-
【英国女王イリザベス傳】
英国王女イリザベス傳」というタイトルの古典落語が存在する。
『史上最強のムダ知識』P.18
正しくは『英国女王イリザベス傳』。
「英国」「エリザベス」ときたら「女王」と当然なりそうなものだが。
ちなみに、この落語のモトネタは、サー・ウォルター・スコットの『ケニルワースの城』である。
唐沢がこのことに触れていない(知らないのかも)ので念のため書いておく。
【しゃっくり】
しゃっくりの治療は健康保険が使えない。
理由は「プリンペランなどの吐き気止めの静脈注射」、
「クロールプロマジンなどの抗精神病薬の点滴」、
「キシロカイン2%を、生理食塩水500ミリリットルに溶解しての点滴」などの
代表的なしゃっくりの治療法が、保険適用外なものばかりのためである。
『史上最強のムダ知識』P.70〜71
とあるが、病院での漢方薬によるしゃっくりの治療には健康保険が適用される。
しかし、唐沢俊一の実家は漢方薬を扱っている薬局のはずなんだが。
追記:
クロルプロマジン(商品名コントミン、ウインタミン)だけは、
しゃっくりに対し保険適応になっていますので、保険が使えます。
漢方のほうで有名な柿蒂(柿のへた)は保険適応外ですが、
漢方薬局などで買うことは可能です。
【アインシュタイン】
後年、アインシュタインは相対性原理を簡単に説明して欲しい、
との記者の質問に、以下の例え話で答えた。
「かわいい女の子を膝の上に載せている時は、1時間が1秒のように感じられる。
が、熱いストーブの上に座っている時は、1秒が1時間のように感じられる。
そういう考え方のことだ」と。
たぶん、彼の実体験ではないだろうか。
『史上最強のムダ知識』P.79
これがアインシュタインの発言とされているもの
(なお、“two minutes”を“a minute”としているものもある)。
When you sit with a nice girl for two hours, it seems like two minutes.
When you sit on a hot stove for two minutes, it seems like two hours. that's relativity.
“When you sit with a nice girl ”は、「かわいい女の子と一緒に座っているとき」と
普通はするだろう。
どうして「膝の上に載せている」になるのか。いくらかわいい女の子でも
1時間も膝の上に載せているとくたびれそうだ。
それから「相対性原理」とすると、ガリレオの相対性原理も含まれるので、
「相対性理論」としておいたほうがいい。
【ノーベル賞】
1ページ半の論文で、ノーベル賞をとった科学者がいる
『史上最強のムダ知識』P.83
「1ページ半」といっても用紙や文字のサイズがどのようなものか、
どんな形式で発表されたものかわからないので困る。
ちゃんと『ネイチャー』に掲載されたということを書かなければ
説明不足だと言わざるを得ない
【2度の受賞】
なお、ライナス・ポーリング博士という人が、ワトソンらと似たようなアイデアを、
彼らより9年も前に思いついていた。が、ポーリング博士は、
DNAの構造を「三重らせん構造」としたために、ノーベル賞を取り損ねた。
その後、ポーリング博士は、翌1954年に「化学結合の本性、ならびに
複雑な分子の構造研究」で、ノーベル化学賞を受賞し、名誉挽回した。
そのうえ、1962年には、核兵器に対する反対運動の功績で、
ノーベル平和賞も受賞している。全く別ジャンルで2つのノーベル賞を
受賞したのは、このポーリング博士だけである。
『史上最強のムダ知識』P.83
「ワトソンらと似たようなアイデア」についても説明不足でよくわからないが、
唐沢の書き方だと、ワトソンとクリックは『ネイチャー』に論文を発表したことで、
すぐに1953年のノーベル賞を受賞できたかのように読めてしまう。
だが、ワトソンとクリック(およびモーリス・ウィルキンス)が実際に
ノーベル生理学賞・医学賞を受賞したのは1962年
(つまりポーリングの平和賞受賞と同じ年)のことである。
それに加えて締めの文章にも問題がある。
全く別ジャンルで2つのノーベル賞を受賞したのは、このポーリング博士だけである。
これだけを読むと、ノーベル賞で異なる部門の賞を獲得したのは、
ライナス・ポーリング一人だけのように考えてしまうだろう。
だが、実際にはポーリングのほかに、マリー・キュリーが
ノーベル物理学賞と化学賞を獲得している(物理学賞=1903年、化学賞=1911年)。
「全く別ジャンル」という書き方をしているところを見ると、
唐沢俊一が物理学と化学の違いをわかっているかどうか心配になってくる。
まあ、理系の学問はあきらかに不得意そうだが。
そして、ノーベル賞について「ジャンル」というのもどうだろう。「部門」「分野」ならわかるが。
付け加えると、ポーリングの真の偉業とは、
ただ一人「個人で」ノーベル賞を2度受賞していることである。
ノーベル賞を2度受賞しているのは、ポーリングとキュリー夫人のほかに、
ジョン・バーディーン(物理学賞=1956年、72年)と
フレデリック・サンガー(化学賞=1958年、80年)がいるが、
ポーリング以外の3人はいずれもどちらか一方の賞を
