「やはり、俺の知る特別懲罰房か」

空条徐倫の眠り続ける民家に別れを告げ、ナルシソ・アナスイは特別懲罰房を訪れていた。
マウンテン・ティムと約束をしたということもあるが、
彼の目的は目下のところ右足の回収と、徐倫の安全の確保。
だが、徐倫のことをどこまで、どのように伝えるべきか
ここに至るまでの道のりで結論は出ていなかった。

「ティム、いるか!?」

懲罰房の入り口から声をかける。
ティムがいない可能性、敵が待ち伏せをしている可能性があるためだった。

「あぁ」

返事はすぐに帰ってきた。
壁に反射し、くぐもって聞こえたが、それはまぎれもなく友人の声。

ティムの無事にほっとしながらも、同時に彼がいなければ良かったのだが、と落胆している自分を意識する。
それでは右足の回収も出来ないが、彼に『後ろめたい』説明をせずにすむ。


――徐倫のためならば


とうの昔に決めた心がなぜ揺らぐ?
自分も、化け物に成り果てたF・Fとなんら変わりはないのに?

自嘲的な笑みを一瞬浮かべ、アナスイは特別懲罰房へと潜る。


   *  *  *  *  *   




あらわれた人物が見知った友人であることを認め、ティムは安堵の表情を浮かべる。
しかし彼の後ろに続く人物がいないことに気付き眉を顰めた。

『空条徐倫には会えなかったのか?』

口先まで出かかった言葉をかろうじて飲み込んだ。
アナスイがここを訪れるとき、その横には必ず徐倫がいるだろう、とティムは考えていた。
最悪の場合、その『徐倫』はすでに生命を終えた物体であるかもしれなかったが。
だがアナスイは一人でここへやってきた。
自分の片足を捨て、必ず彼女を見つけ出すと決意した男が、一人でここへやってきた。
もしや、徐倫は肉体も残らない悲惨な死を迎えたのでは……
アナスイの狂気を目の当たりにしていたティムにとってこの状況は想定外だった。

いや、足の回収だけが目的という可能性もある。スタンドを出し続けているのは堪えるからな。

そうして改めてアナスイを検分する。
アナスイは落ち着いているように見えた。
一人走り去って行ったときの焦燥は治まり、清々しくさっぱりしたようにさえ思える。
大穴の側で別れた時、彼は苦しいほどまっすぐな瞳でこちらを見つめていた。
その必死さに、ひとつの正義を見出して、自分は彼を見送ったのだ。
いま目の前にいる男は、あの時のアナスイとは違う。
自分の感覚がそう告げるが『なにが』違うのかすら明確に捕らえられず『どうして』など思いもよらない。

(なにかあったのか、アナスイ……)

「ティム、彼は?」

ティムの逡巡を遮るかのようにアナスイが問いかけた。
アナスイの視線はまっすぐに房の奥へと注がれている。
やってくる人物がアナスイのふりをした危険人物かもしれないと考え、彼には自分と距離をとり待機をしてもらっていた。




「彼は……
花京院典明です
 ティムさんとは第三回放送の前にここで会いました」

紹介を待たずに花京院が自ら名乗る。
その視線は睨み付けているとまではいわないが、『見つめている』という表現にはそぐわない険の入ったものだった。

(まずいな……)

花京院が不信がるのもわからなくはない。彼は自分と同じような推理をしたのだろう。
アナスイがいかに徐倫を大切に思っているか、花京院に説明したのが裏目に出たといえる。
あの時は『解体癖のある殺人鬼』をいかに『信頼できる仲間』と思ってもらえるかが重要だった。
参加者が残り30人余りとなった状況で、あとから誤解を招くような嘘や、意図的な情報隠蔽は選択肢になく、
アナスイの解体癖、殺人罪、スタンド能力、知りうる限りは説明していた。
それに対し、彼も同じように自身や仲間についての情報を、確かな好意をもって説明してくれた。

