19 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/13(日) 06:46 [ qUq6iUEM ]
返事がないけど投下します。
なんで本スレ書き込めないんだろうなー。
アジェント王国東海岸の商業都市ラーヴィナ。
アジェント王国の中でも貿易、その他ある理由によってアジェントでも一、二を争うほどの町の市の中、
果物屋の店主が無用心にも温かい日差しの下、店先でまどろんでいた。
まあ、それはこの町の治安の良さを表すものでもあるのだが。
その証拠に果物に手を出そうとする人もおらず、
果物を買おうとしている二人組みのエルフが困った、という顔をしながら待っているぐらいだった。
20 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/13(日) 06:48 [ qUq6iUEM ]
「ニッグ、ニッグ!」
まどろんでいた男に布を売る男が興奮した口調で声をかけると、ニッグと呼ばれた男はめんどくさそうに目を開けた。
「なんだ、オザ、素っ頓狂な声を出して。」
「何で起こしてくれなかったんだ、もう太陽が天頂を過ぎてる、昼過ぎだ!
アシェナの神にかけてお前を呪うぞ。」
30を過ぎてるであろうオザはその黒い髭をゆらしながら、およそ年齢不相応の仕草をして大声を出した。
通りを行き交う金髪の買い物客達何事か、と振り向いたが、オザは気にしなかった。
「あん…?ああ、そういえば今日はアレがあるんだったな。」
「お前は見に行かないのか、一年に一回なんだぞ?」
「そう毎年毎年やっていればな、初めのうちは面白くても飽きてくるもんだろ。ふわ~あ。」
ニッグは大あくびをしてオザにあきれた目を向ける。
「お前もよく飽きないもんだな、これで七度目か?」
「ああ、面白いじゃないか、なんたって究極の召還魔法だ。それに異世界の布は物を問わず高く売れる。」
「商売熱心、ご苦労なこった、あいにくオレにとっちゃ果物なんてどこの世界も変わりゃしないんでね。」
「っと、お前と話している場合じゃない、ランクルーブ広場で夕方からだったっけ?それじゃ行ってくる。」
「はいはい、アシェナの神のご加護がありますように。」
いってらっしゃい。と、ニッグはもう小さくなったオザの背中を見送りながら
ニッグはいい加減怒り出したエルフ達の対応をし始めたのだった。
21 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/13(日) 06:48 [ qUq6iUEM ]
10年ほど前からか、この世界は大きく動いていた。
アジェント王国のある大陸、地球で言えばユーラシア大陸に位置も形も大きさも一致するだろう。
その大陸の中央部、アジェントの西側に、一つの国家が発生した。
バルト帝国と名乗るその国は機械や科学、黒い肌を嫌うアシェナ聖教によって迫害されていた
ドワーフやダークエルフを保護することで、高い技術と魔法技術を得、急激にその勢力を増していた。
彼らが否定するアシェナ聖教を国境とし、大陸東部一帯を支配する強国であるアジェントと帝国の
対立は当たり前といえば至極当たり前のことであった。
22 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/13(日) 06:49 [ qUq6iUEM ]
日に日に増す帝国の脅威、機械を否定し、魔術に頼りっぱなしであったアジェントは、
帝国に対抗するために、ある「手段」を用い始めた。
それが「召還」。異世界のものを召還する技術である。
詳しい説明は割愛するとして、もとはエルフの技術であるこの召還は魔法の素であるマナが存在しない世界の島を召還。
その魔法が使えない(=軍事力の弱い)島に侵攻しその魔法による軍事力で制圧、
原住民を奴隷とし、資源を略奪するという帝国も真っ青の残酷なやり方であった。
23 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/13(日) 06:49 [ qUq6iUEM ]
召還する場所はアジェント東の海、当然奴隷は東海岸の町へと連れて行かれる。
このように召還は異世界の奴隷の売買というラーヴィナの裏の顔を作り始めていた。
そして国民達の間でこの「異世界の奴隷」が当たり前となった頃、
アジェントにとって大きなの誤算が起きたのだった。
時は王国暦972年6月現地時刻1時20分、日本が召還される6時間前のことであった。
返事がないけど投下します。
なんで本スレ書き込めないんだろうなー。
アジェント王国東海岸の商業都市ラーヴィナ。
アジェント王国の中でも貿易、その他ある理由によってアジェントでも一、二を争うほどの町の市の中、
果物屋の店主が無用心にも温かい日差しの下、店先でまどろんでいた。
まあ、それはこの町の治安の良さを表すものでもあるのだが。
その証拠に果物に手を出そうとする人もおらず、
果物を買おうとしている二人組みのエルフが困った、という顔をしながら待っているぐらいだった。
20 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/13(日) 06:48 [ qUq6iUEM ]
「ニッグ、ニッグ!」
まどろんでいた男に布を売る男が興奮した口調で声をかけると、ニッグと呼ばれた男はめんどくさそうに目を開けた。
「なんだ、オザ、素っ頓狂な声を出して。」
「何で起こしてくれなかったんだ、もう太陽が天頂を過ぎてる、昼過ぎだ!