他の研究者と共に受賞しているのだ
(キュリー夫人は物理学賞を夫であるピエールと共に受賞している)。
【冷凍保存】
どんな物でも商売にするアメリカには、死体を冷凍保存するなんて商売もある。
しかも複数の業者があるというから驚く。
中でも、老舗にして最大手が「アルコー延命財団」というところ。
この財団は1972年、当時26歳の青年マイケル・ダーウィンが創業した。
彼は少年時代から、蜂や亀を冷凍し蘇生する実験をしていたという。
『史上最強のムダ知識』P.89
マイク(マイケル)・ダーウィン(Mike Darwin)は
アルコー延命財団の代表を務めたが創設者ではない。
アルコーを設立したのは、フレッド・チェンバレンとリンダ・チェンバレンの夫妻
(Fred and Linda Chamberlain)。
そして、ダーウィンは1955年生まれなので、1972年当時は17歳。
【ハイヒール】
ハイヒールは、道路に落ちている汚物を踏む面積の少ない靴として、
17世紀のフランスで発明された。
『史上最強のムダ知識』P.96
確かに17世紀のフランスで道路の汚物で汚れないように使われている。
しかし発明となると、太陽王ルイ14世が低い身長をごまかすために
作られたというのが定説
カトリーヌ・ド・メディチがイタリアからフランスへとハイヒールを持ち込んだという説もあるが。
その身長ごまかしのハイヒールが後に一般庶民へ広がったのが
道路の汚物という話に繋がっている。
ちなみに『
トンデモ一行知識の逆襲』 では
「ハイヒールはもともと、屠場で裾を汚さずに血溜や臓物の上を歩くのに用いられた。」
というもっと酷い説が取られている。
【産業廃棄物】
人間の糞尿は、法律上は「産業廃棄物」にあたる。
人糞が農業肥料だった時代の名残りである。
したがって、嫌がらせなどで糞尿をまき散らす行為は「産業物処理法違反」、
野グソをしたままにするのは「廃棄物投棄」である。
『史上最強のムダ知識』P.110
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」2条1項は廃棄物についてこのように定義している。
この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、
廃アルカリ、動物の死体
その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの
(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
というわけで、糞尿は「廃棄物」ということになる。続いて同法2条2項は一般廃棄物に
ついてこのように定義している。
この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
つまり、糞尿は廃棄物ではあるが産業廃棄物には含まれていない「一般廃棄物」
【平和祈念像】へいわ-きねんぞう
製作者は北村西望。建造された昭和30年(1955年)当時の、
国民的ヒーローであったことから、力道山がモデルとして選ばれたという。
『史上最強のムダ知識』P.159
作者の北村西望は「特にモデルはいない」と明言している。
当時の国民的ヒーローとしているが、
平和祈念像は1951年から4年掛かりで作られており
力道山が国民的ヒーローになったのは1954年のシャープ兄弟との戦いからなので
ちょっと無理がある説。
ちなみにこの平和祈念像のモデルは力道山ではないかという説はWikipediaにもあるが
唐沢俊一の文章がやたらとソックリで、コピペ&改竄したものではと疑われる。
【将棋の完全試合】
定義は、持ち時間を使わないで勝つこと。
テレビなどの早指しと異なり、一般の対戦では1分未満は切捨てなので、
使用時間ゼロが成立する。
達成者は、関屋喜代作六段と、大平武洋四段の2人、2回しかない。
『史上最強のムダ知識』P.169
実際には将棋連盟のメルマガによると、完全試合は3回。
連盟DSのメルマガ第319号によると、持ち時間0分での勝利は
関屋喜代作四段○-●西本 馨四段(1959年2月9日、順位戦・各7時間)
灘 蓮照八段○-●花村元司八段(1962年4月28日、大阪新聞杯・各7時間)
が挙げられるようです。最近話題になったのは、
大平武洋四段○-●児玉孝一七段(2005年3月18日、竜王戦6組・各5時間)
この『史上最強のムダ知識』は2007年4月に出た本だが
2006年6月7日「
トリビアの泉」でもっと美味しい「大平武洋四段はZONEの解散コンサートに
行きたいために持ち時間を全然使わない早指しで勝利して慌てて埼玉に向かった」
というネタが潜んでいたのに、なぜスルーするのかねえ。
ちなみに将棋協会などを調べても「完全試合」という定義をしている記述はどこにもない。
「持ち時間0分での勝利」のことをそんな風には言わない。
【野球の完全試合】
「リリーフで完全試合を達成した投手がいる」
これは、エリック・ショアという投手。
1917年6月23日、ボストン・レッドソックスの先発投手が、
最初の打者を四球で出塁させた際、判定に抗議し退場。
エリックがリリーフした。
『史上最強のムダ知識』P.167
