三つの凶星 ◆LuuKRM2PEg



 これから繰り広げられるのは闘争や悲劇、またそれによって絶望が生じるような物語ではない。
 演劇で例えるならば、幕間と呼ぶに相応しいような時間だった。しかしその間でも、役者達は次の演劇に備えて準備をしている。
 今回は、そんな物語だった。
 但し、それを繰り広げているのはある世界では人類の脅威となっている凶星と呼ぶに相応しい怪物達だが。




 ゴ・ガドル・バはたった一人、森の中を進んでいた。
 全てのグロンギ族の頂点に立つ王……ン・ダグバ・ゼバによって闘争を邪魔されてから、来た道を戻るように歩いていたが、誰とも出会わない。
 クウガは勿論、生前から何度も狩って来たリントの戦士も誰一人として見つからなかったが、別段構わない。
 そんなことを気にした所で意味などないからだ。

(……放送は近い、か)

 ガドルにとって唯一気になるのは、放送の時刻が近くなっていること。
 数時間前にも行われたそれによって、戦いで敗れ去った参加者達の名と禁止エリアとやらが読み上げられる。そこには、ドーパントという怪物に変身した名も知らぬリントも含まれているだろう。破壊のカリスマに遠く及ばぬ弱者だったが、傷付きながらもダメージを与えたことだけは評価してやってもいい。
 ドーパントに変身したリント、そしてその後に戦った戦士……ウルトラマンネクサスから与えられた傷が未だに疼く。しかしガドルはそれに耐えながら、山道を登り続けた。

(お前達は今、どうしている……俺がいなくとも、戦っているのか)

 不意にガドルはこの殺し合いに呼ばれているクウガとダグバのことを考える。
 別に彼らの身など、微塵にも心配していない。闘争以外に存在意義を持たない戦闘民族であるグロンギに、そんな感情など存在するわけがなかった。
 ただ、決着を付けられなければ、何の為に蘇ったのかがわからない。それだけが、ガドルにとっての不安要素だった。
 だが、ガドルは思案することでそれをすぐに振り払う。

(奴らを倒すほどの兵も、ここにはいるのか……?)

 もしもクウガやダグバの名前が呼ばれたとしても、構わなかった。
 例え彼らが死んだとしても、それは彼らすらも上回る強者が存在するだけ。奴らすらも上回る戦士を、今度はガドルが倒せばいいだけのこと。
 何も嘆く必要はない。決着を付けられなくても、また新たなる敵を探せばいいだけの話だ。敗れ去った者のことを考えても何にもならない。
 その為にも、島の中央を目指して進むだけ。それだけだった。

(クウガ、ダグバ……俺が再び現れるまで、決して無様を晒すな)

 ゴ・ガドル・バはそう心中で呟くが、まだ知らない。
 仮面ライダークウガに変身する五代雄介という男がもうこの世にいないことを。そして、ン・ダグバ・ゼバは既に究極の力を失っていることを。
 彼はまだ、何も知らなかった。


【1日目/昼】
【G-5/森】


【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージ(中)(回復中)、右脇に斬傷(回復中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式×2、ガドルのランダム支給品1~3(本人確認済み、グリーフシードはない) 、フェイトのランダム支給品1~2、ユーノのランダム支給品1~2個 、イングラムM10@現実?、火炎杖@らんま1/2、拡声器@現実
[思考]
基本:ダグバを倒し殺し合いに優勝する
0:山の頂上に向かう。
1:クウガ(五代)と再び戦い、雪辱を果たす。
2:強者との戦いで自分の力を高める。
※死亡後からの参戦です
※フォトンランサーファランクスシフトにより大量の電撃を受けた事で身体がある程度強化されています。
※フォトンランサーファランクスシフトをもう一度受けたので、身体に何らかの変化が起こっている可能性があります。(実際にどうなっているかは、後続の書き手さんにお任せします)




 首輪を得る為に姫矢准を殺害した血祭ドウコクは今、G-7エリアに存在する三途の池の中に潜っていた。
 あれから、適当に市街地をうろついてみたが誰とも出会っていない。破壊された町の一角も見てみたが、やはり他の参加者は見つからなかった。
 それに溜息をついてから、ドウコクは少し離れたエリアに三途の池があるのを思い出して、そこに進むことにした。それでも誰かと出会うことはなかったが、馴染みのある場所だからかそこまで苛立ちを感じることもない。
 もしもドウコクがもう少しだけ市街地を回っていたら、左翔太郎や沖一也を始めとした様々な参加者と出会う可能性もあっただろうが、偶然にも入れ違いとなってしまった。
 その偶然は参加者達にとっては幸運だっただろうが、ドウコクにとっては不運だった。

(……チッ、やっぱり気が紛れねえ。こいつのせいだろうな)

 ドウコクは心の中でそう呟く。
 見慣れた血の色だが、やはり気分が晴れることなどない。それは、この首輪が原因だった。
 いけ好かない人間に命を握られていることが、何よりも不愉快だった。本当ならこんなチンケな道具など引き千切りたいが、間抜けな殺され方など御免だ。
 やはり、これを外せる人間を一刻も早く探す必要がある。そう思いながらドウコクは勢いよく飛びあがって、池の中から飛び出した。

(めんどくせえ……ああ、めんどくせえ)