アシェナの神にかけてお前を呪うぞ。」
30を過ぎてるであろうオザはその黒い髭をゆらしながら、およそ年齢不相応の仕草をして大声を出した。
通りを行き交う金髪の買い物客達何事か、と振り向いたが、オザは気にしなかった。
「あん…?ああ、そういえば今日はアレがあるんだったな。」
「お前は見に行かないのか、一年に一回なんだぞ?」
「そう毎年毎年やっていればな、初めのうちは面白くても飽きてくるもんだろ。ふわ~あ。」
ニッグは大あくびをしてオザにあきれた目を向ける。
「お前もよく飽きないもんだな、これで七度目か?」
「ああ、面白いじゃないか、なんたって究極の召還魔法だ。それに異世界の布は物を問わず高く売れる。」
「商売熱心、ご苦労なこった、あいにくオレにとっちゃ果物なんてどこの世界も変わりゃしないんでね。」
「っと、お前と話している場合じゃない、ランクルーブ広場で夕方からだったっけ?それじゃ行ってくる。」
「はいはい、アシェナの神のご加護がありますように。」
いってらっしゃい。と、ニッグはもう小さくなったオザの背中を見送りながら
ニッグはいい加減怒り出したエルフ達の対応をし始めたのだった。
21 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/13(日) 06:48 [ qUq6iUEM ]
10年ほど前からか、この世界は大きく動いていた。
アジェント王国のある大陸、地球で言えばユーラシア大陸に位置も形も大きさも一致するだろう。
その大陸の中央部、アジェントの西側に、一つの国家が発生した。
バルト帝国と名乗るその国は機械や科学、黒い肌を嫌うアシェナ聖教によって迫害されていた
ドワーフやダークエルフを保護することで、高い技術と魔法技術を得、急激にその勢力を増していた。
彼らが否定するアシェナ聖教を国境とし、大陸東部一帯を支配する強国であるアジェントと帝国の
対立は当たり前といえば至極当たり前のことであった。
22 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/13(日) 06:49 [ qUq6iUEM ]
日に日に増す帝国の脅威、機械を否定し、魔術に頼りっぱなしであったアジェントは、
帝国に対抗するために、ある「手段」を用い始めた。
それが「召還」。異世界のものを召還する技術である。
詳しい説明は割愛するとして、もとはエルフの技術であるこの召還は魔法の素であるマナが存在しない世界の島を召還。
その魔法が使えない(=軍事力の弱い)島に侵攻しその魔法による軍事力で制圧、
原住民を奴隷とし、資源を略奪するという帝国も真っ青の残酷なやり方であった。
23 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/13(日) 06:49 [ qUq6iUEM ]
召還する場所はアジェント東の海、当然奴隷は東海岸の町へと連れて行かれる。
このように召還は異世界の奴隷の売買というラーヴィナの裏の顔を作り始めていた。
そして国民達の間でこの「異世界の奴隷」が当たり前となった頃、
アジェントにとって大きなの誤算が起きたのだった。
時は王国暦972年6月現地時刻1時20分、日本が召還される6時間前のことであった。