だが、アナスイはたった一人でここへやってきた。
『大切な徐倫』には会えず?
それでもやたらと落ち着き払った様子で?
自分が戸惑うのだから、彼の警戒は当然だろう。

「花京院君、彼が俺の『仲間』のナルシソ・アナスイだ」

少し警戒を解いてもらえないかと期待して『仲間』と強調してみたが、あまり効果はなかったようだ。

――やれやれだな

マウンテン・ティムの口からそれとわからないほど小さなため息が漏れる。

今、徐倫についてアナスイに尋ねればおそらく地雷を踏むこととなる。
アナスイがどのような返答をするのか、想定ができないうえ、彼が疑わしい返答を返せば、花京院は不信を強くするだろう。
アナスイに対してだけではなく、せっかく得ることが出来た自分への信頼も失いかねない。
俺は、地雷を避けつつこれからの共同目的をまとめなければならないのか。

「ふたりとも、早速だがこれからのことを話し合わないか?」
「ティム、それに花京院
 急で悪いが、移動してから今後のことを話し合ってもかまわないだろうか?」

自分が切り出さなければこの場は永遠にまとまることはないだろうと思っていた矢先のアナスイの提案。
ティムにとっては意外だった。
『自分は構いませんよ』と花京院が視線で答える。

「あ、あぁ、構わないが……」

施設の厳重さ、双眼鏡の優位性、それらを勘案して特別懲罰房を拠点にと決めていただけに、
アナスイの提案は不可解なものに思えたが、『話をする前に』場所を変えたいというのだから議論のしようがない。

(焦り? あるいは?)

そこにアナスイの真意を見つけた気がしたが、その場で問いつめることはしない。
場所を変えて、落ち着いて話ができるのなら構わない。
アナスイの狂気が罪のない誰かに降り懸からなければそれでいい。それがベスト。

(この状態で戦闘にでもなればちょっと難儀だがな)

おそらく貧血のせいだろう、ぼうっとなりかける頭を振りつつ、マウンテン・ティムは出発の準備をはじめる。


   *  *  *  *  *




日本では一般的な民家の居間で、三人の男がテーブルを囲んでいた。
特別懲罰房から移動してきたナルシソ・アナスイ、マウンテン・ティム、花京院典明の三人だった。
三人の内の一人ナルシソ・アナスイにとって、この民家は『一般的』などではない。
彼が愛する女性、空条徐倫を閉じこめた特別な家屋だった。
『深遠なる目的の砦』……そう形容してもおかしくないほど特別な。
もちろん、彼に連れられ訪れた二人はそんなこと知る由もないが。

アナスイが『俺の話は最後にしてくれ』と願い出たために、先ほどからマウンテン・ティムはひとり話し続けていた。
『アナスイと別れてからの動向』『2メートルを超える残虐なモンスター』『ディアボロという人物』『第三回放送の内容』『花京院の持っていた情報』
第三回放送の内容について言及した際、ティッツァーノの死にも触れたが、
アナスイは『俺も放送で知った』と言ったきり黙りこみ、ティムは少し感傷的な思いに駆られる。
確かに悲しんでいる暇はない、それに心から信頼できる相手というわけではなかったがな。
それでも自分は彼の死を悼んだ。
彼の死だけでなく、こんな理不尽なゲームに参加させられて命を落とす羽目になったすべての参加者の死を……。

ティムの説明中、花京院は説明を補足するように言葉を挟んでいたが、
事実の確認に重きを置いているのか、個人的な希望、邪推になる部分は決して言い出さなかった。
自分の感情は隙を作るだけだといわんばかりの態度だったが、それはアナスイへの警戒感からだとティムは理解する。
そしてその警戒感は自分がいくらアナスイを弁護したところで払拭できないだろうことも。

