耳鳴りがする。

ナチス研究所を囲む庭園の一角は、絶対零度の空間と形容すべき痛々しい沈黙に支配されていた。
いや実際には、この血なまぐさい情景には不釣り合いな程に優雅なクラシックと
荒木の愉快そうな、それでいてどこか間延びした放送が流れていたのだけれど。

誰も言葉を発しない。顔を見合わせもしない。呼吸音すらも聞こえない。
どうしてこうなった?何故報われない?救われやしない?
最善を尽くした。尊い犠牲も伴った。神はこれ以上何をしろと仰せなのか。
傍から見ればほんの一瞬、それでいて永遠とも思える、独りよがりな押し問答が堂々巡りする。

そして止まった時間は再び動き出し、どうしようもなく非情な現実が訪れる。
結末はいつだって残酷だ。だからこそ甘美で、数多の人間を魅了して止まないのである。



◇   ◆   ◇



思えば、アンラッキーな要素が重なり過ぎていた。
怪物がまだ生きている?放送が始まった?それだけではない。
ブチャラティの性格だ、自らの身に起きた『異変』に気付くや否や、迷わず死を選んだに違いない。
だが彼の身体全体を縛る強い力に阻まれ、それでも彼は仲間にとって最良の策は何であるのかを理解した。
そして自己崩壊の恐怖と諦念を必死に押し殺しながら、リゾットに『助けてくれ』ではなく『殺してくれ』と嘆願したのだ。

エシディシを倒すのにこれ以上のチャンスは無い。むしろ今を逃せば、多大なる犠牲と苦労は全て水泡に帰す。
分かっていた。ブチャラティがそれを真に望んでいる事も。しかし、彼らとて所詮は人間だった。
ブチャラティの悲しい覚悟は、皮肉にもギャング達をほんの少しだけ躊躇させてしまった。

「殺させやしねーッ!!まずはてめーら全員地獄に叩き落としてやるッ!!グシャシャシャシャアーッ!」

『運命の車輪』は確実に回転していく。悪夢はまだ、終わらない。



我に返ったジョルノがゴールド・エクスペリエンスの拳を振り上げるも、既に手遅れだった。
コキリ、と首を鳴らすブチャラティ。その狂気に囚われた面様にボコボコと血管が浮かび上がる。
声色は最早エシディシのそれであり、すっかり散瞳した目には何も映っていない。
と思う間もなく、ジョルノの顔面に鮮やかなカウンターがヒット。
運悪く背後に立っていたフーゴもろとも、彼の体はまたしても壁面へと殴り飛ばされた。

「なんて執念だ……エシディシ…。」

失神したジョルノを庇いながら、フーゴはブチャラティをぼんやり見つめる。
自分にはどうしようもない何かに押し流されていく感覚に、フーゴはただただ戦慄するのみだった。


「そういうセリフは、終わってから言うもんだぜ。」
「MU?」

リゾットは既に動いていた。
瀕死のエシディシが完全にプッツンしている今の内に手を下そうと、直ちに『メタリカ』を発動、
ブチャラティの心臓部に鋏を作り出した。そのまま心臓をくり抜き余分に持っている首輪で消し飛ばせば、
いくら究極の生物とてひとたまりもない筈だ。まさに完璧な作戦である、不可能という点に目を瞑れば。

「てめーの次のセリフは『残念だったな。お前は既に出来上がっている』だ!」
「残念だったな。お前は既に出来上がっている…ハッ!?」

だがむしろ、功を焦り冷静さを失っていたのはリゾットの方だった。
初っ端から急所を叩く見え透いた攻撃など愚策も愚策。それどころか逆に武器を与えてしまったも同然。
エシディシは大切な心臓へ何のためらいもなく手を突っ込むと、いとも簡単に鋏を引き抜いた。
拳が空けた大穴はエシディシの細胞が即座に塞ぎ、さながら世にもグロテスクなコイン貫通マジックといった所か。

「俺の心臓を狙ってんのはバレバレなんだよォ!チンボコ野郎!」

暗殺者の勘が成せる業だろうか、超人的な反射神経で後ろにのけ反ったリゾットの鼻先を、銀色の光が一閃する。
留め金を壊しメス状になった刃が頭巾と額を浅く裂き、背後で鋭い刺突音が響く。
エシディシは無理な体勢に尻餅をついたリゾットを一瞥し、この機を逃さんとばかりに
西部劇に出てきそうな植物達が群生する茂みへとバックステップし、その姿を眩ました。

