自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

SS 001-020 32

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459 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/22(水) 11:19 [ imAIk9NE ]
    次の日からはセフェティナからの情報収集はだいぶ少なくなっていた。
    おそらく異世界からの使者が来たせいだろう。
    情報収集はそちらで十分行えるということだった。
    しかしその分使者達の真意を探るためにセフェティナにも
    政治的にエグイ質問をしなくてはならなくなり青島は気を使わなければならなかったが。
    そしてその日の情報収集を終え、青島は相変わらず監視役をやっている結衣に話しかけた。

    「何か用?」
     相も変わらずつっけんどんな応答に少し苦笑して青島は名刺入れを差し出した。
    それを見た瞬間に結衣の表情が一変した。
    「あっ、・・・それっ!」
    「落ちていたんだ。たぶん結衣三尉のだろう?」
    「・・・。」
    結衣はそれをひったくるように青島の手から奪った、その顔は真っ赤となっている。
    おそらく可愛らしいデザインの名刺入れを見られたことが恥ずかしいのだろう。
    「・・・見たの、写真?」
    しかし予想に反して真っ赤になりながら搾り出すような声で結衣は言った。

460 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/22(水) 11:19 [ imAIk9NE ]
    「え、・・・何のこと?」
    とりあえず中身を見た事をごまかそうと青島はとぼけた。しかしそれを結衣は冷たく返した。
    「とぼける必要は無いわ。見たのね・・・。」
    「・・・ごめん。」
    素直に謝ったのが意外だったのか結衣は目を丸くした。
    「えっ?いや、別にいいんだけど・・・。」
    「けれど何で彼の写真なんか持っているんだ?」
    その様子を見て今がチャンスとばかりに青島は聞いた。
    これも不意打ちだったらしく結衣は顔を赤くした。
    「それは・・・別にいいでしょそんなこと。そっ、それよりも良いの?彼女をほっといて。」
    「えっ?」
    結衣の目で指す場所を見ようと振り返る。そこには心配そうな顔をしたセフェティナが立っていた。
    「あっ、ご、ごめんセフェティナ・・・。じゃあそろそろ行こうか。」
    「あっ、はい。」
    結衣に会釈をして部屋を出て行こうとする青島にすれ違いざまに結衣は小声で言った。
    「赤羽海将の写真の理由・・・気が向いたら教えてあげる。」
    どういう心変わりかと青島は結衣の方を見たが、その顔は後ろを見ているために見る事は叶わなかった。

461 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/22(水) 11:20 [ imAIk9NE ]
    アジェント北、国境付近。といっても国境など確かに定まってもいないが。
    目の前に居る一万はいようかと言う遊牧民の騎馬軍団を前にたった一人で立つ男が居た。
    名はアルヴァール。
    魔術大臣であり、現国王の孫娘アシェリーナ姫の養育係でもある男だった。
    今行うべき任務は略奪行為を行う遊牧民の撃退。
    勢力も弱いアジェント北のサフラーヌ侯が撃退しきれずに王家に助けを求めて来た為であった。
    しかしアルヴァールは焦っていた。
    理由はたった一つ、今王都で開かれようとしている王侯会議であった。
    この会議、内容は二つであった。一つは毎年定例のように行われる新しく召還した島への侵攻の相談。
    そしてもう一つは今病にふせっているアルジェン13世の後継者問題であった。
    そもそも長子相続のこの国にこのような問題が起きているのは、
    アジェントではアルジェン13世の長男であり、
    アシェリーナの父にあたるアジェルが死んでいるためであった。

462 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/22(水) 11:21 [ imAIk9NE ]
    この問題、そもそも本来ならば正統継承者であるアシェリーナが継いで終わりなのだろう。
    しかしアジェントが興った当時からの名門イルマヤ候、レコスナ候など力の強い諸侯が
    アジェルの弟達を推したためにこの問題はこじれていた。
    アルヴァールは当然長い間養育してきたアシェリーナを推して来たのだが、
    会議直前になってこの任務である。
    恐らく自分を邪魔に思ったイルマヤ候辺りの差し金だろうと彼は感じていた。
    しかし何があってもこの会議には出席しなくてはならない。
    そしてその為にはこの騎馬軍団を一、二日で片付け無くてはならない。
    しかし本軍が来るのはこれから三日後となるだろう。それでは間に合わない。
    アルヴァールは載ってきていたワイバーンから降り、マントを外した。
    そして騎馬軍団達の見えるところまで歩いて行く。
    それを見た騎馬軍団の一人が弓矢を彼に向かい放つ。
    これを合図として一対一万という戦いが始まった。

463 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/22(水) 11:22 [ imAIk9NE ]
    戦争においては数が大きなウエイトを握る。
    例えどんなに強い剣豪が居ようとも一人では千の雑兵には勝てない。
    例えどんなに強い戦闘機があろうとも一機では百の敵機に墜とされるだろう。
    そしてソレはこの世界でも同様。いくら魔法があろうとも一人は千人には勝てなかった。
    しかしアルヴァールは気が狂ったわけではない。
    上に書いたことにはこの世界では一人だけ例外が居た。
    それがこの男だったのである。
    「ウオオオオオオーーーーッ!」
    地鳴りのするような騎馬軍団の雄たけびと同時に空を埋め尽くすような矢が放たれる。
    しかしそれらはアルヴァールの寸前で圧縮された間なの壁に当たり、落ちた。
    そしてアルヴァールが呪文を唱え始める。
    その間に第二射として騎馬軍団が魔法を唱えようとする。
    しかし、魔術師達は一様にマナを集めることすらできずに青ざめた。
    そして気付く。この辺りのマナは全て目の前の男に集められていることに。
    そして気付いた。目の前に立っている男が二百年以上も前から自分の民族に伝わる
    絶対に手を出してはいけない男であるということに。
    しかしソレは遅かった。男の放った魔法は騎馬軍団の中心部に巨大なクレーターを作り、
    千以上の兵をその骨すらほとんど残さずに焼き尽くした。
    そしてそれに使われた魔法はジファンが自衛隊のヘリに向かい使ったものと同じ物であった。

464 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/22(水) 11:26 [ imAIk9NE ]
    退却する遊牧民達を見届けるとアルヴァールは即座にワイバーンに飛び乗った。
    「王都まで大至急で頼む。」
    いつも自分を乗せて飛ぶこの相棒に向かって声をかける。
    この調子なら会議には間に合うだろう。
    自分達の行動が徒労であることも知らずに戦場に向かおうとする本軍を見下ろし、
    アルヴァールは満足であった。
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    投下終了です。
    >>2のガイドライン4に引っかかりそうですがちゃんと決着はつける予定っす。
    次回投下ではだいぶ話が動くかな・・・?

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