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【都落ちして薬局でパソ打ち(2006.05)】
二十代後半の頃、それまでの文弱におぼれた怠惰な生活(演劇関係のプロデュースとか、
文筆の徒としての活動とか)に一時見切りをつけて、田舎に引っ込み、真面目な事務員生活を
しばらく続けたことがあった。白壁に囲まれた部屋にパソコンの端末と資料保管用のキャビネット、
それにロッカーがあるきりの寒々しい部屋で、朝八時から夕方六時までここに一人で詰め、
せっせと事務仕事をしていたのだが、このとき、どういうものか無性に肉体を鍛錬したい、
という欲望が湧いた。その部屋にダンベル、エキスパンダー、グリップなどを運び入れ、
空き時間を作ってはせっせと鍛錬にはげんでいた。食事は一日サバ缶一個(これは高タンパクで、
下手なプロテインよりずっと筋肉を作るのに効果的である、第一安い)、後はヨーグルト。
数ヶ月そういった生活を続けた結果、腹筋に段々がつき、肩が膨張してきて、といった肉体的な
変化の他に、精神的な変化がぐんと出てきたことに自分でも驚いた。
まず、下着を付けなくなる。自分の肉体の線を、なるべく露出したくなるのである。
医療事務の会社だったので事務用白衣が支給されていたが、裸の上にそれをはおるのである。
白衣には長袖と半袖があったが、冬場でも半袖を着るようになる。二の腕を剥き出しにしたい
のである。さすがにブリーフはつけるが、それも出来るだけ小さく局部を覆い隠すだけの
ようなものを選ぶようになる。弟がこれを見て、キモチ悪いので頼むから普通のパンツを
履いてくれ、と言った。
『猟奇の社怪史』(ミリオン出版)
【都落ちして薬局でパソ打ち(2008.10)】
イッセー尾形の所でトラブルを起こし、
アニドウでトラブルを起こし札幌に帰った後の話
それから2年間。実家が薬局をやってたんで、暗い蔵みたいな部屋で薬の処方箋を
打ち込む作業をしていました。パソコンだけがある部屋で黙々と。
きつかったですよー。でも、そのままじゃいけないと、処方箋の仕事が終わったら、
そこで思いつくまま原稿を書いたんです。
「
Zipper」2008年10月号の「Ozipper」というコーナー
要するにかなり危ない精神状態にあったわけだ。
しかし、逆に『猟奇の社怪史』の方で「文弱におぼれた怠惰な生活に一時見切りをつけて」と事実をボカして書いていたことが分かってしまったな。
最終更新:2017年05月25日 23:09