何の事は無い。体を殆ど失い大幅に弱体化したエシディシが三人のスタンド使いを相手にするなど、土台無理な話だ。
事にリゾットの能力なら、人間の脆い体など簡単に破壊されるだろう。彼の狙いは最初から逃亡だったのだ。

「クソ………ッ!!」

悔しそうに顔を歪めるリゾット。あの殺気立った口ぶりに完全に騙されてしまった訳だ。
ここでエシディシを見失いダメージを回復されれば、次に俺達が勝てる見込みはもう無い。
深追いは禁物などと悠長に言ってられない。奴はちょっとでも押せば倒れる、
草の根を分けてでも探し出し、エシディシをここで始末する!



「ジョルノ、フーゴ!いつまでも寝てんじゃあないッ!!ホルマジオとブチャラティが死を賭して作り出したチャンス、
断じて無駄には出来ん!ここでエシディシを取り逃がせば、俺たちに勝ち目は無いぞッ!!」

僕達を叱咤激励しつつ草むらへ飛び込んだリゾットを見送りながら、僕は渋々身を起こした。
全く…。簡単に言ってくれますね。あと少しで喉元に喰らい付けるって所で引き下がる訳にいかないってのは
重々承知してますが。こっちは顔面に二発もいいのを貰って脳震盪を起こしかけてるんですよ。
それにブチャラティだって…ああいけない。ちょいと投げ遣りになっていましたね、僕らしくもない。

「ジョルノ、意識はあるか?手を…。」

すっとフーゴが手を差し出す。とにかく感傷に浸っている場合ではありません。
僕はしばらく戦えないかも知れないが、生きている限り能力は有効です。仲間の負傷を手当てし、
ブチャラティの血液を基にしたあの鋏を使って、エシディシを追跡する事だって可能だ。
命が尽きるその時まで精一杯、与えられた役割をこなす事がギャングの宿命ですからね。やれやれです…。

一応礼を言おうとフーゴの顔を見上げた僕は、掴みかけていた手をはたと止めた。
僕を無表情に見下ろすその瞳は、マンホールの底に似た空虚で吸い込まれそうな闇を湛えていた。
彼が何を考えているのか分からない。一切の喜怒哀楽が取り払われたその顔つきを、僕は能面みたいだなと思った。
唐突に不安に襲われました。仲間であるフーゴに言い知れぬ恐怖を感じたのは、きっとこれが最初で最後だったでしょう。

――――フーゴ、何故そんな顔をしているのですか?…そうか、フーゴ。君は



◇   ◆   ◇



「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~~~~ッ!」

灼熱地獄と化したナチス研究所内で蠢く一つの影。
中央には体の半分近くが欠損した、B級ホラー映画の小道具そっくりな死体が寝転がされている。
その屍骸に誰かが指を突き立てていた。と、瞬く間に死人の体がミイラ状にしぼみ、
逆に片膝をついて血を絞り取るその怪物にみるみる血色が戻り、負傷が癒えてゆく。

「切断面が塞がれている…。なかなか気の利いた心遣いじゃあないか、ジョルノ。」

ニタリ、と笑うエシディシ。彼が単なる柱の男であったのなら、人間に臓器の一つや二つが取り憑いた所で
血液を沸騰させ、その体もろとも爆散する程度が精々だ。しかし今の彼は身一つであらゆる生物を創造する究極生物。
先程まで力強く拍動していた胸部の肉塊を細胞レベルにまで分解し、あちこちの組織に付着して代謝機能を支配。
そしてブチャラティの体内で栄養を摂取し癌細胞の如く増殖、同時に失った部分を再生しつつあった。

「とはいえ、これっぽちの屍ではまだまだ足りないか…。もっと新鮮で大量の血を吸う必要がある。」

呟きつつ目を瞑り、精神を集中させる。と、体から黄色のスライムがウジュリと吹き出し、全身が覆い包まれる。
彼の本体は遥か遠くのエリアに流され最早回収の術は無いが、共に水流の藻屑となったホルマジオごと
取り込まれたDISCが、黄の節制を再び呼び戻した。身に纏う程度ならコントロールも可能らしい。
もっとも司令塔とも言うべき今の体にDISCが差しこまれていない分、自由自在にとはいかないだろうが。