花京院がそんな調子だったのでティムの説明は早々に終わり、アナスイの説明へ。

「あんたと別れてから俺は、北へと向かっていた
 コロッセオ、繁華街を訪れてみたが、碌な情報は得られなかった」

ポルナレフと出会ったことを話せば、そのときの状況を追求される可能性があったため黙っておく。
彼とはその後別れたという事実を語っても、彼と徐倫が組んでいるという嘘を語っても、
花京院はポルナレフとの合流を提案するだろう。
ひどい怪我を負っているティムひとりにこの場所を託していくのは不安だが、
ティムのことを信頼している花京院にも協力を頼めればこの民家は、徐倫は安全だ。
俺は心おきなく彼女の障害を排除してまわれる。
そのためにもポルナレフが徐倫を救ってくれたこと、彼が南西へ向かったことは話せない。

「結局徐倫の行き先はつかめず、適当に走り回るしかなかったんだが
 第三回の放送の後に、奇跡が起きた
 本当に、偶然でしかなかったんだが、俺は徐倫に逢うことができた」

二人が徐倫を伴わず特別懲罰房を訪れた俺を疑っていることは明白だ。
確かに徐倫と出会えるまで特別懲罰房を訪れる気はなかった。
俺はそれを言葉ではなく、行動でティムに説明しすぎている。
だとすれば『徐倫と出会えた』という事実だけは伝えなければならない。


「彼女は両親の死にもぶれることなく、このゲームを潰すため奔走していた
 ともに行動することを提案した俺に彼女は言った『大丈夫』と
 『このふざけたゲームをぶっ潰して脱出を目指すなら、分散して戦った方が効率がいい』と
 あの燃えるような瞳を見て、どうして俺が反対できる?」

これは、すべて嘘だ。
徐倫はポルナレフに抱えられ、死にかけていた。
そして目を覚ましたとき、あの美しいグリーンの瞳に、燃えるような星の輝きはなかった……。

「彼女とは、荒木との対峙まで互いの無事を祈って別れた」

遠い元の世界、水族館で垣間見た徐倫の瞳を思い出す。
ただ前を向く彼女の瞳が宿す、強さ、ひたむきさ、優しさ、その美しさ――すべてを光そのものであるかのように、自分は愛した。

「マーダーの掃討、首輪の解除、どれを優先させても良かった
 だから特別懲罰房へと向かった、あんたとの約束もあったしな」

徐倫について語れることはこれだけだ。

「それで、この民家にはなにが?」

ティムが保安官の面差しで先を促す。
疑われるのは仕方がない。
だがここを守ることだけは約束させなければならない。
その確約が得られなければ特別懲罰房へ出向いたことも、多少の嘘をついたことも、意味を失う。


――ここが……山場……


心臓の底の方が凍り付いていくように感じる。

「……今、明かすことはできない
 だが後々このゲームを打破する鍵になる場所だと俺は思っている
 だから説明を後回しにしてここに来た
 そして、二人にここを守ってもらいたいとも、俺は思っている」
「この『民家』を、か?」
「あぁ」
「彼女のためか?」
「あぁ、徐倫のためだ」
「彼女がそう望んだのか?」
「いや、これは俺の個人的な要望だ
 あんたにその怪我で動いてもらいたくないという気持ちもある」
「……お前はどうする」
「ナチス研究所へ向かおうかと思っている」
「……そうか」

それきり会話は途絶え、場は沈黙に支配される。

「……………」
「……………」
「……………」

重い沈黙を破ったのはティムの方だった。

「花京院君、少し、席を外してもらえるか?」


   *  *  *  *  *




「アナスイ、単刀直入にいう」

花京院に退室してもらったのは、アナスイに自ら問いつめるためだった。

花京院はそこいらの大人より誠実で、冷静であると思う。
だが自身も後悔させた若者らしい頑なさは、不和を生む可能性の方が高かった。
二人でアナスイを責めれば、正義と悪の対立構造になりかねない。
一方的な糾弾は、会話とはいえない。
だから二人きりになった今、核心に触れる。

