紋の掬《く》んで出す水を、二杯まで呷ると、朦朧《もうろう》たる眼を瞠《みひら》いて四辺《あたり》を見廻した。
「なんだ、芝花屋にいたのか」
 金杉浜町の「芝花屋」という料理茶屋であれから同勢呑み明し、明る日も午《ひる》さがりから酒を始めて灯《ひ》のついたまでは覚えているが、それから後は夢中だった。
「皆はどうした」
「先生のお相手をしきれる者はいません。皆|宵《よい》の内に逃げ出しちまいましたわ、――それよりもさっきからお客様が来てお待兼ねなんですよ」
「客――? どうして此処《ここ》が知れた」
「先へ帰った者が留守番をしていて、ここまで御案内をして来たんです」
「――また柚木道場の奴だろう」
 もう一杯と水を注《つ》がせていると、縁側のところへ悄悴《しょうすい》した武士が現われて、
「津村氏、御意を得ます」と声をかけた。
「誰だ――」酔眼をあげてみる。
「なんだ深井孫七か」
 神明祭の夜、新銭座の途上で会った相手だ。
「貴公なら用件は分っている、何も云わずに帰れ帰れ」
「そう仰せらるる御胸中は重々お察し申す。然し退引《のっぴき》ならぬ事情があって、是非とも御助力に与《あずか》らねばならぬ状態でござる――御尊父の事、貴殿御母子の御痛忿《ごつうふん》。いま申するも愚かながら、御主君の不明と家中一統の無能は実にお詫びの言葉もござらぬ」
「それを承知で何故《なぜ》来た?」
「津村氏?」孫七は膝をにじらせた。
「太田原藩のためとは申上げぬ、貴殿とはたしかにお兄妹におわす、不二緒姫一代の大事にござる、――お力をお藉《か》し下されい」
 不二緒の名を耳にした刹那《せつな》、三九馬の眼がきらりと光った。
「貴殿はまだ御存じあるまいが、姫には去年の夏、ふとした時疫《じえき》から眼を患《わずら》われ、いまではほとんど御失明御同様でござる」
「なに……、姫が失明したと――?」
「谷沢曹太夫め、御尊父の諫死《かんし》に依《よ》って一度は鉾《ほこ》を納めたものの、御失明同様の御身上になるや、またぞろ野心を燃やし始め――かかる不自由のおからだにて、他家より世継を迎えては、行末姫の不幸となるは必定《ひつじょう》と、……さらでもお気弱の殿を云いくるめ、足利藩へ再度の破約を申入れたのでござる」
 三九馬はごろりと仰向けに寝転んだ。――然し孫七は飽くまで説伏せずには置かぬという様子で熱心に続ける。
「拙者共も最早黙視できず、秘《ひそ》かに足利藩邸へ参って直々に竜之助様にお目通りを願い、事情をつぶさに申し上げました。――竜之助様には初めて仔細《しさい》を知られて甚《はなはだ》しく怒り、
『たとえ盲目なりとも、一旦約束を取交した以上は必ず姫と婚儀をするぞ』と仰《おお》せられ、また、
『もし何処《どこ》までも谷沢一味が邪魔するとなれば、此方から婿《むこ》にとは云わぬ、太田原五万四千石はどうなろうと、姫を当方へ引取っても夫婦になろう』との御意でござった。拙者共はそれに力を得て事態を収拾しようと計りましたが、谷沢一味は早くもこれを察知し姫の御身柄《おみがら》をいずれかへ匿《かく》まおうと云う密謀を立て、明日――夜明け前に品川の御邸よりお伴れ出し申す手筈《てはず》、然も警護には腕利きの剣客を雇入れて、途中厳重にお送り申すとの事でござる」
 孫七は言葉を切った。三九馬は聞いているかいないか、仰向になって眼を閉じたまま身動きもしない。
 ――孫七は続ける。
「明朝に迫った大事――拙者共は品川法泉寺前に待伏せて、お駕籠《かご》を奪還仕る所存でござるが……津村氏、谷沢一味には雇い剣客の外にも家中の達者|丸川糺《まるかわただす》、鴨沢藤吉《かもざわとうきち》、大村武兵衛《おおむらぶへえ》が加担して居ります。恥しながら我らのみにては到底|覚束《おぼつか》なく、御不興を押してお願いに参った――枉《ま》げて、枉げて御助勢に与りたい、津村氏!」
 声を励まして呼びかけるが、返辞はなくて、いつか微《かす》かに鼾《いびき》の音が聞えていた。
「これほどに申上げても……」
 孫七は黯然《あんぜん》と息をのんだ。