この投手の名前は、アーニー・ショー(Ernie Shore)。
どこからエリックって来たんだ。
ピート・ローズがタイ・カッブの通算安打記録を更新した時のピッチャーは
エリック・ショーだけど、Eric Showを「エリック・ショア」とは読めないし。
まさか、ErnieとEricを間違えたということは…。
ちなみにこの完全試合は1991年9月の規定改定によって
完全試合とは認められなくなっていることは唐沢俊一も
ただし、現在のルールでは、こういった形での完全試合は、記録として認められない。
と追記している。
【ランチョン】
東京・神田のビアレストラン「ランチョン」
店は後に小川町に移り、同じ場所に今もあるが、吉田健一(吉田茂の息子で英文学者)が
愛したというこの店、何故か不思議なことにコーヒーを出さない。
いかにも明治以来の洋食屋の洋食、という風格のある、オムレツやメンチカツを味わったあとには、
コーヒーがどうしても欲しくなるのだが、入り口にも、またメニューにも、
「コーヒーはお出ししておりません」と断り書きがある。
そのくせ、日本茶は頼めばもってきてくれるのである。「洋食屋」なのに。
「なぜランチョンではコーヒーを出さないか」
神田七不思議のひとつ、である。
『史上最強のムダ知識』P.219
ランチョンは【コーヒーを扱わない理由】として
コーヒーの香りがビールの香りを損なうのでコーヒーは置いておりません。
とお断り書きを出している。
「神田七不思議のひとつ」がアッサリと解決してしまった。
それより不思議なのは唐沢俊一は店の場所を小川町と書いているが
住所は「東京都千代田区神田神保町1-6」
そして唐沢俊itの文にある「明治以来の洋食屋の洋食」がライターとして
どうなんだろうと首をかしげたくなる。
【コンニャク】
日本では、地味な存在のコンニャク。
海外では、怖い名前で呼ばれているのだ。 この英名は、植
物の方(俗に「コンニャクイモ」と呼ばれる方)の名前である。
コンニャクイモを加工した、食品の「コンニャク」は
「悪魔の舌のゼリー」と呼ばれる(そのまんまだが)。
『史上最大のムダ知識』 P.223
「そのまんま」などと書いてあるので、
まるで食品のコンニャクそれ自体が、悪魔の舌みたいな
外観・触感のゼリーだと言われているかのように読める。
実際は、「悪魔の舌 (devil's tongue)」という名前は、
コンニャクの花が細長い舌のような形をしていることによるもの。
また、和英辞書を引いた限りでは、「悪魔の舌のゼリー」という説明ではなく、
「コンニャクゼリー」または「悪魔の舌の澱粉が原料の、ゼリーに似た食品」、
「悪魔の舌の澱粉が原料の、固めのゼリー」という説明のされ方である。
【バイブレーター】
ちなみに、「大人のオモチャ」のバイブレーターは、
もともと女性のヒステリー患者の治療器具として開発されたものである。
バイブレーターの発明以前は、患者がヒステリーの発作を起こすと、
専門医が患者の性器を愛撫する、という治療が行われていた。
手での治療は、専門的な技量と時間が必要なため、
誰でも使える 器具として、1930年代に、イギリスで開発されたそうだ。
『史上最強のムダ知識』 P.225
バイブレーターは 1930 年代にイギリスで開発されたのではなく、
1911 年には既にアメリカで電動膣用バイブレーターの特許が申請されていることが、
唐沢俊一自身の監訳している『快楽特許許可局』にも載っているぞというのは、
「治療器具としてのバイブレーター」(外部サイト) の方で。
このなんとも無骨な器具、一体なんだと思います?
……答はバイブレーター。1930年代に開発されたものだ。バイブレーターは
もともと女性のオナニーグッズではなく、ヒステリー治療のために開発された
医療器具だったんだって!
なんでも、バイブレーターが発明される前は、女性がヒステリーの発作を起こすと
専門医が患者の性器を愛撫して《治療》していたそうな。しかし、その治療には
専門的な技量(?)が必要だし、時間もかかるため、だれにでもヒステリーの治療
ができる器具を、ということで開発されたそうだ。
そして家庭用のバイブレーターが開発されると、「筋肉マッサージ器」と称して
「グッド・ハウスキーピング」など保守的な女性誌などに広告が掲載され、販売
されたそうな。……さすが「セックスの偽善の王国」!
ロンドンの科学博物館で催されている「罪深き物たち」という展示会に出品されて
いるそうです。
文章は酷似しているが、このサイトの人は、引用している写真のバイブレーターが
「1930年代に開発されたもの」であり、それがロンドンの科学博物館の展示会に
出品されていると書いているのであって、バイブレーターそのものが「1930年代に、
イギリスで開発された」と劣化コピーのガセビアに変形させてしまっている唐沢俊一
とは、いっしょにはできない。
【腹づつみ】
「腹づつみ病気診断機」という、奇怪な発明をした博士がいた。
『史上最強のムダ知識』
「腹づつみ」は「腹つづみ」の間違いだろう
「腹づつみ病気診断」というもの自体、
唐沢俊一と無関係のページには登場しない奇妙な用語。
(引用元とされている『奇妙な論理』に言及してるサイトは少なくない)。
最終更新:2017年05月20日 21:41