「俺は、お前が嘘をついていると思う」

できればアナスイが語ったこと、すべてが本当であってほしいと思った。
だが、ほかのどんな怪しい説明に目を瞑っても、
徐倫が無事だったために別れた、というそれだけは、信じることができなかった。
あれほどまで徐倫のことを気にかけていたアナスイが、やっと再会できた彼女を黙って見送るだろうか。
この殺し合いの場で、どんな敵がいるか定かでないのに?
徐倫を守るべき対象と思ってきたからこそ、今までの行動があったはずだ。
それを曲げてしまうことは、アナスイという人間の根本を変えてしまうような気がしている。
だから、真意を知りたい。

まっすぐに見つめたその先、アナスイは仮面を被ったかのように無表情だった。
身じろぎすらせず、無表情のままこちらを見返している。

「俺が、あんたに嘘をついて何の得になる?
 あんたの信用を失った時、損をするのは俺なんだ」

確かに、とティムは思案する。
アナスイにとって仲間などどうでもよく、足の回収だけが目的だったなら、話は特別懲罰房で済んでいたはずだ。
移動に際して俺から足を受け取った時、走って逃げていれば俺も花京院も追えなかった。
そもそもダイバーダウンがある限りアナスイにとって足の回収は必須ではない。

そして、件の要望。これはアナスイにとって弱みにしかならない。
互いの信用がなければ、後を任すなどということは不可能。
協力など必要ないと思っていれば、提案してみせること自体が無意味。
俺や花京院をこのどう考えても一般的な民家に勾留させることが目的なら話は別だが。

「だいたい、『ここを守ってほしい』という要望
 あんな説明で了解を、信頼を得られると、本当に思っているのか?」
「今は明かせない
 それ以上の説明は、俺には不可能だ」

こう言われてしまえば、自分はここに残らざるをえない。
それを見越しての曖昧な表現なのか。

徐倫は無事だった。分散したほうが効率が良かった。この民家は特別な場所だった。他の説明が出来ないからそのように頼んだ。

それで筋は一応通る。
筋は通るが、『納得』は出来ない。




「アナスイ、俺はお前が徐倫と再会できるまで特別懲罰房を訪れないと思っていた」
「俺もそのつもりだった
 徐倫に会えたから、特別懲罰房に向かったと説明したはずだ」
「いいから聞いてくれ
 そして特別懲罰房を訪れるときは徐倫と一緒だろうと思っていた」

彼を突き動かすものは徐倫ただひとりへの愛情だという確信がティムにはある。
そこをはぐらかされたままで、この話し合いに結論を出すつもりはない。

「お前がどれだけ彼女のことを大切に思っているか、理解しているつもりだ
 だからこそ、彼女を放っておいてこの民家を守れというお前がわからない
 俺の怪我を理由にしてまで、この民家に執着するのは何故だ」
「………………」