エシディシには、カーズのような卓越した頭脳も、ワムウのような天才的な戦闘のカンも無い。
しかし、自らの性格を把握し、精神をどん底に追い込まれてもすぐにスイッチを切り替えられる沈着さ、
誇りを捨てても、醜いと罵られてでも生きようとする執念深さは、裏を返せば強い精神力の現れだと言える。

人間も吸血鬼も、柱の男すらぶっちぎりで超越した究極生命体が、ギャング五人ごときに敗北を喫したのは何故か。
エシディシには『覚悟』が足りなかった。手足をもがれても、とびっきりの苦痛を伴った死を目前にしても尚、
標的に一矢報いようとする究極の自己犠牲の精神を、死の危険と無縁の彼は持ち合わせていない。
エシディシは油断していた。悲願である究極生物への到達、それで全てが終わりではない。
忘れてはならない、所詮参加者達を奮起させる駒として、いいように荒木に踊らされている事実を。

「認めよう…。俺は貴様らよりも『劣って』いた。貴様らにあって俺には無い強みとは一体何か。
それは身体能力でもスタンドや流法でもない。あらゆる困難に立ち向かい、打ち勝つ『黄金の意志』!」

スタンドも復活し、不死身さに拍車をかけたかに見えるエシディシだが、
ブチャラティの体をあらかた喰らい尽くすまでは、柱の男ならではの身体能力も当然失われたままだ。
この不便な体で再生の為のエネルギーを集めなければならないのは、むしろ不安要素の方が大きかった。

「俺の精神はまだまだ未熟だった。この醜態は、自らの愚かさが招いた罰として受け入れよう。
この屈辱はいずれ晴らす。そして次こそは、真の究極生物として貴様らの前に対峙してみせる!」


エシディシはまだ勝負を捨てていない。
更なる高みへと辿り着き、頂点に返り咲くその時まで決して諦めようとはしない。
誇りなぞ知った事か!俺は雪辱を果たし、最後の一人まで勝ち残って見せる。
せいぜい楽しみにしていろ荒木、次に血祭りにあげるのは貴様の首だ!フハハハハッ!!



◇   ◆   ◇



「(奴はまた建物内に戻ったのか?とはいえ、俺が探れる範囲はここまでだ。)」

リゾットに残された時間はあと僅かだった。
この放送で20人もの死者と、ナチス研究所の禁止エリア指定まで宣告された。
首輪解除に必要な人員と設備は露と消え、このままでは荒木の悪趣味な遊戯をぶち壊すどころの話ではない。
エシディシの件を抜きにしても、最悪のシナリオはもう目の前だ。
一刻も早く決断を下さねばならない。ところでジョルノとフーゴは一体何をしているのだろう、やけに遅い。

背後に人の気配を感じた。
矢庭に振り返ったリゾットの目に映ったのは、血走った目のエシディシが脳天に鋏を振り下ろす瞬間
…ではなく、幽鬼の如く虚ろに佇むフーゴの姿だった。

「な・・・・フー・・・ゴ・・・?」

リゾットの顔色がさっと青ざめた。
考えたくない事だった。常に頭の片隅で懸念はしていた。だがこの状況、タイミングでまさか
そんな早まった真似はしないだろうと、楽観的に捉えていた部分もあった。

「・・・・予想外、でしたか・・?」

隣に居なければならない筈のジョルノは、どういう訳かフーゴの腕の中にすっぽりと収まっていた。
トレードマークとも言える前髪の三つのカールは鷲掴みにされ見る影も無く、
滴り落ちる血と脳漿が金色の髪と見事なコントラストを形成している。
粗雑な切り口から鮮血をぼたぼたと垂らし、首だけになったジョルノはどんよりとリゾットを見つめていた。
動悸が高まる。苦しい、ひどく息苦しい。


くらくらとする頭を抱えながらも、しっかりと放送を聞いていたジョルノ。
ペッシ、ジョージ・ジョースター1世、岸辺露伴、グェス、川尻早人、ホルマジオ、リンゴォ・ロードアゲイン…。
彼らの死は聞くまでもなく知っている。悼む気持ちはあったが、今更後悔しても無駄だと半ば割り切っていた。

だがテレンス・T・ダービー、シーザー・アントニオ・ツェペリ、音石明、虹村億泰、吉良吉影…。
次々と連ねられてゆく死者達の名に、ジョルノはひたすら絶句していた。
僕達の行動に意味はあったのだろうか?別行動を取った仲間達はこれで悉く死んだ。この人数でどう荒木に対抗する?
勇敢かつ頭の回転が速いジョルノだが、今度ばかりは悲嘆に暮れるよりほかなかった。

