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「……あの馬鹿亭主ッ」
真っ黒で気味の悪い格好のドラゴンに変形した≪悪魔の囁き≫がまとわりついている朝比奈のおっちゃんを見て、マドカ姐ちゃんが苛立たしげな声を上げた。
さっき殴られそうになったのが悔しいのかなと思ってると、ドラゴンの七つある首の内の一つが大声で喚いた。
『ッヒャッハハハハハハハハハハハハハ!! アアコイツァイイ! 力ガ溢レテクルゼェッ!!』
「あーうるせえっ!」
「うるさいの!」
Tさんお手製の加護付きでも砂埃やら熱気やらでメチャクチャ不快指数が高い。その上あんな耳心地の悪い声で大笑いされたらストレスが溜まってしょうがねえ。
ってかそれよりも、
「あの姉ちゃん大丈夫なのか?」
さっきから首の一つに咥えられてブラブラ揺れている姉ちゃんを見て言う。
「あれは大丈夫だ。むしろアレごと吹き飛ばす勢いで頼む」
頭に喋る黒い物体を乗せた兄ちゃんがマジ顔で答えた。
え? この兄ちゃん、頭のアレは≪悪魔の囁き≫じゃねえのか? 別モノ? 突然変異? ……敵?
とりあえず殴っといた方がいいかと握り拳を作っていると、マドカ姐ちゃんが「やあ青年、さっきは助けてもらってわるいねぇ」と声をかけた。
あ、マドカ姐ちゃんの知り合いか……敵じゃねえのか…………。
ストレスを発散する場が失われた事を残念に思ってると、Tさんがチャラい兄ちゃんに目を向けた。ドラゴンに咥えられてる姉ちゃんを示して、
「あれは以前見た事がある者だな……たしか」
「あの変態ストーカー……」
チャラい兄ちゃんが鉄骨を拾い上げた。声にイラついている調子がある。
「あれが力を供給している、か?」
おっちゃんを避けるよう祈った光弾で攻撃を連打しながらTさん。
見た感じだと攻撃を受けても即復活してるみたいだ。七つも首がある上におっちゃんが結構早いせいで下手な攻撃だと押し切る前に別の首が首を庇って前に出てくる。
「Tさん! マドカ姐ちゃん足を怪我してるっぽい!」
忙しいところ悪いと思いつつTさんに伝えながら近寄ろうとすると、ドラゴンの首が転がっていた瓦礫を俺に放って来た。「うお!?」
「リカちゃん!」
「はいなの!」
Tさんの言葉に応えて宙に浮いたリカちゃんが瓦礫を受け止める。
「放り返しちまえっ!」
俺の言葉と同時にリカちゃんが投げ返した。それを首が受け止めようと前に出て来て、
「破ぁ!!」
光が横からドラゴンの首を切断した。
寸断された首をリカちゃんが投げ返した瓦礫が押し潰す。
「舞、朝比奈マドカの状態は把握したが、しかし――」
Tさんの言葉の途中で大口開けて笑いながらドラゴンの黒い首が復活した。
「あの≪悪魔の囁き≫、七頭十角の竜を模しているのは伊達ではないらしい」
若干低い声で言う。
「あの少女、変態ストーカーと言ったか。煩悩がアレに力を与えているようだな」
「あの野郎はいつもいつも……っ!」
チャラい兄ちゃんが赤く変色した鉄骨を姉ちゃんを首めがけてぶん投げた。
その行方を最後まで見送ることをせずにTさんが俺の方を向く。
「今は手が離せん。それと、朝比奈秀雄からは距離をとれ」
「おう」
答えながら俺はマドカ姐ちゃんを支えて数歩おっちゃんから退いた。
「さっさと消え失せろ化け物共!」
『ハハハハハッ! イイゾ! ヤッチマイナアアアアアアアアアァ!!』
おっちゃんと≪悪魔の囁き≫が吠える。いなくなった筈のドラゴンの再出現を受けて、戦いはまだ荒れそうだった。