感情的な言い方に辟易したのか、アナスイは黙っている。確かに論理ではなく、直感と憶測にすぎない。
けれど『納得』は全てに優先する。


――何故だ、何故だ……

  『徐倫のためだ』


ふと、アナスイの言葉が蘇る。
そうだ……、最初から答えは出ていた。


「ティム?」

アナスイが珍しく動揺混じりの声を発したのは、うつむいたティムが嗚咽をこらえているように見えたからだった。

「アナスイ、お前のダイバーダウンは物体や生物も潜行させることが出来るんだったな」

ティムは、自分が痛ましげなものをみる瞳をしているだろうな、と思いながらも言葉を紡ぐ。

「なぜ、いまさら……」

アナスイの掠れた声が、直感を肯定させた。
涙と、吐き気が同時にこみ上げてきたように感じる。

「お前は、この民家に、愛する女性を閉じこめている……違うか?」

「………………」

二人の視線が交錯する。


――わずか一瞬の、長い時間


しかし大穴の側で信念をぶつけ合ったときの凶暴な強さが、今のアナスイにはなかった。
喜んでいるようにも見える苦笑がアナスイの顔に浮かんだ。



「まさか、そこまで推理されるなんてな」

カウボーイってのは皆そんななのか?
そういってアナスイはおどけてみせた。

「アナスイ、冗談はともかく理由を言ってくれ」

ティムの口調は相変わらず、法と正義に準ずる保安官のそれだったが、雰囲気はすでに穏やかなものに変わっている。

「先に教えてほしい、なぜ……、わかったのか」
「お前にとって彼女以上に大切なものなどないと考えただけだ
 あからさまな嘘をついたのも、俺の心配をしてくれたのも
 すべて彼女のためだというなら『納得』がいった
 まぁ、この民家に閉じこめたってところは確信がなかったがな」
「人の心配なんて、するもんじゃないな……」

不思議な感覚ではあったが、このときアナスイは確かに安堵していた。
手負いのティムと争わずに済んだこと、彼の信頼が自分の思っていた以上に大きかったこと。
徐倫に対する無償の愛を理解したときとはまた別の穏やかな感覚だった。
彼なら、真実を話しても、徐倫を守ってくれるだろうか。

「俺が、徐倫に再会できたとき、彼女は大怪我を負って気を失っていた……」


それから5分――
とても悲しい、あるいはとても幸福な愛の叙事はベッドルームにて終着を迎えた。


「俺はベッドに彼女を閉じこめた
 彼女が傷つかずにいられるように
 俺が露を払い、彼女が本懐を遂げられるように」

ゆっくりと、ベッドルームの扉を開く。


「ッ!!!!!!!?」


ベッドを認めたアナスイが絶句する。

「アナスイ、どうした!?」

慌ててティムも部屋に入り、ベッドを確認する。


そこに、徐倫の痕跡はなかった。


「徐倫ッ!!!!」





【D-4 南部 民家のベッドルーム/1日目 夜】

【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:健康、徐倫の失踪に動揺
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料、水2人分)、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー(スイッチOFF)
[思考・状況]
基本行動方針:徐倫を守り抜き、ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.徐倫はどこに!?
1.徐倫の敵は俺の敵。徐倫の障害となるものはすべて排除する
2.徐倫の目的、荒木のもとに彼女(と自分)が辿り着くためなら何でもする
3.殺し合いに乗った奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない
4.徐倫に会った時のために、首輪を解析して外せるようにしておきたかったが出来なかった(大して後悔はしてない)

[備考]
※マウンテン・ティム、ティッツァーノと情報交換しました。
 ブチャラティ、フーゴ、ジョルノの姿とスタンド能力を把握しました。
 ベンジャミン・ブンブーンブラックモア、オエコモバ、ミスタ、アバッキオ、、チョコラータの姿と能力も把握しましたが彼等は死亡したため重要視はしていません。
※ティッツァーノとの情報交換で得た情報は↓
 (自分はパッショーネという組織のギャングである。この場に仲間はいない。ブチャラティ一派と敵対している。
  暗殺チームと敵対している。チョコラータは「乗っている」可能性が高い。
  2001年に体に銃弾をくらった状態でここに来た。『トーキングヘッド』の軽い説明。)
  親衛隊の事とか、ボスの娘とかの細かい事は聞いていません。
 ※以上の事もティッツァーノが死亡し、誰かに伝えるといった目的があまりないため重要視はしていません。
ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
 ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません。
※F・Fが殺し合いに乗っていることを把握しました。
※以上の事を放送前後にポルナレフに情報として提供し、ポルナレフが得た情報について知りました。
 なお、ポルナレフと荷物の交換等は行っていません。