フーゴの心境も同様だった。
ナチス研究所には、ここで殺されるだろうなと半ば覚悟しつつ足を踏み入れた。
だがブチャラティはそんな彼を目の当たりにして、怒りを見せるどころか共に闘う申し出を受け入れてくれた。
フーゴが犯した罪を知りつつも、いずれ制裁を与えると宣言しつつも、彼を部下として信頼し背中を預けてくれたのだ。
だから再び忠誠を誓った。命を懸けて怪物に立ち向かった。

しかし結果を見てみろ、ああなってしまった以上ブチャラティは助からないだろう。
疑惑が確信に変わった瞬間、フーゴの中で微かに輝いていた何かが完全に消え失せた。
残っているのは敵対チームのリーダーと、どんな音楽が好みなのかも知らない浅い付き合いの新人ギャングだけ。
この同盟にもう価値は無い。あの時もフーゴの参入に肯定的だったのはブチャラティだけだった。
結局僕には、一つしかない椅子を巡って殺し合う運命がお似合いって訳だ。結構な事じゃないか。

フーゴは荒木の恐ろしさを嫌と言うほど知っている、対峙するなぞもっての他だし、
ボスに敵視された以上、パッショーネに戻る事も叶わない。組織を乗っ取るまでは行かなくとも、
ディアボロ含めた全員を殺して優勝しなければ、裏切り者のフーゴが生き延びる術は無いのだ。
勝率は限りなくゼロだとしても、フーゴは立ち止まれない。茨の道を死ぬまで進み続けなければならない。

パープル・ヘイズに羽交い絞めにされ銃口を向けられても、ジョルノは力なく項垂れるのみだった。
ブチャラティはもういない、元の世界で仲間だったフーゴにすら裏切られた。
フーゴの狂気を跳ね除ける力は残っていなかった。心に巣食った底無しの闇の中に、ジョルノは深く堕ちて行った。

…そうか、フーゴ。君は絶望しているんですね。

僕と同じに。


仲間との決別、優勝への殺戮を選んだフーゴ。仲間の解放、荒木への挑戦を選んだリゾット。
二人の道は今、完全に別たれた。彼らの道が再び交わる事はもう無い。


【F-2 ナチス研究所 庭/2日目 深夜】

リゾット・ネエロ
[スタンド]:『メタリカ』
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左耳と左手の小指消失(止血済)、額に切傷、身体ダメージ(極大)、 身体疲労(極大)
[装備]:フーゴのフォーク、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(2/15)
[道具]:デイバッグ&基本支給品(リゾット、ホルマジオ、ブチャラティ、ジョルノ、億泰、テレンスのもの そのうち一食だけ水と食料なし)
    不明支給品残り0~1(億泰のもの)、参加者詳細データ集、『ザ・ワールド』のスタンドDISC
    首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)、ダービーズ・チケット、妨害電波発信装置
    ペッシの首輪、重ちーが爆殺された100円玉(一枚)、ジョルノの『探知機』となっている小石
    紫外線照射装置、、承太郎のライター、シャーロットちゃん、スージーの首輪、ワンチェンの首輪
    包帯、冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器、不明支給品0~2(確認済:ジョルノのもの)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
0.嘘だろ、フーゴ…!?
1.エシディシの息の根を止め、ブチャラティを呪縛から解放する。
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
  カタギ(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる。
3.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※リゾットの情報把握
 承太郎、ジョセフ、花京院、ポルナレフ、イギー、F・Fの知るホワイトスネイク、ケンゾー(ここまでは能力も把握)
 F・F(能力は磁力操作と勘違いしている)、徐倫(名前のみ)、サウンドマン、山岸由花子(名前のみ)

※リゾットのメモには以下のことが書かれています。
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
        → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない→この線は薄い
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り

【以下ブチャラティのメモの写し】
①荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービーにもいることが確実。
②首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
③参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから


