自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

SS 001-020 28

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380 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/11(土) 18:50 [ imAIk9NE ]
    バルトの目的は世界征服などではなかった。
    そもそもバルト帝国は約百数十年前、痩せきった土地で暮らしていくことのできない民衆が
    武装して遺跡荒らしや付近の村落からの略奪を始めたことが始まりであった。
    その頃は遺跡から得た物と言ってもその技術レベルの違いからそれを実用化する手段は彼らには無く、
    アジェントやオズインの貴族達に珍品として売りつけるのがせいぜいであった。

    そしてその後その盗賊団が手先の器用なドワーフ達と接触したのが歯車が回りだした時だったのだろう。
    もともと「からくり」に興味を持っていたドワーフ達はこの客達の持ってきた「珍品」に異常な興味を示した。
    そしてドワーフ達がその魔道機械の劣化版(それこそ性能は月とスッポンだが)
    を作ろうとし始めるのにたいした時間はかからなかった。
    しかし、ある困った事態が起こった。
    魔道機械を作るには魔法技術が必要であり、ドワーフ達にも盗賊団達にもそれはなかったのである。

381 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/11(土) 18:51 [ imAIk9NE ]
    ちょうどその頃、その地方ではアジェント地方からダークエルフが逃亡してきていた。
    黒い肌を持ち、森を伐採することに拒否反応を持たない彼らは、
    黒い肌を嫌うアシェナ聖教と森を神聖視するエルフ達によってアジェントで迫害の憂き目に遭っていた。
    しかしその保護をするにはドワーフ達では力が足りなかったのである。
    そこで白羽の矢が立ったのが強い武力を持つ盗賊団であった。

    こうして政治的、軍事的な保護者を求めていたダークエルフ、
    魔法技術を求めるドワーフ、盗賊団。両方の利害が一致し、彼らの間には協力関係が結ばれた。
    こうして開発された魔道機械は特に武器面においてその能力を発揮し、
    付近の村落、自治都市を纏め上げ、大盗賊団を巨大な帝国にまで発展させたのだった。
    そう言う経緯があるからこそ、バルト帝国は首脳が三種族で構成されているという珍しい国家なのだった。

382 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/11(土) 18:52 [ imAIk9NE ]
    バルト帝国の目的について話を戻す。
    前述の通りバルト帝国は痩せた土地に位置していた。
    逆を言えばそれを補うために魔道機械が注目され、発達したのである。
    そして強大な軍事力を得た彼らが求めた物は当然豊かな土地であった。
    そして、この大陸において豊かな土地と言えばアジェントの存在する地域のことであり、
    バルトが侵攻進路を一路アジェント方向、つまり東へと向けたのも当たり前のことであった。

    その当時の皇帝はエグベルト7世、神帝とまで謳われた戦略家、戦術家であり、
    さらにその脇をダークエルフの長アークス、ドワーフの長バグマンら優秀な人材が固めていた。
    そしてその手腕によってバルト東部の小国群は彼らの盟主であるオズインに助けを求める暇も無く、
    大波に小波が飲まれるかのごとく制圧されたのだった。
    帝国軍の士気は上がり、その時の彼らの目的は紛れも無くアジェント征服であっただろう。
    彼らにとってオズイン王国は栄光への道に転がる石ころに過ぎなかった。
    そしてアジェント征服とは彼らにとってまさに世界征服を意味していた。

383 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/11(土) 18:53 [ imAIk9NE ]
    しかし彼らにとって思わぬ、しかし当たり前の事態が起こった。
    それは魔道兵器の不足であった。
    当然である。まだマニュファクチュアの確立していない時代。
    侵略した土地から幾らでも徴収できる兵士と違い魔道兵器はドワーフやダークエルフの職人の手作りの物であった。
    この激しい連戦の中で消耗した魔道兵器の補充は不可能であった。
    更にオズインとの闘いの中で病による神帝エグベルト7世の急死は計り知れないダメージを帝国に与えた。
    彼の残した兵法書はあるものの、優秀ではあるが天才ではなかったエグベルト8世には
    神帝の作り出した大量用兵の機動戦、日本史で言う信長の多段撃ち、騎乗射撃部隊などを使いこなすことは不可能であった。

    8世の脇を固めるアークスとバグマンはこの状態ではオズインを倒すことはできても
    アジェントに侵攻することは不可能と判断し、なにか別の道を探していた。
    そして彼らが生命線として目を付けたのは
    アジェント南西部のさらに南に広がる誰も手を付けていない肥沃な空白地であった。

384 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/11(土) 18:53 [ imAIk9NE ]
    地球で言うミャンマー、バングラディッシュに位置するこの空白地、
    そもそも何故誰も手を付けていないかと言うと理由があった。
    昔からアジェント、地球で言うベトナム、タイ、ラオス、辺りに位置する小国群。
    この二つの勢力が食指を動かしていたこの地域であったが、
    アジェントにとってはこの地域へと繋がるアジェント南西部に位置する巨大な森が
    森を神聖視するエルフと蜜月関係にある彼らにとってこの地域に侵攻するには大きな妨げになっていた。
    しかしこの地域を諦め切れないアジェントはこの地域を開拓することを軍事力を背景に小国群に禁止し、
    さらに小国群を経由しての、この地域への侵入を彼らに要請した。

    しかし、この地域への侵入を禁止された小国群はこの盟主の横暴に怒り、
    自分達の領土を経由しての空白地への侵攻をはっきりと拒否したのであった。
    (これによってアジェントと小国群との関係は冷え込んでいくことになる。)

385 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/11(土) 18:54 [ imAIk9NE ]
    このためにこの空白地は空白地のまま、小国群の農民達が僅かにこの地域を
    「天からの贈り物」「愚か者の落とした宝」などと呼び、開拓するだけになっていた。
    そしてこれに目をつけた者が二人居た。
    その内一人がバルト帝国であり、
    もう一人がアルクアイであった。
    この状況下でアルクアイはバルト帝国とは全く違う視点でこの地域に目をつけていた。


    投下終了、謀略編がちょっと続きます。
    ご意見、ご感想お待ちしております。

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