※マウンテン・ティムと改めて情報を交換し、花京院の持っていた情報、ティムが新たに得た情報を聞きました。




【マウンテン・ティム】
[時間軸]:SBR9巻、ブラックモアに銃を突き付けられた瞬間
[状態]:左肩・腹部裂傷痕は完治。左足に切り傷(ほぼ完治)、服に血の染み。右足が裸足。ずぶ濡れ状態は回復
    肋骨骨折(戦闘になれば辛いが動けなくはない)、右肩切断(スタンドにより縫合)、体力消耗(ほぼ回復)
    貧血(目眩はしない程度まで回復したが血液そのものが不足しているため行動に支障が出る可能性あり)
[装備]:物干しロープ、トランシーバー(スイッチOFF)
[道具]:支給品一式×2、オレっちのコート、ラング・ラングラーの不明支給品(0~3。把握済)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.徐倫はどこに!?
1.もしアナスイが再び殺人鬼になるようなら止める。生死を問わず
2.アナスイが正直に話してくれて少し嬉しい
[備考]
第二回放送の内容はティッツァーノから聞きました。
※アナスイ、ティッツァーノと情報交換しました。アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました。
 (空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ
  ブチャラティ、ミスタ、アバッキオ、フーゴ、ジョルノ、チョコラータ)
※ティッツァーノとの情報交換で得た情報は↓
 (自分はパッショーネという組織のギャングである。この場に仲間はいない。ブチャラティ一派と敵対している。
  暗殺チームと敵対している。チョコラータは「乗っている」可能性が高い。
  2001年に体に銃弾をくらった状態でここに来た。『トーキングヘッド』の軽い説明)
  親衛隊の事とか、ボスの娘とかの細かい事は聞いていません。
※自分達が、バラバラの時代から連れてこられた事を知りました。
※花京院と情報を交換しました。お互いの支給品およびラング・ラングラーの支給品を把握しました。

※アナスイと徐倫の事の顛末を聞きました。


   *  *  *  *  *




「これで、良かったのかな……」

D-4の民家を離れ、少年が逃げるように駆けていた。
その腕に抱くのは真っ白なシーツ……否、シーツと一体化した空条徐倫。

(ティムさんには申し訳ないけれど)

『こうなった』理由をひとつだけあげるとするなら、自分がアナスイという青年を信じきれなかったから、ただそれに尽きる。

解体癖のある殺人鬼
ただひとりの女性への狂的な愛情

ティムさんから情報を与えられた時点では、むしろ好意的に評価していたと思う。
彼が守ろうとしている相手が「空条」の姓を持つ女性だったから、尚更だった。

けれど特別懲罰房で、現れた彼を見たとき
脳裏をよぎったのは圧倒的に深い闇を漂わせていたDIOの姿だった。
あの、自分の目的のためならば人の命を奪うことも辞さない『漆黒の意志』を宿した瞳。
正確にはDIOとも異なる、善悪を超越した強すぎる眼光。

自分には理解できない。

本能的に拒絶してしまった相手を信頼することは、どうしてもできなかった。
説明を前になんの特徴もない民家へ案内され、不信感はさらに募った。
彼のスタンドで鍵をかけられた、なんの異常も見られない民家。
幸か不幸か、自分のスタンドは探索に便利なスタンドで、スタンド使いの目も欺ける利点があった。
ティムさんに説明を任せきりにし、罪悪感を覚えつつも、スタンドは細く長く各部屋へ。
そう、罠でもあるんじゃあないかと思っていたんだ。

けれど見つけたのは罠ではなかった。
ベッドルームで見つけたのは、奇妙なことにベッドとシーツと一体化した『人』だった。
『見つけた』というには語弊がある。スタンドに話しかけられるまで僕はその『人』にまったく気付かなかったのだから。

その人はハイエロファントグリーンの触脚に気付くと、スタンドで話しかけてきた。
『助けて』と。
その時点ではどうすれば助けられるのか、検討もつかなかったが、
ティムさんに居間を追い出され、一人でいられる自由な時間ができてしまった。
僕は覚悟を決めなければならなかった。
居間に残った二人の様子から、その人が空条徐倫であると予感しながらも、放っておくことはできなかった。

どうにかベッドの木枠とシーツを分離させると、その人は言った。
『彼から、アナスイから、離れて……』と。
それを最後に言葉は途切れ、気を失ったようだった。

どうしてその人があのような状態になっていたのか、アナスイさんに問い詰めることもできた。
彼が案内した民家にあんな状態の人がいたんだ、知らなかったとは思えない。
むしろ彼がやったのではないかと、自分は疑い始めている。

