余分なお買い物
ネア
「これは、先程のチーズとは原材料が違うので世界も認めてくれる筈です」
「ほお、何個目だ?」
「…にゅ?!そ、そのチーズは買って帰るのですよ?」
「羊と牛どちらかにしろ。他の店でも似たような物を買っただろうが」
「では、このチーズは両方買って、
アルテアさんを置いてゆきますね」
ウィリアム
「むむ、袋が増えています?」
「ああ、これも買って帰ろうと思ってな」
「チョコレートタルト…じゅるり」
「テントで星を見る時に、こういうものもあるといいだろう?」
「はい!」
「さて、帰ろうか。クルツでは、ネアとシルハーンが落ちないように、しっかり寄り掛かっていてくれ」
ヒルド
「おや、そちらの包みは何ですか?」
「
ヒルド…」
「夜市では、くれぐれも余分な買い物をしないようにとお伝えしましたよね?」
「…その、久し振りに擬態しての視察なので、お前と飲もうと思って紅茶をだな…」
「やれやれ、それでは私が買ったマフィンと共にベンチでいただきましょうか」
ノア
「ほら、お兄ちゃんが余分に買ってあるから、安心していいよ」
「…ぎゅわ。こちらのオレンジは逃げません?」
「うん。まさかオレンジに擬態した妖精が入っていて脱走するとは思わないよね。これを二人で食べようよ」
「はい!」
「うーん、大事な妹とこうしてのんびり出来るのは幸せだなぁ」
グレアム
「…その時にネアが、シルハーンと同じ物を俺にも買ってくれたんだが、実は俺もこっそり買った後だったからな…」
「それであんたは、わざわざ持って来てくれたのか」
「ああ。この黒砂糖の蒸しパンは、シルハーンも気に入っているらしい」
「それなら、大事に飲もう。有難う、
グレアム」
ヴェンツェル
「
ドリー…?」
「これも念の為に買っておこう。
ヴェンツェルは、すぐに靴を駄目にするからな」
「土地柄仕方の無い事だ。だが、それにしても増やし過ぎだろう。もう充分…」
「この手袋と金庫、こちらの魔術符もか。それと、このぬいぐるみもだな」
「
ドリー!!」
「ん?どうした?」
エーダリア
「余分に買うという事はない」
「わーお。断言したぞ」
「では、そちらの紙袋はどうされたのですか?」
「この年代の魔術書は、本物と贋作を共に揃えるのが良いとされているのだ」
「ありゃ。でも贋作の方は危ないからね?」
「だが、この連作は全て…」
「
エーダリア様?」
「
ヒルド…」
アイザック
「これがあれば、羊達の世話も楽になるでしょうに」
「うん。でもそれは、僕達には不要かな。自分の手で世話をするのも、僕達の仕事だからね」
「やれやれ、あなたは頑固ですね」
「そうかな。自分の暮らし方は、とても気に入っているんだ。こうして
アイザックも遊びに来てくれるしね」
バーンディア
「という訳で、船を大量に買ってある」
「…念の為に聞くが、その買い物を私に報告するのはなぜなのかな?」
「支払うのがお前だからな」
「あああ!またそれだ!!聖女を手に入れる為だったのなら、君の買い物だろう!」
「いい砂糖を手に入れるのが、お前に協力する理由だからだな」
ディノ
「これは、…ネアに…だった」
「まぁ、過去形なのです?」
「でも君は、もう一つ買っていたのだろう?二つはいらないんじゃないかな」
「ではこれは、ノアへの贈り物にしましょう。私は、ディノから貰った物の方を使いたいのです」
「そんな事が出来るのかい?」
「ふふ、秘密ですよ?」
アルテア
「…ぎゅむ」
「ったく。三日用だと言わなかったか?余分はないんだぞ?」
「お気に入りのタルトがありません…」
「三日分のタルトを食べたお前のせいだな」
「…えぐ。タルト」
「…やれやれだな。余分に買った森苺が余るから、それで一つ足してやる。いいか、今度は一度に食べるなよ?」
以上となります。お付き合いいただき、有難うございました!
最終更新:2022年05月07日 12:19