パンナコッタ・フーゴ
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:身体ダメージ(極大)、 身体疲労(極大)
[装備]:ナランチャのナイフ、S&W M19(6/6)
[道具]:基本支給品×4、ダービーズチケット、ディアボロのデスマスク、予備弾薬37発(リボルバー弾7発、オートマチック30発)
    鳩のレターセット、メサイアのDISC、ジョルノの『探知機』となっている小石
    S&W M19の予備弾薬(24/30)
[思考・状況]
基本行動方針:未熟な過去に打ち勝ち、新しい自分となる
1.完全にゲームに乗った、優勝の為ならどんな汚い手も辞さない。
2.単身でディアボロとエシディシに勝てるかは分からないが、やるしかない。
3.優勝したら、組織の手が届かない何処か遠い所で新たな人生を歩もう。
[備考]
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディージョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました。
吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました。
※デスマスクの男の正体がボス=ディアボロであること、その能力などに気づきました。



◇   ◆   ◇



ほぼ同時刻、ナチス研究所から数百メートル離れた空き地に二人の男が佇んでいた。
放送で告げられた死者の多さに愕然とし、憂いを含んだ表情を浮かべる学生服の少年、花京院典明
やや離れた場所から様子を窺う中性的な顔立ちの男、ナルシソ・アナスイの気配に気付いていなかった。

背中がガラ空きだぜ?花京院。
さっきの放送でどれだけショックな内容を言われたのか知らないが、
「ポルナレフ」とか「たったの12人」だのブツブツ言いながら歩き回るザマはどう見てもアブナイ奴だぞ。
生き残りの12人が心配みたいだが、後ろで俺に狙われている事にも気付けないんじゃあ世話ないな。
さっきはティムの野郎が邪魔して仕留め損ねたが、同じ目的地に向かっていたのがお前の運の尽きだぜ。
悪く思うなよ。じゃあな、花京院。

思わず口角が緩む。指先を花京院の後頭部にポイントし、どんな死に様を用意してやろうかと思いを馳せる。
『おい!』と大声を出して花京院の絶望に満ちたツラを拝んでやるのもいいかもな。などと考えていた矢先、

ドゴォッ!!

花京院の姿をしっかりと捉えていたはずの視界は暗転し、
頭部を熟れたトマトの如く弾けさせるつもりだったF・F弾は虚しく地面を穿つ。
状況を把握するのに少しだけ時間がかかった。どうやら俺は地べたに這いつくばっている。
何故なら後ろからタックルをかましやがったクソ野郎に組み伏せられ、腕と頸動脈の辺りを極められているからだ。
何て事だ!花京院をブチ殺すのに夢中で、周囲の警戒を怠っていたとは!
それだけじゃない…。こいつ、俺を押さえつけながら…血を吸ってやがる……!

「クソッ!!離れやがれこのダボがァ!!」
「…チィッ!」

関節を無理矢理外し、凄まじい力で俺に圧し掛かる吸血野郎にF・F弾を放つ。
苦しい姿勢から撃った弾丸はダイバー・ダウンのパワーが上乗せされ、野郎を簡単に吹き飛ばした。
すぐさま体勢を立て直し、首筋の傷穴をプランクトンで埋める。横をちらりと見やると、
流石にこちらに気付いたらしい花京院がぽかんと口を開けて俺を見ていた。

「何してやがる!早くここから逃げろ!そのままナチス研究所へ行くんだ、俺の仲間がいる!」

人の血を吸うだなんてえげつない真似をしておきながら、至極真っ当な台詞を吐くんだな。
ん?こいつ…。暗がりでよく見えなかったが、ブローノ・ブチャラティじゃないか?
こいつ、吸血鬼だったのか?いや、あのジッパーを操るスタンドが傍らに居ないし、何だか様子がおかしい。
F・F弾に抉られた脇腹の傷がグジュリグジュリと治り、しかも撃ち込んだフー・ファイターズ達が悉く死滅している。

「フン、ちっぽけな人間風情が、大人しく眠っていろ。」

ブチャラティの目の色が急に変わり、声もまるで別人の如く低くなった。
俺の中で警鐘が鳴り響いた。この声を、身に纏う絶対的な強者のオーラを、俺は知っている。
突然、体のあちこちに焼け付く痛みを感じた。慌てて自らをよく見渡すと、
吸血してる隙にくっついたのだろう、黄色いスライムが俺の肉をほうぼうで貪り喰らっていた。