結局、僕は彼から離れることを選んだ。
ひとまずこの人を解き、話を聞きたい。

「彼に見つかったら殺されるかもな」

冗談のつもりで呟いたが、心底笑えなかった。





【D-3とD-4の境目あたり/1日目 夜】

【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(小程度まで回復)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷、身体ダメージ(ほぼ回復)
[装備]:なし
[道具]:ジョナサンのハンカチ、ジョジョロワトランプ、支給品一式×2
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木!
0.この人を解いて、話をするためにも落ち着ける場所が欲しい
1.この人は空条徐倫?
2.ティムには申し訳なく思っているが、アナスイには警戒感
3.自分の得た情報を信頼できる人物に話すため仲間と合流したい
4.仲間と合流したらナチス研究所へ向かう?(そこで自分に何が出来る?という不安)
5.甘さを捨てるべきなのか……?
6.巻き込まれた参加者の保護
7.荒木の能力を推測する
[備考]
※ハンカチに書いてあるジョナサンの名前に気づきました。
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました(納得済み)。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。

※空条徐倫の支給品一式を所持しています。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。



   *  *  *  *  *




(とりあえず、この人に解いてもらうしかないかしら)

シーツと一体となった状態で揺られながら、空条徐倫は考える。
彼女は気を失っていたわけではなかった。

スタンドの接近に気付いたとき、どうやって言葉を発したのか覚えていない。
自力で解こうと努力すればするほど絡まっていく身体に絶望しかけていたとき、
部屋を詮索する紐のようなスタンドに気付いた。
アナスイ以外の誰か。
その人を逃せば、元に戻るチャンスは永遠に失われてしまうような気がした。
『スタンド使いはスタンドで会話ができる』なんてすっかり忘れ、ただ『助けて』とあらぬ口で叫ぶほかなかった。

できれば誰の力も借りたくない。
けれど、このままでは荒木を倒すどころか自力で動くことさえままならない。
助ける気があったからこの人は自分を運んでくれているのだろう。
恩着せがましいことをいったり、自分の行く手を阻むのなら
一方的に『利用』することになるかもしれないが、それでも胸は痛まない。

それにしても……
どうしてアナスイは私を殺さなかったのかしら……
傷つける覚悟も、傷つく覚悟もして、私は殺す気で殴りかかった。
なのに、彼は、私を動けないようにして、そのままいなくなった。
殺さない努力をするほうが、彼にとっては大変なんじゃないかしら。
どうして私を殺さなかったの……
どうしてあんなに優しく私を抱きしめたの………

どうして、どうして、と反芻する内に睡魔に襲われた。
それが心労によるものだと理解できるほどの英気が今の徐倫にはない。



――父さん、父さん……

大きな背中を追いかける。
これは『夢』だと自覚する自分を遠くに感じる。

――父さん、父さん……

追いつけないのは私が小さいから?

寂しかったのよ、父さん。
遠くで必死に守ってくれていたなんて、気付かなかったの。

そんな愛し方、私は知らなかったの。

泣き出した声が届いたのか父親がゆっくりと振り返る。
穏やかな、滅多に見せたことのない表情で、父親は私の後ろを指差していた。

私は振り向かない。
父さんから目を離すことができない。
けれど後ろで暖かく見守ってくれている人を私はもうわかっている。


アナスイ…………





【D-3とD-4の境目あたり/1日目 夜】

【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:これまでの負傷は応急手当済、全身がシーツと絡まっている(肉体的には関節が極まっている程度)、夢うつつ
【装備】:なし
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:荒木と決着ゥ!をつける
0.この状態から元に戻りたい
1.助けてくれた人は誰?
2.アナスイの愛情をなんとなく理解、けれど再会はできない
3.DIOの館に向かい、DIOと決着ゥ!つける
[備考]
ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。
※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。
 加害者は(どんな事情があろうとも)問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。
※アナスイから『アナスイが持っていた情報』と『ポルナレフが持っていた情報』を聞きました。