真っ黒で気味の悪い格好のドラゴンに変形した≪悪魔の囁き≫がまとわりついている朝比奈のおっちゃんを見て、マドカ姐ちゃんが苛立たしげな声を上げた。
さっき殴られそうになったのが悔しいのかなと思ってると、ドラゴンの七つある首の内の一つが大声で喚いた。
『ッヒャッハハハハハハハハハハハハハ!! アアコイツァイイ! 力ガ溢レテクルゼェッ!!』
「あーうるせえっ!」
「うるさいの!」
Tさんお手製の加護付きでも砂埃やら熱気やらでメチャクチャ不快指数が高い。その上あんな耳心地の悪い声で大笑いされたらストレスが溜まってしょうがねえ。
ってかそれよりも、
「あの姉ちゃん大丈夫なのか?」
さっきから首の一つに咥えられてブラブラ揺れている姉ちゃんを見て言う。
「あれは大丈夫だ。むしろアレごと吹き飛ばす勢いで頼む」
頭に喋る黒い物体を乗せた兄ちゃんがマジ顔で答えた。
え? この兄ちゃん、頭のアレは≪悪魔の囁き≫じゃねえのか? 別モノ? 突然変異? ……敵?
とりあえず殴っといた方がいいかと握り拳を作っていると、マドカ姐ちゃんが「やあ青年、さっきは助けてもらってわるいねぇ」と声をかけた。
あ、マドカ姐ちゃんの知り合いか……敵じゃねえのか…………。
ストレスを発散する場が失われた事を残念に思ってると、Tさんがチャラい兄ちゃんに目を向けた。ドラゴンに咥えられてる姉ちゃんを示して、
「あれは以前見た事がある者だな……たしか」
「あの変態ストーカー……」
チャラい兄ちゃんが鉄骨を拾い上げた。声にイラついている調子がある。
「あれが力を供給している、か?」
おっちゃんを避けるよう祈った光弾で攻撃を連打しながらTさん。
見た感じだと攻撃を受けても即復活してるみたいだ。七つも首がある上におっちゃんが結構早いせいで下手な攻撃だと押し切る前に別の首が首を庇って前に出てくる。
「Tさん! マドカ姐ちゃん足を怪我してるっぽい!」
忙しいところ悪いと思いつつTさんに伝えながら近寄ろうとすると、ドラゴンの首が転がっていた瓦礫を俺に放って来た。「うお!?」
「リカちゃん!」
「はいなの!」
Tさんの言葉に応えて宙に浮いたリカちゃんが瓦礫を受け止める。
「放り返しちまえっ!」
俺の言葉と同時にリカちゃんが投げ返した。それを首が受け止めようと前に出て来て、
「破ぁ!!」
光が横からドラゴンの首を切断した。
寸断された首をリカちゃんが投げ返した瓦礫が押し潰す。
「舞、朝比奈マドカの状態は把握したが、しかし――」
Tさんの言葉の途中で大口開けて笑いながらドラゴンの黒い首が復活した。
「あの≪悪魔の囁き≫、七頭十角の竜を模しているのは伊達ではないらしい」
若干低い声で言う。
「あの少女、変態ストーカーと言ったか。煩悩がアレに力を与えているようだな」
「あの野郎はいつもいつも……っ!」
チャラい兄ちゃんが赤く変色した鉄骨を姉ちゃんを首めがけてぶん投げた。
その行方を最後まで見送ることをせずにTさんが俺の方を向く。
「今は手が離せん。それと、朝比奈秀雄からは距離をとれ」
「おう」
答えながら俺はマドカ姐ちゃんを支えて数歩おっちゃんから退いた。
「さっさと消え失せろ化け物共!」
『ハハハハハッ! イイゾ! ヤッチマイナアアアアアアアアアァ!!』
おっちゃんと≪悪魔の囁き≫が吠える。いなくなった筈のドラゴンの再出現を受けて、戦いはまだ荒れそうだった。
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