[#5字下げ]二[#「二」は中見出し]

「お風邪をひきますわ、先生」
 ふんわりと肌《はだ》の香を匂《にお》わせながら、お紋が寄添ってくるのを、三九馬は拒む様子もなく、
「ああ酔が醒《さ》めて来たようだな」
「お顔の色の悪いこと、早く帰って――ねえ先生、今夜は御介抱いたしますよ」
 芝花屋を出たのが四つ(午後十時)過ぎ、さすがに秋の潮臭い夜気は冷え、酔の醒めかかった体にしみ透《とお》るようだった。
「帰る?――ばかを云うな、金杉通りの『小村屋』でもう一晩呑み明しだぞ」
「もういけません、毒ですよ」
「毒なら酒よりもお紋の方だろう」
「そんな憎い事おっしゃると、あとでいやと云うほど毒の利目《ききめ》を御覧にいれますよ」
 お紋はつと寄って、男の脇《わき》へ手を入れると素早くぎゅっと緊めつけた。
「ばか、人が見る――」
「見なければ宜いのね」
 お紋が妖《あや》しく笑ったとき、
「えへんえへん」と咳《せき》をしながら、暗がりを通り過ぎる者があった。
 それみろ三九馬は苦笑してお紋から離れた。金杉橋から川に添って曲ろうとした時である、「酒」という提燈《ちょうちん》を出した小店の前で、二三人ごたごた揉合《もみあ》いながら、大声に罵りたてているのを認めた。その中からまだ子供らしい悲鳴さえ聞えて来る。
「何だ、どうした」
 三九馬が寄って行った。離れて見ていた男が振返って、
「お武家様どうか助けてやって下さいまし、門附《かどづけ》の小さな娘が突き当ったとかどうとかで、無頼漢《ならずもの》が二人あのように踏んだり蹴《け》ったりの有様です、可哀《かわい》そうにまあ。あ、また――」
「退《ど》け退け」
 三九馬は大股《おおまた》に歩み寄ると、今しも――地面に倒れている小娘を、足蹴にかけようとしていた奴の衿髪《えりがみ》を掴《つか》んで、
「此奴ら、生かしては置かぬぞ」
 と喚《わめ》きざま、力任せに引倒した。酔っていると見えて朽木《くちき》のように顛倒《てんとう》する。
「野郎、よくも投げやあがった、さあ殺せ」
 と大の字になって喚きたてる。伴れの奴が横から殴りかかるのを、ひっ外して、腕を逆に捻上《ねじあ》げた三九馬、ぐいぐいと居酒屋の店先へ持って行って――軒の提燈へ相手の面をつきつけながら、
「この面《つら》か、覚えて置くぞ」
 覚えて置いて再びこの附近へは寄せつけぬと云う――顔を見て相手は仰天した。
「や、業平浪人」
 と云うと捻上げられた手を振放す。
「相棒いけねえ、業平浪人だ」
「げえっ」
 びっくり跳起きると、今までの勢いは何処へやら、二人とも鼠《ねずみ》のように闇《やみ》へけし飛んでしまった。
 ――三九馬は見やりもせずに、倒れている娘を抱き起した。年は十三か四であろう。細面《ほそおもて》の、痛々しく痩《や》せて、抱き起す三九馬の手にはあまりに軽い体だった。
「悪い奴に遭ったの、もう追い払ったから安心するが宜い、どこか痛くしたか」
「有難《ありがと》う存じます、どこも痛めはしませんが、――三味線が……」
「三味線ならそこにある」
 云われて娘は、両手を前へ出しながら、足さぐりに探そうとする。
「おまえ、眼が悪いのか」
「はい」
 三九馬は、撃たれるように、痩せた小娘の顔を覓《みつ》めていたが、――側からお紋が、三味線を拾って小娘に渡すのを見ると、
「――行こう」
 不意に云って、逃げるように歩きだした。
 お紋が追いついて、
「どうなさいました」
 と訊《き》くのにも答えず、一丁あまり行った右側の小料理店「小村屋」の中へ入ると、直ぐに酒を命じて呷るように呑み始めた。
「そんな呑み方をして本当に今夜はどうかしていらっしゃるのね」
「文句を云うな」
「でも程がありますからねえ」
「止《よ》せ、おまえが人間らしい口を利くと可笑《おか》しくなる、つまらぬ事を云わずに相手をしろ、さあ――」
「まあ怖い眼!」
 凄《すご》い程|蒼白《あおざ》めた顔に眼ばかりが熱をもって光っていた。
「いやですよそんな強《きつ》いお顔をして」
「宜いから呑めと云うに」
 押しつけるように盃《さかずき》をやって、
「これが別れの盃になるかも知れぬ」
「えっ?――別れとは」
「江戸に三年。忌々《いまいま》しい世間が近過ぎる、武士の世界に愛想をつかしながら、無頼《やくざ》にも成り切れぬ――この己自身にも飽きてきた、――旅へ出る」
「そんな……先生――」
「旅へ出るのだ」