※徐倫の道具一式は花京院が所持しています。
※居間で行われていた会話はすべて聞いていません。



   *  *  *  *  *




「あいつ、ジョースターの一族か?
 むしろあの服装は神父のヤローに似ているような……」

夜目に眩しい真っ白なシーツを抱えて少年が駆けていくさまを青年が見つめていた。
行き場を失い、なんとなしにDIOの館へと向かっていたドナテロ・ヴェルサスだった。
その右腕はすでに何事もなかったかのように彼の肩からぶらさがっているが、彼の表情は冴えない。

右腕が欠損した状態では、これからなにをするにも支障が出る。
そう納得した上でジョルノが残した腕を付けたはずだった。
あんなに強大な敵を物ともせず追っていった輝かしいジョースターの血統、ジョルノ。
お前とは違う、と右腕に戒められているような気さえする。

俺には無理だった、仕方がなかったと自分を慰めながら北上し
気付けば、別の星型の痣の気配が近づいていた。
相手も星型の痣を持つならば、自分の居場所はばれていそうなものだが
向こうがこちらに気付いた様子はない。

(どうせ、もう誰も頼れねーんだけど、どうする……)

彼はよもやシーツが人であるという了見など持ち合わせておらず
スータンに似た衣装が、日本の学生服であるという認識も持ち合わせてはいない。





【D-3とD-4の境目あたり/1日目 夜】

【ドナテロ・ヴェルサス】
[時間軸]:ウェザー・リポートのDISCを投げる直前
[状態]:疲労(大)、精神疲労(大)、服は乾いた、頭部にかすり傷
[スタンド]:アンダー・ワールド
[装備]:なし
[道具]:テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:絶対に死にたくない、幸せになる。
0.少年は気になるが、どうする?
1.助かったところで、こんな気持ちを抱えたまま生きろっていうのかよ……。
2.どんな事をしてでも生き残って、幸せを得る。その方針は依然変わりなくッ! でも今は幸せなんかじゃあねえ。
3.ティッツァーノへの罪悪感が増大。ティムを警戒
[備考]
※ティッツァーノ以外のマフィア、ブチャラティ達の事、パッショーネの事を聞きました。
ブローノ・ブチャラティ、グイード・ミスタ、レオーネ・アバッキオパンナコッタ・フーゴ
 ジョルノ・ジョバァーナ、チョコラータ) 。
※荒木の能力により『アンダー・ワールド』には次の制限がかかっています。
 ・ゲーム開始以降の記憶しか掘ることはできません。
 ・掘れるのはその場で起こった記憶だけです。離れた場所から掘り起こすことはできません。
 ・『アンダー・ワールド』でスタンドを再現することはできません。
 ・ただし、物理的に地中を掘り進むことは今まで通り出来ます。
※アンジェロ、Jガイルの容姿と『アクア・ネックレス』のスタンドビジョンを知りました。
※星型の痣を持つ相手(ジョナサン、ジョルノ、徐倫)の位置が大体わかります ただし、誰が誰かまでは判別出来ません。

※接触するか、無視をするかは次の書き手さんにおまかせします。


[備考]
ホル・ホースのデイバッグ一式がD-4 中央に放置されてます。

※特別懲罰房から民家への移動時、誰かに見られていた可能性があります。
※アナスイとティムは、花京院がいなくなったことにまだ気付いていません。





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188:三年寝太郎 花京院典明 194:男の世界/女の世界
185:ヘンゼルとグレーテル 空条徐倫 194:男の世界/女の世界
185:ヘンゼルとグレーテル ナルシソ・アナスイ 194:男の世界/女の世界
187:Resolution(前編) ドナテロ・ヴェルサス 200:存在の堪えがたき軽さ
188:三年寝太郎 マウンテン・ティム 194:男の世界/女の世界

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最終更新:2011年01月20日 21:47