 上の方から、何かが崩れ落ちるような音が聞こえる。水のせいで遮られているが、つい先ほどまでいた市街地の方からだった。
 それは早乙女乱馬という人間がン・ダグバ・ゼバという怪人に向かって放った、完成型獅子咆哮弾による轟音だった。普通の人間ならば聞き逃してたかもしれないが、外道衆の大将であるドウコクならば聞き取るのは容易。
 しかし、何が起こったのかまでは、池の中にいたせいで見ることができなかった。

(……やれやれ、また俺のいない時に好き勝手やってる奴らが出てくるとは、しょうがねえな)

 ドウコクは赤い水の中から急いで飛び上がるが、まだ足は動かさなかった。
 今から三途の池を離れて、わざわざ街に戻っても誰かに出会えるとは限らない。しかし、その轟音を聞き付けた奴らがいる可能性はあった。
 だが、もしも徒労に終わってしまったら馬鹿をみるだけ。無論、まだ探していない警察署の方を見て回るのも悪くないかもしれないが。
 いっそのこと、適当に島の中を歩くこともできるが、それはそれで面倒だ。

(あの放送って奴も近い……さて、それからどうするか)

 時間が進む中、血祭ドウコクは考える。
 もうすぐ、二度目の放送が始まってシンケンレッドこと志葉丈瑠や筋殻アクマロの名前が呼ばれるが、彼にとってそれほど気に留めることではない。
 これから何処を目指して、そしてどうやってこの苛立ちを晴らすかの方が遥かに重要だった。


【1日目/昼】
【G-7/三途の池付近】


【血祭ドウコク@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康、少し苛立ち
[装備]:降竜蓋世刀@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:姫矢の首輪
[思考]
基本:その時の気分で皆殺し
0:再び市街地に戻って人間を捜すか、それともどこか違う場所に向かうか?
1:首輪を解除できる人間やシンケンジャーを捜す
2:昇竜抜山刀を持ってるヤツを見つけ出し、殺して取り返す
3:シンケンジャーを殺す
4:加頭を殺す
5:アクマロも殺す
[備考]
※第四十八幕以降からの参戦です。よって、水切れを起こしません。
※ザルバが意思を持っていることに気づいていません。




 ここから時間は一気に進む。
 ン・ダグバ・ゼバはH-9エリアの一角に備え付けられた椅子に座って休んでいる。
 究極の力を失ってから、身体が思ったように動かなかった。これでは強くなったクウガやゴ・ガドル・バと戦っても、負ける未来しかない。
 だが、それはそれで面白いかもしれなかった。宿敵や弱者としか思っていなかった者達に何もできないまま負けるのも、新鮮味がある。
 あの乱馬とかいう奇妙な力を使うリントにここまで追い込まれた時だって、胸が高鳴ったのだ。きっと、ここはそういう気分を味わわせてくれる場所なのだろう。
 絶対的強者と思っていた自分に、残酷な現実を教えてくれる楽園……そう考えると、主催者達は粋なことをしてくれたとダグバは思う。

(だとしたら、クウガも誰かに……?)

 そんなダグバの思考は、何処からともなく響いてきた爆音――レベル3のナスカ・ドーパントとなった天道あかねが、かつての仲間達に放った光弾の音――によって中断された。
 ほんの数秒だけだが、先程までいた風都タワーという場所から立て続けに音が聞こえてくる。つまり、あそこで何者かが戦っていたことになるはずだ。
 規模から考えて、クウガや「ゴ」のグロンギ程の実力者ではない。だが、それでもダグバは興味を抱いたが、今から向かったとしても間に合う訳がなかった。
 それにあそこはこれから向かおうとしている警察署とは正反対の方面だし、もう戦いが終わった場所にまだ戻っても誰もいない可能性がある。
 別にそれ自体はどうでもいいが、何度も徒労に終わるのだけは流石に嫌気を感じてしまう。

(……それに、放送も近いよね)

 定時放送も近かったし、そこで風都タワーや警察署のあるエリアが呼ばれたら、向かう事すらもできなくなってしまう。
 もしかしたら、この市街地全域が禁止エリアになってしまう可能性だってあった。だから、いつまでもこんな所にいる訳にもいかなくなるかもしれない。
 当初の予定通りに警察署に向かうか、それとも音が聞こえてきた風都タワーの方に逆戻りをするか、あるいはこの街から離れるか……ン・ダグバ・ゼバがそう考える一方で、時間は確実に進んでいく。
 そこで呼ばれる参加者の中に仮面ライダークウガに変身する五代雄介が含まれていることを、彼はまだ知らなかった……


【1日目/昼】
【H-9/街】


【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
[状態]:全身に極大のダメージ、ベルトの装飾品を破壊(それにより、完全体に変身不可)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×4(食料と水は3人分、祈里:食料と水を除く、霧彦)、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、スタンガン、ランダム支給品(ほむら1~2(武器ではない)、祈里0~1)

[思考]
基本:この状況を楽しむ。
0:完全体に変身できなくなったことへの苛立ち。
1:このまま警察署側に向かうか、それとも音がした方(風都タワー方面)に戻るか?
2:市街地を適当に歩いて、リント達を探す。
3:強い変身能力者たちに期待
[備考]
※参戦時期はクウガアルティメットフォームとの戦闘前です
※発火能力の威力は下がっています。少なくとも一撃で人間を焼き尽くすほどの威力はありません。
※ベルトのバックル部を破壊されたため、中間体にしか変身できなくなりました。


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最終更新:2013年03月14日 17:52