[#5字下げ]三[#「三」は中見出し]

「腐れきった世の中に何の未練があろう、――これからの一生を旅に生きて旅に死ぬのだ、汚濁の世に生きるよりは、野末にどくろを晒《さら》した方がましだ。――山も川も……ずいぶん久しく見ない」
 わたしも一緒に、口まで出かかる言葉をのんで、お紋はそっと盃をなめた。
 ――その時、この屋の軒先に、忍び音の三味線と、古風な端唄《はうた》の低唱が聞えてきた。
[#ここから2字下げ]
※[#歌記号、1-3-28]仇《あだ》し仇浪よせてはかえる浪
  浅妻舟《あづまふね》のあさましや……
[#ここで字下げ終わり]
 店の小女が祝儀《しゅうぎ》を持って出たが、すぐに引返して来て、
「あのウ、門附の娘が、お武家様へ先程のお礼に、お座興をすると申します」
 と云った。
「あの娘ですよ」
 お紋がうなずいてみせた。
[#ここから2字下げ]
※[#歌記号、1-3-28]また明日の日は誰《だれ》に枕《まくら》を交して、
  色を色を交して偽りがちなる。
       わが床のやま
 よしそれとても世の中――。
[#ここで字下げ終わり]
 三九馬は眼をとじてきいていた。
 嫋々《じょうじょう》たる哀音のなかに、ありありと浮かんでくるおもかげがある。
 幼き日の乳兄妹――不二緒の美しい顔だ。お庭の隅《すみ》であどけなく振仰ぎながら、
「三九馬は女のようねえ」
 といったひとみ、あのひとみが、今は盲《めし》いているという。
 夜のちまたに、無頼漢の無慈悲な手足でけたおされていた娘と、奸臣共の重囲のなかに身ひとつを支えかねている不二緒と、どうちがっているか?――姫もいま盲いの身で、あの小娘と同じように、谷沢一味の自由に任されようとしているではないか。
「酒を注《つ》げ、酔わぬ」
 三九馬は烈《はげ》しく頭を振った。
「もういけません」
「止せ、独りでのむばかりだ」
 徳利にはもう酒が無かった。
 まるで人が違ったようである。
 大きな物で引つけ引つけ、見る見る四五本の徳利を倒した、矢張り酔わなかった。
 何もかも忘れたい、馬鹿のように酔痴《よいし》れたいと、呑めば呑むほど神《しん》がさえ、身内にひろがる肌寒《はだざむ》さは強くなるばかりだった。
 然し体には限度があった。いつ酔いつぶれたか知らず、烈しい渇きを感じてふっと眼覚めると、しみとおるような小雨の音。
「あっ――」
 といって三九馬は起き上った。
 夢を見ていたのだ、門附の娘が、道の上に蹴転がされている夢を、そしてその顔は、まごうかたなき、不二緒姫であった。
「お家のためとは申上げぬ、貴殿にはお乳兄妹に当る姫のために」
 そういった深井孫七の声が、鋭くまざまざと耳へよみがえってきた。
「お紋、お紋――」
 三九馬は大声によんだ。
「あい」障子をあけてなまめかしい寝衣《ねまき》姿のお紋が顔を見せる。
「いま何刻《なんどき》だ」
「さっき増上寺の八つ半(午前三時)が鳴りました」
「しまった」
 ぱっと立ち上ったが、爛酔《らんすい》しているから、よろよろと腰が砕けて、
「まあ危い、どうなさるの」
「駕《かご》を、駕をよべ」
「もうすぐ夜が明けますから、お帰りなら」
「ええ駕を呼べと云うに」
 三九馬はまんさんとよろめきながら、
「金杉橋まで行けば辻待《つじまち》があろう、高輪《たかなわ》まで急ぐといえ」
「――あい」
 うなずいたお紋が、手早く身支度をして出て行く。三九馬はもどかし気に着換えをすますと、裾《すそ》をしっかりと取上げ、壁にかかっている手拭《てぬぐい》をたたんで汗止めする、下緒できりりとたすきをかけ――大剣を抜いて、有明行燈《ありあけ》の側へよった。
「父上御愛用の郷《ごう》ノ義弘《よしひろ》、太田原家のためではない、不二緒さまのために、思う存分血をすすらせてやるぞ」
 鍔元《つばもと》から切尖《きっさき》まで仔細にあらためて立つ、
「駕が来ました」
 とお紋がとびこんで来た。
「――お紋」
「あい」
「旅へ立つのが早くなった、これが生涯《しょうがい》の別れになるぞ」
「いえ、いえ!」お紋は必死に頭をふった。
「あなたおひとりはやりません。お紋もつれて……」
 いいざま手へ縋《すが》りつくのを、振り放してでる三九馬、よろよろと酔歩あやうく駕へのる。
「駕屋、酒手《さかて》ははずむぞ、法泉寺前まで鳥のようにとんで行け」
「合点でござんす。おい棒組」
「よし来た」
 駕は勢いよくあがって、そぽふる小雨のなかをまっしぐらに西へ――。