「第三ラウンドを始めようじゃあないか。え?それとも最終ラウンドか?フー・ファイターズよ。」


【F-2 やや北東/2日目 深夜】

【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(極大)、身体ダメージ(中)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷、激しい自己嫌悪
[装備]:なし
[道具]:ジョジョロワトランプ、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木
1.ブチャラティの指示通りナチス研究所に行くか、それとも此処に留まり戦いに加わるか決めかねている。
2.結局ポルナレフには会えなかった。僕は無力な人間だ…。
3.ナチス研究所に本当に仲間が居るのだろうか?それは僕の味方なのか?
4.打倒荒木、巻き込まれた参加者の保護、をするにはもう遅いのかも知れない。
[備考]
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。


【ナルシソ・アナスイ with F・F】
【スタンド】:ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ
【時間軸】:アナスイ…「水族館」脱獄後、F・F…DアンG抹殺後
【状態】:貧血、首に指先を突き立てられた傷(プランクトンで処置済み)、黄の節制に食われ中、全身にF・Fの細胞が寄生し、共存している。
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×5、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー2つ(スイッチOFF)、ラング・ラングラーの不明支給品(1~3。把握済)、テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、ノートパソコンの幽霊
※基本支給品はアナスイ、ラングラー、ティム、ヴェルサス、音石の五人分です。
 音石の水はF・Fが回復に利用しました。その他食料、水がどれだけ残っているかは不明です。
【思考・状況】
基本行動方針:空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる。そのために、徐倫以外の全ての参加者を殺害する。
0.お前、エシディシなのか!?
1.エシディシと決着をつけ、花京院を始末する。
2.ナチス研究所にも参加者がいると確定したので、そちらも始末する。
3.徐倫には会いたくない。


【ブローノ・ブチャラティ with エシディシ】
【ブローノ・ブチャラティ】
[スタンド]:『スティッキー・フィンガーズ』
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]: 瀕死、意識昏迷状態、エシディシに全身を乗っ取られている
[装備]:ジョルノの『探知機』となっている小石、スージーの指輪
[道具]:メタリカの鋏の欠片
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
0.・・・(気絶中)
1.自分はきっと助からないので、せめてエシディシを巻き込む形で自殺したい。
[備考]
※代謝機能を持続させる為だけにエシディシに生かされています。今後どうなるかは分かりません。
※基本的に体の主導権をエシディシに握られていますが、ほんの一瞬だけ意識を取り戻す事もあります。
※極端に衰弱しており、もうスティッキー・フィンガーズは使えません。またエシディシの細胞に浸食されているので意識があっても体を満足に動かせません。

【エシディシ】
[スタンド]:『イエロー・テンパランス(仮)』
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:ブチャラティと同化、少しずつ能力を取り戻しつつある。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:リゾット達に再起を誓う。力を取り戻し、究極生物として荒木をも超越する。
1.F・Fと決着をつけ、花京院の血を吸って力の回復を図る。
2.ブチャラティの体を馴染ませる為、もっと人間を捕食したい。
3.いずれリゾット達にリベンジを果たす。もう慢心はしない。
[備考]
※現在ブチャラティの体の30%程度はエシディシの細胞であり、今なお増殖中です。
※イエロー・テンパランスの能力の一部が使えます。これはDISCよりもエシディシに芽生えたスタンドの才能による部分が大きいです。が、コントロールには疲労を伴います。
※ブチャラティの体を乗っ取っている状態なので、あくまでも人間が出せる限界+αの身体能力しかありません。具体的に言えば吸血鬼と同程度と言った所です。



【ジョルノ・ジョバァーナ 死亡】
【残り 11(12)名】




投下順で読む


時系列順で読む


キャラを追って読む

205:BROKEN GLASS SYNDROME Ⅰ リゾット・ネェロ 212:終幕 バトル・ロワイアル(前編)
205:BROKEN GLASS SYNDROME Ⅰ パンナコッタ・フーゴ 212:終幕 バトル・ロワイアル(前編)
205:BROKEN GLASS SYNDROME Ⅰ ジョルノ・ジョバァ―ナ GAMEOVER
206:何もない明日が来る瞬間は 花京院典明 212:終幕 バトル・ロワイアル(前編)
204:寄生獣 F・F 213:黄金の精神は、此処に ①
204:寄生獣 ナルシソ・アナスイ 213:黄金の精神は、此処に ①
205:BROKEN GLASS SYNDROME Ⅰ ブローノ・ブチャラティ 213:黄金の精神は、此処に ①
205:BROKEN GLASS SYNDROME Ⅰ エシディシ 213:黄金の精神は、此処に ①

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最終更新:2011年08月30日 16:18