[#3字下げ]別離の雨[#「別離の雨」は大見出し]

[#5字下げ]一[#「一」は中見出し]

 高輪|車丁《くるまちょう》から北丁《きたまち》にかかると、俗に銀杏寺とよばれている法泉寺の、山門前にある巨《おお》きな女夫《めおと》銀杏が銀鼠色《ぎんねずいろ》にうっすりと白みかかった空へ梢《こずえ》を抜いているのが見える――左手は品川の海で、右手は大仏で知られた如来寺、それから来感院、法泉寺と続いている土塀、
「――旦那《だんな》」棒ばなが、あえぎながら、
「いけませんぜ、何だか銀杏寺の前で斬合をやってまさあ」
「よし、下せ」
 たた、と駕が停《と》まるのを、待兼ねてとび出したが、酔に足をとられてよろめく。
「酒手だ、騒ぐなよ」
 と財布のまま投げあたえると、大剣を抜いて法泉寺の方へ駈《か》けつけた。
 五、六間の処《ところ》へ近寄って、ひとみをこらして見ると、山門の蔭《かげ》に男乗物があって、抜刀をさげた老武士が護《まも》っている――谷沢曹太夫だ。眼を移すと道の上に、深井孫七、曽根甚右衛門、渡辺蔵人たちが斬結んでいた。充分に足場を計った三九馬は、
「深井氏、助勢に参った」
 と叫びざま、乱闘のまん中へ阿修羅《あしゅら》のように斬って入った。
「あっ津村氏」
 孫七が狂喜してわめく。
「やあっ、えい※[#感嘆符二つ、1-8-75]」
 三九馬は眼にもとまらぬ早業で二人ばかり斬伏せる。
「此奴らは拙者が引受けた、貴公らはお駕を護れ、――お駕を渡すな※[#感嘆符二つ、1-8-75]」
「心得た」
 孫七が乗物の方へ行こうとするのを、さえぎって出るひとり、三九馬は跳躍して、
「鴨沢だな、くそっ!」
 といいざま胴を斬り放す。
 だっと左右からよってくる相手を二、三間――誘って銀杏を背に立った。
「うむ、そこにいるのは丸川糺、大村もいるな、右の端にふるえているのは愛宕下の柚木先生か、お気の毒だが百金の儲けはふい[#「ふい」に傍点]になりそうだぞ――来い、丸川」
「こうか!」
 丸川糺が必殺のつきを入れてくる。ひっ外して突然右へ、奇襲、柚木久右衛門の面を軽く斬る、同時に左足大地をけって、
「えい、そらあッ」
 猛然と大村武兵衛に浴せかけた。
 道の上の雨だまりにしぶきが立つ、白明の光をきって、稲妻の如《ごと》く剣尖《けんさき》が舞う。丸川糺が、腰の番《つがい》を斬り放されて顛倒し、大村武兵衛は真向を割られて即死。
 ――あまりに凄《すさ》まじい三九馬の腕を見て、残る七、八名の者はどっと崩れ散った。
 刃の血ぶるいをして振返る三九馬。
 見ると乗物を前に、孫七たちが谷沢曹太夫をとりつめていた。
「待て、曹太夫は拙者が貰った」
 よびかけながら走りよる。孫七たちがさっと退くところへ踏み込んだ三九馬、
「曹太夫、このあいだは手出しをせぬといったが、考えてみると貴様には貸がある――亡父壮兵衛の貸だ、貰うぞ――」
「――取れるか」
 曹太夫が一歩ひらいて、
「誰か参れ、駕を……」
 と叫ぶ。三九馬は大股に出て、
「えい」
 と空打を入れる、誘われて曹太夫が合せようとする剣を、ぱっと下から払いあげた。
 烈しい力に剣が飛んで、敷石の上に鏘《しょう》となる、あっ!と跳びのく曹太夫を、
「や、えい!」
 踏みこんで胴へ一刀。悲鳴と共に踵《きびす》を返してのがれようとする背へ、もう一刀。
 たたらを踏んで曹太夫は雨水の道へ※[#「てへん+堂」、第4水準2-13-41]《どう》とのめり倒れた。
「深井氏――」
 三九馬がほっと振り返る。
「かたじけない、かたじけない津村氏」
 孫七はじめ曽根、渡辺の三名が駈け寄って来た。
 いずれも半分泣いている。三九馬はひややかに、よそをむいたまま、
「追手がかかるかも知れぬ、お乗物をかえて早くこの場をお立退きなされい」
「危急の場合、さらばお言葉に甘えて」
 といったが、
「いずれ後日改めて御挨拶に……」
「拙者のことなど、どうでもよい、早くせぬと町役人も参るぞ」
「――さらば」
 と会釈《えしゃく》もそこそこに三人が駕へもどる。
 三九馬は道の上下を見廻《みまわ》したが、谷沢一味の残りは、曹太夫討たると見ていち早くも逃げたか、四辺《あたり》には一人も姿を見せなかった。――静かに大剣へ拭いをかけて去ろうとすると、
「三九馬、お待ち……」
 と駕の内から呼ぶ声がした。

[#5字下げ]二[#「二」は中見出し]

 三九馬は胸をつかれて思わず、二、三間走りよると、
「――姫……」
 といって片膝をついた。
「会いたかった、よう来てくれましたね」
「勿体《もったい》のう――」
 幼声《おさなごえ》のありありと残っている懐《なつか》しい声音《こわね》、三九馬はつきあげてくる涙をどうこらえようもなく、頭をたれて声をしのんだ。
「そなたの顔が見たい、でも――」
 と言って引戸が明く、
「不二緒はこんな相になりました」
「…………」
 見上げる眼にうつったのは、蒼白めた凄艶《せいえん》な顔に、盲いてうつろに光る双眸《そうぼう》であった。
 ――これが「太田原の耀夜姫《かぐやひめ》」といわれた人であろうか、あの奥庭で自分の髪へ椿《つばき》の花をさしてくれた、眩《まぶ》しいような美しい人の姿であろうか――?
「かな[#「かな」に傍点]は健固か」
「は……三年以前にみまかりました――」
「――死んだ、かな[#「かな」に傍点]が……」
 不二緒の眉《まゆ》が痛ましく寄って、
「知らなかった」
 と絞るような呻《うめ》きがもれた。
「――かな[#「かな」に傍点]は死ぬ、不二緒は盲いになる。めぐりあわせほど慈悲の無いものはない……三九馬も苦労したであろうなあ」
「……う」
 こみあげる嗚咽《おえつ》を噛《か》み殺《ころ》して、三九馬はただ平伏するばかりだった。
「此処《ここ》で別れればもう会うまい、不二緒の顔をよく見てお置き――盲いたうえに、もう少しすればこの黒髪も切ってしまうのだよ」
「何と、何と仰せられます」
「竜之助さまの思召《おぼしめし》は有難いけれど、しょせん不仕合せに生れついた身の、もう浮世に生きる望みはありません。ここを立退いたうえは尼になって……一生仏に仕えます」
 孫七が堪《たま》らずむせびあげる。
 渡辺も曽根も。泣声をあげぬのはただ三九馬ひとりであった。
「――三九馬」
「は、はい」
「そなたは生きておくれ、不二緒の分まで生きておくれ。例え尼になっても、不二緒はそなたの出世を祈っています」
「かたじけのう」
 止めあえぬ涙、三九馬はそこへ両手をついた。不二緒は見えぬ眼で、三九馬の姿をかいさぐるが如く、しばし蒼白めた面を雨にうたせていたが、やがて、
「さらばじゃ……もう会いませぬ」
「姫――御健勝にて」
 と振仰ぐ前へ、駕の引戸が内から静かに閉められた。
「やってたもれ」
 というのと共に、初めて姫の哀切な啜泣《すすりな》きの声が、堰《せき》を切ったように聞えて来た。
 ――駕は再びあがった。
 舁《かつ》ぐ者も舁がれる者も、見送る者も泣いている。三九馬は涙をぬぐい、ぬぐい、雨のなかへ遠のいて行く駕を、張り裂けるような気持で見送っていた。
「――先生」
 駕が見えなくなった時、背後で忍びやかに呼ぶ者があった。
「お支度を持って参りました」
 という声に、ようやく気付いて振返るとお紋であった。
 ――後を追って来たらしい、見ると雨合羽《あまがっぱ》を着た旅支度である。
「その支度は……」
「一緒にお伴れ下さいとは申しませぬ、わたしも旅に出て身のけがれを洗い落し、普通の女に、生れ更《かわ》ってきたいと思います」
「そうか」
 三九馬は涙の乾かぬ面に、静かな微笑を浮べてうなずいた。
「その決心に変りがなくば連れ立って行こう」
「あの……お許し下さいますか」
「道は嶮《けわ》しいぞ」
「先生と御一緒なら」
「お紋――」
 三九馬は莞爾《かんじ》としていった。
「二人は兄妹だ、これだけを忘れずに確《しっか》りと三九馬に頼っておれ。三九馬は一生妻は男めとらぬ。その代りにはきっとおまえを立派な女にして見せるぞ――行こう」
「はい」
 一生妻をめとらぬ訳は、七生《しちしょう》まで胸を去らぬ人の俤《おもかげ》があるのだ。
 ――東の海が白みかかって、雨はやむ気色なく降りしきっている。
[#地から2字上げ](「講談雑誌」昭和十一年九月号)



底本:「酔いどれ次郎八」新潮文庫、新潮社
   1990(平成2)年7月25日発行
   2010(平成22)年4月10日二十九刷改版
底本の親本:「講談雑誌」
   1936(昭和11)年9月号
初出:「講談雑誌」
   1936(昭和11)年9月号
入力:特定非営利活動法人はるかぜ

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